説明

セラミック製ローラー

【課題】圧延時にローラーに生じる熱膨張性による割損の防止を図り、スリップの発生を抑制する。
【解決手段】円筒状のセラミック製のローラー本体1内に鋼製の芯金2を嵌め込み、芯金の一端外周にフランジ部23を張り出し、ローラー本体の内周部12と芯金2の外周部25との間の隙間によって生じるスリップを防止するためのスリップ防止機構4をフランジ部23に設け、隙間は熱膨張による破損防止用の隙間であり、スリップ防止機構4は押圧ねじ41とばね42を有し、このばねはローラー本体1側にばね力を付与して、ローラー本体からの回転トルクを上記芯金に伝達可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧延材を誘導又は搬送するためのセラミック製ローラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特開2008−221221号公報に開示されているように、金属製のロール基体の表層部にセラミックス製スリーブを嵌合して組み立て、上記ロール基体とスリーブとの熱膨張差に起因するロールの破損を簡易に防止できるセラミックス製ロールが提案されている。
このセラミックス製ロールでは、上記ロール基体のロール胴部の外周部に軸心方向に沿って等間隔を置いて三箇所に環状の凹溝を形成し、各凹溝内に弾性力を有しかつトルクを伝達する金属製リングを装着してあり、この金属製リングが上記ロール胴部の外周とこれに嵌着されるセラミック製ロールの内周との間に介在されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−221221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例の課題は下記のとおりである。
第1の課題は、トルク伝達を行うための金属製リングを設けるための環状の凹溝を金属製ロールに設ける必要があるから、金属製リング及び凹溝を設けない場合と比して製造コストが高くなること。
第2の課題は、金属製リングを設けるために、セラミックス製スリーブと金属製のロール基体との隙間を、両者の熱膨張差の寸法以上に大きく設計する必要があること。
第3の課題は、金属製リングとセラミックス製スリーブとの接触面、金属製リングと金属製のロール基体との接触面が、それぞれ線接触となるためにスリップが発生しやすいこと。
第4の課題は、上記第2の課題で提示した熱膨張差寸法以上の隙間を設ける必要があるため、この従来例では、セラミックス製ロールの3箇所に配置してある金属製リングが内側から3点支持することとなり、隙間が大きくなる冷間圧延時には、セラミックス製ロールに加わる圧延材の応力が、両側金属製リングのうち、片側の金属製リングと、これに隣接している金属製リングとの間で2点支持となる場合があり、セラミックス製ロールが圧延材に押圧されて、上記隙間分たわむことにより、このセラミックス製ロールが割損するおそれがあること。
この発明の目的は、圧延時にローラーに生じる熱膨張性による割損の防止を図り、スリップの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るセラミック製ローラーは、外輪部を構成しているセラミック製のローラー本体と、内輪部を構成している鋼製の芯金と、上記ローラー本体と上記芯金との間のスリップを防止するためのスリップ防止機構とを備えている。上記芯金は、上記ローラー本体内に嵌め込まれかつ保持されていると共に、ローラー本体の内周面との間に熱膨張による破損防止用の隙間が開けられている。上記スリップ防止機構は、上記ローラー本体及び上記芯金のいずれか一方から他方にばね力を付与するばねを有すると共に、上記ローラー本体からの回転トルクを上記芯金に伝達可能である。
圧延時にローラー本体の破損防止の観点から、破損防止用の隙間はローラー本体が芯金の外周側から熱膨張性により割損応力を受けない幅とするのが良い。
上記スリップ防止機構は上記芯金側に、又は上記ローラー本体と上記芯金との間に跨って設けられる。
上記ローラー本体は内周部の一側開口端に保持溝を形成している円筒体である場合には、上記芯金は、その一側端部外周に上記保持溝に嵌合可能である制御突起部を設け、かつ上記スリップ防止機構は上記制御突起部側に設けられ、上記スリップ防止機構のばねのばね力を上記制御突起部側から上記保持溝の溝内周側面に付与するようにする。上記ローラー本体の内周部とこの内周部と対向している上記芯金の外周部との間の破損防止用の隙間は、上記制御突起部の外周部とこの外周部に対向している上記保持溝の溝内周面との間の破損防止用の隙間より幅を狭くするのが良い。
また、上記ローラー本体は内周部の両側開口端に保持溝をそれぞれ形成している円筒体である場合には、上記芯金は、その一側端部外周に一方の上記保持溝に嵌合可能である制御突起部を設け、他側端部外周に他方の上記保持溝に嵌合可能である環状の保持部材を嵌め込み、上記スリップ防止機構は上記制御突起部側に設けられ、上記スリップ防止機構のばねのばね力を上記制御突起部側から一方の上記保持溝の溝内周側面に付与する。上記ローラー本体の内周部とこの内周部と対向している上記芯金の外周部との間の破損防止用の隙間は、上記制御突起部及び保持部材の各外周部と各外周部にそれぞれ対向している上記各保持溝の溝内周面との間の破損防止用の隙間より幅を狭くするのが良い。
【0006】
本発明に係るセラミック製ローラーは、外輪部を構成しているセラミック製のローラー本体と、内輪部を構成している鋼製のセラミック製の芯金と、この芯金と上記ローラー本体との連結を保持するための環状の保持部材と、上記ローラー本体と芯金との間に生じるスリップを防止するためのスリップ防止機構とを備えている。上記ローラー本体は、内周部の両側開口端に保持溝をそれぞれ形成している円筒体であり、上記芯金はその一側端部外周に一方の上記保持溝に嵌合可能である制御突起部を設け、上記環状の保持部材は、上記芯金の他側端部外周に嵌め込んであり、他方の上記保持溝に嵌合可能であり、上記スリップ防止機構は上記制御突起部側に設けられ、上記スリップ防止機構のばねのばね力が上記制御突起部側から一方の上記保持溝の溝内周側面に付与されており、上記ローラー本体の内周部とこの内周部と対向している上記芯金の外周部との間の破損防止用の隙間は、上記制御突起部及び上記保持部材の各外周部と各外周部にそれぞれ対向している上記各保持溝の溝内周面との間の破損防止用の隙間より幅が狭い。
上記スリップ防止機構は、押圧ねじを有しており、この押圧ねじが制御突起部にねじ込んであって、先端側でばねを一方の溝内周側面側に向けて押圧可能とする構成が良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明のセラミック製ローラーによれば、セラミック製のローラー本体内に金属製の芯金を組み込み保持し、上記ローラー本体の内周と芯金の外周との間に割損を防止するための隙間を設け、上記芯金にスリップ防止機構を設けているので、上記ローラー本体の割損を防止することができ、上記ローラー本体と芯金との間のスリップを確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明に係るセラミック製ローラーを示す正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】この発明に係るセラミック製ローラーにおけるローラー本体を示す一部切欠正面図である。
【図4】この発明に係るセラミック製ローラーにおける芯金と、この芯金から外した保持リングを示す一部切欠正面図である。
【図5】この発明に係るセラミック製ローラーにおけるローラー本体、芯金及び保持リングの相互の連結部分を分解して示す拡大断面図である。
【図6】この発明に係るセラミック製ローラーにおけるローラー本体、芯金及び保持リングの相互の連結状態を示す拡大断面図である。
【図7】この発明に係るセラミック製ローラーの取り付け状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るセラミック製ローラーRの実施形態について説明する。
図1及び図2に示すセラミック製ローラーRは、セラミック製のローラー本体1と、金属製の芯金2と、この芯金とローラー本体1との連結を保持するための環状の保持部材である保持リング3と、ローラー本体1と芯金2との間に生じるスリップを防止するためのスリップ防止機構4とを備えている。
【0010】
セラミック製のローラー本体1は、図1〜図3に示すようにセラミック製ローラーRの外輪部を構成しており、ローラー本体の外周部11を圧延材Mが通過する。ローラー本体1は図2、図3及び図5に示すように円筒体であり、内部が内周部12に囲まれた中空部となっている。ローラー本体1の内周の両端開口側に保持溝13,14を全周に亘って設けてある。ローラー本体1の断面は略T字型になっている(図3)。
図3に示すローラー本体1における上記略T字型の断面形状の外形は、外周部11の外面、内周部12の外面、両外側端面15、保持溝13,14の溝内周面16及び溝内周側面17よりなる。
【0011】
金属製の芯金2は、図1及び図2に示すようにセラミック製ローラーRの内輪部を構成している。芯金2は、同心的に配置されかつ一体的に設けられている芯金軸部21と芯外周部22とからなる鋼製である。芯金2は、芯金軸部21の孔21aを貫通する駆動軸(図示されない。)により、圧延材Mの進行方向と一致するよう回転される。
芯金軸部21は芯金2の軸心部に位置している。芯金軸部21の中心部を貫通している孔21aの上部には、キー溝21bをこの孔と連続して設けてある。
芯外周部22は、図4に示すように、その右側端縁部の外周に制御突起部であるフランジ部23を張り出し、左側端縁部の外周に雄ねじ部24を設けてある。
【0012】
保持リング3は、図2及び図4に示すように環状に形成されており、その内周面に雌ねじ部31を形成している。
保持リング3は芯金2の一端部(図2左端部)に嵌め込まれており、雌ねじ部31が芯金の雄ねじ部24にねじ結合されている。
芯金2は、その外周部がフランジ部23と保持リング3とによって溝状の外周部25を形成している(図5)。
【0013】
ローラー本体1、芯金2及び保持リング3の関係について説明する。
まず、ローラー本体1及び保持リング3に対する芯金2の保持関係について図2〜図4を参照して説明する。
芯金2はローラー本体1の内周部12に囲まれた中空部内に嵌め込まれ、このローラー本体と同心である。芯金2の一端側のフランジ部23はローラー本体1の一方(図2右方)の保持溝13に嵌合されている。フランジ部23及び保持溝13によって、芯金2は、ローラー本体1から図2右方への離脱が規制されている。
また、芯金2の他端側の雄ねじ部24には保持リング3の雌ねじ部31が結合されている。保持リング3はローラー本体1の他方(図2左方)の保持溝14内に配置されている。保持リング3及び保持溝14によって、芯金2は、ローラー本体1から図2左方への離脱が規制されている。
このように、ローラー本体1内に嵌め込まれた芯金2は、一方の保持溝13内のフランジ部23と、他方の保持溝14内に位置しかつ雄ねじ部24及び雌ねじ部31によって固定されている保持リング3とによって挟まれた状態でローラー本体と一体的に連結され、保持されている。
次に、ローラー本体1、芯金2及び保持リング3の結合関係について図5及び図6を参照して説明する。
ローラー本体1の内周部12は芯金2の溝状の外周部25に嵌め込まれており、この内周部と芯金の外周部との間に幅W1を有する熱膨張による破損防止用の隙間5を設けてある。
また、ローラー本体1における一方の保持溝13内にはフランジ部23が嵌め込まれているが、保持溝13の溝内周面16とフランジ部の外周部との間に幅W2を有する熱膨張による破損防止用の隙間6を設けてある。また、他方の保持溝14内には保持リング3が嵌め込まれているが、保持溝14の溝内周面16と保持リングの外周部との間に幅W3を有する熱膨張による破損防止用の隙間7を設けてある。隙間7の幅W3と上記隙間6の幅W2とは同一である。
ところで、図6に示す隙間5については、圧延材Mがローラー本体1の外周部11上を通過する際、圧延材の熱はローラー本体と芯金2に伝達されるが、この芯金はローラー本体と比較して熱膨張率が大きいため、内周部12を芯金2の溝状の外周部25が押圧してローラー本体に割損が生じない程度の隙間である。換言すれば、ローラー本体1が圧延材Mから受ける荷重Lは、隙間5の部分で受けるものとし、ローラー本体と芯金2の熱膨張差により、隙間5の幅W1は芯金の外周部25によりローラー本体の内周部12が押圧されて割損しない寸法としてある。
隙間6,7に関して、ローラー本体1と芯金2の熱膨張差が生じても、図6に示す芯金2のフランジ部23及び保持リング3の外周部と、ローラー本体1の溝内周面16との隙間6,7の各幅W2,W3は、熱膨張差により接触することがないように、隙間5の幅W1と比較して大きい寸法としてある。
【0014】
スリップ防止機構4について説明する。
スリップ防止機構4は、図1、図5及び図6に示す例によれば、フランジ部23に等間隔を置いて4箇所に設けられ、いずれも押圧ねじ41、ばね42及びワッシャー43を備えている。押圧ねじ41、ばね42及びワッシャー43はフランジ部23の幅方向に貫通状態に開けられている孔23aに挿入されている。孔23a内には、ばね42を挟んで図5右側に押圧ねじ41を、その反対側にワッシャー43を配置してある。
押圧ねじ41は、フランジ部23の孔23aの雌ねじ部に一側面側(図6右側面側)から他側に向けてねじ込まれ、ばね42を他側に向けて押圧している。ばね42は皿ばねなどが用いられており、そのばね力は押圧ねじ41から付与されている。ワッシャー43は、図6に示すようにローラー本体1の保持溝13の溝内周側面17に接触している。
図6に示すように、押圧ねじ41の締め付けによって、ばね42のばね力がワッシャー43を通じて芯金2の溝状の外周部25内に位置しているローラー本体1の保持溝13,14の溝内周側面17に押圧力として与えられるから、フランジ部23及び保持リング3間のローラー本体1の内周部12の保持状態が安定し、かつ圧延材Mを介してローラー本体1に伝えられる回転トルクが芯金2に伝達される。
【0015】
スリップ防止機構4は、図6に示すように、ばね42が撓み作用と押圧作用により、ローラー本体1の保持溝13の溝内周側面17と、芯金2のフランジ部23及び保持リング3との間に生じる熱膨張差による側面方向(図6左右方向)の割損防止を行うと共に、ローラー本体と芯金との間に生じるスリップの防止を行っている。
スリップ防止機構4によるスリップ防止機能についてさらに説明する。
セラミック製ローラーRの使用を開始する時点、即ち、冷間圧延時にはローラー本体1の内周部12と芯金2の外周部25の隙間5の幅W1が大きくなるために、ローラー本体1と芯金との間でスリップが発生しやすい状態にある。
このような冷間圧延時には、芯金2のフランジ部23に設けてあるばね42の押圧力が、ローラー本体1の保持溝13,14の溝内周側面17から内周部12に付与されるから、ローラー本体と芯金2との連結が補強され、ばねの押圧力によってローラー本体と芯金との間のスリップが抑制される。
また、熱間圧延時にはローラー本体1と芯金2との隙間5の幅W1が略ゼロになることにより、ローラー本体と芯金との間のスリップが防止される。
【0016】
圧延時において、図7に示すように、セラミック製ローラーRは数度傾斜して取り付けられており、断面丸形状の圧延材Mは図右側のローラー本体1の外周部11上で搬送される。この時、ローラー本体1の外側端面15から保持溝13の溝内周側面17までの距離D2と、通過する圧延材Mの外周面から中心までの最小寸法(最小径)である径寸法D1との関係が「D1>D2」となるように設定されており、圧延材の荷重が保持溝13,14の存在によって薄肉となっているローラー本体の溝内周面16に及ばないようにし、専ら隙間5(図6)を形成しているローラー本体の内周部12でのみ上記荷重を受けるようにしてある。このため、セラミック製ローラーRにおいて、ローラー本体1の一方の保持溝13側の端部における割損を抑制することができる。
【0017】
本発明のセラミック製ローラーRの使用時において、荷重L(図6)をローラー本体1の外周部11で受けるが、隙間6,7がないものと仮定すると、荷重は両側の保持溝13,14の溝内周面16で受けることになり、これは2点支持梁の状態となるから、例えばローラー本体1の両側の溝内周面16と溝内周側面17の交わる位置から内方に向けて斜め上方に亀裂が発生し易くなり、割損の原因となる可能性が大であるものと推察される。このような亀裂による割損を避けるために、荷重Lはローラー本体1の内周部12で受けるように狭い隙間5を設けている。
図6に示す狭い隙間5は、ローラー本体1と芯金2の熱膨張差によりローラー本体が割損しない程度であり、かつ、スリップが発生しない程度の幅W1である。そして、隙間6,7の幅W2,W3は狭い隙間5の幅W1より大である。
【0018】
本発明のセラミック製ローラーRでは、耐摩耗性を向上させるために、外輪部を耐摩耗性の高いセラミック製のローラー本体1で構成し、また内輪部を製造コストが安い鋼製の芯金2とすることにより、耐久性を確保すると共に、製造コストダウンを図ることができる。
本発明のセラミック製ローラーRでは、熱間圧延時にセラミック製のローラー本体1と鋼製の芯金2との熱膨張性により、割損する課題が隙間6,7を設けると共に、これらの隙間が隙間5より大きく設定していることで解決される。
本発明のセラミック製ローラーRでは、冷間時にセラミック製のローラー本体1と鋼製の芯金2との隙間5が大きくなってスリップが発生するおそれがある課題がスリップ防止機構4を設けることによって解決される。
【0019】
図示するセラミック製ローラーRにあっては、外輪部を構成するセラミック製のローラー本体1内に内輪部を構成している鋼製の芯金2を組み込んで、フランジ部23と保持リング3とによって保持し、上記ローラー本体と芯金2との間に隙間5,6,7を設けることによって、膨張差によるローラー本体の割損を防止することができる。そして、セラミック製ローラーRでは、芯金2側にスリップ防止機構4を設けて、このスリップ防止機構を介してローラー本体1の回転トルクを芯金2へ伝達可能としているから、割損を防止するために設けている隙間5,6,7によるスリップを防止することができる。
図示するセラミック製ローラーRによれば、特に冷間圧延時には、スリップ防止機構4を設けているので、ローラー本体1と芯金2との間のスリップを防止することができ、熱間圧延時にはローラー本体1と上記芯金との隙間5を、熱膨張性によりローラー本体が芯金により内側から割損応力を受けない幅W1としてあり、かつ、上ローラー本体と芯金とはその熱膨張差により互いにスリップするのを抑制する隙間として存在しているから、割損防止とスリップ防止の効果が得られる。
図示するセラミック製ローラーRによれば、前記従来例のような金属製リング及び環状の凹溝を設ける必要がない分だけ、製造コストを低く抑えることができる。
【0020】
芯金2における制御突起部23は、図1及び図2に示すように芯の外周全周に連続して設けているが、複数の突片を間隔を置いて突出させたものであっても良い。スリップ防止機構4は図2に示すように芯金2側に設けても良いが、この芯金とローラー本体1とに跨って設けても良い。スリップ防止機構4の構成は図示のものに限定されない。
【符号の説明】
【0021】
1 ローラー本体
11 ローラー本体の外周部
12 ローラー本体の内周部
13,14 保持溝
15 外側端面
16 溝内周面
17 溝内周側面
2 芯金
21 芯金軸部
22 芯外周部
23 フランジ部(制御突起部)
24 雄ねじ部
25 外周部
3 保持リング(保持部材)
31 雌ねじ部
4 スリップ防止機構
41 押圧ねじ
42 ばね
43 ワッシャー
5,6,7 隙間
D1 圧延材の径寸法
D2 距離
M 圧延材
R セラミック製ローラー
W1,W2,W3 隙間の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪部を構成しているセラミック製のローラー本体と、内輪部を構成している鋼製の芯金と、上記ローラー本体と上記芯金との間のスリップを防止するためのスリップ防止機構とを備えており、
上記芯金は、上記ローラー本体内に嵌め込まれかつ保持されていると共に、ローラー本体の内周面との間に熱膨張による破損防止用の隙間が開けられており、
上記スリップ防止機構は、上記ローラー本体及び上記芯金のいずれか一方から他方にばね力を付与するばねを有すると共に、上記ローラー本体からの回転トルクを上記芯金に伝達可能である
ことを特徴とするセラミック製ローラー。
【請求項2】
スリップ防止機構は芯金側に設けてあり、ばねのばね力が上記芯金からローラー本体に向けて付与されていることを特徴とする請求項1記載のセラミック製ローラー。
【請求項3】
破損防止用の隙間は、ローラー本体が芯金の外周側から熱膨張性により割損応力を受けない幅であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のセラミック製ローラー。
【請求項4】
ローラー本体は内周部の一側開口端に保持溝を形成している円筒体であり、
芯金は、その一側端部外周に上記保持溝に嵌合可能である制御突起部を設けてあり、
スリップ防止機構は上記制御突起部側に設けられ、上記スリップ防止機構のばねのばね力が上記制御突起部側から上記保持溝の溝内周側面に付与されており、
上記ローラー本体の内周部とこの内周部と対向している上記芯金の外周部との間の破損防止用の隙間は、上記制御突起部の外周部とこの外周部に対向している上記保持溝の溝内周面との間の破損防止用の隙間より幅が狭いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のセラミック製ローラー。
【請求項5】
ローラー本体は内周部の両側開口端に保持溝をそれぞれ形成している円筒体であり、
芯金は、その一側端部外周に一方の上記保持溝に嵌合可能である制御突起部を設け、他側端部外周に他方の上記保持溝に嵌合可能である環状の保持部材を嵌め込んであり、
スリップ防止機構は上記制御突起部側に設けられ、上記スリップ防止機構のばねのばね力が上記制御突起部側から一方の上記保持溝の溝内周側面に付与されており、
上記ローラー本体の内周部とこの内周部と対向している上記芯金の外周部との間の破損防止用の隙間は、上記制御突起部及び保持部材の各外周部と各外周部にそれぞれ対向している上記各保持溝の溝内周面との間の破損防止用の隙間より幅が狭いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のセラミック製ローラー。
【請求項6】
ローラー本体の一側の外側端面から一方の保持溝の溝内周側面までの距離D2と、上記ローラー本体の外周部上を通過する圧延材の径寸法D1との関係がD1>D2となるように設定されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のセラミック製ローラー。
【請求項7】
外輪部を構成しているセラミック製のローラー本体と、内輪部を構成している鋼製のセラミック製の芯金と、この芯金と上記ローラー本体との連結を保持するための環状の保持部材と、上記ローラー本体と芯金との間に生じるスリップを防止するためのスリップ防止機構とを備えており、
上記ローラー本体は、内周部の両側開口端に保持溝をそれぞれ形成している円筒体であり、
上記芯金は、その一側端部外周に一方の上記保持溝に嵌合可能である制御突起部を設け、
上記環状の保持部材は、上記芯金の他側端部外周に嵌め込んであり、他方の上記保持溝に嵌合可能であり、
上記スリップ防止機構は上記制御突起部に設けられ、上記スリップ防止機構のばねのばね力が上記制御突起部側から一方の上記保持溝の溝内周側面に付与されており、
上記ローラー本体の内周部とこの内周部と対向している上記芯金の外周部との間の破損防止用の隙間は、上記制御突起部及び上記保持部材の各外周部と各外周部にそれぞれ対向している上記各保持溝の溝内周面との間の破損防止用の隙間より幅が狭いことを特徴とするセラミック製ローラー。
【請求項8】
上記スリップ防止機構は押圧ねじを有しており、この押圧ねじは制御突起部にねじ込んであって、先端側でばねを一方の溝内周側面側に向けて押圧可能であることを特徴とする請求項7記載のセラミック製ローラー。
【請求項9】
ローラー本体の一側の外側端面から一方の保持溝の溝内周側面までの距離D2と、上記ローラー本体の外周部上を通過する圧延材の径寸法D1との関係がD1>D2となるように設定されていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のセラミック製ローラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−214419(P2010−214419A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64289(P2009−64289)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000182476)寿産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】