説明

セプタム及び当該セプタムを使用した試料注入口

【課題】分析装置の試料導入部に設けられた試料注入口に使用されるセプタムであって、分析に影響を与えることがなく、一層高精度な分析を可能にするセプタム、および、当該セプタムを使用した試料注入口を提供する。
【解決手段】セプタム1は、注射針状の試料注入ノズルを貫通させるセプタムであり、ゴム弾性を有する素材で外形を円盤状に形成され且つその表側の盤面に逆円錐台状または円筒状の窪み11が設けられ、当該窪みの底部は、半円周面状に湾曲した形状を備え、その中央には、湾曲方向と直交する方向に伸長され且つ裏面へ貫通する切り込み15が設けられる。また、試料注入口は、試料注入ノズルを挿通するノズル挿通穴が中心に設けられた3個以上のブロックを同軸状に結合して構成され、各ブロックの間に上記のセプタム1が介装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セプタム及び当該セプタムを使用した試料注入口に関するものであり、詳しくは、分析装置の試料導入部に設けられた試料注入口を封止するためのセプタム、ならびに、当該セプタムを使用した試料注入口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、全有機炭素分析装置においては、液体試料(例えば懸濁物を含む水)を燃焼または分解するための燃焼管(TC燃焼管)の上端部に試料注入口が設けられるが、斯かる試料注入口は、キャリアーガスや生成される二酸化炭素の漏出を防止するため、円盤状のセプタム(隔壁)で封止されており、燃焼管に試料を注入する際は、昇降可能なインジェクターの注射針状の試料注入ノズルをセプタムに突き刺して燃焼管の上端部まで貫通させる。上記のようなセプタムは、フッ素樹脂などからなる成形体であり、ガスクロマトグラフ等のカラムの試料注入口にも一般的に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93209号公報
【特許文献2】特開平5−52827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、試料注入口から試料を注入した場合、試料注入ノズルによって僅かではあるがセプタムが破損し、その微粒子状の破片(渣)が燃焼管へ入り込むと言う問題がある。特に、上記の全有機炭素分析装置では、懸濁物を含む水を試料として注入するため、口径の比較的大きなノズルを使用する傾向にあり、セプタムの破片が発生し易いと言う状況がある。その結果、信号解析において、セプタム自体の炭素成分のシグナルが発生し、分析精度向上の阻害要因となっている。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分析装置の試料導入部に設けられた試料注入口に使用されるセプタムであって、分析に影響を与えることがなく、一層高精度な分析を可能にするセプタム、および、当該セプタムを使用した試料注入口を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のセプタムにおいては、円盤状のセプタム本体部に上面側から逆円錐台状または円筒状の窪みを設け且つ当該窪みの底部を半円周面状に湾曲させると共に、前記の底部の中央に裏面へ貫通する直線状の切り込みを形成することにより、インジェクターの試料注入ノズルを挿入した際、切り込みが押し開かれて試料注入ノズルが通過し、試料注入ノズルを取り外した際、素材の復元力および底部の湾曲構造により切り込みが封止するようにした。また、本発明の試料注入口においては、ノズル挿通穴が中心に設けられた3個以上のブロックを同軸状に結合し、各ブロックの間にそれぞれ上記のセプタムを配置することにより、インジェクターの試料注入ノズルを挿入する際ならびに試料注入ノズルを取り外した際の気密性を高めるようにした。
【0007】
すなわち、本発明の第1の要旨は、分析装置の試料導入部の試料注入口に取り付けられ且つ液体試料注入の際に注射針状の試料注入ノズルを貫通させるセプタムであって、ゴム弾性を有する素材で外形を円盤状に形成され且つその表側の盤面に逆円錐台状または円筒状の窪みが設けられ、当該窪みの底部は、半円周面状に湾曲した形状を備え、前記底部の中央には、湾曲方向と直交する方向に伸長され且つ裏面へ貫通する切り込みが設けられていることを特徴とするセプタムに存する。
【0008】
また、本発明の第2の要旨は、分析装置の試料導入部に液体試料を注入するための試料注入口であって、注射針状の試料注入ノズルを挿通するノズル挿通穴が中心に設けられた3個以上のブロックを同軸状に結合して構成され、各ブロックの間には、各々、上記のセプタムが介装されていることを特徴とする試料注入口に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分析装置の試料導入部にインジェクターの試料注入ノズルを挿入した際、セプタム自体の破損がなく、円滑に試料注入ノズルを挿通でき、また、試料注入ノズルを取り外した際、試料導入部を気密に封止できるため、セプタムに起因する異常シグナルの発生もなく、一層高精度な分析が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るセプタムの構造を示す図であり、分図(a)は上面図、分図(b)は底面図、分図(c)は分図(a)のA−A線に沿った縦断面図、分図(d)は分図(a)のB−B線に沿った縦断面図である。
【図2】本発明に係る試料注入口の一例を示す図であり、中心線に沿って破断した縦断面図である。
【図3】本発明に係る試料注入口およびインジェクターのノズル部の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るセプタム及び試料注入口(以下、「注入口」と言う。)の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の注入口は、分析装置の液体試料を導入する試料導入部、例えば、全有機炭素分析装置の燃焼管(TC燃焼管)、ガスクロマトグラフのキャピラリーカラム等に適用され、そして、本発明のセプタムは、上記の注入口に使用される。
【0012】
先ず、本発明のセプタムについて説明する。図中に符号1で示す本発明のセプタムは、図2に示すように、上記のような分析装置の試料導入部(例えば燃焼管8)の注入口1Aに隔壁として取り付けられ、液体試料注入の際に注射針状の試料注入ノズル(以下、「注入ノズル」と言う。)70を貫通させて使用される。本発明のセプタム1は、フッ素ゴム、シリコンゴム、イソプレンゴム等、耐熱性、耐薬品性に優れ且つゴム弾性を有する柔軟な素材で構成され、通常は、これらの素材を射出成形して製造される。
【0013】
図1に示すように、セプタム1は、本体部10の外形を円盤状に形成され且つその表側(上面側)の盤面に逆円錐台状または円筒状の窪み11が設けられる。適用する分析装置によっても異なるが、本体部10の外径は8〜14mm程度、本体部10の厚さは2〜6mm程度、窪み11の直径は3.5〜10mm程度、後述する窪み11の底部の肉厚は0.3〜0.5mm程度に設計される。図1(a)、(c)及び(d)に示すように、本体部10の上面には、窪み11の縁に沿って突出する環状の突起12が設けられる。斯かる突起12は、後述する注入口のブロック間にセプタム1を介装する際にブロックと軸合わせするためのズレ止めとして設けられる。
【0014】
また、図1(b)及び(c)に示すように、本体部10の底面(下面)には、上記の突起12よりも小さな外径の環状リブ13が当該本体部と同心状で且つ底面から突出する状態で設けられる。環状リブ13の外径は、窪み11の内径に略相当する大きさに設定される。環状リブ13は、上記の突起12と同様に、ブロックと軸合わせするためのズレ止めとして設けられ、また、肉厚の薄い窪み11の底部を補強してその復元力を高めるために設けられる。なお、図示しないが、窪み11の底部を更に補強してその復元力を高めるため、本体部10の底面(裏面)の中央には、上記の環状リブ13に架け渡された形状の直線状のリブが後述する窪み11の底部の湾曲方向に沿って設けられてもよい。
【0015】
本発明においては、注入口1Aにインジェクターの注入ノズル70を挿入した際(図3参照)、セプタム1を損傷させることなく円滑に注入ノズル70を通過させ、注入ノズル70を取り外した際、確実に注入口を封止するため、図1(c)に示すように、上記の窪み11の底部は、半円周面状に湾曲した形状を備えており、そして、図1(a)〜(d)に示すように、窪み11の底部の中央には、湾曲方向と直交する方向に伸長され且つ裏面へ貫通する切り込み15が設けられる。
【0016】
具体的には、窪み11の底部は、円筒体をその中心線に沿って破断した場合の内周面に近似した湾曲面を備えている。また、切り込み15の伸長方向は、窪み11の底部の湾曲していない方向に沿った方向である。そして、切り込み15の長さは、本体部10の大きさや用途によっても異なるが、通常、窪み11の内径の40〜70%に相当する長さとされる。
【0017】
次に、本発明の注入口について説明する。本発明の注入口は、分析装置の試料導入部に液体試料を注入するための装置であり、注射針状の注入ノズル70(図2,図3参照)を挿通するノズル挿通穴が中心に設けられた3個以上のブロックを同軸状に結合して構成される。そして、各ブロックの間には、各々、上記のセプタム1が介装される。以下、全有機炭素分析装置の燃焼管8に設けられる注入口1Aを例に挙げて説明する。
【0018】
図2に示すように、本発明の注入口1Aは、全有機炭素分析装置の試料導入部である燃焼管8に液体試料(懸濁物を含む水)を注入するための口であり、インジェクターの注射針状の注入ノズル70を挿通するノズル挿通穴2c、3c、4cがそれぞれ中心に設けられた上部ブロック2、中間ブロック3及び下部ブロック4を同軸状に結合して構成される。そして、下部ブロック4の下端側が燃焼管8の上端に装着可能に構成される。
【0019】
上部ブロック2は、下段が小径の2段円柱状に形成され、その中心にノズル挿通穴2cが設けられる。上部ブロック2の小径部23の外周面には、中間ブロック3に結合するためのねじが設けられる。ノズル挿通穴2cの上部は、インジェクターの注入ノズル70を挿入する際に当該注入ノズルをノズル挿通穴2c内へ円滑に案内するため、上部ブロック2の上端に向かうに従い漸次拡径された漏斗状に形成される。ノズル挿通穴2cの下端は、前述のセプタム1の上端部が嵌り込む逆浅皿状の空間部として拡径される。
【0020】
中間ブロック3は、上記の上部ブロック2と同様に、下段が小径の2段円柱状に外形を形成され、その中心にノズル挿通穴3cが設けられる。中間ブロック3の小径部34の外周面には、下部ブロック4に結合するためのねじが設けられる。中間ブロック3の上端側には、上部ブロック2の小径部23を螺着するためのブロック結合穴32が設けられ、そして、ブロック結合穴32に開口するノズル挿通穴3cの上端は、セプタム1を収容する空間部として拡径される。また、ノズル挿通穴3cの下端は、第2のセプタム1の上端部が嵌り込む逆浅皿状の空間部として拡径される。
【0021】
下部ブロック4は、下段が小径の2段円柱状に外形を形成され且つ後述する本体ブロック5への着脱操作に使用するフランジ部が上端に設けられ、そして、下部ブロック4の中心には、ノズル挿通穴4cが設けられる。下部ブロック4の大径部45の外周面には、本体ブロック5に結合するためのねじが設けられる。下部ブロック4の大径部45の上端側には、中間ブロック3の小径部34を螺着するためのブロック結合穴43が設けられる。更に、ブロック結合穴43に開口するノズル挿通穴4cの上端は、セプタム1を収容する空間部として拡径される。
【0022】
下部ブロック4の小径部46には、ノズル挿通穴4cに通じ且つ当該下部ブロックの下端側に開放されたガス導入室40が設けられる。また、斯かるガス導入室40の下方は、燃焼管8の上端が緩く勘合する大きさに拡径された短軸円筒状の空間部として形成され、更に、下部ブロック4の小径部46の下端面は、前記の短軸円筒状の空間部から漸次拡径された逆テーパー面に形成される。
【0023】
下部ブロック4の小径部46の高さの略中間部分の外周面には、後述する本体ブロック5との気密性を確保するため、円周方向に連続する溝が設けられ且つ当該溝にOリング61が装着される。更に、小径部46の下端面の上記の逆テーパー面の内側には、燃焼管8上端との気密性を確保するためのOリング62が配置される。また、小径部46の上記Oリング61よりも下方の部位には、キャリアーガスをガス導入室40へ導入するため、円周方向に連続するガス導入溝41が設けられ、当該ガス導入溝からガス導入室40に通じる複数のガス導入穴42が開口される。
【0024】
一方、分析装置においては、上記の下部ブロック4の装着構造部として、燃焼管8の配置箇所、具体的には電気炉91の上部のフレーム(架台)90に本体ブロック5が取り付けられる。斯かる本体ブロック5は、2段円筒状に形成され、その上段の円筒部が上記の下部ブロック4の大径部45を螺着するブロック結合穴54として構成される。本体ブロック5の下段の円筒部は、下部ブロック4の小径部46が勘合するブロック嵌合穴56として構成される。ブロック嵌合穴56の下側、すなわち、本体ブロック5の下端部の中心には、ブロック嵌合穴56よりも小径で且つ燃焼管8の上端部を挿通可能な燃焼管装着穴58が開口される。
【0025】
本体ブロック5の下段の円筒部には、下部ブロック4を結合した際に小径部46のガス導入溝41に通じるガス供給ポート51が当該円筒部の半径方向に沿って設けられる。斯かるガス供給ポート51は、キャリアーガスの流路を接続するための接続口である。すなわち、図2に示す注入口1Aにおいては、ガス供給ポート51から供給されるキャリアーガスが下部ブロック4のガス導入溝41、ガス導入穴42を通じてガス導入室40に導入され、燃焼管8に供給されるように構成される。
【0026】
本発明の注入口1Aにおいては、複数個のセプタム1を配置することにより、燃焼管8からの気体の漏出を確実に防止するようになされている。すなわち、上部ブロック2と中間ブロック3との間、ならびに、中間ブロック3と下部ブロック4との間には、各々、セプタム1が介装される。
【0027】
具体的には、中間ブロック3の上端側のブロック結合穴32に開口するノズル挿通穴3c上端の拡径された空間部に第1のセプタム1(図2の上方のセプタム)が収容される。そして、中間ブロック3に上部ブロック2を螺着した場合、上部ブロック2の小径部23の下端側の逆浅皿状の空間部にセプタム1の上端部が嵌り込み、セプタム1が僅かに加圧されることにより、上部ブロック2と中間ブロック3との気密性が確保され、かつ、ノズル挿通穴2cとノズル挿通穴3cとがセプタム1によって隔離されるようになされている。
【0028】
同様に、下部ブロック4の大径部45のブロック結合穴43に開口するノズル挿通穴4cの上端の拡径された空間部に第2のセプタム1(図2の下方のセプタム)が収容される。そして、下部ブロック4に中間ブロック3を螺着した場合、中間ブロック3の小径部34の下端側の逆浅皿状の空間部にセプタム1の上端部が嵌り込み、セプタム1が僅かに加圧されることにより、中間ブロック3と下部ブロック4との気密性が確保され、かつ、ノズル挿通穴3cとノズル挿通穴4cとがセプタム1によって隔離されるようになされている。
【0029】
本発明の注入口1Aを分析装置に装着するには、例えば、先ず、下部ブロック4のブロック結合穴43の底部にセプタム1(第2のセプタム)を配置し、下部ブロック4のブロック結合穴43に中間ブロック3の小径部34を締め込むことにより、下部ブロック4に中間ブロック3を結合する。次いで、中間ブロック3のブロック結合穴32の底部にセプタム1(第1のセプタム)を配置し、中間ブロック3のブロック結合穴32に上部ブロック2の小径部23を締め込むことにより、中間ブロック3に上部ブロック2を結合する。
【0030】
続いて、下部ブロック4の小径部46の外周面にOリング61を装着する。他方、分析装置に配置された燃焼管8の上端部にも予めOリング62を装着しておく。そして、本体ブロック5のブロック嵌合穴56に下部ブロック4の小径部46を挿入し且つ本体ブロック5のブロック結合穴54に下部ブロック4の大径部45を締め込むことにより、本体ブロック5に下部ブロック4を結合する。なお、組立順序に関しては、最初に上部ブロック2と中間ブロック3を結合した後、中間ブロック3を下部ブロック4に結合してもよい。
【0031】
上記のように組み立てられた注入口1Aにおいては、上部ブロック2、中間ブロック3及び下部ブロック4の各ノズル挿通穴2c、3c及び4cが同軸状に繋がり、かつ、これらノズル挿通穴が第1及び第2のセプタム1で封止されている。そして、本体ブロック5のガス供給ポート51が下部ブロック4のガス導入溝41及びガス導入穴42を介してガス導入室40に繋がり、ガス導入室40に燃焼管8が開口し、かつ、ガス導入室40及び燃焼管8の内部はOリング61及び62により気密が保持されている。
【0032】
全有機炭素分析においては、最初に、試料中の全炭素(TC)の濃度を測定するため、キャリアーガスとして高純度空気をガス供給ポート51からガス導入室40を通じて燃焼管8に供給しながら、液体試料(懸濁物を含む水)をインジェクターで注入する。試料注入用のインジェクターは、図3に示すように、試料カラムから試料を採取するシリンジ(図示省略)、当該シリンジから押し出される試料を分析装置へ注入する移動可能なノズル部7を備えており、当該ノズル部の下端に注入ノズル70が設けられている。
【0033】
インジェクターによって液体試料を注入する場合、図3に示すように、注入口1Aの上部に位置させたインジェクターのノズル部7を下降させ、上部ブロック2のノズル挿通穴2cから注入ノズル70を挿入し、中間ブロック3のノズル挿通穴3c、下部ブロック4のノズル挿通穴4cを通じて燃焼管8まで注入ノズル70を挿通する。その際、各セプタム1においては、注入ノズル70によって切り込み15が押し開かれるため、セプタム自体が破損することなく、円滑に注入ノズル70を通過させることができる。
【0034】
燃焼管8の上部に注入ノズル70を挿入し、インジェクターのシリンジを作動させて液体試料を注入した後は、ノズル部7を上昇させ、注入口1Aから注入ノズル70を取り外す。その際、各セプタム1においては、素材の復元力および窪み11の底部の湾曲構造により切り込み15が封止するため、燃焼管8から気体が外部に漏れ出すことがない。
【0035】
しかも、本発明の注入口1Aにおいては、上部ブロック2、中間ブロック3及び下部ブロック4の3つのブロックを同軸状に結合し、各ブロックの間にそれぞれセプタム1を配置しているため、注入ノズル70を挿入する操作および注入ノズル70を取り外す操作において気密性を一層高めることができる。
【0036】
すなわち、本発明のセプタム1及び注入口1Aによれば、全有機炭素分析装置の試料導入部である燃焼管8にインジェクターの注入ノズル70を挿入した際、セプタム1自体の破損がなく、円滑に注入ノズル70を挿通でき、また、注入ノズル70を取り外した際、燃焼管8を気密に封止できるため、セプタム1に起因する異常シグナルの発生もなく、一層高精度な分析が可能になる。また、本発明によれば、仮に分析装置内で故障が発生して燃焼管8内部の圧力が異常に上昇した場合、セプタム1を逃し弁として機能させることもできる。なお、本発明は、全有機炭素分析装置に限らず、液体試料を注入して分析する各種の分析装置の試料注入口に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 :セプタム
10:本体部
11:窪み
15:切り込み
1A:試料注入口
2 :上部ブロック
2c:ノズル挿通穴
3 :中間ブロック
3c:ノズル挿通穴
4 :下部ブロック
40:ガス導入室
4c:ノズル挿通穴
5 :本体ブロック
51:ガス供給ポート
58:燃焼管装着穴
61:Oリング
62:Oリング
7 :インジェクターのノズル部
70:試料注入ノズル
8 :燃焼管(分析装置の試料導入部)
91:電気炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置の試料導入部の試料注入口に取り付けられ且つ液体試料注入の際に注射針状の試料注入ノズルを貫通させるセプタムであって、ゴム弾性を有する素材で外形を円盤状に形成され且つその表側の盤面に逆円錐台状または円筒状の窪みが設けられ、当該窪みの底部は、半円周面状に湾曲した形状を備え、前記底部の中央には、湾曲方向と直交する方向に伸長され且つ裏面へ貫通する切り込みが設けられていることを特徴とするセプタム。
【請求項2】
分析装置の試料導入部に液体試料を注入するための試料注入口であって、注射針状の試料注入ノズルを挿通するノズル挿通穴が中心に設けられた3個以上のブロックを同軸状に結合して構成され、各ブロックの間には、各々、請求項1に記載のセプタムが介装されていることを特徴とする試料注入口。
【請求項3】
全有機炭素分析装置の燃焼管に液体試料を注入するための試料注入口であって、注射針状の試料注入ノズルを挿通するノズル挿通穴が中心に設けられた上部ブロック、中間ブロック及び下部ブロックを同軸状に結合して構成され、かつ、前記下部ブロックの下端側が前記燃焼管の上端に装着可能に構成され、上部ブロックと中間ブロックとの間、ならびに、中間ブロックと下部ブロックとの間には、各々、請求項1に記載のセプタムが介装されていることを特徴とする試料注入口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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