説明

スナック食品

【課題】口に入れたときにソフトな口当たりでありながら、これを噛み砕くときに歯ごたえがあり且つ食べ応えのある食感を提供する。
【解決手段】第1の生地(2)と第2の生地(4)を積層した断面構造を有する焼成スナック食品である。第1の生地(2)はタピオカ加工澱粉と油脂と水を含む。第2の生地(4)はタピオカ加工澱粉と油脂と水と膨張剤を含む。第2の生地(4)は第1の生地(2)よりも含量割合の多いタピオカ加工澱粉を含む。第1の生地(4)に含まれる油脂の含有割合は、第2の生地(2)に含まれる油脂の含有割合よりも多い。第1の生地(2)を第2の生地(4)の外側に積層した状態で焼成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブンで焼成した焼き菓子の分類に属し、口に入れたときにソフトな口当たりでありながら、噛み砕くときに歯ごたえがあり且つ食べ応えのある食感を提供できるスナック食品に関する。
【背景技術】
【0002】
スナック食品の典型例にクッキーがある。クッキーは、その主成分が油脂、小麦粉、卵であり、これらの成分を混ぜて生地を作り、この生地を所望の形状に小分けした後にオーブンで焼成することにより作られる。クッキーのようなスナック食品は、食べている最中にスナック食品の破片がポロポロとこぼれ落ちるという欠点がある。
【0003】
特許文献1は、小麦粉を主成分とした薄皮で調理済みの食材を包み込んだスナック食品を提案している。具体的には、小麦粉を主成分としてこれに水を加えて練り込んだ薄い生地を用意し、この薄い生地の上に、米飯、パスタ、うどんなどの主食物と、カレー味、グラタン味、オムライス味、ツナマヨネーズ味などの味付けをした具材からなる副食物とを載せて、これら主食物と副食物とを上述した生地で包み込む前後に焼き目を入れたスナック食品を冷蔵庫又は冷凍庫で保管することを提案している。このスナック食品を食べるときには、冷蔵庫や冷凍庫から取り出して、そしてオーブンやフライパン等で加熱解凍することでスナック食品を食べることができる。
【0004】
特許文献2は、油脂と卵と小麦粉を含むスナック生地にジャム状のフィリング食材を包み込んでオーブンで焼成したスナック食品を提案している。このスナック食品は、外層のスナック生地でサクッサクッとした食感を提供し、内層のフィリング食材でサックリとした食感を提供することができる。
【0005】
特許文献3は、白玉団子に類するもち類に関し、このもち類を汁の中に入れたときに溶け出すという問題点を解消するために、第1のもちで、内側の第2のもちを包み込んだもち類を提案し、具体的には、特許文献3は、外側の第1のもちとして、次に説明する本来のもち原料に熱凝固蛋白質、トレハロース、ソルビトール、トランスグルタミナーゼのいずれかを含有したもちを採用し、内側の第2のもちとして、本来の餅原料にリゾレシチンを含有したもちを採用することを提案している。ここに、本来のもち原料として、米、粟などの餅種の穀類、あるいは、もち粉、白玉粉などの餅種の粉末、もち粉澱粉、馬鈴薯澱粉、とうもろこし澱粉、小麦粉澱粉、化工澱粉などの澱粉質が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−284536号公報
【特許文献2】特開2001−231433号公報
【特許文献3】特開平10−136916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、口に入れたときにソフトな口当たりでありながら、これを噛み砕くときに歯ごたえがあり且つ食べ応えのある食感を提供することのできるスナック食品を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、口に入れたときからスナック食品の香りと味を感じさせ、噛み砕いたときにスナック食品の本来の風味を堪能できるスナック食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
第1の生地と第2の生地を積層した断面構造を有するスナック食品であって、
前記第1の生地がタピオカ加工澱粉と油脂と水を含み、
前記第2の生地がタピオカ加工澱粉と油脂と水と膨張剤を含み、
前記第2の生地が前記第1の生地よりも含量割合の多いタピオカ加工澱粉を含み、
前記第1の生地に含まれる油脂の含有割合が、前記第2の生地に含まれる油脂の含有割合よりも多く、
前記第1の生地を前記第2の生地の外側に積層した状態で焼成してなるスナック食品を提供することにより、口に入れたときにソフトな口当たりでありながら、これを噛み砕くときに歯ごたえがあり且つ食べ応えのある食感を提供することができる。
【0010】
本発明のスナック食品は、典型的には、前記第2の生地の上下に前記第1の生地が位置して前記第2の生地(内生地)を前記第1の生地(外生地)でサンドイッチした断面構造を有する。
【0011】
また、本発明のスナック食品の典型例はカレー味のスナック食品であり、第2の生地にカレーシーズニングが添加され、第1の生地にカレーの香りと味を予感させる香料(カレーフレーバー)と香辛料抽出物が添加される。これによって、口に入れたときからスナック食品の香りと味を感じさせ、噛み砕いたときにスナック食品の本来の風味を堪能できるスナック食品を提供することことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の焼成スナック食品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0014】
図1は実施例のスナック食品の斜視図である。図示のスナック食品1は、外側の第1の食材(外生地)2で、内側の第2の食材(内生地)4の外周を包囲した形態を有し、これを垂直切断したときに、内側の生地の全周を外側の生地で包囲した形態を有している。この製造方法は従来から知られている共押し出し成型法によって作られた焼成スナック食品である。すなわち、内生地4とその周囲に外生地2を一緒に押し出して、これを所定の長さで切断することにより内生地4の外周を外生地2で包囲したステック状の成型素材を作り、これをオーブンで焼成することにより断面略楕円のステック状のスナック食品1を完成させた。
【0015】
第1実施例(カレー味のスナック食品)
この第1実施例のカレー味の焼成スナック食品1の外生地2の組成を次の表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
次に内生地4の組成を次の表2に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
外生地2の調製
ショートニング、グリセリン脂肪酸エステル、カレーフレーバー、唐辛子抽出物、ブラウンルウ、乾燥卵白、還元水あめをミキサーを使って撹拌混合しながら少量ずつ加水して乳化させた。加水用の水には、予め、キシロース、食塩、トレハロースを溶解しておいた。このように、トレハロースなどを溶解した加水用の水を予め用意しておくことにより、焼成後のスナック食品1の表面に小孔ができるのを防ぐことができることが分かった。
【0020】
次いで、タピオカ加工澱粉(典型例はタピオカヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉)、小麦粉、膨張剤、マルトース、大豆粉、α化タピオカ加工澱粉、酵母エキス、タラガム、アラビアガムを添加して十分に混合することよりカレー味スナック食品用の外生地2を調製した。特に、タピオカ加工澱粉は吸水により弾力のあるもっちり食感の生地に仕上げることができる。一方、α化タピオカ加工澱粉の添加は生地の焼成時における生地のだれを有効に防止することができる。
【0021】
内生地4の調製
還元水あめ、香辛料と油脂を焙煎してなる香味油、トレハロースをミキサーを使って混合し、次いで、パーム油を添加して混合した。次に、タピオカ加工澱粉、膨張剤、ブドウ糖、マルトース、大豆粉、カレーシーズニング(香辛料、うまみ調味料、野菜パウダー)、カラメル、タラガム、アラビアガムを添加して混合した。そして、最後に水を加えて混合することによりカレー味スナック食品用の内生地4を調製した。なお、内生地4の調製過程で、後に第3実施例で説明するように、ビタミンミックス粉末、ミネラル粉末を添加してもよい。
【0022】
第1実施例のカレー味のスナック食品1の成型及び焼成
52重量部の外生地2と48重量部の内生地4を包あん機(レオン社製又はコバード社製)を使って共押し出し成型法によって内生地4の周囲を外生地2で包囲した断面円形の連続したスナック食品素材を作り、これを超音波カッターで所定の長さに切断して小分けしたスナック食品素材を作った。この断面円形のスナック食品素材は、内生地4の中心から外生地2の外表面までの距離が約10mmであり、内生地4の中心から内生地4の外表面までの距離が約6mmであり、長さが95mmであった。そして、このスナック食品素材を横にした状態を維持しながらオーブンで焼成することで、断面略楕円のステック状のカレー味のスナック食品1を作った。ガスオーブンでは、スナック食品素材を先ず180℃で8分間加熱し、次いで120℃で5分間加熱した。次いで放冷した後に、アルミ箔を含む積層シールで横ピロー包装した。
【0023】
第2実施例(ピザ味のスナック食品)
この第2実施例のピザ味の焼成スナック食品1の外生地2と内生地4の組成を表3、表4に示す。
【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
外生地2の調製
ショートニング、チーズフレーバー、ピザフレーバー、グリセリン脂肪酸エステル、乾燥卵白、還元水あめをミキサーで撹拌混合しながら少量ずつ加水して乳化させた。加水用の水には、予め、食塩、トレハロースを溶解しておいた。これにより第1実施例と同様に、焼成後のスナック食品1の表面に小孔ができるのを防ぐことができた。次いで、タピオカ加工澱粉、小麦粉、ベーキングパウダー(膨張剤)、マルトース、大豆粉、タピオカα化加工澱粉、チーズパウダー、タラガム、アラビアガムを添加して十分に混合することよりピザ味スナック食品用の外生地2を調製した。
【0027】
内生地4の調製
還元水あめ、ドミグラスソース、パプリカ色素、トレハロースを混合し、次いで、パーム油を添加して混合した。次に、タピオカ加工澱粉、ベーキングパウダー(膨張剤)、ブドウ糖、大豆粉、食塩、チーズパウダー、グルタミン酸Na、ベーコンフレーバー、タラガム、アラビアガムを加えて混合した。そして、最後に水を加えて混合することによりピザ味スナック食品用の内生地4を調製した。なお、内生地4の調整過程で、後に第3実施例で説明するように、ビタミンミックス粉末、ミネラル粉末を添加してもよい。
【0028】
第2実施例のピザ味のスナック食品1の成型及び焼成
第1実施例と同様に共押し出し成型法によって内生地4の周囲を外生地2で包囲した断面円形の連続したスナック食品素材を作り、これを超音波カッターで所定の長さに切断することで小分けしたスナック食品素材を作った。このスナック食品素材の大きさは第1実施例と同じであった。そして、このスナック食品素材を横にした状態を維持しながらオーブンで焼成することで、断面略楕円のステック状のピザ味のスナック食品1を作った。ガスオーブンでの加熱条件を説明すると、スナック食品素材を180℃で8分間加熱し、次いで120℃で10分間加熱した。次いで、放冷した後に、実施例1と同様のシールで横ピロー包装した。
【0029】
第3実施例(チリ味のスナック食品)
この第3実施例のチリ味の焼成スナック食品1の外生地2と内生地4の組成を表5、表6に示す。
【0030】
【表5】

【0031】
【表6】

【0032】
外生地2の調製
ショートニング、トマトフレーバー、唐辛子抽出物、ブラウンルウ、グリセリン脂肪酸エステル、乾燥卵白、還元水あめを撹拌混合しながら少量ずつ加水して乳化させた。このとき、加水用の水には、予め、食塩、トレハロース、キシロースを溶解しておいた。これにより、第1、第2実施例と同様に、焼成後のスナック食品1の表面に小孔ができるのを防ぐことができた。その後、タピオカ加工澱粉、小麦粉、ベーキングパウダー(膨張剤)、マルトース、大豆粉、タピオカα化加工澱粉、チーズパウダー、タラガム、アラビアガムを加えて十分に混合することによりチリ味スナック食品用の外生地2を調製した。
【0033】
内生地4の調製
還元水あめ、ドミグラスソース、唐辛子抽出物、パプリカ色素、ベニコウジ色素、トレハロースを混合した。この混合過程でビタミンミックス粉末、ミネラル粉末を添加した。次いでパーム油を添加して混合した。次いで、タピオカ加工澱粉、ベーキングパウダー(膨張剤)、マルトース、大豆粉、チリパウダー、ソースパウダー、タラガム、アラビアガムを添加して混合した。そして、最後に水を加えて混合することによりチリ味スナック食品用の内生地4を調製した。
【0034】
第3実施例のチリ味のスナック食品1の成型及び焼成
第1実施例、第2実施例と同様に共押し出し成型法によって内生地4の周囲を外生地2で包囲した断面円形の連続したスナック食品素材を作り、これを超音波カッターで所定の長さに切断することで小分けしたスナック食品素材を作った。このスナック食品素材の大きさは第1、第2実施例と同じであった。そして、このスナック食品素材を横にした状態を維持しながらオーブンで焼成することで、断面略楕円のステック状のチリ味のスナック食品1を作った。ガスオーブンでの加熱条件は、スナック食品素材を先ず180℃で8分間加熱し、次いで120℃で5分間加熱した。次いで、放冷した後に、実施例1と同様のシールで横ピロー包装した。
【0035】
上述した第1〜第3の実施例のスナック食品1は、水分量が13.0〜17.0重量%であり、また、水分活性が0.62〜0.68であった。また、第1〜第3の実施例のスナック食品1はそのいずれもが、オーブンで焼成した焼き菓子であるにも関わらず、口に入れたときにふっくらと柔らかい弾力のある食感であり、噛み砕いたときに弾力が強くてモッチリした食べ応えのある食感であった。勿論、外生地2、内生地4の双方がタピオカ加工澱粉を主成分に、これに十分に加水して調製されているためモチモチしており、このことから、スナック食品1はこれを食べている最中にクッキーのように破片がボロボロとこぼれ落ちることはない。
【0036】
外生地2の設計
上述した食感に関して、外生地2に関して4つの因子に分けて設計してある。第1に弾力性であり、第2にしっとりとした食感、第3に歯通りが良くそしてソフトな食感、第4にふっくらした食感である。
【0037】
外生地2の第1の因子(弾力性)に関しては、タピオカ加工澱粉を用いることで、弾力のある生地を提供するように設計してある。具体的には、この第1の因子である外生地2の弾力性は、外生地2を100重量部としたときにタピオカ加工澱粉の含有量が13.0〜23.0重量部となるように調整することで実現することができる。
【0038】
外生地2の第2の因子(しっとりとした食感)に関しては、主に糖類(上記の第1〜第3実施例ではマルトースを採用してあるが、ブドウ糖、麦芽糖、グラニュー糖、コーンシロップ)ないし甘味料(トレハロース)を添加することで、この第2の因子を提供するように設計してある。好ましくは、油脂(ショートニング)と還元水あめを更に添加するのが良い。
【0039】
外生地2の第3の因子(歯通りの良さとソフトな食感)に関しては、油脂、好ましくはショートニングを添加することで、この第3の因子を提供するように設計してある。具体的には、外生地2を100重量部としたときに10.0〜20.0重量部の含有量の油脂を添加することで、歯通りのよいソフトな食感にすることができる。
【0040】
外生地2の第4の因子(ふっくらした食感)に関しては、膨張剤と上記の小麦粉を添加して、焼成することで柔らかくふっくらとした食感を提供することができる。具体的には、外生地2を100重量部としたときに、0.15〜0.7重量部の含有量の膨張剤(ベーキングパウダー、重曹など)を添加するのが良い。また、乾燥卵白を添加しても良い。卵白を添加することで、この卵白が気泡を形成して生地の浮きを良好にし、膨らんだ組織を保持することできる。
【0041】
外生地2の柔らかい食感を長期に亘って維持(澱粉の離水の抑制つまり老化の抑制)するように設計してある。加水したタピオカ加工澱粉は上述したようにモチモチした食感を提供できるが、これに5.0〜18.5重量部の糖類(ブドウ糖、麦芽糖、グラニュー糖、コーンシロップ)ないし甘味料(トレハロース)、特にトレハロースを添加することで老化を抑制することができる。また、好ましくは大豆粉を更に添加することで食感をしっとりとさせながら外生地2の粉っぽさを無くすることができる。
【0042】
外生地2の保形性つまり焼成による焼きダレを抑制するのに、タピオカα化加工澱粉を添加するのがよい。また、この焼きダレ抑制に関して、増粘多糖類(上記の第1実施例で説明すればタラガムとアラビアガム)を更に添加することで焼成による生地の浮きを抑制することができ、また、乾燥卵白を添加することで、気泡を形成して生地の浮きを促進して膨らんだ生地組織を保持することができる。
【0043】
内生地4の設計
小麦粉の添加無しの内生地4の食感に関して内生地4の弾力を強くすることで食べ応えのある食感を提供するように設計してある。具体的には、内生地4に関して4つの因子に分けて設計してある。第1の因子は外生地2よりも強い弾力であり、第2の因子はしっとりとした食感、第3の因子は焼成のときに型くずれしない保形性、第4の因子はふっくらした食感である。
【0044】
内生地2の第1の因子(より強い弾力性)に関して、上記外生地2の含有割合よりも多くのタピオカ加工澱粉を内生地4に添加することで、外生地2よりも強い弾力を提供するように設計してある。具体的には、内生地2を100重量部としたときに24.0〜30.0重量部のタピオカ加工澱粉を添加するのがよい。
【0045】
内生地4の第2の因子(しっとりとした食感)に関しては、主に糖類(上記の第1〜第3実施例ではマルトースを採用してあるが、ブドウ糖、麦芽糖、グラニュー糖、コーンシロップ)ないし甘味料(トレハロース)を添加することで、この第2の因子を提供するように設計してある。具体的には、この第2の因子である内生地4のしっとりとした食感は、糖類ないし甘味料を添加することにより実現でき、好ましくは、内生地2を100重量部としたときに2.0〜10.0重量部の油脂(パーム油)を更に添加するのがよく、また、更に還元水あめを添加するのがよい。
【0046】
内生地4の第3の因子(焼成のときに型くずれしない保形性)に関しては、外生地2に含まれる油脂の含有割合よりも少ない含有割合の油脂(パーム油)を含ませるのが良い。具体的には、内生地4を100重量部としたときに2.0〜9.0重量部の油脂を添加するのがよい。
【0047】
内生地4の第4の因子(ふっくらした食感)に関しては、内生地4を100重量部としたときに1.0〜5.0重量部の膨張剤(ベーキングパウダー、重曹等)を添加するのが良い。
【0048】
内生地4の食感の保存性(澱粉の劣化抑制)は、上述したように十分な水をタピオカ加工澱粉に加水すると共に、トレハロースを添加することで実現することができる。また、前述したパーム油を添加するのが良く、また、増粘多糖類(上記第1実施例で説明すればタラガムとアラビアガム)を添加するのが良い。また、大豆粉を添加するのがよい。
【0049】
蒸し工程無しのスナック食品1の内生地4は、小麦粉の添加無しであるため、タピオカ加工澱粉に十分な水を加水して、これを焼成してα化することで、ザラザラした食感無しの弾力ある組織のモチモチした食感を提供できる。なお、この特性のスナック食品を作るのであれば、内生地4だけでスナック食品を構成してもよい。
【0050】
味と香りの連続性
カレー味の第1実施例を例に説明すれば、内生地4を外生地2で包囲した構造のスナック食品1の外生地2に、香料(カレーフレーバー)及び調味原料(唐辛子抽出物、ブラウンルウ、酵母エキス)を添加してある。すなわち、外生地2はプレーンな味ではなくて、カレーの香りとカレー味を予感する香料と調味原料が添加されているため、スナック食品1を口にした当初からこれを噛み砕くまでカレーの香り及びカレー味に連続性を持ったスナック食品1を提供できる。そして、内生地4よりも相対的に多い油脂(10.0〜20.0重量部の油脂)を外生地2に添加することで焼成してもソフトな食感を有する外生地2を提供できる。また、このソフトな外生地2の内側に、上述したしっかりとした噛み応えのある弾力の内生地4を配置させることで、スナック食品1を口に入れた当初からカレー等などの味や香りを楽しみながら且つソフトな口当たりを感じながら食べ応えのあるカレー等のスナック食品1を楽しむことができる。
【0051】
スナック食品1は、内生地4とこれを包囲した外生地2で構成され且つ焼成により外生地2の水分が蒸散しても、この外生地が比較的油分の多い組成で構成されているため、焼成してもソフトなモチモチ感の外生地2の提供することができる。
【0052】
以上、本発明に従う実施例を説明したが、本発明のスナック食品1は、内生地4を上下から外生地2で挟んだサンドイッチ構造を採用してもよく、また、外生地2と内生地4とを上下に重ねた2層構造であってもよい。また、外生地2と内生地4の2層構造を単位にこれを複数段積み重ねた構造を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のスナック食品1はお菓子やビタミン剤入りの食事代わりの代用食品として消費者に提供できる。
【符号の説明】
【0054】
1 スナック食品
2 外生地(第1の生地)
4 内生地(第2の生地)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の生地と第2の生地を積層した断面構造を有するスナック食品であって、
前記第1の生地がタピオカ加工澱粉と油脂と水を含み、
前記第2の生地がタピオカ加工澱粉と油脂と水と膨張剤を含み、
前記第2の生地が前記第1の生地よりも含量割合の多いタピオカ加工澱粉を含み、
前記第1の生地に含まれる油脂の含有割合が、前記第2の生地に含まれる油脂の含有割合よりも多く、
前記第1の生地を前記第2の生地の外側に積層した状態で焼成してなるスナック食品。
【請求項2】
前記第2の生地の上下に前記第1の生地が位置して前記第2の生地を前記第1の生地で挟んだサンドイッチ断面構造を有する、請求項1に記載のスナック食品。
【請求項3】
前記第1の生地に大豆粉が添加されている、請求項1又は2に記載のスナック食品。
【請求項4】
前記第1の生地に前記第2の生地の香りと味を予感させる香料と調味原料が添加されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスナック食品。
【請求項5】
前記第2の生地にカレーシーズニングが添加され、
前記第1の生地にカレーの香りと味を予感させる香料と香辛料抽出物が添加されている、請求項1〜4に記載のスナック食品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−95573(P2012−95573A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244735(P2010−244735)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】