説明

コンベアベルト

【課題】芯材としてアラミド帆布を用い、このアラミド帆布とゴムとが接着して優れた耐久性を達成することができ、このアラミド帆布とカバーゴムとを接着する接着ゴム層を形成するゴム組成物が、良好なトリート作業性、積層加工性、加硫速度を有し、生産性にも優れるコンベアベルト。
【解決手段】カバーゴム層間に、接着ゴム層で被覆されたアラミド帆布が芯体として配設されたコンベアベルトにおいて、前記接着ゴム層が、ゴム成分100質量部に対して、ジメタクリル酸亜鉛を0.5〜3質量部、ネオデカン酸コバルト化合物を1〜10質量部、ステアリン酸コバルトを0.5〜4質量部含有するゴム組成物で形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラミド帆布を芯材として用いたコンベアベルトに関し、更に詳述すると、芯材のアラミド帆布とゴムとの接着性に優れ、良好な耐久性が得られると共に、接着ゴム層を形成するゴム組成物のトリート作業性、積層加工性に優れ、生産性にも優れるコンベアベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアベルトなどのゴム製品の補強材料としてスチールコードが汎用されているが、その際にゴム組成物とスチールコードとの接着性が製品の耐久性に大きく影響する。
【0003】
従来、スチールコードとゴムとを良好に接着させる方策としては、ロジン、有機 酸コバルト塩と有機塩素化合物とを組み合わせてゴムに配合する方法(特許文献1:特開2006−312744号公報)、トリアジン、ジメタクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛のいずれかと有機酸コバルトとを組み合わせてゴムに配合する方法(特許文献2:特開2005−350491号公報)、酸変性ポリマーとジメタクリル酸亜鉛とを組み合わせてゴム成分に配合する方法(特許文献3:特開2006−176580号公報)などが提案されている。
【0004】
一方、アラミド繊維は強力が高いため、補強層として汎用されるナイロンやPETと比較してレスプライ化が可能になることなどから、アラミド帆布をコンベアベルトの芯材として使用することも行われるが、上記従来の技術ではアラミド帆布に対しては必ずしも十分な接着力が得られない。
【0005】
また、アラミド帆布を芯材としたコンベアベルトを製造する際には、ロール等で圧延したゴムと帆布とを貼り合わせるトリート作業を要し、このトリート作業性や積層加工性、加硫速度もコンベアベルトの生産性に大きく影響し、良好なトリート作業性や積層加工性、加硫速度もコンベアベルト用のゴム組成物には重要の性能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−312744号公報
【特許文献2】特開2005−350491号公報
【特許文献3】特開2006−176580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、芯材としてアラミド帆布を用い、このアラミド帆布とゴムとが良好に接着して優れた耐久性を達成することができ、またこのアラミド帆布とカバーゴムとを接着する接着ゴム層を形成するゴム組成物が、良好なトリート作業性、積層加工性、加硫速度を有し、生産性にも優れるコンベアベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、接着ゴム層とアラミド帆布との接着性を向上させる為に接着ゴム層のゴム組成物にジメタクリル酸亜鉛と有機酸コバルトとを添加配合する際に、有機酸コバルトとしてネオデカン酸コバルト化合物とステアリン酸コバルトとを併用すると共に、これらの配合割合を調整することにより、アラミド帆布との接着性を向上させることができると共に、良好なトリート作業性、積層加工性、加硫速度を得ることができ、耐久性に優れるコンベアベルトが生産性よく得られることを見い出し、本発明を完成したものである。
【0009】
従って、
(1)本発明は、カバーゴム層間に、接着ゴム層で被覆されたアラミド帆布が芯体として配設されたコンベアベルトにおいて、前記接着ゴム層が、ゴム成分100質量部に対して、ジメタクリル酸亜鉛を0.5〜3質量部、ネオデカン酸コバルト化合物を1〜10質量部、ステアリン酸コバルトを0.5〜4質量部含有するゴム組成物で形成されていることを特徴とするコンベアベルトを提供する。
【0010】
また、本発明者は、更に検討を重ねた結果、ゴム成分としては天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴムとを所定割合で混合した混合ゴムが好適であること、ネオデカン酸コバルト化合物としてはネオデカン酸コバルト及びネオデカン酸コバルトホウ素化物のいずれか一方又は両方を併用することが好ましいこと、フェノール樹脂、特にヘキサメチレンテトラミンを内部添加したフェノール樹脂、β−ナフトール、ヘキサメトキシメチル化メラミン(硬化剤)などを所定量添加することにより、接着性をより向上させることができることなどを見い出した。
【0011】
従って、本発明は、好適な実施態様として下記(2)〜(8)を提供する。
(2)上記ゴム組成物が、上記ネオデカン酸コバルト化合物として、ネオデカン酸コバルト及びネオデカン酸コバルトホウ素化物のいずれか一方又は両方を含有するものである上記(1)のコンベアベルト。
(3)上記ゴム組成物のゴム成分100質量部中に、天然ゴムを20〜70質量部、合成ゴムを80〜30質量部含有する上記(1)又は(2)のコンベアベルト。
(4)上記合成ゴムが、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)から選ばれる1種又は2種以上である上記(3)のコンベアベルト。
(5)上記ゴム組成物が、フェノール樹脂を、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部含有するものである上記(1)〜(4)のいずれかのコンベアベルト。
(6)上記フェノール樹脂が、ヘキサメチレンテトラミンが内部添加されたものである上記(5)のコンベアベルト。
(7)上記ゴム組成物が、β−ナフトールを、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部含有するものである上記(1)〜(6)のいずれかのコンベアベルト。
(8)上記ゴム組成物が、硬化剤として、ヘキサメトキシメチル化メラミン及び/又はヘキサメチレンテトラミンを、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部含有する(1)〜(7)のいずれかのコンベアベルト。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンベアベルトは、芯材のアラミド帆布とゴムとの接着性に優れ、良好な耐久性を有し、しかも接着ゴム層を形成するゴム組成物が良好なトリート作業性、積層加工性、加硫速度を有し、生産性にも優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例での接着性試験に用いられた試験片を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のコンベアベルトは、上記のように、カバーゴム層間に、接着ゴム層で被覆されたアラミド帆布が芯体として配設されたコンベアベルトであり、前記接着ゴム層を形成するゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、ジメタクリル酸亜鉛を0.5〜3質量部、ネオデカン酸コバルト化合物を1〜10質量部、ステアリン酸コバルトを0.5〜4質量部含有するものである。
【0015】
上記接着ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分としては、コンベアベルトにおいて芯体の接着ゴム層として公知のゴムを用いることができ、例えば天然ゴムあるいは天然ゴムと合成ゴムとを混合して用いることができる。
【0016】
この場合、上記合成ゴムとしては、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物の単独重合体であるポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリクロロプレンゴム等、前記共役ジエン化合物とスチレン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類等のビニル化合物との共重合体であるスチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、ビニルピリジンブタジエンスチレン共重合ゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム、アクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メタアクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メチルアクリレートブタジエン共重合ゴム、メチルメタアクリレートブタジエン共重合ゴム等、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類とジエン化合物との共重合体〔例えばイソブチレンイソプレン共重合ゴム(IIR)〕、オレフィン類と非共役ジエンとの共重合体(EPDM)〔例えばエチレン−プロピレン−シクロペンタジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−へキサジエン三元共重合体〕、シクロオレフィンを開環重合させて得られるポリアルケナマー〔例えばポリペンテナマー〕、オキシラン環の開環重合によって得られるゴム〔例えば硫黄加硫が可能なポリエピクロロヒドリンゴム〕、ポリプロピレンオキシドゴム等が含まれる。また、前記各種ゴムのハロゲン化物、例えば塩素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Cl−IIR)、臭素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Br−IIR)等も含まれる。更に、ノルボルネンの開環重合体も用いることができる。また更に、上述のゴムにエピクロロヒドリンゴム、ポリプロピレンオキシドゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン等の飽和弾性体をブレンドして用いることもできる。なお、合成ゴムとしては、スチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)が好適に使用される。
【0017】
上記天然ゴムと合成ゴムとの配合割合は、特に制限されるものではないが、通常はゴム成分100質量物中に天然ゴム20〜70質量部、合成ゴム80〜30質量部、特に天然ゴム20〜50質量部、合成ゴム80〜50質量部とすることが好ましい。
【0018】
本発明に用いる接着ゴム層のゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対してジメタクリル酸亜鉛を0.5〜3質量部、好ましくは0.5〜2質量部添加する。上記配合量が0.5質量部未満であるとアラミド帆布との十分な接着性が得られず、本発明の目的を達成することができず、一方3質量部を超えると加硫速度が大きく低下する上、ロール作業性が大きく低下して生産性が低下し、やはり本発明の目的を達成し得ない。
【0019】
また、本発明では、上記ジメタクリル酸亜鉛とネオデカン酸コバルト化合物とを併用し、これによりアラミド帆布との接着力をより効果的に向上させるものである。このネオデカン酸コバルト化合物としては、特に制限されるものではないが、ネオデカン酸コバルト又はネオデカン酸コバルトホウ素化物が好ましく用いられ、これらを併用することもできる。この場合、ネオデカン酸コバルトホウ素化物の添加により、上記接着性と共にゴム組成物の加硫速度を向上させることができる。
【0020】
ネオデカン酸コバルト化合物の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部とされ、特にネオデカン酸コバルトを用いる場合には、ゴム成分100質量部に対して2〜6質量部とすることが好ましく、またネオデカン酸コバルトホウ素化物を用いる場合にはゴム成分100質量部に対して1.5〜3.5質量部とすることが好ましく、更にこれらを併用する場合の合計量はゴム成分100質量部に対して1.5〜5質量部とすることが好ましい。なお、ネオデカン酸コバルト化合物の添加量が1質量部未満であると、十分な接着性能が得られない結果となり、一方10質量部を超えると、熱老化、耐水接着性の低下やコスト高、ロール作業性の低下などの不都合を生じる場合があり、いずれも好ましくない。
【0021】
次に、本発明では、上記ネオデカン酸コバルト化合物と共にステアリン酸コバルトを配合する。これにより組成物の粘着性を適正に調整して、積層加工性を低下させることなくトリート作業性やロール作業性を向上させることができる。この場合、ステアリン酸コバルトの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部とされ、好ましくは0.5〜2質量部である。配合量が0.5質量部未満であると、添加によるトリート作業性及びロール作業性向上効果が十分に得られない場合があり、一方3質量部を超えると接着性の低下を招いたり、カバーゴムの積層工程でのゴムタックが低下して積層加工性が低下する場合がある。なお、ここでいう「ロール加工性」とは、ゴム組成物を混練した後に圧延ロールに通して所定の厚さ,幅の帯状ゴムとする際の加工性をいう。
【0022】
本発明で接着ゴム層として用いる上記ゴム組成物には、上記接着性の更なる向上を目的としてフェノール樹脂を適量配合することができる。この場合、フェノール樹脂としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられ、特にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が好ましく用いられる。また、フェノール樹脂は、100%フェノール樹脂の他、天然樹脂変性フェノール樹脂、油変性フェノール樹脂などを用いることもできる。ここで、特に制限されるものではないが、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)、ヘキサメトキシメチル化メラミン(HMMM)などが内部添加されたものが上記接着性をより向上させることから好適に用いられ、特にヘキサメチレンテトラミンが内部添加されたフェノール樹脂が好ましく用いられる。
【0023】
これらフェノール樹脂の配合量は、特に制限されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して、1〜10質量部、特に1〜5質量部とすることが好ましい。この場合、配合量が1質量部未満であると添加による十分な効果が得られない場合があり、10質量部を超えると、ゴムの物性低下やゴム練り時の練り機への密着、ロール作業性の低下、コスト高などの点で好ましくない場合がある。なお、このフェノール樹脂は2種以上を併用することもできる。
【0024】
また、接着力の更なる向上を目的として、レゾルシン等の水酸基を含有する単環系の芳香族化合物やβ−ナフトール等の水酸基を含有する多環系の芳香族化合物を配合することができ、特に、β−ナフトールが好適に使用される。このβ−ナフトールやレゾルシンの配合量は、特に制限されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して、1〜10質量部、特に1〜5質量部である。配合量が1質量部未満であると添加による十分な効果が得られない場合があり、一方10質量部を超えるとゴム物性の低下を生じたり、経済的に好ましくない場合がある。なお、β−ナフトールは後述する硬化剤のヘキサメトキシメチル化メラミン及び/又はヘキサメチレンテトラミンと併用することが好ましい。
【0025】
更に、接着力の向上を目的として、硬化剤を配合することができる。この硬化剤としては、メチレン供与体が挙げられ、ヘキサメチレンテトラミンやメチロール化メラミン誘導体が好ましく用いられ、メチロール化メラミン誘導体としては、例えば、ヘキサメチロール化メラミン、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサエトキシメチル化メラミン、N,N’,N”−トリメチル−N,N’,N”−トリメチロール化メラミン、N,N’,N”−トリメチロール化メラミン、N−メチロール化メラミン、N,N’−ジ(メトキシメチル)化メラミン、N,N’,N”−トリブチル−N,N’,N”−トリメチロール化メラミンなどが挙げられる。これらの中でも特にヘキサメトキシメチル化メラミン及び/又はヘキサメチレンテトラミンが好ましく用いられる。なお、このヘキサメトキシメチル化メラミン及び/又はヘキサメチレンテトラミンは、上記β−ナフトールと併用することが好ましい。
【0026】
硬化剤の配合量は、特に制限されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部、特に1〜7質量部とすることが好ましい。配合量が1質量部未満であると添加による効果が十分に得られない場合があり、一方10質量部を超えるとゴム物性の低下を生じたり、経済的に好ましくない場合がある。
【0027】
このゴム組成物には、通常、硫黄、有機硫黄化合物、その他の加硫剤が用いられ、特に制限されるものではないが、通常、ゴム成分100質量部に対して、1〜10質量部、好ましくは2〜5質量部の加硫剤が配合される。また、特に制限されるものではないが、これら加硫剤と共に亜鉛華、ステアリン酸などの加硫促進助剤を、ゴム成分100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部配合することができる。
【0028】
更に、このゴム組成物には、例えば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイル、エチレン−α−オレフィンのコオリゴマー、パラフィンワックス、流動パラフィンなどの鉱物油、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油などの植物油等のオイルも配合することもでき、特に芳香族系プロセスオイル(アロマオイル)が好ましく用いられる。その配合量は、特に制限されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して、1〜10質量部、好ましくは2〜7質量部配合することができる。更に、目的、用途などに応じてカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、クレイ、マイカなどの充填剤を適量添加してゴム組成物を調製することもでき、特にカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0029】
なお、このゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて、各種のゴム用添加剤を配合することができる。例えば、スルフェンアミド系などの加硫促進剤、老化防止剤、ワックス類、酸化防止剤、発泡剤、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤などを適宜含有させることができる。
【0030】
このゴム組成物は、アラミド帆布上に配置密着させ、加硫することによりアラミド帆布と良好に接着することができ、例えば、アラミド帆布をこのゴム組成物のシートでサンドイッチし、ゴム組成物を加熱圧着して加硫接着することにより、アラミド帆布にゴム組成物を接着及び被覆して本発明コンベアベルトの芯体を形成することができる。この場合、加硫条件は加硫剤や加硫促進剤の種類などに応じて適宜選定され、例えば硫黄加硫の場合には135〜180℃で10〜100分の条件とすることができる。
【0031】
本発明のコンベアベルトは、上記ゴム組成物からなる接着ゴム層で亜鉛めっきスチールコードを被覆した芯体をカバーゴム層間に配置接着させたものとされる。この場合、アラミド帆布やカバーゴム層のゴム組成などは、コンベアベルトの用途などに応じて適宜選定することができ公知のものを用いることができる。
【0032】
例えば、アラミド帆布としては、特に制限されるものではないが、芳香族アラミド繊維体の表面にエポキシ樹脂層を形成し、そのエポキシ樹脂層をレゾルシンホルマリンラテックス(RFL)処理したもの(特許第3304515号)などが好ましく用いられる。
【0033】
また、カバーゴム層としては、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等のポリマーの1種又は2種以上を混合したもの、又はニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等にカーボン、オイルを混ぜ硫黄加硫もしくはパーオキサイド加硫するゴムなどを主体とした公知の組成のゴム組成物を用いることができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例,比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において部及び%は質量部及び質量%を示す。
【0035】
[実施例1〜5、比較例1〜23]
下記表1及び2に示す配合のゴム組成物を調製し、下記方法により亜鉛めっきスチールコードとの接着力、加硫速度、ロール加工性、積層加工性を評価した。結果を表1及び2に示す。
【0036】
なお、表1,2中に示された各成分の詳細は下記の通りである。
・天然ゴム:RSS#3
・スチレン−ブタジエンゴム:SBR1500(乳化重合法SBR、JSR社製)
・カーボンブラック:旭カーボン(株)「#70」
・老化防止剤:住友化学社(株)「ANTIGENE 6C」
・アロマオイル:出光興産(株)「ダイアナプロセスオイル AH−85」
・硫黄:鶴見化学工業(株)「Z硫黄」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)「ノクセラー NS−F」
・亜鉛華:東邦亜鉛株式会社「銀嶺SR」
・ジメタクリル酸亜鉛:川口化学工業(株)「アクター ZMA」
・ネオデカン酸コバルト:DIC(株)「バーサチック酸コバルト」
・ネオデカン酸コバルトホウ素化物:DIC(株)「DICNATE NBC−II」
・ナフテン酸コバルト:DIC(株)「ナフテン酸コバルト」
・ステアリン酸コバルト:DIC(株)「ステアリン酸コバルト」
・ステアリン酸:花王(株)「LUNAC RA」
・不飽和脂肪酸亜鉛:川口化学工業(株)「EXTON L2」
・フェノール樹脂−1:住友ベークライト(株)「スミライトレジン PR−50235」
・フェノール樹脂−2(ヘキサメチレンテトラミン内部添加型):住友ベークライト(株)「スミライトレジン PR−12687」
・β−ナフトール:三井化学ファイン(株)「2−ナフトール」
・ヘキサメトキシメチル化メラミン:日本サイテックインダストリー「CYREZ964RPC」
【0037】
(1)接着性試験
a.試験片の作製
表1,2に示された各成分を配合し、バンバリーミキサーを用いて混練してゴム組成物を得た。得られた各ゴム組成物のシート(厚さ15mm)を作製し、一対のシート間にアラミド帆布をグリセロールポリグリシジルエーテルでエポキシ処理し、更にRFL処理したもの)を挟み込んで170℃,40分の条件で加圧加硫を行い、試験片を作製した。なお、上記アラミド帆布としては、PPTAを用いたアラミドコード(東レ・デュポン社製、直径2.1mm、構造:3000D/1/3/3)をグリセロールポリグリシジルエーテルでエポキシ処理し、更にRFL処理したものを用いた。
b.耐湿熱接着力
上記試験片を40℃、湿度100%RHの条件下に21日間放置した後、試験片からアラミド帆布を引き抜き、引き抜き力を測定した。この場合、引き抜き試験はDIN22131に準拠して行った。評価は表1の比較例4の引き抜き力を100として指数化した。数値が高いほど接着力が大きく良好であることを示す。
【0038】
(2)加硫速度
JIS K6300−2に規定の方法により、155℃、Tc(90)の値を測定した。測定には日合商事(株)製の「キャラストメーターW型」を用い、比較例4の測定値を100として、Tc(90)の値が小さいほど数値が大きくなるようにIndex表示した。
【0039】
(3)トリート作業性
ゴムを1mm厚に圧延するように3本カレンダーをゲージ調整し、裏面からアラミド帆布(厚さ0.8mm、ナイロン製)を投入しながらゴムの圧延作業を行い、帆布をカレンダーから引き出して片面にゴムが被覆された帆布を排出する。このときの作業性をトリート作業性として評価した。評価は、良好◎、可○、不良×の三段階とした。
【0040】
(4)積層加工性
図1に示した未加硫ゴム積層体を試料として作製した。試料の作製は、まず下記組成のカバーゴム組成物をバンバリーミキサーで混練して調製し、このカバーゴム組成物で厚さ4mmのカバーゴム層1,1を作製し、表1及び表2に示した各ゴム組成物で形成された厚さ2mmの接着ゴム層2,2間にアラミド帆布3を挟み、更にこれを一対の上記カバーゴム層1,1で挟んで、ハンドローラーにより圧着させた。
(カバーゴム組成)
天然ゴム(RSS#3) 70質量部
スチレンブタジエンゴム(SBR1500、JSR社製) 30質量部
HAFカーボン 55質量部
ステアリン酸(花王(株)「LUNAC RA」) 3質量部
ZnO 3質量部
ワックス(大内新興化学工業「サンノックN」) 2質量部
老化防止剤RD(川口化学「アンテージRD」) 0.5質量部
老化防止剤6C(川口化学「アンテージ6C」) 0.5質量部
アロマオイル(出光興産(株)「ダイアナプロセスオイル AH−85」) 5質量部
硫黄 2質量部
加硫促進剤(大内新興化学工業(株)「ノクセラー NS−F」) 0.7質量部
得られた各試料をカバーゴム層/接着ゴム層間で強制的に剥がし、良好○、可△、不良×として接着性を評価した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
表1,2の通り、本発明のコンベアベルトは、芯材のアラミド帆布とゴムとの接着性に優れ、しかも接着ゴム層を形成するゴム組成物が良好なトリート作業性、積層加工性、加硫速度を有し、生産性にも優れるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 カバーゴム層
2 接着ゴム層
3 アラミド帆布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーゴム層間に、接着ゴム層で被覆されたアラミド帆布が芯体として配設されたコンベアベルトにおいて、
前記接着ゴム層が、ゴム成分100質量部に対して、ジメタクリル酸亜鉛を0.5〜3質量部、ネオデカン酸コバルト化合物を1〜10質量部、ステアリン酸コバルトを0.5〜4質量部含有するゴム組成物で形成されていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項2】
上記ゴム組成物が、上記ネオデカン酸コバルト化合物として、ネオデカン酸コバルト及びネオデカン酸コバルトホウ素化物のいずれか一方又は両方を含有するものである請求項1記載のコンベアベルト。
【請求項3】
上記ゴム組成物のゴム成分100質量部中に、天然ゴムを20〜70質量部、合成ゴムを80〜30質量部含有する請求項1又は2記載のコンベアベルト。
【請求項4】
上記合成ゴムが、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)から選ばれる1種又は2種以上である請求項3記載のコンベアベルト。
【請求項5】
上記ゴム組成物が、フェノール樹脂を、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部含有するものである請求項1〜4のいずれか1項記載のコンベアベルト。
【請求項6】
上記フェノール樹脂が、ヘキサメチレンテトラミンが内部添加されたものである請求項5記載のコンベアベルト。
【請求項7】
上記ゴム組成物が、β−ナフトールを、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部含有するものである請求項1〜6のいずれか1項記載のコンベアベルト。
【請求項8】
上記ゴム組成物が、硬化剤として、ヘキサメトキシメチル化メラミン及び/又はヘキサメチレンテトラミンを、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部含有する請求項1〜7のいずれか1項記載のコンベアベルト。

【図1】
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【公開番号】特開2011−57376(P2011−57376A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208767(P2009−208767)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】