説明

ダブルウォールテント

【課題】フライシートによる前室をなくすことで従来の問題点を解消したダブルウォールテントを提供すること。
【解決手段】インナーテント3の一端面部に出入口部となる開閉部5を設け、この開閉部5が設けられた前記一端面部を覆わずに露出させる形状にフライシート4を構成し、インナーシート2の開閉部5を設けた露出面部6は、防水加工を施した防水性露出面部6に構成し、この防水性露出面部6と隣接するインナーシート2の隣接面部7は通気性を有する構成とし、防水性露出面部6のインナーテント3内側下方のボトムシート1に地面10が露出する土間部9を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナーテントの上部に、このインナーテントを覆うようにフライシートを張設するダブルウォールテントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
登山やキャンプなどに用いられるテントは、シングルウォールタイプと、ダブルウォールタイプとに大別される。
【0003】
シングルウォールテントは、例えば特許文献1のように、地面に敷設されるボトムシートの上部に天井部も兼ねるドーム形のウォールシートが張設された構成である。
【0004】
具体的には、ウォールシートに複数のスリーブ部が設けられ、各スリーブ部に挿入したポールをアーチ状に架設することによって、複数のポールがウォールシートをドーム状に支持するように構成されている。
【0005】
更に、ウォールシートの角縁部には張り綱が付設されていて、この張り綱を地面にペグ打ちすることによって地面に固定できるように構成されている。
【0006】
一方、ダブルウォールテントは、例えば特許文献2のように、前記シングルウォールデントと同等の構成のインナーテントと、このインナーテントのウォールシート(インナーシート)を覆うように張設されるフライシートとから成り、フライシートの隅部と、インナーテントの隅部とをバックル止めすることで、フライシートがインナーテントに取り付けられる構成である。
【0007】
また、インナーテントの角縁部には、シングルウォールテントと同様に張り綱が設けられ、この張り綱を通すための貫通部がフライシートに設けられていて、貫通部を介してフライシートの外方に配した張り綱を地面にペグ打ちすることによって地面に固定できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−199859号公報
【特許文献2】実公平7−54495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シングルウォールテントは、軽量で携帯性に優れるというメリットがある。
【0010】
しかしながらこのシングルウォールテントは、テントの全面に防水コーティング(PU(ポリウレタン)コーティング)を施すことで雨水などの侵入を防止しているため、通気性が非常に悪く、テントの内面が結露し易いという問題があった。
【0011】
また、使用者の酸欠防止のために、強制的に開放状態が維持されるベンチレーション(換気部)を設ける必要があり、この強制開放部を有するが故に保温性が低い上、ベンチレーションから雨水等が侵入することもあった。
【0012】
また、従来から、構成素材にゴアテックス(登録商標)を採用したシングルウォールテントも実施されている。
【0013】
このゴアテックステントによれば、防水コーティングが施されたテント素材より通気性が良く(結露しにくく)、そのため、ベンチレーションが強制的に開放するものである必要がなく、しかも、湿気の排出速度が遅く熱を逃がしにくい特性を有しているので保温性にも優れ、上記した通常のシングルウォールテントの問題点を解消できたものとなっている。
【0014】
しかしながらこのゴアテックステントは、後述するダブルウォールテント以上に高価な上、テントの表生地と裏生地の間にゴアテックスメンブレンをラミネートする複層構造生地を採用するために、通常のシングルウォールテントより重量が増加して携帯性に劣るというデメリットがあった。
【0015】
一方、ダブルウォールテントは、インナーテントが防水コーティングを施さない透湿性の高い素材で構成され、フライシートに防水コーティングが施される構成のため、インナーテントの通気性が良く、そのためベンチレーションが強制的に開放するものである必要がなく、しかも、フライシートとインナーテントとの間に存する空気層によって断熱効果が得られるので、保温性も通常のシングルウォールテントより高く、また、フライシートは結露するものの、インナーテントの内部には結露の影響が生じにくいというメリットがある。
【0016】
更に、インナーテントの出入口部(開閉部)がある前壁部と、この前壁部の前方に張設されるフライシートとの間の空間部が形成されるので、この空間部を靴置きや不要な水などを捨てるための前室として使用できるというメリットもあった。
【0017】
しかしながらこのダブルウォールテントは、インナーテントとフライシートの二つの構成部品を要するため、前記したゴアテックステントより更に重量があって携帯性に劣る上、出入口部が二重になるため出入りが容易ではなく、しかも、インナーテントに設けられた張り綱を、いちいちフライシートの貫通部から外方へと探り出さなければならないため、シングルウォールテントに比べると設営に時間がかかるというデメリットがあった。
【0018】
このように従来のテントは、シングルウォールテントもダブルウォールテントも一長一短がある。
【0019】
本発明は、このような従来のテントの現状に鑑みて商品開発をすすめ、ダブルウォールタイプを基本に改良を施して実用性を追求したもので、前室をなくすことで軽量化でき、出入し易く且つスピーディーな設営を実現でき、また前室がなくともフライシートで覆われずに露出するインナーシートの露出面部の防水性を確保し、インナーテント内に土間部を設けて靴置きや水などの捨て場所を確保すると共に、結露し易い防水性露出面部からの水滴を前記土間部からインナーテント外に排水できる実用的なダブルウォールテントを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0021】
ボトムシート1の上部にインナーシート2が張設されたインナーテント3と、このインナーテント3のインナーシート2を覆うように張設されるフライシート4とから成るダブルウォールテントであって、前記インナーシート2の一端面部に出入口部となる開閉部5を設け、この開閉部5が設けられたインナーシート2の一端面部を覆わずに露出させる形状に前記フライシート4を構成し、このフライシート4で覆われずに露出する前記インナーシート2の前記開閉部5を設けた露出面部6は、防水加工を施した防水性露出面部6に構成し、この防水性露出面部6と隣接するインナーシート2の隣接面部7は通気性を有する構成とし、前記防水性露出面部6のインナーテント3内側下方の前記ボトムシート1に地面10が露出する土間部9を設けて、このインナーテント3内で露出した土間部9の地面10に、前記防水性露出面部6の前記開閉部5からインナーテント3内に入室した際に靴Kを脱ぎ置けると共にこの防水性露出面部6のインナーテント3内側面が結露してもこのインナーテント3内側面を伝う水適がこの地面10へ流れるように構成したことを特徴とするダブルウォールテントに係るものである。
【0022】
また、前記インナーシート2は、前記防水性露出面部6と隣接する前記隣接面部7の隣接側部にも防水加工を施した防水性連結面部8を設けて、この防水性連結面部8と前記防水性露出面部6とが連結した構成としたことを特徴とする請求項1記載のダブルウォールテントに係るものである。
【0023】
また、前記インナーシート2の前記防水性露出面部6と、この防水性露出面部6と隣接する前記隣接面部7の隣接側部に設けた前記防水性連結面部8とを連結し、この連結部が前記インナーテント3の角縁部11となるように前記インナーシート2を構成したことを特徴とする請求項2記載のダブルウォールテントに係るものである。
【0024】
また、前記防水性露出面部6及び前記防水性連結面部8は、通気性を有して透湿性のあるシート素材に防水材をコーティングして防水性を有する構成としたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載のダブルウォールテントに係るものである。
【0025】
また、前記防水性露出面部6と前記防水性連結面部8とを縫着連結して前記角縁部11を構成し、この縫着部である角縁部11にシームテープ12を止着したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のダブルウォールテントに係るものである。
【0026】
また、前記土間部9は、前記ボトムシート1にめくり上げることで地面10が露出するめくり上げ開閉部13を形成して構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のダブルウォールテントに係るものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は上述のように構成したから、ダブルウォールテントでありながら前室をなくしたことで軽量化でき、インナーテントから出入し易く且つスピーディーな設営を実現でき、また、前室をなくしたことで露出するインナーシートの露出面部の防水性を確保できると共に、防水性露出面部を有する構成でありながらインナーテントの通気性も確保でき、しかも、インナーテント内に土間部を設けたから、前室がなくともこの土間部を靴置きや水などの捨て場所として使用でき、その上、この土間部から結露し易い前記防水性露出面部の水滴がインナーテント外の地面へ流れて排出されるなど、極めて実用性に優れた画期的なダブルウォールテントとなる。
【0028】
また、請求項2記載の発明においては、インナーシートの防水性露出面部だけでなく、これに隣接する部位(防水性連結面部)の防水性も確保できる。即ち、露出面部がフライシートで覆われずに露出する本発明にあっては、露出面部から隣接する隣接面部に雨水などが廻り込んで隣接面部からインナーテント内に入り込むことが懸念されるが、このことを露出面部に隣接する防水性連結面部で防止できる一層実用性に優れたダブルウォールテントとなる。
【0029】
また、請求項3記載の発明においては、フライシートで覆われずに露出するインナーシートの露出面部に隣接する角縁部を簡易に且つ確実にシームシーリングできて防水性を確保できる極めて実用性に優れたダブルウォールテントとなる。
【0030】
また、請求項4記載の発明においては、防水性露出面部と防水性連結面部とは簡易な防水加工によって確実に防水性を付与することができ、しかも、例えば防水性露出面部と防水性連結面部との連結部に、シームシーリング材としてのシームテープを熱接着してこの連結部にも簡易に防水性を付与することが可能となるなど、一層実用性に優れたダブルウォールテントとなる。
【0031】
また、請求項5記載の発明においては、防水性露出面部と防水性連結面部とを縫着により簡易に連結でき、この縫着部(角縁部)への防水加工もシームテープを止着するだけで非常に容易に行われる一層実用性に優れたダブルウォールテントとなる。
【0032】
また、請求項6記載の発明においては、インナーテントのボトムシートに土間部がある状態とない状態とを、必要に応じて切り替えて使用できる一層実用性に優れたダブルウォールテントとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施例を示す斜視図である。
【図2】本実施例を示す別角度からの斜視図である。
【図3】本実施例の分解斜視図である。
【図4】本実施例の側断面図である。
【図5】本実施例の土間部の使用状態を示す説明部分拡大斜視図である。
【図6】本実施例のインナーテントの角縁部の連結構造並びに防水構造を示す部分拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0035】
本発明のフライシート4は、インナーテント3の一端面部を覆わずに露出させる形状に構成している。即ち、フライシート4は、インナーテント3の一端面部を覆う部分がなくても良い形状のため、既存のフライシートに比べて軽量化が可能であり、よって既存品に比べて軽量なダブルウォールテントを実現可能である。
【0036】
インナーテント3を設営し、このインナーテント3のインナーシート2を覆うようにフライシート4を張設すると、インナーシート2の一端面部がフライシート4に覆われずに露出する。
【0037】
即ち、インナーテント3の一端面部(露出面部6)に設けられた開閉部5(出入口部)の前方にはフライシート4による前室ができず、この露出面部6に設けられた開閉部5が露出状態となるので、ダブルウォールテントでありながら出入口部が二重にならず、シングルウォールテントと同様に開閉部5からの出入りを容易に行うことができる。
【0038】
また、インナーテント3に設けられた張り綱14を地面10に固定する場合には、フライシート4に覆われていないところから張り綱14を引き出してシングルウォールテントと同様に容易に固定することができる。
【0039】
また、インナーテント3の一端面部は、防水加工を施して防水性露出面部6に構成しているので、フライシート4に覆われずともこの防水性露出面部6で雨水などの侵入を防止できる。
【0040】
また、防水加工が施された防水性露出面部6は通気性が悪いが、この防水性露出面部6と隣接する通気性の隣接面部7によってインナーテント3の換気機能が発揮される。
【0041】
また、本発明には、前述したようにフライシート4による前室はないが、インナーテント3内側の防水性露出面部6の下方のボトムシート1に設けられた土間部9から地面10が露出しているので、防水性露出面部6の開閉部5からインナーテント3内に入室した際に、この土間部9の地面10に靴Kを脱ぎ置くことができるし、この土間部9から地面10に余ったお湯や水などを捨てることもできる。
【0042】
また、防水性露出面部6のインナーテント3内側面は、通気性が悪いために結露し易いが、この防水性露出面部6のインナーテント3内側面が結露しても、この内側面を伝う水適が下方の土間部9からインナーテント3外の地面10へと流れて自然に排出されることとなる。
【0043】
また、例えば、前記土間部9は、前記ボトムシート1にめくり上げることで地面10が露出するめくり上げ開閉部13を形成して構成すれば、土間部9を使用する場合には、めくり上げ開閉部13をめくり上げて地面10を露出させ、土間部9が不要な場合には、めくり上げ開閉部13を閉塞しておくことでこのめくり上げ開閉部13をボトムシート1の一部として機能させることができる。
【0044】
また、インナーテント3は、そのインナーシート2の一端面部(露出面部6)を構成するテント生地と、これに隣接する隣接面部7を構成するテント生地とを縫着連結してこの縫着連結部をインナーテント3の角縁部11としているものが多いが、露出面部6がフライシート4で覆われずに露出する本発明にあっては、この角縁部11からインナーテント3内に雨水が入り込んだり角縁部11から隣接面部7に雨水などが廻り込む可能性があるので、この角縁部11にも防水性を持たせることが望ましい。
【0045】
そこで、例えば、防水性露出面部6と隣接する透湿性の隣接面部7の隣接側部にも防水加工を施した防水性連結面部8を設けて、この防水性連結面部8と前記防水性露出面部6とを連結した構成とすれば、防水性露出面部6と防水性連結面部8の連結部(インナーテント3の角縁部11)を防水性に設計することが可能となり、このように設計することによって雨水などが前記連結部(角縁部11)からインナーテント3内に入り込んだり、連結部から隣接面部7に廻り込んでインナーテント3内に入り込むことが防止される。
【0046】
尚、このような連結部(角縁部11)への防水加工は、シームテープ12を熱接着することが加工の容易性の面でも防水性の面でも好ましい。例えば、前記防水性露出面部6及び前記防水性連結面部8は、通気性を有して透湿性のあるシート素材に防水材(例えば、PU)をコーティングして防水性を有する構成とすれば、この防水材がコーティングされた防水性露出面部6と防水性連結面部8とには、シームテープ12をアイロンなどを利用して簡単に熱接着可能となるので、この防水性露出面部6と防水性連結面部8との連結部に架け渡すようにしてシームテープ12を止着してこの連結部に防水性を付与することが簡易に設計実現可能となる。
【実施例】
【0047】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0048】
本実施例は、平面視長方形状のボトムシート1の上部にインナーシート2がドーム状に張設されたインナーテント3と、このインナーテント3のインナーシート2を覆うように張設されるフライシート4とから成るダブルウォールテントに係るものである。
【0049】
本実施例のインナーテント3は、二本のポール15によりドーム形に張設される構成としている。
【0050】
具体的には、インナーシート2の表面(上面)に、その頂上部で交差する二本の所定長さのスリーブ部16を縫着突設し、この各スリーブ部16に一本ずつポール15を挿通すると共に、各ポール15を上方へ凸となる湾曲状に張設することで、インナーシート2が側面視でドーム状に張設されると共に、各スリーブ部16の縫着位置が角縁部11となる平断面長方形状に張設される構成としている。即ち、長方形状のボトムシート1の四辺部から上方へ前後左右の壁面が連設する形状にインナーシート2が張設される構成としている。図中符号17はインナーシート2とスリーブ部16の間に設けたメッシュ生地部である。
【0051】
また、このインナーシート2の一端面部(図面では短手方向の面部)に、出入口部となる開閉部5を設け、この開閉部5は、図示省略のファスナーにより開閉自在に構成している。
【0052】
また、このインナーシート2の前記各スリーブ部16の両端部に、張り綱14を突設し、この張り綱14を地面10にペグ打ちすることで、インナーテント3を地面に固定できるようにしている。
【0053】
本実施例のフライシート4は、防水加工(例えばPUコーティング)を施している。
【0054】
また、このフライシート4は、前記インナーテント3のインナーシート2を覆うように張設した際に、前記開閉部5が設けられたインナーシート2の一端面部と、この一端面部の反対側のインナーシート2の他端面部とを覆わずに露出させる形状に形成している。
【0055】
具体的には、既存のフライシートから、インナーシート2の一端面部と、反対側の他端面部を覆う部分を省いた(除去した)形状のフライシート4に構成し、除去した分だけ既存品より軽量化を達成している。
【0056】
即ち、このフライシート4でインナーテント3のインナーシート2を覆うと、インナーシート2の天井部と、インナーシート2の一端面部と他端面部に隣接する隣接面部7(長手方向の面部)とが覆われて、前記開閉部5が設けられたインナーシート2の一端面部と反対側の他端面部とが露出状態となるように構成している。そして、このフライシート4に覆われていないインナーテント3の一端面側と他端面側とから、前記張り綱14を引き出して地面10に固定できるように構成している。
【0057】
また、インナーテント3とフライシート4の取り付け構造は、インナーテント3の四隅と、フライシート4の四隅部とを着脱自在にバックル18止めする構造としている。図中符号19はフライシート4を張設してインナーテント3との間に空間部(空気層)を形成するためのフライ用張り綱である。
【0058】
本実施例では、前記フライシート4で覆われずに露出する前記インナーシート2の前記開閉部5を設けた露出面部6(一端面部)と、反対側の他端面部とを、防水加工を施した防水性露出面部6に構成し、この防水性露出面部6と隣接する通気性の前記隣接面部7の隣接側部にも防水加工を施した防水性連結面部8を設けて、この防水性連結面部8と前記防水性露出面部6とを連結した構成とし、この連結部を前記インナーシート2の前記角縁部11としている。また、前記隣接面部7は、通気性を有して透湿性のあるシート素材で構成している。
【0059】
従って、フライシート4に覆われずともこの防水性露出面部6でインナーテント3内への雨水などの侵入を防止できると共に、この防水性露出面部6に隣接する隣接面部7の隣接側部の防水性連結面部8で、角縁部11から隣接面部7側へ廻り込んだ雨水などの侵入も防止できる構成としている。
【0060】
具体的には、防水性露出面部6と防水性連結面部8とは、通気性を有して透湿性のあるシート素材(例えばナイロン)のテント内面を構成する面に防水材(PU)をコーティングすることで防水性を有する構成としている。
【0061】
また、防水性露出面部6と防水性連結面部8との連結構造は、図6に示すように、防水性露出面部6の両端部と防水性連結面部8の隣接側端部とを、間に前記スリーブ部16に連設されたメッシュ生地部17を挟んで重合して、この重合部分を縫着連結した構造としている。そして、この縫着連結部を前記角縁部11としている。
【0062】
また、この縫着部である角縁部11の内側面に、この角縁部11の防水性露出面部6と防水性連結面部8とに架け渡すようにしてシームテープ12を止着して、この角縁部11にも防水性を付与する構成としている。この際、防水性露出面部6と防水性連結面部8とは、PUコーティングが施されているので、アイロンなどを用いてシームテープ12を簡単に熱接着することが可能である。
【0063】
また、防水性連結面部8と前記隣接面部7との連結構造は、図6に示すように、防水性連結面部8の端部と隣接面部7の隣接側端部とを重合して縫着連結した構造としている。
【0064】
本実施例では、前記開閉部5を設けた防水性露出面部6のインナーテント3内側下方の前記ボトムシート1に地面10が露出する土間部9を設けて、このインナーテント3内で露出した土間部9の地面10に、前記防水性露出面部6の前記開閉部5からインナーテント3内に入室した際に靴Kを脱ぎ置けると共にこの防水性露出面部6のインナーテント3内側面が結露してもこのインナーテント3内側面を伝う水適がこの地面10へと自然に流れ落ちるように構成している。
【0065】
具体的には、土間部9は、開閉部5を設けた防水性露出面部6側のボトムシート1の一部を長方形状に切込して土間用切欠窓22を形成すると共に、この土間用切欠窓22よりやや大きめな長方形状であって土間用切欠部22を覆い閉塞可能なシート状のめくり上げ開閉部13をボトムシート1に付設した構成としている。
【0066】
また、このめくり上げ開閉部13は、インナーテント3内の前記開閉部5に対して奥側(ボトムシート1の中央側)に位置する土間用切欠窓22の長手方向縁寄り位置に、起伏方向に開閉自在に付設した構成とし、このめくり上げ開閉部13の開閉部5側をめくり上げて土間用切欠窓22を開放できるようにしている。
【0067】
また、このめくり上げ開閉部13には、そのめくり上げ先端の左右部に掛環23を突設し、この掛環23を掛脱自在に掛止可能なトグル24を、前記開閉部5を設けた防水性露出面部6側のボトムシート1上面の左右隅部に突設している。
【0068】
即ち、めくり上げ開閉部13で土間用切欠窓22を閉塞して掛環23をトグル24に掛止することにより、めくり上げ開閉部13をめくり上げできない状態(閉塞状態のめくり上げ開閉部13がボトムシート1の一部として機能する土間部9不使用状態)にでき、この土間部9不使用状態と、掛環23をトグル24から掛脱してめくり上げ開閉部13をめくり上げ可能な状態(ボトムシート1に地面10が露出する土間部9の使用状態)とを切り替えて使用可能な構成としている。
【0069】
また、本実施例では、前記インナーシート2の一端面部側(開閉部5を設けた防水性露出面部6側)の上部にバイザー用フレーム20を設け、このバイザー用フレーム20で開閉部5上方に存するフライシート4の端部を持ち上げることによりバイザー21を形成可能な構成としている。
【0070】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0071】
1 ボトムシート
2 インナーシート
3 インナーテント
4 フライシート
5 開閉部
6 防水性露出面部
7 隣接面部
8 防水性連結面部
9 土間部
10 地面
11 角縁部
12 シームテープ
13 めくり上げ開閉部
K 靴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムシートの上部にインナーシートが張設されたインナーテントと、このインナーテントのインナーシートを覆うように張設されるフライシートとから成るダブルウォールテントであって、前記インナーシートの一端面部に出入口部となる開閉部を設け、この開閉部が設けられたインナーシートの一端面部を覆わずに露出させる形状に前記フライシートを構成し、このフライシートで覆われずに露出する前記インナーシートの前記開閉部を設けた露出面部は、防水加工を施した防水性露出面部に構成し、この防水性露出面部と隣接するインナーシートの隣接面部は通気性を有する構成とし、前記防水性露出面部のインナーテント内側下方の前記ボトムシートに地面が露出する土間部を設けて、このインナーテント内で露出した土間部の地面に、前記防水性露出面部の前記開閉部からインナーテント内に入室した際に靴を脱ぎ置けると共にこの防水性露出面部のインナーテント内側面が結露してもこのインナーテント内側面を伝う水適がこの地面へ流れるように構成したことを特徴とするダブルウォールテント。
【請求項2】
前記インナーシートは、前記防水性露出面部と隣接する前記隣接面部の隣接側部にも防水加工を施した防水性連結面部を設けて、この防水性連結面部と前記防水性露出面部とが連結した構成としたことを特徴とする請求項1記載のダブルウォールテント。
【請求項3】
前記インナーシートの前記防水性露出面部と、この防水性露出面部と隣接する前記隣接面部の隣接側部に設けた前記防水性連結面部とを連結し、この連結部が前記インナーテントの角縁部となるように前記インナーシートを構成したことを特徴とする請求項2記載のダブルウォールテント。
【請求項4】
前記防水性露出面部及び前記防水性連結面部は、通気性を有して透湿性のあるシート素材に防水材をコーティングして防水性を有する構成としたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載のダブルウォールテント。
【請求項5】
前記防水性露出面部と前記防水性連結面部とを縫着連結して前記角縁部を構成し、この縫着部である角縁部にシームテープを止着したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のダブルウォールテント。
【請求項6】
前記土間部は、前記ボトムシートにめくり上げることで地面が露出するめくり上げ開閉部を形成して構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のダブルウォールテント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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