説明

サーバ装置、プログラム及び位置特定システム

【課題】通信端末の位置から撮影した撮影画像を用いて端末位置を特定するための処理の量が増大すること、及び特定する端末位置の精度が低下することを抑制する。
【解決手段】データベースには、所定の場所における各位置を示す位置情報と、各位置から複数方位を撮影した各撮影画像の代表色情報と、その各位置から撮影した方位を示す方位情報とが対応付けて記憶される。代表色情報は、撮影画像の部分領域ごとの代表色を示し、その撮影画像から階調数及び領域数を間引いたものである。サーバ装置は、通信端末から複数方位を撮影した各撮影画像の代表色情報を取得し、それとの差異が小さい代表色情報に対応付けられた位置情報及び方位情報をデータベースから取得する。サーバ装置は、撮影方位に延びる直線状の撮影位置の候補に相当し、方位情報が示す方位に応じた傾きの視線直線を撮影画像ごとに算出して、それらが交差する点を端末位置として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末の位置を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影機能を有する携帯電話端末などを利用して、その撮影画像を手がかりとして端末位置を特定する技術がある(例えば、特許文献1〜3)。特許文献1には、風景を示す地図データをデータベースで管理し、利用者の携帯電話端末によって撮影されたカメラ画像と、地図データの地図画像とのマッチング処理を行うことによって端末位置を特定することが記載されている。特許文献2には、一の撮影画像から抽出した特徴成分(例えば、特徴的な風景を示す検索用画像)のそれぞれについて方向ベクトルを導出し、複数の方向ベクトルが交わる点に基づいて端末位置を検索することが記載されている。特許文献3には、地理情報を位置情報に対応付けてデータベースで管理し、ユーザの端末で撮影された撮影画像と照合することにより端末位置を特定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−111128号公報
【特許文献2】特開2004−191339号公報
【特許文献3】特開2004−226170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像どうしをパターンマッチング処理などにより比較する構成では、端末位置を特定することのできる場所が広範囲に及ぶ場合に、その特定に係る処理量が膨大になることがある。また、撮影画像が二次元の画像で表現される場合、その奥行き方向に相当する方向の端末位置の精度はその他の方向に比べて低下しやすい。
そこで、本発明の目的は、通信端末の位置から撮影した撮影画像を用いて端末位置を特定するための処理の量が増大すること、及び特定する端末位置の精度が低下することを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様に係るサーバ装置は、外部の通信端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を、部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を取得する第1取得部と、所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部により取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部により特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信する情報送信部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の好ましい態様において、前記記憶部は、前記各位置を示す位置情報に対応付けて、さらに当該位置から撮影した方位を示す方位情報を記憶し、前記第2取得部は、前記設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報と方位情報とを、前記記憶部から取得し、前記位置特定部は、前記第2取得部により取得された方位情報に応じた傾きの前記直線を算出して、前記通信端末の位置を特定することを特徴とする。
【0007】
本発明の別の好ましい態様において、前記複数方位が、第1の方位、及び前記第1の方位に直交する第2の方位である場合、前記位置特定部は、前記第1の方位について算出した前記直線と、前記第2の方位について算出した前記直線とが交差する点を前記通信端末の位置として特定することを特徴とする。
本発明の別の好ましい態様において、前記複数方位が、3以上の方位である場合、前記位置特定部は、前記直線どうしが交差する点が複数あるときには、それら複数の点の位置情報を平均した点を前記通信端末の位置として特定することを特徴とする。
【0008】
本発明の別の好ましい態様において、前記位置特定部は、前記第2取得部により取得された位置情報に重み付けをして、基準となる方位である第1の基準方位と、当該第1の基準方位に直交する第2の基準方位とに対する前記通信端末の位置を特定するものであり、前記第1の基準方位と、前記第1の代表色情報を得るための撮影をした方位とのなす角が90度に近いほど、前記第1の基準方位に対応する位置情報の重み付け係数を大きくし、前記第2の基準方位と、前記第1の代表色情報を得るための撮影をした方位とのなす角が90度に近いほど、前記第2の基準方位に対応する位置情報の重み付け係数を大きくすることを特徴とする。
本発明の別の好ましい態様において、前記位置特定部は、前記差分が小さいほど重み付け係数が大きくなるように、前記第2取得部により取得された位置情報に重み付けをして前記通信端末の位置を特定することを特徴とする。
【0009】
本発明の別の好ましい態様において、前記通信端末が存在する領域を特定する領域特定部を備え、前記記憶部は、前記各位置を示す位置情報に対応付けて、さらに当該位置が含まれる領域を示す領域情報を記憶し、前記第2取得部は、前記領域特定部により特定された領域を示す領域情報に対応付けて前記記憶部に記憶された位置情報を取得の対象とすることを特徴とする。
【0010】
本発明の別の態様に係るプログラムは、コンピュータに、外部の通信端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を、部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を取得する第1取得ステップと、所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する第2取得ステップと、前記第2取得ステップにおいて取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定ステップと、前記位置特定ステップにおいて特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信されるように出力する情報出力ステップとを実行させるためのものである。
【0011】
本発明の別の態様に係る位置特定システムは、サーバ装置と、前記サーバ装置と通信する外部の通信端末とを備え、前記通信端末は、自端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を表す撮影データを、前記サーバ装置宛てに送信する撮影データ送信部を有し、前記サーバ装置は、前記通信端末の撮影データ送信部により送信された撮影データを受信する撮影データ受信部と、前記撮影データ受信部により受信された撮影データに基づいて、前記通信端末の位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を、部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を算出する算出部と、所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部により特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信する情報送信部とを有し、前記通信端末は、前記情報送信部により送信された前記報知するための情報を受信する情報受信部と、前記情報受信部により受信された情報に応じた内容を報知する報知部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の別の態様に係る位置特定システムは、サーバ装置と、前記サーバ装置と通信する外部の通信端末とを備え、前記通信端末は、自端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を表す撮影データに基づいて、当該各撮影画像を部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記第1代表色情報を前記サーバ装置宛てに送信する代表色情報送信部とを有し、前記サーバ装置は、前記代表色情報送信部により送信された第1代表色情報を受信する代表色情報受信部と、所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部により特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信する情報送信部とを有し、前記通信端末は、前記サーバ装置の情報送信部により送信された前記報知するための情報を受信する情報受信部と、自端末の前記情報受信部により受信された情報に応じた内容を報知する報知部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信端末の位置から撮影した撮影画像を用いて端末位置を特定するための処理の量が増大すること、及び特定する端末位置の精度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】位置特定システムの全体構成を示す図。
【図2】サーバ装置の構成を示すブロック図。
【図3】通信端末の構成を示すブロック図。
【図4】地図画像の一例を表す図。
【図5】位置情報を説明する図。
【図6】検索情報DBの構造を説明する図。
【図7】撮影方位の定義を説明する図。
【図8】代表色情報の内容を説明する図。
【図9】サーバ装置の制御部が実現する機能構成を示す機能ブロック図。
【図10】差分スコアの算出手順を説明する図。
【図11】複数方位の撮影画像の代表色情報を要する理由を説明する図。
【図12】位置特定システムにおいて実行される動作の手順を示すシーケンス図。
【図13】端末位置を特定する手順を説明する図。
【図14】端末位置の報知の態様を説明する図。
【図15】差分スコアと重み付け係数との対応関係を示すグラフ。
【図16】端末位置を特定する手順を説明する図。
【図17】視線直線の算出手順を説明する図。
【図18】検索情報の構造を説明する図。
【図19】サーバ装置の制御部が実現する機能構成を示す機能ブロック図。
【図20】検索情報の構造を説明する図。
【図21】コンテンツ管理テーブルの構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
[実施形態の構成]
図1は、位置特定システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、位置特定システム1は、サーバ装置10と通信端末20とを備え、これらは通信網NWを介して互いに通信可能に接続されている。通信網NWは、移動通信網やインターネット、ゲートウェイなどを含む通信網である。サーバ装置10は、通信端末20の位置を特定するサービスを提供する、例えば通信会社に設置されるものである。通信端末20は、サーバ装置10から見て外部の通信端末であり、ここでは無線通信端末のひとつである携帯電話端末である。
なお、図1には通信端末20を1つだけ記載しているが、実際には更に多数の通信端末20が位置特定システム1に含まれる。
【0016】
図2は、サーバ装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、サーバ装置10は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを備える。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算装置やメモリを備え、プログラムを実行することによりサーバ装置10の各部の動作を制御する。通信部12は、通信網NWに接続するためのインタフェースである。記憶部13は、例えばハードディスク装置を備え、検索情報DB(Data Base)131を含む各種のデータを記憶する。検索情報DB131は、検索の対象となる情報である検索情報を含むデータベースであるが、その内容について詳しくは後述する。
【0017】
図3は、通信端末20の構成を示すブロック図である。図3に示すように、通信端末20は、制御部21と、通信部22と、撮影部23と、表示部24と、記憶部25と、操作部26とを備える。
制御部21は、CPUを含む演算装置やメモリを備え、プログラムを実行することにより通信端末20の各部の動作を制御する。通信部22は、無線通信回路やアンテナを備え、通信網NWに接続するためのインタフェースである。撮影部23は、CCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を備え、撮影し、その撮影により得られる二次元の画像(つまり、撮影画像)を表す撮影データを生成する。表示部24は、例えば液晶駆動回路や液晶ディスプレイを備え、画像の表示により情報に応じた内容を報知する。記憶部25は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)を備え、位置特定アプリ251及び地図データ252を含む各種のデータを記憶する。操作部26は、テンキーなどの複数の操作子を備え、ユーザによる操作子の操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を制御部21に出力する。
なお、通信端末20は、上記構成以外にも、受話音声を収音するマイクや送話音声を放音するスピーカなど、携帯電話端末が通常有している構成を備える。
【0018】
位置特定アプリ251は、通信端末20の位置を特定する処理が実行される際に、制御部21により実行されるアプリケーションプログラムである。地図データ252は、地球上の様々な場所の地図を表す画像(つまり、地図画像)を示すデータである。この地図画像は、上方からそれら各場所を重力方向に見下ろしたときの様子を表す二次元の画像である。地図データ252は、制御部21により通信端末20の位置をユーザに報知するための処理が実行される際に用いられる。
【0019】
図4は、地図画像の一例を表す図である。図4に示す地図画像は、或る地下街の一部を表すものである。この地図画像においては、図中右方向が「東」の方位に対応しており、図中上方向が「北」の方位に対応している。
図4に示す「A」〜「G」の各符号は、その地下街にある店舗や事務所などの各施設に対応し、それぞれ実線で囲まれた領域がその施設の敷地に相当する。また、「中央通り」、「東通り」と付された領域は、それらの名称の通路に相当する領域である。
地図データ252が示す地図画像上の各位置には、その位置を示す位置情報が割り当てられている。この位置情報は、地図データ252に含まれている。
【0020】
図5は、位置情報を説明する図である。なお、図5に示す点線は、図4に示した地図画像に表す各施設及び通路に相当する領域を表す。
図5に示すように、二次元のXY直交座標系に従ってX軸、Y軸が定められ、これら各軸方向に対する座標が位置情報である。X軸方向は、東西方向に対応する方向であり、東であるほどX軸方向に対する位置情報の値は大きい。すなわち、X軸方向の座標は、基準となる方位である、ここでは「東」の方位に対する位置を表すものである。この基準となる方位を以下では「第1基準方位」という。Y軸方向は、南北方向に対応する方向であり、北であるほどY軸方向に対する位置情報の値は大きい。すなわち、Y軸方向の座標は、基準となる方位である、ここでは「北」の方位に対する位置を表すものである。この基準となる方位を以下では「第2基準方位」という。また、ここでは簡単のために、図4の地図画像における左下部付近の位置を示す位置情報を(x,y)=(0、0)(つまり、X軸方向の位置情報が「x」で、Y軸方向の位置情報が「y」である。以下同じ。)とする。この位置情報は、地図画像上の各位置で異なるものであり、ここでは位置情報から経度緯度が特定可能であるとする。
なお、位置情報の値は経度緯度に一致する値であってもよく、その内容は任意である。また、図5には、位置情報の値が整数であるもののみを図示しているが、実際には小数点以下の単位で位置情報が割り当てられている。
【0021】
次に、検索情報DB131について説明する。
図6は、検索情報DB131の構造を説明する図である。図6(a)は、検索情報DB131の全体構造を表したものである。図6(b)は、検索情報DB131に含まれる一組の検索情報の構造を表したものである。
図6(b)に示すように、検索情報は、代表色情報と、位置情報(x,y)と、方位情報とを対応付けて一組とするものである。検索情報を構成する各情報は、図6(a)に示すように、「,(カンマ)」で区切って記述されている。具体的には、「代表色情報,位置情報(X軸方向),位置情報(Y軸方向),方位情報」という形式で検索情報は記述される。
【0022】
検索情報DB131は、サーバ装置10の製造段階で生成されるものである。例えば、設計者が端末位置の特定を可能にする各場所に実際に出向いて、デジタルカメラなどの撮影装置を用いて複数方位を撮影する。この撮影により得られる撮影画像を基に代表色情報が生成される。ここでは、検索情報DB131に含まれる検索情報は、水平方向の被写体を撮影した撮影画像を基に生成されているとする。
図7は、代表色情報の内容を説明する図である。図7(a)は、或る場所でした撮影により得られる撮影画像IMGを表したものである。図7(b)は、撮影画像IMGの代表色情報を表すものである。
図7(a)に示す撮影画像IMGを表す撮影データは、撮影画像IMGを構成する複数の画素の階調値を含む画像データである。各画素の階調値は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色成分のそれぞれについて256階調(8ビット)で表され、加法混色により各画素の色が表現される。ここでは、図7(a)に示すように、撮影画像IMGの画像領域が格子状に3×3の計9つの部分領域T1〜T9に分割された場合を考える。部分領域T1〜T9は、それぞれが複数の画素を含む画像領域であり、ここでは互いに同一形状、且つ同一寸法であるとする。撮影画像IMGの代表色情報は、これら各部分領域の代表色に対応する階調値を含む。代表色は、各部分領域の代表となる色であるが、例えば部分領域の最も多くの面積を占める色であってもよいし、予め決められた複数色のうちその部分領域の最も特徴的な色であってもよい。各部分領域の代表色情報は、ここではR、G、Bの各色成分について0からFという16階調の階調値によって表される。例えば、部分領域T1のR成分が「7」で、G成分が「8」で、B成分が「9」である場合、図7(b)に示すように、部分領域T1の代表色情報は「789」と表される。部分領域T1〜T9のそれぞれについてこの手順で代表色情報が算出され、これら各代表色情報が決められた順順序で並べられたものが撮影画像IMGの代表色情報である。ここでは、撮影画像IMGの代表色情報は、部分領域の符号の末尾の数字が昇順となるように各代表色情報を並べたものである。
以上のとおり、撮影画像の代表色情報は、元の撮影データから階調数、及び撮影画像に含まれる画像領域の数を間引いた情報である。
【0023】
位置情報は、撮影画像IMGを得るための撮影が行われた所定の場所における各位置(つまり、撮影位置)を示す情報である。撮影位置は、通信端末20が存在し得る場所に含まれ、人物が訪れることのできる場所である。この位置情報は、地図データ252に割り当てられたものと共通する(図5を参照。)。方位情報は、その位置情報が示す位置(撮影位置)から撮影された方位(以下、「撮影方位」という。)を示す情報である。
図8は、撮影方位の定義を説明する図である。図8の左側に示すように、方位情報は、第1基準方位(ここでは、東)と撮影方位とのなす角の角度(つまり、方位角)を示す。そして、この実施形態では、図8の右側に示すように、ひとつの撮影位置につき、2π(=360度)/16=22.5度ずつ異なる各方位を示す方位情報が含まれる。具体的には、撮影方位が「東」であれば、θ=0度であるから、方位情報は「0000」であり、θ=22.5度であれば、方位情報は「0225」である。
なお、方位情報は、撮影方向の仰角や俯角に左右されないものである。
【0024】
検索情報DB131に含まれる一組の検索情報についての説明は以上のとおりである。
ところで、検索情報DB131には、ひとつの撮影位置につき複数方位(ここでは、16方位)の各方位に対応する検索情報が含まれる。検索情報DB131をこの構成とする理由については後述する。
検索情報DB131には、地下街や建造物・施設内などの、所定の場所の各位置に対応する検索情報が含まれている。どの場所の検索情報が生成されるかについては、位置特定システム1によって通信端末20の位置特定を可能とする任意の場所とすることができるが、ここでは、時刻や天候、季節などによって明るさが変化しない場所を想定する。また、検索情報DB131は、撮影部23が撮影した撮影画像に含まれる範囲に対して十分に小さい間隔毎の撮影により得られる撮影画像を基に生成されている。これにより、通信端末20が、位置特定が可能な場所のどの位置で撮影をした場合であっても、撮影結果に相当する検索情報が検索情報DB131に含まれることになる。
なお、方位情報の種類は、撮影位置からどの撮影方位を撮影した場合であっても、それに対応する検索情報が検索情報DB131に含まれるように定められており、例えば22.5度間隔の16方位とすればよい、という知見を発明者らは得た。
【0025】
図9は、サーバ装置10の制御部11が実現する機能構成を示す機能ブロック図である。制御部11はプログラムを実行することにより、算出部111、第1取得部112、第2取得部113、位置特定部114、及び情報出力部115に相当する各機能を実現する。
算出部111は、通信端末20の位置から複数方位(ここでは、第1及び第2撮影方位の2方位)を撮影した各撮影画像の代表色情報を算出する。算出部111が算出する代表色情報は、本発明の第1代表色情報に相当するものであり、以下の説明では「第1代表色情報」と称することがある。
ここでいう通信端末20の位置とは、より詳細には撮影部23の位置のことをいう。そうすると、ユーザが同一の撮影位置から第1及び第2撮影方位を撮影させようとしても、厳密にはそれぞれで撮影部23の位置が異なることが考えられる。しかしながら、この場合であっても、位置特定システム1では同一の位置で撮影がされたものとみなす。また、算出部111が第1代表色情報を算出するために用いる撮影画像について、それを得るための撮影範囲や倍率(例えば、光学倍率)などの撮影条件は、検索情報DB131が生成されるときのものと同じであるとする。この撮影条件は、位置特定アプリ251により規定されるとよい。
【0026】
第1取得部112は、算出部111によって算出された第1代表色情報を取得する。
第2取得部113は、検索情報DB131を記憶する記憶部13から、第1取得部112により取得された第1代表色情報と、検索情報DB131に含まれる代表色情報との差分(後述する、差分スコア)が、予め設定された条件を満たす代表色情報に対応付けられた検索情報(ここでは、位置情報及び方位情報)を取得する。検索情報DB131に含まれる代表色情報は、本発明の第2代表色情報に相当するものであり、第1代表色情報と区別するために、以下の説明では「第2代表色情報」と称することがある。予め設定された条件とは、ここでは、第1代表色情報と第2代表色情報との差分が閾値以下である条件のことをいう。この条件は、これ以外にも、例えば、制御部11が差分スコアが小さい順に検索情報(第2代表色情報)に優先順位を付与して、その優先順位が上位である予め決められた数の差分スコアであってもよい。要するに、比較の対象となる第1及び第2の代表色情報の類似度が一定値以上であることを示す指標となる条件であればよい。
位置特定部114は、第2取得部113により取得された位置情報が示す分布から撮影画像ごとに算出した直線(後述する、「視線直線」)どうしが交差する点を、通信端末20の位置として特定する。具体的には、位置特定部114は、第1の基準方位である「東」をX軸に対応させ、第2の基準方位をY軸に対応させたXY平面上の点を、通信端末20の位置として特定する。
情報出力部115は、位置特定部114により特定された位置を報知するための情報を、通信端末20宛てに送信されるように通信部12に出力する。
【0027】
図10は、差分スコアの算出手順を説明する図である。
図10に示すように、第1及び第2代表色情報のそれぞれで先頭からの位置が同じである階調値どうしは、互いに同じ部分領域の、同じ色成分の階調値を表す。算出部111は、第1代表色情報と第2代表色情報との、同じ位置どうしの階調値の差分(より具体的には、差分の絶対値)をそれぞれ算出する。図10に示す例で、一番左側の数値は、部分領域T1のR成分の階調値を表すが、この場合両方の階調値が「7」であるから、その差分は「0」である。左から二番目の数値は、部分領域T1のG成分の階調値を表すが、第1代表色情報の階調値は「7」であるのに対し、第2代表色情報の階調値は「8」であるから、その差分は「1」である。算出部111は、これと同様にして各代表色情報の同じ位置どうしの階調値の差分を求め、求めた差分の総和を差分スコアとして算出する。図10に示す例では、差分スコアは「20」である。
以上の手順で算出される差分スコアは、比較する画像どうしの色の差異の大きさの指標となるパラメータであり、その値が小さいほど比較される画像どうしの類似度が高いことを意味する。
【0028】
次に、位置特定部114が複数方位の撮影画像の代表色情報を用いて端末位置を特定する理由について、図11を参照しつつ説明する。図11(a)は、或る撮影位置Pfから第1撮影方位を撮影するときの様子を説明する図である。図11(b)は、撮影位置Pfから第2撮影方位を撮影するときの様子を説明する図である。図11(c)は、位置特定部114が通信端末20の位置を特定するときのアルゴリズムについて説明する図である。図11(a)、(b)に示す黒丸印はそれぞれが撮影位置を表す。図11(c)に示す黒丸印は、これら各撮影位置に対応する地図画像上の位置を表す。ここでは、第1撮影方位と第2撮影方位とが互いに直交する場合を想定する。
図11(a)に示すように、撮影位置Pfから第1撮影方位を撮影する場合、図中の被写体の撮影範囲Prxを撮影可能である。一方、撮影位置Pfから第1撮影方位に向かって或る距離だけ移動した撮影位置Pfx1で第1撮影方位を撮影した場合、撮影範囲Prx1を撮影可能である。また、撮影位置Pfから第1撮影方位の反対方向に或る距離だけ移動した撮影位置Pfx2で第1撮影方位を撮影した場合、撮影範囲Prx2を撮影可能である。これら各撮影位置についての撮影範囲を比べると、撮影範囲Pr、Prx1、Prx2はほぼ一致する。つまり、各撮影位置の撮影により得られる撮影画像には若干の撮影範囲の違いしか存在しないこととなり、その結果、これら各撮影画像の代表色情報が互いに同一、又はほぼ同一となることが考えられる。元の撮影画像であれば少しの撮影範囲の違いで若干の内容の変化は生じ得るが、それら各撮影画像の代表色情報にあってはその変化が生じ難い。これでは、代表色情報の結果から、第1撮影方位に対して実際にどの撮影位置で撮影されたかを特定することは難しい。ここで、同一の代表色情報が得られる撮影位置どうしを結んだ場合、図11(a)からも分かるように、理想的には第1撮影方位に延びる直線で近似して表すことができる。換言すると、この直線は、実際の撮影位置の候補となる位置を表す。地図データ252が表す地図画像上にこの直線を表したものを、その位置にいるユーザの視線の方向に一致するという考えから、以下では「視線直線」と称する。ここでは、図11(c)に示す視線直線L1が導出されるとする。
このように、第1撮影方位の撮影画像に基づいて撮影位置を特定しようとすると、第1撮影方位に対する端末位置の精度は、それとは異なる方位に対する端末位置の精度に比べて低いと考えられる。
【0029】
図11(b)に示すように、撮影位置Pfから第2撮影方位を撮影した場合に、撮影位置Pf,Pfy1、Pfy2の各位置での撮影範囲がそれぞれ撮影位置Pr、Pry1、Pry2であるとする。この場合も、上記理由により、これら各位置の各撮影画像の代表色情報も互いに同一、又はほぼ同一となることが考えられる。ここで同一の代表色情報が得られる撮影位置どうしを結んだ場合、理想的には第2撮影方位に延びる直線で近似して表すことができる。この直線に対応する視線直線は、図11(c)に示される視線直線L2であるとする。
このように、第2撮影方位の撮影画像に基づいて撮影位置を特定しようとすると、第2撮影方位に対する端末位置の精度は、それとは異なる方位に対する端末位置の精度に比べて低いと考えられる。
【0030】
以上の理由から、位置特定部114は、撮影画像ごとに特定した端末位置の結果を組み合わせ、最終的な通信端末20の位置を特定する。具体的には、位置特定部114は、図11(c)に示すように、視線直線L1、L2どうしが交差する点を通信端末20の位置として特定する。すなわち、位置特定部114は、複数の撮影画像のそれぞれから第1及び第2撮影方位について特定した端末位置のうち、その精度が良い方位に対する結果をそれぞれ採用する。
【0031】
[実施形態の動作]
次に、本実施形態の動作について説明する。図12は、位置特定システム1において実行される処理の手順を示すシーケンス図である。
まず、通信端末20の制御部21は、位置特定アプリ251の実行を指示するための操作部26の操作を受け付けると、位置特定アプリ251を記憶部25から読み出してこれを実行する。制御部21は、位置特定アプリ251を実行すると、まず、第1撮影方位を撮影部23によって撮影し、その撮影画像を表す第1撮影データを生成する(ステップS1)。このとき、例えば、ユーザは撮影部23を任意の方位である第1撮影方位に向けて通信端末20を持ち、撮影を指示する旨の操作部26の操作を行う。制御部21は、操作部26により撮影を指示する旨の操作を受け付けると、撮影部23によって撮影する。制御部21は、生成した第1撮影データを一時的にメモリに記憶する。
【0032】
次に、制御部21は、第2撮影方位を撮影部23によって撮影し、その撮影画像を表す第2撮影データを生成する(ステップS2)。このとき、ユーザは、撮影部23を第1撮影方位とは別の方位である第2撮影方位に向けて通信端末20を持ち、撮影を指示する旨の操作部26の操作を行う。そして、制御部21は、操作部26により撮影を指示する旨の操作を受け付けると、撮影部23によって撮影する。制御部21は、生成した第2撮影データを一時的にメモリに記憶する。この第1及び第2撮影方位は、互いに直交する方位であることが好ましい。
【0033】
次に、制御部21は、メモリに記憶しておいた第1及び第2撮影データを、通信部22によってサーバ装置10宛てに送信する(ステップS3)。すなわち、制御部21及び通信部22は、本発明の撮影データ送信部の一例に相当する。
サーバ装置10の制御部11は、通信端末20により送信された第1及び第2撮影データを通信部12によって受信すると、これを一時的にメモリに記憶する。すなわち、制御部21及び通信部22は、本発明の撮影データ受信部の一例に相当する。そして、制御部11は、受信した第1及び第2撮影データに基づいて、各撮影画像の第1代表色情報を算出し、これを取得する(ステップS4)。
【0034】
次に、制御部11は、第1撮影方位について検索情報DB131に対する検索を行って、予め設定された条件を満たす位置情報及び方位情報を取得する(ステップS5)。ここでは、制御部11は、検索情報DB131において、差分スコアが閾値(例えば、「40」)以下である第2代表色情報に対応付けられた位置情報と方位情報とを、検索情報DB131から取得する。続いて、制御部11は、第2撮影方位について検索情報DB131に対する検索を行って、予め設定された条件を満たす位置情報及び方位情報を取得する(ステップS6)、ここでも、制御部11は、検索情報DB131において、差分スコアが閾値以下である第2代表色情報に対応付けられた位置情報と方位情報とを取得する。
なお、以下では、ステップS5、S6に相当する処理で位置情報と方位情報とを取得することを、検索情報を取得する、と換言することがある。
【0035】
そして、制御部11は、視線直線を算出する(ステップS7)。ここでは、制御部11は、図13に示すように、ステップS5、6の処理で取得した検索情報に基づいて、撮影画像ごとにひとつずつ算出する。ここでは、制御部11は、第1の撮影データに基づいて視線直線L1を算出し、第2の撮影データに基づいてL2を算出する。図13において、黒丸印は第1撮影方位について取得された位置情報が示す点を表し、白丸印は第2撮影方位について取得された位置情報が示す点を表す。各視線直線の傾きは、制御部11が検索情報DB131から取得した方位情報に応じて決められる。図11(a)、(b)に示したように、撮影位置の候補となる位置は理想的には撮影方位に対して直線状に分布するので、この撮影方位に応じた視線直線の傾きとする。具体的には、制御部11は、方位情報が示す方位角θを用いて、視線直線の傾きを「tanθ」と定める。そして、制御部11は、この傾きの直線であって、ステップS5、S6で取得した位置情報を例えば最も精度良く近似した直線を、視線直線として算出する。
なお、制御部11は、取得した位置情報を最小二乗法などの周知の回帰分析を用いて近似することで、視線直線を算出してもよい。この場合、制御部11は、視線直線の傾きを特定する際に、検索情報DB131の方位情報を参照しない。
【0036】
そして、制御部11は、視線直線L1と視線直線L2とが交差する点に基づいて通信端末20の位置を特定する(ステップS8)。ここでは、制御部11は、視線直線L1、L2が交差する点の位置情報(x,y)=(4,2)を取得し、この点が示す通信端末20の位置を特定する。
【0037】
次に、制御部11は、特定した位置を通信端末20に報知するための情報として、ステップS8で特定した位置情報(x,y)を、通信部12により通信端末20宛てに送信する(ステップS9)。すなわち、制御部11及び通信部12は、本発明の情報送信部の一例に相当する。
【0038】
通信端末20の制御部21は、位置情報(x,y)を通信部22により受信すると、これを一時的にメモリに記憶する。すなわち、制御部21及び通信部22は、本発明の情報受信部の一例に相当する。そして、制御部21は、記憶部25から地図データ252を読み出し、地図データ252が表す地図画像上のその位置情報が示す位置にマーキングをして表示部24に表示させる(ステップS10)。制御部21は、ステップS10の処理により位置情報に応じた内容を報知する。すなわち、制御部21及び表示部24は、本発明の報知部の一例に相当する。
【0039】
図14は、通信端末20による端末位置の報知の態様を説明する図である。図14には、ステップS10の処理により表示部24に表示される表示画面Dの一例を示す。
図14に示すように、表示画面Dには、サーバ装置10が特定した位置情報(x,y)=(4,2)が示す位置に「◎」印がマーキングされ、「現在地」と付された地図画像Mが含まれる。この地図画像Dを見たユーザは、自身が現在どの位置にいるかを視覚的に把握することができる。
制御部21は、表示画面Dを表示する際に以下の処理も実行する。
制御部21は、通信端末20の位置が特定された日時や、位置情報により特定される緯度経度、信頼レベルなどの情報を文字により表示する。信頼レベルは、特定された端末位置の信頼度を示すものである。ここでは、「★」の数が多いほど信頼レベルが高い。制御部21が信頼レベルを報知するために、サーバ装置10は、ステップS5、6で算出した差分スコアに応じた信頼レベルを通信端末20に通知するとよい。例えば、制御部11がステップS5、6で算出した差分スコアの最小値が小さいほど信頼レベルを高くしてもよいし、閾値以下であった差分スコアの平均が小さいほど信頼レベルを高くしてもよい。
なお、表示画面Dに含まれる内容はあくまで一例であり、それ以外の情報が含まれてもよいし、一部の情報が省かれてもよい。
【0040】
以上のとおり、サーバ装置10は、通信端末20の位置から撮影した複数方位の各撮影画像の第1代表色情報を算出し、撮影画像ごとに、第1代表色情報との類似度が高い第2代表色情報に対応付けられた検索情報を、検索情報DB131から取得する。そして、サーバ装置10は、取得した位置情報の分布から撮影画像ごとに算出した視線直線どうしが交差する点に基づいて、通信端末20の位置を特定する。これにより、二次元の撮影画像において奥行き方向に相当する方向の端末位置の精度が低下する場合であっても、他の撮影方位の撮影画像を用いてその方向に対する端末位置の精度を向上させることができる。よって、位置特定システム1によれば、二次元の画像を用いて端末位置を特定する構成におけるその精度の低下を、従来よりも抑制することができる。また、ユーザにとっては任意の撮影方位を選んで撮影することができ、撮影に関するユーザの負担の増大を抑制することができる。
【0041】
また、サーバ装置10は、画像どうしをパターンマッチング処理などにより比較するのではなく、代表色情報という情報量が少なく簡素な構造のデータを用いるから、撮影画像そのものを比較する構成に比べて、位置の特定に係る処理量の増大を抑制することができる。更に、例えば撮影時の通信端末20の傾きや撮影位置のズレなどによって、通信端末20のユーザが同じ撮影位置で同じ撮影方位を撮影したつもりであっても、撮影画像の内容がそれぞれ異なることがある。また、撮影画像の一部に周辺の人物など意図せぬ被写体が含まれることも考えられる。これらの場合、撮影画像そのものを比較して端末位置を特定する構成では、データベース上の本来一致すべき撮影画像を探し出すことができず、端末位置を正しく特定することができないこともある。これに対し、代表色情報は撮影画像を部分領域ごとの代表色を示したものであるから、撮影位置や撮影方位の条件が理想的なものから多少ずれていたり、意図せぬ被写体が撮影画像に僅かに含まれたりしても、これらの影響を無視して、端末位置を正しく特定することが期待できる。よって、位置特定システム1によれば、通信端末20のユーザに対する撮影時の負担を抑えつつ、端末位置を特定することもできる。
【0042】
また、この実施形態のように、撮影画像から階調数を減じた代表色情報を用いることで、仮に、検索情報DBの生成の際に用いられる撮影装置と撮影部23との撮影条件の相違があったり、それぞれの撮影時で同じ場所における明るさの相違が若干あったりした場合でも、パターンマッチング処理を行う場合に比べれば、それによる悪影響は少ないとも考えられる。
以上の理由により、位置特定システム1によれば、地下街や施設内などの例えばGPS(Global Positioning System)による位置測定が困難な場所であったとしても、通信端末20の位置を精度よく特定することができる。
【0043】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。本発明は、例えば、以下のような形態で実施することも可能である。また、以下に示す変形例は、各々を適宜に組み合わせてもよい。
[変形例1]
上述した実施形態では、制御部11は、ステップS5、S6の処理で取得した検索情報に基づいて視線直線を算出していた。この構成の場合、各位置情報が平等に扱われるわけであるが、制御部11は、差分スコアに応じて位置情報に重み付けをしてもよい。つまり、差分スコアが小さく、端末位置を示すものとして精度が高いと思われる結果をより重視するように、制御部11は各位置情報を扱う。
図15は、差分スコアと重み付け係数との対応関係の一例を示すグラフである。図15に示すグラフにおいて、横軸は差分スコアを表し、縦軸は重み付け係数を表す。ここでは、位置特定部114が取得する位置情報の差分スコア(つまり、閾値)を最大の差分スコアとし、差分スコア「0」を最小の差分スコアとし、最大及び最小の差分スコアの範囲で正規化を行うことで重み付け係数が決定されている。具体的には、差分スコア「0」に対する重み付け係数は「1」であり、最大の差分スコア(閾値)に対する重み付け係数は「0」である。その他の差分スコアについては、差分スコアが増大するにつれて重み付け係数が線形減少する。図15に示す差分スコアと重み付け係数との対応関係は、例えばテーブル形式や関数で表現され、記憶部13に記憶されている。
【0044】
制御部11は、ステップS5、S6の処理を実行して検索情報を取得すると、記憶部13から差分スコアと重み付け係数との対応関係を読み出し、各位置情報に対する重み付け係数を決定する。そして、制御部11は、決定した重み付け係数を乗算した位置情報に基づき、例えば加重移動平均などの公知の重み付け演算に従って、撮影画像ごとに視線直線を算出する。
この重み付けによってより信頼性の高いと思われる位置情報の結果を相対的に重視することになるから、端末位置の特定の精度がより向上することが期待できる。
なお、差分スコアと重み付け係数との対応関係は、図15に示す態様に限らない。要するに、制御部11は、差分スコアが小さい第2代表色情報に対応付けられたものほど重み付け係数が大きくなるように各位置情報に重み付けをするとよい。また、この構成において、差分スコアが異なるものの重み付け係数が同じである区間が存在しても構わない。
【0045】
[変形例2]
上述した実施形態の位置特定システム1において、3以上の撮影方位の撮影画像に基づいて通信端末20の位置を特定してもよい。この場合、通信端末20は、ステップS1、S2の処理と同じ手順で、さらに別の撮影方位を撮影して撮影画像を表す撮影データを生成し、それをサーバ装置10宛てに送信する。一方、サーバ装置10は、ステップS5、6と同様の手順により撮影画像ごとに検索情報を取得し、ステップS7で視線直線を算出する。
図16は、3方位の撮影画像に基づいて位置特定を行う際のアルゴリズムを説明する図である。図16に示すように、ここでは3つの視線直線L11、L12、L13が算出されたとする。また、これらの視線直線の交差する点がP1,P2、P3の3つであるとする。この場合、制御部11は、P1,P2、P3の位置情報を平均した点Pが示す通信端末20の位置を特定する。また、平均に代えて、制御部11は、各交差する点を線分で結んで形成される図形の内側の領域が示す通信端末20の位置として特定してもよい。例えば、制御部11は、P1〜P3を線分結んで形成される三角形の重心が示す通信端末20の位置を特定する。これにより、サーバ装置10は、視線直線どうしが交差する複数の点のそれぞれから近い位置を、通信端末20の位置として特定することができる。
なお、通信端末20が撮影画像を得る撮影方位はさらに多くてもよく、その数が多いほど端末位置の特定の精度を向上すると考えられる。また、3方位以上の撮影方位を採用した場合であっても、1点のみで視線直線が交差することも考えられる。この場合、制御部11はこの1点が示す通信端末20の位置を特定するとよい。また、通信端末20が撮影方位の数を決定してもよく、この場合、サーバ装置10は通信端末20から受信した撮影データが示す撮影画像の数に応じた処理を行うとよい。
【0046】
[変形例3]
上述した実施形態の構成に代えて、制御部11は、通信端末20により行われた撮影の撮影方位に応じて位置情報を重み付けしてもよい。例えば、或る方位に対する端末位置は、それに直交する方位に近い撮影方位についての端末位置の特定結果ほど、信頼性が高いと考えられる。そこで、この変形例では、サーバ装置10は、第1又は第2基準方位とのなす角が90度に近い撮影方位ほど、その基準方位に対応する位置情報に対する重み付け係数を大きくし、視線直線を算出する。
【0047】
次に、この変形例における視線直線の算出手順について、図17を参照しつつ説明する。図17(a)は、ステップS5の処理による第1の撮影方位についての検索結果を表し、図17(b)は、ステップS6の処理による第2の撮影方位についての検索結果を表す。図17に示す各丸印は、検索情報DB131から取得された位置情報が示す撮影位置を表し、各丸印から延びる矢印は、検索情報DB131においてその位置情報に対応付けられた方位情報が示すに撮影方位を表す。
まず、図17(a)を用いて視線直線の算出手順を説明する。ここでは、ステップS5の処理によりn(ここでは、n=8)個の検索情報(具体的には、位置情報及び方位情報)が制御部11により取得されたとする。また、n個の検索情報のそれぞれに対し互いに異なる変数i(=1〜n)を割り当てる。そして、変数iが割り当てられた検索情報に含まれる位置情報が示す位置をPiと表すとともに、方位情報が示す撮影方位をθiと表す。
【0048】
まず、制御部11は、下記式(1)、(2)の演算をそれぞれ行うことにより、これら各位置情報に対して撮影方位に応じた重み付けをして、それらの位置情報の平均値を算出する。以下、式(1)、(2)により算出される位置情報が示す位置を「平均点」と称するともに、その位置情報を(xa,ya)と表す。ここでは、式(1)、(2)に示すsinθi、cosθiがそれぞれ重み付け係数に相当する。
【数1】

【数2】

【0049】
式(1)は、平均点の第1基準方位に対応する位置情報(つまり、X軸方向の位置情報)の算出式であるが、θiが90度又は270度に近いほど、|sinθi|の値が「1」に近づくので重み付け係数は相対的に大きくなり、反対に、θiが0度又は180度に近いほど、|sinθi|の値が「0」に近づくので重み付け係数は相対的に小さくなる。換言すると、第1基準方位(θ=90度、270度)に直交する方位に近いほど、重み付け係数が大きくなり、第1基準方位(θ=0度、180度)に近い方位ほど、重み付け係数が小さくなるということである。図17(a)の例では、白丸印、斜線丸印、黒丸印の順でX軸方向の位置情報が重視されることになる。
一方、式(2)は、平均点の第2基準方位に対応する位置情報(つまり、Y軸方向の位置情報)の算出式であるが、θiが0度又は180度に近いほど、|cosθi|の値が「1」に近づくので重み付け係数は相対的に大きくなり、反対に、θiが90度又は270度に近いほど、|cosθi|の値が「0」に近づくので重み付け係数は相対的に小さくなる。換言すると、第2基準方位(θ=0度、180度)に直交する方位に近いほど、重み付け係数が大きくなり、第2基準方位(θ=90度、270度)に近い方位ほど、重み付け係数が小さくなるということである。図17(a)の例では、黒丸印、白丸印、斜線丸印の順でY軸方向の位置情報が重視されることになる。
このようにして、制御部11は、基準方位に直交する撮影方位であるほど重み付け係数が大きくなるように、各位置情報に重み付けをする。
【0050】
そして、制御部11は、式(1)、(2)の演算結果に基づいて、視線直線の式Y=aX+bを算出する。この視線直線は平均点(xa、ya)を通過するものであり、傾きaは実施形態と同様に撮影方位により決定付けられる。視線直線の式において、a,bは定数であり、下記式(3)、(4)の関係を満たす。また、θaは、検索により取得されたn個の検索情報に含まれる方位情報が示す方位角の平均である。
a=tanθa ・・・(3)
b=ya−xa・tanθa ・・・(4)
【数3】

【0051】
以上のようにして、制御部11は、ひとつの視線直線を算出する。
次に、制御部11は、同様にして、第2の撮影方位についても上記式(1)〜(5)の演算を実行し、視線直線L2を算出する。図17(b)は、地図画像上に視線直線L1、L2の一例を示したものである。
そして、制御部11は、撮影画像ごとに視線直線を算出すると、実施形態と同様にして、視線直線が交差する点に基づいて通信端末20の位置を特定する。この構成によれば、端末位置の特定の精度が高いと思われる撮影方位の位置情報の取得結果を、相対的に重視することになり、端末位置の特定の精度をより向上させることが期待できる。
なお、重み付け係数の決定の態様は上記態様に限らない。要するに、制御部11は、基準方位と撮影方位とのなす角が90度に近いほど重み付け係数が大きくなるように、撮影方位に応じた位置情報の重み付けをするとよい。
【0052】
[変形例4]
上述した実施形態では、サーバ装置10は検索情報DB131に含まれるすべての検索情報を検索の対象としていたが、通信端末20が存在する領域に応じて検索対象の検索情報を異ならせてもよい。
携帯電話端末である通信端末20は、複数の基地局から受信したポーリング信号の中で最も電界強度の大きい信号に対応する基地局に向けて応答信号を送信し、この基地局を用いて通信する。この応答信号には、基地局を示す基地局識別コードが含まれている。換言すると、通信端末20により送信される基地局識別コードが示す基地局の領域(エリア)に、通信端末20は存在することとなる。これを利用し、通信端末20が存在する領域をサーバ装置10が特定し、その領域に応じた検索情報を検索の対象とする。
【0053】
図18は、この変形例の検索情報の構造を示す図である。
この変形例の検索情報には、位置を示す位置情報に対応付けて、その位置が含まれる領域を示す領域情報が含まれる。各検索情報の領域情報は、各場所がどの基地局の領域に存在するかによって定まるものである。
図19は、この変形例に係るサーバ装置の制御部が実現する機能の機能構成を示す図である。図9に示す機能と同じ符号を付した機能は、ここでも同じ機能を実現するものである。
領域特定部116は、通信端末20が存在する領域を特定する。具体的には、通信端末20は、ステップS3で撮影データを送信するとともに、上記応答信号に含めた基地局識別コードを送信する。領域特定部116は、撮影データとともに受信された基地局識別コードに基づいて通信端末20が存在する領域(いわゆる、在圏エリア)を特定し、その領域を示す領域情報を第2取得部113aに供給する。第2取得部113aは、領域特定部116により特定された領域情報に対応付けられた検索情報のみを取得の対象とする。
この構成によれば、サーバ装置10は、通信端末20から受信した領域情報を含む検索情報のみを検索対象とするので、検索情報の取得に係る処理量をさらに減らすことができる。また、仮に、互いに異なる場所に類似する風景が存在する場合であっても、サーバ装置10は通信端末20の場所を或る範囲に絞って検索情報DB131の検索をするから、端末位置の特定の精度を高めることに寄与させることもできる。
なお、携帯電話端末であれば基地局単位の領域を特定することができるが、通信端末20が存在する領域を或る範囲に絞ることができれば、かかる領域の種類はどのようなものでもよい。
【0054】
[変形例5]
上述した実施形態では、サーバ装置10が第1代表色情報を算出していた。これに代えて、通信端末20が第1代表色情報を算出して、これをサーバ装置10宛てに送信してもよい。この場合、制御部21及び通信部22は、本発明の代表色情報送信部の一例に相当する。そして、サーバ装置10は、通信端末20から第1代表色情報を受信すると、受信した第1代表色情報に基づいて、ステップS5以降の各処理ステップを実行する。すなわち、制御部11及び通信部12は、本発明の代表色情報受信部の一例に相当し、上述の算出部111に相当する機能を制御部21が実現することとなる。
この構成によれば、通信端末20が送信すべき情報量を減らすことができる。一方で、上述の実施形態の構成によれば、例えばバージョンアップにより代表色情報の算出に係るアルゴリズムを変更する場合であっても、通信端末20の位置特定アプリ251を更新することなくこれを実現することができ、仕様の変更への対応も比較的容易である。
【0055】
[変形例6]
上述した実施形態においては、ひとつの撮影位置につき複数方位(16方位)に対応する検索情報が検索情報DB131に含まれていたが、位置情報及び方位情報が共通する複数の検索情報が検索情報DBに含まれていてもよい。例えば、日光が当たる空間では、時刻や季節、天候などの環境条件によって、同じ被写体であっても撮影画像の内容が異なり、その結果、代表色情報は変化する。また、地下街など日光が当たらない空間でも、時間帯などよって照明などが変化させられて各場所の代表色情報が変化することも考えられる。このような代表色情報の変化にも対応できるように、位置特定システムの構成を以下のように変形してもよい。
【0056】
図20は、この変形例の検索情報の構造を示す図である。
図20に示すように、この変形例の検索情報には、その検索情報を採用することのできる条件を示す条件情報が含まれる。サーバ装置10は、通信端末20の位置を特定する際には、そのときの時刻や季節、天候などの条件を特定し、特定した条件を示す条件情報に対応付けられた検索情報のみを取得の対象とする。この構成によれば、高層ビル群の間などの室外であってGPSによる測位が困難な場所や、明るさが変化するような場所での端末位置の特定にも適することになる。
また、この変形例の構成を、サーバ装置10が特定した条件に応じて、検索情報DB131の第2代表色情報を補正するものに変形してもよい。また、撮影画像に含まれる一部の部分領域のみの代表色情報が上記条件で変化するような場合に、サーバ装置10がその部分領域の代表色情報を無視する構成も考えられる。
【0057】
また、通信端末20が水平方向の被写体(すなわち、仰角・俯角が0度)を撮影するとは限らず、例えば斜め上や斜め下(すなわち、仰角・俯角が0度でない)を撮影することもある。そこで、仰角や俯角のみが互いに異なる複数の検索情報が検索情報DBに含まれていてもよい。また、通信端末20の撮影時の様々な撮影条件に対応できるように、撮影条件のみが異なる複数組の検索情報が検索情報DBに含まれていてもよい。この場合も、サーバ装置10は各検索情報を採用することのできる条件を特定することで、その条件に適した検索情報の検索をすることができる。
また、検索情報に、例えば位置情報が示す位置の場所の名称(例えば、地名、地下街や施設の名称、階数など)を含めておき、サーバ装置10が端末位置を報知する際に、その場所の名称も併せて報知してもよい。
【0058】
[変形例7]
上述した実施形態において、サーバ装置10は通信端末20の位置を特定すると、その位置に応じたコンテンツを通信端末20宛てに配信してもよい。
図21は、コンテンツ管理テーブル132の構造を示す図である。コンテンツ管理テーブル132は、記憶部13に予め記憶されている。コンテンツ管理テーブル132においては、上記位置情報に対応付けてコンテンツを表すコンテンツデータが格納されている。各コンテンツデータは、コンテンツ管理テーブル132において対応付けられた位置情報が示す位置に関連するコンテンツを表すものである。このコンテンツは、例えば、その位置付近にある店舗のクーポン券や広告である。
制御部11は、ステップS8の処理により通信端末20の位置を特定すると、その位置を示す位置情報に対応付けてコンテンツ管理テーブル132に記憶されたコンテンツデータを読み出す。そして、制御部11は、ステップS9において、位置情報とともに、コンテンツ管理テーブル132から読み出したコンテンツデータを送信する。これらの情報を受信した通信端末20は、図14に示す態様で端末位置を報知するとともに、受信したコンテンツデータに応じた情報を表示する。これにより、サーバ装置10は、通信端末20の位置に関連するコンテンツを配信することができる。
【0059】
[変形例8]
上述した実施形態において、通信端末20が方位センサを備え、制御部21が方位センサにより検出された結果に応じた制御を行っていてもよい。この場合、方位センサは、撮影部23により撮影される方向(つまり、撮影方向)に向けられており、自センサが向けられている方位を示す方位信号を制御部21へ出力する。すなわち、方位センサは、通信端末20の位置から撮影される方位を示す方位信号を出力する。
例えば、制御部11は、表示部24に「東向きにカメラを向けて撮影してください。」というメッセージを表示させるなどして、撮影部23の方位をユーザに案内してもよい。この構成によれば、検索情報DB131に検索情報が登録される方位を、例えば2方位のように少なくした場合であっても、通信端末20がその2方位の撮影画像を得られるように、ユーザに対して撮影方位を認識させることができる。
【0060】
[変形例9]
上述した実施形態の代表色情報の階調数を他の階調数に変形してもよい。例えば撮影データと同じ階調数(つまり、256階調)であってもよい。また、本発明の部分領域に相当するものが撮影画像の各画素に対応するものとした場合、代表色情報は画素の階調値を表すことになる。この場合であっても、階調数が撮影データから減じられていれば、オリジナルの撮影画像どうしをパターンマッチング処理により比較する場合に比べて、必要な処理量の増大は抑制される。すなわち、撮影画像を代表色情報で示すことで、階調数及び領域数の少なくともいずれか一方が間引かれていればよいといえる。
また、代表色情報の算出に際して、上述の位置特定システム1では部分領域T1〜T9に分割していたが、その分割数や部分領域の形状・寸歩などの態様は前掲のものに限定されない。
また、上述の実施形態では、方位情報が示す方位を計16方位としていたが、この数が「2」以上であれば、本発明を実施することができる。
【0061】
[変形例10]
上述した実施形態では、本発明の通信端末を携帯電話端末である通信端末20とした場合を説明したが、本発明は、その他の通信端末に適用することも可能である。例えば、本発明は、スマートフォンやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯ゲーム機など、無線通信機能を備えた種々の端末に適用することができる。この場合に、例えば撮影部23、表示部24、記憶部25、及び操作部26に相当する構成を、適宜外部構成としても本発明を特定し得る。特に、撮影部に相当する撮影装置を外部構成とする場合であっても、通信端末の位置から撮影したものとして各撮影画像を扱うことができる。
また、本発明において各種の情報の報知の態様は、画像の表示による報知に限らず、例えば音声などによる報知が含まれていてもよい。
また、本発明の位置特定システムは、例えば遊園地やアトラクションの会場などで用いられてもよく、端末位置を特定可能にする場所の規模や種類については問わない。
また、上述した実施形態の位置特定システムでは、RGB表色系を用いた代表色情報が扱われていたが、均等色空間(例えば、CIELAB色空間)など他の表色系が用いられてもよい。
また、上述したサーバ装置10の制御部11が実現する各機能は、複数のプログラムの組み合わせによって実現され、又は、複数のハードウェア資源の協働によって実現され得る。
【符号の説明】
【0062】
1…位置特定システム、10…サーバ装置、11…制御部、111…算出部、112…第1取得部、113,113a…第2取得部、114…位置特定部、115…情報出力部、116…領域特定部、12…通信部、13…記憶部、132…コンテンツ管理テーブル、20…通信端末、21…制御部、22…通信部、23…撮影部、24…表示部、25…記憶部、251…位置特定アプリ、252…地図データ、26…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の通信端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を、部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を取得する第1取得部と、
所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部により取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部により特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信する情報送信部と
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記各位置を示す位置情報に対応付けて、さらに当該位置から撮影した方位を示す方位情報を記憶し、
前記第2取得部は、前記設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報と方位情報とを、前記記憶部から取得し、
前記位置特定部は、前記第2取得部により取得された方位情報に応じた傾きの前記直線を算出して、前記通信端末の位置を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記複数方位が、第1の方位、及び前記第1の方位に直交する第2の方位である場合、
前記位置特定部は、
前記第1の方位について算出した前記直線と、前記第2の方位について算出した前記直線とが交差する点を前記通信端末の位置として特定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記複数方位が、3以上の方位である場合、
前記位置特定部は、
前記直線どうしが交差する点が複数あるときには、それら複数の点の位置情報を平均した点を前記通信端末の位置として特定する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記位置特定部は、
前記第2取得部により取得された位置情報に重み付けをして、基準となる方位である第1の基準方位と、当該第1の基準方位に直交する第2の基準方位とに対する前記通信端末の位置を特定するものであり、
前記第1の基準方位と、前記第1の代表色情報を得るための撮影をした方位とのなす角が90度に近いほど、前記第1の基準方位に対応する位置情報の重み付け係数を大きくし、前記第2の基準方位と、前記第1の代表色情報を得るための撮影をした方位とのなす角が90度に近いほど、前記第2の基準方位に対応する位置情報の重み付け係数を大きくする
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記位置特定部は、前記差分が小さいほど重み付け係数が大きくなるように、前記第2取得部により取得された位置情報に重み付けをして前記通信端末の位置を特定する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記通信端末が存在する領域を特定する領域特定部を備え、
前記記憶部は、前記各位置を示す位置情報に対応付けて、さらに当該位置が含まれる領域を示す領域情報を記憶し、
前記第2取得部は、前記領域特定部により特定された領域を示す領域情報に対応付けて前記記憶部に記憶された位置情報を取得の対象とする
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項8】
コンピュータに、
外部の通信端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を、部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を取得する第1取得ステップと、
所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいて取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定ステップと、
前記位置特定ステップにおいて特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信されるように出力する情報出力ステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
サーバ装置と、前記サーバ装置と通信する外部の通信端末とを備え、
前記通信端末は、
自端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を表す撮影データを、前記サーバ装置宛てに送信する撮影データ送信部を有し、
前記サーバ装置は、
前記通信端末の撮影データ送信部により送信された撮影データを受信する撮影データ受信部と、
前記撮影データ受信部により受信された撮影データに基づいて、前記通信端末の位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を、部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を算出する算出部と、
所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部により特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信する情報送信部とを有し、
前記通信端末は、
前記情報送信部により送信された前記報知するための情報を受信する情報受信部と、
前記情報受信部により受信された情報に応じた内容を報知する報知部とを有する
ことを特徴とする位置特定システム。
【請求項10】
サーバ装置と、前記サーバ装置と通信する外部の通信端末とを備え、
前記通信端末は、
自端末の位置から複数方位を撮影した各撮影画像を表す撮影データに基づいて、当該各撮影画像を部分領域ごとの代表色で示した第1代表色情報を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記第1代表色情報を前記サーバ装置宛てに送信する代表色情報送信部とを有し、
前記サーバ装置は、
前記代表色情報送信部により送信された第1代表色情報を受信する代表色情報受信部と、
所定の場所における各位置を示す位置情報と、当該位置から前記複数方位を撮影した各撮影画像を前記部分領域ごとの代表色で示した第2代表色情報とを対応付けて記憶する記憶部から、各撮影画像について、前記第1代表色情報と前記第2代表色情報との差分が予め設定された条件を満たす前記第2代表色情報に対応付けられた位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された位置情報が示す分布から前記撮影画像ごとに算出した直線どうしが交差する点に基づいて、前記通信端末の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部により特定された位置を報知するための情報を、前記通信端末宛てに送信する情報送信部とを有し、
前記通信端末は、
前記サーバ装置の情報送信部により送信された前記報知するための情報を受信する情報受信部と、
自端末の前記情報受信部により受信された情報に応じた内容を報知する報知部とを有する
ことを特徴とする位置特定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−180021(P2011−180021A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45572(P2010−45572)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(503220750)ドコモ・テクノロジ株式会社 (58)
【Fターム(参考)】