説明

シール押付装置を有する管継ぎ手

管継ぎ手(30)用のシール押付装置(10)は、軸方向の長さと、シール(32)の内径に押し付け可能な外側湾曲外周(16)とを有する密封部材(12)であって、機械的留め具(19)を受け入れる取付開口(18)の軸方向の列を有する密封部材(12)と、密封部材(12)の端部から延び、密封部材(12)の外側湾曲外周(16)から内向きに曲がる少なくとも1の翼状外延部(20,22)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管用の継ぎ手に関し、より詳細には、適切な密封を保証するために、管継ぎ手内のシールのエッジに押し付ける装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、着脱可能なバンドタイプの管用継ぎ手が数多く存在する。なお、本明細書および特許請求の範囲を通じて、“管”という用語が、任意の種類のほぼ円筒状の物体を包含することに留意されたい。
【0003】
例えば、市販タイプの管継ぎ手の一つには、シールクランプハウジングがある。クランプ部材は、対向配置され、締付け要素は、締め付けられて、シールクランプハウジング内に挿入された管の外側に、環状シール要素を押し付ける。
【0004】
この種の管継ぎ手においては、シールが、軸方向の長さの両端に一体に形成されたリングを有する。継ぎ手内に挿入された管は、それらリングと接触する。リングの内径は、様々な外径の管を受け入れるために、調節することができる。シールは、その長さに沿って軸方向のスプリット(axial split)を有する。スプリットに沿うシールのエッジは互いに隣接するか、あるいは重なり合い、継ぎ手が管で締め付けられたときに互いに押し付けあう。しかしながら、リング間のシールの軸方向の長さの残りの部分は、リングよりも薄く、継ぎ手内に挿入された管の外径に接触しない。管はスプリットの大部分に沿うシールに接触しないため、スプリットに沿うシールのエッジが互いに十分に押し付けられずに所望の液密シールを形成することができないという問題が生じ得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、以下にさらに詳細に説明するように、管継ぎ手のシールのエッジに押し付けて適切な密封を確保する装置を提供しようとするものである。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、管継ぎ手用のシール押付装置(seal pressing device)が提供され、このシール押付装置は、軸方向の長さと、シールの内径に押し付け可能な外側湾曲外周(outer curved contour)とを有する密封部材であって、機械的留め具を受け入れるための取付開口の軸方向の列を有する密封部材と、密封部材の端部から延び、密封部材の外側湾曲外周から内向きに曲がる少なくとも1の翼状外延部(winged extension)とを含む。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、軸方向の折り目(axial crease)が、取付開口の列に平行である。軸方向の折り目は、取付開口の列と少なくとも1の翼状外延部との間に配置されるものであってもよい。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、2の翼状外延部が、取付開口の列の両側において、密封部材の両端から延びる。翼状外延部の一方は、翼状外延部の他方よりも、取付開口の列の近くに配置されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、次の図面と併せて、以下の詳細な説明から、より完全に理解および把握されるであろう。
【図1】図1は、本発明の非限定的な実施形態に従い構成されて機能し得るシール押付装置の概略図である。
【図2】図2Aおよび図2Bは、本発明の非限定的な実施形態に係る、管継ぎ手に装着された図1のシール押付装置の概略図である。
【図3】図3は、図2BのA−A線に沿った断面図である。
【図4】図4は、本発明の別の非限定的な実施形態に従い構成されて機能し得るシール押付装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図1を参照すると、本発明の非限定的な一実施形態に従い構成されて動作可能なシール押付装置10が示されている。
【0011】
シール押付装置10は、縦軸14に沿う軸方向の長さと、シール(この図には示されていないが、図2A乃至図3に示されている)の内径に押し付け可能な外側湾曲外周16とを有する密封部材12を含む。密封部材12は、機械的留め具19(ボルト、ネジまたはリベットなど、この図には示されていないが、図2A乃至図3に示されている)を内部に受け入れるための取付開口18の軸方向の列を有する。1またはそれ以上の翼状外延部20(または図面中の22)は、密封部材12の端部から延びて、密封部材12の外側湾曲外周16から内側に曲げられる。非限定的な例示の実施形態では、取付開口18の列の両側において、密封部材12の両端から延びる2つの翼状外延部20および22が存在する。一方の翼状外延部22は、他方の翼状外延部20よりも取付開口18の列に近い。
【0012】
図4は、鋭いエッジがより柔軟な材料の管(プラスチックから形成される管など)に押し付けられて損傷を与えることのないように、1またはそれ以上の翼状外延部20および22が湾曲先端23を有する代替的な構成を示している。なお、翼状外延部20および22は、図4に示すように、各々がギャップにより分離された2つの部分を含むものであってもよい。
【0013】
本発明の実施形態によれば、軸方向の折り目24が取付開口18の列に平行である。軸方向の折り目24は、取付開口18の列と翼状外延部20との間に配置されている。
【0014】
ここで図2A、図2Bおよび図3を参照すると、本発明の非限定的な実施形態に係る管継ぎ手30に装着されたシール押付装置10が示されている。
【0015】
管継ぎ手30は、環状クランプハウジング34内に配置された環状シール32を含む。環状クランプハウジング34は、管(図示省略)を内部に挿入するための開口部36を有する。環状クランプハウジング34は、2つのクランプ部材38および締付け要素40(例えば、ボルトまたはネジおよび締付けナットのような1またはそれ以上の機械的留め具、場合によってはさらにワッシャ)を備え、締付け要素は、環状クランプハウジング34の軸方向の長さに対して垂直な方向に、クランプ部材38を留めて互いに締め付け、開口部36内に挿入された管に半径方向内向きのクランプ力を加える。
【0016】
環状シール32は、天然または人工のエラストマー材料から形成することができ、締付け要素40がクランプ部材38を留めて互いに近接する方向に締め付けるときに、管の外側面に対して半径方向に押し付けられて密封状態にクランプされる。
【0017】
管継ぎ手は、本発明者等による2007年3月5日出願の米国特許出願第2008/0012339号、または本発明者等に2009年8月11日に発行された米国特許第7,571,940号に記載の種類のものとすることができる。それら出願の開示内容は引用により本明細書に援用されるものである。しかしながら、本発明は、それら管継ぎ手に限定されるものではない。
【0018】
管継ぎ手30に挿入された管は、環状シール32によって密封される。また、挿入された管は、シール押付装置10の翼状外延部20および22を圧迫し、それら翼状外延部は、環状シール32の軸方向のエッジを圧迫する。それらエッジを圧迫するシール押付装置10の作用は、シール32の軸方向の長さに沿った液密シールを確実にする。
【0019】
シール押付装置10は、翼状外延部を1つのみ有する応用においても満足に機能することができる。しかしながら、ある応用においては、翼状外延部が1つのみ使用される場合に、それが、シール32のエッジで機械的留め具19上に回しモーメントを生じさせ、液密シールの締め付けを緩めてしまう可能性がある。これは、留め具の両側に2つの翼状外延部を使用して、一方の翼状外延部により他方の翼状外延部の回しモーメントを相殺させることによって解決され、液密シールの締付けが維持される。
【0020】
本発明の範囲は、上述した特徴のコンビネーションとサブコンビネーションの双方を含む他、上記説明を読んだ当業者が思い付くであろう従来技術ではないそれらの修正および変形も含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継ぎ手(30)用のシール押付装置(10)であって、
軸方向の長さと、シール(32)の内径に押し付け可能な外側湾曲外周(16)とを有する密封部材(12)であって、機械的留め具(19)を受け入れるための取付開口(18)の軸方向の列を有する密封部材(12)と、
前記密封部材(12)の端部から延び、前記密封部材(12)の前記外側湾曲外周(16)から内向きに曲がる少なくとも1の翼状外延部(20,22)とを備えることを特徴とするシール押付装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシール押付装置(10)において、
前記取付開口(18)の列に平行な軸方向の折り目(24)を備えることを特徴とするシール押付装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシール押付装置(10)において、
前記取付開口(18)の列と前記少なくとも1の翼状外延部(20,22)との間に位置する軸方向の折り目(24)を備えることを特徴とするシール押付装置。
【請求項4】
請求項1に記載のシール押付装置(10)において、
前記取付開口(18)の列の両側に前記密封部材(12)の端部から延びる2の翼状外延部(20,22)を備えることを特徴とするシール押付装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシール押付装置(10)において、
前記翼状外延部(20,22)の一方が、他方の翼状外延部よりも、前記取付開口(18)の列に近いことを特徴とするシール押付装置。
【請求項6】
請求項1に記載のシール押付装置(10)において、
前記少なくとも1の翼状外延部(20,22)が、湾曲先端(23)を有することを特徴とするシール押付装置。
【請求項7】
管継ぎ手(30)であって、
環状クランプハウジング(34)内に配置される環状シール(32)を備え、前記環状クランプハウジング(34)が、管を内部に受け入れる開口部(36)を有するとともに、クランプ部材(38)および締付け要素(40)を含み、この締付け要素が、前記環状クランプハウジング(34)の軸方向の長さに対して垂直な方向に、前記クランプ部材(38)を留めて互いに近接する方向に締め付け、それにより前記開口部(36)内に挿入された管に半径方向内向きのクランプ力を加えるものであり、
当該管継ぎ手がさらに、
軸方向の長さと、シール(32)の内径に押し付け可能な外側湾曲外周(16)とを有する密封部材(12)であって、機械的留め具(19)を受け入れるための取付開口(18)の軸方向の列を有する密封部材(12)と、
前記密封部材(12)の端部から延び、前記密封部材(12)の前記外側湾曲外周(16)から内向きに曲がる少なくとも1の翼状外延部(20,22)とを備えることを特徴とする管継ぎ手。
【請求項8】
請求項7に記載の管継ぎ手(30)において、
前記取付開口(18)の列に平行な軸方向の折り目(24)を備えることを特徴とする管継ぎ手。
【請求項9】
請求項7に記載の管継ぎ手(30)において、
前記取付開口(18)の列と前記少なくとも1の翼状外延部(20,22)との間に位置する軸方向の折り目(24)を備えることを特徴とする管継ぎ手。
【請求項10】
請求項7に記載の管継ぎ手(30)において、
前記取付開口(18)の列の両側に前記密封部材(12)の端部から延びる2の翼状外延部(20,22)を備えることを特徴とする管継ぎ手。
【請求項11】
請求項10に記載の管継ぎ手(30)において、
前記翼状外延部(20,22)の一方が、他方の翼状外延部よりも、前記取付開口(18)の列に近いことを特徴とする管継ぎ手。
【請求項12】
請求項7に記載の管継ぎ手(30)において、
前記少なくとも1の翼状外延部(20,22)が、湾曲先端(23)を有することを特徴とする管継ぎ手。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−509554(P2013−509554A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536835(P2012−536835)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051562
【国際公開番号】WO2011/053437
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512110640)クラウス インダストリーズ ディベロップメント リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KRAUSZ INDUSTRIES DEVELOPMENT LTD.
【Fターム(参考)】