説明

シラン架橋を有する一成分系貼合せ用接着剤

本発明は、少なくとも2個の架橋性アルコキシシラン基および2000〜30,000g/molの分子量を有するポリエステルプレポリマー、ポリエーテルプレポリマーおよび/またはポリウレタンプレポリマー25〜80重量%、130℃以下の沸点を有する有機溶媒75〜19重量%、無水物基を含有するポリマー1〜20重量%、および添加剤0〜15重量%を含有し、該接着剤の粘度は15〜45℃で測定して50〜20,000mPas(DIN ISO 2555による)である、架橋性1成分系貼合せ用接着剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平らな基材を結合するための加水分解性シラン基を含有するポリウレタンプレポリマー系接着剤に関する。本発明は、さらに、多層フィルム用の貼合せ用接着剤としての該接着剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオールおよびイソシアネートの反応生成物としての透明なNCO−架橋性ワンパック接着剤は、欧州特許出願公開第0464483号より既知であり、ここで尿素基を含むイソシアネートが使用されている。これら尿素基は、高い水素結合を与えるため、通常、ポリマーの高い粘性を与える。さらに、ポリマーの製造における単量体イソシアネートのために、有害なイソシアネートの残留モノマー含量がもたらされ、それをさらなる手段によって減らさねばならない。
【0003】
その上、米国特許第5990257号が既知である。これには、シリル基を有するポリウレタンの製造方法が記載され、ここで、イソシアネートはポリオールに対して準化学量論的な量で使用される。その後、さらにOH基をイソシアナトシランと反応させて、シリル含有型プレポリマーを形成させる。ポリマーは、12000g/molより大きい分子量を有する。粘度は、57Pa・sより高い。用途として、シーラントとしての使用が記載されており、それは硬化後に低い粘着性を示す。
【0004】
いまだ公開されていない独国特許出願公開第102009026900号には、溶媒としてアルコールを含有する貼合せ用接着剤が記載されている。この目的に対して、ポリウレタン系プレポリマーが記載され、それは架橋性シラン基を含有する。しかしながら、これら接着剤は高いアルコール(例えばメタノールまたはエタノール)含量を有する。
【0005】
その上、欧州特許出願公開第1674546号が既知である。これには、求核的に置換されたシランと反応させた、NCO基を含有するポリウレタンから得られる湿分硬化型組成物が記載されている。これら接着剤と水分との迅速な反応が記載されている。接着剤は、ホットメルト接着剤として使用され、すなわち、それらは室温で固形であり温めてのみ塗布される。
【0006】
先行技術の組成物は、貼合せ用接着剤として使用する際に、様々な欠点を有する。イソシアネート含有接着剤は、通常、労働衛生上および労働安全上の理由において安全であるとは認められない。さらに、厳密な無水条件下でのみ貯蔵が可能である。シラン硬化系は、カルボン酸またはアルコールを含有するか、あるいは、架橋中にそれらを生じる。これらは同様に、生理的に有害であり、これらの物質はフィルム包装の内容物への悪影響を有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0464483号明細書
【特許文献2】米国特許第5990257号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102009026900号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1674546号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、室温で低粘性を有し、基材の広い領域に薄層で塗布可能な接着剤を提供することである。それは、基材に対する良好な接着および迅速な接着の進行を示すべきである。架橋後、可能ならば、上記の接着剤はいずれの移行性の生体有害物質(例えば第1級芳香族アミンまたはアルコール)も有さない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも2個の加水分解性アルコキシシラン基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエーテルプレポリマーおよび/またはポリウレタンプレポリマーであって、2000〜30000g/molの分子量を有するプレポリマー25〜80重量%、130℃以下の沸点を有する有機溶媒75〜20重量%、無水物基を含有するポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマー1〜20重量%、添加剤0〜15重量%を含有する架橋性ワンパック貼合せ用接着剤であって、該接着剤の粘度は15〜45℃で測定して50〜20000mPas(DIN ISO 2555による)である接着剤により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のプレポリマーを製造するために適当なポリエステルは、例えばポリエステルポリオールまたはポリウレタンポリオールの形態の既知のポリエステルポリオールであり、、それと、ポリマー骨格に反応性の基およびさらに少なくとも1個の架橋性シラン基を含有する二官能性シラン化合物とを、2個以上のサイトで反応させる。特に、ポリエステルポリオールは、2個以上のOH基を有すべきである。
【0011】
適当なポリエステルポリオールを、例えば重縮合により、製造することができる。例えば、二官能性および/または三官能性の低分子量アルコールを、準化学量論的な量のジカルボン酸および/またはトリカルボン酸と縮合させることができる。遊離のポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または好ましくは1〜3個のC原子を有するアルコールを含む対応するポリカルボン酸エステルを用いることもできる。適当なジカルボン酸は、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸および16個以下のC原子を有するそれらのより高級の同族体、ならびに不飽和のジカルボン酸、例えばマレイン酸またはフマル酸、二量体脂肪酸または三量体脂肪酸または芳香族ジカルボン酸、特に異性体フタル酸、例えばフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸、無水物、例えばテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、または、そのような酸の2以上の混合物である。その1部を任意に添加してよいトリカルボン酸として、例えばクエン酸またはトリメリット酸が適当である。末端OH-官能性ポリエステルジオールが得られるように量を選択する。好ましい態様において、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸の混合物を含有させる。
【0012】
上記カルボン酸との反応に、特に、脂肪族アルコールが適当である。適当な脂肪族アルコールの例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオールおよびより高級の同族体またはそれらの異性体、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールが挙げられる。
【0013】
より多官能価性のアルコール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコールおよび上記の物質自体のオリゴマー型エーテルまたは上記エーテルの2以上の混合物のオリゴマー型エーテルも適当である。
【0014】
低分子量多官能価アルコールとアルキレンオキシドとの反応生成物、いわゆるポリエーテルも、ポリエステルの製造に適当なポリオールである。アルキレンオキシドは、2〜4個のC原子を有することが好ましい。適当な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは4,4'-ジヒドロキシジフェニルプロパンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド、あるいはそれらの2以上の混合物との反応生成物である。多官能価アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたは糖アルコール、あるいはそれらの2以上の混合物と、上記アルキレンオキシドとの、ポリエーテルポリオールを形成する反応生成物も適当である。これらは約400〜約2000g/molの分子量を有する。
【0015】
低分子量アルコール、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロールまたはトリメチロールプロパンと、ラクトン、特にカプロラクトンとの反応により生じるポリエステルポリオールも適当である。1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,4-ブタントリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールも、アルコールとして適当である。
【0016】
しかしながら、油脂化学由来のポリエステルポリオールを用いることもできる。油脂化学ポリオールは、天然油および脂肪に基づくポリオール、例えばエポキシ化脂肪物質とモノアルコール、ジアルコールまたは多官能価アルコールとの反応生成物、あるいは、ヒドロキシル基で少なくとも部分的に置換された長鎖脂肪酸のグリセロールエステルを意味すると理解される。この種のポリエステルポリオールは、例えば、1〜12個のC原子を有する1種以上のアルコールを有する脂肪混合物を含有する、少なくとも部分的にオレフィン系不飽和の脂肪酸のエポキシ化トリグリセリドを完全開環し、続いて、トリグリセリド誘導体を部分エステル交換し、アルキル残基において1〜12個のC原子を有するアルキルエステルポリオールを形成させることにより製造することができる。他の適当なポリオールは、ポリカーボネートポリオールおよびダイマージオール(Henkel)ならびにヒマシ油およびその誘導体である。
【0017】
この種のOH-官能性ポリエステルの製造方法は既知である。この種のポリエステルポリオールは市販されてもいる。
【0018】
ポリマー骨格として適当な別の種類のポリオールは、ポリエーテルポリオールである。適当なポリエーテルポリオールは、ジオールまたはトリオール、例えばエチレングリコール、1,2-または1,3-プロピレングリコール、1,4-または1,3-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオールと、アルキレンオキシド、例えばプロピレンオキシドまたはブチレンオキシドとの、既知の反応生成物である。これらポリオールは2または3個のOH基を有してよい。この種のポリエーテルポリオールは市販されている。
【0019】
適当なポリオールの分子量は、約400〜25000g/mol(数平均分子量、M、GPCにより測定)、特に2000〜20000g/molである。プレポリマーを製造するのにポリオールの混合物を使用する場合、ポリエステルポリオールを少なくとも50%、特にもっぱらポリエステルポリオールを、特に好ましくは末端OH基を有するポリエステルジオールを使用することが好ましい。
【0020】
一態様において、NCO基を含有するプレポリマーを、上記のポリエステルおよび/またはポリエーテルポリオールから、過剰のジイソシアネートを反応させることにより製造することができる。ここで、ポリオールを、場合により溶媒も含有する液体または融解状態で、ジイソシアネートと反応させる。これは、高温にすることにより補助することもでき、少量の触媒を添加してよいことも既知である。イソシアネートおよび量を選択することにより、遊離、未反応ジイソシアネートを少ない割合でのみ反応混合物中に存在させることが達成可能である。必要であれば、過剰の単量体イソシアネートを蒸留により分離することもできる。そのような方法は、当業者に既知である。この場合、ポリエステルは末端NCO基のみを含有し得るか、あるいは、反応性NCO基を有するポリウレタンプレポリマーを分子量拡張により形成させる。これらポリウレタンプレポリマーも、本発明により使用するシラン含有プレポリマーの合成に適当である。
【0021】
イソシアネートとして、特に既知の脂肪族または芳香族ジイソシアネート、例えば1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4-または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびそれらの異性体混合物、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート(HXDI)、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)またはビトリレンジイソシアネート(TODI)が適当である。NCO-末端化プレポリマーが得られるように量を選択する。
【0022】
本発明の一態様において、これらNCO基含有反応生成物を、その後、求核性基に加えて加水分解性シラン基を含有するシランと反応させる。
【0023】
適当なシランとして、有機官能性シラン、例えば一般式:
Nu-(アルキル-Si(R)(OR))
[Nu=NH、NH、SH、OH、
アルキル=C、C、C、C、C、直鎖状、分枝状またはシクロアルキル、
=メチル、エチル、プロピル、ブチル、
a=0、1、
=1〜20個のC原子を有するアルキル残基またはH、
B=2、3、
C=1、2を有する]
で示される、ヒドロキシ官能性シラン、メルカプト官能性シランまたはアミノ官能性シランを用いる。シラン基は、少なくとも1個の、好ましくは2または3個の加水分解性残基を含有する。特に、C〜CアルコールまたはOH基が適当である。これら残基を単独にまたは混合物で、ケイ素原子で含有させることができる。さらに、0または1個のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を、ケイ素原子で含有させることができる。特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基を有するトリアルコキシシランまたはジアルコキシシランが適当である。
【0024】
メルカプト官能性シランの例は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランまたは対応するアルキルジメトキシ化合物またはアルキルジエトキシ化合物である。アミノ官能性シランの例は、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AMMO)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N-ジ(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジ(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ジ(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ジ(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N'-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N'-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N'-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N'-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N-(2-アミノブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルアルコキシジエトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、4-ヒドロキシブチルトリメトキシシランまたはそれらの混合物、ならびに個々のプロピル基の代わりに別のアルキル基を有する対応する化合物である。好ましい態様では、イソシアネートプレポリマーとの反応に、アミノシラン、特にα-官能化シラン、特に好ましくはα-アミノシランを使用する。複数のシランの混合物を用いることもできる。
【0025】
反応させるシラン化合物の量は、プレポリマーの全てのイソシアネート基がシラン化合物の求核性基と反応するように選択する。少量過剰の求核性シランを使用することができる。このようにして、シラン末端化プレポリマー中に遊離のイソシアネート基が全く存在しないことを確実にできる。低分子量化合物の含量を少なく保つために、過剰すぎる多量のシランは避けるべきである。
【0026】
本発明の別の態様において、上記のOH-官能性ポリエステルおよび/またはポリエーテルをポリマー骨格として、上記の式で示されるシランと反応させる、ただしNuはイソシアネート基である。したがって、この場合においてシラン化合物は加水分解性基およびイソシアネート基を含有する。そのようなシランの例は、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、トリメトキシシリルペンチルイソシアネート、トリメトキシシリルブチルイソシアネートまたは対応するトリエトキシ化合物またはトリプロポキシ化合物である。対応するジアルコキシアルキルシリルイソシアネート化合物も適当である。
【0027】
イソシアナトシラン化合物の量を、イソシアネート基のモル量がヒドロキシ官能性ポリオールのOH基のモル量に相当するように選択する。この場合、シラン官能性プレポリマーも得られる。
【0028】
さらなる態様では、ポリマー骨格として、上記に述べたポリマーを、加水分解性基に加えてエポキシ基または無水物基も有するシラン化合物と反応することができる官能基を含有するように選択する。この場合、ポリマー、特にポリオールは、その後、エステル基またはグリシジルエーテルを介して加水分解性シラン基と連結する。
【0029】
本発明に適当なプレポリマーは、架橋性シラン基を有さねばならない。加水分解性シラン基の数は、1分子あたり少なくとも2個以上である。特定の態様において、シラン基はポリマー鎖の末端にある。プレポリマーはNCO基を含まないことが好ましい。
【0030】
本発明に適当な反応生成物は、シラン基を含有するプレポリマーである。これらプレポリマーは、平均して2個以上、好ましくは2〜4個のウレタン基を有する。反応生成物の溶媒を含まない状態でのガラス転移温度は、−40〜0℃、特に−35℃〜−10℃である(DSCで測定)。ガラス転移温度は、ポリマー骨格またはイソシアネートの芳香族留分の量により影響されうる。芳香族環を有するイソシアネートに基づいて製造したシラン反応性プレポリマーは特に適当であることが示された。これらの例は、出発ポリオールと反応させたTDI、NDI、4,4'-MDI、2,4-MDI、MXDIまたはTMXDIである。
【0031】
上記のシラン官能化プレポリマーから、貼合せ用接着剤を製剤化できる。これら貼合せ用接着剤中に、追加の原料、例えば溶媒、可塑剤、触媒、安定剤、接着促進剤、および、より好ましくない態様において、顔料およびフィラーを含有させることができる。
【0032】
本発明によれば、ワンパック貼合せ用接着剤は、アルコールと反応することができる官能基を有する化合物を追加的に含有すべきである。この場合、アルコールと選択した化合物の反応性基との反応が付加反応である場合が好ましい。この反応において、低分子量物質が放出されないことが好ましい。官能基としては、有機カルボン酸の無水物が特に適当である。これらは、単量体カルボン酸無水物、特に30℃で固形のもの、例えば無水マレイン酸(MA)、フタル酸無水物、トリメシン酸無水物またはそのような化合物の誘導体であり得る。1個より多くの有機無水物基を含有する化合物のオリゴマーを用いることもできる。
【0033】
本発明の特定の態様では、無水物基を有する、1000g/molより大きい分子量を有するポリマーを使用する。適当なポリマーは知られており、特にMA基を有するものである。これらを対応するポリマー中に共重合により導入することができる。MAについては、ポリマー上にグラフト化することも可能である。適当なコポリマーの例は、スチレン、ビニルアセテートまたは(メタ)アクリレートを有するMAのコポリマーである。MAでグラフト化させることができるコポリマーの例は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステルまたはポリブタジエンのベースポリマーである。それらを調製後、MAとの高分子-類似反応において、これらを既知の方法によりグラフト化することができる。適当なポリマー中のMA含量は異なってよく、無水物基の3モル%〜約60モル%までである。本発明によれば、ポリマー中に、より高い割合、特に10〜55モル%のMAが存在する場合に有利である。
【0034】
特に好ましい態様では、MA-スチレンコポリマーを使用する。これは、20〜55モル%MAの含量を有する。これらは固形物質である。
【0035】
ポリマーまたはオリゴマーの量は、貼合せ用接着剤に基づいて、1〜20重量%、特に2〜15重量%である。その量を、無水物基の量が本発明の接着剤中のアルコキシ基の量に相当するように選択し得る。過剰に用いることもできる。さらに存在し得る求核性基を有する任意の低分子量物質、例えばアミン含有化合物も、この成分と反応することができる。
【0036】
本発明の接着剤に任意に含有させる他の添加剤として、例えば、可塑剤を含有させることができる。適当な可塑剤は、例えば医療用白油、ナフテン系鉱油、パラフィン系炭化水素油、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、フタレート、アジペート、ベンゾエート、植物または動物油およびその誘導体である。使用できる安定剤または酸化防止剤として、フェノール、高分子量の立体障害フェノール、多官能性フェノール、硫黄含有フェノールおよびリン含有フェノールまたはアミンを選択することができる。
【0037】
本発明の接着剤は、顔料またはフィラーを含有することもできる。その量は、0〜5重量%である。接着剤は、透明であることが好ましい。このため、ナノスケールのフィラーが特に適当である。透明な、またはほんのわずかにのみ濁った接着剤が得られるように、接着剤中で適当な屈折率を有するフィラーを選択することもできる。
【0038】
シラン化合物を接着促進剤として接着剤に添加することも可能である。接着促進剤として、上記のシランまたは好ましくは有機官能性シラン、例えば(メタ)アクリルオキシ官能性、エポキシ官能性または非反応的に置換されたシランを使用することができる。好ましい態様において、0.1〜3重量%のこのようなシランを接着剤に添加する。これらの例は、3-アクリルオキシプロピルトリアルコキシシランまたは3-メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン;エポキシ官能性シラン、例えば3-グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルトリエトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、アルキルトリエトキシシランまたは対応するジアルコキシ誘導体またはトリアルコキシ誘導体である。これらを、任意にポリマーネットワーク中に導入してよい。
【0039】
本発明に適当な接着剤は、任意に存在し得る追加の添加剤として触媒を含有することもできる。触媒として、シラン基の加水分解性基の加水分解による開裂および続くSi-OH基のシロキサン基への縮合を触媒し得る、全ての既知化合物を用いることができる。これらの例は、チタネート、例えばテトラブチルチタネートまたはチタンテトラアセチルアセトネート;ビスマス化合物、例えば、ビスマストリス-2-エチルヘキサノエート;スズカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジブチルスズジアセテートまたはジブチルスズジエチルヘキサノエート;スズ酸化物、例えばジブチルスズオキシドおよびジオクチルスズオキシド;有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリスアセチルアセトネート;キレート化合物、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトネート;アミン化合物またはそのカルボン酸との塩、例えばオクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジ-またはトリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、モルホリン、N-メチルモルホリンおよび1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)、アミノ基を有するシラン化合物である。触媒または混合物を、製剤の全重量に基づいて0.01〜約5重量%の量で使用する。0.05〜4重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%の触媒が好ましい。接着剤がいずれの錫触媒も含有しないことが好ましい。特に、他の重金属含有触媒も避けることができる。
【0040】
本発明によれば、接着剤は溶媒も含有する。これらは、130℃以下の温度で蒸発させることができる、特に100℃未満の沸点を有する典型的な溶媒である。溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトンまたはエステルの群から選択することができる。溶媒を、粘度を下げるために、および、調整するために使用する。溶媒の割合は、幅広い限度で変化させることができ、例えば接着剤に基づいて19〜75%である。ある納入形態において、接着剤を高粘性に調整し、その後、塗布前にさらなる溶媒で適当な粘性に希釈することができることが既知である。全ての成分の合計は、100%になる。良好な貯蔵安定性のために、本発明により使用する溶媒が、ほんの少しの割合の水を含有する、または、水を含有しない場合、都合が良い。
【0041】
本発明の接着剤の溶媒を、製造の間に添加することができる。しかしながら、別の態様では、溶媒の一部のみを製造の間に使用し、製造に適した粘度に調整するように操作する。しかしながら、本発明の組成物に関し、適当な塗布粘度を得るために溶媒の別の部分を加工直前に接着剤に添加する。この態様において、接着剤を塗布する直前まで添加されない溶媒も、有機単官能性アルコールを少なくとも部分的に含有することが可能である。これらアルコールは、溶媒に対する要件によれば、130℃以下の温度で蒸発する。特に、メタノール、エタノールまたはプロパノールが適当である。溶媒含量の合計に基づくアルコールの量は、50%以下、特に25%未満である。
【0042】
溶媒を含む接着剤の加工安定性は、十分に長いことがわかった。6時間までの期間で、架橋する間の反応性を顕著に変えることなく、希釈した接着剤を加工することができる。塗布の間に溶媒が蒸発するため、本発明の接着剤の操作方法は損なわれない。
【0043】
貼合せ用接着剤の粘度は、塗布温度で低くあるべきである。これは、45℃以下、特に35℃以下であり得る。適当な貼合せ用接着剤の粘度は、15〜45℃で測定して、50〜20000mPas、好ましくは100〜5000mPas(ISO 2555にしたがいブルックフィールド法により測定)である。塗布するために、通常、接着剤を溶媒で希釈する。ここで、粘度は(20〜45℃で]50mPas〜800mPasであり得る。塗布に関する測定を12〜28秒で行う(フォードカップ、4mm、ASTM D 1200)。塗布した状態における固形分は、好ましくは15〜60%、特に好ましくは30〜50重量%である。迅速なさらなる加工が必要であるため、接着剤をすばやく架橋させ、良好な凝集および接着を進めさせる。本発明によれば、結合させる基材の低い水分含量のみでさえ、塗布した接着剤の架橋が可能である。これを、接着剤中の一部の水分で補助することもできる。
【0044】
本発明の接着剤は、貯蔵安定である。それを低溶媒状態で貯蔵することは典型的になされている。この場合、それはより高い粘度を有してよい。一態様において、溶媒を減らした貼合せ用接着剤を、塗布のために加熱し、その後塗布することができる。別の態様において、使用するために接着剤を溶媒で希釈して低粘度にした後で塗布する。
【0045】
本発明の接着剤の特定の態様は以下を含む:
・ポリエステルプレポリマーを、ポリエステルポリオールから、モル過剰のジイソシアネートと反応させてNCOポリエステルプレポリマーを形成させ、続く反応で、NCOプレポリマーの全てのNCO基とアルコキシ基および求核性基を含有する二官能性シラン化合物とを反応させて製造する、ワンパック接着剤、
・プレポリマーを、NCO−置換型アルキルアルコキシシランと反応させたポリエステルポリオールから製造する、ワンパック接着剤、
・ポリエーテルプレポリマーを、ポリエーテルポリオールから、アルコキシ基および求核性基を含有する二官能性シラン化合物と反応させて製造する、ワンパック接着剤、
・接着促進剤としてアルコキシシランを追加的に含有する、ワンパック接着剤、
・溶媒全体におけるアルコールの量は50重量%未満である、ワンパック接着剤、
・NCO基を有さないワンパック接着剤。
【0046】
本発明は、本発明の架橋性シラン官能化接着剤の、多層フィルムを製造するための使用も提供する。多層フィルムを製造するためのフィルム材料として、既知の軟質フィルムを使用することができる。これらは、フィルム状の熱可塑性ポリマーの基材であり、例えばポリオレフィン、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP、CPP、OPP)など、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、PETなどのポリエステル、ポリアミド、セロファンなどの有機ポリマー、および金属箔または紙も、基材として可能である。これらフィルム材料を、例えば官能基を有するポリマーで修飾することにより、金属または酸化物コーティングにより、変性させることもでき、または、追加の成分、例えば顔料、染料または発泡層をフィルム中に含有させることができる。それらは染色フィルム、印刷フィルム、無色フィルムまたは透明フィルムであり得る。
【0047】
本発明の使用において、2以上の同一のまたは、特に異なるフィルムを、本発明に適当なワンパック接着剤を使用して互いに結合させる。本発明の一態様において、貼合せ用接着剤を塗布する前に、フィルムをすでにカラー印刷しておくことができる。本発明の液状の貼合せ用接着剤を、その後、任意に前処理をしたフィルム上に塗布する。これは、それ自体既知の印刷方法で行うことができ、例えばアニロックスローラーまたはフラットローラーで、または接着剤をノズルを通してスプレーして、または、スロットノズルを用いて塗布することができる。塗布方法を、接着剤の粘度に応じて選択する。
【0048】
本発明の架橋性ワンパック貼合せ用接着剤の選択により、低い塗布粘度を得ることができる。本発明に適当な接着剤は低粘度を有し、したがって、1〜25μm、特に2〜15μmの薄い層厚での塗布が可能である。
【0049】
本発明の接着剤でコートしたフィルムと第2のフィルムを接合することにより、多層フィルムを製造する。コートした2つのフィルムを結合することもできるが、好ましくはない。結合を圧力および高温下で行うことができる。複数のフィルムを、任意に互いに結合させてもよい。そのような貼合せ方法は、当業者に既知である。
【0050】
本発明の接着剤は、特に貼合せ用接着剤として使用することができる。ここで、接着剤はフィルム上に薄い層で塗布される。その直後に、含まれていた溶媒は蒸発し、その後、第2のフィルムを接着剤層上に適用し、圧力をかけて押し付ける。本発明の組成物を用いる際、低分子量アルコール、例えばメタノール、エタノールまたはプロパノールの一部を溶媒として使用することも可能でありうる。食品規制において、これらは他の溶媒よりもより毒性が低い。アルコールは塗布工程の間に迅速に蒸発する。ほんの少量の残留アルコールまたは架橋反応からのものは、存在する無水物基を有するオリゴマー/ポリマーにより捕捉される。本発明の、この作用方法によって、他の溶媒を低減し、避けることができる。
【0051】
アルコキシシラン基を介する架橋を選択することにより、接着剤を迅速に架橋させることができる。反応性が高い系におけるイソシアネート系接着剤で避けがたい気泡は、本反応によって生じない。本発明の接着剤は、必要な溶媒を乾燥させなくてもよいという利点を有する。したがって、本発明の接着剤の製造方法、貯蔵方法および塗布方法は簡便である。本発明の貼合せ用接着剤のさらなる利点は、その良好な柔軟性である。本発明の接着剤は所定のTを有することが示された。これら接着剤は、架橋前でさえ、結合した多層フィルムの良好な凝集をも示す。
【0052】
架橋した接着剤のTは、−15〜+30℃、特に−10〜+20℃である。1分あたり10Kの加熱速度で0〜200℃で加熱した、完全な接着剤の0.5g未満のサンプルは、溶媒を含まない架橋された状態であると考えられる。その後、架橋させた材料のTを、DSC(示差走査熱量測定)により測定することができる。
【0053】
シラン官能性プレポリマーの選択により、結合させるフィルム間の良好な即時粘着を同時に確保することができる。溶媒は塗布工程中に蒸発する。本発明のワンパック接着剤の架橋中、アルコールが生じる。これらは存在するMA基を有する追加のポリマー/オリゴマーとゆっくり反応するため、揮発性の、抽出可能なまたは移行可能なアルコールの含量は、顕著に低減される。架橋速度は、追加のポリマーにより良い影響をうけ、アルコールは反応系から除去される。
【0054】
本発明は、本発明に適当な貼合せ用接着剤で結合した多層フィルムをも提供し、ここで、既知のプラスチックフィルム、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、PVC、ポリアミドまたはその他のものを基材として使用することができる。このフィルムにおいて、連続層を本発明の接着剤で製造し、塗布直後に、それを同一または異なる第2のフィルムと結合させる。2層フィルムに加えて、さらなる工程により、多層フィルムを製造することもできる。本発明の一態様は、透明なフィルムを結合し、その場合、本発明の接着剤も透明および着色されていない場合が都合よい。
【0055】
これら多層フィルムに他の層を含有させることもでき、例えば紙、金属箔または他のバリア層を含有させることができる。高い初期粘着および迅速な架橋があるため、これら多層フィルムを結合したすぐ後で、さらに処理することができる。架橋反応または副反応を待つ間、時間のかかる保管を行う必要はない。
【0056】
本発明の接着剤は、異なる層の間で良好な接着を示す。特に、それは無色および透明である。それは接着剤層中に気泡または欠陥を示さない。したがって、軟質基材をフィルムの状態で結合するための貼合せ用接着剤として特に適当である。さらに、架橋の間に生じるアルコールは、無水物基を含有するポリマーによって捕捉される。この結果、移行することができない高分子量反応生成物となる。したがって、移行可能な物質をほんの少量のみ含有する、架橋接着剤層が得られる。したがって、このような多層フィルムは包装産業、例えば食品または医薬製品用の包装を製造するために特に適当である。
【実施例】
【0057】
〔実施例 ポリエステル1〕
ポリエステルを、アジピン酸およびイソフタル酸からエチレングリコールを併用して製造した。
【0058】
ポリエステルは、約2000g/molの分子量を有した。OH価は約58であり、酸価は2未満であった。
【0059】
〔実施例 ポリエステル2〕
ポリエステルを、アジピン酸、イソフタル酸、アゼライン酸およびフタル酸から、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびネオペンチルグリコールを併用して製造した。
【0060】
ポリエステルは、5100g/molの分子量を有した。ポリエステルのOH価は約22であった。
【0061】
〔接着剤の実施例〕
〔実施例3a〕
51.5部のポリエステル1を酢酸エチル38.5部に溶解させた後、6部のTDI80と反応させた。その後、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン4.3部を添加した。
【0062】
得られた生成物は62%の固形分を有した。生成物は、さらなるイソシアネート基を含有しなかった。粘度は約1400mPas(20℃)であった。T(架橋させた)は−2℃であった。
【0063】
〔実施例3b〕
実施例3aの接着剤に、約50重量%MAビルディングブロックを含有するスチレンコポリマー1.6部(固形に基づいて約2.5%)を添加し、混合物を均質化した。
【0064】
〔実施例4a〕
63.0部のポリエステル2を、酢酸エチル30.0部に溶解させた後、3.45部のTDI 100および4.15部のビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミンと反応させた。
【0065】
得られた生成物は70%の固形分を有した。生成物は、さらなるイソシアネート基を含有しなかった。粘度は約7750mPas(20℃)であった。T(架橋させた)は+4℃であった。
【0066】
〔実施例4b〕
実施例4aの接着剤に、約50重量%MAビルディングブロックを含有するスチレンコポリマー1.7部(固形に基づいて約2.5%)を添加し、混合物を均質化した。
【0067】
〔実施例5a〕
61.2部のポリエステル2を、酢酸エチル34.5部に溶解させた後、5.0部のTDI 100および1.4部のn-シクロヘキシルアミノメチルメチルジエトキシシランと反応させた。得られた生成物は65%の固形分を有した。生成物は、さらなるイソシアネート基を含有しなかった。粘度は約6700mPas(20℃)であった。
【0068】
〔実施例5b〕
実施例5aの接着剤に、約50重量%MAビルディングブロックを含有するスチレンコポリマー3.5部(固形に基づいて約5%)を添加し、混合物を均質化した。粘度は約6800mPas(20℃)であった。
【0069】
〔実施例5c〕
実施例5aの接着剤に、フタル酸無水物2部(固形に基づいて約3%)を添加し、混合物を均質化した。粘度は約6700mPas(20℃)であった。
【0070】
塗布前に全ての接着剤を酢酸エチルで希釈し(シリーズ1)、約31%の固形分にした。
【0071】
ここで、粘度は800mPas未満(20℃)であった。
【0072】
実施例3a、3b、5a、5bの接着剤を、溶媒中に合計して10%のエタノールが含有されるように、酢酸エチル/エタノールの混合物で希釈した(シリーズ2)、(固形分約33%)。
【0073】
〔結合〕
ポリエチレン(PE)系フィルムを、試験シリーズ1の本発明の接着剤でナイフを用いてコートした。層厚は5μmであった。
【0074】
別のフィルムを同様に10μmの層厚でコートした。コートした表面を、空気中、30℃で、約1分間乾燥させた。その後、OPP系第2フィルムを、ローラーを用いて、それぞれのコートしたフィルム上に押し付けた。
【0075】
PETフィルムを、試験シリーズ2の接着剤でナイフを用いて3g/mの層厚でコートした。空気中で乾燥後、これらのフィルムをAl箔と結合させた。
【0076】
6日後および14日後に、フィルム基材の結合を測定した。全ての場合において、互いの良好な接着が測定された。
【0077】
結合させたフィルムから、酢酸エチルおよびエタノール含量をヘッドスペースGCにより24時間後に測定した。
【表1】

【0078】
この試験は、MA含有成分を添加することで、アルコール含量が減少することを示す。
【表2】

【0079】
この試験は、溶媒中に一部EtOHを含有することで、結合したフィルムにおける測定値が決して低下しないことを示す。加工の間、これら接着剤が処理するのに十分に長い安定性を有し、アルコールの低減効果は維持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも2個の架橋性アルコキシシラン基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエーテルプレポリマーおよび/またはポリウレタンプレポリマーであって、2000〜30000g/molの分子量を有するプレポリマー、25〜80重量%、
b)130℃以下の沸点を有する有機溶媒、75〜19重量%、
c)1個以上の無水物基を含有するポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマー、1〜20重量%、
d)添加剤、0〜15重量%
を含有する架橋性ワンパック貼合せ用接着剤であって、
該接着剤の粘度は15〜45℃で測定して50〜20000mPas(DIN ISO 2555による)である、架橋性ワンパック貼合せ用接着剤。
【請求項2】
ポリエステルプレポリマーまたはポリウレタンプレポリマーは、少なくとも2個のOH基を含み400〜25000g/molの分子量を有するポリエステルポリオールから製造される、請求項1に記載のワンパック接着剤。
【請求項3】
プレポリマーは、トリアルコキシシラン基、特にトリエトキシシラン基またはトリメトキシシラン基を含有する、請求項1または2に記載のワンパック接着剤。
【請求項4】
無水物基を有するポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーは25℃で固形の化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載のワンパック接着剤。
【請求項5】
ポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーは環状の無水物基を有する、請求項4に記載のワンパック接着剤。
【請求項6】
接着剤は、無水マレイン酸(MA)基を有するポリマーを、特にMA/スチレンコポリマーまたはMA/(メタ)アクリレートコポリマーとして、2〜15重量%含有する、請求項4または5に記載のワンパック接着剤。
【請求項7】
MAポリマーは、無水物基を5〜60モル%含有する、請求項4〜6のいずれかに記載のワンパック接着剤。
【請求項8】
フィルム基材を結合するための方法であって、塗布前にC1〜C6アルコールを含有する溶媒を用いて粘度を調整した請求項1〜7のいずれかに記載のワンパック接着剤を使用し、基材上に接着剤を塗布し、フラッシュオフし、続いて第2のフィルムを結合させる、方法。
【請求項9】
フィルム状の軟質基材を結合するための、請求項1〜8のいずれかに記載のワンパック接着剤の使用。
【請求項10】
ポリマーフィルム、紙箔、金属箔および表面処理フィルムに由来する多層フィルムを製造するための、請求項9に記載の使用。

【公表番号】特表2013−517336(P2013−517336A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548361(P2012−548361)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068192
【国際公開番号】WO2011/085850
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】