説明

スクリーン印刷および磁気配向

【課題】 本発明は、基材シート5上のインクまたはコーティング組成物中の磁気的に配向された磁性粒子または磁化可能粒子を含む識別印を生成する装置および工程を開示する。
【解決手段】 装置は、フラット印刷スクリーン2と、シート5を受ける印刷プラテン1であって、印刷スクリーンに面した上面とシート5を取り出すことのできる上面に沿った第1の方向とを有する印刷プラテン1と、を有するフラットベッドスクリーン印刷ユニットと、多数の磁石アセンブリ6を備える磁気配向ユニットとを備える。磁気配向ユニットは印刷プラテン1の上面より下に配置され、多数の磁石アセンブリ6は第1の方向に沿って配置され、磁石アセンブリ6はすべて、印刷プラテンの上面から離れた第1の位置から印刷プラテンの上面に近い第2の位置へ同時かつ付随的に移動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護対象書類の印刷の分野にある。本発明は、固化されたインクまたはコーティング組成物中の磁気的に配向された顔料粒子を含むインク系のセキュリティ特徴を印刷するための印刷工程および対応する印刷装置、特にシルクスクリーン印刷ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷され硬化させられたインク中の磁気的に配向された顔料粒子は、有価書類の保護のためのセキュリティ特徴として知られている。セキュリティ特徴を生成する特定の磁気装置および磁気工程もまた、例えば欧州特許第1641624(B)号明細書、国際公開第2006/061301(A)号、国際公開第2008/009569(A)号、および国際公開第2008/046702(A)号で知られている。また、セキュリティ特徴を輪転印刷するための産業用スクリーン印刷機が、国際公開第2005/000585(A)号に開示されている。この機械では、スクリーン印刷ユニットおよび磁気配向デバイスが両方とも回転ドラムの形を有する。
【0003】
国際公開第2005/000585(A)号は、独立型の回転式磁気配向デバイスを開示しており、このデバイスは、印刷されたばかりのインクに含まれる磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子に対して、インクを固化(乾燥、硬化)させる前に特定の配向を与えるために、印刷工程に続いて、例えば従来のフラットベッドスクリーン印刷ユニットに続くさらなる工程ステーションとして、用いることができる。
【0004】
光学的に変化する磁性顔料粒子は、米国特許第4,838,648号明細書および米国特許第6,875,522号明細書の米国特許で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1641624(B)号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/061301(A)号
【特許文献3】国際公開第2008/009569(A)号
【特許文献4】国際公開第2008/046702(A)号
【特許文献5】国際公開第2005/000585(A)号
【特許文献6】米国特許第4,838,648号明細書
【特許文献7】米国特許第6,875,522号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フラットベッドスクリーン印刷ユニットと磁気配向ユニットとを単一の工程ステーションに融合させた磁気配向デバイスは、現在まで開示されたことがない。一方、フラットスクリーンフラットベッドスクリーン印刷機器は産業での利用が拡大しており、この種の印刷機器と連動するように構成された磁気配向ユニットが長らく求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による装置は、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁気的に配向された磁性粒子または磁化可能粒子を含む識別印を生成する装置であって、フラット印刷スクリーンと、シートを受ける印刷プラテンであって、印刷スクリーンに面した上面とシートを取り出すことのできる上面に沿った第1の方向とを有する印刷プラテンと、を有するフラットベッドスクリーン印刷ユニットと、多数の磁石アセンブリを備える磁気配向ユニットとを備える。
【0008】
磁気配向ユニットは印刷プラテンの上面より下に配置され、多数の磁石アセンブリは第1の方向に沿って配置され、磁石アセンブリはすべて、印刷プラテンの上面から離れた第1の位置から印刷プラテンの上面に近い第2の位置へ同時かつ付随的に移動できる。
【0009】
本開示の関連において、「磁性」という用語は、それ自体が磁場の源である材料のことをいう。「磁化可能」という用語は、磁場の源とはならずに磁場に反応する強磁性体またはフェリ磁性体のことをいう。
【0010】
本発明の第1の主要な実施の形態において、磁石アセンブリは、第1の位置と第2の位置との間を印刷プラテンの上面と交わる(好ましくは直交する)第2の方向に沿って往復運動で移動できる。コーティングされた基材は、磁石アセンブリが第1の位置に戻されないと取り出すことができず、そのため生成工程中に待機時間が必要になる。
【0011】
待機時間を回避して工程の速度を上げるため、本発明の第2の主要な実施の形態では、磁石アセンブリが、第1の位置と第2の位置との間を往復回転運動で移動できる。そのような往復回転運動を用いれば、シート上の生成された磁気画像のぼけを防止するように、磁石アセンブリの戻しとコーティングされた基材の取り出しとを、同時かつ付随的な、同期した動作で行うことができる。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの前記磁石アセンブリが、欧州特許第1641624(B)号明細書に開示されたような永久磁性体の彫り込み磁化板を備える。
【0013】
好ましくは、彫り込み磁化板が、構造上の結合剤としてのポリマー、好ましくはゴム状またはプラスチック状のポリマーと、充填材としての永久磁性粉とを含む複合材料である。
【0014】
好ましくは、国際公開第2008/046702(A)号に開示されたように、永久磁性体の彫り込み磁化板を備える少なくとも1つの磁石アセンブリが少なくとも1つのさらなる永久磁石を備え、磁石が、磁石と彫り込み磁化板との間に作用する固有の磁力に対して磁石を保持する位置に取り付けられる。
【0015】
フラットスクリーン印刷ユニットは、注目すべきことには、配向された光学的に変化する磁性顔料粒子を含むセキュリティ要素を基材に印刷することも可能である。光学的に変化する磁性顔料(optically variable magnetic pigment、OVMP)は、注目すべきことには、銀行券、有価書類、カード、交通機関の切符、パスポート、本人確認書類、アクセス書類、物品税書類、および製品ラベル、のような保護対象書類の保護に用いられる。
【0016】
スクリーン印刷メッシュは、インクまたはコーティング組成物を印刷するのに適したメッシュの大きさおよび厚さを有するように選ばれなければならない。特に、インクまたはコーティング組成物が、光学的に変化する磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子を含む実施の形態においては、光学的に変化する磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子は、典型的に15マイクロメートルないし20マイクロメートルの範囲の平均径で25マイクロメートルないし35マイクロメートルの範囲の最大径、および1マイクロメートル程度の厚さの不規則な小板の形を有するものであり、スクリーン印刷メッシュのメッシュの大きさは、光学的に変化する磁性粒子または磁化可能粒子がスクリーンを確実に、印刷品質を損なうことなく通過できるように選ばれなければならない。従って、スクリーン印刷メッシュは、好ましくは、顔料粒子径の最大径のおよそ2倍、すなわち40マイクロメートルないし90マイクロメートルの範囲、好ましくは50マイクロメートルないし70マイクロメートルの範囲の自由メッシュ開口を有する。
【0017】
印刷されたインク堆積の膜厚は、粒子の配向を容易にするため、好ましくは平均顔料粒子径程度、すなわち15マイクロメートルないし20マイクロメートルの範囲にすべきである。
【0018】
さらに、識別印を生成する工程が開示され、この工程は、
a)本発明による装置を設けるステップと、
b)装置の印刷プラテン上に、磁性粒子または磁化可能粒子を含む濡れたインクまたはコーティング組成物を少なくとも表面の一部に担持する基材シートを送り込むステップと、
c)装置の磁石アセンブリをすべて、印刷プラテンの上面から離れた第1の位置から印刷プラテンの上面に近い第2の位置へ同時かつ付随的に移動させ、これにより濡れたインクまたはコーティング組成物中の磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子を配向させるステップと、
d)磁石アセンブリを第1の位置へ戻すステップと、
e)印刷プラテンからシートを取り出すステップと、
f)インクを硬化させるステップと
を含む。
【0019】
本開示の関連において、「濡れたインクまたはコーティング組成物」という用語は、基材には付けられたがまだ固化(硬化、乾燥)されていないコーティング組成物を意味する。
【0020】
本発明による工程の好ましい実施の形態において、第1の位置と第2の位置との間の磁石アセンブリの移動は、印刷プラテンの上面と交わる第2の方向に沿って往復運動で行われる。
【0021】
本工程の別の好ましい実施の形態では、第1の位置と第2の位置との間の磁石アセンブリの移動が往復回転運動で行われる。回転運動を用いて、磁石アセンブリの移動とシートの取り出しとが、シート上に生成された磁気画像のぼけを防止するように、同期した動作で行われる。
【0022】
本工程の特に好ましい実施の形態において、装置の印刷プラテンへ基材シートを送り込むステップは、磁性粒子または磁化可能粒子を含む濡れたコーティング組成物またはインクでシートの表面を少なくとも部分的にコーティングまたは印刷するステップを含む。
【0023】
さらに別の好ましい実施の形態において、コーティングまたは印刷は、40マイクロメートルないし90マイクロメートルの範囲、好ましくは50マイクロメートルないし70マイクロメートルの範囲のメッシュ開口を有するフラット印刷スクリーンを用いて行われる。
【0024】
さらに好ましい実施の形態において、コーティングまたは印刷は、光学的に変化する磁性顔料粒子を含む組成物を用いて行われる。
【0025】
さらに好ましいのは、コーティングまたは印刷するステップが、顔料粒子の磁気配向と同時かつ付随的に行われる変形工程、および磁石アセンブリが、シートの印刷前に印刷プラテンに向かって移動させられる変形工程である。
【0026】
そのような書類は、特に、好ましくは銀行券、有価書類、カード、交通機関の切符、パスポート、本人確認書類、アクセス書類、物品税書類、および製品ラベルからなる群から選ばれた、保護対象書類であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】図1aは、本発明の実施の形態による、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気的な配向によって識別印を生成する装置を模式的に描く図である。
【図1b】図1bは、本発明の実施の形態による、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気的な配向によって識別印を生成する装置を模式的に描く図である。
【図1c】図1cは、本発明の実施の形態による、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気的な配向によって識別印を生成する装置を模式的に描く図である。
【図1d】図1dは、本発明の実施の形態による、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気的な配向によって識別印を生成する装置を模式的に描く図である。
【図2a】図2aは、本発明の実施の形態による、同じ機器を用いた印刷工程の代替実施形態を模式的に説明する図である。
【図2b】図2bは、本発明の実施の形態による、同じ機器を用いた印刷工程の代替実施形態を模式的に説明する図である。
【図2c】図2cは、本発明の実施の形態による、同じ機器を用いた印刷工程の代替実施形態を模式的に説明する図である。
【図3a】図3aは、上方から見た印刷工程を模式的に説明する図である。
【図3b】図3bは、上方から見た印刷工程を模式的に説明する図である。
【図3c】図3cは、上方から見た印刷工程を模式的に説明する図である。
【図4a(i)】図4a(i)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4a(ii)】図4a(ii)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4a(iii)】図4a(iii)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4b(i)】図4b(i)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4b(ii)】図4b(ii)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4c(i)】図4c(i)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4c(ii)】図4c(ii)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4d(i)】図4d(i)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4d(ii)】図4d(ii)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図4d(iii)】図4d(iii)は、本発明の実施の形態による装置の試作機を示す図である。
【図5】図5aないし図5gは、本発明のさまざまな実施の形態によるさまざまな種類のスクリーン印刷メッシュを描く図である。
【図6】図6は、フォトレジスト印刷ステンシルを担持するモノフィラメントスクリーン印刷メッシュの断面を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の装置および印刷工程について、図面を参照してさらに説明する。
本発明による装置は、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁気的に配向された磁性粒子または磁化可能粒子を含む識別印を生成する装置であって、フラット印刷スクリーンとシートを受ける印刷プラテンとを有するフラットベッドスクリーン印刷ユニットと、多数の磁石アセンブリを備える磁気配向ユニットとを備える。印刷プラテンは、印刷スクリーンに面した上面とシートを取り出すことのできる上面に沿った第1の方向とを有する。磁気配向ユニットは印刷プラテンの上面より下に配置され、多数の磁石アセンブリは、上面に沿った第1の方向に沿って配置される。磁石アセンブリはすべて、印刷プラテンの上面から離れた第1の位置から印刷プラテンの上面に近い第2の位置へ同時かつ付随的に移動できる。
【0029】
さらに、本発明による識別印を生成する工程は、
a)本発明による装置を設けるステップと、
b)装置の印刷プラテン上に、磁性粒子または磁化可能粒子を含む濡れたインクまたはコーティング組成物を少なくとも表面の一部に担持する基材シートを送り込むステップと、
c)装置の磁石アセンブリをすべて、印刷プラテンの上面から離れた第1の位置から印刷プラテンの上面に近い第2の位置へ同時かつ付随的に移動させ、これにより濡れたインクまたはコーティング組成物中の磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子を配向させるステップと、
d)磁石アセンブリを第1の位置へ戻すステップと、
e)印刷プラテンからシートを取り出すステップと、
f)インクを硬化させるステップと
を含む。
【0030】
本発明によれば、スクリーン印刷ユニットの印刷プラテンより下に配置された磁気配向ユニットによって、磁石アセンブリを下(解除位置)から印刷プラテンに近い位置(使用位置)へ移動させて、磁石アセンブリの磁場が印刷プラテンと印刷プラテン上に置かれた基材シートとを貫くようにし、これにより、基材シート上に付けられた濡れたインクまたはコーティングの層中の磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子を配向させることができる。当業者に明らかなように、印刷プラテンは、静磁場に対して透過性でなければならない。
【0031】
当業者に知られているように、磁性粒子または磁化可能粒子の配向だけでなく、位置もまた、磁場に影響され得ることにも留意すべきである。従って、不均一な磁場の影響下では、粒子は、所定の配向を取るだけでなく、空間的にある程度密集して並ぶ。このため、磁場中で優先的な配向をもたない球形粒子(例えば軟磁性カルボニル鉄粒子)の場合でさえ、磁気「配向」画像を得ることができる。これについては国際公開第2005/002866号を参照されたい。実のところ、この場合に観察される画像は粒子密度画像である。
【0032】
本発明の重要な特徴は、磁気配向ユニットが多数の磁石アセンブリを備えるということである。これは、途中の乾燥はせず1シート当たり1回の印刷走行しか対応しないというスクリーン印刷工程の技術的制約のために必要である。印刷された濡れたシートに印刷スクリーンが再度接触すると、注目すべきことに、すでに印刷された識別印が汚れてしまう。一方、一般に同じシート上には、シートの面全体にわたって配分された印刷されるべき複数の繰り返しアイテムが存在し、従って印刷されるすべてのアイテムにはそれぞれ専用の磁石アセンブリが必要であり、磁気配向工程の際はすべての磁石アセンブリを同時かつ付随的に移動させなければならない。
【0033】
配向ユニットはさらに、スクリーン印刷工程および磁気配向工程の両方が同時かつ付随的に行われ得るように配置される。
【0034】
磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子の配向を、磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物内で固定するには、続いてインクまたはコーティングの層を固化(乾燥)させなければならない。この目的のため、コーティングされた基材には、硬化処理、好ましくは光重合(例えば紫外線硬化)または電子ビーム硬化のような放射線硬化を施さなければならない。当業者に明らかなように、コーティング組成物は、選ばれた硬化メカニズムによって硬化可能となるように選ばれなければならない。
【0035】
硬化は印刷プラテン上での照射によって行われてよく、その後、コーティングされた基材が印刷プラテンから取り出されてよい。しかし、好ましくは、基材が印刷プラテンから取り出され、特別に考えられた乾燥機器によって硬化させられる。印刷プラテンから基材を取り出す時は、基材の下の磁石アセンブリに対して起こり得る基材の相対的なずれによって、生成された磁気配向画像をぼかすことのないように注意しなければならない。従って、磁石アセンブリは、基材を取り出す前に、それまでに生成された磁性顔料配向画像をぼかしたり消失させたりしないような方法で離されなければならない。
【0036】
磁石アセンブリを離す好ましい方法は、印刷され磁気的に配向された基材自体が静止している間の、基材表面と交わる向きの移動によるものである。
【0037】
磁石アセンブリを離すもう一つの方法は、印刷され磁気的に配向された基材の接線方向の取り外しと同時かつ付随的な回転運動によるものである。
【0038】
本発明は、磁石アセンブリの移動が純粋な往復運動と純粋な回転運動との間に選ばれる実施の形態も含む、ということは強調されなければならない。これは、注目すべきことには、磁石アセンブリの回転中心(回転軸)を適切に選ぶことによって実現できる。移動する基材の平面から半径1つ分離れた回転軸を選べば、純粋な回転運動の実施の形態が可能になり、その場合、基材は、磁石アセンブリに合わせて、磁石アセンブリと同時かつ付随的に、接線方向に移動する。移動する基材の平面に近い回転軸を選べば、純粋な往復運動の実施の形態が可能になり、その場合、磁石アセンブリは、基材の平面と交わる方向に移動する。回転軸をこれら両極端の間に選べば、純粋な往復運動と純粋な回転運動との間で移動する実施の形態が可能になる。
【0039】
本発明の関連で最も好ましい磁性粒子または磁化可能粒子は、例えば米国特許第4,838,648号明細書および米国特許第6,875,522号明細書に開示されたような、光学的に変化する磁性顔料粒子である。光学的に変化する磁性顔料(OVMP)は、注目すべきことには、銀行券、有価書類、カード、交通機関の切符、パスポート、本人確認書類、アクセス書類、物品税書類、および製品ラベル、のような保護対象書類の保護に用いられる。光学的に変化する顔料粒子は、15マイクロメートルないし20マイクロメートルの範囲の平均径で25マイクロメートルないし35マイクロメートルの範囲の最大径、および1マイクロメートル程度の厚さを有する不規則な小板の形を有する。
【0040】
特に好ましい選択肢において、識別印を生成する工程は、磁性粒子または磁化可能粒子を含むインクまたはコーティング組成物が基材シート上に付けられる印刷ステップを含む。そして、この特定の実施の形態では、基材シートの供給が、磁性粒子または磁化可能粒子を含む濡れたインクまたはコーティング組成物でシートの表面を少なくとも部分的にコーティングまたは印刷するステップを含む。
【0041】
最も好ましくは、上記のコーティングまたは印刷は、スクリーン印刷により、フラットスクリーンフラットベッド印刷機で、適切なフラット印刷スクリーンと、スキージと、適切なインクまたはコーティング組成物とを用いて行われる。
【0042】
さらに、基材シートの印刷と顔料粒子の磁気配向とは、順次、あるいは互いに同時かつ付随的に行われてよい。
【0043】
本工程の特定の実施の形態において、磁石アセンブリは、インクを付けられた印刷スクリーン上にスキージを移動させる前に、フラットベッド機器の印刷プラテンに向かって移動させられる。この結果、磁性粒子または磁化可能粒子が磁石アセンブリの磁場で配向するための露出時間が最長になる。
【0044】
次に、図1aないし図1dを参照する。これらの図はそれぞれが、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気的な配向によって識別印を生成するための、本発明の好ましい第2の主要な実施の形態による装置を模式的に描き、また印刷工程の実施の形態を説明する図である。
【0045】
図1aにおいて、印刷されるシート(5)が、フラットスクリーンフラットベッドスクリーン印刷機の印刷プラテン(1)上に送り込まれる。印刷スクリーン(2)、スキージ(3)、およびインク(4)は解除位置にある。磁石アセンブリ(6)は解除位置にある。
【0046】
図1bにおいて、シート(5)は印刷位置にあり、印刷スクリーン(2)は下げられた位置にあり、スキージ(3)は、インク(4)をスクリーン(2)上で動かして、シート(5)を印刷する。磁石アセンブリ(6)は解除位置にある。
【0047】
図1cにおいて、シート(5)は印刷位置にあり、印刷スクリーン(2)、スキージ(3)、およびインク(4)は解除位置にある。磁石アセンブリ(6)は使用位置にあって、印刷されたインク中の磁性粒子または磁化可能粒子を配向させる。
【0048】
図1dにおいて、印刷され配向されたシート(5)は、フラットベッドスクリーン印刷機の印刷プラテン(1)から取り出される。磁石アセンブリ(6)は、解除位置へと同時かつ付随的に移動中である。印刷されたインクが紫外線乾燥機器(7)の作用によって硬化させられ、これにより磁性粒子または磁化可能粒子が、配向された状態で固定される。
【0049】
次に、図2aないし図2cを参照する。これらの図は、同じ機器を用いた、印刷工程の代替実施形態を模式的に説明する図である。
【0050】
図2aにおいて、印刷されるシート(5)が、フラットスクリーンフラットベッドスクリーン印刷機の印刷プラテン(1)上に送り込まれる。印刷スクリーン(2)、スキージ(3)、およびインク(4)は解除位置にある。磁石アセンブリ(6)は使用位置にある。
【0051】
図2bにおいて、シート(5)は印刷位置にあり、印刷スクリーン(2)は下げられた位置にあり、スキージ(3)は、インク(4)をスクリーン(2)上で動かして、シート(5)を印刷する。磁石アセンブリ(6)は使用位置にあって、印刷されたインク中の磁性粒子または磁化可能粒子を印刷工程と同時かつ付随的に配向させる。
【0052】
図2cにおいて、印刷され配向されたシート(5)は、フラットベッドスクリーン印刷機の印刷プラテン(1)から取り出される。磁石アセンブリ(6)は、解除位置へと同時かつ付随的に移動中である。印刷されたインクが紫外線乾燥機器(7)の作用によって硬化させられ、これにより磁性粒子または磁化可能粒子が、配向された状態で固定される。
【0053】
次に、図3aないし図3cを参照する。これらの図は、上方から見た印刷工程を模式的に説明する図である。
【0054】
図3aにおいて、印刷されるシート(5)が、フラットスクリーンフラットベッドスクリーン印刷機の印刷プラテン(1)上に送り込まれる。印刷スクリーン(2)、スキージ(3)、およびインク(4)は解除位置にある。磁石アセンブリ(見えない)は使用位置にある。
【0055】
図3bにおいて、シート(5)は印刷位置にあり、印刷スクリーン(2)は下げられた位置にあり、スキージ(3)は、インク(4)をスクリーン(2)上で動かして、シート(5)を印刷する。使用位置にある磁石アセンブリは、印刷されたインク中の磁性粒子または磁化可能粒子を印刷工程と同時かつ付随的に配向させる。
【0056】
図3cにおいて、印刷され配向されたシート(5)は、フラットベッドスクリーン印刷機の印刷プラテン(1)から取り出される。印刷スクリーン(2)、スキージ(3)、およびインク(4)は解除位置にある。
【0057】
次に、図4aないし図4dを参照する。これらの図は、本発明の実施の形態による装置の試作機を説明する図である。
【0058】
図4aは、BMSP−150M型フラットスクリーン・フラットベッド・シルクスクリーン印刷ユニットを、改造した印刷プラテンの詳細とともに、以下のように3つの異なる図(i)ないし(iii)で示す図であり、
(i)は、印刷ユニットの全体図、
(ii)は、磁気配向ユニットを挿入した状態の印刷プラテン、
(iii)は、磁気配向ユニットを取り外した状態の印刷プラテンである。
【0059】
図4bは、本発明の第2の主要な実施の形態による回転磁石アセンブリを有する装置の印刷プラテンを、2つの異なる図(i)および(ii)で示す図であり、
(i)は、「使用位置」の状態、
(ii)は、「解除位置」の状態である。
【0060】
図4cは、本発明の実施の形態による回転磁石アセンブリを2つの異なる図(i)および(ii)で示す図であり、
(i)は、「ローリングバー」(rolling bar)特徴を生成するためのもの、
(ii)は、「ライトスイッチ」(light switch)特徴または「3D」特徴を生成するためのものである。
【0061】
図4dは、本発明の第2の主要な実施の形態による装置のための磁気配向ユニットの例示的な支持ブロックを、3つの異なる図(i)ないし(iii)で示す図であり、
(i)は、挿入された磁石アセンブリがない状態、
(ii)は、挿入された磁石アセンブリを「使用位置」で有する状態、
(iii)は、挿入された磁石アセンブリを「解除位置」で有する状態である。
【0062】
次に、図5aないし図5eを参照する。これらの図は、本発明のさまざまな実施の形態で使用され得る異なる種類のスクリーン印刷メッシュを描く図であり、
a)は、第1の種類のマルチフィラメント織布、
b)は、第2の種類のマルチフィラメント織布、
c)は、カレンダー加工されたモノフィラメントメッシュ、
d)は、カレンダー加工されたメッシュの断面、
e)は、電鋳された多孔質金属箔である。
【0063】
フラット印刷スクリーンは、スクリーン印刷の分野で知られるどんな種類のものであってもよく、例えば木製、または好ましくはアルミニウム製の枠と、枠に担持されるスクリーン印刷メッシュとを備える。スクリーン印刷メッシュは、印刷ステンシルの担持体であり、特に、ナイロン製、ポリエステル製、またはステンレス鋼製の、マルチフィラメント(図5a、5b)またはモノフィラメント(図5c)の、1枚の多孔質の目の詰まった織布であってよい。最も好ましいのは、伸びの少ないポリエステルのモノフィラメント枠、またはステンレス鋼枠である。あるいは、スクリーン印刷メッシュは、化学的にエッチングされた多孔質金属箔、レーザーエッチングされた多孔質金属箔、または、例えばステンレス鋼箔などの、電鋳された多孔質金属箔(図5e)であってよい。
【0064】
印刷インクおよび/または印刷された基材と接触するスクリーンおよび金属の部分は、磁性顔料および磁気配向工程と干渉するのを回避するため、非磁性体とすべきである。
【0065】
スクリーン印刷メッシュは、その製織パラメータ、すなわち製織方式、メッシュ数(メッシュ/インチ、メッシュ/cm)、メッシュ厚(マイクロメートル単位)、および線径(マイクロメートル単位)でさらに特徴付けられる。これらから、孔の開口(マイクロメートル単位)および理論的なインク堆積(マイクロメートル単位)を導出できる。メッシュ厚は一般に線径の2倍よりも若干薄いが、これは、繊維の千鳥状のうねりのために垂直方向に幾分圧縮されるためである(カレンダリング、図5d)。
【0066】
スクリーン印刷メッシュは、本発明の重要な要素であり、最も好ましい光学的に変化する磁性顔料粒子または磁化可能顔料粒子を含むインクまたはコーティング組成物を印刷するのに適切なメッシュの大きさおよび厚さを有するように選ばれなければならない。印刷されたインク堆積の膜厚は、粒子の配向を容易にするため、好ましくは平均顔料粒子径程度、すなわち15マイクロメートルないし20マイクロメートルの範囲にすべきである。また、スクリーン印刷メッシュは、顔料粒子径の最大径のおよそ2倍の自由メッシュ開口を有するべきであり、従って我々の場合は、50マイクロメートルないし70マイクロメートルの範囲の開口を有する。
【0067】
従って、本発明で用いられるスクリーン印刷メッシュは、40マイクロメートルないし90マイクロメートルの範囲に含まれる好ましいメッシュ開口を有しており、最も好ましいのは、50マイクロメートルないし70マイクロメートルの範囲のメッシュ開口である。
【0068】
さらに、メッシュは、150メッシュ/インチないし300メッシュ/インチ(60メッシュ/cmないし120メッシュ/cmに対応する)の範囲に含まれる好ましいメッシュ数を有しており、最も好ましいのは、180メッシュ/インチないし250メッシュ/インチ(72メッシュ/cmないし100メッシュ/cmに対応する)の範囲のメッシュ数である。
【0069】
メッシュは、30マイクロメートルないし70マイクロメートルの範囲に含まれる好ましい線径を有し、最も好ましいのは、45マイクロメートルないし55マイクロメートルの範囲の線径である。
【0070】
次に、図6ならびに図5fおよび図5gを参照する。図6は、フォトレジスト印刷ステンシルを担持するモノフィラメントスクリーン印刷メッシュの断面を描く図であり、図5fおよび図5gはそれぞれ、コンピュータ・トゥ・スクリーン印刷ステンシルおよびフォトレジスト印刷ステンシルを示す図である。印刷ステンシルは、印刷情報の担持体である。印刷ステンシルは、フォトレジスト技術によって製造されると有利である。フォトレジスト技術では、第1のステップにおいて、スクリーン印刷メッシュ全体がフォトレジストでコーティングされ、第2のステップにおいて、フォトレジストが(レジストの種類に応じてポジまたはネガの)印刷情報に対して写真のように露光され、第3のステップにおいて、インクを印刷しようとする領域のスクリーン印刷メッシュからレジストが選択的に除去されるように、露光されたレジストが化学的に現像される。その結果、印刷ステンシルを担持するメッシュ(図5g)が得られる。あるいは、ステンシルは、メッシュ全体を非選択的にコーティングし、続いてインクを印刷しようとする場所のコーティングを選択的、機械的に除去することによっても製造され得るし、直接、メッシュ上に選択的にインクジェット印刷することによって製造されるとさらに有利である(コンピュータ・トゥ・スクリーン技術、図5f)。
【0071】
本発明による装置および工程は、書類上のコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気配向によって識別印を生成するのに用いることができる。書類は、特に、好ましくは銀行券、有価書類、カード、交通機関の切符、パスポート、本人確認書類、アクセス書類、物品税書類、および製品ラベルからなる群から選ばれた、保護対象書類であってよい。
【0072】
本発明の例示的なさらなる実施の形態
A シルクスクリーン印刷ユニット
図4aないし図4dを参照する。シルクスクリーン印刷ユニット(図4a(i))は、実験用フラットスクリーンフラットベッド校正印刷機であり、印刷ステーションと、印刷基材を印刷プラテン上に保持する真空ポンプとからなる。印刷プラテンは、2つの磁気配向ユニットを含むように構成された(図4a(ii)はユニットが挿入された状態、(iii)はユニットが取り外された状態)。
【表1】

【0073】
B 印刷スクリーン
フラット印刷スクリーンは、単繊維ポリエステル(S)の織りメッシュ、またはポリエステル糸(T)の織りメッシュを基部とする。
【0074】
このようなスクリーンメッシュは、例えば、中国上海市の上海ポリエステルスクリーン印刷メッシュ社(Shanghai Polyester Screen Printing Mesh Co., Ltd.)から入手できる。以下のメッシュ特性がうまく利用できた。
【表2】

【0075】
印刷ステンシルは、当技術分野で知られるように、フォトレジスト技術によってメッシュ上に生成される。そのようにして得られたスクリーン印刷メッシュが、フラットベッド校正印刷機にはまるアルミニウム枠に取り付けられる。
【0076】
C 磁石アセンブリ
印刷ユニットは、印刷スクリーン(図4a(i))と、印刷プラテン(図4b(i、ii))と、磁石アセンブリ(図4c(i、ii))と、支持ブロック(図4d)とを備える。磁石アセンブリおよび支持ブロックは、磁石アセンブリを動かす機械部分とともに、磁気配向ユニットを構成する。
【0077】
印刷プラテン(図4b(i、ii))は、2つの磁石アセンブリを保持し配置するために、2本の平行な溝を有するように作られた。
【0078】
以下の典型的な顔料配向効果と特製の顔料配向効果との両方を生成するために、2つの標準的な磁石アセンブリが開発された(図4c(i、ii))。すなわち、
「ローリングバー」効果を生成する磁石アセンブリ、および
「ライトスイッチ」効果または「3D効果」を生成する磁石アセンブリ
である。
「ライトスイッチ」型の磁石アセンブリは、他の特製の効果を生成するよう、容易に改造することができる。
【0079】
支持ブロックは2つ設けられている。支持ブロックの主な機能は、i)磁石アセンブリが回転運動できるように磁石アセンブリを所定の位置に保持することと、ii)平坦な印刷面を生成するように溝の隙間を埋めることである。
【0080】
D 印刷
上述した実験用試作機器を用いた、保護対象書類を作成するのに用いられ得るような、基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気配向によって識別印を生成する工程は、詳細には以下の逐次ステップを含む。すなわち、
a)必要な磁石アセンブリを支持ブロックに取り付けて、開示されたように磁石アセンブリを可動に配置するステップと、
b)磁石アセンブリが取り付けられた状態で支持ブロックを印刷プラテンに挿入するステップと、
c)印刷プラテンの穴と支持ブロックに2本の横ハンドルを挿入してこれらを可動に配置された磁石アセンブリと接続し、磁石アセンブリが水平位置になるようにハンドルを回転させるステップと、
d)上に開示されたように得られたフラット印刷スクリーンを印刷機に取り付け、印刷スクリーン上の識別印の位置に応じて印刷プラテンを調整することにより磁石アセンブリの位置を微調整するステップと、
e)2本のハンドルの端部をそれぞれ印刷スクリーンの両側に接続するステップと、
f)印刷スクリーンを持ち上げて、ハンドルとの接続により同時かつ付随的に磁石アセンブリの下向きの回転運動を生じさせ、基材シートを印刷プラテン上に送り込むステップと、
g)印刷スクリーンを下げて、ハンドルとの接続により同時かつ付随的に磁石アセンブリの上向きの回転運動を生じさせ、基材シートの位置を印刷スクリーンに合わせる(調整する)ステップと、
h)光学的に変化する磁性顔料を含む、国際公開第2007/131833号による紫外線硬化型インクを印刷スクリーン上に載せ、スキージを用いてわずかに圧力をかけながらスクリーン上でインクを移動させ、これにより基材シートに印刷するとともに、印刷されたインク層中の磁性粒子または磁化可能粒子を印刷工程と同時かつ付随的に配向させるステップと、
i)印刷スクリーンを持ち上げて、ハンドルとの接続により同時かつ付随的に磁石アセンブリの下向きの回転運動を生じさせるステップと、
j)印刷され「磁気的に配向された」基材を印刷プラテンから取り外し、基材上の印刷されたインクを紫外線源への露出によって固化(硬化、乾燥)させるステップと、
k)印刷された基材シートをさらに生成するためにステップf)ないしj)を繰り返すステップと
である。
【0081】
上記の通り本明細書になされた開示に基づいて、当業者は、本発明のさらなる実施の形態、特に、より大きな印刷面と、2個を超える磁気配向ユニットと、さらに自動化および工業化された印刷磁気配向工程とを有する実施の形態を考えることが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明による装置および工程は、書類上のコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気配向によって識別印を生成するのに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート上のインクまたはコーティング組成物中の磁気的に配向された磁性粒子または磁化可能粒子を含む識別印を生成する装置であって、
フラット印刷スクリーンと、前記シートを受ける印刷プラテンであって、前記印刷スクリーンに面した上面と前記シートを取り出すことのできる上面に沿った第1の方向とを有する印刷プラテンと、を有するフラットベッドスクリーン印刷ユニットと、
多数の磁石アセンブリを備える磁気配向ユニットと、
を備える装置において、
前記磁気配向ユニットが前記印刷プラテンの前記上面より下に配置され、
前記多数の磁石アセンブリが前記第1の方向に沿って配置され、前記磁石アセンブリがすべて、前記印刷プラテンの前記上面から離れた第1の位置から前記印刷プラテンの前記上面に近い第2の位置へ同時かつ付随的に移動できる装置。
【請求項2】
前記磁石アセンブリが、前記第1の位置と前記第2の位置との間を前記印刷プラテンの前記上面と交わる第2の方向に沿って往復運動で移動できる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記磁石アセンブリが、前記第1の位置と前記第2の位置との間を往復回転運動で移動できる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記シート上の生成された磁気画像のぼけを防止するように、前記磁石アセンブリを前記コーティングされたシートの取り出しと同期させて移動させるように構成される請求項3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記磁石アセンブリが永久磁性体の彫り込み磁化板を備える上記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記彫り込み磁化板が、構造上の結合剤としてのポリマー、好ましくはゴム状またはプラスチック状のポリマーと、充填材としての永久磁性粉とを含む複合材料である請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記磁石アセンブリが少なくとも1つのさらなる永久磁石を備え、前記磁石が、前記磁石と前記彫り込み磁化板との間に作用する固有の磁力に対して前記磁石を保持する位置に取り付けられる請求項5ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記印刷スクリーンが、40マイクロメートルないし90マイクロメートルの範囲、好ましくは50マイクロメートルないし70マイクロメートルの範囲のメッシュ開口を有する上記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
識別印を生成する工程であって、
a)請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置を設けるステップと、
b)前記装置の前記印刷プラテン上に、磁性粒子または磁化可能粒子を含む濡れたインクまたはコーティング組成物を少なくとも表面の一部に担持する基材シートを送り込むステップと、
c)前記装置の前記磁石アセンブリをすべて、前記印刷プラテンの前記上面から離れた第1の位置から前記印刷プラテンの前記上面に近い第2の位置へ同時かつ付随的に移動させ、これにより前記濡れたインクまたはコーティング組成物中の前記磁性粒子または磁化可能粒子を配向させるステップと、
d)前記磁石アセンブリを前記第1の位置へ戻すステップと、
e)前記印刷プラテンから前記シートを取り出すステップと、
f)前記インクを硬化させるステップと
を含む工程。
【請求項10】
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記磁石アセンブリの移動が、前記印刷プラテンの上面と交わる第2の方向に沿って往復運動で行われる請求項9に記載の工程。
【請求項11】
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記磁石アセンブリの移動が往復回転運動で行われる請求項9に記載の工程。
【請求項12】
前記磁石アセンブリの移動と前記シートの取り出しとが、前記シート上に生成された磁気画像のぼけを防止するように、同期した動作で行われる請求項11に記載の工程。
【請求項13】
前記装置の前記印刷プラテンへ基材シートを送り込む前記ステップが、磁性粒子または磁化可能粒子を含む濡れたコーティング組成物またはインクで前記シートの表面を少なくとも部分的にコーティングまたは印刷するステップを含む請求項9ないし12のいずれか1項に記載の工程。
【請求項14】
前記コーティングまたは印刷が、40マイクロメートルないし90マイクロメートルの範囲、好ましくは50マイクロメートルないし70マイクロメートルの範囲のメッシュ開口を有するフラット印刷スクリーンを用いて行われる請求項13に記載の工程。
【請求項15】
前記コーティングまたは印刷が、光学的に変化する磁性顔料粒子を含む組成物を用いて行われる請求項13ないし14のうちの1項に記載の工程。
【請求項16】
前記コーティングまたは印刷するステップが、前記顔料粒子の磁気配向と同時かつ付随的に行われる請求項13ないし15のうちの1項に記載の工程。
【請求項17】
前記磁石アセンブリが、前記シートの印刷前に前記印刷プラテンに向かって移動させられる請求項13ないし16のうちの1項に記載の工程。
【請求項18】
書類上のコーティング組成物中の磁性粒子または磁化可能粒子の磁気配向によって識別印を生成するための、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項19】
前記書類が、銀行券、有価書類、カード、交通機関の切符、パスポート、本人確認書類、アクセス書類、物品税書類、および製品ラベルからなる群から選ばれる請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項9ないし17のいずれか1項に記載の工程を用いて生成された磁気配向識別印を備える印刷書類。
【請求項21】
前記書類が、銀行券、有価書類、カード、交通機関の切符、パスポート、本人確認書類、アクセス書類、物品税書類、および製品ラベルからなる群から選ばれる請求項20に記載の印刷書類。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a(i)】
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【図4a(ii)】
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【図4a(iii)】
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【図4b(i)】
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【図4b(ii)】
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【図4c(i)】
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【図4c(ii)】
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【図4d(i)】
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【図4d(ii)】
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【図4d(iii)】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−511448(P2012−511448A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540104(P2011−540104)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066826
【国際公開番号】WO2010/066838
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(311003204)シクパ ホールディング エスアー (21)
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH−1008 Prilly Switzerland
【出願人】(511140471)チャイナ バンクノート シクパ セキュリティ インク コーポレイション,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】