説明

タイマ検知装置、異常検知装置、及び異常検知システム

【課題】タイマ動作する機器を正確に検知することができるタイマ検知装置を提供する。
【解決手段】タイマ検知装置を備える異常検知装置4は、居住者の異常を検知するために、電流測定部21により測定された電流値に基づいてタイマ動作する電気機器を検知する。記憶部22は、電気機器が動作しているときの屋内配線における電流値の特徴量を示す標準特徴量データ31を記憶している。動作状況特定部42は、電流測定部21により測定された電流値から特徴量抽出部41によって抽出された特徴量と、標準特徴量データ31が示す特徴量とを照合することによって、電気機器が動作した時刻を特定する。タイマ動作特定部43は、電気機器が各時刻に動作した頻度の分布に基づいて、電気機器がタイマ動作する時刻を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイマ動作する機器を検知するための装置、居住者の異常を検知するための装置、及び居住者の異常を検知するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
食洗機、炊飯器などのタイマ機能を備える電気機器は、一般に広く利用されている。例えば、引用文献1には、タイマがセットされる機会の多い台所電源系統以外の電源系統で一定電流値が長時間継続することにより居住者が倒れたことを判断する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−72443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイマ動作が日常的に設定される電気機器には、エアコンディショナのように台所以外で使用されるものもある。特許文献1に記載の技術では、台所以外で使用される電気機器のタイマ設定を検知することができず、その結果、居住者の異常を検知できない可能性がある。
【0005】
また、一般家庭において日常的に使用されるものは、電力に限られず、ガス、水道水、通信回線の帯域などもある。そして、ガスや水道水は、例えばタイマ動作する給湯器によって使用されることがある。また、通信回線の帯域は、例えばタイマ動作する通信機器によって使用されることがある。
【0006】
これらの機器によって使用される電力、ガス、水道水、通信回線の帯域などが、機器のタイマ動作によるものか否かを検知することは、居住者の異常を検知することなどへの応用が考えられ、きわめて有用である。
【0007】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、タイマ動作する機器を正確に検知することができるタイマ検知装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るタイマ検知装置は、
屋内配線における電流値を測定する測定手段と、
前記測定された時刻を計測する計時手段と、
電気機器が動作しているときの前記屋内配線における電流値の特徴量を示す標準特徴量データを記憶している標準特徴量記憶手段と、
前記測定された電流値から前記特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記抽出された特徴量と前記標準特徴量データが示す特徴量とを照合することによって、前記電気機器が動作した時刻を特定する動作状況特定手段と、
前記電気機器が各時刻に動作した頻度の分布に基づいて、前記電気機器がタイマ動作する時刻を特定するタイマ動作特定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るタイマ検知装置は、
住宅の内外をまたいで流通するガス、水道水又は情報の流通量を測定する測定手段と、
前記測定された時刻を計測する計時手段と、
前記測定された流通量の変化の度合いを表す変化度と閾値とを比較することによって、変化度が閾値より大きい時刻を特定する動作状況特定手段と、
変化度が閾値より大きい時刻の頻度の分布に基づいて、機器のタイマ機能によりガス、水道水又は情報が流通した時刻を特定するタイマ動作特定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屋内配線にて測定された電流値、ガス、水道水又は情報の流通量に基づいて機器が動作した時刻を特定し、さらに、機器が各時刻に動作した頻度の分布に基づいて電気機器がタイマ動作する時刻を特定する。これによって、タイマ動作する機器を正確に検知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る異常検知システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る異常検知装置の物理的な構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る異常検知装置の機能的な構成を示す図である。
【図4】電子レンジが動作している場合の電流波形の一例を示す図である。
【図5】掃除機が動作している場合の電流波形の一例を示す図である。
【図6】動作状況データの一例を示す図である。
【図7】タイマ設定データの一例を示す図である。
【図8】本発明に係るサーバ装置の機能的な構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態1に係る動作状況蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態1に係るタイマ動作特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】炊飯器の動作頻度のヒストグラムの一例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態1に係る異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】電気機器ごとの動作状況の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態2に係る異常検知システムの構成を示す図である。
【図15】本発明の実施形態2に係る異常検知装置の機能的な構成を示す図である。
【図16】在宅データの一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態2に係る出入判断処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態2に係る異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施形態3に係る異常検知装置の機能的な構成を示す図である。
【図20】本発明の実施形態3に係る外出関連動作特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】外出に関連して動作する電気機器の動作頻度のヒストグラムの一例を示す図である。
【図22】本発明の実施形態3に係る出入判断処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る異常検知システム1の構成を示す。異常検知システム1は、居住者2の安否を見守るためのシステムである。同図に示すように、異常検知システム1は、住宅3に設置される異常検知装置4と、監視センタ5に設置されるサーバ装置6とを備える。
【0014】
異常検知装置4とサーバ装置6とは、通信回線7を介して接続されている。通信回線7は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでよい。なお、サーバ装置6には、異なる住宅3に設置された複数の異常検知装置4が、通信回線7を介して接続されてもよい。
【0015】
(異常検知装置4の物理的構成)
異常検知装置4には、屋内配線8の途中に設けられた、例えばクランプ式のCT(Current Transformer)センサである電流センサ9が接続されている。屋内配線8は、商用電源、住宅3に設置される電源(例えば、太陽電池、蓄電池)などから供給される電力を住宅3の各所へ分配する配線である。屋内配線8には、電気機器10が電気的に接続されている。電気機器10は例えば、掃除機、電子レンジ、炊飯器、洗濯機、IH(Induction Heating)調理器、エアコンディショナ、食洗機、テレビ、電灯などであり、タイマ機能を備えたものを含む。
【0016】
ここで、「タイマ機能」とは、予め設定された時刻に電気機器10が自動的に動作を行う機能である。タイマ機能を内蔵する電気機器10の典型例には、エアコンディショナ、食洗機、炊飯器がある。また、電気機器10のタイマ機能は、電気機器10に内蔵されるだけでなく、電気機器10の外部に設けられたタイマ装置によって実現されてもよい。
【0017】
図2は、異常検知装置4の物理的な構成を示す。同図に示すように、異常検知装置4は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、HDD14と、センサI/F15と、計時チップ16と、表示部17と、操作部18と、ネットワークI/F19とを備える。
【0018】
CPU(Central Processing Unit)11は、ソフトウェア・プログラムを実行することによって、異常検知装置4の全体を制御する。ROM(Read Only Memory)12は、CPU11が実行するソフトウェア・プログラム、そのソフトウェア・プログラムを実行するために予め設定されるデータなどを記憶している。RAM(Random Access Memory)13は、CPU11が動作するためのデータを一時的に記憶する。HDD(Hard Disc Drive)14は、CPU11がソフトウェア・プログラムを実行するためのデータ、それを実行することによって生成したデータなどの各種データを取得して記憶し、要求に応じて読み出して出力する。
【0019】
センサI/F(Interface)15は、電流センサ9との間で通信(典型的には、シリアル通信)をするためのインタフェースである。計時チップ16は、水晶振動子などを備えて時刻を測定するチップである。表示部17は例えば、エラーコードなどを表示する液晶ディスプレイである。操作部18は、居住者2などの操作に応じた信号を出力するボタンなどである。ネットワークI/F19は、サーバ装置6との間で通信回線7を介して通信するためのインタフェースである。
【0020】
なお、ROM12に代わってHDD14が、ソフトウェア・プログラム、設定データなどを記憶していてもよい。この場合、CPU11は、HDD14に記憶されているソフトウェア・プログラムを実行することになる。また、HDD14に代えて、又はHDD14とともにフラッシュメモリが備えられてもよい。
【0021】
(異常検知装置4の機能的構成)
これまで説明したような物理的構成を備える異常検知装置4は、機能的には、屋内配線8を流れる電流の特徴量に基づいて、住宅3における居住者2の異常を検知する装置である。
【0022】
ここで、「居住者2の異常」とは、例えば病気、怪我などのために、居住者2が住宅3でなされる活動、例えば電気機器10の操作をすることができない状態にあることをいう。
【0023】
異常検知装置4は機能的には、図3に示すように、計時部20と、電流測定部21と、記憶部22と、制御部23と、送信部24とを備える。
【0024】
計時部20は、計時チップ16が有する機能であって、現在時刻(日付を含む。)を計測し、現在時刻データを出力する。
【0025】
電流測定部21は、電流センサ9が有する機能であって、屋内配線8における電流値を測定し、測定した結果(測定時ごとの電流値)を示す測定データを出力する。
【0026】
記憶部22は、HDD14が有する機能であって、標準特徴量データ31と、動作状況データ32と、タイマ設定データ33とを記憶し読み出す。すなわち、記憶部22は、標準特徴量記憶手段、動作状況記憶手段、及びタイマ設定記憶手段それぞれの一例である。
【0027】
標準特徴量データ31は、予め設定されるデータであって、電気機器10が動作しているときの屋内配線8における電流値(電流波形)の標準的な特徴量を示すものである。電流波形の特徴量は例えば、電流波形から抽出された高周波成分(例えば、1〜20kHz)における位相、振幅などを含む。
【0028】
ここで、図4は、電子レンジが動作している場合の電流波形の一例を示す。また、図5は、掃除機が動作している場合の電流波形の一例を示す。両図の電流波形から分かるように、動作しているときの電流波形は電気機器10の種類などによって異なる。
【0029】
動作状況データ32は、各時刻の各電気機器10の動作状況を示す。図6は、動作状況データ32の一例を示す。同図に示す動作状況データ32は、5分間隔で表される各時刻に各電気機器10が動作しているか否かを示す。
【0030】
タイマ設定データ33は、タイマ機能による動作(タイマ動作)が設定されている電気機器10とそのタイマ動作が設定されている時刻とを関連付けたデータである。図7は、タイマ設定データ33の一例を示す。同図に示すタイマ設定データ33は、炊飯器に(午前)6:00のタイマが設定されていることを示す。
【0031】
図3に戻り、制御部23は、特徴量抽出部41と、動作状況特定部42と、タイマ動作特定部43と、異常判断部44とを含み、ROM12に記憶されたソフトウェア・プログラムを実行するCPU11、センサI/F15、及び計時チップ16によって実現される。
【0032】
特徴量抽出部41は、電流測定部21から測定データを取得し、所定の期間に取得した測定データによって示される電流値(電流波形)の特徴量を抽出する。
【0033】
動作状況特定部42は、特徴量抽出部41によって抽出された電流値の特徴量と、標準特徴量データ31によって示される電気機器10の電流値の特徴量とを照合することによって、電気機器10が動作した時刻を特定する。動作状況特定部42は、電気機器10の動作状況と現在時刻(本実施形態では、現在時刻に最も近い5分間隔での時刻)とを関連付けた動作状況データ32を記憶部22へ出力する。
【0034】
タイマ動作特定部43は、予め定められたタイマ設定特定期間の動作状況データ32を参照することによって、電気機器10が各時刻に動作した頻度の分布を電気機器10ごとに算出する。タイマ動作特定部43は、算出した頻度の分布に基づいて、電気機器10ごとにタイマ動作する時刻を特定する。そして、タイマ動作特定部43は、特定した電気機器10と時刻とを関連付けたタイマ設定データ33を記憶部22へ出力する。
【0035】
異常判断部44は、記憶部22に記憶された動作状況データ32及びタイマ設定データ33を参照することによって、居住者2に異常が発生したか否かを判断する。異常判断部44は、判断の結果を示す異常判断結果データを送信部24へ出力する。
【0036】
詳細には、異常判断部44は、予め定められた安否判断期間に電流測定部21によって測定された電流値が、タイマ設定データ33によって示される電気機器10及び時刻でのタイマ動作に伴う電流値以外の電流値を含まない場合、居住者2が電気機器10を操作していないと推定できるため、居住者2に異常が発生したと判断する。
【0037】
また、異常判断部44は、安否判断期間に電流測定部21によって測定された電流値が、タイマ設定データ33によって示される電気機器10及び時刻でのタイマ動作に伴う電流値以外の電流値を含む場合、居住者2がいずれかの電気機器10を操作したと推定できるため、居住者2に異常が発生していないと判断する。
【0038】
なお、異常判断部44は、例えば冷蔵庫のように常時動作する電気機器10がある場合には、安否判断期間に電流測定部21によって測定された電流値のうち、常時動作する電気機器10の動作に伴う電流値を除外して判断するとよい。
【0039】
送信部24は、ネットワークI/F19が有する機能であって、異常判断結果データを異常判断部44から取得し、取得した異常判断結果データを通信回線7を介してサーバ装置6へ送信する。
【0040】
(サーバ装置6の物理的構成)
サーバ装置6は、監視者51が居住者2の安否を見守るための装置であって、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、表示部、及びネットワークI/Fを備えるパーソナル・コンピュータにより実現される(図示せず)。
【0041】
(サーバ装置6の機能的構成)
サーバ装置6は機能的には、図8に示すように、受信部61と、表示部62とを備える。受信部61は、例えばネットワークI/Fが有する機能であり、通信回線7を介して異常判断結果データを異常検知装置4から受信する。表示部62は、受信部61によって受信された異常判断結果データの内容を表示する。
【0042】
これまで、異常検知システム1が備える構成について説明した。ここから、異常検知システム1が、住宅3における居住者2の安否を見守るために実行する処理について、図を参照して説明する。
【0043】
(動作状況蓄積処理)
図9は、異常検知装置4が実行する動作状況蓄積処理の流れを示すフローチャートである。動作状況蓄積処理は、各時刻の電気機器10の動作状況を示す動作状況データ32を記憶部22に記憶させるための処理であって、例えば、異常検知装置4が稼働している間、予め定められた動作状況特定間隔(例えば、5分間隔)で繰り返される。
【0044】
電流測定部21は、屋内配線8における電流値を測定する(ステップS101)。特徴量抽出部41は、電流測定部21によって所定の期間に測定された電流値を示す測定データを取得する。特徴量抽出部41は、取得した測定データによって示される電流波形の特徴量を抽出する(ステップS102)。
【0045】
動作状況特定部42は、特徴量抽出部41によって抽出された電流波形の特徴量(抽出特徴量)と、標準特徴量データ31によって示される電気機器10の電流波形の特徴量(標準特徴量)とを照合する。そして、動作状況特定部42は、照合の結果に基づいて電気機器10の動作状況を特定する(ステップS103)。
【0046】
詳細には例えば、抽出特徴量と参照特徴量とが等しい場合、又は違いが閾値以下である場合、動作状況特定部42は、電気機器10が動作中であると判断し、現在時刻を取得する。また、抽出特徴量と参照特徴量との違いが閾値より大きい場合、動作状況特定部42は、電気機器10は動作中でないと判断し、現在時刻を取得する。これによって、動作状況特定部42は、各時刻に各電気機器10が動作したか否か、すなわち、各電気機器10が動作した時刻及び各電気機器10が動作していない時刻を特定することができる。
【0047】
動作状況特定部42は、現在時刻に各電気機器10が動作したか否かを示す動作状況データ32を生成し、記憶部22へ出力する。記憶部22は、動作状況データ32を取得して記憶する。これによって、各時刻の電気機器10の動作状況を示す動作状況データ32が記憶部22に蓄積される。
【0048】
(タイマ動作特定処理)
図10は、異常検知装置4が実行するタイマ動作特定処理の流れを示すフローチャートである。タイマ動作特定処理は、タイマ動作する電気機器10を特定するための処理であって、例えば、異常検知装置4が稼動している間、予め定められたタイマ設定特定間隔で繰り返される。
【0049】
なお、タイマ設定特定間隔は、予め定められた時間間隔である。タイマ設定特定間隔は、居住者2の生活の傾向を取り入れることができる間隔が望ましく、例えば1週間である。
【0050】
タイマ動作特定部43は、現在時刻からタイマ設定特定期間以上の動作状況データ32が記憶部22に蓄積されているか否かを判断する(ステップS111)。
【0051】
なお、タイマ設定特定期間は、予め定められた期間である。タイマ設定特定期間は、居住者2が電気機器10を動作させる時刻の傾向をみることができる期間が望ましく、例えば1ヶ月である。
【0052】
1ヶ月分以上の動作状況データ32が蓄積されていない場合(ステップS111;No)、タイマ動作特定部43は、処理を終了させる。
【0053】
1ヶ月分以上の動作状況データ32が蓄積されている場合(ステップS111;Yes)、タイマ動作特定部43は、現在時刻からタイマ設定特定期間の日時が関連付けられている動作状況データ32を記憶部22から取得する(ステップS112)。
【0054】
タイマ動作特定部43は、取得した動作状況データ32に基づいて、各電気機器10が各時刻に動作した頻度を計数することによって、ヒストグラム(図11参照)を算出する(ステップS113)。なお、ヒストグラムのビン幅(区間)に採用される具体的な時間は、電気機器10に内蔵された時計、及び異常検知装置4の計時チップ16のずれなどを考慮して適宜定められてよく、例えば5分である。
【0055】
タイマ動作特定部43は、各電気機器10が各時刻に動作した頻度が時間に対して変化する度合いを表す変化度を算出する(ステップS114)。
【0056】
詳細には、変化度は例えば、各電気機器10のヒストグラム(図11参照)の各時刻における傾きである。すなわち、変化度は例えば、ヒストグラムにおいて隣接する時刻T,Tn+1(T<Tn+1)の動作頻度N,Nn+1の差分値(Nn+1−N)として算出される。なお、最後の時刻については、その動作頻度と先頭の時刻の動作頻度との差分値が変化度とされてよい。
【0057】
タイマ動作特定部43は、変化度と予め定められたタイマ閾値とを比較する(ステップS115)。変化度がタイマ閾値以下である場合(ステップS115;No)、タイマ動作特定部43は、処理を終了させる。
【0058】
変化度がタイマ閾値より大きい場合(ステップS115;Yes)、タイマ動作特定部43は、その変化度に対応する時刻及び電気機器10を関連付けたタイマ設定データ33を生成し記憶部22へ出力する。記憶部22は、そのタイマ設定データ33を記憶し(ステップS116)、処理を終了させる。
【0059】
ここで、図11は、炊飯器のヒストグラムの一例を示す。炊飯器は、朝、昼、夕方に使用されることが多いが、タイマ機能を利用しない場合、炊飯器を動作させる時刻は居住者2の事情によって多少ずれる。そのため、図11に示す18:00ころのヒストグラムに現れているように、ヒストグラムは、ある時刻を中心として裾が広がった正規分布に近いものとなる。これに対して、タイマ機能を利用する場合、設定された時刻に炊飯器が動作する。そのため、図11に示す6:00ころのヒストグラムに現れているように、ヒストグラムは、急峻なピーク状になる。
【0060】
これを変化度でみると、タイマ機能を利用しない場合に変化度は小さく、タイマ機能を利用する場合に変化度は大きくなる。したがって、上述のように、変化度をタイマ閾値と比較することによって、電気機器10の動作がタイマ機能によるものか否かを判断し、タイマ動作する電気機器10とその時刻を特定することができる。このように、タイマ動作する電気機器10を正確に検知することが可能になる。
【0061】
そして、上述のように例えば1週間間隔でタイマ動作特定処理を実行する。これによって、居住者2が電気機器10のタイマ設定を変更した場合であっても、それに応じて自動的にタイマ設定データ33が更新されることになる。したがって、居住者2などの手間をかけることなく、正確なタイマ設定データ33を保持し続けることが可能になる。
【0062】
(異常検知処理)
図12は、異常検知装置4が実行する異常検知処理の流れを示すフローチャートである。異常検知処理は、居住者2の異常を検知するための処理であって、例えば、異常検知装置4が稼働している間、予め定められた安否判断期間と同じ長さの時間間隔(例えば、24時間間隔)で繰り返される。
【0063】
異常判断部44は、現在時刻を取得すると、現在時刻から予め定められた安否判断期間(例えば、24時間)の日時が関連付けられている動作状況データ32を記憶部22から取得する(ステップS121)。異常判断部44は、取得した動作状況データ32を参照することによって、安否判断期間に動作した電気機器10があるか否かを判断する(ステップS122)。
【0064】
図13に、動作機器判断処理(ステップS122)における判断結果に基づく各電気機器10の動作状況の一例を示す。この判断の結果、安否判断期間において電気機器10がどの時刻に動作しているかが得られる。
【0065】
安否判断期間に動作した電気機器10があると判断した場合に(ステップS122;Yes)、異常判断部44は、タイマ設定データ33を記憶部22から取得する(ステップS123)。異常判断部44は、安否判断期間に動作した電気機器10のすべてが、タイマ設定データ33によって示される電気機器10及び時刻と一致するか否かを判断する(ステップS124)。なお、ここでの時刻が一致するか否かの判断には、一定の幅(例えば5分程度)をもって判断されてもよい。
【0066】
一致しないと判断された場合(ステップS124;No)、安否判断期間における電気機器10の動作はタイマ機能によるものではなく居住者2の操作によるものを含むと推定できる。そのため、この場合(ステップS124;No)、異常判断部44は、居住者2に異常が発生していないと判断して、処理を終了させる。
【0067】
一致すると判断された場合(ステップS124;Yes)、安否判断期間における電気機器10の動作はタイマ機能によるものと推定できる。そのため、この場合(ステップS124;Yes)、異常判断部44は、居住者に異常が発生したと判断する。そして、異常判断部44は、異常が発生したことを示す異常判断結果データを生成し(ステップS125)、送信部24へ出力する。
【0068】
送信部24は、異常判断結果データを異常判断部44から取得すると、その異常判断結果データをサーバ装置6へ送信し(ステップS126)、処理を終了させる。
【0069】
サーバ装置6では、図示しないが、受信部61が、異常判断結果データを異常検知装置4から受信する。そして、サーバ装置6の表示部62は、異常判断結果データが示す内容、すなわち、住宅3の居住者2に異常が発生したことを表示する。異常が発生したことを示す異常判断結果データが送信される場合には、表示部62は、住宅3の居住者2に異常が発生していないことを表示してもよい。このように、異常判断結果データが示す内容がサーバ装置6の表示部62に表示されることによって、監視者51は、居住者2に発生した異常が異常検知装置4によって検知された後、直ちにそのことを知ることができる。したがって、住宅3に訪問するなど適切な措置を早急に講じることが可能になる。
【0070】
これまで説明した本発明の実施形態1に係る異常検知システム1によれば、異常検知装置4は、タイマ機能で動作する電気機器10による電気の使用を除外した電力の使用履歴に基づいて居住者2に異常が発生したか否かを判断する。そのため、電力の使用が、居住者2の電気機器10の操作によるものであるのか否かを正確に判断することができる。したがって、居住者に異常が発生したか否かを正確に判断することが可能になる。
【0071】
また、本実施形態では、電気機器10ごとに、各時刻に動作しているか否かを判断し、タイマ設定がされているか否かを特定する。そのため、居住者2が電気機器10を操作したか否かについて電気機器10ごとに推定することができる。したがって、電力の使用履歴から、タイマ機能による電力の使用をきめ細かに特定して除外することができ、居住者2の異常を正確に検知することが可能になる。
【0072】
本実施形態は、上述の態様に限定されない。以下のような種々の態様を含んでよい。
【0073】
例えば、本実施形態では、標準特徴量データ31、動作状況データ32、及びタイマ設定データ33が、電気機器10の種類ごとに管理される例で説明したが、各データ31〜33は、電気機器10の種類と動作モードとの組み合わせごとに管理されてもよい。例えば、エアコンディショナの冷房と暖房、電子レンジの500Wと1000Wなどでは、同一の電気機器10であっても、動作モードが異なれば電流波形が異なることもある。このような電気機器10では、標準特徴量データ31、動作状況データ32、及びタイマ設定データ33において動作モードまで区別されてもよい。
【0074】
また例えば、本実施形態におけるタイマ閾値などの閾値、タイマ設定特定期間、安否判断期間などの予め定められた期間には、実験によって得られた適切な値が設定されてもよい。また、これらには、居住者2が操作部18を操作することによって居住者2の使用状況に応じた値が設定されてもよい。
【0075】
さらに例えば、異常判断部44は、居住者2に異常が発生していないと判断した場合に、それを示す異常判断結果データを生成し出力してもよい。この場合、異常判断結果データがサーバ装置6へ送信されて、異常判断結果データの内容がサーバ装置6の表示部62に表示されてもよい。
【0076】
(変形例1)
実施形態1では、ヒストグラムから変化度を算出したが、変化度の算出方法はこれに限られない。タイマ動作特定部は、タイマ機器検知手段が所定のカーネル関数(例えばガウス関数)を用いて時刻と動作頻度との関係に対応する密度分布を算出し、その密度分布が時間に対して変化する度合いを表す変化度を算出してもよい。
【0077】
通常のヒストグラムでは、得られたデータ(標本データ)を一定幅の区間ごとに数えるため、区間の境界によっては1つのピークが異なる区間に二分されてしまう場合がある。カーネル関数を用いた密度分布推定では、カーネル関数から決定された密度分布を各標本データに与えて各密度分布の総和を算出することによって推定が形成される。その結果、母集団のデータを外挿した滑らかな分布を得ることができ、その分布からピークを抽出することができる。したがって、ヒストグラムによる場合のように、1つのピークが異なる2つの区間に分割されてしまうことを抑えることができる。
【0078】
この場合の変化度には例えば、密度分布の各時刻における微分係数が採用されてよい。微分係数がタイマ閾値より大きい場合、その変化度に対応する時刻における電気機器の動作は、タイマ機能によるものと推定することができる。微分係数がタイマ閾値以下である場合、その変化度に対応する時刻における電気機器の動作は、タイマ機能ではなく、居住者2の操作によるものと推定することができる。
【0079】
したがって、密度分布の微分係数を変化度に採用することによって、電気機器10の動作がタイマ機能によるものであるか否かを正確に判断することが可能になり、居住者の異常を検知する精度を向上させることが可能になる。
【0080】
(変形例2)
タイマ動作特定部は、ヒストグラムの各区間の差分値をその差分値から最も近い極大値で規格化した値を算出し、規格化した値とタイマ閾値とを比較してもよい。この場合、タイマ動作特定部43は、規格化した値がタイマ閾値より大きい場合に、電気機器10の動作がタイマ機能によるものであると判断する。ピーク値で規格化しない場合、使用頻度が高い電気機器10では、タイマ機能を利用していなくても変化度が大きくなることがあり、誤ってタイマ機器と検知してしまう可能性がある。ピーク値で規格化することによって、実際にタイマが設定された電気機器10と時刻を正確に特定することが可能になり、居住者の異常を検知する精度を向上させることが可能になる。
【0081】
(変形例3)
動作状況特定部42は、電気機器10の動作した時刻のみを含む動作状況データ32を記憶部22へ出力してもよい。そして、タイマ動作特定部43は、その動作状況データ32を参照し、電気機器10が動作した時刻の分布からタイマ機能が設定された時刻を特定してもよい。動作状況データ32に時刻のみを含める、すなわち電気機器10を含めないことによって、記憶部22において使用するメモリ量を少なくすることができる。したがって、同じ容量の記憶部22であっても、より長期間の動作状況データ32を記憶させておくことが可能になる。
【0082】
(変形例4)
実施形態1では、タイマ動作特定部43は、電気機器10の各時間帯ごとの動作頻度を表すヒストグラムを作成し、隣接する時間帯の動作頻度の差を変化度として算出することによって、タイマ機能により動作する電気機器10を特定した。しかし、タイマ機能により動作する電気機器10を特定するために、変化度は算出されなくてもよい。
【0083】
例えば、電気機器10の各時間帯ごとの動作頻度がタイマ閾値より大きい場合に、電気機器10の動作はタイマ機能によると特定してもよい。これによれば、簡易な計算でタイマ機能による動作を特定できるので、異常検知装置4の構成を簡素化することが可能になる。
【0084】
(変形例5)
動作状況特定部は、電気機器10について特定した動作状況と現在時刻に加えて、日に関するグループ(例えば、曜日、平日と休日など)を関連付けた動作状況データを生成してもよい。これによって、例えばタイマ機能により動作する時刻が平日と休日とで異なる場合などに、居住者2の生活に合わせてタイマ動作する電気機器10を正確に特定することができる。したがって、居住者の異常を検知する精度を向上させることが可能になる。
【0085】
(変形例6)
さらに例えば、実施形態1に係るタイマ動作特定部43は、タイマ設定特定期間に対応する動作状況データ32に基づいて電気機器10ごとに動作の頻度の変化度を算出することによって、タイマ機能による動作を特定した。
【0086】
本変形例では、電気機器10ごとの動作を特定せずに、タイマ設定特定期間における電流値の履歴(すなわち、例えば住宅3で使用する総電流量の履歴)自体から変化度を算出することによって、タイマ機能による電力の使用であるか否かを判断する。
【0087】
本変形例に係る動作状況特定部は、電流測定部21によってタイマ設定特定期間(例えば実施形態1と同様に、1ヶ月)に測定された電流値を示す測定データを取得する。動作状況特定部は、取得した測定データによって示される電流値の履歴から各時刻の変化度を算出する。そして、動作状況特定部は、変化度が閾値より大きい日時を含む動作状況データを生成する。
【0088】
タイマ動作特定部は、動作状況特定部によって変化度が閾値より大きいと特定された時刻ごとの頻度を表すヒストグラムを算出する。タイマ動作特定部は、算出した頻度又はその頻度の変化度がタイマ閾値より大きい時刻について、その時刻における電力の使用はタイマ機能によるものであると特定する。
【0089】
異常判断部は、安否判断期間の測定データによって示される電流値の履歴からタイマ機能による電力の使用を除外する。このとき、異常判断部は、特定されたタイマ設定時刻(近傍)の電流値の履歴をすべて除外してもよい。また、異常判断部は、特定されたタイマ設定時刻(近傍)の電流値の履歴から、タイマ設定時刻における最大の使用量を差し引くことによって、タイマ機能による電力の使用を除外してもよい。
【0090】
そして、異常判断部は、タイマ機能による電力の使用を除外した電流値の履歴に電力を使用した履歴がない場合に、居住者に異常が発生したと判断する。また、その除外した電流値の履歴に電力を使用した履歴がある場合に、異常判断部は、居住者に異常が発生していないと判断する。
【0091】
なお、常時動作する電気機器10の動作に伴う電流値を除外するために、異常判断部は、タイマ機能による電力の使用を除外した電流値の履歴に、閾値以上の電流値が含まれない場合に、居住者に異常が発生したと判断してもよい。また、異常判断部は、タイマ機能による電力の使用を除外した電流値の履歴に、閾値以上の電流値が含まれる場合に、居住者に異常が発生していないと判断してもよい。
【0092】
本変形例によっても、実施形態1と同様に、タイマ機能による電力の使用を除外した電力の使用履歴に基づいて居住者の安否を見守ることができる。したがって、居住者の異常を正確に検知することが可能になる。この変形例は、水道水、ガス、情報通信などの使用履歴に基づいて居住者の安否を見守るために適用することができる。
【0093】
例えば、住宅3に設けられる水道管を流れる水の流量を流量測定部によって計測し、安否判断期間に居住者2が操作して水を使用しているか否かを判断することによって、居住者2の安否を判断してもよい。水の使用を制御する機器においても、電気給湯器、浴槽への貯水を制御する制御器などのようにタイマ機能を備えたものがある。
【0094】
本変形例を水の使用に適用することによって、タイマ機能による水の使用を除外した水の使用履歴に基づいて居住者2の安否を見守ることができる。したがって、居住者2の異常を正確に検知することが可能になる。
【0095】
また例えば、住宅3に設けられるガス管におけるガスの流量を流量測定部によって計測し、計測したガスの流量から安否判断期間に居住者2がガスを使用しているか否かを判断することによって、居住者2の異常の有無を判断してもよい。ガスの使用を制御する機器においても、ガス給湯器、ガスを利用した家庭用燃料電池システムなどのようにタイマ機能を備えたものがある。
【0096】
本変形例をガスの使用に適用することによって、タイマ機能によるガスの使用を除外したガスの使用履歴に基づいて居住者2の安否を見守ることができる。したがって、居住者2の異常を正確に検知することが可能になる。
【0097】
(変形例7)
実施形態1に係る生活異常検知装置が備える動作状況特定部42及びタイマ動作特定部43は、電気機器10の動作履歴から電気機器10ごとに動作時刻の分布を算出することによって、タイマ機能による動作を特定するタイマ検知装置に適用されてもよい。これによって、タイマ設定がなされた電気機器10及び時刻を特定することができる。例えば、特定した電気機器10への供給電力を制御することによって、電力消費が集中するピーク時間帯からずらして電気機器10を動作させるデマンド制御機能を実現することが可能になる。
【0098】
(変形例8)
実施形態1に係る生活異常検知装置が備える動作状況特定部42及びタイマ動作特定部43は、動作状況データ32を生成し、その動作状況データ32に基づいてタイマ機能により動作する電気機器10を特定する。このような機能は、通信機能を備える通信機器の通信時刻を含む動作状況データに基づいて、通信機器ごとに通信時刻の分布を計算し、タイマ機能による通信を特定するタイマ検知装置に適用されてもよい。タイマ機能による通信時刻を特定することで、例えば、サーバ装置にアクセスが集中するピーク時間帯を避けて通信を行なうように制御することができる。これによって、回線がビジー状態になるのを防ぐことが可能になる。
【0099】
(変形例9)
電流測定部21は、屋内配線8を流れる全電流値を測定するのではなく、各コンセントに対応付けて設けられて、各コンセントに流れる電流値を測定してもよい。これによって、電気機器10ごとの電流波形を直接的に計測することができる。したがって、電気機器10の動作状況を正確に特定することが可能になる。
【0100】
実施形態2.
本実施形態に係る異常検知システムは、屋内配線8における電流値と、居住者2が外出しているか否かとに基づいて、居住者2に異常が発生したか否かを判断する。
【0101】
(物理的構成)
本実施形態に係る異常検知システム201は、図14に示すように、実施形態1に係る異常検知システム1と同様に、異常検知装置204とサーバ装置6とを備える。異常検知装置204は物理的には、実施形態1に係る異常検知装置4の構成に加えて、出入センサ271を備える(図示せず)。サーバ装置6は物理的には、実施形態1に係るサーバ装置6と同様の構成を備える(図示せず)。
【0102】
出入センサ271は、例えば居住者2が玄関などを通過することを検知する赤外線センサなどであって、異常検知装置204に接続されている。なお、出入センサ271は、住宅3に設置されたドアの開閉を検知するセンサなどであってもよい。
【0103】
(機能的構成)
異常検知装置204は機能的には、図15に示すように、実施形態1に係る異常検知装置4の構成に加えて出入検知部273を備え、実施形態1に係る記憶部22及び制御部23に代えて、記憶部222及び制御部223を備える。
【0104】
出入検知部273は、出入センサ271が有する機能であって、居住者2が住宅3から外出し、又は住宅3に帰宅したことを検知する。出入検知部273は、外出又は帰宅(出入)を検知すると検知したことを示す出入データを出力する。
【0105】
本実施形態に係る記憶部222は、標準特徴量データ31、動作状況データ32、及びタイマ設定データ33に加えて、在宅データ275を記憶し読み出す。すなわち、記憶部222は、在宅記憶手段の一例でもある。
【0106】
在宅データ275は、居住者2が在宅(帰宅)している時刻を示す。図16は在宅データ275の一例を示す。同図に示す在宅データ275では、日時と、外出及び帰宅の別とが関連付けられている。この在宅データ275によれば、帰宅に関連付けられた日時から、その後の最も近い外出が関連付けられた日時まで、居住者2が在宅していることが示され、また、それ以外の期間では、居住者2が外出していることが示される。
【0107】
本実施形態に係る制御部223は、実施形態1に係る制御部23の構成に加えて、在宅判断部277を備え、実施形態1に係る異常判断部44に代えて、異常判断部244を備える。
【0108】
在宅判断部277は、出入検知部273から出入データを取得すると、予め定められた期間である外出閾値が経過するまでに電気機器10が動作したか否かに基づいて、居住者2が外出したのか又は帰宅したのかを判断する。在宅判断部277は、判断の結果である外出及び帰宅の別と、出入検知部273から出入データを取得した時刻(日付を含む。)とを関連付けた在宅データ275を生成し、生成した在宅データ275を記憶部222へ出力する。
【0109】
ここで、外出閾値には例えば、居住者2が玄関を通過して屋内に設置された電気機器10を操作するために通常要する時間よりも長い時間(例えば、5〜10分程度)が設定されるとよい。
【0110】
異常判断部244は、記憶部222に記憶された在宅データ275を参照することによって在宅期間を特定する。特定した在宅期間が安否判断期間より長い場合に、異常判断部244は、特定した在宅期間に含まれる安否判断期間の動作状況データ32及びタイマ設定データ33を参照することによって、居住者2に異常が発生したか否かを判断し、異常判断結果データを出力する。
【0111】
本実施形態に係るサーバ装置6は機能的にも、実施形態1に係るサーバ装置6と同様の構成を備える。
【0112】
ここから、本実施形態に係る異常検知システム201が実行する処理について説明する。異常検知システム201は、実施形態1に係る異常検知システム1と同様に、動作状況蓄積処理、タイマ動作特定処理、及び異常検知処理を実行し、さらに、出入判断処理を実行する。本実施形態に係る動作状況蓄積処理、及びタイマ動作特定処理は、実施形態1に係るそれぞれと同様である。以下、図を参照して、出入判断処理及び異常検知処理について説明する。
【0113】
(出入判断処理)
図17は、異常検知装置204が実行する出入判断処理の流れを示すフローチャートである。出入判断処理は、出入検知部273によって検知された居住者2の出入りが、住宅3からの外出と住宅3への帰宅とのいずれであるかを判断するための処理であって、例えば異常検知装置204が稼働している間、連続的に繰り返される。
【0114】
在宅判断部277は、出入検知部273から出入データが出力されたか否かを判断する(ステップS231)。出入データが出力されていないと判断した場合(ステップS231;No)、在宅判断部277は、処理を終了させる。
【0115】
出入データが出力されたと判断した場合(ステップS231;Yes)、在宅判断部277は、現在時刻を基準時刻として取得する(ステップS232)。在宅判断部277は、現在時刻を取得し、基準時刻から予め定められた外出閾値が経過した(現在時刻−基準時刻>外出閾値)か否かを判断する(ステップS233)。
【0116】
外出閾値が経過したと判断した場合(ステップS233;Yes)、在宅判断部277は、居住者2が外出したと判断する(ステップS234)。
【0117】
外出閾値が経過していないと判断した場合(ステップS233;No)、在宅判断部277は、動作状況データ32を参照し、基準時刻から現在までに電気機器10が動作したか否かを判断する(ステップS235)。すなわち、電気機器10が動作したか否かは、基準時刻から現在までに動作した電気機器10が動作状況特定部42によって特定されたか否かによって判断される。
【0118】
電気機器10が動作していないと判断した場合(ステップS235;No)、すなわち、基準時刻から現在までに動作した電気機器10が動作状況特定部42によって特定されていない場合、在宅判断部277は、外出閾値経過判断処理(ステップS233)に戻る。
【0119】
電気機器10が動作したと判断した場合(ステップS235;Yes)、すなわち、基準時刻から現在までに動作した電気機器10が動作状況特定部42によって特定された場合、在宅判断部277は、居住者2が帰宅したと判断する(ステップS236)。
【0120】
在宅判断部277は、外出判断処理(ステップS234)又は帰宅判断処理(ステップS236)の後に、その判別結果と基準時刻とを関連付けた在宅データ275を生成し、記憶部222へ出力し(ステップS237)、処理を終了させる。これによって、在宅データ275は、記憶部222に記憶される。
【0121】
(異常検知処理)
図18は、異常検知装置204が実行する異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
【0122】
異常判断部244は、記憶部222の在宅データ275を参照して、居住者2が在宅中か否かを判断する(ステップS241)。在宅中ではないと判断した場合(ステップS241;No)、異常判断部244は処理を終了させる。
【0123】
在宅中であると判断した場合(ステップS241;Yes)、異常判断部244は、居住者2の在宅期間を特定する(ステップS242)。異常判断部244は、特定した在宅期間と安否判断期間(例えば、12時間)とを比較する(ステップS243)。
【0124】
在宅期間が安否判断期間よりも短いと判断した場合(ステップS243;No)、異常判断部244は処理を終了させる。在宅期間が安否判断期間以上であると判断した場合(ステップS243;Yes)、異常判断部244は、実施形態1において説明した動作状況データ取得処理(ステップS121)から異常検知データ送信処理(ステップS126)までの処理を実行し、処理を終了させる。
【0125】
本実施形態によれば、異常判断部244は、居住者2が在宅中であるか否かを判断するので、居住者2が在宅中に使用した電力に基づいて居住者2の異常を判断することができる。そのため、実施形態1による場合よりも短い安否判断期間であっても、実施形態1と同程度の正確さで居住者2の異常を判断することが可能になる。
【0126】
また、出入判断処理では、電気機器10が動作したか否かによって、出入検知部273によって居住者2の外出と帰宅のいずれが検知されたかを判断する。帰宅した場合、居住者2は、電灯を点灯させるなど電気機器10を操作することが多い。これに対して、外出した場合、電気機器10は操作されない。したがって、本実施形態によれば、居住者2の外出と帰宅の別を簡易な構成で判断することができる。
【0127】
本実施形態は、上述の態様に限定されない。以下のような態様を含んでよい。
【0128】
例えば、複数の出入センサ271が出入検知部273として設けられてもよい。例えば、屋内のドア近く(玄関)と屋外のドア近くとに設けられるとよい。この場合、それぞれの出入センサ271がほぼ同時(例えば、数秒以内)に居住者2の通過を検知したときに、出入データが出力されるとよい。これによれば、出入センサ271が居住者2の通過を検知した順序から、居住者2が外出したのか又は帰宅したのかを判断することができる。
【0129】
具体的には、例えば、屋外の出入センサ271が玄関の出入センサ271より先に居住者2の通過を検知した場合には、在宅判断部277は、居住者2が帰宅したと判断するとよい。また、玄関の出入センサ271が屋外の出入センサ271よりも先に居住者2の通過を検知した場合には、在宅判断部277は、居住者2が外出したと判断するとよい。
【0130】
さらに例えば、複数の出入センサ271を出入検知部273として設ける場合、それらの出入センサ271は、玄関に設けられた人感センサと、ドアの開閉を検知する開閉センサで構成されてもよい。人感センサとドアの開閉センサの検知順序から、居住者2が帰宅したのか又は外出したのかを判断することができる。
【0131】
具体的には、例えば、開閉センサによる検知が人感センサによる検知よりも先である場合に、在宅判断部277は、居住者2が帰宅したと判断するとよい。人感センサによる検知がドアセンサによる検知よりも先である場合に、在宅判断部277は、居住者2が外出したと判断するとよい。
【0132】
このように、複数の出入センサ271を設けることによって、居住者2が帰宅したのか又は外出したのかを正確に判断することが可能になる。
【0133】
実施形態3.
本実施形態に係る異常検知装置は、実施形態2で説明した処理に加えて、居住者2の外出に関連して動作する電気機器10を特定する処理を実行する。そして、本実施形態に係る異常検知装置は、基準時刻から外出閾値までに電気機器10が動作した場合であっても、その電気機器10が外出に関連して動作するものであるときには、居住者2は帰宅したと判断しない。以下、本実施形態について図を参照して説明する。
【0134】
(物理的構成)
本実施形態に係る異常検知システム、異常検知装置、及びサーバ装置の物理的な構成は、実施形態2に係るそれぞれと同じであってよい。
【0135】
(機能的構成)
異常検知装置304は機能的には、図19に示すように、実施形態2に係る記憶部222及び制御部223に代えて、記憶部322及び制御部323を備える。
【0136】
本実施形態に係る記憶部322は、標準特徴量データ31、動作状況データ32、タイマ設定データ33、及び在宅データ275に加えて、外出関連動作データ381を記憶し読み出す。すなわち、記憶部322は、外出関連動作記憶手段の一例でもある。
【0137】
外出関連動作データ381は、居住者2の外出に関連して動作する電気機器10を示す。外出関連動作データ381では例えば、電気機器10と相対時間とが関連付けられている。ここで、相対時間は、外出時刻を基準として電気機器10が動作するまでの時間を表す。
【0138】
本実施形態に係る制御部323は、実施形態2に係る制御部223の構成に加えて、相対時間算出部383と、外出関連動作特定部385とを備え、実施形態2に係る在宅判断部277に代えて、在宅判断部377を備える。
【0139】
相対時間算出部383は、記憶部322に記憶されている在宅データ275及び動作状況データ32を参照することによって、相対時間を算出する。相対時間は、電気機器10が動作する時刻から居住者2が外出した時刻(外出時刻)を引くことによって算出される。
【0140】
外出関連動作特定部385は、相対時間ごとに電気機器10が動作する頻度の分布を算出し、算出した分布に基づいて外出に関連して動作する電気機器10とその電気機器10が動作する相対時間とを特定する。外出関連動作特定部385は、特定した電気機器10と相対時間とを含む外出関連動作データを生成し、記憶部322へ出力する。ここで算出される分布は例えば、ヒストグラムである。なお、算出される分布は、カーネル関数を用いることによって算出される密度分布などであってもよい。
【0141】
在宅判断部377は、実施形態2と同様に、出入検知部273から出入データを取得すると、外出閾値が経過するまでに電気機器10が動作したか否かに基づいて、居住者2が外出したのか又は帰宅したのかを判断する。さらに、在宅判断部377は、基準時刻から外出閾値までに動作した電気機器10が、外出関連動作特定部385によって特定された電気機器10と異なるか否かにも基づいて、居住者2が外出したのか又は帰宅したのかを判断する。
【0142】
本実施形態に係るサーバ装置6は機能的にも、実施形態1に係るサーバ装置6と同様の構成を備える。
【0143】
ここから、本実施形態に係る異常検知システムが実行する処理について説明する。本実施形態に係る異常検知システムは、実施形態2に係る異常検知システム201と同様に、動作状況蓄積処理、タイマ動作特定処理、異常検知処理、及び出入判断処理を実行し、さらに、外出関連動作特定処理を実行する。本実施形態に係る動作状況蓄積処理、タイマ動作特定処理、及び異常検知処理は、実施形態2に係るそれぞれと同様である。以下、図を参照して、外出関連動作特定処理及び出入判断処理について説明する。
【0144】
(外出関連動作特定処理)
図20は、異常検知装置304が実行する外出関連動作特定処理の流れを示すフローチャートである。外出関連動作特定処理は、居住者2の外出に関連して動作する電気機器10を特定するための処理であって、例えば、異常検知装置304が稼動している間、予め定められた外出関連動作特定間隔で繰り返される。外出関連動作特定間隔は、適宜定められてよいが、居住者2の生活の傾向を取り入れることができる間隔が望ましく、例えば1週間間隔である。
【0145】
相対時間算出部383は、記憶部322に記憶されている動作状況データ32を取得する(ステップS351)。ここで取得される動作状況データ32は、現在時刻から外出関連動作特定期間までの日時が関連付けられたものである。外出関連動作特定期間は、予め定められた期間であって、居住者2が電気機器10を動作させる時刻の傾向をみることができる期間が望ましく、例えば1ヶ月である。
【0146】
相対時間算出部383は、記憶部322に記憶されている在宅データ275を取得する(ステップS352)。ここで取得される在宅データ275は、動作状況データ32と同様に、現在時刻から外出関連動作特定期間までの日時が関連付けられたものである。
【0147】
相対時間算出部383は、取得した動作状況データ32と在宅データ275とに基づいて、相対時間を算出する(ステップS353)。
【0148】
詳細には、相対時間算出部383は、在宅データ275から居住者2の外出時刻を特定する。相対時間算出部383は、動作状況データ32から電気機器10が動作する時刻を特定する。そして、相対時間算出部383は、電気機器10が動作する時刻から外出時刻を引くことによって、相対時間を算出する(ステップS354)。
【0149】
外出関連動作特定部385は、相対時間に対する電気機器10の動作頻度を表すヒストグラム(図21参照)を算出する(ステップS355)。居住者2が外出に関連して動作させる電気機器10がある場合、相対時間ごとの電気機器10の動作頻度を表すヒストグラムは、図21に示すように、急峻なピーク状になる。
【0150】
なお、ヒストグラムのビン幅(区間)に採用される具体的な時間は、電気機器10に内蔵された時計、及び異常検知装置304の計時チップ16のずれなどを考慮して適宜定められてよく、例えば5分である。また、ヒストグラムの算出に用いる相対時間の範囲は、適宜定められてよく、例えば−15分から120分である。ここで、相対時間のマイナスは、電気機器10が動作する時刻が外出時刻の前であることを表す。
【0151】
外出関連動作特定部385は、変化度を算出する(ステップS356)。変化度は、タイマ動作特定処理における変化度と同様の値であって、例えば隣接する各相対時間の動作頻度の差分値などである。また、最後の相対時間については、その頻度と先頭の相対時間の頻度との差分値が変化度とされてよい。
【0152】
外出関連動作特定部385は、変化度と予め定められた外出関連閾値とを比較する(ステップS357)。変化度が外出関連閾値より大きい場合(ステップS357;Yes)、外出関連動作特定部385は、その変化度に対応する相対時間及び電気機器10を関連付けた外出関連動作データ381を生成し記憶部322へ出力する。記憶部322は、その外出関連動作データ381を記憶する(ステップS358)。
【0153】
変化度が外出関連閾値以下である場合(ステップS357;No)又は外出関連動作設定データ記憶処理(ステップS358)の後、相対時間算出部383は、処理を終了させる。
【0154】
このような外出関連動作特定処理を実行することによって、居住者2の外出に関連して動作する電気機器10及び相対時間を特定することができる。
【0155】
(出入判断処理)
図22は、異常検知装置304が実行する出入判断処理の流れを示すフローチャートである。出入判断処理は、出入検知部273によって検知された居住者2の出入りが、住宅3からの外出と住宅3への帰宅とのいずれであるかを判断するための処理であって、例えば異常検知装置304が稼働している間、連続的に繰り返される。
【0156】
同図に示すように、在宅判断部377は、実施形態2と同様に、出入データ出力判断処理(ステップS231)から動作判断処理(ステップS235)までを実行する。
【0157】
続けて、在宅判断部377は、外出関連動作データ381を記憶部322から取得する(ステップS361)。
【0158】
在宅判断部377は、動作判断処理(ステップS235)において動作したと判断(特定)された電気機器10と外出関連動作データ381に含まれる電気機器10(外出関連機器)とを対照する。動作したと判断された電気機器10が外出関連機器に含まれる場合に、在宅判断部277は、動作した電気機器10が外出に関連して動作するものであると判断し(ステップS362;Yes)、外出閾値経過判断処理(ステップS233)に戻る。
【0159】
動作したと判断された電気機器10が外出関連機器に含まれない場合に、在宅判断部377は、動作した電気機器10が外出に関連して動作するものではないと判断する(ステップS362;No)。外出に関連して動作するものではないと判断した場合(ステップS362;No)、在宅判断部377は、帰宅判断処理(ステップS236)及び在宅データ出力処理(ステップS237)を実行し、処理を終了させる。
【0160】
本実施形態によれば、実施形態2と同様の効果を奏する。また、外出閾値が経過するまでに動作した電気機器10が、例えば外出に関連してタイマ機能により動作した場合に、居住者2が帰宅したと誤って判断することを抑えることができる。したがって、出入検知部273によって検知された居住者2の出入りが、住宅3からの外出と住宅3への帰宅とのいずれであるかを正確に判断することが可能になる。
【0161】
本実施形態は、上述の態様に限定されない。以下のような態様を含んでよい。
【0162】
例えば、本実施形態において外出関連動作特定部385は、隣接する各相対時間の動作頻度の差分値を変化度として算出し、変化度と外出関連閾値とを比較した。しかし、外出関連閾値と比較する値は、本実施形態で説明した変化度に限られない。
【0163】
例えば、各相対時間の動作頻度が、外出関連閾値と比較されてもよい。この場合、外出関連動作特定部385は、動作頻度が外出関連閾値より大きい場合に、その動作頻度に対応する相対時間及び電気機器10を関連付けた外出関連動作データ381を生成し記憶部322へ出力してもよい。外出に関連して動作する電気機器10には、相対時間にある程度の時間幅を有するものがあるが、動作頻度と外出関連閾値とを比較することによって、このような電気機器10を外出に関連して動作するものとして特定することが可能になる。
【0164】
また、変化度は、相対時間に対する電気機器10の動作頻度の差分値ではなく、所定のカーネル関数を用いて動作時刻の密度分布を推定し、密度分布における微分係数であってもよい。これによって、ヒストグラムによる場合のように、1つのピークが異なる2つの区間に分割されてしまうことを抑えることができ、外出に関連して動作する電気機器10を特定する精度を向上させることが可能になる。
【0165】
以上、本発明の実施形態について、その変形例も含めて説明したが、本発明は、実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、例えば各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせた態様、またそれらと均等な技術的範囲をも含む。
【符号の説明】
【0166】
1,201 異常検知システム
2 居住者
3 住宅
4,204 異常検知装置
5 監視センタ
6 サーバ装置
7 通信回線
8 屋内配線
10 電気機器
20 計時部
21 電流測定部
22,222,322 記憶部
23、223,323 制御部
24 送信部
41 特徴量抽出部
42 動作状況特定部
43 タイマ動作特定部
44,244 異常判断部
61 受信部
62 表示部
273 出入検知部
277,377 在宅判断部
383 相対時間算出部
385 外出関連動作特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内配線における電流値を測定する測定手段と、
前記測定された時刻を計測する計時手段と、
電気機器が動作しているときの前記屋内配線における電流値の特徴量を示す標準特徴量データを記憶している標準特徴量記憶手段と、
前記測定された電流値から前記特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記抽出された特徴量と前記標準特徴量データが示す特徴量とを照合することによって、前記電気機器が動作した時刻を特定する動作状況特定手段と、
前記電気機器が各時刻に動作した頻度の分布に基づいて、前記電気機器がタイマ動作する時刻を特定するタイマ動作特定手段とを備える
ことを特徴とするタイマ検知装置。
【請求項2】
屋内配線における電流値を測定する測定手段と、
前記測定された時刻を計測する計時手段と、
電気機器が動作しているときの前記屋内配線における電流値の特徴量を示す標準特徴量データを記憶している標準特徴量記憶手段と、
前記測定された電流値から前記特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記抽出された特徴量と前記標準特徴量データが示す特徴量とを照合することによって、前記電気機器が動作した時刻を特定する動作状況特定手段と、
前記電気機器が各時刻に動作した頻度の分布に基づいて、前記電気機器がタイマ動作する時刻を特定するタイマ動作特定手段と、
予め定められた安否判断期間に前記測定された電流値が、前記特定された時刻でタイマ動作することに伴う電流値以外を含まない場合に、居住者に異常が発生したと判断する異常判断手段とを備える
ことを特徴とする異常検知装置。
【請求項3】
前記タイマ動作特定手段は、前記電気機器が各時刻に動作した頻度が時間に対して変化する度合いを表す変化度を算出し、予め定められたタイマ閾値より大きい前記変化度に対応する時刻を前記タイマ動作する時刻として特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常検知装置。
【請求項4】
前記タイマ動作特定手段は、前記電気機器が各時刻に動作した頻度が時間に対して変化する度合いを表す値を極大値で規格化することによって変化度を算出し、前記タイマ閾値より大きい前記変化度に対応する時刻を前記タイマ動作する時刻として特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の異常検知装置。
【請求項5】
前記タイマ動作特定手段は、カーネル関数を用いることによって前記電気機器が前記各時刻に動作した頻度の分布を算出し、当該分布に含まれる値が時間に対して変化する度合いを表す変化度を算出し、予め定められたタイマ閾値より大きい前記変化度に対応する時刻を前記タイマ動作する時刻として特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常検知装置。
【請求項6】
前記タイマ動作特定手段は、前記電気機器が各時刻に動作した頻度を算出し、予め定められたタイマ閾値より大きい前記頻度に対応する時刻を前記タイマ動作する時刻として特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常検知装置。
【請求項7】
前記動作状況特定手段は、前記抽出された特徴量と前記標準特徴量データが示す特徴量とを照合することによって、前記電気機器が動作した時刻を前記電気機器ごとに特定し、
前記タイマ動作特定手段は、前記電気機器が各時刻に動作した頻度の分布に基づいて、前記電気機器ごとにタイマ動作した時刻を特定し、
前記異常判断手段は、前記安否判断期間に前記測定された電流値が、前記特定された電気機器が前記特定された時刻にタイマ動作することに伴う電流値以外を含まない場合に、居住者に異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項8】
前記動作状況特定手段は、前記抽出された特徴量と前記標準特徴量データが示す特徴量とを照合することによって、前記電気機器が動作する時刻のみを特定する
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項9】
前記動作状況特定手段は、前記抽出された特徴量と前記標準特徴量データが示す特徴量とを照合することによって、電気機器が動作する時刻を日に関するグループ別に特定し、
前記タイマ動作特定手段は、前記電気機器が前記グループ別の各時刻に動作した頻度の分布に基づいて、前記電気機器がタイマ動作する前記グループ別の時刻を特定する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の異常検知装置。
【請求項10】
居住者の外出又は帰宅を検知する出入検知手段と、
前記出入検知手段によって検知された場合に、外出と帰宅とのいずれであるかを判断する在宅判断手段とを備え、
前記異常判断手段は、前記在宅判断手段による判断の結果に基づいて前記居住者の在宅期間を特定し、当該特定された在宅期間に前記測定手段によって測定された電流値が、前記特定された時刻のタイマ動作に伴う電流値以外を含まない場合に、居住者に異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項11】
前記在宅判断手段は、前記出入検知手段によって検知されてから外出閾値までに動作した電気機器が前記動作状況特定手段によって特定されたときに、帰宅であると判断し、前記出入検知手段によって検知されてから外出閾値までに動作した電気機器が前記動作状況特定手段によって特定されないときに、外出であると判断する
ことを特徴とする請求項10に記載の異常検知装置。
【請求項12】
前記居住者の外出が検知されてから前記電気機器の動作が特定されるまでの相対時間を算出する相対時間算出手段と、
前記算出された相対時間と前記電気機器が動作する頻度の分布に基づいて、外出に関連して動作する電気機器を特定する外出関連動作特定手段とを備え、
前記在宅判断手段は、前記出入検知手段によって検知されてから外出閾値までに動作した電気機器が前記動作状況特定手段によって特定され、かつ、当該特定された電気機器が前記外出関連動作特定手段によって特定された電気機器に含まれないときに、帰宅であると判断し、前記出入検知手段によって検知されてから外出閾値までに動作した電気機器が前記動作状況特定手段によって特定されないときに、外出であると判断する
ことを特徴とする請求項11に記載の異常検知装置。
【請求項13】
請求項2から12のいずれか1項に係る異常検知装置と、当該異常検知装置と通信回線を介して接続されたサーバ装置とを備え、
前記異常検知装置は、さらに、前記異常判断手段による判断の結果を示す異常判断結果データを送信する送信手段を備え、
前記サーバ装置は、
前記異常判断結果データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された異常判断結果データが示す判断の結果を表示する表示手段とを備える
ことを特徴とする異常検知システム。
【請求項14】
住宅の内外をまたいで流通するガス、水道水又は情報の流通量を測定する測定手段と、
前記測定された時刻を計測する計時手段と、
前記測定された流通量の変化の度合いを表す変化度と閾値とを比較することによって、変化度が閾値より大きい時刻を特定する動作状況特定手段と、
変化度が閾値より大きい時刻の頻度の分布に基づいて、機器のタイマ機能によりガス、水道水又は情報が流通した時刻を特定するタイマ動作特定手段とを備える
ことを特徴とするタイマ検知装置。
【請求項15】
住宅の内外をまたいで流通するガス、水道水又は情報の流通量を測定する測定手段と、
前記測定された時刻を計測する計時手段と、
前記測定された流通量の変化の度合いを表す変化度と閾値とを比較することによって、変化度が閾値より大きい時刻を特定する動作状況特定手段と、
変化度が閾値より大きい時刻の頻度の分布に基づいて、機器のタイマ機能によりガス、水道水又は情報が流通した時刻を特定するタイマ動作特定手段と、
前記測定される流通量が、前記特定された時刻にタイマ機能により機器が動作したことに伴う流通量以外を含まない場合に、居住者に異常が発生したと判断する異常判断手段を備える
ことを特徴とする異常検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−92846(P2013−92846A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233439(P2011−233439)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】