説明

サッシ

【課題】水切り材を容易に固定することのできるサッシを提供する。
【解決手段】建物躯体に取付けられるフレーム体1に、上下枠20、21及び左右の縦枠22を枠組みしてなる枠体2を取付け、下枠21の室外側には水切り材23を設けてなり、フレーム体1のうち下枠21が固定される下フレーム材10は、室外端部に係合部12cを備え、水切り材23は、室内端部に下枠21の室外側に面する垂直面21aに対して当接固定される起立片23cを備えると共に、下フレーム材10の係合部12cを係合固定する被係合部23dを下面側に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物躯体に設けられるフレーム体に枠体を取付け、枠体を構成する下枠の室外側に水切り材を設けてなるサッシに関し、特にフレーム体を構成する下フレーム材と水切り材とを連結したサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の建物躯体に対してサッシの枠体を効率よく取付けるため、枠体にフレーム体を取付けてなるサッシフレームを躯体開口部に取付ける構造が知られている。サッシフレームは、枠体とフレーム体とを工場で固定してユニット化し、施工現場ではフレーム体を躯体開口部に取付けられた下地材に対して固定する。そして、サッシフレームの周囲にはALCパネルやPCパネルからなる外壁材が設けられる。これによって、施工現場において溶接等の作業を不要とすることができ、枠体を効率よく取付けることができる。また、溶接が不要であるため、後でサッシフレームを交換することも可能となる。
【0003】
一般的に、サッシの枠体を構成する下枠には、室外側に水切り材が設けられる。水切り材は、下枠の上面よりも低い位置に、室外側に向かって下方傾斜状の上面を有し、その室外端部は建物躯体を構成する外壁材の室内面よりも室外側に配置される。これにより、サッシから排水される水が、外壁材の内周面や室内側に浸入することを防止することができる。このようにフレーム体に枠体を取付けるサッシにおいて水切り材を設けたものとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−243187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフレーム体に枠体を取付けるサッシでは、水切り材は溶接によりフレーム体に接合されるか、あるいは外壁材に埋設されたアンカー部材に対して固定されていた。水切り材を溶接接合する場合、溶接に伴う歪み等を考慮する必要があり、接合にも手間がかかるという問題があった。また、別部品を介して水切り材を固定する場合には、水切り材の下面側での取付作業が煩雑となるという問題があった。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、水切り材を容易に固定することのできるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、建物躯体に取付けられるフレーム体に、上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体を取付け、前記下枠の室外側には水切り材を設けてなるサッシにおいて、
前記フレーム体のうち前記下枠が固定される下フレーム材は、室外端部に係合部を備え、前記水切り材は、室内端部に前記下枠の室外側に面する垂直面に対して当接固定される起立片を備えると共に、前記下フレーム材の係合部を係合固定する被係合部を下面側に有することを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るサッシは、前記下フレーム材は室外側に延出される延長部材を室外端部に取付けてなり、前記延長部材の室外端部に前記係合部が形成されることを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るサッシは、前記被係合部は前記延長部材の室外端部を引っ掛け係合自在となるように形成されることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記下フレーム材は前記下枠を固定する上面の室外端部から垂下される室外面部を有し、該室外面部の先端部が前記係合部とされ、前記水切り材は前記室外面部の先端部を係合して保持する係合保持部を室内端部に有して前記被係合部としたことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサッシによれば、フレーム体のうち下枠が固定される下フレーム材は、室外端部に係合部を備え、水切り材は、室内端部に下枠の室外側に面する垂直面に対して当接固定される起立片を備えると共に、下フレーム材の係合部を係合固定する被係合部を下面側に有することにより、水切り材の固定に溶接が不要であり、また、水切り材の下面側でのビス止め等の作業を不要としつつ、水切り材の強固な固定をなすことができる。また、水切り材は、施工時あるいは使用時において破損することがあるが、この場合でも、水切り材の露出面側からの作業で、これを交換することができるので、交換を容易にすることができる。
【0012】
また、本発明に係るサッシによれば、下フレーム材は室外側に延出される延長部材を室外端部に取付けてなり、延長部材の室外端部に係合部が形成されることにより、水切り材を延長部材の室外端部に係合させることにより、容易に固定ができると共に、水切り材の室内外中間位置を延長部材で支持できるので、上下方向の振れ止めもなすことができる。
【0013】
さらに、本発明に係るサッシによれば、被係合部は延長部材の室外端部を引っ掛け係合自在となるように形成されることにより、水切り材と延長部材との係合をより容易にすることができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係るサッシによれば、下フレーム材は下枠を固定する上面の室外端部から垂下される室外面部を有し、室外面部の先端部が係合部とされ、水切り材は室外面部の先端部を係合して保持する係合保持部を室内端部に有して被係合部としたことにより、下フレーム材と水切り材の固定に他の部品を必要とせず、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】フレーム体の内観図である。
【図2】サッシの外観図である。
【図3】サッシの縦断面図である。
【図4】サッシの横断面図である。
【図5】図3の下枠付近拡大図である。
【図6】第2の実施形態におけるサッシの下枠及び下フレーム材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1にはフレーム体1の内観図を示している。本実施形態のサッシは、枠体2が固着されてなるフレーム体1を建物躯体Aに対して取付けて構成されるものである。図1は、このうち枠体2を省略してフレーム体1が建物躯体Aに対して取付けられた状態を示している。建物躯体Aには、横方向に長い開口部が形成され、開口部の上辺と下辺には、予め下地材4が設置されている。この下地材4に対してフレーム体1が取付けられる。
【0017】
フレーム体1は、いずれも鋼製の下フレーム材10と左右の縦フレーム材11とで、略H字状をなすように組まれている。左右の縦フレーム材11の上端部は、上側の下地材4に対して固着され、左右の縦フレーム材11の下端部は、下側の下地材4に対して固着される。
【0018】
図2には、サッシの外観図を示している。この図では、枠体2や、サッシの周りに配置される外壁材5についても示している。枠体2は、フレーム体1のうち下フレーム材10と左右の縦フレーム材11及び上側の下地材4で囲まれた領域に配置される。下フレーム材10と左右の縦フレーム材11及び下側の下地材4で囲まれた領域には、外壁材5が配置される。また、左右の縦フレーム材11の外側領域にも、下地材4間に渡る高さを有した外壁材5が配置される。
【0019】
図3にはサッシの縦断面図を、図4にはサッシの横断面図を、それぞれ示している。枠体2は、上枠20と下枠21及び左右の縦枠22、22を方形状に枠組みしてなり、その内部には障子3が内外引き違い状に納められている。上枠20は、建物躯体Aに設けられる下地材4に対して固着されている。一方、下枠21は、フレーム体1を構成する下フレーム材10に対して固着される。また、縦枠22は、フレーム体1を構成する縦フレーム材11に対して固着される。
【0020】
図5には図3の下枠21付近拡大図を示している。フレーム体1を構成する下フレーム材10は、下枠21を載置させると共に固定する下枠固定面部10aを上面として有し、下枠固定面部10aの室内端部からは室内面部10bが下方に垂下され、下枠固定面部10aの室外端部からは室外面部10cが下方に垂下される。下フレーム材10の室内面部10bは、外壁材5の室内側面に当接し、ビス止め固定される。
【0021】
下枠21の室外側には、外壁材5の上面を覆うように水切り材23が設けられる。水切り材23は、下枠21の室外端部から外壁材5の室外面より室外側までに渡って、室外方向に向かう下方傾斜状の上面部23aを備え、上面部23aの室外端部からは下方に垂下された室外面部23bが形成されており、枠体2から排水された水を、外壁材5の室外側に導くことができる。図4に示されているように、水切り材23の両端には、それぞれキャップ24が取付けられる。
【0022】
水切り材23には、上面部23aの室内端部に、垂直方向に立ち上がる起立片23cが形成されている。下枠21は、室外側に面する垂直面21aを下部に有しており、この垂直面21aに対して水切り材23の起立片23cが当接し、ビス止め固定されている。
【0023】
下フレーム材10には、室外端部である室外面部10cに対して、下フレーム材10を室外側に延出する延長部材12が取付固定される。延長部材12は、室外面部10cに当接してビス止め固定される当接面部12aと、当接面部12aから室外側に向かって伸びる延長面部12bと、延長面部12bの先端部を構成する係合部12cとを有してなっている。
【0024】
水切り材23の下面には、室内外方向中間位置に、断面フック状の被係合部23dが形成されている。被係合部23dは、延長部材12の係合部12cを引っ掛け係合自在としている。延長部材12は、係合部12c付近の先端部が、水切り材23の上面部23aに沿うように角度を有しているので、係合部12cを被係合部23dに対して係合させることで、水切り材23は延長部材12により支持される。これにより、起立片23cにおける固定と併せて、水切り材23を固定することができると共に、水切り材23の上下方向における振れ止めをなすことができる。
【0025】
延長部材12は、水切り材23の取付前から下フレーム材10に取付けられている。枠体2がフレーム体1に取付けられた後に、延長部材12の係合部12cを水切り材23の被係合部23dに引っ掛け係合させると共に、水切り材23の起立片23cを下枠21の垂直面21aに対して当接、ビス止めして、水切り材23を下枠21の室外側に固定する。
【0026】
このように、下フレーム材10に予め取付けられた延長部材12の係合部12cを、水切り材23の下面に形成された被係合部23dに対し、引っ掛け係合して、水切り材23をフレーム体1に固定するようにしたので、水切り材23の固定に溶接が不要であり、また、水切り材23の下面側でのビス止め等の作業を不要としつつ、水切り材23の強固な固定と上下方向の振れ止めをなすことができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のサッシは、全体的な構成については第1の実施形態と同様であり、水切り材23の固定構造のみが異なっている。図6には、第2の実施形態におけるサッシの下枠21及び下フレーム材10の断面図を示している。
【0028】
図6に示すように、水切り材23は、上面部23aと室外面部23b、及び起立片23cの構成については、第1の実施形態と同様であるが、被係合部23dが、下面の室内端部に形成されている。本実施形態においては、下フレーム材10の室外面部10cの下端部が、係合部10dとなっており、水切り材23の被係合部23dは、この係合部10dを納めて係合させるように、水切り材23の下面から下方に垂下されると共に、先端部が断面略コ字状をなすように形成されている。
【0029】
水切り材23の取付手順は、第1の実施形態と同様であり、下フレーム材10の係合部10dを水切り材23の被係合部23dに係合させると共に、水切り材23の起立片23cを下枠21の垂直面21aに対して当接、ビス止めする。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 フレーム体
2 枠体
3 障子
4 下地材
5 外壁材
10 下フレーム材
10a 下枠固定面部
10b 室内面部
10c 室外面部
11 縦フレーム材
12 延長部材
12a 当接面部
12b 延長面部
12c 係合部
20 上枠
21 下枠
21a 垂直面
22 縦枠
23 水切り材
23a 上面部
23b 室外面部
23c 起立片
23d 被係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に取付けられるフレーム体に、上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体を取付け、前記下枠の室外側には水切り材を設けてなるサッシにおいて、
前記フレーム体のうち前記下枠が固定される下フレーム材は、室外端部に係合部を備え、前記水切り材は、室内端部に前記下枠の室外側に面する垂直面に対して当接固定される起立片を備えると共に、前記下フレーム材の係合部を係合固定する被係合部を下面側に有することを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記下フレーム材は室外側に延出される延長部材を室外端部に取付けてなり、前記延長部材の室外端部に前記係合部が形成されることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
前記被係合部は前記延長部材の室外端部を引っ掛け係合自在となるように形成されることを特徴とする請求項2記載のサッシ。
【請求項4】
前記下フレーム材は前記下枠を固定する上面の室外端部から垂下される室外面部を有し、該室外面部の先端部が前記係合部とされ、前記水切り材は前記室外面部の先端部を係合して保持する係合保持部を室内端部に有して前記被係合部としたことを特徴とする請求項1記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−67538(P2012−67538A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214741(P2010−214741)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】