コンベヤベルト
【課題】 ワイヤの端縁によるリンクとロッドとの溶接部の損傷の虞が少ないコンベヤベルトを提供する。
【解決手段】 コンベヤベルト1は、第1ロッド11に対して回動自在及び進行方向(図の左方向)に移動自在に係合すると共に、第1ロッド11の後方側(図の右側)に隣接する第2ロッド12の両端部に固定されるリンク21と、第1ロッド11及び第2ロッド12に螺旋状に架け渡されたワイヤ31とを備えている。尚、リンク21の内方面(図の上側の面)と第2ロッド12との間には、溶接によって前方側(図の左側)に余盛17aが形成されている。そして、ワイヤ31の両端部の端縁65は、後方側に位置するように形成されている。従って、コンベヤベルト1の回転移動等によってワイヤ31の端縁65が余盛17aに接触する虞が無い。そのため、余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト1の信頼性が向上する。
【解決手段】 コンベヤベルト1は、第1ロッド11に対して回動自在及び進行方向(図の左方向)に移動自在に係合すると共に、第1ロッド11の後方側(図の右側)に隣接する第2ロッド12の両端部に固定されるリンク21と、第1ロッド11及び第2ロッド12に螺旋状に架け渡されたワイヤ31とを備えている。尚、リンク21の内方面(図の上側の面)と第2ロッド12との間には、溶接によって前方側(図の左側)に余盛17aが形成されている。そして、ワイヤ31の両端部の端縁65は、後方側に位置するように形成されている。従って、コンベヤベルト1の回転移動等によってワイヤ31の端縁65が余盛17aに接触する虞が無い。そのため、余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト1の信頼性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンベヤベルトに関し、特に、隣接するロッドに螺旋状に架け渡されたワイヤによって支持面が主に構成されるコンベヤベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
螺旋状に形成されたワイヤによって支持面が主に構成されたコンベヤベルトは、例えば食品等を冷凍させるための冷凍機において使用されている。
【0003】
図14は従来のコンベヤベルトを備える冷凍機を示す一部破断状態の概略斜視図である。
【0004】
図を参照して、冷凍機70は、搬入口86及び搬出口87が形成された直方体形状の断熱体71と、断熱体71内に設置された、主軸72に取り付けられた円筒状のドラム73と、ドラム73の周りにレール74を介して螺旋状に配置されたコンベヤベルト80と、断熱体71内の温度を所定の低温に保持するためのクーラー75とから主に構成されている。
【0005】
ドラム73の外周部には、複数の四角筒形状の樹脂パイプ76が等間隔に配置されている。又、コンベヤベルト80は、その内縁がドラム73を構成する樹脂パイプ76の各々と接しながら螺旋状に配置されると共に、補助駆動用スプロケット78や複数のプーリー79によって、所謂無端ベルトとなるように形成されている。
【0006】
そして、主軸72の下方端に取り付けられた駆動用スプロケット77を、駆動用スプロケット77に接続された図示しない駆動装置を駆動して回転させる。すると、ドラム73が平面視で反時計回りに回転し、樹脂パイプ76の各々とコンベヤベルト80の内縁との摩擦によって、コンベヤベルト80が図の矢印で示すように移動する。尚、補助駆動用スプロケット78はあくまで補助的にコンベヤベルト80を移動させるものであり、コンベヤベルト80の移動速度を調整するためのものである。従って、基本的にはコンベヤベルト80はドラム73の樹脂パイプ76との摩擦力によってのみ回転移動する。従って、ドラム73は先行してコンベヤベルト80を引張るように回転するため、螺旋状部分のコンベヤベルト80の回転はドラム73の回転より若干遅れることになる。
【0007】
このような冷凍機70においては、コンベヤベルト80が螺旋状に設置されているため、限られた断熱体71内のスペースに対して長いコンベヤベルト80を設置することが出来る。従って、断熱体71内のスペースを有効に利用することが出来る。
【0008】
次に、コンベヤベルト80の構造について説明する。
【0009】
図15は図14で示したコンベヤベルトの部分平面図である。
【0010】
図を参照して、コンベヤベルト80は、進行方向(図の上方向)に対して交差する方向に配置された複数のロッド10と、ロッド10の各々の両端に取り付けられた複数の一対のリンク20a、20bと、ロッド10間を螺旋状に架け渡すように形成されたワイヤ60とを備えている。尚、ドラム73の樹脂パイプ76は、四角柱形状の金属製角材89の外縁に沿うように取り付けられている。
【0011】
次に、コンベヤベルト80の詳細な構造について説明する。
【0012】
図16は図15で示したコンベヤベルトの詳細平面図であり、図17は図16で示したXVII−XVIIラインから見た図であり、図18は図16で示したXVIII−XVIIIラインの断面図である。
【0013】
これらの図を参照して、図15で示した複数のロッドの一つである第1ロッド11に対して進行方向(図16の左方向)における後方側(図16の右側)には第2ロッド12が隣接して配置されている。更に、進行方向における前方側(図16の左側)には前方ロッド13が隣接して配置されている。尚、第1ロッド11、第2ロッド12及び前方ロッド13の各々は、進行方向に対して交差する直交方向に等間隔で配置されている。
【0014】
第2ロッド12の両端には、一対の平面視U字形状のリンク21(一部図示せず)が溶接によって第2ロッド12に固定されている。リンク21は、その側部の各々の後方側に図示しない貫通穴が形成されており、貫通穴の各々に第2ロッド12が挿通されていると共に、第2ロッド12の端部にはヘッダ15が熱間加工又は溶接で取り付けられている。従って、第2ロッド12はリンク21に対して抜け止め状態となる。更に、リンク21の内方面(図16の上側の面)と第2ロッド12との間及びリンク21の外方面(図16の下側の面)と第2ロッド12のヘッダ15との間の各々の前方側の一部が溶接されている。この溶接部には、余盛17a、17bが形成されている。
【0015】
又、リンク21の側部の各々の前方側には、進行方向に延びる長穴25a、25bが形成されている。そして、第2ロッド12の前方側に位置する第1ロッド11は、リンク22の貫通穴のみならずリンク21の長穴25a、25bにも挿通されている。従って、図17の矢印で示すように、リンク21は長穴25a、25bによって第1ロッド11に対して回動自在及び進行方向に移動自在に係合することになる。そして、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、リンク21と同様に構成された前方リンク22が取り付けられている。
【0016】
又、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すようにワイヤ61が取り付けられている。ワイヤ61の両端部の各々はリンク21の近傍(余盛17aの近傍)に位置すると共に、第2ロッド12に巻き付くように係合しており、その端縁65が前方側に位置している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ61と同様に構成された前方ワイヤ62が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ62の両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように係合している。そして、ワイヤ61は、前方ワイヤ62に対して、各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。このように、ワイヤ61及び前方ワイヤ62は、図16で示す平面視において進行方向を上にして見た時に、所謂M型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0017】
コンベヤベルト80はこのように構成されているため、第1ロッド11、第2ロッド12及び前方ロッド13の各々のピッチを軸方向の位置に応じて変更することによって、図15で示すような水平方向のカーブに対応して変形することが出来る。又、第1ロッド11に対してリンク21が、更に前方ロッド13に対して前方リンク22が垂直方向に回動することによって、図14で示すような補助駆動用スプロケット78部分の垂直方向のカーブにも対応して変形することが出来る。
【0018】
図19は図14で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【0019】
図を参照して、補助駆動用スプロケット78がコンベヤベルト80の図示しないリンクに係合することによって、コンベヤベルト80の姿勢が水平状態から垂直状態へと変更されている。そして、第2ロッド12の前方側に位置する第1ロッド11が下方側に移動すると、第1ロッド11によって図示しないリンクとワイヤ61とが第2ロッド12の軸を中心として回転すると共に、リンクに固定された第2ロッド12も同時に回転する。この時、ワイヤ61の両端部は第2ロッド12に係合しているため、ワイヤ61の端縁65が余盛17上に位置したままコンベヤベルト80が垂直方向に回転することになる。
【0020】
又、ワイヤ61の両端部は第1ロッド11に対して後方側に位置する第2ロッド12に巻き付くように係合していると共に、第1ロッド11に対しては架け渡された状態のみで係合している。従って、ワイヤ61は第1ロッド11に対して前方側にのみ移動自在となる。そのため、進行方向に隣接する第1ロッド11と第2ロッド12とのピッチが狭くなった状態では、ワイヤ61の前方部分66が第1ロッド11を超えて前方側に突出する。そして、このような状態でスプロケット78上を回転することになる。従って、例えば補助駆動用スプロケット78の前方側にコンベヤベルト80によって搬送された製品を移送させるためのプレート85が設置されているような構造においては、ワイヤ61の前方部分66がプレート85に接触してしまう虞がある。
【0021】
このような問題を解決するために、異なる形状のワイヤ61で構成されるコンベヤベルト80も製造されている。
【0022】
図20はこのような従来の他のコンベヤベルトを示す平面図であって、図16に相当するものであり、図21は図20で示したXXI−XXIラインの断面図である。
【0023】
尚、このコンベヤベルト81は、ワイヤ63及び前方ワイヤ64の形状以外は、図16で示したコンベヤベルトと同一構造である。従って、ワイヤ63及び前方ワイヤ64の形状についてのみ詳細に説明する。
【0024】
ワイヤ63は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられている点は先の図16で示したものと同一であるが、その端縁65の位置が異なる。即ち、ワイヤ63の両端部の各々は前方リンク22の近傍に位置すると共に、第1ロッド11に巻き付くように係合しており、その端縁65が前方側に位置している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ63と同様に構成された前方ワイヤ64が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ64の両端部の各々は前方ロッド13に巻き付くように係合している。そして、ワイヤ63は、前方ワイヤ64に対して、各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。従って、ワイヤ63及び前方ワイヤ64は、図20で示す平面視において進行方向を上にして見た時に、所謂W型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0025】
図22は図20で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【0026】
図を参照して、コンベヤベルト81は、図19で示したコンベヤベルト80と同様に、補助駆動用スプロケット78によって水平状態から垂直状態へと、その姿勢が変更されている。そして、第1ロッド11の前方側に位置する前方ロッド13が下方側に移動すると、前方ロッド13によって図示しない前方リンクと前方ワイヤ64とが第1ロッド11の軸を中心として回転すると共に、前方リンクに固定された第1ロッド11も同時に回転する。この時、前方ワイヤ64の後方側に位置するワイヤ63及び第2ロッド12はその姿勢が変更しない。即ち、ワイヤ63に対して第1ロッド11が先行して回転することになる。従って、ワイヤ63の両端部と両端部が位置する第1ロッド11とが相対的にずれた状態で回転する。即ち、ワイヤ63の端縁65が余盛17とずれた状態でコンベヤベルト80が垂直方向に回転することになる。
【0027】
又、ワイヤ63の両端部は第2ロッド12に対して前方側に位置する第1ロッド11に巻き付くように係合していると共に、第2ロッド12に対しては架け渡された状態のみで係合している。従って、ワイヤ63は第2ロッド12に対して後方側にのみ移動自在となる。そのため、進行方向に隣接する第1ロッド11と第2ロッド12とのピッチが狭くなった状態では、ワイヤ63の前方部分66は第1ロッド11を超えず、ワイヤ63の後方部分67は第2ロッド12を超えて後方側に突出する。そして、このような状態で補助駆動用スプロケット78上を回転することになる。従って、M型形状のワイヤと異なり、補助駆動用スプロケット78の前方側にプレート85が設置されているような構造であっても、ワイヤ63の前方部分66がプレート85に接触する虞が無い。
又、このようなW型形状のワイヤ63を備えると共に、ワイヤ63の両端部の形状が前方側に延びる楕円形状に形成されたコンベヤベルトが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特許第2664640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
上記のような図20で示したW型形状のワイヤを備えるコンベヤベルトにおいては、上述した通り、補助駆動用スプロケット等の回転部分でワイヤの端縁と余盛とが接触した状態でこれらが相対的に回転する。即ち、ワイヤの端縁が余盛を削り取るように接触するため、コンベヤベルトの耐久性に問題があった。又、ロッドが進行方向に引っ張られた状態においては、ワイヤの端縁と余盛とが強く接触することになるため、更にコンベヤベルトの耐久性に問題が生じていた。
【0030】
一方、図15で示したM型形状のワイヤを備えるコンベヤベルトにおいては、ワイヤの端縁と余盛とが接触した状態でこれらが同時に回転する。従って、ワイヤの端縁が余盛を削り取るように接触する虞が低減するが、水平方向の回転等、コンベヤベルトの姿勢によってはワイヤの端縁が余盛に接触する虞がある。更に、上述した通りM型形状のワイヤを備えるコンベヤベルトにあっては、垂直方向の回転時にワイヤの先端部分が前方に突出してしまうという問題があった。
【0031】
又、特許文献1で開示されたコンベヤベルトにおいては、W型形状のワイヤを備えると共に、その形状によってワイヤの端縁と余盛とを常に非接触状態にするものであるが、ロッドの回転に十分対応したものではない。
【0032】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ワイヤの端縁によるリンクとロッドとの溶接部の損傷の虞が少ないコンベヤベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、コンベヤベルトであって、進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第1ロッドに対して進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、第1ロッド及び第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部がリンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと第1ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、ワイヤは、前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、両端部は第1ロッド及び第2ロッドの一方に係合し、リンクの内方面と第2ロッドとの間及び前方リンクの内方面と第1ロッドの間の各々の一部には、溶接による溶接部が形成され、ワイヤの端縁はリンク及び前方リンクの溶接部の形成されていない箇所に位置するものである。
【0034】
このように構成すると、ワイヤの端縁が溶接部に接触する虞が低減する。
【0035】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、ワイヤの両端部は、第1ロッドに係合し、ワイヤの端縁は、第1ロッドの軸中心の回転により移動する溶接部に接触しない位置に配置されるものである。
【0036】
このように構成すると、第1ロッドの回転に関わらず、ワイヤの端縁は溶接部に接触しない。
【0037】
請求項3記載の発明は、コンベヤベルトであって、進行方向に対して交差する方向に等間隔で配置された複数のロッドと、ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第1ロッドに対して進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、第1ロッド及び第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部がリンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと第1ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、ワイヤは、前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、両端部は第1ロッド及び第2ロッドの一方に係合し、リンクの内方面と第2ロッドとの間及び前方リンクの内方面と第1ロッドの間の各々の一部には、溶接による溶接部が形成され、ワイヤにおけるリンクの少なくとも一方側の外方部分を除いた中央部分は均等な大きさに巻回され、外方部分の巻回の程度は中央部分に比べて大きいものである。
【0038】
このように構成すると、ワイヤが第1ロッドに引張られても、端縁は溶接部に強く押圧されない。
【0039】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、ワイヤの両端部は、第2ロッドに係合し、ワイヤの外方部分の巻回の程度が中央部分に比べて前方方向にのみ大きいものである。
【0040】
このように構成すると、第1ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和される。
【0041】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、ワイヤの両端部は、第1ロッドに係合し、ワイヤの外方部分の巻回の程度が中央部分に比べて後方方向にのみ大きいものである。
【0042】
このように構成すると、第2ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和される。
【0043】
請求項6記載の発明は、コンベヤベルトであって、進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第1ロッドに対して進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、第1ロッド及び第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部がリンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと第1ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられると共に、第2ロッドに対して後方に隣接する後方ロッドと第2ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された後方リンク及び後方ワイヤが取付けられ、ワイヤは、前方ワイヤ及び後方ワイヤに対して、少なくとも一方端部を除いてそれぞれが架け渡される共通の第1ロッド及び第2ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、両端部は第1ロッド及び第2ロッドの一方に係合し、リンクの内方面と第2ロッドとの間及び前方リンクの内方面と第1ロッドの間の各々の一部には、溶接による溶接部が形成され、ワイヤの一方端部の端縁は、隣接する前方ワイヤ及び後方ワイヤの一方に対して内方側に位置するものである。
【0044】
このように構成すると、ワイヤの端縁は溶接部側に位置しない。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、ワイヤの端縁が溶接部に接触する虞が低減するため、溶接部の損傷が無く、コンベヤベルトの信頼性が向上する。
【0046】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1ロッドの回転に関わらず、ワイヤの端縁は溶接部に接触しないため、コンベヤベルトの移動姿勢によらず、コンベヤベルトの信頼性がより向上する。
【0047】
請求項3記載の発明は、ワイヤが第1ロッドに引張られても、端縁は溶接部に強く押圧されないため、溶接部の損傷が無く、コンベヤベルトの信頼性が向上する。
【0048】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第1ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和されるため、コンベヤベルトのレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0049】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第2ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和されるため、コンベヤベルトのレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0050】
請求項6記載の発明は、ワイヤの端縁は溶接部側に位置しないため、溶接部の損傷が無く、コンベヤベルトの信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるコンベヤベルトの平面図である。
【図2】図1で示したコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインからみた図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【図5】図2で示したV−Vラインの断面図である。
【図6】コンベヤベルトの垂直状態の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図1で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図15で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【図7】この発明の第2の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【図9】コンベヤベルトの垂直状態の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図7で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図20で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【図10】この発明の第3の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図11】この発明の第4の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図12】この発明の第5の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図13】この発明の第6の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図14】従来のコンベヤベルトを備える冷凍機を示す一部破断状態の概略斜視図である。
【図15】図14で示したコンベヤベルトの部分平面図である。
【図16】図15で示したコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図17】図16で示したXVII−XVIIラインから見た図である。
【図18】図16で示したXVIII−XVIIIラインの断面図である。
【図19】図14で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【図20】従来の他のコンベヤベルトを示す平面図である。
【図21】図20で示したXXI−XXIラインの断面図である。
【図22】図20で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1はこの発明の第1の実施の形態によるコンベヤベルトの平面図であって、従来例の図15に相当する図であり、図2は図1で示したコンベヤベルトの詳細平面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインからみた図であり、図4は図2で示したIV−IVラインの断面図であり、図5は図2で示したV−Vラインの断面図である。
【0053】
これらの図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト1は、例えばステンレス鋼により形成され、その各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図15で示した従来のコンベヤベルト80と同様であるが、ワイヤ31及び前方ワイヤ41の両端部の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0054】
ワイヤ31は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられている。ワイヤ31の両端部の各々は第2ロッド12に巻き付くように係合している。そして、図4の二点鎖線で示すように、ワイヤ31の両端部は第2ロッド12に対して(1+1/4)周分巻き付けられているため、その端縁65が後方側に位置している。即ち、ワイヤ31の端縁65が余盛17aの形成されていない箇所に位置している。
【0055】
又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ31と同様に構成された前方ワイヤ41が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ41の両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように、且つその端縁が後方側に位置するように係合している。そして、ワイヤ31は、前方ワイヤ41に対して各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。従って、ワイヤ31及び前方ワイヤ41は、M型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0056】
次に、このようなワイヤ31及び前方ワイヤ41を備えるコンベヤベルト1の効果について説明する。
【0057】
図6はコンベヤベルトの垂直方向の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図1で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図15で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【0058】
まず(1)を参照して、コンベヤベルト1においては、上述した通りワイヤ31の端縁65が余盛17の形成されていない箇所に位置している。従って、図の矢印で示すようにロッド12が水平方向に引っ張られるような状態においては、ワイヤ31の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。更に、図の矢印で示すようにワイヤ31が垂直方向に回転した場合であっても、上述した通りワイヤ31の端縁65とロッド12とは同期して回転するため、ワイヤ31の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。そのため、ワイヤ31の端縁65による余盛17の損傷が無くなるので、コンベヤベルト1の信頼性が向上する。
【0059】
次に(2)を参照して、従来のコンベヤベルト80においては、ワイヤ60の端縁65がロッド11上の余盛17の近傍に位置している。従って、ワイヤ60の端縁65とロッド11とは同時に回転するものの、例えばロッド11間のピッチが狭くなった状態等、コンベヤベルト80の移動姿勢によっては、ワイヤ60の端縁65が余盛17に接触し、余盛17が削り取られてしまう可能性がある。従って、(1)で示したコンベヤベルト1に比べて信頼性の低いコンベヤベルト80となる。
【0060】
図7はこの発明の第2の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【0061】
これらの図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト2の各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図20で示した従来のコンベヤベルト81と同様であるが、ワイヤ32及び前方ワイヤ42の両端部の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0062】
ワイヤ32は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられている。ワイヤ32の両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように係合している。そして、図8の二点鎖線で示すように、ワイヤ32の両端部は第1ロッド11に対して(1+3/4)周分巻き付けられているため、その端縁65が後方側に位置している。即ち、ワイヤ32の端縁65が余盛17aの形成されていない箇所に位置している。
【0063】
又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ32と同様に構成された前方ワイヤ42が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ42の両端部の各々は前方ロッド13に巻き付くように、且つその端縁が後方側に位置するように係合している。そして、ワイヤ32は、前方ワイヤ42に対して各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。従って、ワイヤ32及び前方ワイヤ42は、W型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0064】
次に、このようなワイヤ32及び前方ワイヤ42を備えるコンベヤベルト2の効果について説明する。
【0065】
図9はコンベヤベルトの垂直方向の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図7で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図20で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【0066】
まず(1)を参照して、コンベヤベルト2においては、上述した通りワイヤ32の端縁65が余盛17の形成されていない箇所に位置している。従って、ロッド11が水平方向に引っ張られるような状態においては、ワイヤ32の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。そのため、このような状態においてワイヤ32の端縁65による余盛17の損傷が無くなるので、コンベヤベルト2の信頼性が向上する。
【0067】
又、前方ワイヤ42が図の矢印で示すように垂直方向に回転した場合であっても、ワイヤ32の端縁65とロッド11上の余盛17とが接触しない位置となるように形成されている。従って、ロッド11の回転に関わらず、ワイヤ32の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。従って、コンベヤベルト2の垂直方向の回転時、又は上述した水平方向への移動等の移動姿勢によらず、コンベヤベルト2の信頼性がより向上する。
【0068】
次に(2)を参照して、従来のコンベヤベルト81においては、ワイヤ63の端縁65がロッド11上の余盛17の近傍に位置している。そして、ワイヤ63の端縁65とロッド11とは相対的に回転するため、ワイヤ63の端縁65が余盛17に接触し、余盛17が削り取られてしまう。従って、(1)で示したコンベヤベルト2に比べて信頼性の低いコンベヤベルト81となる。
【0069】
図10はこの発明の第3の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0070】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト3の各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図16で示した従来のコンベヤベルト80と同様であるが、ワイヤ33及び前方ワイヤ43の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0071】
ワイヤ33は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部の各々は第2ロッド12に巻き付くように係合している。そして、螺旋状のワイヤ33の外方部分55は、均等な大きさに巻回されたワイヤ33の中央部分56より前方方向に長さX(2〜3mm程度)だけ大きくなるように巻回されている。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ33と同様に構成された前方ワイヤ43が取り付けられており、ワイヤ33及び前方ワイヤ43はM型のワイヤ形状に形成されている。
【0072】
従って、図の矢印で示すようにコンベヤベルト3が移動することによって、ワイヤ33が第1ロッド11に引張られても、ワイヤ33の外方部分55を第1ロッド11が押圧しない。その結果、ワイヤ33の両端部の端縁65に第1ロッド11が引張る力が伝わり難いため、ワイヤ33の端縁65は余盛17aに強く押圧されない。従って、ワイヤ33の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト3の信頼性が向上する。
【0073】
このように、M型形状のワイヤ33であると共に、ワイヤ33の外方部分55の巻回の程度が中央部分56に比べて前方方向にのみ大きいため、第1ロッド11の移動によるワイヤ33の両端部への影響が直接的に緩和される。従って、コンベヤベルト3のレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0074】
図11はこの発明の第4の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0075】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト4の各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図20で示した従来のコンベヤベルト81と同様であるが、ワイヤ34及び前方ワイヤ44の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0076】
ワイヤ34は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように係合している。そして、螺旋状のワイヤ34の外方部分55は、均等な大きさに巻回されたワイヤ34の中央部分56より後方方向に長さY(2〜3mm程度)だけ大きくなるように巻回されている。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ34と同様に構成された前方ワイヤ44が取り付けられており、ワイヤ34及び前方ワイヤ44はW型のワイヤ形状に形成されている。
【0077】
このように、ワイヤ34の外方部分55は、その中央部分56より後方方向に大きくなるように巻回されている。従って、図の矢印で示すようにコンベヤベルト4が移動することによって、ワイヤ34が第2ロッド12に引張られても、ワイヤ34の両端部の端縁65に第2ロッド12の引張る力が伝わり難くなる。即ち、ワイヤ34の両端部が第1ロッド11に強く巻き付くように変形し難くなるため、ワイヤ34の端縁65は余盛17aに強く押圧されない。従って、ワイヤ34の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト4の信頼性が向上する。
【0078】
このように、W型形状のワイヤ34であると共に、ワイヤ34の外方部分55の巻回の程度が中央部分56に比べて後方方向にのみ大きいため、第2ロッド12の移動によるワイヤ34の両端部への影響が直接的に緩和される。従って、コンベヤベルト4のレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0079】
図12はこの発明の第5の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0080】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト5の各リンク21〜23及び各ロッド11〜14の構造は、図15で示した従来のコンベヤベルト80と同様であるので、その相違点を中心に説明する。尚、この実施の形態においては、第2ロッド12に対して後方に隣接する後方ロッド14と、後方ロッド14と第2ロッド12に対して、リンク21及び後述するワイヤ35と同様に構成された後方リンク23及び後方ワイヤ48を図示している。そして、この実施の形態においては、ワイヤ35、前方ワイヤ45及び後方ワイヤ48の両端部側の配置が、従来のコンベヤベルト80と相違している。
【0081】
ワイヤ35は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部は第2ロッド12に巻き付くように係合している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、及び第2ロッド12と後方ロッド14とに対して、ワイヤ35と同様に構成された前方ワイヤ45及び後方ワイヤ48が取り付けられている。従って、ワイヤ35、前方ワイヤ45及び後方ワイヤ48はM型のワイヤ形状に形成されている。
【0082】
更に、ワイヤ35の両端部の第2ロッド12への巻き付き位置は、図で示す通常の二点鎖線の位置から、隣接する後方ワイヤ48の外方部分55に対して内方側に位置するように形成されている。前方ワイヤ45においても、隣接するワイヤ35に対して同様に形成されている。従って、図で示すように、ワイヤ35の端縁65は余盛17aから内方側に離れる。そのため、ワイヤ35の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト5の信頼性が向上する。
【0083】
図13はこの発明の第6の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0084】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト6の各リンク21〜23及び各ロッド11〜14の構造は、図20で示した従来のコンベヤベルト81と同様であるので、その相違点を中心に説明する。尚、この実施の形態においては、第2ロッド12に対して後方に隣接する後方ロッド14と、後方ロッド14と第2ロッド12に対して、リンク21及び後述するワイヤ36と同様に構成された後方リンク23及び後方ワイヤ49を図示している。そして、この実施の形態においては、ワイヤ36、前方ワイヤ46及び後方ワイヤ49の両端部側の配置が、従来のコンベヤベルト81と相違している。
【0085】
ワイヤ36は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部は第1ロッド11に巻き付くように係合している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、及び第2ロッド12と後方ロッド14とに対して、ワイヤ36と同様に構成された前方ワイヤ46及び後方ワイヤ49が取り付けられている。従って、ワイヤ36、前方ワイヤ46及び後方ワイヤ49はW型のワイヤ形状に形成されている。
【0086】
更に、ワイヤ36の両端部の第1ロッド11への巻き付き位置は、図で示す通常の二点鎖線の位置から、隣接する前方ワイヤ46の外方部分55に対して内方側に位置するように形成されている。後方ワイヤ49においても、隣接するワイヤ36に対して同様に形成されている。従って、図で示すように、ワイヤ36の端縁65は余盛17aから内方側に離れる。そのため、ワイヤ36の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト6の信頼性が向上する。
【0087】
尚、上記の各実施の形態では、コンベヤベルトは冷凍機に使用されているが、例えば放冷機等、他の装置であっても同様に適用出来ることは言うまでも無い。
【0088】
又、上記の各実施の形態では、溶接部における余盛は、本来の盛り上がった溶着金属のみならず、溶着金属を研磨した後の溶接部分を含む概念のものである。
【0089】
更に、上記の各実施の形態では、隣接するワイヤの各々の螺旋の方向が逆になるように配置されているが、隣接するワイヤの各々の螺旋の方向が同一になるように配置されていても良い。
【0090】
更に、上記の各実施の形態では、ロッドの各々は進行方向に対して交差する直交方向に配置されているが、ロッドの各々は進行方向に対して交差する方向に配置されていれば、直交方向でなくても良い。
【0091】
更に、上記の各実施の形態では、特定形状のリンクを備えているが、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第2ロッドに溶接にて固定されるものであれば、他の形状であっても良い。
【0092】
更に、上記の各実施の形態では、内方側の余盛がロッドの前方側に形成されているが、リンクとロッドとを確実に固定出来れば、例えばロッドの後方側等、他の部分や複数箇所に形成されていても良い。その場合、第1及び第2の実施の形態においては、ワイヤの端縁が余盛の形成されていない箇所に位置していれば良い。
【0093】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、ワイヤの端縁は隣接する前方ワイヤ及び図示しない後方ワイヤの一方に対して外方側に位置しているが、ワイヤの端縁が前方ワイヤ及び後方ワイヤの一方に対して内方側に位置していても良い。
【0094】
更に、上記の第1、第2、第5及び第6の実施の形態では、ロッドの各々は等間隔で配置されているが、ロッドの各々が等間隔とはならない所定間隔で配置されていても良い。
【0095】
更に、上記の第1及び第2の実施の形態では、ワイヤは全て均等な大きさに巻回されているが、均等な大きさに巻回された中央部分に比べて、ワイヤにおけるリンクの少なくとも一方側の外方部分の巻回の程度を大きくするように形成しても良い。
【0096】
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、ワイヤは中央部分に比べてリンクの両側の外方部分の巻回の程度が大きく形成されているが、外方部分の一方側のみ大きく巻回されていても良い。
【0097】
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、ワイヤの外方部分の巻回の程度は前方方向又は後方方向にのみ大きくなるように形成されているが、ワイヤの巻回の程度は中央部分に比べて大きく形成されていれば、いずれの方向に向かって形成されていても良い。
【符号の説明】
【0098】
1〜6…コンベヤベルト
10…ロッド
11…第1ロッド
12…第2ロッド
13…前方ロッド
14…後方ロッド
17…余盛
21…リンク
22…前方リンク
23…後方リンク
31〜36…ワイヤ
41〜46…前方ワイヤ
48、49…後方ワイヤ
55…外方部分
56…中央部分
65…端縁
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明はコンベヤベルトに関し、特に、隣接するロッドに螺旋状に架け渡されたワイヤによって支持面が主に構成されるコンベヤベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
螺旋状に形成されたワイヤによって支持面が主に構成されたコンベヤベルトは、例えば食品等を冷凍させるための冷凍機において使用されている。
【0003】
図14は従来のコンベヤベルトを備える冷凍機を示す一部破断状態の概略斜視図である。
【0004】
図を参照して、冷凍機70は、搬入口86及び搬出口87が形成された直方体形状の断熱体71と、断熱体71内に設置された、主軸72に取り付けられた円筒状のドラム73と、ドラム73の周りにレール74を介して螺旋状に配置されたコンベヤベルト80と、断熱体71内の温度を所定の低温に保持するためのクーラー75とから主に構成されている。
【0005】
ドラム73の外周部には、複数の四角筒形状の樹脂パイプ76が等間隔に配置されている。又、コンベヤベルト80は、その内縁がドラム73を構成する樹脂パイプ76の各々と接しながら螺旋状に配置されると共に、補助駆動用スプロケット78や複数のプーリー79によって、所謂無端ベルトとなるように形成されている。
【0006】
そして、主軸72の下方端に取り付けられた駆動用スプロケット77を、駆動用スプロケット77に接続された図示しない駆動装置を駆動して回転させる。すると、ドラム73が平面視で反時計回りに回転し、樹脂パイプ76の各々とコンベヤベルト80の内縁との摩擦によって、コンベヤベルト80が図の矢印で示すように移動する。尚、補助駆動用スプロケット78はあくまで補助的にコンベヤベルト80を移動させるものであり、コンベヤベルト80の移動速度を調整するためのものである。従って、基本的にはコンベヤベルト80はドラム73の樹脂パイプ76との摩擦力によってのみ回転移動する。従って、ドラム73は先行してコンベヤベルト80を引張るように回転するため、螺旋状部分のコンベヤベルト80の回転はドラム73の回転より若干遅れることになる。
【0007】
このような冷凍機70においては、コンベヤベルト80が螺旋状に設置されているため、限られた断熱体71内のスペースに対して長いコンベヤベルト80を設置することが出来る。従って、断熱体71内のスペースを有効に利用することが出来る。
【0008】
次に、コンベヤベルト80の構造について説明する。
【0009】
図15は図14で示したコンベヤベルトの部分平面図である。
【0010】
図を参照して、コンベヤベルト80は、進行方向(図の上方向)に対して交差する方向に配置された複数のロッド10と、ロッド10の各々の両端に取り付けられた複数の一対のリンク20a、20bと、ロッド10間を螺旋状に架け渡すように形成されたワイヤ60とを備えている。尚、ドラム73の樹脂パイプ76は、四角柱形状の金属製角材89の外縁に沿うように取り付けられている。
【0011】
次に、コンベヤベルト80の詳細な構造について説明する。
【0012】
図16は図15で示したコンベヤベルトの詳細平面図であり、図17は図16で示したXVII−XVIIラインから見た図であり、図18は図16で示したXVIII−XVIIIラインの断面図である。
【0013】
これらの図を参照して、図15で示した複数のロッドの一つである第1ロッド11に対して進行方向(図16の左方向)における後方側(図16の右側)には第2ロッド12が隣接して配置されている。更に、進行方向における前方側(図16の左側)には前方ロッド13が隣接して配置されている。尚、第1ロッド11、第2ロッド12及び前方ロッド13の各々は、進行方向に対して交差する直交方向に等間隔で配置されている。
【0014】
第2ロッド12の両端には、一対の平面視U字形状のリンク21(一部図示せず)が溶接によって第2ロッド12に固定されている。リンク21は、その側部の各々の後方側に図示しない貫通穴が形成されており、貫通穴の各々に第2ロッド12が挿通されていると共に、第2ロッド12の端部にはヘッダ15が熱間加工又は溶接で取り付けられている。従って、第2ロッド12はリンク21に対して抜け止め状態となる。更に、リンク21の内方面(図16の上側の面)と第2ロッド12との間及びリンク21の外方面(図16の下側の面)と第2ロッド12のヘッダ15との間の各々の前方側の一部が溶接されている。この溶接部には、余盛17a、17bが形成されている。
【0015】
又、リンク21の側部の各々の前方側には、進行方向に延びる長穴25a、25bが形成されている。そして、第2ロッド12の前方側に位置する第1ロッド11は、リンク22の貫通穴のみならずリンク21の長穴25a、25bにも挿通されている。従って、図17の矢印で示すように、リンク21は長穴25a、25bによって第1ロッド11に対して回動自在及び進行方向に移動自在に係合することになる。そして、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、リンク21と同様に構成された前方リンク22が取り付けられている。
【0016】
又、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すようにワイヤ61が取り付けられている。ワイヤ61の両端部の各々はリンク21の近傍(余盛17aの近傍)に位置すると共に、第2ロッド12に巻き付くように係合しており、その端縁65が前方側に位置している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ61と同様に構成された前方ワイヤ62が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ62の両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように係合している。そして、ワイヤ61は、前方ワイヤ62に対して、各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。このように、ワイヤ61及び前方ワイヤ62は、図16で示す平面視において進行方向を上にして見た時に、所謂M型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0017】
コンベヤベルト80はこのように構成されているため、第1ロッド11、第2ロッド12及び前方ロッド13の各々のピッチを軸方向の位置に応じて変更することによって、図15で示すような水平方向のカーブに対応して変形することが出来る。又、第1ロッド11に対してリンク21が、更に前方ロッド13に対して前方リンク22が垂直方向に回動することによって、図14で示すような補助駆動用スプロケット78部分の垂直方向のカーブにも対応して変形することが出来る。
【0018】
図19は図14で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【0019】
図を参照して、補助駆動用スプロケット78がコンベヤベルト80の図示しないリンクに係合することによって、コンベヤベルト80の姿勢が水平状態から垂直状態へと変更されている。そして、第2ロッド12の前方側に位置する第1ロッド11が下方側に移動すると、第1ロッド11によって図示しないリンクとワイヤ61とが第2ロッド12の軸を中心として回転すると共に、リンクに固定された第2ロッド12も同時に回転する。この時、ワイヤ61の両端部は第2ロッド12に係合しているため、ワイヤ61の端縁65が余盛17上に位置したままコンベヤベルト80が垂直方向に回転することになる。
【0020】
又、ワイヤ61の両端部は第1ロッド11に対して後方側に位置する第2ロッド12に巻き付くように係合していると共に、第1ロッド11に対しては架け渡された状態のみで係合している。従って、ワイヤ61は第1ロッド11に対して前方側にのみ移動自在となる。そのため、進行方向に隣接する第1ロッド11と第2ロッド12とのピッチが狭くなった状態では、ワイヤ61の前方部分66が第1ロッド11を超えて前方側に突出する。そして、このような状態でスプロケット78上を回転することになる。従って、例えば補助駆動用スプロケット78の前方側にコンベヤベルト80によって搬送された製品を移送させるためのプレート85が設置されているような構造においては、ワイヤ61の前方部分66がプレート85に接触してしまう虞がある。
【0021】
このような問題を解決するために、異なる形状のワイヤ61で構成されるコンベヤベルト80も製造されている。
【0022】
図20はこのような従来の他のコンベヤベルトを示す平面図であって、図16に相当するものであり、図21は図20で示したXXI−XXIラインの断面図である。
【0023】
尚、このコンベヤベルト81は、ワイヤ63及び前方ワイヤ64の形状以外は、図16で示したコンベヤベルトと同一構造である。従って、ワイヤ63及び前方ワイヤ64の形状についてのみ詳細に説明する。
【0024】
ワイヤ63は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられている点は先の図16で示したものと同一であるが、その端縁65の位置が異なる。即ち、ワイヤ63の両端部の各々は前方リンク22の近傍に位置すると共に、第1ロッド11に巻き付くように係合しており、その端縁65が前方側に位置している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ63と同様に構成された前方ワイヤ64が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ64の両端部の各々は前方ロッド13に巻き付くように係合している。そして、ワイヤ63は、前方ワイヤ64に対して、各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。従って、ワイヤ63及び前方ワイヤ64は、図20で示す平面視において進行方向を上にして見た時に、所謂W型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0025】
図22は図20で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【0026】
図を参照して、コンベヤベルト81は、図19で示したコンベヤベルト80と同様に、補助駆動用スプロケット78によって水平状態から垂直状態へと、その姿勢が変更されている。そして、第1ロッド11の前方側に位置する前方ロッド13が下方側に移動すると、前方ロッド13によって図示しない前方リンクと前方ワイヤ64とが第1ロッド11の軸を中心として回転すると共に、前方リンクに固定された第1ロッド11も同時に回転する。この時、前方ワイヤ64の後方側に位置するワイヤ63及び第2ロッド12はその姿勢が変更しない。即ち、ワイヤ63に対して第1ロッド11が先行して回転することになる。従って、ワイヤ63の両端部と両端部が位置する第1ロッド11とが相対的にずれた状態で回転する。即ち、ワイヤ63の端縁65が余盛17とずれた状態でコンベヤベルト80が垂直方向に回転することになる。
【0027】
又、ワイヤ63の両端部は第2ロッド12に対して前方側に位置する第1ロッド11に巻き付くように係合していると共に、第2ロッド12に対しては架け渡された状態のみで係合している。従って、ワイヤ63は第2ロッド12に対して後方側にのみ移動自在となる。そのため、進行方向に隣接する第1ロッド11と第2ロッド12とのピッチが狭くなった状態では、ワイヤ63の前方部分66は第1ロッド11を超えず、ワイヤ63の後方部分67は第2ロッド12を超えて後方側に突出する。そして、このような状態で補助駆動用スプロケット78上を回転することになる。従って、M型形状のワイヤと異なり、補助駆動用スプロケット78の前方側にプレート85が設置されているような構造であっても、ワイヤ63の前方部分66がプレート85に接触する虞が無い。
又、このようなW型形状のワイヤ63を備えると共に、ワイヤ63の両端部の形状が前方側に延びる楕円形状に形成されたコンベヤベルトが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特許第2664640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
上記のような図20で示したW型形状のワイヤを備えるコンベヤベルトにおいては、上述した通り、補助駆動用スプロケット等の回転部分でワイヤの端縁と余盛とが接触した状態でこれらが相対的に回転する。即ち、ワイヤの端縁が余盛を削り取るように接触するため、コンベヤベルトの耐久性に問題があった。又、ロッドが進行方向に引っ張られた状態においては、ワイヤの端縁と余盛とが強く接触することになるため、更にコンベヤベルトの耐久性に問題が生じていた。
【0030】
一方、図15で示したM型形状のワイヤを備えるコンベヤベルトにおいては、ワイヤの端縁と余盛とが接触した状態でこれらが同時に回転する。従って、ワイヤの端縁が余盛を削り取るように接触する虞が低減するが、水平方向の回転等、コンベヤベルトの姿勢によってはワイヤの端縁が余盛に接触する虞がある。更に、上述した通りM型形状のワイヤを備えるコンベヤベルトにあっては、垂直方向の回転時にワイヤの先端部分が前方に突出してしまうという問題があった。
【0031】
又、特許文献1で開示されたコンベヤベルトにおいては、W型形状のワイヤを備えると共に、その形状によってワイヤの端縁と余盛とを常に非接触状態にするものであるが、ロッドの回転に十分対応したものではない。
【0032】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ワイヤの端縁によるリンクとロッドとの溶接部の損傷の虞が少ないコンベヤベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、コンベヤベルトであって、進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第1ロッドに対して進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、第1ロッド及び第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部がリンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと第1ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、ワイヤは、前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、両端部は第1ロッド及び第2ロッドの一方に係合し、リンクの内方面と第2ロッドとの間及び前方リンクの内方面と第1ロッドの間の各々の一部には、溶接による溶接部が形成され、ワイヤの端縁はリンク及び前方リンクの溶接部の形成されていない箇所に位置するものである。
【0034】
このように構成すると、ワイヤの端縁が溶接部に接触する虞が低減する。
【0035】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、ワイヤの両端部は、第1ロッドに係合し、ワイヤの端縁は、第1ロッドの軸中心の回転により移動する溶接部に接触しない位置に配置されるものである。
【0036】
このように構成すると、第1ロッドの回転に関わらず、ワイヤの端縁は溶接部に接触しない。
【0037】
請求項3記載の発明は、コンベヤベルトであって、進行方向に対して交差する方向に等間隔で配置された複数のロッドと、ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第1ロッドに対して進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、第1ロッド及び第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部がリンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと第1ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、ワイヤは、前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、両端部は第1ロッド及び第2ロッドの一方に係合し、リンクの内方面と第2ロッドとの間及び前方リンクの内方面と第1ロッドの間の各々の一部には、溶接による溶接部が形成され、ワイヤにおけるリンクの少なくとも一方側の外方部分を除いた中央部分は均等な大きさに巻回され、外方部分の巻回の程度は中央部分に比べて大きいものである。
【0038】
このように構成すると、ワイヤが第1ロッドに引張られても、端縁は溶接部に強く押圧されない。
【0039】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、ワイヤの両端部は、第2ロッドに係合し、ワイヤの外方部分の巻回の程度が中央部分に比べて前方方向にのみ大きいものである。
【0040】
このように構成すると、第1ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和される。
【0041】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、ワイヤの両端部は、第1ロッドに係合し、ワイヤの外方部分の巻回の程度が中央部分に比べて後方方向にのみ大きいものである。
【0042】
このように構成すると、第2ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和される。
【0043】
請求項6記載の発明は、コンベヤベルトであって、進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第1ロッドに対して進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、第1ロッド及び第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部がリンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと第1ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられると共に、第2ロッドに対して後方に隣接する後方ロッドと第2ロッドとに対して、リンク及びワイヤと同様に構成された後方リンク及び後方ワイヤが取付けられ、ワイヤは、前方ワイヤ及び後方ワイヤに対して、少なくとも一方端部を除いてそれぞれが架け渡される共通の第1ロッド及び第2ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、両端部は第1ロッド及び第2ロッドの一方に係合し、リンクの内方面と第2ロッドとの間及び前方リンクの内方面と第1ロッドの間の各々の一部には、溶接による溶接部が形成され、ワイヤの一方端部の端縁は、隣接する前方ワイヤ及び後方ワイヤの一方に対して内方側に位置するものである。
【0044】
このように構成すると、ワイヤの端縁は溶接部側に位置しない。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、ワイヤの端縁が溶接部に接触する虞が低減するため、溶接部の損傷が無く、コンベヤベルトの信頼性が向上する。
【0046】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1ロッドの回転に関わらず、ワイヤの端縁は溶接部に接触しないため、コンベヤベルトの移動姿勢によらず、コンベヤベルトの信頼性がより向上する。
【0047】
請求項3記載の発明は、ワイヤが第1ロッドに引張られても、端縁は溶接部に強く押圧されないため、溶接部の損傷が無く、コンベヤベルトの信頼性が向上する。
【0048】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第1ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和されるため、コンベヤベルトのレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0049】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第2ロッドの移動によるワイヤの両端部への影響が直接的に緩和されるため、コンベヤベルトのレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0050】
請求項6記載の発明は、ワイヤの端縁は溶接部側に位置しないため、溶接部の損傷が無く、コンベヤベルトの信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるコンベヤベルトの平面図である。
【図2】図1で示したコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインからみた図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【図5】図2で示したV−Vラインの断面図である。
【図6】コンベヤベルトの垂直状態の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図1で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図15で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【図7】この発明の第2の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【図9】コンベヤベルトの垂直状態の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図7で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図20で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【図10】この発明の第3の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図11】この発明の第4の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図12】この発明の第5の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図13】この発明の第6の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図14】従来のコンベヤベルトを備える冷凍機を示す一部破断状態の概略斜視図である。
【図15】図14で示したコンベヤベルトの部分平面図である。
【図16】図15で示したコンベヤベルトの詳細平面図である。
【図17】図16で示したXVII−XVIIラインから見た図である。
【図18】図16で示したXVIII−XVIIIラインの断面図である。
【図19】図14で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【図20】従来の他のコンベヤベルトを示す平面図である。
【図21】図20で示したXXI−XXIラインの断面図である。
【図22】図20で示した補助駆動用スプロケット部分のコンベヤベルトの状態を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1はこの発明の第1の実施の形態によるコンベヤベルトの平面図であって、従来例の図15に相当する図であり、図2は図1で示したコンベヤベルトの詳細平面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインからみた図であり、図4は図2で示したIV−IVラインの断面図であり、図5は図2で示したV−Vラインの断面図である。
【0053】
これらの図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト1は、例えばステンレス鋼により形成され、その各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図15で示した従来のコンベヤベルト80と同様であるが、ワイヤ31及び前方ワイヤ41の両端部の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0054】
ワイヤ31は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられている。ワイヤ31の両端部の各々は第2ロッド12に巻き付くように係合している。そして、図4の二点鎖線で示すように、ワイヤ31の両端部は第2ロッド12に対して(1+1/4)周分巻き付けられているため、その端縁65が後方側に位置している。即ち、ワイヤ31の端縁65が余盛17aの形成されていない箇所に位置している。
【0055】
又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ31と同様に構成された前方ワイヤ41が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ41の両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように、且つその端縁が後方側に位置するように係合している。そして、ワイヤ31は、前方ワイヤ41に対して各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。従って、ワイヤ31及び前方ワイヤ41は、M型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0056】
次に、このようなワイヤ31及び前方ワイヤ41を備えるコンベヤベルト1の効果について説明する。
【0057】
図6はコンベヤベルトの垂直方向の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図1で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図15で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【0058】
まず(1)を参照して、コンベヤベルト1においては、上述した通りワイヤ31の端縁65が余盛17の形成されていない箇所に位置している。従って、図の矢印で示すようにロッド12が水平方向に引っ張られるような状態においては、ワイヤ31の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。更に、図の矢印で示すようにワイヤ31が垂直方向に回転した場合であっても、上述した通りワイヤ31の端縁65とロッド12とは同期して回転するため、ワイヤ31の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。そのため、ワイヤ31の端縁65による余盛17の損傷が無くなるので、コンベヤベルト1の信頼性が向上する。
【0059】
次に(2)を参照して、従来のコンベヤベルト80においては、ワイヤ60の端縁65がロッド11上の余盛17の近傍に位置している。従って、ワイヤ60の端縁65とロッド11とは同時に回転するものの、例えばロッド11間のピッチが狭くなった状態等、コンベヤベルト80の移動姿勢によっては、ワイヤ60の端縁65が余盛17に接触し、余盛17が削り取られてしまう可能性がある。従って、(1)で示したコンベヤベルト1に比べて信頼性の低いコンベヤベルト80となる。
【0060】
図7はこの発明の第2の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【0061】
これらの図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト2の各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図20で示した従来のコンベヤベルト81と同様であるが、ワイヤ32及び前方ワイヤ42の両端部の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0062】
ワイヤ32は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられている。ワイヤ32の両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように係合している。そして、図8の二点鎖線で示すように、ワイヤ32の両端部は第1ロッド11に対して(1+3/4)周分巻き付けられているため、その端縁65が後方側に位置している。即ち、ワイヤ32の端縁65が余盛17aの形成されていない箇所に位置している。
【0063】
又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ32と同様に構成された前方ワイヤ42が取り付けられている。即ち、前方ワイヤ42の両端部の各々は前方ロッド13に巻き付くように、且つその端縁が後方側に位置するように係合している。そして、ワイヤ32は、前方ワイヤ42に対して各々が架け渡されている共通の第1ロッド11において、その軸方向に交互に配置されている。従って、ワイヤ32及び前方ワイヤ42は、W型のワイヤ形状となるように構成されている。
【0064】
次に、このようなワイヤ32及び前方ワイヤ42を備えるコンベヤベルト2の効果について説明する。
【0065】
図9はコンベヤベルトの垂直方向の回転状態を示す概略断面図であって、(1)は図7で示したコンベヤベルトを示すものであって、(2)は図20で示した従来のコンベヤベルトを示すものである。
【0066】
まず(1)を参照して、コンベヤベルト2においては、上述した通りワイヤ32の端縁65が余盛17の形成されていない箇所に位置している。従って、ロッド11が水平方向に引っ張られるような状態においては、ワイヤ32の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。そのため、このような状態においてワイヤ32の端縁65による余盛17の損傷が無くなるので、コンベヤベルト2の信頼性が向上する。
【0067】
又、前方ワイヤ42が図の矢印で示すように垂直方向に回転した場合であっても、ワイヤ32の端縁65とロッド11上の余盛17とが接触しない位置となるように形成されている。従って、ロッド11の回転に関わらず、ワイヤ32の端縁65が余盛17に接触する虞が無い。従って、コンベヤベルト2の垂直方向の回転時、又は上述した水平方向への移動等の移動姿勢によらず、コンベヤベルト2の信頼性がより向上する。
【0068】
次に(2)を参照して、従来のコンベヤベルト81においては、ワイヤ63の端縁65がロッド11上の余盛17の近傍に位置している。そして、ワイヤ63の端縁65とロッド11とは相対的に回転するため、ワイヤ63の端縁65が余盛17に接触し、余盛17が削り取られてしまう。従って、(1)で示したコンベヤベルト2に比べて信頼性の低いコンベヤベルト81となる。
【0069】
図10はこの発明の第3の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0070】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト3の各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図16で示した従来のコンベヤベルト80と同様であるが、ワイヤ33及び前方ワイヤ43の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0071】
ワイヤ33は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部の各々は第2ロッド12に巻き付くように係合している。そして、螺旋状のワイヤ33の外方部分55は、均等な大きさに巻回されたワイヤ33の中央部分56より前方方向に長さX(2〜3mm程度)だけ大きくなるように巻回されている。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ33と同様に構成された前方ワイヤ43が取り付けられており、ワイヤ33及び前方ワイヤ43はM型のワイヤ形状に形成されている。
【0072】
従って、図の矢印で示すようにコンベヤベルト3が移動することによって、ワイヤ33が第1ロッド11に引張られても、ワイヤ33の外方部分55を第1ロッド11が押圧しない。その結果、ワイヤ33の両端部の端縁65に第1ロッド11が引張る力が伝わり難いため、ワイヤ33の端縁65は余盛17aに強く押圧されない。従って、ワイヤ33の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト3の信頼性が向上する。
【0073】
このように、M型形状のワイヤ33であると共に、ワイヤ33の外方部分55の巻回の程度が中央部分56に比べて前方方向にのみ大きいため、第1ロッド11の移動によるワイヤ33の両端部への影響が直接的に緩和される。従って、コンベヤベルト3のレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0074】
図11はこの発明の第4の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0075】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト4の各リンク21、22及び各ロッド11〜13の構造は、図20で示した従来のコンベヤベルト81と同様であるが、ワイヤ34及び前方ワイヤ44の形状が相違しているので、その相違点を中心に説明する。
【0076】
ワイヤ34は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部の各々は第1ロッド11に巻き付くように係合している。そして、螺旋状のワイヤ34の外方部分55は、均等な大きさに巻回されたワイヤ34の中央部分56より後方方向に長さY(2〜3mm程度)だけ大きくなるように巻回されている。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、ワイヤ34と同様に構成された前方ワイヤ44が取り付けられており、ワイヤ34及び前方ワイヤ44はW型のワイヤ形状に形成されている。
【0077】
このように、ワイヤ34の外方部分55は、その中央部分56より後方方向に大きくなるように巻回されている。従って、図の矢印で示すようにコンベヤベルト4が移動することによって、ワイヤ34が第2ロッド12に引張られても、ワイヤ34の両端部の端縁65に第2ロッド12の引張る力が伝わり難くなる。即ち、ワイヤ34の両端部が第1ロッド11に強く巻き付くように変形し難くなるため、ワイヤ34の端縁65は余盛17aに強く押圧されない。従って、ワイヤ34の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト4の信頼性が向上する。
【0078】
このように、W型形状のワイヤ34であると共に、ワイヤ34の外方部分55の巻回の程度が中央部分56に比べて後方方向にのみ大きいため、第2ロッド12の移動によるワイヤ34の両端部への影響が直接的に緩和される。従って、コンベヤベルト4のレイアウトによらず、効率的なワイヤの形状となる。
【0079】
図12はこの発明の第5の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0080】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト5の各リンク21〜23及び各ロッド11〜14の構造は、図15で示した従来のコンベヤベルト80と同様であるので、その相違点を中心に説明する。尚、この実施の形態においては、第2ロッド12に対して後方に隣接する後方ロッド14と、後方ロッド14と第2ロッド12に対して、リンク21及び後述するワイヤ35と同様に構成された後方リンク23及び後方ワイヤ48を図示している。そして、この実施の形態においては、ワイヤ35、前方ワイヤ45及び後方ワイヤ48の両端部側の配置が、従来のコンベヤベルト80と相違している。
【0081】
ワイヤ35は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部は第2ロッド12に巻き付くように係合している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、及び第2ロッド12と後方ロッド14とに対して、ワイヤ35と同様に構成された前方ワイヤ45及び後方ワイヤ48が取り付けられている。従って、ワイヤ35、前方ワイヤ45及び後方ワイヤ48はM型のワイヤ形状に形成されている。
【0082】
更に、ワイヤ35の両端部の第2ロッド12への巻き付き位置は、図で示す通常の二点鎖線の位置から、隣接する後方ワイヤ48の外方部分55に対して内方側に位置するように形成されている。前方ワイヤ45においても、隣接するワイヤ35に対して同様に形成されている。従って、図で示すように、ワイヤ35の端縁65は余盛17aから内方側に離れる。そのため、ワイヤ35の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト5の信頼性が向上する。
【0083】
図13はこの発明の第6の実施の形態によるコンベヤベルトの詳細平面図である。
【0084】
図を参照して、この実施の形態によるコンベヤベルト6の各リンク21〜23及び各ロッド11〜14の構造は、図20で示した従来のコンベヤベルト81と同様であるので、その相違点を中心に説明する。尚、この実施の形態においては、第2ロッド12に対して後方に隣接する後方ロッド14と、後方ロッド14と第2ロッド12に対して、リンク21及び後述するワイヤ36と同様に構成された後方リンク23及び後方ワイヤ49を図示している。そして、この実施の形態においては、ワイヤ36、前方ワイヤ46及び後方ワイヤ49の両端部側の配置が、従来のコンベヤベルト81と相違している。
【0085】
ワイヤ36は、第1ロッド11と第2ロッド12とを螺旋状に架け渡すように取り付けられており、その両端部は第1ロッド11に巻き付くように係合している。又、第1ロッド11と前方ロッド13とに対して、及び第2ロッド12と後方ロッド14とに対して、ワイヤ36と同様に構成された前方ワイヤ46及び後方ワイヤ49が取り付けられている。従って、ワイヤ36、前方ワイヤ46及び後方ワイヤ49はW型のワイヤ形状に形成されている。
【0086】
更に、ワイヤ36の両端部の第1ロッド11への巻き付き位置は、図で示す通常の二点鎖線の位置から、隣接する前方ワイヤ46の外方部分55に対して内方側に位置するように形成されている。後方ワイヤ49においても、隣接するワイヤ36に対して同様に形成されている。従って、図で示すように、ワイヤ36の端縁65は余盛17aから内方側に離れる。そのため、ワイヤ36の端縁65による余盛17aの損傷が無く、コンベヤベルト6の信頼性が向上する。
【0087】
尚、上記の各実施の形態では、コンベヤベルトは冷凍機に使用されているが、例えば放冷機等、他の装置であっても同様に適用出来ることは言うまでも無い。
【0088】
又、上記の各実施の形態では、溶接部における余盛は、本来の盛り上がった溶着金属のみならず、溶着金属を研磨した後の溶接部分を含む概念のものである。
【0089】
更に、上記の各実施の形態では、隣接するワイヤの各々の螺旋の方向が逆になるように配置されているが、隣接するワイヤの各々の螺旋の方向が同一になるように配置されていても良い。
【0090】
更に、上記の各実施の形態では、ロッドの各々は進行方向に対して交差する直交方向に配置されているが、ロッドの各々は進行方向に対して交差する方向に配置されていれば、直交方向でなくても良い。
【0091】
更に、上記の各実施の形態では、特定形状のリンクを備えているが、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、第2ロッドに溶接にて固定されるものであれば、他の形状であっても良い。
【0092】
更に、上記の各実施の形態では、内方側の余盛がロッドの前方側に形成されているが、リンクとロッドとを確実に固定出来れば、例えばロッドの後方側等、他の部分や複数箇所に形成されていても良い。その場合、第1及び第2の実施の形態においては、ワイヤの端縁が余盛の形成されていない箇所に位置していれば良い。
【0093】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、ワイヤの端縁は隣接する前方ワイヤ及び図示しない後方ワイヤの一方に対して外方側に位置しているが、ワイヤの端縁が前方ワイヤ及び後方ワイヤの一方に対して内方側に位置していても良い。
【0094】
更に、上記の第1、第2、第5及び第6の実施の形態では、ロッドの各々は等間隔で配置されているが、ロッドの各々が等間隔とはならない所定間隔で配置されていても良い。
【0095】
更に、上記の第1及び第2の実施の形態では、ワイヤは全て均等な大きさに巻回されているが、均等な大きさに巻回された中央部分に比べて、ワイヤにおけるリンクの少なくとも一方側の外方部分の巻回の程度を大きくするように形成しても良い。
【0096】
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、ワイヤは中央部分に比べてリンクの両側の外方部分の巻回の程度が大きく形成されているが、外方部分の一方側のみ大きく巻回されていても良い。
【0097】
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、ワイヤの外方部分の巻回の程度は前方方向又は後方方向にのみ大きくなるように形成されているが、ワイヤの巻回の程度は中央部分に比べて大きく形成されていれば、いずれの方向に向かって形成されていても良い。
【符号の説明】
【0098】
1〜6…コンベヤベルト
10…ロッド
11…第1ロッド
12…第2ロッド
13…前方ロッド
14…後方ロッド
17…余盛
21…リンク
22…前方リンク
23…後方リンク
31〜36…ワイヤ
41〜46…前方ワイヤ
48、49…後方ワイヤ
55…外方部分
56…中央部分
65…端縁
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトであって、
進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、
前記ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、前記第1ロッドに対して前記進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部が前記リンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、
前記第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと前記第1ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、
前記ワイヤは、前記前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の前記第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、前記両端部は前記第1ロッド及び前記第2ロッドの一方に係合し、
前記リンクの内方面と前記第2ロッドとの間及び前記前方リンクの内方面と前記第1ロッドの間の各々の一部には、前記溶接による溶接部が形成され、前記ワイヤの端縁は前記リンク及び前記前方リンクの溶接部の形成されていない箇所に位置する、コンベヤベルト。
【請求項2】
前記ワイヤの前記両端部は、前記第1ロッドに係合し、
前記ワイヤの前記端縁は、前記第1ロッドの軸中心の回転により移動する前記溶接部に接触しない位置に配置される、請求項1記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
コンベヤベルトであって、
進行方向に対して交差する方向に等間隔で配置された複数のロッドと、
前記ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、前記第1ロッドに対して前記進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部が前記リンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、
前記第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと前記第1ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、
前記ワイヤは、前記前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の前記第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、前記両端部は前記第1ロッド及び前記第2ロッドの一方に係合し、
前記リンクの内方面と前記第2ロッドとの間及び前記前方リンクの内方面と前記第1ロッドの間の各々の一部には、前記溶接による溶接部が形成され、
前記ワイヤにおける前記リンクの少なくとも一方側の外方部分を除いた中央部分は均等な大きさに巻回され、前記外方部分の巻回の程度は前記中央部分に比べて大きい、コンベヤベルト。
【請求項4】
前記ワイヤの前記両端部は、前記第2ロッドに係合し、
前記ワイヤの前記外方部分の巻回の程度が前記中央部分に比べて前方方向にのみ大きい、請求項3記載のコンベヤベルト。
【請求項5】
前記ワイヤの前記両端部は、前記第1ロッドに係合し、
前記ワイヤの前記外方部分の巻回の程度が前記中央部分に比べて後方方向にのみ大きい、請求項3記載のコンベヤベルト。
【請求項6】
コンベヤベルトであって、
進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、
前記ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、前記第1ロッドに対して前記進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部が前記リンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、
前記第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと前記第1ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられると共に、前記第2ロッドに対して後方に隣接する後方ロッドと前記第2ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された後方リンク及び後方ワイヤが取付けられ、
前記ワイヤは、前記前方ワイヤ及び前記後方ワイヤに対して、少なくとも一方端部を除いてそれぞれが架け渡される共通の前記第1ロッド及び前記第2ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、前記両端部は前記第1ロッド及び前記第2ロッドの一方に係合し、
前記リンクの内方面と前記第2ロッドとの間及び前記前方リンクの内方面と前記第1ロッドの間の各々の一部には、前記溶接による溶接部が形成され、
前記ワイヤの前記一方端部の端縁は、隣接する前方ワイヤ及び後方ワイヤの一方に対して内方側に位置する、コンベヤベルト。
【請求項1】
コンベヤベルトであって、
進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、
前記ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、前記第1ロッドに対して前記進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部が前記リンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、
前記第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと前記第1ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、
前記ワイヤは、前記前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の前記第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、前記両端部は前記第1ロッド及び前記第2ロッドの一方に係合し、
前記リンクの内方面と前記第2ロッドとの間及び前記前方リンクの内方面と前記第1ロッドの間の各々の一部には、前記溶接による溶接部が形成され、前記ワイヤの端縁は前記リンク及び前記前方リンクの溶接部の形成されていない箇所に位置する、コンベヤベルト。
【請求項2】
前記ワイヤの前記両端部は、前記第1ロッドに係合し、
前記ワイヤの前記端縁は、前記第1ロッドの軸中心の回転により移動する前記溶接部に接触しない位置に配置される、請求項1記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
コンベヤベルトであって、
進行方向に対して交差する方向に等間隔で配置された複数のロッドと、
前記ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、前記第1ロッドに対して前記進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部が前記リンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、
前記第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと前記第1ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられ、
前記ワイヤは、前記前方ワイヤに対して、各々が架け渡される共通の前記第1ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、前記両端部は前記第1ロッド及び前記第2ロッドの一方に係合し、
前記リンクの内方面と前記第2ロッドとの間及び前記前方リンクの内方面と前記第1ロッドの間の各々の一部には、前記溶接による溶接部が形成され、
前記ワイヤにおける前記リンクの少なくとも一方側の外方部分を除いた中央部分は均等な大きさに巻回され、前記外方部分の巻回の程度は前記中央部分に比べて大きい、コンベヤベルト。
【請求項4】
前記ワイヤの前記両端部は、前記第2ロッドに係合し、
前記ワイヤの前記外方部分の巻回の程度が前記中央部分に比べて前方方向にのみ大きい、請求項3記載のコンベヤベルト。
【請求項5】
前記ワイヤの前記両端部は、前記第1ロッドに係合し、
前記ワイヤの前記外方部分の巻回の程度が前記中央部分に比べて後方方向にのみ大きい、請求項3記載のコンベヤベルト。
【請求項6】
コンベヤベルトであって、
進行方向に対して交差する方向に所定間隔で配置された複数のロッドと、
前記ロッドのうち、第1ロッドに回動自在に係合すると共に、前記第1ロッドに対して前記進行方向において後方に隣接する第2ロッドの両端に溶接にて固定される、一対のリンクと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドに螺旋状に架け渡された、その両端部が前記リンクの各々の近傍に位置するワイヤとを備え、
前記第1ロッドに対して前方に隣接する前方ロッドと前記第1ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された前方リンク及び前方ワイヤが取付けられると共に、前記第2ロッドに対して後方に隣接する後方ロッドと前記第2ロッドとに対して、前記リンク及び前記ワイヤと同様に構成された後方リンク及び後方ワイヤが取付けられ、
前記ワイヤは、前記前方ワイヤ及び前記後方ワイヤに対して、少なくとも一方端部を除いてそれぞれが架け渡される共通の前記第1ロッド及び前記第2ロッドにおいてその軸方向に交互に配置されると共に、前記両端部は前記第1ロッド及び前記第2ロッドの一方に係合し、
前記リンクの内方面と前記第2ロッドとの間及び前記前方リンクの内方面と前記第1ロッドの間の各々の一部には、前記溶接による溶接部が形成され、
前記ワイヤの前記一方端部の端縁は、隣接する前方ワイヤ及び後方ワイヤの一方に対して内方側に位置する、コンベヤベルト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−20830(P2012−20830A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159289(P2010−159289)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(591254291)関西金網株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(591254291)関西金網株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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