説明

コンベアベルト裂け目検出システム

【課題】コンベアベルトに容易に組み込むことのできる裂け目検出インサートを有するベルトを含むコンベアベルト裂け目検出システム。
【解決手段】コンベアベルトにおいて、(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(2)弾性体内に配置された補強プライと、(3)複数の裂け目検出インサートとを有し、裂け目検出インサートが、コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、裂け目検出インサートが、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含み、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、裂け目検出ワイヤが、ベルトの幅を横切って徐々に大きくなる間隔に配置されるコンベアベルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルト裂け目検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアベルトは、鉱物、石炭、および様々な広範囲の製造品をある地点から他の地点まで移動させるのに広く使用されている。採掘作業に使用される重作業用コンベアベルトは、数マイルの距離にわたって延びることがあり、工業材料搬送工程におけるコストのかかる構成部材に相当する。残念なことに、このようなコンベアベルトは、ベルトで搬送される材料による損傷を受けやすく、ベルト内に裂け目、穴、切れ目などが生じる可能性がある。たとえば、搬送中の材料の鋭い縁部によってベルトの表面がえぐられ、それによって裂け目が生じる恐れがある。
【0003】
裂け目が生じたベルトは、検出後修理することができる。しかし、重作業用コンベアベルトを修理し、損傷のためにこぼれた材料を除去するコストはかなり高額になることがある。このような損傷が検出されず迅速に修理されなかった場合、裂け目は通常、引き続きコンベアシステムを使用するうちにベルトの長さに沿って伝播し、修理がさらに困難になり、かつコストが増大する。したがって、ベルトの損傷が生じた後できるだけ早くその損傷を検出し、ベルトの損傷した領域を迅速に修理することが望ましい。そうすることによって、ベルトの損傷の範囲を最小限に抑えることができ、搬送中の材料のこぼれを軽減することができる。
【0004】
長年にわたって、ベルト損傷を検出し、損傷が生じた後ベルトがさらに移動するのを自動的に停止するいくつかのシステムが開発されている。センサをコンベアベルト内で裂け目検出システムの一部として使用することが公知である。代表的なシステムでは、導線のループの形をしたセンサが、ベルトに固定されるかまたは埋め込まれ、裂け目検出システム全体の一部として裂け目検出装置を形成している。裂け目検出は、ベルト内の1つまたは2つ以上のセンサループにおける「開路」条件の、推論による検出によって実現される。通常、ベルトの外部の電気エネルギー源は、ベルト内のセンサループに誘導的または容量的に結合される。遠隔送信器/受信器(励磁器/検出器)によってセンサの導線ループの切れ目を検出することができる。各センサが様々な位置における1つまたは2つ以上の励磁器/検出器の読み取り範囲内を通過するように、このような複数のセンサをコンベアに沿って間隔を置いて配置することができる。裂け目が生じて近位センサループが損傷すると、読み取り装置の次に通過時に近位センサループの損傷が読み取り装置によって開路として検出されたときに裂け目の存在が検出される。このように、裂け目の存在が迅速に検出されて修理され、ベルトのさらなる損傷が最小限に抑えられる。
【0005】
特許文献1は、ベルトセンサシステム内で有用な「8の字」センサループを開示している。特許文献2は、ベルトに埋め込まれたセンサ導体の状態を監視し、ベルトまたは制御回路に損傷が生じたときに警告の表示および/またはコンベアの停止を行わせるコンベアベルト用の電子制御システムを開示している。
【0006】
特許文献3は、裂け目監視システムで使用される導体が含まれた補強コンベアベルトであって、(a)各面がベルトの走行方向に無限に延びる上部支持面およびそれに平行な下部プーリ係合面を有する弾性体と、(b)弾性体内に位置する複数の補強層と、(c)弾性体内に位置し、ベルトの走行方向に間隔を置いて配置され、各エンベロープが内部に弾性体の空隙領域を確立する、低摩擦係数材料の複数のエンベロープと、(d)補強コンベアベルトの動作中に自由に空隙領域内を移動するようにエンベロープ内に位置する成形導体とを有するベルトを開示している。
【0007】
特許文献4は、コンベアベルトに沿って間隔を置いて配置された「8の字」センサループを開示している。より詳細には、この参考文献は、ある走行方向を有する無端コンベアベルトであって、(a)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(b)弾性体内に配置された補強プライと、(c)ベルト内に、閉電流経路を形成する所定のパターンに配置され、第2の金属の導電コアの周りを覆う第1の金属の複数の強力フィラメントまたはストランドを有し、強力フィラメントまたはストランドが、導電コアより高い疲労抵抗を有し、導電コアの疲労抵抗を増大させる導体とを有するコンベアベルトを開示している。
【0008】
特許文献5は、アンテナが、2つの検出器ヘッドおよび電子パッケージから成る電磁回路に結合するコンベアベルトに埋め込まれたシステムを提供する。結合は、アンテナが検出器ヘッドを横切ったときにのみ生じ、ループの完全性が損なわれていないときにのみ生じることができる。特許文献5は、より詳細には、導体が少なくとも1つの交差箇所で交差する信号反転構成に配置された無端ループとして形成された導体を有する裂け目検出センサが内部に組み込まれたコンベアベルトであって、導体がマイクロコイルばね線として形成され、導体が、交差箇所を含むセンサ全体にわたるほぼ単一の平面内にマイクロコイルばね線が存在するように交差することによって交差し、コンベアベルトが、交差箇所での導体の短絡を防止する手段をさらに有することを特徴とするコンベアベルトを開示している。
【0009】
特許文献6は、無端ループとして形成された導体を有する裂け目検出センサが内部に組み込まれたコンベアベルトであって、ベルトが、導体と結合関係にベルトに固定された少なくとも1つのトランスポンダを含み、トランスポンダが、ベルトに沿った導体の位置を識別する情報を送信することを特徴とするコンベアベルトを開示している。
【0010】
特許文献7は、コンベアベルトの状態を検出し報告する検査システムであって、コンベアベルトの一部の画像を取り込むように構成され配置された少なくとも1つのカメラから画像データを受信し、受信された画像データを処理することによってコンベアベルトのこの部分の画像内のスプライスを検出し、検出されたスプライスに基づいてコンベアベルトのこの部分に関連する状況情報を生成するスプライス検出プログラムを有するコントローラを有するシステムを開示している。
【0011】
特許文献8は、スチールまたは比較的透磁性の高い他の補強材料を有するコンベアベルトを有するコンベアベルト装置の動作を監視するシステムにおいて、コンベアベルトの近くに配置され、磁界を生成する磁界生成装置と、コンベアベルトの近くの、通常のベルト移動方向とみなされる磁界生成装置から下流側の位置に配置され、通過するコンベアベルトから発生する磁界を検知するセンサユニットと、コンベアベルトの各長さがセンサユニットを複数回通過する間にセンサユニットによって検知される磁界特性に関するデータを受信する監視手段であって、その後受信される1組のデータを前に受信された1組のデータと比較する比較手段を組み込んだ監視手段と、その後受信されるデータが前に受信されたデータから所定の範囲を超える程度に逸脱しているときに補強材料の損傷または劣化を表す出力信号を発する出力手段とを有するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3742477号
【特許文献2】米国特許第3922661号
【特許文献3】米国特許第4621727号
【特許文献4】米国特許第4854446号
【特許文献5】米国特許第6352149号
【特許文献6】米国特許第6715602号
【特許文献7】米国特許第6988610号
【特許文献8】PCT第2007/026135A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術の裂け目検出パネルでは、ベルトの完全性または損傷したループを交換する能力に影響を与える可能性のある問題が生じる。コンベアベルトに対して横方向に延びるワイヤを有する裂け目検出パネルは、製造の観点からは望ましい。しかし、このような裂け目検出パネルは、望ましくないたわみ特性を有し、コンベアベルトに早めに障害が生じる恐れがある。したがって、コンベアベルトに安価に組み込み、損傷を受けた場合に容易に交換することのできる信頼できる裂け目検出システムが必要である。このようなコンベアベルトの耐久性が非常に高いことも重要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、コンベアベルトに低コストでより容易に組み込むことのできる裂け目検出インサートを有するベルトを含むコンベアベルト裂け目検出システムを提供する。このような裂け目検出インサートは、コンベアベルトの耐久性に悪影響を与えず、ベルトが損傷した場合に容易に交換することができる。この裂け目検出システムでは、ベルトの顕著な損傷が生じる前に迅速な修理を容易に行えるようにする、ベルト損傷の、信頼性の高い早期画像も得ることができる。本発明の裂け目検出システムは、引き続きベルトの将来の損傷を監視しつつ修理の前に生じた裂け目検出インサートの損傷を無視することができる利点も有する。本発明のシステムで使用されるベルトに無線周波数識別タグを組み込み、裂け目検出インサートの近くの既知の位置に配置することによって、損傷が生じたベルト上の点を識別することができる。
【0015】
より詳細には、本発明は、コンベアベルトにおいて、(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(2)弾性体内に配置された補強プライと、(3)複数の裂け目検出インサートとを有し、裂け目検出インサートが、コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、裂け目検出インサートが、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含み、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、裂け目検出ワイヤが、ベルトの幅を横切って徐々に大きくなる間隔に配置されるコンベアベルトを開示する。
【0016】
本発明は、コンベアシステムにおいて、(A)(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体、(2)弾性体内に配置された補強プライ、ならびに(3)コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含む複数の裂け目検出インサートであって、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、裂け目検出ワイヤが、ベルトの幅を横切って徐々に大きくなる間隔に配置された裂け目検出インサートを有するコンベアベルトと、(B)ベルトのプーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、(C)ベルトをプーリシステムに沿って駆動する手段と、(D)裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、(E)裂け目検出ワイヤによって生成された磁界を検出する手段とを有するコンベアシステムをさらに開示する。裂け目検出パネルの長さを求めるため、およびそれをベルト継ぎ目から識別するために、システムに、タコメータ、近位センサまたはエンコーダを組み込むと便利である。
【0017】
本発明は、コンベアベルトがコンベアシステム内を前進するときにコンベアベルトの損傷を検出する方法において、コンベアベルトがコンベアシステム内を前進するときに複数の裂け目検出インサートに関連する磁界の画像が複数のサブパネル磁気画像に細分されるのを監視することを含み、コンベアシステムが、(A)(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体、(2)弾性体内に配置された補強プライ、ならびに(3)コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含む複数の裂け目検出インサートであって、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、裂け目検出ワイヤが、ベルトの幅を横切って徐々に大きくなる間隔に配置された裂け目検出インサートを有するコンベアベルトと、(B)ベルトのプーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、(C)ベルトをプーリシステムに沿って駆動する手段と、(D)裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、(E)裂け目検出インサートに関連する磁界の画像を検出する手段と、(F)裂け目検出インサートに関連する磁界が複数のサブパネル磁気画像に細分されるのを監視する手段とを有する方法も開示する。
【0018】
本発明は、コンベアベルトにおいて、(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(2)弾性体内に配置された補強プライと、(3)コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含む複数の裂け目検出インサートとを有し、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、各裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサートを貫通して延びる、バイアス角度に垂直なラインに沿った長さが異なり、最も短い裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約50%未満である長さを有するコンベアベルトをさらに開示する。
【0019】
本発明は、コンベアシステムにおいて、(A)(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体、(2)弾性体内に配置された補強プライ、ならびに(3)コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含む複数の裂け目検出インサートであって、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から30°〜60°のバイアス角度に揃えられ、各裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサートを貫通して延びる、バイアス角度に垂直なラインに沿った長さが異なり、最も短い裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約50%未満である長さを有する裂け目検出インサートを有するコンベアベルトと、(B)ベルトのプーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、(C)ベルトをプーリシステムに沿って駆動する手段と、(D)裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、(E)裂け目検出ワイヤによって生成された磁界を検出する手段とを有するコンベアシステムも開示する。
【0020】
本発明は、コンベアベルトがコンベアシステム内を前進するときにコンベアベルトの損傷を検出する方法において、コンベアベルトがコンベアシステム内を前進するときに複数の裂け目検出インサートに関連する磁界の画像が複数のサブパネル磁気画像に細分されるのを監視することを含み、コンベアシステムが、(A)(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体、(2)弾性体内に配置された補強プライ、ならびに(3)コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含む複数の裂け目検出インサートであって、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から30°〜60°のバイアス角度に揃えられ、各裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサートを貫通して延びる、バイアス角度に垂直なラインに沿った長さが異なり、最も短い裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約50%未満である長さを有する裂け目検出インサートを有するコンベアベルトと、(B)ベルトのプーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、(C)ベルトをプーリシステムに沿って駆動する手段と、(D)裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、(E)裂け目検出インサートに関連する磁界の画像を検出する手段とを含む方法をさらに開示する。
【0021】
本発明は、コンベアベルトにおいて、(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(2)弾性体内に配置された補強プライと、(3)複数の裂け目検出インサートとを有し、裂け目検出インサートが、コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、裂け目検出インサートが、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含み、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、裂け目検出ワイヤが、0.1mm〜0.6mmの範囲内の直径を有する少なくとも1本のスチールフィラメントで構成されるコンベアベルトも開示する。
【0022】
本発明は、コンベアシステムにおいて、(A)(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体、(2)弾性体内に配置された補強プライ、ならびに(3)コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含む複数の裂け目検出インサートであって、裂け目検出ワイヤが、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、裂け目検出ワイヤが、0.1mm〜0.6mmの範囲内の直径を有する少なくとも1本のスチールフィラメントで構成された裂け目検出インサートを有するコンベアベルトと、(B)ベルトのプーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、(C)ベルトをプーリシステムに沿って駆動する手段と、(D)裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、(E)裂け目検出ワイヤによって生成された磁界を検出する手段とを有するコンベアシステムをさらに開示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】裂け目検出インサートがベルト損傷の影響を受けていない複数の裂け目検出ワイヤを示す本発明の裂け目検出インサートの概略断面図である。
【図2】(ベルト損傷が生じていない)図1に示されている裂け目検出インサートの磁界画像を示す図である。
【図3】裂け目が生じ、裂け目検出ワイヤが裂け目の所で切れた、本発明の裂け目検出インサートの概略断面図である。
【図4】ベルトに損傷が生じ、裂け目検出ワイヤが裂け目の所で切断された後の、図3に示されている裂け目検出インサートの磁界画像を示す図である。図を見ると分かるように、裂け目検出インサートに関連する磁界は2つの異なるサブパネル磁気画像に細分されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のコンベアベルトは、頂部側に荷重支持面を含みかつ底部側にプーリ係合面を含む弾性体(カーカス部)を有する。これらコンベアベルトは、弾性体内に配置された少なくとも1つの補強プライと、複数の裂け目検出インサートも含む。裂け目検出インサートは、コンベアベルトの長さに沿って徐々に大きくなる間隔に配置される。裂け目検出インサートは、ベルトの頂部カバーすなわちプラーカバー内に位置させることができる。
【0025】
弾性体は、通常コンベアベルト内を長手方向に延びる織物のプライまたは補強スチールケーブルを含む。本発明のコンベアベルトは任意に、埋め込みトランスジューサ部材を含む従来の誘導ベルト損傷センサループも含んでよい。この種の従来の裂け目検出システムは、米国特許第4621727号、米国特許第4854446号、および米国特許第6715602号に記載されている。米国特許第4621727号、米国特許第4854446号、および米国特許第6715602号の教示は、本発明に関連して使用することのできる従来の裂け目検出・識別システムを開示するために引用によって本明細書に組み込まれる。
【0026】
図1は、裂け目検出インサートがベルト損傷の影響を受けていない裂け目検出インサート内の複数の裂け目検出ワイヤを示している。このような裂け目検出インサートは、コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置されている。裂け目検出インサートは、強磁性材料などの透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含んでいる。たとえば、裂け目検出ワイヤは、真鍮めっきのスチールタイヤコードであってよい。裂け目検出ワイヤが0.1mmから約0.6mmの範囲内の直径を有するスチールフィラメントであり、フィラメントが0.2mmから0.4mmの範囲内の直径を有すると有利である。また、フィラメントを2本から約12本のフィラメントまたは場合によっては18本のフィラメントを有するワイヤバンドルに巻き取ると有利である。裂け目検出ワイヤは、らせん状ラップを有することも有さないこともある広範囲の様々な構成を有するタイヤコードであってよい。使用できる構成のいくつかの代表的な例には、2x、3x、4x、5x、6x、7x、8x、11x、12x、1+2、1+3、1+4、1+5、1+6、1+7、1+8、2+1、2+2、2+7、2+8、2+9、2+10、3+1、3+2、3+3、および3+9が含まれる。有利なことに本発明を実施するうえで裂け目検出ワイヤとして使用することのできる最大12本のフィラメントを含むスチールタイヤコードのより詳細な説明は、米国特許第6247514号に記載されている。米国特許第6247514号の教示は、最大で12本のフィラメントを含む適切なスチールタイヤコードについて説明するために引用によって本明細書に組み込まれる。
【0027】
裂け目検出ワイヤは通常、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に対して垂直な方向から15°から75°のバイアス角度に揃えられる。裂け目検出ワイヤはより典型的には、裂け目検出インサート内に30°から60°のバイアス角度に揃えられ、好ましくは裂け目検出インサート内に40°から50°のバイアス角度に揃えられる。
【0028】
裂け目検出ワイヤは、ベルトの幅を横切って徐々に大きくなる間隔に配置される。通常、個々の裂け目検出ワイヤがベルトの幅の約70%より長い距離にわたってベルトの幅を横切って延びることはない。たいていの場合、個々の裂け目検出ワイヤがベルトの幅の約50%より長い距離にわたってベルトの幅を横切って延びることはない。より典型的には、個々の裂け目検出ワイヤがベルトの幅の約40%または場合によっては30%より長い距離にわたってベルトの幅を横切って延びることはない。
【0029】
多くの場合、裂け目検出ワイヤは、裂け目検出インサートを貫通して延びる、バイアス角度に垂直なラインに沿った長さが異なり、最も短い裂け目検出ワイヤは、裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約50%未満の長さを有する。通常、最も短い裂け目検出ワイヤは、裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約25%未満の長さを有する。場合によっては、最も短い裂け目検出ワイヤは、裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約10%未満の長さを有する。
【0030】
本発明のベルトに関連して使用されるコンベアシステムは通常、本発明のベルトのプーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、ベルトをプーリシステムに沿って駆動する手段と、裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、裂け目検出ワイヤによって生成された磁界の画像を検出する手段とを含む。磁界の画像は通常、ベルトの幅全体にわたって検出される。裂け目検出パネルの長さを求める場合、タコメータ、近位センサ、またはエンコーダをシステムに組み込むと有利である。
【0031】
本発明を例示するためにある代表的な実施形態および詳細を示したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに実施形態に様々な変更および修正を施せることが明らかになろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトにおいて、(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(2)前記弾性体内に配置された補強プライと、(3)複数の裂け目検出インサートとを含み、前記裂け目検出インサートは、前記コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、前記裂け目検出インサートは、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含み、前記裂け目検出ワイヤは、裂け目検出インサート内にベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、個々の裂け目検出ワイヤは、前記ベルトの幅の約70%より長い距離にわたって前記ベルトの幅を横切って延びることがなく、前記裂け目検出ワイヤは、ベルトの幅を横切って徐々に大きくなる間隔に配置されることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項2】
前記個々の裂け目検出ワイヤは、前記ベルトの幅の約30%より長い距離にわたって前記ベルトの幅を横切って延びることがない、請求項1に記載のコンベアベルト。
【請求項3】
コンベアベルトにおいて、(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(2)前記弾性体内に配置された補強プライと、(3)前記コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、かつ、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含む複数の裂け目検出インサートとを有し、前記裂け目検出ワイヤは、前記裂け目検出インサート内に前記ベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、前記各裂け目検出ワイヤは、前記裂け目検出インサートを貫通して延びる、前記バイアス角度に垂直なラインに沿った長さが異なり、最も短い裂け目検出ワイヤは、前記裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約50%未満である長さを有することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項4】
最も短い裂け目検出ワイヤは、前記裂け目検出インサートにおいて最も長い裂け目検出ワイヤの長さの約25%未満である長さを有することを特徴とする、請求項3に記載のコンベアベルト。
【請求項5】
前記バイアス角度は30°〜50°の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンベアベルト。
【請求項6】
コンベアシステムにおいて、(A)請求項1に記載のコンベアベルトと、(B)前記ベルトの前記プーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、(C)前記ベルトを前記プーリシステムに沿って駆動する手段と、(D)前記裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、(E)前記裂け目検出ワイヤによって生成された磁界を検出する手段とを有するコンベアシステム。
【請求項7】
コンベアベルトがコンベアシステム内を前進するときに前記コンベアベルトの損傷を検出する方法において、前記コンベアベルトが前記コンベアシステム内を前進するときに複数の裂け目検出インサートに関連する磁界の画像が複数のサブパネル磁気画像に細分されるのを監視することを含み、前記コンベアシステムが、(A)請求項1のコンベアベルトと、(B)前記ベルトの前記プーリ係合面を受けるようになっているプーリシステムと、(C)前記ベルトを前記プーリシステムに沿って駆動する手段と、(D)前記裂け目検出ワイヤ内で磁界を生成する手段と、(E)前記裂け目検出インサートに関連する磁界の画像を検出する手段と、(F)前記裂け目検出インサートに関連する磁界が複数のサブパネル磁気画像に細分されるのを監視する手段とを有することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記磁界の前記画像は、前記コンベアベルトの幅全体にわたって延び、複数のサブパネル磁気画像への細分が検出された場合に警報が発せられる、請求項7に記載の、コンベアベルトの損傷を検出する方法。
【請求項9】
コンベアベルトにおいて、(1)荷重支持面およびそれに平行なプーリ係合面を有する弾性体と、(2)前記弾性体内に配置された補強プライと、(3)複数の裂け目検出インサートとを有し、前記裂け目検出インサートは、前記コンベアベルトの長手方向長さに沿って間隔を置いて配置され、前記裂け目検出インサートが、透磁性材料で構成された多数の裂け目検出ワイヤを含み、前記裂け目検出ワイヤは、前記裂け目検出インサート内に前記ベルトの長手方向に垂直な方向から15°〜75°のバイアス角度に揃えられ、前記裂け目検出ワイヤは、0.1mm〜0.6mmの範囲内の直径を有する少なくとも1本のスチールフィラメントで構成されることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項10】
前記裂け目検出ワイヤは、2x、3x、4x、5x、6x、7x、8x、11x、12x、1+2、1+3、1+4、1+5、1+6、1+7、1+8、2+1、2+2、2+7、2+8、2+9、2+10、3+1、3+2、3+3、および3+9から成る群から選択される構成に巻き取られる少なくとも2本のスチールフィラメントで構成される、請求項13に記載のコンベアベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−137993(P2010−137993A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−259588(P2009−259588)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(507375203)ヴェーヤンス テクノロジーズ、 インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Veyance Technologies, Inc.
【Fターム(参考)】