説明

タッチ式センサ

【課題】簡単な構造で、操作面を目視することなく操作者の意思に沿った操作を的確且つ迅速に行うことができるタッチ式センサを提供すること。
【解決手段】複数の電極が接触されたことを検知して電極毎に検知信号を出力する検知手段と、前記検知信号に応じてどの電極が接触されているか接触されていないかを判定する接触判定手段を備えたタッチ式センサにおいて、静電容量が異なる少なくとも3種類の前記電極を同じ順序で繰り返し配置し、前記接触判定手段によって最初に接触が検知された電極をスタート電極とし、該スタート電極と次に接触が検知された電極との位置関係によって操作方向を決定する操作入力判定手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の静電容量の変化によって人が電極に接触したことを検出するタッチ式センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば車両のエアコンやオーディオ等の各種機器を静電容量式のタッチ式センサによって制御するようにした構成が例えば特許文献1において提案されている。この構成によれば、操作者の指の移動軌跡をタッチ式センサによって読み取り、その移動軌跡がどの操作パターンにマッチングするかを判定し、操作パターンにマッチングする操作内容に基づいて各種機器を制御することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−129171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1において提案されている構成においては、操作面を大きく取る必要があるとともに、操作パターンを記憶する制御回路が必要である他、操作パターンを操作者が記憶しておく必要がある。このため、高価な装置が必要であるとともに、操作も煩雑なものとなって操作者の負担が増加し、汎用として容易に設置することができないという問題があった。
【0005】
特に、車両のステアリングホイールにタッチ式センサを設ける場合には、設置面積が狭いため、大きな操作部を設けてしまうと、それが運転者のステアリング操作の邪魔になってしまう。又、運転をしながらの操作となるため、運転者が指を大きく動かすことが困難であり、単純な操作動作に限定されることから、大きな操作装置を設けて種々の操作パターンで各種機器を制御する必要性が低い。
【0006】
一方、運転者には車両の運転をしながらのスイッチ操作が必要となるため、タッチ式センサの操作面を目視することなく運転者の意思に沿った速い処理を行うことが望まれる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、電極の接触感度を高く保持したまま、照明構造を簡単に構成することができるとともに、製造コストを低く抑えることができるタッチ式センサを提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
複数の電極が接触されたことを検知して電極毎に検知信号を出力する検知手段と、
前記検知信号に応じてどの電極が接触されているか接触されていないかを判定する接触判定手段を備えたタッチ式センサにおいて、
静電容量が異なる少なくとも3種類の前記電極を同じ順序で繰り返し配置し、前記接触判定手段によって最初に接触が検知された電極をスタート電極とし、該スタート電極と次に接触が検知された電極との位置関係によって操作方向を決定する操作入力判定手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記操作入力判定手段は、最初に接触が検知された電極をスタート電極とした後、該スタート電極への接触が検知されず、且つ、他の電極への接触が検知されると、設定されている前記スタート電極をリセットするとともに、次に接触が検知された電極を新たにスタート電極とし、該スタート電極と次に接触が検知された電極の位置関係をリ'頂次判定して操作モードを決定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記検知手段は、前記スタート電極への接触が検知されてから所定時間内に他の電極への接触が検知されない場合には、全ての電極における接触検知を無効とし、その後に電極への接触が再度検知されるとその電極をスタート電極とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、同じ種類の電極を同じ順序で繰り返し配置し、最初に接触が検知された電極をスタート電極とし、該スタート電極と次に接触が検知された電極との位置関係によって操作方向を決定するようにしたため、どの電極を触っても同じ操作で操作モードを検知することができ、簡単な構造で、操作面を目視することなく操作者の意思に沿った操作を的確且つ迅速に行うことができる。そして、操作パターンを記憶する制御回路が不要である他、操作パターンを操作者が記憶しておく必要がないため、構造が単純化するとともに、操作者の負担が軽減される。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、スタート電極を随時変更していくことによって、注視する電極を特定することができ、操作者の指の移動方向を容易且つ迅速に判定して操作モードを決定することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、スタート電極への接触があってから、他の電極への接触が所定時間以上なかったときには、操作者の意図的でない接触であると判断して操作をキャンセルするようにしたため、該タッチ式センサの不用意な誤作動を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a),(b)は本発明に係るタッチ式センサの電極の配置例を示す図である。
【図2】本発明に係るタッチ式センサの回路構成図である。
【図3】(a),(b)は本発明に係るタッチ式センサの電極への非接触時と接触時の出力変化を示す図である。
【図4】本発明に係るタッチ式センサの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1(a),(b)は本発明に係るタッチ式センサの電極の配置例を示す図であり、本発明に係るタッチ式センサ1は、機械的なプッシュスイッチであるモード選択スイッチ2の周囲に、図1(a)に示すように静電容量が異なる3種類の電極A,B,Cを同じ順序(下から電極A,B,Cの順)に3組、計9個放射状に配置して構成されている。又、別の構成として、図1(b)に示すように、モード選択スイッチ2の近傍に、静電容量が異なる3種類の計7個の電極A,B,Cを同じ1頂序(下から電極A,B,Cの順)に上下方向に配置しても良い。ここで、タッチ式センサ1を例えば車両のステアリングホイールに設置する場合、モード選択スイッチ3はオーディオ、エアコン、ナビゲーションシステム等の被制御装置の制御モード(オーディオモード、エアコンモード、ナビゲーションモード等)を選択するスイッチであり、オーディオモードでは選曲や音量の調整、エアコンモードでは温度や風量の調整、ナビゲーションモードではメニューの選択等がタッチ式センサ1の操作によってなされる。
【0017】
次に、本発明に係るタッチ式センサ1の回路構成を図2に基づいて以下に説明する。
【0018】
図2は本発明に係るタッチ式センサの回路構成図であり、本発明に係るタッチ式センサ1は、互いに異なる静電容量を有する3種類の電極A,B,Cと、周期的な方形波から成る作動信号を出力してこれを抵抗R3,R5,R9を介して電極A,B,Cにそれぞれ入力する発振器としての機能を有するマイコン(マイクロコンピュータ)3と、直流電源電圧Vccを分割するように直列に接続された抵抗R1,R2と、各電極A,B,Cの出力電圧と抵抗R1とR2との間のa点の電位(基準電圧)Va
とを比較して電極の出力電圧の方が基準電圧Vaよりもが高ければOFFして所定の電圧を出力し、電極の出力電圧の方が基準電圧Vaよりも低ければONして所定の出力電圧を出力しないコンパレータ4,5,6と、これらのコンパレータ4〜6の出力をそれぞれ積分する積分回路7,8,9等を備えている。
【0019】
尚、本実施形の態では、電極A〜Cが有する静電容量がそれぞれ異なるように設定しているが、電極A〜Cからの出力は、それぞれマイコン3への別々の入力ポートに接続する構成としているため、入力ポートを判別することによって、どの電極からの入力信号であるかを判定しても良い。その場合には、電極A,Bは同じ静電容量を有する同じ電極で構成することができる。
【0020】
上記マイコン3は制御部を構成するものであって、このマイコン3は、電極A,B,C
が接触されたことを検知し、その電極A,B,Cへの接触状態に応じて被制御装置を制御するための制御信号を出力する。そのため、このマイコン3には、前記検知信号に応じてどの電極A〜Cが接触されているか接触されていないかを判定する接触判定手段3aと、該接触判定手段3aによって電極A,B,Cへの接触が検知されたときに、電極A,B,Cの何れかの検知信号であるかを判定し、電極A,B,Cの接触順序や接触時間により、操作入力モード(本実施形態では、アップ操作又はダウン操作)を決定する操作入力判定手段3cと、前記モード選択スイッチ2の操作に応じて被制御装置の操作入力モードを決定する制御モード判定手段3dと、操作入力判定手段3cによって決定される操作入力モードと、制御モード判定手段3dによって決定される被制御装置(オーディオ、エアコン、ナビゲーションシステム等)の制御機能に対する操作入力モードが記憶された記憶部3bが内蔵されている。
【0021】
尚、マイコン3には前記モード選択スイッチ2が接続されており、マイコン6には、このモード選択スイッチ3からの入力信号があったときに接触判定手段3aに電極A,B,Cへの接触検知を許可する許可手段3eが設けられている。そのため、モード選択スイッチ2からの入力信号は、制御モード判定手段3dと許可手段3eに入力され、許可手段3eからの許可信号に応じて、接触判定手段3aが電極A,B,Cへの接触検知が許可されるようになっている。即ち、モード選択スイッチ2は、接触検知起動スイッチの役割を果たすように構成されている。又、各コンパレータ4〜6の出力部は、抵抗R4,R6,R10を介してマイコン3と抵抗R3,R5,R9の間の接続点b,c,dとそれぞれ接続されている。即ち、各コンパレータ4〜6の出力は、マイコン3と接続されミマイコン3の方形波出力をプルアップ電源としている。
【0022】
又、許可手段3eの機能を接触判定手段3cに持たせても良く、接触判定手段3cがモード選択スイッチ2からの信号をトリガーとして接触検知を開始する構成としても良い。更に、マイコン3自体をスリープ状態にしておき、モード選択スイッチ2からの入力信号によって、マイコン3が起動するようにしても良い。この場合には、モード選択スイッチ2は、マイコン3の起動スイッチとしての役割を果たすことになる。
【0023】
次に、本発明に係るタッチ式センサ1の検出原理を図3(a),(b)に基づいて以下に説明する。
【0024】
図3(a),(b)は、本発明に係るタッチ式センサ1の電極A,B,Cへの非接触時と接触時の出力変化を示す図であり、電極A〜Cは、その静電容量によって作動電圧を歪ませる。このため、各電極A〜Cからの出力信号は、マイコン3から入力される方形波を歪ませた鋸刃状に近い波形(図3には完全な三角波として図示)の電圧信号となる。
【0025】
コンパレータ4〜6は、電極A〜Cの出力(出力信号)がa点の電圧(基準電圧)Vaよりも高いときだけ電圧を出力する。積分回路7〜9は、コンパレータ4〜6の出力を積分するため、その出力は時間の経過と共に略直線的に上昇し、その勾配はコンパレータ4〜6の出力のデューティ比(ONしている時間の割合)に比例する。
【0026】
而して、マイコン3は、積分回路7〜9が積分を開始してから1msec後の積分回路7〜9の出力電圧をデジタル変換して検出値Vmとして記憶部3bに記憶する。従って、コンパレータ4〜6と積分回路7〜9及びマイコン3は、電極A〜Cの出力信号とa点の基準電圧Vaとの差に応じた検出値Vmを生成する検出回路として機能する。
【0027】
電極A〜Cに操作者の指が接触していないときには、図3(a)に示すように電極A〜Cの出力信号の振幅が比較的大きいため、電極A〜Cの出力信号(出力電圧)が基準電圧Va以上となる時間が比較的長くなる。このため、コンパレータ4〜6の出力電圧のデューティ比が比較的大きく、積分回路9,10の出力電圧の上昇勾配が比較的大きく、1msecの後の電圧が比較的高くなるため、マイコン3が取得する検出値Vmが比較的大きくなる。
【0028】
すると、マイコン3の判定手段3aは、検出値Vmをマイコン3内の記憶部3bに記憶されている閾値Soと比較し、検出値Vmが閾値So以上となっていれば電極A〜Cに操作者の指が接触していないものと判定し、OFF信号を外部出力する。
【0029】
他方、電極A〜Cに操作者の指が接触すると、電極A〜Cの静電容量が増加するため、電極A〜Cに操作者の指が接触していない図3(a)に示す場合と比べて、図3(b)に示すように電極A〜Cの出力信号の振幅が小さくなる。このため、電極A〜Cの出力信号が基準電圧Va以上となる時間が短くなり、コンパレータ4〜6の出力電圧のデューティ比が低下し、積分回路7〜9の出力電圧の上昇勾配が小さくなり、1msec後の電圧が低くなるため、マイコン3が取得する検知値Vmが小さくなる。
【0030】
すると、マイコン3の接触判定手段3aは、検出値Vmをマイコン3内の記憶部3bに記憶されている閾値Soと比較し、検出値Vmが閾値So以下となったときに電極A〜Cに操作者の指が接触したものと判定し、ON信号を外部出力する。
【0031】
次に、本発明に係るタッチ式センサ1の動作の流れを図4に基づいて以下に説明する。
【0032】
図4はタッチ式センサの動作の流れを示すフローチャートであり、例えば車両のステアリングホイールに設置されたタッチ式センサ1においては、マイコン3に設けられた接触判定手段3aによって接触が検知されると、操作入力判定手段3cが、最初に接触が検知された電極A,B,Cをスタート電極とし、該スタート電極A,B,Cへの接触が検知されず、且つ、他の電極B,C,Aへの接触が検知されると前記スタート電極をリセットするとともに、次に接触が検知された電極B,C,Aを新たにスタート電極とし、該スタート電極と最初に接触が検知された電極A,B,Cの位置関係を判定して操作入力モードを決定する。
又、マイコン3は、電極A(B,C)の接触を最初に検知して、スタート電極にとしてから所定時間内に他の電極B(C,A)への接触が検知されない場合には、全ての電極A,B,Cにおける接触検知を無効とし、その後にモード選択スイッチ3が押されて、電極A(B,C)への接触が再度検知されたときに、その電極A(B,C)をスタート電極とするようにしている。
【0033】
即ち、図4に示すように、タッチ式センサ1の動作がスタートすると(ステップS1)、 初期化が実行され(ステップS2)、先ず、モード選択スイッチ2が運転者によってONされたか否かが判定される(ステップS3)。例えば、更に、モード選択スイッチ2によってオーディオモード、エアコンモード等が選択されたか否かが判定され、例えばエアコンモードが選択された場合には、風量、温度、内外気切替等をモード選択スイッチ2によって選択する。
【0034】
モード選択スイッチ2が運転者によって押されてONした場合(ステップS3での判定結果がYesである場合)には、アクティブフラグ(モード選択スイッチの○N/OFFを示すフラグ)をONモードに変更し(ステップS4)、タッチ式センサ1の電極A,B,Cへの運転者による接触の検知を開始する(ステップS5)。
【0035】
他方、モード選択スイッチ3が運転者によって押されないために該モード検出スイッチ2がOFFである場合(ステップS3での判定結果がNoである場合)には、アクティブフラグがONモードであるか否かが判定され(ステップS6)、アクティブフラグが既にONモードに設定されている場合(ステップS6での判定結果がYesである場合)には、タッチ式センサ1の9個の電極A〜Cへの運転者による接触の検知を開始する(ステップS5)。これに対して、アクティブフラグがOFFモードに設定されている場合(ステップS6での判定結果がNoである場合)には、運転者によってモード選択スイッチ2が1度も押されていないために処理はステップS2に戻る。即ち、モード選択スイッチ3が押されていない状態では、タッチ式センサへの接触がマイコン6によって検知されることはない。
【0036】
タッチ式センサ1の電極A,B,Cへの運転者による接触の検知において、電極A,B,Cの何れか(例えば電極A)に運転者の指が接触したか否かが判定され(ステップS7)、接触が検知された場合(ステップs7での判定結果がYes
となり)、次にスタート電極が設定済みであるか否かが判定される(ステップS8)。スタート電極が既に設定されている場合(ステップS8での判定結果がYes)には、逆側の電極(例えば電極B又はC)が運転者によって接触(○N)されたか否かが判定される(ステップS9)。この場合、例えば電極Aの接触が検知された後に逆側の電極B又はCの接触が検知されない場合、400msecが経過すると電極Aをスタート電極とする設定が解除(リセット)され、電極A〜Cの何れかが接触が再度検知された場合に、その検知された電極A〜cの何れかがスタート電極として設定される.又、スタート電極が未だ設定されていない場合(ステップS8での判定結果がNoである場合)には、その接触が検知された電極(例えば電極B,c)がスタート電極として設定される(ステップS10)。
【0037】
最初に接触が検知された電極(電極A)と逆側の電極(電極B,C)の接触が検知された場合(ステップS9での判定結果がYesである場合)には、同じ側の電極A(B,C)が接触(ON)状態にあるか否か、つまり、例えば一方の電極AがONした後にOFFし、他方の電極B又はCがONしたが電極AもONしているか否か、或いは電極A,B,Cが同時に接触(ON)されている(同時押しされているか否か)が判定される(ステップS11)。両電極A,B,Cが同時に接触(ON)状態にある場合(ステップS11での判定結果がYseである場合)には、運転者による操作の方向が確定しないために出力はOFFとなり、スタート電極の設定はキャンセルされる。
【0038】
同じ側の電極A(B,C)が接触(○N)状態にない場合(ステップS11での判定結果がNoである場合)には、電極Aがスタート電極で電極Bの接触(ON)を検知した場合には(運転者の指が電極Aから電極Bと移動していれば)アップ(例えば、エアコンの風
量や温度アップ、モード選択では、一方向、例えば上方向へのカーソルの移動)と判定し、逆に電極Aがスタート電極で電極Cの接触(ON)を検知した場合には(運転者の指が電極Aから電極Cへと移動していれば)ダウン(例えば、エアコンの風量や温度ダウン、モード選択では、他方向、例えば下方向へのカーソルの移動)と判定する(ステップS12)。
【0039】
以下、同様に電極Bがスタート電極で電極Cの接触(ON)を検知した場合には(運転者の指が電極Bから電極Cと移動していれば)アップと判定し、逆に電極Bがスタート電極で電極Aの接触(ON)を検知した場合には(運転者の指が電極Bから電極Aへと移動していれば)ダウンと判定する。更に、電極Cがスタート電極で電極Aの接触(ON)を検知した場合には(運転者の指が電極Cから電極Aと移動していれば)アップと判定し、逆に電極Cがスタート電極で電極Bの接触(ON)を検知した場合には(運転者の指が電CBから電極Bへと移動していれば)ダウンと判定される。
【0040】
そして、その後、スタート電極の設定をリセットし(ステップS13)、処理はステップS2に戻る。この場合、例えば運転者が指を電極A→電極Bと移動させた後、指を離して再び電極A→電極Bと移動させる操作を繰り返した場合には、指を離していたOFF時間が70msec未満の場合には、指の移動は電極A→電極B、電極B→電極Aと判定され、OFF時間が70msec以上の場合には、指の移動は電極A→電極B、電極A→電極Bと判定される。尚、2番目の電極がONした後、そのON状態が維持された場合には、判定した操作方向に連続してアップ又はダウンへと移動するようにしても良い。この場合、徐々にスクロールの速度を高めるようにしても良い。
【0041】
他方、モード選択スイッチ2が押されても電極A〜Cへの接触が検知されない場合(ステップS7での判定結果がNoである場合)には、スタート電極の設定済みであるか否かが判定され(ステップS14)、スタート電極が設定されている場合(ステップS14での判定結果がYesである場合)にはタイマ作動中であるか否かが判定される(ステップS15)。これに対して、スタート電極が設定されていない場合(ステップS14での判定結果がNoである場合)には、処理はステップS3に戻る。
【0042】
スタート電極が設定されていてタイマが作動中である場合(ステップS15での判定結果がYesである場合)には70msec以上の時間が経過したか否かが判定され(ステップS16)、タイマが作動中でない場合(ステップS15での判定結果がNoである場合)にはタイマがスタートされ(ステップS17)、70msec以上の時間が経過したか否かが判定され(ステップS16)。
【0043】
70msec以上の時間が経過すると(ステップS16での判定結果がYesであると)、スタート電極の設定がリセットされ(ステップS18)、70msec以上の時間が経過するまでは(ステップS16での判定結果がNoである間は)、処理はステップS3に戻る。
【0044】
そして、70msec以上の時間が経過してスタート電極の設定がリセットされると(ステップS18)、400msec以上の時間が経過したか否かが判定され(ステップS19)、400msec以上の時間が経過すると(ステップS19での判定結果がYesであると)、アクティブフラグがリセットされ(ステップS20)、400msec以上の時間が経過するまでは(ステップS19での判定結果がNoである間は)、処理はステップS3に戻る。
【0045】
而して、以上のように動作する本実施の係るタッチ式センサ1によれば、同じ種類の電極A〜Cを同じ順序で繰り返し配置し、最初に接触が検知された電極(例えば電極A)をスタート電極とし、該スタート電極と次に接触が検知された電極(例えば電極B又はC)との位置関係によって操作方向を決定するようにしたため、どの電極A〜Cを触っても同じ操作で操作モードを検知することができ、簡単な構造で、操作面を目視することなく運転者の意思に沿った操作を的確且つ迅速に行うことができる。そして、操作パターンを記憶する制御回路が不要である他、操作パターンを運転者が記憶しておく必要がないため、構造が単純化するとともに、操作者の負担が軽減される。
【0046】
又、本実施の形態に係るタッチ式センサ1によれば、スタート電極を随時変更していくことによって、注視する電極を特定することができ、運転者者の指の移動方向を容易且つ迅速に判定して操作モードを決定することができる。
【0047】
更に、本実施の形態に係るタッチ式センサ1においては、電極A〜Cに接触した後、電極A〜Cの何れにも、所定時間以上接触がないときには、運転者の意図的でない接触であると判断して操作をキャンセルするようにしたため、該タッチ式センサ1の不用意な誤作動を防ぐことができるという効果も得られる。
【0048】
尚、以上は本発明に係るタッチ式センサ1を車両のステアリングハンドルに設置した形態について説明したが、本発明に係るタッチ式センサ1は、他の任意の部位に設置することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 タッチ式センサ
2 モード選択スイッチ
3 マイコン(制御部〉
3a マイコンの接触判定手段
3b マイコンの記憶部
3c マイコンの操作入力判定手段
3d マイコンの制御モード判定手段
4〜6 コンパレータ
7〜9 積分回路
A〜C 電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が接触されたことを検知して電極毎に検知信号を出力する検知手段と、
前記検知信号に応じてどの電極が接触されているか接触されていないかを判定する接触判定手段を備えたタッチ式センサにおいて、
静電容量が異なる少なくとも3種類の前記電極を同じ順序で繰り返し配置し、前記接触判定手段によって最初に接触が検知された電極をスタート電極とし、該スタート電極と次に接触が検知された電極との位置関係によって操作方向を決定する操作入力判定手段を設けたことを特徴とするタッチ式センサ。
【請求項2】
前記操作入力判定手段は、最初に接触が検知された電極をスタート電極とした後、該スタート電極への接触が検知されず、且つ、他の電極への接触が検知されると、設定されている前記スタート電極をリセットするとともに、次に接触が検知された電極を新たにスタート電極とし、該スタート電極と次に接触が検知された電極の位置関係を順次判定して操作モードを決定するようにしたことを特徴とする請求項1記載のタッチ式センサ。
【請求項3】
前記検知手段は、前記スタート電極への接触が検知されてから所定時間内に他の電極への接触が検知されない場合には、全ての電極における接触検知を無効とし、その後に電極への接触が再度検知されるとその電極をスタート電極とすることを特徴とする請求項1又は2記載のタッチ式センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114502(P2013−114502A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260820(P2011−260820)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】