説明

サンプリング装置

【課題】オペレータにかかる負担を軽減することが可能なサンプリング装置を提供する。
【解決手段】麦汁から飲料を製造する飲料製造装置10に適用され、麦汁を冷却器104で冷却して発酵タンク102に送る麦冷工程が実施されたときに麦汁の一部をサンプルとして取り出すためのサンプリング装置10において、移送通路106から分岐されたサンプリング通路12と、サンプリング通路12に設けられたサンプリングバルブ13と、サンプリング通路12への麦汁の導入及びその導入の禁止を切り替える第1制御弁17と、サンプリングポンプ18とを備え、麦冷工程の開始に伴って移送通路106からサンプリング容器14にサンプルの取り出しが開始され、麦冷工程の終了に伴ってその取り出しが終了するように第1制御弁17、サンプリングポンプ18、及びサンプリングバルブ13の動作がそれぞれ制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕込工程で加熱した麦汁を冷却器で冷却してタンクに送り、そのタンクで麦汁を発酵及び熟成させて飲料を製造する飲料製造装置に設けられるサンプリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仕込工程において麦芽から麦汁をつくり、その麦汁をタンクにて発酵及び熟成させて飲料を製造する飲料製造装置が知られている。このような飲料制御装置では、仕込工程において麦汁を加熱するので、麦汁を冷却器で冷却する麦冷工程を行ってから麦汁をタンクに送っている。この際、タンクに送った麦汁の品質を管理するため、冷却器で冷却した麦汁の一部をサンプルとして取り出して検査している。このようなサンプルを取り出すサンプリング方法として、冷却器とタンクとを接続する通路に設けられたバルブを麦冷工程の開始及び終了に合わせてオペレータが操作することによりサンプルを取り出す方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
オペレータがバルブを操作することによってサンプルを取り出すサンプリング方法では、その作業にオペレータが拘束されるためオペレータにかかる負担が大きい。
【0004】
そこで、本発明は、オペレータにかかる負担を軽減することが可能なサンプリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のサンプリング装置は、仕込工程で加熱した麦汁を冷却器(104)で冷却してタンク(102)に送り、前記タンクで前記麦汁を発酵させて飲料を製造する飲料製造装置(100)に適用され、前記冷却器と前記タンクとを接続し、前記冷却器で冷却された麦汁が流される移送通路(106)に設けられ、前記飲料製造装置にて前記仕込工程で加熱した麦汁を前記冷却器で冷却して前記タンクに送る麦冷工程が実施されたときに前記冷却器から前記タンクに送られる麦汁の一部をサンプルとして取り出すためのサンプリング装置(10)において、前記移送通路から分岐されたサンプリング通路(12)と、前記サンプリング通路から容器(14)に前記サンプルを取り出すサンプリングバルブ(13)と、前記移送通路から前記サンプリング通路への麦汁の導入及びその導入の禁止を切り替える開閉弁(17)と、前記開閉弁と前記サンプリングバルブとの間の前記サンプリング通路に設けられて前記移送通路から麦汁を取り出すポンプ手段(18)と、前記麦冷工程の開始に伴って前記移送通路から前記容器に前記サンプルを取り出すサンプリング工程(S16〜S20)が開始され、前記麦冷工程の終了に伴って前記サンプリング工程が終了するように前記開閉弁、前記ポンプ手段、及び前記サンプリングバルブの動作をそれぞれ制御する制御手段(30)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0006】
本発明のサンプリング装置によれば、麦冷工程の開始に伴うサンプリング工程の開始及び麦冷工程の終了に伴うサンプリング工程の終了をそれぞれ自動化できるので、オペレータにかかる負担を軽減することができる。
【0007】
本発明のサンプリング装置の一形態においては、前記サンプリングバルブより下流側にて前記サンプリング通路と接続された排出通路(23)と、前記排出通路を開閉する排出弁(24)と、をさらに備え、前記制御手段は、前記サンプリング工程において、まず前記サンプリングバルブを閉じるとともに前記排出弁を開け、次に前記開閉弁を開けるとともに前記ポンプ手段を起動し、その後前記サンプリングバルブを開けるとともに前記排出弁を閉じてもよい。この場合、サンプリング通路内を移送通路から取り出した麦汁で置換してから容器へのサンプルの取り出しが開始される。そのため、移送通路から取り出した麦汁以外のものが容器に混入することを防止できる。
【0008】
本発明のサンプリング装置の一形態においては、前記サンプリングバルブの下方に前記容器が有るか否か判別する容器判別手段(30)をさらに備え、前記制御手段は、前記容器判別手段が前記サンプリングバルブの下方に前記容器が無いと判断した場合は前記麦冷工程の開始が禁止されるように前記飲料製造装置を制御してもよい。この場合、容器の準備が完了しないと麦冷工程が開始できない。そのため、麦冷工程が行われる毎に確実にサンプルを取り出すことができる。
【0009】
本発明のサンプリング装置の一形態においては、前記飲料製造装置においては、複数の種類の飲料が製造されるとともに飲料の種類に応じて前記麦冷工程に掛かる時間の長さが異なり、前記制御手段は、前記飲料製造装置にて製造される飲料の種類に応じて前記サンプリング工程中に単位時間あたりに前記移送通路から取り出される麦汁の流量が変更されるように前記ポンプ手段の動作を制御してもよい。この場合、飲料製造装置において種類が異なる飲料を製造する場合においてもそれぞれの種類において同じ量のサンプルを取り出すことができる。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明のサンプリング装置によれば、飲料製造装置からのサンプルの取り出しを自動化できるので、オペレータにかかる負担を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一形態に係るサンプリング装置が組み込まれた飲料製造装置の一部を概略的に示している。この飲料製造装置100は、ビール及び発泡酒などのアルコール飲料を製造する装置である。このような飲料製造装置100では、まず仕込工程で原料から麦汁をつくり、次にその麦汁を発酵工程で発酵させ、その後熟成工程で発酵させた麦汁を熟成させることにより飲料を製造する。この図では、飲料製造装置100のうち仕込工程で使用する部分の一部及び発酵工程で使用する部分を示した。また、飲料製造装置100は、飲料を製造する製造ラインを複数備えているが、この図ではそれら製造ラインの1つを示している。さらに、この飲料製造装置100では、複数の種類のアルコール飲料が製造される。
【0013】
図1に示したように飲料製造装置100は、仕込工程の最後で麦汁を他の原料とともに煮沸するための麦汁煮沸釜101と、麦汁を発酵させるための発酵タンク102とを備えている。麦汁を発酵させるためには、加熱した麦汁を所定の温度(例えば20°C)以下に冷却する必要がある。そのため、飲料製造装置100は、麦汁煮沸釜101から発酵タンク102に麦汁を冷却して送る麦冷工程を行うための冷却装置103を備えている。なお、この麦冷工程に掛けられる時間の長さは、製造される飲料の種類に応じて異なる。冷却装置103は、冷却器としての熱交換器104と、麦汁煮沸釜101と熱交換器104との接続及び遮断を切り替えるためのバルブ105とを備えている。冷却装置103と発酵タンク102とは移送通路106にて接続されている。なお、これらの部分はビールや発泡酒を製造する周知の飲料製造装置と同様の構成でよいため、詳細な説明は省略する。図1に示したように移送通路106には、発酵タンク102に送られる麦汁の一部をサンプルとして取り出すためのサンプリング装置10が設けられている。このサンプリング装置10は、複数の製造ラインで共用される。
【0014】
図2は、サンプリング装置10の概略構成を示している。このサンプリング装置10は、2つの製造ラインで共用されており、一方の製造ライン用のサンプリング部11Aと他方の製造ライン用のサンプリング部11Bとを備えている。なお、これらを区別する必要がない場合はサンプリング部11と示す。サンプリング部11Aは、移送通路106から分岐するサンプリング通路12を備えている。サンプリング通路12には、2個のサンプリングバルブ13が設けられている。サンプリングバルブ13は入口部13a、出口部13b、及び注出部13cを備えている。そして、サンプリングバルブ13では、閉状態において入口部13aと出口部13bとが接続され、開状態において入口部13aと注出部13cとが接続される。すなわち、閉状態では、液体がサンプリングバルブ13内を通過し、開状態では液体がサンプリングバルブ13の注出口13cから注出される。これらサンプリングバルブ13は、外部からの信号にて動作を制御可能な制御バルブである。なお、各サンプリングバルブ13には、その注出口13cを開閉可能な手動式の遮断弁13dがそれぞれ設けられている。各サンプリングバルブ13の下方には、サンプリング容器14を載置するための架台15がそれぞれ設けられている。架台15は、架台15上の液体を排出可能なようにその底面が排出通路23と接続されている。各架台15には、架台15上にサンプリング容器14が載置されている場合に信号を出力する近接センサ16がそれぞれ設けられている。
【0015】
サンプリング通路12には、移送通路106からサンプリングバルブ13への麦汁の導入及びその導入の禁止を切り替える開閉弁としての第1制御弁17が設けられている。この第1制御弁17は、外部からの信号にて弁体の開閉を制御可能な弁である。また、サンプリング通路12には、サンプリングバルブ13と第1制御弁17との間にポンプ手段としてのサンプリングポンプ18と、そのサンプリングポンプ18の上流側と下流側とを接続するバイパス通路19とが設けられている。サンプリングポンプ18の入口側及び出口側には、サンプリング通路13を開閉する手動式のバタフライバルブ20、21が設けられている。バイパス通路19は、サンプリングポンプ18及びこれら2個のバタフライバルブ20、21よりも上流側と下流側とをバイパスするように設けられている。サンプリングポンプ18は、単位時間あたりに移送される液体の流量を一定に維持可能な定量ポンプである。なお、サンプリングポンプ18では、単位時間あたりに移送される液体の流量を適宜設定することができる。このような定量ポンプとしては、例えば弾性のあるチューブをローラで押し潰しつつそのローラを移動させることにより液体を移送するチューブポンプが使用される。バイパス通路19には、そのバイパス通路19を開閉するための第2制御弁22が設けられている。この第2制御弁22は、同様に外部からの信号にて弁体の開閉を制御可能な弁である。
【0016】
2個のサンプリングバルブ13より下流には、サンプリング通路12内の液体を外部に排出するための排出通路23がサンプリング通路12と接続されている。排出通路23は、飲料製造装置100に設けられている不図示の排水管に接続されている。排出通路23には、排出通路23を開閉する排出弁としての第3制御弁24及び手動式のバタフライバルブ25が設けられている。第3制御弁24は、外部からの信号にて弁体の開閉を制御可能な弁である。サンプリング通路12には、手動でもサンプルを採取することが可能なように第1制御弁17よりも移送通路106寄りに手動式サンプリングバルブ26が設けられている。なお、サンプリング部11Bは、上述したサンプリング部11Aと同じ構成であるため、説明を省略する。
【0017】
サンプリングバルブ13、サンプリングポンプ18、第1制御弁17、第2制御弁22、及び第3制御弁24の動作は、制御手段としての制御装置30にて制御される。制御装置30は、コンピュータユニットとしての演算処理部31と、その演算処理部31の指示に従ってサンプリングバルブ13、サンプリングポンプ18、第1制御弁17、第2制御弁22、及び第3制御弁24の動作を制御する動作制御部32と、近接センサ16などサンプリング装置10及び飲料製造装置100に設けられている各種センサからの出力信号に対して所定の処理を実行する信号処理部33と、演算処理部31に対してオペレータが指示を入力するための入力部34と、演算処理部31が処理した検査結果等をオペレータに提示するための出力部35と、演算処理部31にて実行すべきコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムで使用するデータ等を記憶する記憶部36とを備えている。記憶部36には、ハードディスク記憶装置、あるいは記憶保持が可能な半導体記憶素子等の記憶装置が用いられる。動作制御部32及び信号処理部33はハードウエア制御回路によって実現されてもよいし、コンピュータユニットによって実現されてもよい。また、図1に示したようにこの制御装置30は、冷却装置103のバルブ105の動作も制御する。
【0018】
次に図3を参照してサンプリング装置10による麦汁のサンプリング方法について説明する。図3は、サンプリング装置10のサンプリングバルブ13、サンプリングポンプ18、第1制御弁17、第2制御弁22、及び第3制御弁24の動作を制御すべく制御装置30が実行するサンプリング制御ルーチンを示している。この制御ルーチンは、麦冷工程中に麦汁の一部がサンプルとして採取されるように制御装置30が実行する他のルーチンと並行に実行される。制御装置30は、この制御ルーチンの他にバルブ105の動作を制御するための麦冷工程制御ルーチンなどを実行している。なお、サンプリング装置10によってサンプリングを行う前にその準備として、オペレータによって架台15にサンプリング容器14が置かれる。また、オペレータによって手動式サンプリングバルブ26が閉じられるとともにそれ以外の手動式の遮断弁13d、バタフライバルブ20、21、25がそれぞれ開けられる。そして、入力部34からサンプリングに必要な情報が入力される。この情報としては、例えば採取した麦汁にて製造する飲料の種類、製造ラインの系列番号などが入力される。そして、これらの準備が完了したことが入力部34から入力されることによりこの制御ルーチンが開始される。
【0019】
図3の制御ルーチンにおいて制御装置30は、まずステップS11で所定のサンプリング条件が成立しているか否か判断する。所定のサンプリング条件は、例えば制御装置30にサンプリングに必要な情報が入力され、かつ近接センサ16から信号が出力されている場合に成立していると判断される。この処理を実行することにより制御装置30が容器判別手段として機能する。所定のサンプリング条件が不成立と判断した場合はステップS12に進み、制御装置30はサンプリング条件が不成立と判断した原因に応じたエラー警告を出力部35から出力する警告処理を実行する。制御装置30は、例えば近接センサ16から信号が出力されていないことが原因でサンプリング条件が不成立と判断した場合はサンプリング容器14が架台15に置かれていないというエラー警告を出力する。その後、ステップS11に処理を戻す。
【0020】
一方、所定のサンプリング条件が成立していると判断した場合はステップS13に進み、制御装置30は冷却装置103のバルブ105の開弁を許可する開弁許可フラグをオンに切り替える。この開弁許可フラグはこの制御ルーチンと並行に実行されている麦冷工程制御ルーチンにて参照され、このフラグがオフの場合はバルブ105の開弁が禁止される。そのため、このように開弁許可フラグがオンに切り替えられることにより、麦冷工程の開始が許可される。なお、この開弁許可フラグは、麦冷工程が終了したときに麦冷工程制御ルーチンにてオフに切り替えられる。続くステップS14において制御装置30は、入力された飲料の種類に基づいてサンプリングポンプ18にて単位時間あたりに移送すべき麦汁の流量を設定する。上述したように麦冷工程に掛けられる長さは、製造される飲料に応じて異なる。そこで、麦冷工程が長いほど単位時間あたりに移送すべき麦汁の流量が減少するように麦汁の流量を設定する。次のステップS15において制御装置30は、麦冷工程が開始されたか否か判断する。この判断は、例えば麦冷工程制御ルーチンにて実行されている処理を参照して行ってもよいし、冷却装置103のバルブ105の開弁状態に基づいて行ってもよい。その後、制御装置30は麦冷工程が開始されるまでステップS15を繰り返し実行する。
【0021】
一方、麦冷工程が開始されたと判断した場合はステップS16に進み、制御装置30はブロー制御を実行する。このブロー制御では、まず各サンプリングバルブ13が閉状態に切り替えられるとともに第3制御弁24が開状態に切り替えられる。また、第2制御弁22が閉状態に切り替えられる。その後、第1制御弁17が開状態に切り替えられるとともにサンプリングポンプ18が起動される。この際、サンプリングポンプ18は、設定した麦汁の流量が移送されるようにその動作が制御される。続くステップS17において制御装置30は、ブロー制御を開始してから所定時間が経過したか否か判断する。所定時間には、例えばサンプリング通路12内を移送通路106から取り出した麦汁で置換するために必要な時間が設定され、例えば10分が設定される。その後、制御装置30は所定時間が経過するまでステップS17を繰り返し実行する。
【0022】
一方、所定時間が経過したと判断した場合はステップS18に進み、制御装置30はサンプリング制御を実行する。このサンプリング制御では、2個のうちのいずれか一方のサンプリングバルブ13が開状態に切り替えられるとともに第3制御弁24が閉状態に切り替えられる。これにより、サンプリング容器14への麦汁のサンプリングが開始される。次のステップS19において制御装置30は、麦冷工程が終了したか否か判断する。この判断も上述した麦冷工程の開始の判断と同様に、例えば麦冷工程制御ルーチンにて実行されている処理を参照して行ってもよいし、冷却装置103のバルブ105の開弁状態に基づいて行ってもよい。その後、制御装置30は麦冷工程が終了するまでステップS19を繰り返し実行する。
【0023】
一方、麦冷工程が終了したと判断した場合はステップS20に進み、制御装置30はサンプリング終了制御を実行する。このサンプリング終了制御では、各サンプリングバルブ13が閉状態に切り替えられるとともに第3制御弁24が開状態に切り替えられる。また、サンプリングポンプ18が停止されるとともに第1制御弁17が閉状態に切り替えられる。そして、第2制御弁22が開状態に切り替えられる。これにより、サンプリング容器14への麦汁の採取が終了する。そのため、ステップS16〜S20までが本発明のサンプリング工程に相当する。なお、一般に麦冷工程の最後には、移送通路106内に残留している麦汁を除去するために移送通路106内に湯を流す。そこで、このサンプリング終了制御では、このように移送通路106内に湯が流されている間は第1制御弁17が開状態に切り替えられる。これにより、サンプリング通路12内を湯で洗浄することができる。その後、今回の制御ルーチンを終了する。
【0024】
以上に説明したように、本発明のサンプリング装置10によれば、麦冷工程の開始に伴う麦汁のサンプリングの開始、及び麦冷工程の終了に伴うそのサンプリングの終了をそれぞれ自動化できる。そのため、オペレータにかかる負担を軽減することができる。また、オペレータは、サンプリング容器14を架台15に設置する作業、及び入力部34からサンプリングに必要な情報を入力する作業が終了した後はサンプリング作業以外の作業を行うことができる。そのため、作業効率を改善することができる。
【0025】
サンプリング装置10においては、サンプリング容器14にサンプルを採取する前にサンプリング通路12内を麦汁で置換するブロー制御が実行されるので、移送通路106から取り出した麦汁以外のものがサンプリング容器14に混入することを防止できる。また、近接センサ16の出力信号がオフの場合は麦冷工程の実行が禁止されるので、麦冷工程が行われる毎に確実にサンプルを取り出すことができる。そして、サンプリング装置10においては、麦冷工程に掛かる時間の長さに応じてサンプリング時にサンプリングポンプ18にて単位時間あたりに移送すべき麦汁の流量を変更する。そのため、飲料製造装置100にて種類が異なる飲料を製造する場合においてもそれぞれの種類において同じ量のサンプルを取り出すことができる。
【0026】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、サンプリングポンプは、チューブポンプに限定されず、種々の定量ポンプを用いてよい。一つのサンプリング通路に設けられるサンプリングバルブの数は2つに限定されず、3つ以上を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一形態に係るサンプリング装置が組み込まれた飲料製造装置の一部を概略的に示す図。
【図2】サンプリング装置の概略構成を示す図。
【図3】制御装置が実行するサンプリング制御ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0028】
10 サンプリング装置
12 サンプリング通路
13 サンプリングバルブ
14 サンプリング容器
17 第1制御弁(開閉弁)
18 サンプリングポンプ(ポンプ手段)
23 排出通路
24 第3制御弁(排出弁)
30 制御装置(制御手段、容器判別手段)
100 飲料製造装置
102 発酵タンク
104 熱交換器(冷却器)
106 移送通路
S16〜S20 サンプリング工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕込工程で加熱した麦汁を冷却器で冷却してタンクに送り、前記タンクで前記麦汁を発酵させて飲料を製造する飲料製造装置に適用され、前記冷却器と前記タンクとを接続し、前記冷却器で冷却された麦汁が流される移送通路に設けられ、前記飲料製造装置にて前記仕込工程で加熱した麦汁を前記冷却器で冷却して前記タンクに送る麦冷工程が実施されたときに前記冷却器から前記タンクに送られる麦汁の一部をサンプルとして取り出すためのサンプリング装置において、
前記移送通路から分岐されたサンプリング通路と、前記サンプリング通路から容器に前記サンプルを取り出すサンプリングバルブと、前記移送通路から前記サンプリング通路への麦汁の導入及びその導入の禁止を切り替える開閉弁と、前記開閉弁と前記サンプリングバルブとの間の前記サンプリング通路に設けられて前記移送通路から麦汁を取り出すポンプ手段と、前記麦冷工程の開始に伴って前記移送通路から前記容器に前記サンプルを取り出すサンプリング工程が開始され、前記麦冷工程の終了に伴って前記サンプリング工程が終了するように前記開閉弁、前記ポンプ手段、及び前記サンプリングバルブの動作をそれぞれ制御する制御手段と、を備えていることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
前記サンプリングバルブより下流側にて前記サンプリング通路と接続された排出通路と、前記排出通路を開閉する排出弁と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記サンプリング工程において、まず前記サンプリングバルブを閉じるとともに前記排出弁を開け、次に前記開閉弁を開けるとともに前記ポンプ手段を起動し、その後前記サンプリングバルブを開けるとともに前記排出弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記サンプリングバルブの下方に前記容器が有るか否か判別する容器判別手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記容器判別手段が前記サンプリングバルブの下方に前記容器が無いと判断した場合は前記麦冷工程の開始が禁止されるように前記飲料製造装置を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記飲料製造装置においては、複数の種類の飲料が製造されるとともに飲料の種類に応じて前記麦冷工程に掛かる時間の長さが異なり、
前記制御手段は、前記飲料製造装置にて製造される飲料の種類に応じて前記サンプリング工程中に単位時間あたりに前記移送通路から取り出される麦汁の流量が変更されるように前記ポンプ手段の動作を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のサンプリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−151535(P2010−151535A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328273(P2008−328273)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】