説明

サツマイモパウダー及びその製造方法

【課題】 スープ、菓子等の原料に用いることができる風味良好なサツマイモパウダー、およびそれを用いた飲食品を提供すること。
【解決手段】 加熱加工を施したサツマイモを破砕し作成したサツマイモペーストの固形分100重量部に対して、単糖類及び/又は二糖類を5重量部より多く、45重量部以下、アミノ酸を0.05重量部以上、1重量部未満の割合で混合し、混合物の水分値を50%より多く、90%未満に調整した後、クッキング・バリューが特定の値となるようにドラムドライヤーにて加熱乾燥させてから、パウダーにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スープ、菓子等の原料に用いることができる風味良好なサツマイモパウダー及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、甘焦げ風味の付与された風味良好なサツマイモパウダー及びその製造方法と、甘焦げ風味の付与された風味良好なサツマイモパウダーを用いた食品に関する。
【背景技術】
【0002】
サツマイモパウダーは、粉末又は顆粒状スープ、スナック菓子等の幅広い食品用途に供されている。一般的にサツマイモパウダーは、原料のサツマイモを蒸煮或いは焼成等により加熱し、必要に応じて加熱前後に剥皮した後に、チョッパー機、ミンサー等で破砕しペースト成形したペースト原料を、乾燥して、粉砕、篩分する製造方法により得られる。乾燥には一般的にドラムドライヤー乾燥機、真空凍結乾燥機、熱風乾燥機、真空ドラムドライヤー乾燥機等が用いられる。
一般的に、このような方法のうち、真空凍結乾燥機、真空ドラムドライヤー乾燥機等の乾燥時にかかる熱履歴が小さい乾燥方法で製造されたパウダーは、乾燥前とほとんど変わらない品質を有した乾燥物を得る事ができる。一方、ドラムドライヤー乾燥は高温の乾燥工程を経るため、一般的には加熱時間、乾燥前水分によっては風味の飛散、変質が発生し、加熱時間が長く、乾燥対象物の乾燥前水分が低い場合には焦げ風味を付与することができる。
【0003】
また食品成分の熱による変化(破壊、褐変、劣化)の程度を示す指標としてクッキング・バリューが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−176683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸煮、焼成などの加熱方法に関わらず、サツマイモペーストは粘度が高いため、ドラムドライヤー乾燥を行う場合には、製造適性を維持するために多量の水を加える必要がある。そのため、サツマイモペーストの水分が多くなり、焦げ風味を付与する目的でドラムドライヤー乾燥を行っても、焼成したサツマイモ独特の甘焦げ風味を付与することができないのが現状であった。
【0006】
本発明は、スープ、菓子等の原料に用いることができる風味良好なサツマイモパウダー及びその製造方法を提供することを目的とする。さらに詳しくは、甘焦げ風味の付与された風味良好なサツマイモパウダー及びその製造方法と、甘焦げ風味の付与された風味良好なサツマイモパウダーを用いた食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成した。本発明は以下の各発明を包含する。
(1) 加熱加工を施したサツマイモを破砕し作成したサツマイモペーストの固形分100重量部に対して、単糖類及び/又は二糖類を5重量部より多く、45重量部以下、アミノ酸を0.05重量部以上、1重量部未満の割合で混合し、混合物の水分値を50%より多く、90%未満に調整した後、次式
(数1)
クッキング・バリュー=10(T−100)/33.2×時間(分)
[但し、式中、Tは品温である。]
で表されるクッキング・バリューが4以上、16以下となるようにドラムドライヤーにて加熱乾燥させてから、パウダーにすることを特徴とするサツマイモパウダーの製造方法。
(2) 糖類がグルコース及び/又はスクロースであることを特徴とする発明(1)記載のサツマイモパウダーの製造方法。
(3) アミノ酸がグリシン及び/又はL−フェニルアラニンであることを特徴とする発明(1)記載のサツマイモパウダーの製造方法。
(4) 発明(1)記載の製造方法により得られるサツマイモパウダー。
(5) 発明(4)記載のサツマイモパウダーを用いる食品。
(6) 発明(4)記載のサツマイモパウダーを用いる粉末状スープ。
【0008】
なお本発明は、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で置きかえたものも含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来のサツマイモパウダーとは異なった、甘焦げ風味の付与された風味良好なサツマイモパウダー及びそのサツマイモパウダーを用いた食品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における加熱加工を施したサツマイモとは、生のサツマイモに対し必要に応じて洗浄やトリミングを行った後、オーブン、スチーマー等で焼成や蒸しなどの加熱をしたものであり、剥皮についてはしても良いししなくとも良い。また、剥皮のタイミングについても特に限定はない。
また本発明における加熱加工を施したサツマイモを破砕し作成したサツマイモペーストとは、加熱加工を施したサツマイモを破砕処理してペースト状にしたものである。
またサツマイモには種々の品種があるが、高系14号やその派生品種などのでん粉と水分のバランスが良いものが好ましい。しかし、品種を限定するものではない。
【0011】
本発明に用いる糖類は、還元糖である単糖類及び/又は加熱によって加水分解され還元性を生ずる二糖類であることが重要である。三糖類以上の多糖類では還元性を生じにくいため好ましくない。また単糖類としてはサツマイモの甘焦げ風味強化が可能であるという点でグルコースが好ましく、二糖類としてはサツマイモの甘焦げ風味強化が可能であるという点でスクロースが好ましい。
本発明においては、加熱加工を施したサツマイモを破砕し作成したサツマイモペーストの固形分100重量部に対して、単糖類及び/又は二糖類を5重量部より多く、45重量部以下、好ましくは10重量部以上、30重量部以下となるように加えることが重要である。
【0012】
本発明に用いるアミノ酸は、食用に用いることができれば特に限定はないが、サツマイモの甘焦げ風味を付与することができるという点でグリシン、L−フェニルアラニンが好ましい。その他のアミノ酸を使用しても、加熱によって反応生成する香り、風味はサツマイモの甘焦げ風味として好ましいものではない。
本発明においては、加熱加工を施したサツマイモペーストの固形分100重量部に対して、アミノ酸を0.05重量部以上、1重量部未満、好ましくは0.1重量部以上、0.8重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上、0.6重量部となるように加えることが重要である。
【0013】
本発明においては水分調整も重要であるが、水分調整は例えば加熱加工を施したサツマイモを破砕し作成したサツマイモペーストに所定の糖類とアミノ酸を溶解した水を加えて混合し、これらの混合物の水分値を50%より多く、90%未満に調整することで行うことができる。水分値は55%以上、85%以下が好ましく、70%以上、80%以下がより好ましい。水分値が50%以下だとペースト流動性が悪くドラム乾燥時に均一なシート形成ができず製造適性上好ましくなく、水分値が90%以上だと水分過多によりドラム乾燥時にシート形成が困難となり製造適性上好ましくない。
【0014】
本発明においては、加熱加工を施したサツマイモを破砕し作成したサツマイモペーストと糖類とアミノ酸を混合した後、水分調整を行い、次の式で表されるクッキング・バリューの値が4以上16以下となるように、好ましくは7以上10以下となるようにドラムドライヤーで加熱処理する。
【0015】
(数2)
クッキング・バリュー=10(T-Tref)/Z×時間(分)
【0016】
前記式で表されるクッキング・バリューとは、食品成分の熱による変化(破壊、褐変、劣化)の程度を示す指標である(出典:J. Agric. Food Chem. 1986, 34, 392-396)。前記式中、Tは品温であり、Trefは基準温度であり、Zは10/logQ10である。Q10は反応温度が10℃変化したときの反応速度の増加を示す。
一般的には、Trefは100(℃)である。また、一般的にQ10は2であることから、Zは33.2となる。
したがって、前記式は簡略化して、通常、
【0017】
(数3)
クッキング・バリュー=10(T-100)/33.2×時間(分)
【0018】
で表すことが出来る。なお、上記式中、Tは品温である。
【0019】
ここで前記式(数3)で表されるクッキング・バリューが4未満であると、得られるサツマイモパウダーの甘焦げ風味が得られないため好ましくない。一方、前記式(数3)で表されるクッキング・バリューが16を超えると、得られるサツマイモパウダーは強い焦げ臭、焦げ風味となり、過加熱風味が付与され、甘焦げ風味が付与された風味良好なものとならない。
【0020】
なお、前記式(数3)でクッキング・バリューのより好ましい範囲の7以上、10以下となるような加熱条件は、品温(ドラムドライヤー表面温度と同じ場合)が135℃の場合、30〜60秒間、品温が145℃の場合、15〜30秒間、品温が155℃の場合、8〜15秒間であった。品温が低くなると、長い加熱時間が必要であるため、製造効率の面から品温は145℃以上に保つことが好ましい。
【0021】
その後、適度な粒子径に粉砕、篩分して、目的とするサツマイモパウダーを製造することができる。
なお、乾燥と粉砕はほぼ同時に行ってもよいし、乾燥した後に粉砕してもよい。粉砕はコーヒーミル等公知の粉砕機を用いて行うことができる。このようにして本発明の方法により得られたサツマイモパウダーは、甘焦げ風味が付与された良好な風味を有する。
【0022】
本発明の方法により得られたサツマイモパウダーは、スープ類全般、スナック菓子などの各種食品に広範囲に用いることができる。例えば本発明で得られたサツマイモパウダーをスープに用いる場合、通常のスープと同様の方法により製造することができる。例えば、粉末化したミルク原料やルー、エキス、調味料等と混合することにより、粉末状のインスタントサツマイモポタージュスープを製造することができる。
【0023】
次に本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、「%」はすべて質量%である。
【実施例】
【0024】
高系14号から作成された市販のサツマイモペースト(サツマイモ(高系14号)を蒸し、ミンサーで破砕し作成したサツマイモペースト)の固形分100重量部(具体的には約300g)に、表1に示す所定割合の糖類、アミノ酸類を溶解した所定割合の水を添加した後混合し、表1に示すクッキング・バリュー値に従いダブルドラムドライヤー(ジョンソンボイラ社製)にて加熱乾燥した後、クアドロコーミル(POWREX社製)で粉砕してサツマイモパウダー(本発明品1〜5、比較対照品1〜13)を製造した。得られたサツマイモパウダーについて、製造適性および官能評価の評価を行った。
【0025】
製造適性は以下の3段階の基準で評価し、製造適性が△以上で合格とした。
○:適性がある、△:適性許容限界、×:適性がない
【0026】
官能評価は、社内の専門検査に合格した官能検査員5名によって、サツマイモパウダーの、甘焦げ風味の強さ、サツマイモ風味の好ましさ、全体の風味の好ましさについて,次の5段階の基準で行い、+以上で目的に合致していて合格とした。
++:大変強い/大変好ましい、+:強い/好ましい、±:普通、−:弱い/好ましくない、――:大変弱い/大変好ましくない。
【0027】
以下に念のため、本発明品1〜5、比較対照品1〜13の製造方法を示す。
【0028】
(本発明品1)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0029】
(本発明品2)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが10.7となるようにドラムドライヤーで145℃、28秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0030】
(本発明品3)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを30重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0031】
(本発明品4)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を乾燥前ペースト水分が81%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0032】
(本発明品5)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、スクロースを15重量部、L-フェニルアラニンを0.2重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0033】
(比較対象品1)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、乾燥前のサツマイモペースト水分が77%となるように水分を加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分して糖とアミノ酸が無配合のサツマイモパウダーを製造した。
【0034】
(比較対象品2)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、乾燥前のサツマイモペースト水分が55%となるように水分を加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分して糖とアミノ酸が無配合のサツマイモパウダーを製造した。
【0035】
(比較対象品3)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、乾燥前のサツマイモペースト水分が90%となるように水分を加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分して糖とアミノ酸が無配合のサツマイモパウダーを製造した。
【0036】
(比較対象品4)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が50%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0037】
(比較対象品5)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が90%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0038】
(比較対象品6)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが3.5となるようにドラムドライヤーで145℃、9秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0039】
(比較対象品7)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが16.5となるようにドラムドライヤーで145℃、44秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0040】
(比較対象品8)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを0.01重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0041】
(比較対象品9)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、グリシンを1.0重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0042】
(比較対象品10)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを5重量部、グリシンを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0043】
(比較対象品11)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、グルコースを15重量部、メチオニンを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0044】
(比較対象品12)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、スクロースを15重量部、グルタミン酸ナトリウムを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0045】
(比較対象品13)
サツマイモペーストの固形分100重量部に対して、マルトースを15重量部、L-フェニルアラニンを0.5重量部含む水溶液を、乾燥前ペースト水分が77%となるように加えて混合し、クッキング・バリューが8.0となるようにドラムドライヤーで145℃、21秒の条件で乾燥し、粉砕、篩分してサツマイモパウダーを製造した。
【0046】
結果を表1(表1−1、表1−2)に示す。
【0047】
【表1−1】

【表1−2】

【0048】
表1(表1−1、表1−2)によれば、本発明品1〜5のサツマイモパウダーは、比較対象品1〜13のサツマイモパウダーに比べ、製造適性が好ましく、甘焦げ風味が強く、サツマイモ風味、全体の風味が好ましいものであることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、スープ、菓子等の原料に用いる風味良好なサツマイモパウダー及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、甘焦げ風味の付与された風味良好なサツマイモパウダー及びその製造方法、またそのサツマイモパウダーを用いた食品に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱加工を施したサツマイモを破砕し作成したサツマイモペーストの固形分100重量部に対して、単糖類及び/又は二糖類を5重量部より多く、45重量部以下、アミノ酸を0.05重量部以上、1重量部未満の割合で混合し、混合物の水分値を50%より多く、90%未満に調整した後、次式
(数1)
クッキング・バリュー=10(T−100)/33.2×時間(分)
[但し、式中、Tは品温である。]
で表されるクッキング・バリューが4以上、16以下となるようにドラムドライヤーにて加熱乾燥させてから、パウダーにすることを特徴とするサツマイモパウダーの製造方法。
【請求項2】
糖類がグルコース及び/又はスクロースであることを特徴とする請求項1記載のサツマイモパウダーの製造方法。
【請求項3】
アミノ酸がグリシン及び/又はL−フェニルアラニンであることを特徴とする請求項1記載のサツマイモパウダーの製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の製造方法により得られるサツマイモパウダー。
【請求項5】
請求項4記載のサツマイモパウダーを用いる食品。
【請求項6】
請求項4記載のサツマイモパウダーを用いる粉末状スープ。

【公開番号】特開2012−46(P2012−46A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137263(P2010−137263)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】