シャワー吐水装置
【課題】散水板の外周側の位置のシャワー孔、内周側のシャワー孔の何れからでもシャワー水を断続的にパルス吐水することの可能なシャワー吐水装置を提供する。
【解決手段】散水板58に設けたパルス吐水用の複数のシャワー孔94と、散水板58の内面側に設けた円形のガイド溝93と、ガイド溝93への凹凸嵌合状態を保持しながらガイド溝93に沿って転動運動するボール114と、ボール114を回転可能に保持し、ガイド溝93に沿って回転運動する回転体96と、上流部からの通過水を噴射水流として回転体96の壁106に衝突させ、回転体96を回転させる水流噴射部材98とを含み、ガイド溝93に沿って転動するボール114にてシャワー孔94を断続的に遮断及び開放し、シャワー孔94からシャワー水をパルス状に吐水するパルスシャワー機構91を備えてシャワー吐水装置を構成する。
【解決手段】散水板58に設けたパルス吐水用の複数のシャワー孔94と、散水板58の内面側に設けた円形のガイド溝93と、ガイド溝93への凹凸嵌合状態を保持しながらガイド溝93に沿って転動運動するボール114と、ボール114を回転可能に保持し、ガイド溝93に沿って回転運動する回転体96と、上流部からの通過水を噴射水流として回転体96の壁106に衝突させ、回転体96を回転させる水流噴射部材98とを含み、ガイド溝93に沿って転動するボール114にてシャワー孔94を断続的に遮断及び開放し、シャワー孔94からシャワー水をパルス状に吐水するパルスシャワー機構91を備えてシャワー吐水装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシャワー吐水装置に関し、特に散水板の外周側の位置のシャワー孔からもパルス状にシャワー吐水可能なシャワー吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワー孔を断続的に遮断及び開放することによって、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するシャワー吐水装置を、マッサージ用としてシャワーヘッドに備えたものが公知である。
【0003】
従来において、この種のシャワー吐水装置では、羽根車の上流部に設けた水流噴射部材からの噴射水流を羽根車の羽根に当てて羽根車を回転させ、そして羽根車に一体に設けたシャワー孔遮断部にてシャワー孔を断続的に遮断及び開放することで、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するようになしていた。
例えば下記特許文献1,特許文献2にこのような構造のシャワー吐水装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、断続的なシャワー吐水のためにこのような羽根車を用いた従来のシャワー吐水装置にあっては、羽根車を回転可能に支持するために散水板の中心部に軸を設けて、その軸に対して羽根車に設けた円筒部を回転可能に嵌合させるようになしており、この場合、必然的にパルス状にシャワー吐水するためのシャワー吐水機構の設置位置が散水板の中心側の位置に限定されてしまう。
【0005】
例えば従来、シャワーヘッドにマッサージ用としてパルス状に吐水するシャワー吐水機構と、通常の連続したスプレー状にシャワー吐水する連続シャワー吐水機構とを併せて備えることが行われているが、この場合マッサージ用のパルスシャワー吐水機構の位置が散水板の中心側の位置に、また通常の連続シャワー吐水機構の位置が散水板の外周側の位置に自ずと限定されてしまう。
【0006】
この場合、マッサージ用のパルスシャワー吐水のためのシャワー孔の位置と、連続したシャワー吐水用のシャワー孔の位置とが固定化されることによって、必然的にシャワーヘッドのデザインが制約され、デザイン的に陳腐化して行く。
更に上記構造のものでは1つのシャワーヘッドに対して2つ若しくはそれ以上の互いに独立したパルスシャワー吐水機能を持たせることができない。
例えばパルス状にシャワー吐水する、互いに独立した2つのパルスシャワー吐水機構を設けて、その一方を、シャワー水流を太くしてこれを断続吐水するマッサージ用とし、また他の一方を、シャワー水流を通常の太さとしてこれを断続吐水する節水シャワー用とするといった構想を実現することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−13923号公報
【特許文献2】特開平5−115813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、散水板の外周側の位置のシャワー孔、中心側即ち内周側のシャワー孔の何れからでもシャワー水を断続的にパルス吐水することの可能なシャワー吐水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)該散水板の内面側に設けられ、該散水板の周方向に沿って円形をなすガイド溝と、(c)該ガイド溝に凹凸嵌合し、凹凸嵌合状態を保持しながら該ガイド溝に沿って転動運動するボールと、(d)該ボールを回転可能に保持し、該ガイド溝に沿って該ボールを周回運動させながら該ガイド溝の中心を回転中心として回転運動する回転体と、(e)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として前記回転体に備えた壁に衝突させ、該回転体を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(f)前記回転体に保持されて前記回転中心周りに該回転体とともに回動運動し、該回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー機構を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記シャワー孔が前記ガイド溝の底部に且つ該底部に沿って設けてあり、前記ボールが該シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部を兼ねていることを特徴とする。
【0011】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ボールは周方向に間隔を隔てて3個以上の複数個設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記散水板の外周側の位置に前記シャワー機構が設けてあり、内周側の位置に該シャワー機構とは独立した別のシャワー機構が設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項5のものは、請求項4において、前記内周側のシャワー機構が、前記シャワー機構とは別種の機構のものであって、(g)前記散水板に設けられた複数の第2シャワー孔と、(h)軸と該軸に回転可能に外嵌する円筒部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(i)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(j)所定周長に亘って前記羽根車の中心部から外周端まで前記散水板の内面に沿って延出し、該羽根車に保持されて前記軸周りに該羽根車とともに回動運動し、該回動に伴って前記第2シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該第2シャワー孔からシャワー水を吐水する第2シャワー機構であることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、散水板に設けられた複数のシャワー孔と、散水板の内面側に周方向に沿って円形に設けられたガイド溝と、そのガイド溝に凹凸嵌合し、凹凸嵌合状態を保持しながらガイド溝に沿って転動運動するボールと、ボールを回転可能に保持し、上記のガイド溝に沿ってボールを周回運動させながら、ガイド溝の中心を回転中心として回転運動する回転体と、通過水を噴射水流として回転体に備えた壁に衝突させ、回転体を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、回転体とともに回動運動し、回動に伴ってシャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部とを含み、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するシャワー機構を備えてシャワー吐水装置を構成したものである。
【0015】
本発明のシャワー吐水装置におけるシャワー機構は、従来のように軸とこれに回転可能に嵌合する円筒部との嵌合構造に基づいて羽根車を回転可能に支持するものでなく、散水板の内面側に設けた円形のガイド溝に、回転体に回転可能に保持させたボールを凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボールをガイド溝に沿って周回運動させつつ回転体をガイド溝の中心を回転中心として回転運動させ、そしてその回転体の回転運動に伴ってシャワー孔遮断部によりシャワー孔を断続的に遮断及び開放するようになした点を特徴としている。
【0016】
従って本発明によれば、散水板の中心部から外周部にかけて径方向のどの位置にも回転体を配置することが可能であり、散水板の外周側の位置であっても、また内周側の位置であってもシャワー水をパルス状に吐水する上記シャワー機構を支障なく設けることができる。
即ち散水板の径方向のどの位置のシャワー孔からもシャワー水を断続的にシャワー吐水するようになすことができる。
【0017】
本発明では、軸とこれに嵌合する円筒部との嵌合構造によらないで、散水板の内面に設けたガイド溝と、これに回転可能に嵌り合うボールとで回転体の回転軌跡を画定すること、即ちガイド溝の中心(径方向中心)を回転中心として、回転体を回転運動させることができる。
そしてそのことによって散水板に対する回転体の相対位置、即ち散水板に対する回転体の配置位置(径方向位置)の制限を無くすことができる。
【0018】
また上記ボールは同時にベアリングとしての働きをなし、回転体と散水板内面との間の摩擦抵抗即ち回転体の摺動抵抗を可及的に小さくでき、回転体を円滑に回転運動させることができる。
【0019】
請求項2は、シャワー孔をガイド溝の底部に沿って設け、上記のボールを、シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部となしたもので、この請求項2によれば、シャワー孔遮断部をボールとは別途に設けなくてもよく、シャワー機構の構成を簡単化することができる。
【0020】
即ち請求項1では、ボールが、ガイド溝に嵌り合って回転体の回転軌跡を定める働きと、回転抵抗を小さくするベアリングとしての働きとをなし、この請求項2では更にこれに加えてボールがシャワー孔遮断部、つまり弁部としての働きもなしており、シャワー機構の構成をより一層簡素化することができる。
【0021】
これらの場合において、上記のボールは周方向に間隔を隔てて3個以上の複数個設けておくことができる(請求項3)。
このようにしておけば、回転体が少なくとも3個所以上でボールにより支持されることとなって自立可能となる。
ボールが2つ以下であると回転体が傾き、円滑な回転運動が十分に確保されなくなる。
【0022】
本発明では、請求項4に従って散水板の外周側の位置にシャワー機構を設ける一方、内周側の位置に、これとは独立した別のシャワー機構を設けておくことができる。
このようにすれば、1つのシャワーヘッドに互いに独立したシャワー機構を少なくとも2つ設けることができ、例えば外周側のシャワー機構をマッサージ用のシャワー機構として構成し、また内周側のシャワー機構を、通常のシャワー水を断続して吐水する節水用のシャワー機構として構成するといったことが可能となる。
【0023】
この場合において内周側のシャワー機構を、外周側のシャワー機構とは別種の機構のもの、即ち、散水板に設けられたパルス吐水のための複数の第2シャワー孔と、軸と軸に回転可能に外嵌する円筒部との嵌合に基づいて軸周りに回転運動する羽根車と、上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として羽根車の羽根に衝突させ、羽根車を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、所定周長に亘って羽根車の中心部から外周端まで散水板の内面に沿って延出し、羽根車とともに上記の軸周りに回動運動し、回動に伴って第2シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部とを含み、第2シャワー孔からシャワー水をパルス吐水する第2シャワー機構として構成しておくことができる。
尚この請求項5の内周側の第2シャワー機構は、節水シャワー用としても、またマッサージ用として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のシャワー吐水装置を備えたシャワーヘッドを示した図である。
【図2】図1のシャワーヘッドの内部構造を示した図である。
【図3】(ア)図2のア−ア視図である。(イ)図2のイ−イ視図である。(ウ)図2のウ−ウ視図である。
【図4】図2のエ−エ視図である。
【図5】図2の第1パルスシャワー機構の構成部品を分解して示した図である。
【図6】図5の回転体を異なった方向で示した図である。
【図7】図2及び図5の散水板上面のガイド溝を示した図である。
【図8】図2の第2パルスシャワー機構の構成部品を分解して示した図である。
【図9】本発明の他の実施形態の要部を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態における図1に相当する図である。
【図11】同実施形態における図2に相当する図である。
【図12】図11の要部を拡大して示した図である。
【図13】同実施形態における図3に相当する図である。
【図14】同実施形態における各部品を分解して示した分解斜視図である。
【図15】(A)図14におけるノズル押えの底部の上面の形状を示した図である。(B)同ノズル押えの底部の下面の形状を示した図である。
【図16】(A)図11におけるエ−エ視図である。(B)図16(A)の回転体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はシャワーヘッドで、12はその握り部、14は頭部である。
図2に、シャワーヘッド10の内部構造が具体的に示してある。
図2に示しているようにシャワーヘッド10は、上部ケース16と、仕切部材18と、下部ケース20とを有している。
仕切部材18は、樹脂製の第1部材22と第2部材24とから成っていて、それらが樹脂同士の溶着により接合一体化されており、上流側の水路26に連通した主水室28をそれらの内側に形成している。
ここで仕切部材18は、固定部30においてボルト32により上部ケース16に固定されている。
【0026】
上部ケース16の下端部且つ外周部には、ねじ部34が設けられており、そこにねじ固定具36が内嵌状態に螺合されている。
上記の仕切部材18は、このねじ固定具36によって外周部が上向きに押圧され、固定されている。
【0027】
下部ケース20もまた樹脂製の上側の第1部材38と、下側の第2部材40とから成っており、それらが溶着により接合されて一体化されている。
下部ケース20は、中心部の固定部42においてボルト44により段付形状のスリーブ46を介して上記の仕切部材18のボス部47に固定され、支持されている。
【0028】
48はキャップで自身の周壁部50と、下部ケース20の周壁部52との螺合によって下部ケース20に、即ちシャワーヘッド10の頭部14に組み付けられている。
そしてこのキャップ48と下部ケース20とによって、第1水室54と、第2水室56とが形成されている。
ここで第2水室56は散水板58の中心側、即ち内周側に形成されており、また第1水室54はその外周側に円環状に形成されている。
【0029】
更に第1水室54の外周側の位置に、第3水室68が周方向に沿って複数個所、ここでは16個所に設けられている。
尚この複数の第3水室68にはミスト機構70が設けられており、これら第3水室68に導かれた水は、このミスト機構70によりミストとされて、下部ケース20の環状の底部に形成されたミスト孔72から外部に噴射される。
ここでミスト孔72は、孔径(最小径部)がφ1.0mmの大きさとされている。
尚この実施形態では、キャップ48の底部60にて散水板58の全体が構成されている。
【0030】
下部ケース20の外周面には、リング状の切替操作部64が外嵌状態に嵌着されており、切替操作部64によって、下部ケース20及びキャップ48の全体が上記のボルト44周りに回転せしめられるようになっている。
尚切替操作部64には、図1に示しているように突出形状の摘み66が設けられている。
【0031】
下部ケース20には、上記第1水室54に連通した第1水路74と、第2水室56に連通した第2水路76、及び第3水室68に連通した環状の第3水路78が形成されている。
一方上記仕切部材18には、図3(ア)に示しているように主水室28に連通した流出開口80が設けられている。
また下部ケース20には、第1水路74に連通した第1流入開口82,第2水路76に連通した第2流入開口84、及び第3水路78に連通した第3流入開口86が同一円周上に設けられている。
【0032】
この実施形態では、切替操作部64を回転操作して第1流入開口82を流出開口80に合致させると、上流側の水路26から流れて来た水が主水室28から流出開口80,第1流入開口82を経て第1水路74へと流入し、次いで図2及び図3(ウ)に示す連通開口88を経て第1水室54と流入する。
一方第2流入開口84を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第2流入開口84を経て第2水路76へと流入し、次いで図3(ウ)に示す連通開口90を経て第2水室56へと流入する。
また第3流入開口86を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第3流入開口86を経て第3水路78に流入し、次いで第3水室68へと流入して、そこでミスト化されてミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0033】
上記第1水室54内に流入した水は、第1パルスシャワー機構91によって断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
また第2水室56に流入した水は、第2パルスシャワー機構92により断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
【0034】
尚、図3はシャワーヘッド10の頭部14の内部を図1中上側から下向きに見た図であり、また図1は頭部14を下側から上向きに見た図である。
これらの図において、切替操作部64の摘み66が中立位置にあるとき、第1流入開口82が流出開口80に合致した状態にあり、従ってこのときには主水室28内の水が第1水室54に流入して、第1パルスシャワー機構91によりパルスシャワー吐水される。
【0035】
この状態で切替操作部64を図3において反時計方向(図1では時計方向)に回転させると、第2流入開口84が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第2水室56内に流入し、第2パルスシャワー機構92によりパルスシャワー吐水される。
逆に切替操作部64を図3において時計方向に回転させると、第3流入開口86が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第3水室68内に流入し、ミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0036】
図4〜図7に、第1パルスシャワー機構91の構成が具体的に示してある。
図5及び図2,図7に示しているように、第1パルスシャワー機構91は、キャップ48の上面即ち散水板58の上面(内面)に設けられた環状且つ円形のガイド溝93を有している。
そしてこのガイド溝93の底部に且つ底部に沿って周方向に一定間隔ごとに第1シャワー孔94が設けられている。
ここで第1シャワー孔94は内径がφ1.8mmの大径のものである。
本実施形態では、この第1シャワー孔94が周方向に一定間隔ごとに合計8個設けられている。
【0037】
第1パルスシャワー機構91はまた、図5に示しているように回転体96と水流噴射部材98(これらは何れも樹脂製)とを更に有している。
回転体96は円形のリング状をなす部材であって、図6(B)にも示しているように底部100と周壁部102とを有しており、周方向に120°ごと離れた3個所にボール保持部104を有している。
またそれらボール保持部104と104との間において、平面視L字形状をなす複数の壁106を互いに等間隔で複数有している。
ここで壁106は、円環状をなす周壁部102からその中心方向、即ち求心方向に延びる主部106Aと、主部106Aの先端で直角に折れ曲った曲げ部106Cとを有している。
【0038】
この回転体96には、底部100に一定ピッチで複数のスリット状の貫通の開口108が設けられ、また平面視において隣接するL字状の壁106と106との間に側面の開口110が形成されている。
回転体96における上記のボール保持部104は、図中下面で開口した球面状、厳密には部分球面状をなす保持穴112(図6(B)参照)を有しており、各保持穴112においてボール114(ボール114もまた樹脂製)を、それらの下部を僅かに下向きに突出させる状態に回転可能に保持している。
【0039】
回転体96は、各保持穴112から下部を突出させたボール114を、横断面形状が円弧形状の凹形状をなす上記のガイド溝93に凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボール114をガイド溝93に沿って周回運動させつつ、ガイド溝93の中心(径方向中心)を回転中心として回転運動する。
即ちガイド溝93とボール114との凹凸嵌合にて画定される回転軌跡に沿って回転運動させられる。
【0040】
このとき、ガイド溝93に沿って転動運動するボール114が、ガイド溝93の底部に設けられたシャワー孔94に到ると、そこでシャワー孔94がボール114にて遮断され、更にこれをボール114が通過することでシャワー孔94が開放される。
即ち各ボール114は、ガイド溝93に沿って周回運動する際、断続的に各シャワー孔94を遮断及び開放する。
【0041】
一方、上記の水流噴射部材98は全体として円板状をなしており、周方向に沿って一定ピッチで複数の噴射孔116を有している。
各噴射孔116は斜孔をなしており、上流側から流れて来た水をこれら噴射孔116を通じて下流側に通過させ、その際に通過水を噴射水流として回転体96に備えた上記の壁106に衝突させ、回転体96を回転させるための駆動力を発生させる。
【0042】
本実施形態において、上記の第1パルスシャワー機構91は次のように作用する。
リング状の切替操作部64の回転操作で、図3(イ)に示す第1流入開口82を主水室28の流出開口80に合致させることにより第1水路74に流入した水は、連通開口88を経由して水流噴射部材98の上面に図中下向きに到達する。
水流噴射部材98は、このようにして到達した水を、自身の噴射孔116を通じて図中下向き且つ回転方向に斜め向きに水流として噴射する。
その噴射水流は回転体96の壁106に当ってこれを回転運動させる。
【0043】
このとき回転体96は、ボール114とガイド溝93との凹凸嵌合に基づいて画定された回転軌跡に沿って、またボール114のベアリングとしての働きにより、滑らかに回転運動する。
その際、ボール114は回転体96に保持されながらこれと一体にガイド溝93を転動運動(回動運動)し、その回転運動に伴って即ち第1シャワー孔94を通過するごとにこれを遮断及び開放し、以て第1シャワー孔94からシャワー水を断続してパルスシャワー吐水せしめる。
【0044】
即ちこの実施形態において、ボール114は、ガイド溝93と協働して回転体96の回転軌跡を画定する働きと、ベアリング作用によって回転体96の回転抵抗を可及的に小さくする働きと、第1シャワー孔94を開閉する弁としての3つの働きを同時になしている。
【0045】
この第1パルスシャワー機構91において、第1シャワー孔94は孔径の大きな大径のシャワー孔であり、またこの第1シャワー孔94は全体として全周に亘り8個だけの少ない数で大きいピッチで設けられているため、各第1シャワー孔94からは太くて勢いの強い水流が噴射され、従ってこの第1シャワー孔94からのシャワー水流の断続によって、使用者に対して効果的にマッサージが施される。
【0046】
図4,図5,図8に上記第2パルスシャワー機構92の構成が詳しく示してある。
図5に示しているように、この第2パルスシャワー機構92は、上記の第1シャワー孔94よりも内周側において、3重の同心円状に配置形成された第2シャワー孔118を有している。
最も外周側のシャワー孔118-1,続く内周側のシャワー孔118-2,最内周側のシャワー孔118-3は、何れも先端(下端)の開口の孔径がφ0.8mmで同じであるが、上端の開口の孔径が、最外周のシャワー孔118-1からこれに続く内周側のシャワー孔118-2に、更に最内周のシャワー孔118-3へと漸次小径化している。
【0047】
第2パルスシャワー機構92は、上記の第2シャワー孔118の他に、散水板58の中心部でこれから立ち上る円筒形状の中空の軸120と、この軸120に回転可能に外嵌する円筒状の嵌合部122を備えた羽根車124と、円筒状の軸120の内側に更に図中下向きに嵌り込む中実の軸126を備えた水流噴射部材127とを備えている。
【0048】
水流噴射部材127は円板状をなしていて、外周部において、下部ケース20の圧入孔125に圧入され、そこに固定されている。
この水流噴射部材127は、図3(イ)の流入開口84及び図3(ウ)の連通開口90を通じて流れ込んで来た水を噴射孔128に導入してこれを通過させる。そしてそこで噴射水流を発生させて、これを図中下側の羽根車124の羽根129に当て、羽根車124の回転駆動力を発生させる。
ここで噴射孔128は、図8に示しているようにここから噴射した水流が、羽根車124の湾曲した羽根129の凹面側に当るように、その向きが定められている。
【0049】
羽根車124の各羽根129は、部分螺旋形状を描くようにして中心から外周に向け延出せしめられている。
この羽根車124は、散水板58から起立した円筒状の中空の軸120に対する、円筒状の嵌合部122の嵌合に基づいて、軸120及び126を回転の支持軸として、軸120及び中実の軸126の軸線周りに回転運動する。
この羽根車124は、図8に示しているようにその下面の略半分が開放され、また残りの略半分が閉鎖されており、その閉鎖部が、第2シャワー孔118を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部130を成している。
【0050】
この第2パルスシャワー機構92は次のように作用する。
切替操作部64の回転操作で、図3の流入開口84を流出開口80に合致させることにより図2の第2水路76に流入した水は、図3の連通開口90を経て水流噴射部材127へと到る。
水流噴射部材127は、流れて来た水を自身の噴射孔128を通過させ、その際に通過水を噴射水流となして、これを下側の羽根車124の各羽根129に衝突させる。
ここにおいて羽根車124は、その噴射水流の勢いで中空の軸120周りに回転運動する。
このとき羽根車124の下面の略半分を覆った状態のシャワー孔遮断部130は、回動とともに第2シャワー孔118を断続的に遮断及び開放し、第2シャワー孔118からシャワー水を断続的にパルス吐水せしめる。
【0051】
尚この第2シャワー孔118は、全体として数も多く、また1つ1つのシャワー孔も第1パルスシャワー機構91における第1シャワー孔94よりも孔径の小さなものであるため、通常のシャワー水が吐水される。
そしてそのシャワー水が断続的に吐水及び吐水停止することで、即ち間欠シャワー吐水されることで節水を果たすことができる。
【0052】
以上のように本実施形態のシャワー吐水装置における第1パルスシャワー機構91は、従来のように軸とこれに回転可能に嵌合する円筒部との嵌合構造に基づいて羽根車を回転可能に支持するといったものでなく、散水板58の内面に設けた円形のガイド溝93に、回転体96に回転可能に保持させたボール114を凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボール114をガイド溝93に沿って周回運動させつつ回転体96をガイド溝93の中心を回転中心として回転運動させ、そしてその回転体96の回転運動に伴ってシャワー孔遮断部として働くボール114により第1シャワー孔94を断続的に遮断及び開放するようになしている。
【0053】
そのために散水板58の外周側の位置にも回転体96を配置することが可能であり、散水板58の外周側の位置のシャワー孔94からもマッサージ用にシャワー水を断続的にパルス吐水することができる。
【0054】
本実施形態では、散水板58の外周側の位置に第1パルスシャワー機構91を設ける一方、内周側の位置に、これとは独立した別の第2パルスシャワー機構92が設けてある。
即ち本実施形態では1つのシャワーヘッド10に、互いに独立したパルスシャワー機構が2つ設けてあり、これによりその一方、ここでは外周側の第1パルスシャワー機構91をマッサージ用のパルスシャワー機構として構成し、また他方の内周側の第2パルスシャワー機構92を、通常のシャワー水を断続して吐水する節水用のパルスシャワー機構として構成するといったことが可能となる。
【0055】
上記の実施形態では第1パルスシャワー機構91を散水板58の外周側の位置に、また第2パルスシャワー機構92をこれよりも内周側の位置に設けており、またその第2パルスシャワー機構92を、通常のシャワー水を断続吐水させるための機構として用いているが、場合によってこの第2パルスシャワー機構92における第2シャワー孔118を孔径の大きなシャワー孔とし、そしてその数を少なくすることによってマッサージ用のパルスシャワー機構として構成するといったことも可能であるし、或いは上記の第2パルスシャワー機構92を省略して、第1パルスシャワー機構91を散水板58の中心側の位置、即ち内周側に配置するといったことも可能である。
【0056】
また場合によって第1のパルスシャワー機構91を、シャワー孔94の孔径を小さくし且つその数を多くすることで、通常のシャワー水のパルスシャワー吐水用として構成することも可能である。
更に上記実施形態では第1パルスシャワー機構91におけるボール114が、第1シャワー孔94を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部として構成されているが、場合によってシャワー孔遮断部をこのボール114以外に設けておくといったことも可能である。
【0057】
図9はその具体的な一例を示している。
図9の例は、第1パルスシャワー機構91を、散水板58の内周側に設け、そして回転体96に、図8に示すのと同じようなシャワー孔遮断部130を設けて、回転体96の回転に伴いシャワー孔遮断部130にてシャワー孔94を周方向に沿って順次に遮断及び開放し、シャワー孔94からシャワー水を断続的にパルス吐水させるようになした例である。
【0058】
次に図10〜図16は、本発明の更に他の実施形態を示している。
この例では、図10に示しているように第2シャワー孔118が(詳しくはその下側の一部が)、4重の同心円状に配置形成されている。
図中118-1は最外周のシャワー孔(詳しくはその下側の一部。以下同様)を、118-2はその内側のシャワー孔を、118-3は更にその内側のシャワー孔を、118-4は最内周のシャワー孔をそれぞれ示している。
尚最内周のシャワー孔118-4は、周方向に120°ごとに隔たった3個所に形成されている。
【0059】
この例ではまた、第2シャワー孔118が、図11,図12及び図14に示すゴム製(他のエラストマー材料から成るものであっても良い)のノズル部材140のノズル孔118A、及び後述のノズル押え148の連通孔118Bにて形成されている。
ノズル部材140は、シート状の本体部142と、この本体部142から下向きに突き出した多数のノズル部144とを有しており、各ノズル部144が、樹脂製のキャップ58の底部60にて構成された散水板58の多数の挿通孔146を挿通して、それぞれの先端部が下向きに突き出している。
【0060】
これら多数のノズル部144は、内部にノズル孔118Aを有しており、それらノズル孔118Aによって、上記の第2シャワー孔118の下部を形成している。
詳しくは、ノズル部144は4重の同心円状に配置されており、そしてそれらノズル部144のノズル孔118Aによって、図10に示す4重の同心円状のシャワー孔118-1,118-2,118-3,118-4のそれぞれの下部が形成されている。
【0061】
ノズル部材140の上記のシート状の本体部142は、図12に示しているように下面が下向きに凸、上面が下向きに凹となるような湾曲形状をなしており、そしてその下面から直角に立ち下る形状で、各ノズル部144が本体部142に一体に形成されている。
【0062】
図11,図12及び図14において、148はノズル部材140、詳しくはシート状の本体部142を下向きに押圧する硬質(ここでは樹脂製)のノズル押えで、上面が開放された形状の容器状をなしていて、その内側に第2水室56を形成しており、そこに羽根車124が収容されている。
このノズル押え148は、円形の周壁部150と、底部152とを有している。底部152の下面は、ノズル部材140のシート状の本体部142の凹曲面に対応した凸曲面をなしている。
【0063】
このノズル押え148は、キャップ48を下部ケース20の周壁部52に上向きにねじ込むことで、水流噴射部材127を介して下部ケース20とキャップ48の底部とで挟まれて固定される。
その際のキャップ48のねじ込み力により、ノズル部材140の本体部142をキャップ48の底部60に対して下向きに押圧し、ノズル部材140をキャップ48に対して固定状態とする。
【0064】
容器状をなすノズル押え148の底部152には、ノズル孔118Aと連通して上記の第2シャワー孔118の上部を形成する多数の連通孔118Bが、底部152を貫通し且つ上端が第2水室56内に開口する形態で設けられている。
図15(A)は、ノズル押え148の底部152の平面視を、また図15(B)は底面視をそれぞれ表しており、これらの図に示しているように連通孔118Bは、上端の開口及び下端の開口が何れも3重の同心円状に配置されている。
【0065】
最外周の連通孔118Bは、4重の同心円状に配置されたノズル部144のうちの最外周のノズル部144のノズル孔118Aと直接連通しており、そのノズル孔118Aとともに図10の最外周のシャワー孔118-1を形成している。
またその内側の連通孔118Bは、同じく最外周の次の内側のノズル部144のノズル孔118Aと直接連通しており、そのノズル孔118Aとともに図10のシャワー孔118-2を形成している。
更にその内側の連通孔118Bは、同じく最外周から3番目の内周側のノズル部144のノズル孔118Aと直接連通し、そのノズル孔118Aとともに図10のシャワー孔118-3を形成している。
【0066】
図15(A)における最内周の位置のノズル孔118Bのうちの一部は、図15(B)に示しているように、底部152の下面側の一部が底部152中心に向って分岐して延びており、その分岐部Tの中心側端において、4重の同心円をなすノズル部144のうちの最内周のノズル部144のノズル孔118Aと連通し、以て図10に示す最内周のシャワー孔118-4を形成している。
従って第2水室56から図15(A)中最内周の連通孔118Bに流入した水は、その最内周の連通孔118Bを通じて、最外周から3番目のノズル孔118Aと最内周のノズル孔118Aとの両方に給水される。
【0067】
この実施形態では、第2水室56内で回転する羽根車124のシャワー孔遮断部130により、連通孔118Bが間欠的に遮断及び開放されることによって、第2シャワー孔118からシャワーがパルス吐水される。
【0068】
この実施形態の場合、第2シャワー孔118の内部にゴミが付着したり、或いは水道水中のカルシウムや珪素,鉄等の成分が析出したりすることで、第2シャワー孔118が詰まりを生じた場合であっても、散水板58から突き出したゴム製のノズル部144の先端部を指ではじく等してこれを弾性変形させることで、第2シャワー孔118の内部に付着したゴミやカルシウム等成分の析出物を第2シャワー孔118から簡単に除去することができる。
【0069】
尚この実施形態では、第2水室56内において羽根車124の円筒形状の嵌合部122が、水流噴射部材127から下向きに突出した軸部126に対して直接回転可能に嵌合せしめられている。
【0070】
この実施形態ではまた、図13に示しているように第1流入開口82と第2流入開口84との位置関係が、図1〜図8に示す上記の実施形態のそれと逆の位置関係となっている。
即ちこの実施形態では、第2流入開口84が中央位置に位置し、そして図13(イ)中左側の位置に第1流入開口82が、また右側位置に第3流入開口86が位置している。
【0071】
従ってこの実施形態では、摘み66を中立位置に位置させた状態では、主水室28内の水が流出開口80,第2流入開口84を通じて第2水室56内に流入し、図10の第2シャワー孔118からパルスシャワー吐水される。
【0072】
一方、この状態から切替操作部64を図13(イ)中反時計方向に回転操作すると、第1流入開口82が流出開口80に合致して、主水室28内の水が流出開口80及び第1流入開口82を通じて第1水室54内に流入し、その後第1シャワー孔94からパルスシャワー吐水される。
【0073】
他方、切替操作部64を時計方向に回転させると、第3流入開口86が流出開口80に合致して、主水室28内の水が流出開口80,第3流入開口86を通じて第3水室68内に流入し、ミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0074】
本実施形態では、更に、図16に示しているように回転体96における略L字状をなす壁106の形状が次のような形状とされている。
即ち壁106における主部106Aの凹面側の、周壁部102への付根部106Bが曲面形状とされており、また主部106Aから曲げ部106Cにかけての移行部106Dが、同じく湾曲した曲り形状とされている。
【0075】
壁106が図6に示すようなL字形状、即ち主部106Aと曲げ部106Cとが直角をなす形状であると、主部106Aに当った水が逃げようとしたときに、曲げ部106Cに直角に当って逃げ難く、主部106Aと曲げ部106Cとの交差部の内側に水だまりが生じ易い。
そのような水だまりが生じると、水流噴射部材98からの噴射水流が壁106に当る際の勢いが減殺される恐れがある。
【0076】
しかるにこの実施形態では、主部106Aから曲げ部106Cにかけての移行部が湾曲形状とされているため、水流噴射部材98から主部106Aに当った水が、その湾曲部Dにより案内されて逃げ易い。
そのため、水流噴射部材98からの噴射水流の勢いが水だまりで減殺されることなく壁106に当って、回転体96の回転力を増す利点が得られる。
以上本発明の実施形態を詳述したが、これらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 シャワーヘッド
58 散水板
60,62 底部
91 第1パルスシャワー機構
92 第2パルスシャワー機構
93 ガイド溝
94 第1シャワー孔
96 回転体
98,127 水流噴射部材
106 壁
114 ボール
118 第2シャワー孔
120,126 軸
122 嵌合部
124 羽根車
129 羽根
130 シャワー孔遮断部
【技術分野】
【0001】
この発明はシャワー吐水装置に関し、特に散水板の外周側の位置のシャワー孔からもパルス状にシャワー吐水可能なシャワー吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワー孔を断続的に遮断及び開放することによって、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するシャワー吐水装置を、マッサージ用としてシャワーヘッドに備えたものが公知である。
【0003】
従来において、この種のシャワー吐水装置では、羽根車の上流部に設けた水流噴射部材からの噴射水流を羽根車の羽根に当てて羽根車を回転させ、そして羽根車に一体に設けたシャワー孔遮断部にてシャワー孔を断続的に遮断及び開放することで、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するようになしていた。
例えば下記特許文献1,特許文献2にこのような構造のシャワー吐水装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、断続的なシャワー吐水のためにこのような羽根車を用いた従来のシャワー吐水装置にあっては、羽根車を回転可能に支持するために散水板の中心部に軸を設けて、その軸に対して羽根車に設けた円筒部を回転可能に嵌合させるようになしており、この場合、必然的にパルス状にシャワー吐水するためのシャワー吐水機構の設置位置が散水板の中心側の位置に限定されてしまう。
【0005】
例えば従来、シャワーヘッドにマッサージ用としてパルス状に吐水するシャワー吐水機構と、通常の連続したスプレー状にシャワー吐水する連続シャワー吐水機構とを併せて備えることが行われているが、この場合マッサージ用のパルスシャワー吐水機構の位置が散水板の中心側の位置に、また通常の連続シャワー吐水機構の位置が散水板の外周側の位置に自ずと限定されてしまう。
【0006】
この場合、マッサージ用のパルスシャワー吐水のためのシャワー孔の位置と、連続したシャワー吐水用のシャワー孔の位置とが固定化されることによって、必然的にシャワーヘッドのデザインが制約され、デザイン的に陳腐化して行く。
更に上記構造のものでは1つのシャワーヘッドに対して2つ若しくはそれ以上の互いに独立したパルスシャワー吐水機能を持たせることができない。
例えばパルス状にシャワー吐水する、互いに独立した2つのパルスシャワー吐水機構を設けて、その一方を、シャワー水流を太くしてこれを断続吐水するマッサージ用とし、また他の一方を、シャワー水流を通常の太さとしてこれを断続吐水する節水シャワー用とするといった構想を実現することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−13923号公報
【特許文献2】特開平5−115813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、散水板の外周側の位置のシャワー孔、中心側即ち内周側のシャワー孔の何れからでもシャワー水を断続的にパルス吐水することの可能なシャワー吐水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)該散水板の内面側に設けられ、該散水板の周方向に沿って円形をなすガイド溝と、(c)該ガイド溝に凹凸嵌合し、凹凸嵌合状態を保持しながら該ガイド溝に沿って転動運動するボールと、(d)該ボールを回転可能に保持し、該ガイド溝に沿って該ボールを周回運動させながら該ガイド溝の中心を回転中心として回転運動する回転体と、(e)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として前記回転体に備えた壁に衝突させ、該回転体を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(f)前記回転体に保持されて前記回転中心周りに該回転体とともに回動運動し、該回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー機構を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記シャワー孔が前記ガイド溝の底部に且つ該底部に沿って設けてあり、前記ボールが該シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部を兼ねていることを特徴とする。
【0011】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ボールは周方向に間隔を隔てて3個以上の複数個設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記散水板の外周側の位置に前記シャワー機構が設けてあり、内周側の位置に該シャワー機構とは独立した別のシャワー機構が設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項5のものは、請求項4において、前記内周側のシャワー機構が、前記シャワー機構とは別種の機構のものであって、(g)前記散水板に設けられた複数の第2シャワー孔と、(h)軸と該軸に回転可能に外嵌する円筒部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(i)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(j)所定周長に亘って前記羽根車の中心部から外周端まで前記散水板の内面に沿って延出し、該羽根車に保持されて前記軸周りに該羽根車とともに回動運動し、該回動に伴って前記第2シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該第2シャワー孔からシャワー水を吐水する第2シャワー機構であることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、散水板に設けられた複数のシャワー孔と、散水板の内面側に周方向に沿って円形に設けられたガイド溝と、そのガイド溝に凹凸嵌合し、凹凸嵌合状態を保持しながらガイド溝に沿って転動運動するボールと、ボールを回転可能に保持し、上記のガイド溝に沿ってボールを周回運動させながら、ガイド溝の中心を回転中心として回転運動する回転体と、通過水を噴射水流として回転体に備えた壁に衝突させ、回転体を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、回転体とともに回動運動し、回動に伴ってシャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部とを含み、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するシャワー機構を備えてシャワー吐水装置を構成したものである。
【0015】
本発明のシャワー吐水装置におけるシャワー機構は、従来のように軸とこれに回転可能に嵌合する円筒部との嵌合構造に基づいて羽根車を回転可能に支持するものでなく、散水板の内面側に設けた円形のガイド溝に、回転体に回転可能に保持させたボールを凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボールをガイド溝に沿って周回運動させつつ回転体をガイド溝の中心を回転中心として回転運動させ、そしてその回転体の回転運動に伴ってシャワー孔遮断部によりシャワー孔を断続的に遮断及び開放するようになした点を特徴としている。
【0016】
従って本発明によれば、散水板の中心部から外周部にかけて径方向のどの位置にも回転体を配置することが可能であり、散水板の外周側の位置であっても、また内周側の位置であってもシャワー水をパルス状に吐水する上記シャワー機構を支障なく設けることができる。
即ち散水板の径方向のどの位置のシャワー孔からもシャワー水を断続的にシャワー吐水するようになすことができる。
【0017】
本発明では、軸とこれに嵌合する円筒部との嵌合構造によらないで、散水板の内面に設けたガイド溝と、これに回転可能に嵌り合うボールとで回転体の回転軌跡を画定すること、即ちガイド溝の中心(径方向中心)を回転中心として、回転体を回転運動させることができる。
そしてそのことによって散水板に対する回転体の相対位置、即ち散水板に対する回転体の配置位置(径方向位置)の制限を無くすことができる。
【0018】
また上記ボールは同時にベアリングとしての働きをなし、回転体と散水板内面との間の摩擦抵抗即ち回転体の摺動抵抗を可及的に小さくでき、回転体を円滑に回転運動させることができる。
【0019】
請求項2は、シャワー孔をガイド溝の底部に沿って設け、上記のボールを、シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部となしたもので、この請求項2によれば、シャワー孔遮断部をボールとは別途に設けなくてもよく、シャワー機構の構成を簡単化することができる。
【0020】
即ち請求項1では、ボールが、ガイド溝に嵌り合って回転体の回転軌跡を定める働きと、回転抵抗を小さくするベアリングとしての働きとをなし、この請求項2では更にこれに加えてボールがシャワー孔遮断部、つまり弁部としての働きもなしており、シャワー機構の構成をより一層簡素化することができる。
【0021】
これらの場合において、上記のボールは周方向に間隔を隔てて3個以上の複数個設けておくことができる(請求項3)。
このようにしておけば、回転体が少なくとも3個所以上でボールにより支持されることとなって自立可能となる。
ボールが2つ以下であると回転体が傾き、円滑な回転運動が十分に確保されなくなる。
【0022】
本発明では、請求項4に従って散水板の外周側の位置にシャワー機構を設ける一方、内周側の位置に、これとは独立した別のシャワー機構を設けておくことができる。
このようにすれば、1つのシャワーヘッドに互いに独立したシャワー機構を少なくとも2つ設けることができ、例えば外周側のシャワー機構をマッサージ用のシャワー機構として構成し、また内周側のシャワー機構を、通常のシャワー水を断続して吐水する節水用のシャワー機構として構成するといったことが可能となる。
【0023】
この場合において内周側のシャワー機構を、外周側のシャワー機構とは別種の機構のもの、即ち、散水板に設けられたパルス吐水のための複数の第2シャワー孔と、軸と軸に回転可能に外嵌する円筒部との嵌合に基づいて軸周りに回転運動する羽根車と、上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として羽根車の羽根に衝突させ、羽根車を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、所定周長に亘って羽根車の中心部から外周端まで散水板の内面に沿って延出し、羽根車とともに上記の軸周りに回動運動し、回動に伴って第2シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部とを含み、第2シャワー孔からシャワー水をパルス吐水する第2シャワー機構として構成しておくことができる。
尚この請求項5の内周側の第2シャワー機構は、節水シャワー用としても、またマッサージ用として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のシャワー吐水装置を備えたシャワーヘッドを示した図である。
【図2】図1のシャワーヘッドの内部構造を示した図である。
【図3】(ア)図2のア−ア視図である。(イ)図2のイ−イ視図である。(ウ)図2のウ−ウ視図である。
【図4】図2のエ−エ視図である。
【図5】図2の第1パルスシャワー機構の構成部品を分解して示した図である。
【図6】図5の回転体を異なった方向で示した図である。
【図7】図2及び図5の散水板上面のガイド溝を示した図である。
【図8】図2の第2パルスシャワー機構の構成部品を分解して示した図である。
【図9】本発明の他の実施形態の要部を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態における図1に相当する図である。
【図11】同実施形態における図2に相当する図である。
【図12】図11の要部を拡大して示した図である。
【図13】同実施形態における図3に相当する図である。
【図14】同実施形態における各部品を分解して示した分解斜視図である。
【図15】(A)図14におけるノズル押えの底部の上面の形状を示した図である。(B)同ノズル押えの底部の下面の形状を示した図である。
【図16】(A)図11におけるエ−エ視図である。(B)図16(A)の回転体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はシャワーヘッドで、12はその握り部、14は頭部である。
図2に、シャワーヘッド10の内部構造が具体的に示してある。
図2に示しているようにシャワーヘッド10は、上部ケース16と、仕切部材18と、下部ケース20とを有している。
仕切部材18は、樹脂製の第1部材22と第2部材24とから成っていて、それらが樹脂同士の溶着により接合一体化されており、上流側の水路26に連通した主水室28をそれらの内側に形成している。
ここで仕切部材18は、固定部30においてボルト32により上部ケース16に固定されている。
【0026】
上部ケース16の下端部且つ外周部には、ねじ部34が設けられており、そこにねじ固定具36が内嵌状態に螺合されている。
上記の仕切部材18は、このねじ固定具36によって外周部が上向きに押圧され、固定されている。
【0027】
下部ケース20もまた樹脂製の上側の第1部材38と、下側の第2部材40とから成っており、それらが溶着により接合されて一体化されている。
下部ケース20は、中心部の固定部42においてボルト44により段付形状のスリーブ46を介して上記の仕切部材18のボス部47に固定され、支持されている。
【0028】
48はキャップで自身の周壁部50と、下部ケース20の周壁部52との螺合によって下部ケース20に、即ちシャワーヘッド10の頭部14に組み付けられている。
そしてこのキャップ48と下部ケース20とによって、第1水室54と、第2水室56とが形成されている。
ここで第2水室56は散水板58の中心側、即ち内周側に形成されており、また第1水室54はその外周側に円環状に形成されている。
【0029】
更に第1水室54の外周側の位置に、第3水室68が周方向に沿って複数個所、ここでは16個所に設けられている。
尚この複数の第3水室68にはミスト機構70が設けられており、これら第3水室68に導かれた水は、このミスト機構70によりミストとされて、下部ケース20の環状の底部に形成されたミスト孔72から外部に噴射される。
ここでミスト孔72は、孔径(最小径部)がφ1.0mmの大きさとされている。
尚この実施形態では、キャップ48の底部60にて散水板58の全体が構成されている。
【0030】
下部ケース20の外周面には、リング状の切替操作部64が外嵌状態に嵌着されており、切替操作部64によって、下部ケース20及びキャップ48の全体が上記のボルト44周りに回転せしめられるようになっている。
尚切替操作部64には、図1に示しているように突出形状の摘み66が設けられている。
【0031】
下部ケース20には、上記第1水室54に連通した第1水路74と、第2水室56に連通した第2水路76、及び第3水室68に連通した環状の第3水路78が形成されている。
一方上記仕切部材18には、図3(ア)に示しているように主水室28に連通した流出開口80が設けられている。
また下部ケース20には、第1水路74に連通した第1流入開口82,第2水路76に連通した第2流入開口84、及び第3水路78に連通した第3流入開口86が同一円周上に設けられている。
【0032】
この実施形態では、切替操作部64を回転操作して第1流入開口82を流出開口80に合致させると、上流側の水路26から流れて来た水が主水室28から流出開口80,第1流入開口82を経て第1水路74へと流入し、次いで図2及び図3(ウ)に示す連通開口88を経て第1水室54と流入する。
一方第2流入開口84を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第2流入開口84を経て第2水路76へと流入し、次いで図3(ウ)に示す連通開口90を経て第2水室56へと流入する。
また第3流入開口86を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第3流入開口86を経て第3水路78に流入し、次いで第3水室68へと流入して、そこでミスト化されてミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0033】
上記第1水室54内に流入した水は、第1パルスシャワー機構91によって断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
また第2水室56に流入した水は、第2パルスシャワー機構92により断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
【0034】
尚、図3はシャワーヘッド10の頭部14の内部を図1中上側から下向きに見た図であり、また図1は頭部14を下側から上向きに見た図である。
これらの図において、切替操作部64の摘み66が中立位置にあるとき、第1流入開口82が流出開口80に合致した状態にあり、従ってこのときには主水室28内の水が第1水室54に流入して、第1パルスシャワー機構91によりパルスシャワー吐水される。
【0035】
この状態で切替操作部64を図3において反時計方向(図1では時計方向)に回転させると、第2流入開口84が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第2水室56内に流入し、第2パルスシャワー機構92によりパルスシャワー吐水される。
逆に切替操作部64を図3において時計方向に回転させると、第3流入開口86が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第3水室68内に流入し、ミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0036】
図4〜図7に、第1パルスシャワー機構91の構成が具体的に示してある。
図5及び図2,図7に示しているように、第1パルスシャワー機構91は、キャップ48の上面即ち散水板58の上面(内面)に設けられた環状且つ円形のガイド溝93を有している。
そしてこのガイド溝93の底部に且つ底部に沿って周方向に一定間隔ごとに第1シャワー孔94が設けられている。
ここで第1シャワー孔94は内径がφ1.8mmの大径のものである。
本実施形態では、この第1シャワー孔94が周方向に一定間隔ごとに合計8個設けられている。
【0037】
第1パルスシャワー機構91はまた、図5に示しているように回転体96と水流噴射部材98(これらは何れも樹脂製)とを更に有している。
回転体96は円形のリング状をなす部材であって、図6(B)にも示しているように底部100と周壁部102とを有しており、周方向に120°ごと離れた3個所にボール保持部104を有している。
またそれらボール保持部104と104との間において、平面視L字形状をなす複数の壁106を互いに等間隔で複数有している。
ここで壁106は、円環状をなす周壁部102からその中心方向、即ち求心方向に延びる主部106Aと、主部106Aの先端で直角に折れ曲った曲げ部106Cとを有している。
【0038】
この回転体96には、底部100に一定ピッチで複数のスリット状の貫通の開口108が設けられ、また平面視において隣接するL字状の壁106と106との間に側面の開口110が形成されている。
回転体96における上記のボール保持部104は、図中下面で開口した球面状、厳密には部分球面状をなす保持穴112(図6(B)参照)を有しており、各保持穴112においてボール114(ボール114もまた樹脂製)を、それらの下部を僅かに下向きに突出させる状態に回転可能に保持している。
【0039】
回転体96は、各保持穴112から下部を突出させたボール114を、横断面形状が円弧形状の凹形状をなす上記のガイド溝93に凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボール114をガイド溝93に沿って周回運動させつつ、ガイド溝93の中心(径方向中心)を回転中心として回転運動する。
即ちガイド溝93とボール114との凹凸嵌合にて画定される回転軌跡に沿って回転運動させられる。
【0040】
このとき、ガイド溝93に沿って転動運動するボール114が、ガイド溝93の底部に設けられたシャワー孔94に到ると、そこでシャワー孔94がボール114にて遮断され、更にこれをボール114が通過することでシャワー孔94が開放される。
即ち各ボール114は、ガイド溝93に沿って周回運動する際、断続的に各シャワー孔94を遮断及び開放する。
【0041】
一方、上記の水流噴射部材98は全体として円板状をなしており、周方向に沿って一定ピッチで複数の噴射孔116を有している。
各噴射孔116は斜孔をなしており、上流側から流れて来た水をこれら噴射孔116を通じて下流側に通過させ、その際に通過水を噴射水流として回転体96に備えた上記の壁106に衝突させ、回転体96を回転させるための駆動力を発生させる。
【0042】
本実施形態において、上記の第1パルスシャワー機構91は次のように作用する。
リング状の切替操作部64の回転操作で、図3(イ)に示す第1流入開口82を主水室28の流出開口80に合致させることにより第1水路74に流入した水は、連通開口88を経由して水流噴射部材98の上面に図中下向きに到達する。
水流噴射部材98は、このようにして到達した水を、自身の噴射孔116を通じて図中下向き且つ回転方向に斜め向きに水流として噴射する。
その噴射水流は回転体96の壁106に当ってこれを回転運動させる。
【0043】
このとき回転体96は、ボール114とガイド溝93との凹凸嵌合に基づいて画定された回転軌跡に沿って、またボール114のベアリングとしての働きにより、滑らかに回転運動する。
その際、ボール114は回転体96に保持されながらこれと一体にガイド溝93を転動運動(回動運動)し、その回転運動に伴って即ち第1シャワー孔94を通過するごとにこれを遮断及び開放し、以て第1シャワー孔94からシャワー水を断続してパルスシャワー吐水せしめる。
【0044】
即ちこの実施形態において、ボール114は、ガイド溝93と協働して回転体96の回転軌跡を画定する働きと、ベアリング作用によって回転体96の回転抵抗を可及的に小さくする働きと、第1シャワー孔94を開閉する弁としての3つの働きを同時になしている。
【0045】
この第1パルスシャワー機構91において、第1シャワー孔94は孔径の大きな大径のシャワー孔であり、またこの第1シャワー孔94は全体として全周に亘り8個だけの少ない数で大きいピッチで設けられているため、各第1シャワー孔94からは太くて勢いの強い水流が噴射され、従ってこの第1シャワー孔94からのシャワー水流の断続によって、使用者に対して効果的にマッサージが施される。
【0046】
図4,図5,図8に上記第2パルスシャワー機構92の構成が詳しく示してある。
図5に示しているように、この第2パルスシャワー機構92は、上記の第1シャワー孔94よりも内周側において、3重の同心円状に配置形成された第2シャワー孔118を有している。
最も外周側のシャワー孔118-1,続く内周側のシャワー孔118-2,最内周側のシャワー孔118-3は、何れも先端(下端)の開口の孔径がφ0.8mmで同じであるが、上端の開口の孔径が、最外周のシャワー孔118-1からこれに続く内周側のシャワー孔118-2に、更に最内周のシャワー孔118-3へと漸次小径化している。
【0047】
第2パルスシャワー機構92は、上記の第2シャワー孔118の他に、散水板58の中心部でこれから立ち上る円筒形状の中空の軸120と、この軸120に回転可能に外嵌する円筒状の嵌合部122を備えた羽根車124と、円筒状の軸120の内側に更に図中下向きに嵌り込む中実の軸126を備えた水流噴射部材127とを備えている。
【0048】
水流噴射部材127は円板状をなしていて、外周部において、下部ケース20の圧入孔125に圧入され、そこに固定されている。
この水流噴射部材127は、図3(イ)の流入開口84及び図3(ウ)の連通開口90を通じて流れ込んで来た水を噴射孔128に導入してこれを通過させる。そしてそこで噴射水流を発生させて、これを図中下側の羽根車124の羽根129に当て、羽根車124の回転駆動力を発生させる。
ここで噴射孔128は、図8に示しているようにここから噴射した水流が、羽根車124の湾曲した羽根129の凹面側に当るように、その向きが定められている。
【0049】
羽根車124の各羽根129は、部分螺旋形状を描くようにして中心から外周に向け延出せしめられている。
この羽根車124は、散水板58から起立した円筒状の中空の軸120に対する、円筒状の嵌合部122の嵌合に基づいて、軸120及び126を回転の支持軸として、軸120及び中実の軸126の軸線周りに回転運動する。
この羽根車124は、図8に示しているようにその下面の略半分が開放され、また残りの略半分が閉鎖されており、その閉鎖部が、第2シャワー孔118を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部130を成している。
【0050】
この第2パルスシャワー機構92は次のように作用する。
切替操作部64の回転操作で、図3の流入開口84を流出開口80に合致させることにより図2の第2水路76に流入した水は、図3の連通開口90を経て水流噴射部材127へと到る。
水流噴射部材127は、流れて来た水を自身の噴射孔128を通過させ、その際に通過水を噴射水流となして、これを下側の羽根車124の各羽根129に衝突させる。
ここにおいて羽根車124は、その噴射水流の勢いで中空の軸120周りに回転運動する。
このとき羽根車124の下面の略半分を覆った状態のシャワー孔遮断部130は、回動とともに第2シャワー孔118を断続的に遮断及び開放し、第2シャワー孔118からシャワー水を断続的にパルス吐水せしめる。
【0051】
尚この第2シャワー孔118は、全体として数も多く、また1つ1つのシャワー孔も第1パルスシャワー機構91における第1シャワー孔94よりも孔径の小さなものであるため、通常のシャワー水が吐水される。
そしてそのシャワー水が断続的に吐水及び吐水停止することで、即ち間欠シャワー吐水されることで節水を果たすことができる。
【0052】
以上のように本実施形態のシャワー吐水装置における第1パルスシャワー機構91は、従来のように軸とこれに回転可能に嵌合する円筒部との嵌合構造に基づいて羽根車を回転可能に支持するといったものでなく、散水板58の内面に設けた円形のガイド溝93に、回転体96に回転可能に保持させたボール114を凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボール114をガイド溝93に沿って周回運動させつつ回転体96をガイド溝93の中心を回転中心として回転運動させ、そしてその回転体96の回転運動に伴ってシャワー孔遮断部として働くボール114により第1シャワー孔94を断続的に遮断及び開放するようになしている。
【0053】
そのために散水板58の外周側の位置にも回転体96を配置することが可能であり、散水板58の外周側の位置のシャワー孔94からもマッサージ用にシャワー水を断続的にパルス吐水することができる。
【0054】
本実施形態では、散水板58の外周側の位置に第1パルスシャワー機構91を設ける一方、内周側の位置に、これとは独立した別の第2パルスシャワー機構92が設けてある。
即ち本実施形態では1つのシャワーヘッド10に、互いに独立したパルスシャワー機構が2つ設けてあり、これによりその一方、ここでは外周側の第1パルスシャワー機構91をマッサージ用のパルスシャワー機構として構成し、また他方の内周側の第2パルスシャワー機構92を、通常のシャワー水を断続して吐水する節水用のパルスシャワー機構として構成するといったことが可能となる。
【0055】
上記の実施形態では第1パルスシャワー機構91を散水板58の外周側の位置に、また第2パルスシャワー機構92をこれよりも内周側の位置に設けており、またその第2パルスシャワー機構92を、通常のシャワー水を断続吐水させるための機構として用いているが、場合によってこの第2パルスシャワー機構92における第2シャワー孔118を孔径の大きなシャワー孔とし、そしてその数を少なくすることによってマッサージ用のパルスシャワー機構として構成するといったことも可能であるし、或いは上記の第2パルスシャワー機構92を省略して、第1パルスシャワー機構91を散水板58の中心側の位置、即ち内周側に配置するといったことも可能である。
【0056】
また場合によって第1のパルスシャワー機構91を、シャワー孔94の孔径を小さくし且つその数を多くすることで、通常のシャワー水のパルスシャワー吐水用として構成することも可能である。
更に上記実施形態では第1パルスシャワー機構91におけるボール114が、第1シャワー孔94を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部として構成されているが、場合によってシャワー孔遮断部をこのボール114以外に設けておくといったことも可能である。
【0057】
図9はその具体的な一例を示している。
図9の例は、第1パルスシャワー機構91を、散水板58の内周側に設け、そして回転体96に、図8に示すのと同じようなシャワー孔遮断部130を設けて、回転体96の回転に伴いシャワー孔遮断部130にてシャワー孔94を周方向に沿って順次に遮断及び開放し、シャワー孔94からシャワー水を断続的にパルス吐水させるようになした例である。
【0058】
次に図10〜図16は、本発明の更に他の実施形態を示している。
この例では、図10に示しているように第2シャワー孔118が(詳しくはその下側の一部が)、4重の同心円状に配置形成されている。
図中118-1は最外周のシャワー孔(詳しくはその下側の一部。以下同様)を、118-2はその内側のシャワー孔を、118-3は更にその内側のシャワー孔を、118-4は最内周のシャワー孔をそれぞれ示している。
尚最内周のシャワー孔118-4は、周方向に120°ごとに隔たった3個所に形成されている。
【0059】
この例ではまた、第2シャワー孔118が、図11,図12及び図14に示すゴム製(他のエラストマー材料から成るものであっても良い)のノズル部材140のノズル孔118A、及び後述のノズル押え148の連通孔118Bにて形成されている。
ノズル部材140は、シート状の本体部142と、この本体部142から下向きに突き出した多数のノズル部144とを有しており、各ノズル部144が、樹脂製のキャップ58の底部60にて構成された散水板58の多数の挿通孔146を挿通して、それぞれの先端部が下向きに突き出している。
【0060】
これら多数のノズル部144は、内部にノズル孔118Aを有しており、それらノズル孔118Aによって、上記の第2シャワー孔118の下部を形成している。
詳しくは、ノズル部144は4重の同心円状に配置されており、そしてそれらノズル部144のノズル孔118Aによって、図10に示す4重の同心円状のシャワー孔118-1,118-2,118-3,118-4のそれぞれの下部が形成されている。
【0061】
ノズル部材140の上記のシート状の本体部142は、図12に示しているように下面が下向きに凸、上面が下向きに凹となるような湾曲形状をなしており、そしてその下面から直角に立ち下る形状で、各ノズル部144が本体部142に一体に形成されている。
【0062】
図11,図12及び図14において、148はノズル部材140、詳しくはシート状の本体部142を下向きに押圧する硬質(ここでは樹脂製)のノズル押えで、上面が開放された形状の容器状をなしていて、その内側に第2水室56を形成しており、そこに羽根車124が収容されている。
このノズル押え148は、円形の周壁部150と、底部152とを有している。底部152の下面は、ノズル部材140のシート状の本体部142の凹曲面に対応した凸曲面をなしている。
【0063】
このノズル押え148は、キャップ48を下部ケース20の周壁部52に上向きにねじ込むことで、水流噴射部材127を介して下部ケース20とキャップ48の底部とで挟まれて固定される。
その際のキャップ48のねじ込み力により、ノズル部材140の本体部142をキャップ48の底部60に対して下向きに押圧し、ノズル部材140をキャップ48に対して固定状態とする。
【0064】
容器状をなすノズル押え148の底部152には、ノズル孔118Aと連通して上記の第2シャワー孔118の上部を形成する多数の連通孔118Bが、底部152を貫通し且つ上端が第2水室56内に開口する形態で設けられている。
図15(A)は、ノズル押え148の底部152の平面視を、また図15(B)は底面視をそれぞれ表しており、これらの図に示しているように連通孔118Bは、上端の開口及び下端の開口が何れも3重の同心円状に配置されている。
【0065】
最外周の連通孔118Bは、4重の同心円状に配置されたノズル部144のうちの最外周のノズル部144のノズル孔118Aと直接連通しており、そのノズル孔118Aとともに図10の最外周のシャワー孔118-1を形成している。
またその内側の連通孔118Bは、同じく最外周の次の内側のノズル部144のノズル孔118Aと直接連通しており、そのノズル孔118Aとともに図10のシャワー孔118-2を形成している。
更にその内側の連通孔118Bは、同じく最外周から3番目の内周側のノズル部144のノズル孔118Aと直接連通し、そのノズル孔118Aとともに図10のシャワー孔118-3を形成している。
【0066】
図15(A)における最内周の位置のノズル孔118Bのうちの一部は、図15(B)に示しているように、底部152の下面側の一部が底部152中心に向って分岐して延びており、その分岐部Tの中心側端において、4重の同心円をなすノズル部144のうちの最内周のノズル部144のノズル孔118Aと連通し、以て図10に示す最内周のシャワー孔118-4を形成している。
従って第2水室56から図15(A)中最内周の連通孔118Bに流入した水は、その最内周の連通孔118Bを通じて、最外周から3番目のノズル孔118Aと最内周のノズル孔118Aとの両方に給水される。
【0067】
この実施形態では、第2水室56内で回転する羽根車124のシャワー孔遮断部130により、連通孔118Bが間欠的に遮断及び開放されることによって、第2シャワー孔118からシャワーがパルス吐水される。
【0068】
この実施形態の場合、第2シャワー孔118の内部にゴミが付着したり、或いは水道水中のカルシウムや珪素,鉄等の成分が析出したりすることで、第2シャワー孔118が詰まりを生じた場合であっても、散水板58から突き出したゴム製のノズル部144の先端部を指ではじく等してこれを弾性変形させることで、第2シャワー孔118の内部に付着したゴミやカルシウム等成分の析出物を第2シャワー孔118から簡単に除去することができる。
【0069】
尚この実施形態では、第2水室56内において羽根車124の円筒形状の嵌合部122が、水流噴射部材127から下向きに突出した軸部126に対して直接回転可能に嵌合せしめられている。
【0070】
この実施形態ではまた、図13に示しているように第1流入開口82と第2流入開口84との位置関係が、図1〜図8に示す上記の実施形態のそれと逆の位置関係となっている。
即ちこの実施形態では、第2流入開口84が中央位置に位置し、そして図13(イ)中左側の位置に第1流入開口82が、また右側位置に第3流入開口86が位置している。
【0071】
従ってこの実施形態では、摘み66を中立位置に位置させた状態では、主水室28内の水が流出開口80,第2流入開口84を通じて第2水室56内に流入し、図10の第2シャワー孔118からパルスシャワー吐水される。
【0072】
一方、この状態から切替操作部64を図13(イ)中反時計方向に回転操作すると、第1流入開口82が流出開口80に合致して、主水室28内の水が流出開口80及び第1流入開口82を通じて第1水室54内に流入し、その後第1シャワー孔94からパルスシャワー吐水される。
【0073】
他方、切替操作部64を時計方向に回転させると、第3流入開口86が流出開口80に合致して、主水室28内の水が流出開口80,第3流入開口86を通じて第3水室68内に流入し、ミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0074】
本実施形態では、更に、図16に示しているように回転体96における略L字状をなす壁106の形状が次のような形状とされている。
即ち壁106における主部106Aの凹面側の、周壁部102への付根部106Bが曲面形状とされており、また主部106Aから曲げ部106Cにかけての移行部106Dが、同じく湾曲した曲り形状とされている。
【0075】
壁106が図6に示すようなL字形状、即ち主部106Aと曲げ部106Cとが直角をなす形状であると、主部106Aに当った水が逃げようとしたときに、曲げ部106Cに直角に当って逃げ難く、主部106Aと曲げ部106Cとの交差部の内側に水だまりが生じ易い。
そのような水だまりが生じると、水流噴射部材98からの噴射水流が壁106に当る際の勢いが減殺される恐れがある。
【0076】
しかるにこの実施形態では、主部106Aから曲げ部106Cにかけての移行部が湾曲形状とされているため、水流噴射部材98から主部106Aに当った水が、その湾曲部Dにより案内されて逃げ易い。
そのため、水流噴射部材98からの噴射水流の勢いが水だまりで減殺されることなく壁106に当って、回転体96の回転力を増す利点が得られる。
以上本発明の実施形態を詳述したが、これらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 シャワーヘッド
58 散水板
60,62 底部
91 第1パルスシャワー機構
92 第2パルスシャワー機構
93 ガイド溝
94 第1シャワー孔
96 回転体
98,127 水流噴射部材
106 壁
114 ボール
118 第2シャワー孔
120,126 軸
122 嵌合部
124 羽根車
129 羽根
130 シャワー孔遮断部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)該散水板の内面側に設けられ、該散水板の周方向に沿って円形をなすガイド溝と、(c)該ガイド溝に凹凸嵌合し、凹凸嵌合状態を保持しながら該ガイド溝に沿って転動運動するボールと、(d)該ボールを回転可能に保持し、該ガイド溝に沿って該ボールを周回運動させながら該ガイド溝の中心を回転中心として回転運動する回転体と、(e)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として前記回転体に備えた壁に衝突させ、該回転体を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(f)前記回転体に保持されて前記回転中心周りに該回転体とともに回動運動し、該回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー機構を備えていることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項2】
請求項1において、前記シャワー孔が前記ガイド溝の底部に且つ該底部に沿って設けてあり、前記ボールが該シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部を兼ねていることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記ボールは周方向に間隔を隔てて3個以上の複数個設けてあることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記散水板の外周側の位置に前記シャワー機構が設けてあり、内周側の位置に該シャワー機構とは独立した別のシャワー機構が設けてあることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項5】
請求項4において、前記内周側のシャワー機構が、前記シャワー機構とは別種の機構のものであって、
(g)前記散水板に設けられた複数の第2シャワー孔と、(h)軸と該軸に回転可能に外嵌する円筒部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(i)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(j)所定周長に亘って前記羽根車の中心部から外周端まで前記散水板の内面に沿って延出し、該羽根車に保持されて前記軸周りに該羽根車とともに回動運動し、該回動に伴って前記第2シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該第2シャワー孔からシャワー水を吐水する第2シャワー機構であることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項1】
(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)該散水板の内面側に設けられ、該散水板の周方向に沿って円形をなすガイド溝と、(c)該ガイド溝に凹凸嵌合し、凹凸嵌合状態を保持しながら該ガイド溝に沿って転動運動するボールと、(d)該ボールを回転可能に保持し、該ガイド溝に沿って該ボールを周回運動させながら該ガイド溝の中心を回転中心として回転運動する回転体と、(e)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として前記回転体に備えた壁に衝突させ、該回転体を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(f)前記回転体に保持されて前記回転中心周りに該回転体とともに回動運動し、該回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー機構を備えていることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項2】
請求項1において、前記シャワー孔が前記ガイド溝の底部に且つ該底部に沿って設けてあり、前記ボールが該シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部を兼ねていることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記ボールは周方向に間隔を隔てて3個以上の複数個設けてあることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記散水板の外周側の位置に前記シャワー機構が設けてあり、内周側の位置に該シャワー機構とは独立した別のシャワー機構が設けてあることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項5】
請求項4において、前記内周側のシャワー機構が、前記シャワー機構とは別種の機構のものであって、
(g)前記散水板に設けられた複数の第2シャワー孔と、(h)軸と該軸に回転可能に外嵌する円筒部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(i)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転させるための駆動力を発生させる水流噴射部材と、(j)所定周長に亘って前記羽根車の中心部から外周端まで前記散水板の内面に沿って延出し、該羽根車に保持されて前記軸周りに該羽根車とともに回動運動し、該回動に伴って前記第2シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該第2シャワー孔からシャワー水を吐水する第2シャワー機構であることを特徴とするシャワー吐水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−135606(P2012−135606A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198859(P2011−198859)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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