説明

タイル材

【課題】
本発明では、完全なリサイクルが可能でかつ形状が自在であり、さらに軽量であるため比較的粘着力の弱い粘着剤でも床に確実に固定できて、人が歩行しても剥がれ難い新規なタイル材を提供することを目的とする。また、印刷により色柄等を自由に設定でき、少ないロット数の要求に対しても臨機応変に対応できるタイル材を提供することを目的とする。さらに、目地に詰まったゴミを容易に排除でき、ワックス清掃による廃液処理及び汚れ問題を解決するタイル材を提供することを目的とする。
【解決手段】
床の上に複数敷き詰めて使用するタイル材1であって、紙又は合成樹脂の中間シート2の上下に、中間シート2よりも寸法が大きい合成樹脂シート3、4を積層させ、前記合成樹脂シート3、4の外縁33、43には中間シート2が挟み込まれた部位より降下して厚みの小さい目地凹部11を形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や遊技場、公共施設等の床に敷かれるタイル材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や遊技場、病院、公共施設、住宅等の比較的人の出入りの多い場所に適したタイルが提案されている。例えば、引用文献1には、プラスチックタイルであるタイル本体の上面に保護フィルムを剥離可能に接着したタイルが開示されている。このタイルは、靴で踏まれる等して上面が磨耗した場合に、保護フィルムのみを貼り替えることによりタイル本体の再使用を可能にしたものである。
【0003】
しかし、タイル本体が樹脂層やガラス繊維層等を複数積層してなる複雑な構造であるため、破損する等して再利用ができなくなったタイル本体をリサイクルすることが困難であり、そのまま廃棄せざるを得ないという問題があった。
【0004】
また、上述のタイル本体の構造により、タイル本体を複雑な形状に製造することが難しく、様々な用途及び様々な使用場所に適用させることができないという問題があった。さらに、タイル本体の重量が大きくなるため、運搬費、人件費が多くかかってしまうという問題もあった。
【0005】
その上、目地の微細な隙間に埃等のゴミが入ってしまった場合、タイルが厚みを有することにより箒で掃き出したり掃除機で吸い取ったりすることができないため、一旦タイルを剥がしてゴミを取り出した後、再度タイルを敷き直す必要があった。
【0006】
また、一般的にプラスチックタイルは粘着剤で床に固定されており、タイルの重量が大きくなるとその粘着剤の量を増やしたり粘着力を強力にしたりする必要が生じる。そのため、粘着剤が室内に蒸散する等して環境を悪化させる恐れがあった。
【0007】
【特許文献1】特開2004−44272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明では、完全なリサイクルが可能でかつ形状が自在であり、さらに軽量であるため比較的粘着力の弱い粘着剤でも床に確実に固定できて、人が歩行しても剥がれ難い新規なタイル材を提供することを目的とする。また、印刷により色柄等を自由に設定でき、少ないロット数の要求に対しても臨機応変に対応できるタイル材を提供することを目的とする。さらに、目地に詰まったゴミを容易に排除でき、ワックス清掃による廃液処理及び汚れ問題を解決するタイル材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るタイル材は、以下に記載の手段を採用する。
【0010】
すなわち、請求項1は、床の上に複数敷き詰めて使用するタイル材であって、紙又は合成樹脂の中間シートの上下に、前記中間シートよりも寸法が大きい合成樹脂シートを積層させ、前記合成樹脂シートの外縁には前記中間シートが挟み込まれた部位より降下して厚みの小さい目地凹部を形成してなることを特徴とする。
【0011】
この手段では、タイル材が合成樹脂シートと紙シート、または合成樹脂シートのみからなるため、薄型であり、自由な形状に形成することが可能となる。
【0012】
さらに、タイル材が軽量であるため、タイル材を床面に固定する時の粘着剤の量が一般的なカーペットタイルの半分〜四分の一程度で済み、また、粘着剤として粘着力の弱い水性糊を用いたりした場合でも、確実にタイル材を床に固定することができる。したがって、環境の悪化が防止される。なお、タイル材を剥がした際に床面に残った水性糊は水で容易に洗い流される。
【0013】
そして、外縁の目地凹部によって人の歩行等に起因するタイル材のめくれが防止されるとともに、タイル材の厚さが小さいため、目地凹部に入り込んだ埃等のゴミを、箒で掃いたり掃除機で吸い取ったりすることにより取り除くことができる。
【0014】
また、請求項2は、請求項1記載のタイル材において、上下の合成樹脂シートのいずれか一方、又は中間シートに、印刷を施したことを特徴とする。
【0015】
この手段では、模様、案内標示、広告等を印刷することにより、汎用性が高まる。また、紙シートまたは合成樹脂シートに対して印刷を施すため、グラビア印刷等の大ロットだけでなく、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等の小ロット対応のタイル材製作もでき、色柄等の要求に対し臨機応変に対応できる。
【0016】
また、請求項3は、請求項1又は2記載のタイル材において、中間シートと、その上下に積層させる合成樹脂シートとを全てポリエステル樹脂で構成することを特徴とする。
【0017】
この手段では、合成樹脂シート及び中間シートがリサイクル可能なポリエステル樹脂により形成されているため、廃棄時にそのままの状態でリサイクルに回すことができる。
【0018】
また、請求項4は、請求項1〜3のいずれか記載のタイル材において、下側に積層させる合成樹脂シートの厚さを、上側に積層させる合成樹脂シートの厚さよりも大きくすることを特徴とする。
【0019】
この手段では、タイル材の外縁の上方への反りが防止されてタイル材の下面が平面に保たれることにより、タイル材が安定して設置される。
【0020】
また、請求項5は、請求項1〜4のいずれか記載のタイル材において、合成樹脂シートの外縁に形成する目地凹部の幅が、1〜5mmであることを特徴とする。
【0021】
この手段では、目地におけるつま先等の引っ掛かりを防止する。
【0022】
また、請求項6は、請求項1〜5のいずれか記載のタイル材に、床に接する粘着剤層を形成したことを特徴とする。
【0023】
この手段では、床にタイル材を設置する作業時に、床またはタイル材に粘着剤を塗布する必要がなく、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
以上、本発明によれば、廃棄時にタイル材全体をリサイクルすることができる。
【0025】
また、タイル材を床に固定する際に、粘着剤がローラで薄く引かれた程度である場合や粘着剤として水性糊等の比較的粘着力の弱い粘着剤が使用された場合であっても確実に固定することができる。したがって、粘着剤の蒸散等による環境の悪化を防止することができる。上記の水性糊を使用した場合には、タイル材を剥がした際に床面に残った糊を水で容易に洗い流すことができる。さらに、薄くて軽いため運搬や保管が煩雑にならず、作業性にも優れている。
【0026】
さらに、タイル材を自由な形状に製造あるいは切断して使用することができる。また、目地凹部によって人の歩行によるタイル材のめくれや剥がれを防止することができる。
【0027】
加えて、タイル材が薄く形成されているため、目地に入り込んだ埃等のゴミを、箒で掃いたり掃除機で吸い取ったりすることによりタイル材を傷めずに容易に取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
本発明の実施の形態(1)を図1〜図7に基づいて説明する。
この実施の形態は、中間シート2の上側に無色透明の合成樹脂シート3を、下側に黒色不透明の合成樹脂シート4を積層したタイル材1である。
【0030】
中間シート2は、図1〜図4に示すように、厚さT2が約200μmで一辺の長さL2が数十cmの矩形状の厚紙により形成されており、中間シート2の上面21は印刷部12を有している。
【0031】
合成樹脂シート3、4は、一辺の長さL4が例えば数十cmの矩形状に形成されている。また、タイル材1の表面となる上側の合成樹脂シート3の厚さT3は50μm〜250μm程度で例えば約125μm、裏面となる下側の合成樹脂シート4の厚さT4は100μm〜500μm程度で例えば約250μmとし、下側の合成樹脂シート4を上側の合成樹脂シート3より厚く形成している。
【0032】
合成樹脂シート3、4の素材は、非伸縮性、耐磨耗性、リサイクル性等を考慮してPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂を使用することが好ましいが、他のポリプロピレン樹脂、アクリル性樹脂、塩化ビニル等も適用可能である。なお、基材2の印刷部12を目視しやすくするために上側の合成樹脂シート3を無色透明なPETにより形成している。
【0033】
また、合成樹脂シート3、4は中間シート2に対して寸法を若干大きく形成されている。そして、合成樹脂シート3は、外縁部33が中間シート2の挟み込まれている部位から降下して合成樹脂シート4の外縁部43と熱融着され、タイル材1の外周に厚みの小さな目地凹部11を形成している。本実施の形態では、目地凹部11の幅W11を1mm程度としている。この幅W11は、広過ぎると人が歩行を繰り返すことによってタイル材がめくれ上がってしまうため、1mm〜5mmに形成されることが好ましい。
【0034】
上側の合成樹脂シート3と中間シート2との間、中間シート2と下側の合成樹脂シート4との間は、それぞれ糊フィルム5により接着されている。
【0035】
糊フィルム5は、熱可塑性ポリマーをベースにした厚さ約50μmのホットメルトの薄膜であり、中間シート2と同寸法の矩形状に形成されている。なお、このホットメルトの糊フィルム5は、高温(例えば、100〜180℃程度)に加熱されると流動し、常温では固まる性質をもつ。
【0036】
以上のようなタイル材1は、各々のシートを積層する工程、接着する工程、外周を所定の寸法にカットする工程により製造される。
積層する工程では、図5に示すように、外縁部33、43における隣接する2辺が相互に熱融着された合成樹脂シート3、4間に、中間シート2を熱融着されていない2辺の側から挿入することにより積層される。なお、中間シート2の側となる上側の合成樹脂シート3の下面32、下側の合成樹脂シート4の上面41には予め糊フィルム5が設けられているが、この糊フィルム5は必ずしも合成樹脂シート3、4に設ける必要はなく、中間シート2の上下面21、22に設けたりや、さらに、糊フィルム5を単体のまま中間シート2とともに合成樹脂シート3、4間に挿入したりしても良い。
【0037】
接着する工程では、上記の積層物に熱を加えることにより、上側の合成樹脂シート3の下面32と中間シート2の上面21、中間シート2の下面22と下側の合成樹脂シート4の上面41が、糊フィルム5によりそれぞれ接着される。そして、合成樹脂シート3、4の外縁部33、43の中間シート2を挿入した側の2辺が相互に熱融着され、タイル材1の全外縁に目地凹部11が形成される。
【0038】
なお、タイル材1を床面Fに安定して設置するためには、床面Fと接面するタイル材1の下面が平面である必要がある。しかし、上側の合成樹脂シート3の収縮力により下側の合成樹脂シート4が引っ張られたときにタイル材1全体が反ってしまい、タイル材1の外周がめくれ上がってしまう恐れがある。そこで、本実施の形態では、下側の合成樹脂シート4を上側の合成樹脂シート3より厚く形成することにより上側の合成樹脂シート3の収縮力より強い保形力を発揮させ、タイル材1の全体が平面状かあるいは若干下方に反った状態(中央が上方に膨らんだ状態)として、人の歩行等によるタイル材1のめくれ上がりを防止している。
【0039】
外周をカットする工程では、上記の積層、接着後に、目地凹部11の幅W11が適当な長さになるように外縁部33、43のカットを行う。なお、積層前の最初の段階から中間シート2、合成樹脂シート3、4の寸法を最終的な形状に合うように形成しておくことにより、この工程を省略することも可能である。
【0040】
上記の工程により製造されたタイル材1の全体の厚さTtは1mm程度以下となり、好ましくは、500μm〜800μmである。したがって、タイル材1の厚さTtは従来のタイル材の厚さと比較すると格段に薄い。この薄さに加えて素材がPETと厚紙のみからなることよりタイル材1の重量が小さくなるため、以下の(1)〜(4)の利点を有する。
(1)タイル材1を床面Fに固定する粘着剤の粘着力を剥離可能な程度に弱くしてもタイル材1が床面Fから剥がれてしまうことがないため、粘着剤の量を従来の半分〜四分の一にすることができる。また、粘着剤として例えば水性糊等の粘着力の弱いものを用いることができる。したがって、環境に優しく、また、タイル材1を剥がした後に床面Fに残った糊を水で容易に洗い流して除去することができる。
(2)タイル材1を設置したままの状態で、目地凹部11に溜まった埃等のゴミを、箒で掃き出したり掃除機で吸い取ったりすることができる。
(3)タイル材1を床面Fに設置した後に、人がタイル材1上を歩くことにより、その体重でタイル材1と床面Fとが徐々に馴染んでいくため、従来のシート状床材のようにローラで別途押圧して馴染ませる必要がない。
(4)運搬費、人件費等が軽減され、保管コストが大幅に縮小される。
(5)敷き詰める際に、床面に合わせてカッターで容易にカットできるため、作業性が高まる。
【0041】
また、図6に示すように、タイル材1の下側の合成樹脂シート4の下面42に粘着剤層6を塗布する等して形成し、さらにその下部に剥離シート7を貼付することにより、設置時に床面Fまたはタイル材1に粘着剤を塗布する必要がなくなる。すなわち、剥離シート7を剥がすだけで床面Fにタイル材1を設置することができ、作業性が高まる。なお、粘着剤層6は、常温で使用でき、剥離可能なアクリル系エマルション型粘着剤、ウレタン系粘着剤等で形成されることが好ましい。しかし、これに限定されるものではない。
【0042】
なお、タイル材1の外縁が上下の合成樹脂シート3、4の外縁部33、43の相互の熱融着により閉鎖されていること、また中間シート2と合成樹脂シート3、4とが接着されていることにより、タイル材1が踏まれたり擦られたりした際にも表面となる上側の合成樹脂シート3に皺がよることがない。
【0043】
さらに、中間シート2、合成樹脂シート3、4は加工しやすい厚紙、PETより構成されているため、製造時または製造後に切断する等して形状を状況・用途に応じて自由に設定することができる。すなわち、図7に示すように、六角形状のタイル材1’を形成することもでき、その他、三角形、丸形、星型等、自由に形成することができる。
【0044】
また、タイル材1をカッター等で切断する際、外縁部33、43が融着されて目地凹部11が形成されているとともに中間シート2と合成樹脂シート3、4とが接着されているので、図8に示す通り、切断部13のように目地凹部11より内側に入り込んで切断しても離層することがなく、問題なく使用することができる。これにより、床面Fの角部分や階段等の複雑な形状をした場所においてもタイル材1を使用することができる。
【0045】
また、全体が薄く、可塑性を有しているため、例えばコンビニエンスストアの商品棚の下に施工したい場合に、商品棚をわざわざ動かずとも、棚の近傍から敷き始めて棚に接着したらタイル材1を一度曲げて棚の下の隙間に押し込めることで容易に施工することができる。
【0046】
さらに、下側の合成樹脂シート4を黒色不透明なPETにより形成しているため、万が一上側の合成樹脂シート3の外縁部33に汚れ等が付着してしまっても汚れが目立ちにくい。また、目地凹部11となる下側の合成樹脂シート4の外縁部43の色を状況に応じて調整することにより外観を実際のタイルに近付け、高級感を出すこと等も可能である。
【0047】
そして、タイル材1は、主に厚紙、PET等により形成されているので、非常に安価に製造することができる。さらに軽量で容積が小さいため、運搬費、人件費を少なく押えることができる。
【0048】
加えて、タイル材1は、運搬、張り替えが容易であるため、リース等を行うことに適している。このとき、会社、イベント等の広告等を印刷するとより商業性が高まる。
【0049】
その上、タイル材1は、タイル材1の上面を箒で掃くことで容易に美麗な状態を保つことができる。従来のコンビニエンスストア等での床の清掃ではワックスがけが行われており、ワックスむらが生じる関係でその都度床全面にワックスがかけられていた。本発明によれば、人の往来が多い場所等の汚れた箇所のみ清掃あるいは貼り替えすればよく、効率的である。また、ワックスの廃液処理の手間が省け、廃液による環境汚染も防止することができる。
【0050】
次に、実施の形態(2)を図9、10に基づいて説明する。
この実施の形態は、実施の形態(1)と同様に、中間シート2Aの上側に無色透明の合成樹脂シート3を、下側に合成樹脂シート4を積層したタイル材1Aである。
【0051】
図9に示すように、中間シート2Aは、実施の形態(1)及び本実施の形態の合成樹脂シート3、4と同様の素材であるPETにより構成され、合成樹脂シート3、4及び糊フィルム5は、実施の形態(1)と同様のものを使用している。中間シート2A、合成樹脂シート3、4の厚さT2、T3、T4は例えばそれぞれ約100μm、125μm、50μmに形成されている。なお、本実施の形態では、中間シート2Aの上面21ではなく下側の合成樹脂シート4の内側の面である上面41に印刷部12を有している。
【0052】
タイル材1Aは、実施の形態(1)と同様に、積層する工程、接着する工程、外周をカットする工程により製造される。
積層する工程では、図10に示すように、上側の合成樹脂シート3、中間シート2A、下側の合成樹脂シート4の順にそれぞれがドラム状に巻き取られたドラムD2、D3、D4から提供して積層する。なお、糊フィルム5は予め上側の合成樹脂シート3の下面32及び下側の合成樹脂シート4上面41に設けられている。そして、合成樹脂シート3、4が中間シート2Aよりも平面方向に寸法を大きくとった状態で積層した後、中間シート2A、合成樹脂シート3、4は図10に矢印で示した切断位置P2、P3、P4の位置でそれぞれ切断される。
【0053】
接着する工程では、上記の積層物にそれぞれ加熱ローラRを介して熱を加えることにより、上側の合成樹脂シート3の下面32と中間シート2Aの上面21、中間シート2Aの下面22と下側の合成樹脂シート4の上面41が、糊フィルム5によりそれぞれ接着される。また、合成樹脂シート3、4の外縁部33、43が相互に接着され目地凹部11が形成される。
【0054】
上記実施の形態(1)では、下側合成樹脂シート4を厚く形成することでタイル材1のめくれを防止していたが、この実施の形態(2)ではローラの回転速度を調節することで上記効果を得ている。すなわち、図9のように積層させる際に、ローラRとドラムD3との相互の回転速度を調節して、上側の合成樹脂シート3を平面方向に、中間シート2及び下側の合成樹脂シート4よりも若干ゆるめながら積層させて接着を行うことにより、上側の合成樹脂シート3の収縮力を弱め、タイル材1A全体を平面状あるいは下方に若干反った状態に保つことができる。
【0055】
なお、このとき、上側の合成樹脂シート3をゆるめる代わりに下側の合成樹脂シート4を平面方向に、中間シート2及び上側の合成樹脂シート3よりも若干強く引き伸ばしながら積層させて接着を行うことにより、下側の合成樹脂シート4を収縮させてタイル材1A全体を平面状あるいは下方に若干反った状態に保っても良い。
【0056】
また、本実施の形態では上側の合成樹脂シート3を下側の合成樹脂シート4より厚く形成しているが、下側の合成樹脂シート4を上側の合成樹脂シート3と等しい厚さに形成したり、あるいは上記実施の形態(1)と同様に上側の合成樹脂シート3より厚く形成したりすることにより、タイル材1Aの反り防止効果を相乗的に高めることができる。
【0057】
本実施の形態によると、タイル材1A全体が全てPETにより形成されているので、そのままの状態でリサイクルに回すことができる。
【0058】
また、下側の合成樹脂シート4の外縁部43を含めた全体、すなわちタイル材1A全体に印刷が施されているため、隣り合うタイル材1A同士で、目地凹部11を通して、連続した模様を形成することができる。
【0059】
なお、上述の実施の形態(1)(2)では印刷部12を中間シート2の上面21や下側の合成樹脂シート4の上面41に設けたが、実施の形態(1)では上側の合成樹脂シート3の上下面31、32、実施の形態(2)では上側の合成樹脂シート3の上下面31、32、中間シート2Aの上下面21、22、下側の合成樹脂シート4の上下面41、42のいずれに設けても同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るタイル材の実施の形態(1)を示す斜視図である。
【図2】図1のX方向の断面図である
【図3】図1の使用状態を示す斜視図である
【図4】図3のY方向の拡大断面図である
【図5】タイル材の製造工程を示す斜視図である。
【図6】タイル材の下面に粘着剤層を形成した場合を示す断面図である。
【図7】他形状のタイル材を用いた使用状態の斜視図である
【図8】図1の一部を切断したタイル材の斜視図である
【図9】本発明に係るタイル材の実施の形態(2)を示す断面図である。
【図10】タイル材の製造工程を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1、1’、1A タイル材
11 目地凹部
12 印刷部
13 切断部
2、2A 中間シート
21 上面
22 下面
3 上側の合成樹脂シート
31 上面
32 下面
33 外縁部
4 下側の合成樹脂シート
41 上面
42 下面
43 外縁部
5 糊フィルム
6 粘着剤層
7 剥離シート
D2、D3、D4 ドラム
F 床面
R 加熱ローラ
P2、P3、P4 切断位置
L2 中間シートの一辺の長さ
L4 上下の合成樹脂シートの一辺の長さ
T2 中間シートの厚さ
T3 上側の合成樹脂シートの厚さ
T4 下側の合成樹脂シートの厚さ
Tt タイル材の厚さ
W11 目地凹部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床の上に複数敷き詰めて使用するタイル材であって、紙又は合成樹脂の中間シートの上下に、前記中間シートよりも寸法が大きい合成樹脂シートを積層させ、前記合成樹脂シートの外縁には前記中間シートが挟み込まれた部位より降下して厚みの小さい目地凹部を形成してなるタイル材。
【請求項2】
請求項1記載のタイル材において、上下の合成樹脂シートのいずれか一方、又は中間シートに、印刷を施したことを特徴とするタイル材。
【請求項3】
請求項1又は2記載のタイル材において、中間シートと、その上下に積層させる合成樹脂シートとを全てポリエステル樹脂で構成することを特徴とするタイル材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載のタイル材において、下側に積層させる合成樹脂シートの厚さを、上側に積層させる合成樹脂シートの厚さよりも大きくすることを特徴とするタイル材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載のタイル材において、合成樹脂シートの外縁に形成する目地凹部の幅が、1〜5mmであることを特徴とするタイル材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載のタイル材に、床に接する粘着剤層を形成したことを特徴とするタイル材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−52601(P2006−52601A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236171(P2004−236171)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(501242549)
【出願人】(504264997)有限会社ラン・コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】