説明

コンフォーマルコーティングアプリケータ及び方法

【課題】液体コンフォーマルコーティング材料の流れに途切れを生じさせることなくかかる流れを基板上に小出しするアプリケータ及び方法を提供する。
【解決手段】アプリケータ(10)は液体コンフォーマルコーティング材料の入口(16)を備えた液体流路(40)、液体出口(44)、弁座(62)及び弁作動機構体(80)を含む本体組立体(12)と、開放位置と閉鎖位置との間で往復動する弁棒(70)と、弾性減衰要素(180 )を有する。弁作動機構体は弁棒を開放位置と閉鎖位置との間で作動させる。弁棒の第1の端(70a)は閉鎖位置では弁座に係合して液体出口を通る液体材料の流れを止め、開放位置では弁座から離脱して液体出口を通る液体材料の流れを可能にする。弾性減衰要素は弁棒が閉鎖位置から開放位置に動いているときに弁棒に対して付勢力をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、液体材料を小出しするアプリケータ、特に、コンフォーマルコーティングを基板、例えば電気部品に被着させるアプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
コンフォーマルコーティングは、誘電体材料を基板に塗布するプロセスである。典型的には、基板は、電気又は電子製品、例えばプリント回路(“PC”)板又はこれに実装されたデバイスである。フィルムコーティング又は塗膜とも呼ばれるコンフォーマルコーティングは、PC板上の電気又は電子部品を水分、かび、ほこり、腐食、擦り傷及び他の環境応力から保護する。通常のコンフォーマルコーティング材料としては、シリコーン、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ、合成樹脂及び種々のポリマーが挙げられる。PC板に塗布された場合、溶剤が蒸発し又は溶剤のない材料が硬化されると、一様な厚さの絶縁樹脂膜が形成される。現行の塗布では、電気的性質及び/又は熱伝導特性を維持するためにコンフォーマルコーティングをPC板の選択された領域上に且つこれに実装されたコンポーネントのうちの幾つか又は全てにわたり塗布することが必要である。アプリケータは、例えば従来通り空気圧の作用で又は電気的に作動される。空気圧作動式アプリケータの場合、弁棒をアプリケータ内で開放位置に動かすために正圧に加圧された作動空気をアプリケータ内のピストンチャンバに供給するために作動弁、例えば電磁弁が用いられる。アプリケータの弁が開かれている間、コーティング材料の膜が基板上に小出しされながら被着される。
【0003】
自動化システムは、ロボットシステムに取り付けられた1つ又は数個のコンフォーマルコーティングアプリケータを有する場合がある。機械の速度は、次第に速くなり、したがって、ロボットシステムがアプリケータをPC板に対して動かしているときにアプリケータをオンオフにサイクル動作させてコンフォーマルコーティングをPC板上のコンポーネントに選択的に塗布するためのアクチュエータとして迅速作動弁が用いられる。このアクチュエータの弁棒は、第1の端が弁座に当てられる閉鎖位置と第2の端が硬い停止要素に当てられる開放位置との間で往復動する。典型的には、停止要素は、開放位置と閉鎖位置との間での弁棒の移動距離又はストロークを塗布上の必要性に応じて変化させることができるストロークアジャスタの一部である。迅速作動弁では、これは、弁棒が開放ストロークの終わりに停止要素にぶつかった際に「跳ね返り」効果を受けるのが通例になっている。即ち、弁棒の頂端又は第2の端は、硬い停止要素、例えばストロークアジャスタねじにぶつかって1回又は2回以上逆方向に僅かに跳ね返り又は動き、その後、停止要素に当たって完全停止状態になる。この跳ね返り運動は、基板に塗布されているフローパターン(例えば、膜)の先導端のところでフローパターンに途切れ又は途絶を生じさせることになる。例えば、この現象により、塗膜ストリップの先導端が望ましくない「ハンマーヘッド」、即ち、塗膜ストリップの残りの部分よりも僅かに幅の広い形状を有する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、アプリケータと関連した弁の開放時における液体の流れの途切れを阻止し又は少なくとも減少させるコンフォーマルコーティングアプリケータ及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一般に、液体コンフォーマルコーティング材料を基板上に小出しするアプリケータを提供する。アプリケータは、コーティング材料を受け入れるようになっている液体入口を備えた液体流路及び液体出口を含む本体組立体を有する。本体組立体は、液体流路と液体出口との間に位置決めされた弁座を含む。弁座が開放位置と閉鎖位置との間で往復動するよう本体組立体内に設けられている。弁棒は、第1の端及び第2の端を備えている。弁棒の第1の端は、閉鎖位置では弁座に係合して液体出口を通る液体コーティング材料の流れを止める。弁棒は、開放位置では弁座から離脱して液体出口を通る液体コーティング材料の流れを可能にする。本体組立体は、弁棒を開放位置から閉鎖位置に動かすよう働き、更に又、弁棒を閉鎖位置から開放位置に動かすよう働く弁作動機構体を更に含む。弾性減衰要素が本体組立体の一部と弁棒との間に配置されている。弾性減衰要素は、弁棒が閉鎖位置から開放位置に動いているときに弁棒に対して付勢力をもたらす。これにより、閉鎖位置に向かう弁棒の跳ね返り運動がなくなり又は少なくとも減少し、その結果、塗布されるコーティングパターンのはっきりとした又はシャープな先導縁が得られる。
【0006】
種々の他の特徴及び観点も又、アプリケータに組み込まれるのが良い。例えば、好ましい実施形態では、弾性減衰要素は、具体的には、弾性エラストマー材料を含む。弁棒は、ピストンを備えた組立体を更に有する。ピストンは、ピストンチャンバ内に配置され、ピストンチャンバは、ピストン及び弁棒を開放位置に動かすためにピストンの少なくとも一方の側に作用する加圧空気を受け入れるよう構成されている。弁作動機構体は、ばね力を弁棒に及ぼすばねを備えたばね戻し機構体を更に有し、ばね戻し機構体は、ピストンチャンバ内の空気圧力が抜かれると、弁棒を開放位置から閉鎖位置に動かすよう働く。弾性減衰要素は、全体として、弁棒とばねの少なくとも一部との間に配置されている。弁ストロークアジャスタがストローク調節要素、例えばねじを有し、弁棒が開放位置と閉鎖位置との間で移動する距離を調節するためにこのストローク調節要素を動かすことができる。弾性減衰要素は、弁棒とストローク調節要素との間に配置されている。この実施形態では、ストローク調節要素は、硬い停止部である。弾性減衰要素は、開放位置及び閉鎖位置において且つ開放位置と閉鎖位置との間における弁棒の運動中において、弁棒と接触状態にある。変形例として、弁棒が閉鎖位置にあるとき、弾性減衰要素と弁棒との間に隙間が存在するのが良い。
【0007】
本発明は、液体コンフォーマルコーティング材料を小出しする方法を更に提供する。この方法は、一般に、加圧液体コンフォーマルコーティング材料をアプリケータの液体流路に供給するステップを有する。
【0008】
液体流路からアプリケータの出口への液体コンフォーマルコーティング材料の流れを阻止するために弁棒を弁座に係合させる閉鎖位置と、液体コンフォーマルコーティング材料が液体流路からアプリケータの出口まで流れることができるようにするために弁棒を弁座から離脱させる開放位置との間で定められるストローク長さに沿って弁棒を動かす。弁棒が開放位置に向かって動いているときに弾性エラストマー要素を圧縮して弁棒に対して付勢力をもたらし、それにより閉鎖位置に向かう弁棒の跳ね返り運動をなくし又は少なくとも減少させる。
【0009】
好ましい方法は、弾性エラストマー要素をストローク長さ調節要素と弁棒との間で圧縮するステップを更に有する。この方法は、弁棒をばね戻し機構体により閉鎖位置に動かすステップを更に有する。弾性エラストマー要素は、好ましくは、開放位置及び閉鎖位置において且つ開放位置と閉鎖位置との間のストローク長さに沿う弁棒の運動中において弁棒に接触する。この方法は、調節要素が弾性エラストマー要素に接触した状態でストローク長さアジャスタを用いるステップと、ストローク長さ調節要素を動かして塗布上の必要性に従って弁棒のストローク長さを変化させるステップとを更に有する。
【0010】
種々の追加の特徴及び観点は、添付の図面と関連して行なわれる例示の実施形態の以下の詳細な説明を参照すると、当業者には容易に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の例示の実施形態に従って構成されたアプリケータの斜視図である。
【図2】図1に示されたアプリケータの全体として中心軸線に沿って取った縦断面図であり、アプリケータと関連した弁棒を閉鎖位置で示す図である。
【図2A】変形実施形態を示す拡大断面図である。
【図3】図2に類似した断面図であるが、弁棒を開放位置で示す図である。
【図4】従来型アプリケータに従って小出しされる代表的なコンフォーマルコーティングパターンの略図である。
【図5】アプリケータを用いると共に本明細書において説明する方法に従って小出しされたコンフォーマルコーティングパターンの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
全体として図1を参照すると、一般に上述したような目的で且つ仕方でコンフォーマルコーティング材料を基板、例えば電子回路板に塗布するアプリケータ10が示されている。アプリケータ10は、主要構成要素として、本体14及びこれと通じている液体入口継手16を備えた本体組立体12を有している。本体14は、作動空気入口継手18に更に通じており、この本体は、ストローク長さ調節機構体30(図2及び図3参照)を覆っている取り外し可能な上側キャップ20を有している。液体小出しノズル組立体32がアプリケータ10の反対側の端部のところで細長い延長部34に結合されている。以下に詳細に説明する減衰という特徴を除き、アプリケータの残りの部分は、既存のコンフォーマルコーティングアプリケータ、例えばカリフォルニア州カールスバッド所在のノードソン・アシムテック(Nordson Asymtek)社により製造されたモデル番号SC‐104又はSC‐204に従って構成されるのが良い。本発明と関連した原理の完全な理解を得るために、本明細書において、構成上及び作動上の細部の説明が行なわれる。本発明の観点を有するコンフォーマルコーティングアプリケータは、多種多様な仕方で構成でき、本明細書において開示する実施形態は、性質上例示に過ぎないことは理解されよう。
【0013】
図2及び図3を特に参照すると、本体組立体12の本体14及び延長部34は、一般に液体流路40を更に備えている。延長部34は、延長部リテーナ34aによって本体14に固定され、延長部リテーナ34aは、ガスケット34bを本体14と延長部34のフランジとの間で圧縮するためにボルト(図示せず)又は他の手段によって本体14に取り付けられている。液体流路40は、液体入口継手16と液体コーティング材料の薄い扇形の膜を放出するよう構成されたノズル要素46の液体出口44とを連通させている。ノズル要素46を取り外し、液体を異なるパターンで小出しするノイズで置き換えても良い。この目的のため、ノズル組立体32は、雄ねじ50と噛み合う雌ねじ48を有している。ノズル組立体32は、それぞれのねじ山52,54により延長部34に結合されている。シールが例えばOリングによって維持される。
【0014】
ノズル組立体32は、弁座62を有し、通路62aが液体流路40とノズル要素46の出口44とを連通させている。この通路62aは、弁棒70の第1の端70aを弁座62から離脱させたりこれに係合させたりすることにより選択的に開かれたり閉じられたりする。弁棒70は、この実施形態では、液体流路40内で往復動可能に設けられたニードル72を含む組立体を有する。弁棒70は、以下に説明するような他のコンポーネントを更に有し、弁棒70は、組立体又は一体形成弁棒を含む他の形態を取ることができる。弁棒70の第1の端70aは、図2に示されているように通路40を閉鎖するよう弁座62と係合するが、これを逆方向に往復動させ又は動かすと弁棒70の第1の端70aを図3に示されているように弁座62から離脱させることができる。弁棒70は、全体として弁座62とばね戻し機構体80との間で運動可能に設けられている。ばね戻し機構体80が弁作動機構体の一部をなし、この弁作動機構体は、この実施形態では、以下に更に説明する「空気開放・ばね戻し」型機構体である。弁作動機構体の他の形式としては、完全空気圧型、即ち、「空気開放・空気閉鎖」型アプリケータ及び電気アクチュエータが挙げられる。1対の動的シール90,92及び弁棒ガイド94が本体14内に設けられている。第1の動的シール90は、液体流路40内の液体が本体14の頂部のところでピストンチャンバ100内に漏れ込む又は移動するのを阻止する。第2の動的シール92は、ピストンチャンバ100内の空気が液体流路40内に漏れ込み又は移動するのを阻止する。弁棒70は又、好ましくは、その下端又は第1の端70aが弁棒70の第1の端70aと弁座62の内壁62b又は内面との側方係合により安定化されると共に案内される。
【0015】
弁棒70を含む組立体は、ピストン110並びにばね戻し機構体80及びストローク調節機構体30と関連した圧縮コイルばね120のための受け入れ要素112を更に含む。ピストン110は、ピストンチャンバ100の内壁126に係合する周囲ワイパ124を備えたピストン要素122を有している。ピストン要素122は、1つにはOリング132aによって中間取り付け要素132に摩擦の作用で固定されている。取り付け要素132は、螺合連結部130によってニードル72に剛性的に結合されており、その結果、ピストン要素122は、弁棒70のストローク長さに沿う往復運動中、ニードル72と一緒に動くようになっている。ばね受け入れ例要素112は、雌ねじ142がニードル72の上端部のところに設けられた雄ねじ144と噛み合うことによりニードル72と一緒に運動可能に剛性的に結合されている。ばね戻し機構体80の圧縮コイルばね120は、受け入れ要素112とねじ山付き調節ねじ162を受け入れるばね予荷重要素160との間に位置決めされている。ねじ162は、弁棒70の上方運動を制限し、即ち、弁棒70の「開放」位置を定める調節停止要素として働く。予荷重要素160は、螺合連結部166を介して本体組立体12の上側キャップ部分164内に螺合可能に受け入れられている。上側キャップ部分164は、ボルト(図示せず)又は他の手段によって本体14に取り付けられている。スロット167内に配置された工具(図示せず)を用いて、予荷重要素160を上側キャップ部分164内に回転させることができ、この予荷重要素は、必要な予荷重によりばね120を圧縮する。予荷重要素160が所望通りに位置決めされると、雌ねじ付きリテーナ168がキャップ部分164に対して下方に締め付けられて予荷重要素160の位置が維持される。ねじ162の回転により、弁棒70のストローク長さ又は換言すると弁棒70が図2に示された閉鎖位置と図3に示された開放位置との間で動く際に移動する距離が調節される。ねじ162が所望のストローク長さを設定するよういったん位置決めされると、ナット170を予荷重要素160に対して締め付けてねじ162の位置、具体的に言えば、その下端162aの位置を維持するのが良い。
【0016】
弾性減衰要素180が円板状エラストマー要素又は他の適当な減衰要素の形態を取ることができ、この弾性減衰要素は、本体組立体12の一部分と弁棒70の第2の端72bとの間に位置決めされている。本体組立体12は、弁棒70及び弾性減衰要素180を除き、アプリケータ10の全ての構造部材を有する。弁棒70は、これがその開放位置と閉鎖位置との間で動いているときに弁棒70と一緒に動く全ての要素を有する。この実施形態では、弾性減衰要素180は、特に、本体組立体12のねじ162の下端表面162aと弁棒70のばね受け入れ要素112との間に配置されている。エラストマー要素は、例えば天然又は合成ゴム材料、例えばニトリルゴム、フルオロエラストマー又はポリウレタンで作られるのが良く、このエラストマー要素は、30〜90のジュロメータ硬度を有するのが良い。好ましい材料は、ポリウレタンである。ねじ162を回すと、このねじは、弁棒70の長手方向軸線に沿って動いて弁棒70の上端70bについて調節可能な停止位置をもたらし、この調節可能な停止位置は、この場合、弁棒70の一部をなすばね受け入れ要素112の上端として定められる。かくして、ねじ162をねじ戻し又は図2において上から見て反時計回りに回した場合、調節ねじ162は、エラストマー要素180から遠ざかり、ねじ162を時計回りに回した場合、ねじ162は、エラストマー要素180に近づいてストローク長さを減少させる。好ましくは、アプリケータ10は、所望のストローク長さが、要素180を圧縮していないときにねじ山付きねじ調節部材162がエラストマー要素180の上面とちょうど接触状態になる位置と関連したストローク長さであるように組み立てられている。かくして、ストローク長さを減少させるためには、ねじ162を時計回りに回し、エラストマー要素180を僅かに圧縮することによってエラストマー要素180に近づけるのが良い。しかしながら、通常のセットアップでは、オペレータは、ねじ162を調節し、ついには、調節ねじ162がエラストマー要素180に当たったことをオペレータが感じ取るようになり、その時点において、オペレータは、ねじ162を僅かにねじ戻し又は反時計回りの方向に回すが、調節ねじ162の端162aをエラストマー要素180の頂部180aとの接触状態から離脱させるほどではないようにする。これにより、弁棒70が図2に示された閉鎖位置にあるとき、弁棒70が図3に示された開放位置にあるとき及び開放位置と閉鎖位置との間の移動距離全体にわたり、調節ねじ要素162と弁棒の上端又は第2の端70b(即ち、ねじ受け入れ要素112の上端)との間接的な接触又は係合状態が維持される。図2Aは、弁棒70が閉鎖位置にあるとき、エラストマー要素180の頂面180aと調節ねじ162の端162aとの間に隙間182が生じている変形実施形態を示している。隙間182は、弁棒70が開いているときに要素180が本明細書において説明しているように弁棒70が開いているときに依然として圧縮されるほど小さい。エラストマー要素180は、図3では誇張した状態に圧縮されており、図3は、例示目的で弁の開放位置を示していることに注目されたい。弁が開かれているとき、この実施形態における実際の圧縮は、少ないであろう。この実施形態では、エラストマー要素180の厚さは、0.125インチ(3.175mm)であり、ストローク長さは、0.015〜0.030インチ(0.381〜0.762mm)である。弁棒70が図2に示された閉鎖位置にあるとき、弁棒70の上端70bがそれほどの圧縮なしでエラストマー要素180に接触しているので、開放位置(図3)における圧縮量は、実質的にストローク長さに等しいであろう。
【0017】
作用を説明すると、弁棒が図2に示されているように閉鎖位置にある状態で加圧液体コンフォーマルコーティング材料を適当な供給源190から継手16に通して通路40内に供給する。加圧空気を適当な源194から電磁弁192に供給する。電磁弁192を開くと、加圧空気は、継手18を通って本体14の通路196内に差し向けられ、そしてピストン要素122の下側のピストンチャンバ100内に差し向けられる。これにより、ピストン122は、上側キャップ部分164に向かって押し上げられてニードル72がピストン122と一緒に運ばれ、したがって、弁棒の端70aは、弁座62から離昇し、流体は、ノズル要素46の出口44から流出することができる。弁棒70が上方に動いて図3に示された完全開放位置に達すると、弁棒は、ねじ162の下面162aとばね受け入れ要素162との間に位置決めされたエラストマー減衰要素180を常時圧縮する。その結果得られた減衰効果により、逆方向におけるタブ(跳ね返り)運動が阻止され又は減少し、したがって、液体は、より一様に出口44から流出する。弁を閉じるため、ピストンチャンバ100内の加圧空気を従来型手段(図示せず)によってチャンバ100から抜き出すのが良く、それにより、ばね120は、ばね受け入れ要素112に作用してピストン中間取り付け要素132及びピストン122を押し下げ、弁棒70をその閉鎖位置(図2)に戻すことができる。ばね120により生じる力に加えて、エラストマー減衰要素180の圧縮が解除され、それにより、弁棒70の閉鎖を助ける追加の力が得られる。
【0018】
図4及び図5は、それぞれ、コンフォーマルコーティング200,202を概略的に示している。図示すると共に本明細書において説明したエラストマー要素を用いないでアプリケータにより塗膜200を被着させ、これに対し、図示すると共に本明細書において説明したエラストマー要素180を備えたアプリケータ10によって塗膜202を被着させた。図4に概略的に示された従来型塗膜に関し、アプリケータの弁棒は、これが完全開放位置に達したときに調節ねじに突然直接ぶつかった。これにより、跳ね返り効果が生じ、この跳ね返り効果により、「ハンマーヘッド」が塗膜200の前縁又は先導縁200aのところに生じた。図示すると共に本明細書において説明したようにエラストマー要素180が定位置にある状態では、塗膜202(図5)の先導縁202aは、顕著な「ハンマーヘッド」途切れ状態を生じず、これとは異なり、塗膜ストリップ202の残部に対して真っ直ぐな又はより垂直の先導縁を有している。
【0019】
本発明を種々の好ましい実施形態の説明によって説明すると共にこれら実施形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲をかかる細部に限定し又は何らかの仕方で制限することは、本出願人の意図ではない。当業者には追加の利点及び改造例が容易に明らかであろう。本発明の種々の特徴は、ユーザの要望及び好みに応じて単独で又は任意の組み合わせで利用できる。上記説明は、本発明の内容を本発明を現在知られているように実施する好ましい方法と共に説明するものであった。したがって、本発明はそれ自体、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0020】
10 アプリケータ
12 本体組立体
14 本体
16 液体入口継手
18 作動空気入口継手
20 キャップ
30 ストローク長さ調節機構体
32 液体小出しノズル組立体
34 延長部
40 液体流路
44 液体出口
46 ノズル要素
62 弁座
70 弁棒
70a 第1の端
70b 第2の端
72 ニードル
80 ばね戻し機構体
90,92 動的シール
110 ピストン
112 受け入れ要素
120 圧縮コイルばね
164 上キャップ部分
180 弾性減衰要素
192 電磁弁
200,202 塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体コンフォーマルコーティング材料を基板上に小出しするアプリケータであって、前記アプリケータは、
本体組立体を有し、前記本体組立体は、
i.前記コーティング材料を受け入れるようになっている液体入口を備えた液体流路及び液体出口と、
ii.前記液体流路と前記液体出口との間に位置決めされた弁座と、
iii.弁作動機構体とを含み、
前記本体組立体内に設けられていて、開放位置と閉鎖位置との間で往復動する弁棒を有し、前記弁棒は、第1の端及び第2の端を備え、前記弁棒の前記第1の端は、前記閉鎖位置では前記弁座に係合して前記液体出口を通る前記液体コーティング材料の流れを止め、前記開放位置では前記弁座から離脱して前記液体出口を通る前記液体コーティング材料の流れを可能にし、前記弁作動機構体は、前記弁棒を前記開放位置から前記閉鎖位置に動かすよう働き、更に又、前記弁棒を前記閉鎖位置から前記開放位置に動かすよう働き、
前記本体組立体の一部と前記弁棒との間に配置された弾性減衰要素を有し、前記弾性減衰要素は、前記弁棒が前記閉鎖位置から前記開放位置に動いているときに前記弁棒に対して付勢力をもたらす、アプリケータ。
【請求項2】
前記弾性減衰要素は、エラストマー材料を更に含む、請求項1記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記弁棒は、ピストンを備えた組立体を更に有し、前記ピストンは、前記ピストン及び前記弁棒を前記開放位置に動かすために前記ピストンの少なくとも一方の側に作用する加圧空気を受け入れるよう構成されたピストンチャンバ内に配置されている、請求項1記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記弁作動機構体は、ばね力を前記弁棒に及ぼすばねを備えたばね戻し機構体を更に有し、前記ばね戻し機構体は、加圧空気が前記ピストンチャンバから抜き出されると、前記弁棒を前記開放位置から前記閉鎖位置に動かすよう働く、請求項3記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記弾性減衰要素は、前記弁棒と前記ばねの少なくとも一部との間に配置されている、請求項4記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記弁棒が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動する距離を調節するための停止要素を備えた弁ストロークアジャスタを更に有し、前記弾性減衰要素は、前記弁棒と前記停止要素との間に配置されている、請求項1記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記弾性減衰要素は、前記開放位置及び前記閉鎖位置において且つ前記開放位置と前記閉鎖位置との間における前記弁棒の運動中において、前記弁棒に接触する、請求項1記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記弁棒が前記閉鎖位置にあるとき、前記弾性減衰要素と前記弁棒との間に隙間が存在する、請求項6記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記弁棒が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動する距離を調節するよう働く弁ストロークアジャスタを更に有し、前記弾性減衰要素は、前記弁棒の前記第2の端と前記弁ストロークアジャスタとの間に位置決めされたエラストマー要素を更に有する、請求項1記載のアプリケータ。
【請求項10】
液体コンフォーマルコーティング材料を小出しする方法であって、
加圧液体コンフォーマルコーティング材料をアプリケータの液体流路に供給するステップと、
液体流路から前記アプリケータの出口への前記液体コンフォーマルコーティング材料の流れを阻止するために前記弁棒を前記弁座に係合させる閉鎖位置と、前記液体コンフォーマルコーティング材料が前記液体流路から前記アプリケータの前記出口まで流れることができるようにするために前記弁棒を前記弁座から離脱させる開放位置との間で定められるストローク長さに沿って弁棒を動かすステップと、
前記弁棒が前記開放位置に向かって動いているときに弾性エラストマー要素を圧縮するステップとを有する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−55883(P2012−55883A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195643(P2011−195643)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】