説明

チアゾール誘導体を使用する方法

【課題】本発明は、チアゾール誘導体、テトミラストの治療有効量を患者に投与することを含む、患者の疾患、障害、又は状態を治療する方法に関する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニストをテトミラストと共に、疾患、障害、又は状態を治療するために投与することにさらに関する。本発明は、抗炎症ステロイドを、テトミラスト及び少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニストと共に、疾患、障害、又は状態を治療するために投与することにさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアゾール誘導体、特にテトミラストを、βアドレナリン受容体アゴニスト及び/又は抗炎症ステロイドと組み合わせて使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テトミラスト(2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール;6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸)は、様々な疾患の治療に有用なチアゾール誘導体である。テトミラストの化学構造は、式1で提供している(http://www.who.int/druginformation/vol18num2_2004/proplist91.pdfも参照されたい)。
【化1】

【0003】
テトミラストは、インビトロ及びインビボの両方で、スーパーオキサイドの生成(例えば、参照によって完全に取り込まれる米国特許第5643932(RE37556)号)及び内皮への付着(例えば、参照により完全に取り込まれる米国特許第6291487号)を始めとする、活性化した好中球におけるいくつかの特異的な機能に関与してきた。テトミラストは、肺疾患のモルモットモデルにおいて、気道抵抗及び最大呼気流の改善も示した(例えば、参照により完全に取り込まれる米国特許公開第2004/0147563号)。さらに、テトミラストでの前治療により、インビトロでの健常なボランティアからのヒト全血において、リポポリサッカリド(LPS)誘導によるサイトカイン生成(腫瘍壊死因子α[TNF−α]、インターロイキン−1β[IL−1β]、及びインターロイキン−6[IL−6])の用量関連の抑制が生じる(例えば米国特許第6291487号)が、これは活性化したモノサイトに対する抑制効果の可能性を意味する。
【0004】
テトミラストは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及びいくつかの他の疾患、障害、又は状態の治療に提案されてきたが(例えば、米国特許公開第2004/0147563)、他の薬物との相互作用は、事前に解析されていなかった。したがって、テトミラストは、例えば呼吸器疾患、障害、又は状態を治療する他の薬物と組み合わせての使用に提案されたり、又は使用されたことはない。
【0005】
呼吸器の疾患、障害、又は状態は、気道制限(すなわち、肺の機能容積の減少)又は気道閉塞(すなわち、肺を出入りする気流速度に対する障害)のいずれかを生じる気道炎症により特徴づけられる。呼吸器疾患は、米国での死因第3位であり、1才未満の年齢の幼児に対しては死因の第1位である。
【0006】
COPDは、気流制限(気道閉塞)の進行的発生により特徴づけられる(Pauwels R.A.,et al.:Am.J.Respir.Crit.Care Med.、2001(163)、1256−1276)。COPDは、世界中の慢性の病的状態及び死亡の主な原因の1つであり、アジア太平洋地域においては、高齢化人口及び喫煙者数の増加により、COPDの患者が次の20年以内に急速に増加すると予測されている。
【0007】
従来からの呼吸器疾患の治療法は、気道炎症を緩和すること、したがって気道制限を軽減することを意図している。当分野で知られているそのような一方法が、サイトカイン生成に強力な抑制効果を有するコルチコステロイドなどの抗炎症剤を投与することを含む。しかし大規模な臨床研究のほとんどは、抗炎症のステロイドは、COPDの患者の、長期間にわたる進行性の肺機能低下を改善できず、その有用性が呼吸器疾患の症状の一時的な軽減に限られるということを示した(Pauwels R.A.,et al:N.Engl.J.Med.、1999(340)、1948〜1953;Vestbo J.et al.:Lancet、1999(352)、1819〜1823;Burge P.S.,et al.:BMJ、2000(320)、1297〜1303)。
【0008】
当分野で知られている、気道炎症を治療する第2の方法は、環状のアデノシン3’,5’一リン酸(cAMP)の細胞内濃度を上げることである。呼吸器疾患において、それに伴う気管支収縮及び炎症の過程に関与している主細胞は、cAMPによる抑制制御の対象となる。それ故、cAMP濃度を上げる化合物は、呼吸器疾患に伴う気道炎症及び気道制限を治療するために投与される場合が多い(Rabe K.F.et al.:Eur Respir J、1995(8)、637−342)。
【0009】
呼吸細胞内のcAMP濃度を上げることで知られる一機序は、β−アドレナリン受容体アゴニストなどの気管支拡張性薬物を投与することである。このような薬物は、気道の平滑筋上の受容体を活性化する。このような受容体は、一度活性化すると、アデニル酸シクラーゼを刺激して、cAMを合成する。したがって、アルブテロール(世界保健機関の推奨名、サルブタモール)及びサルメテロールなどのβ−アドレナリン受容体アゴニストは、呼吸器疾患用の従来からの治療法である。しかし、これらの気管支拡張性薬物は、抗炎症ステロイドのように、呼吸器疾患の患者の肺機能の長期間の劣化を改善できず、その有用性がこれらの疾患の症状の一時的な軽減に限られる(Billah M.M.et al.:JPET、2002(302)、127−137)。
【0010】
呼吸細胞内のcAMP濃度を上げることで知られる第2の機序は、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)を遮断することによってcAMPの分解を抑制することである。cAMP及び/又はcGMPを分解するPDE酵素ファミリーは、少なくとも11種存在する。PDEの形態の中には、cAMP−特異的アイソザイムPDE4があり、これは気道平滑筋並びに炎症性及び免疫担当細胞におけるPDEの主な成分である。しかし、このような薬物は、有害副作用、例えば、吐き気、嘔吐及び胃酸分泌の増加なども伴うという報告がなされている(Barnes P.J.:N.Engl.J.Med.、2000(343)No.4、269−280)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5643932(RE37556)号
【特許文献2】米国特許公開第2004/0147563号
【特許文献3】米国特許第6291487号
【特許文献4】米国特許公開第2004/0147563
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】http://www.who.int/druginformation/vol18num2_2004/proplist91.pdf
【非特許文献2】Pauwels R.A.,et al.:Am.J.Respir.Crit.Care Med.、2001(163)、1256−1276
【非特許文献3】Pauwels R.A.,et al:N.Engl.J.Med.、1999(340)、1948〜1953
【非特許文献4】Vestbo J.et al.:Lancet、1999(352)、1819〜1823
【非特許文献5】Burge P.S.,et al.:BMJ、2000(320)、1297〜1303
【非特許文献6】Rabe K.F.et al.:Eur Respir J、1995(8)、637−342
【非特許文献7】Billah M.M.et al.:JPET、2002(302)、127−137
【非特許文献8】Barnes P.J.:N.Engl.J.Med.、2000(343)No.4、269−280
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、テトミラストの治療有効量を患者へ投与することを含む、患者を治療する方法に関する。本発明の一実施形態において、少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニストは、テトミラストと共に投与し得る。本発明の別の実施形態において、抗炎症ステロイドは、テトミラスト及び少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニストとも投与し得る。テトミラスト、β−アドレナリン受容体アゴニスト、及び/又は抗炎症ステロイドは、同時に、別個に、又は逐次的に投与し得る。本発明は、呼吸器疾患、障害、又は状態、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)などを治療又は予防するために使用してもよい。
【0014】
前述の一般的記述及び以下の詳細な記述は、その両方が具体的及び説明的なもので、請求された本発明を拘束するものではないことを理解されたい。
【0015】
付随する図は、本明細書に取り込まれ、一部を構成するが、これらの図は本発明のいくつかの実施形態を例示し、記述と共に本発明の原理を説明する役目がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】テトミラスト及びプラシーボ群の、ベースライン(第1日目投与前)からのFEVトラフ値の平均変化を示すグラフである。
【図2】テトミラスト及びプラシーボ群の、ベースライン(第1日目投与前)からのFEVピーク値の平均変化を示すグラフである。
【図3】テトミラスト及びプラシーボ群の、FEVの平均変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で考慮されている方法は、参照により本明細書に完全に組み込まれている米国特許公開第2004/0147563号に記載のチアゾール誘導体である、テトミラストの治療有効量を、患者に投与することを含む。本方法の実施形態は、少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニスト及び任意選択で少なくとも1種の抗炎症ステロイドを投与することをさらに含む。
【0018】
「治療有効量」という句は、本明細書で使用する場合、患者の治療上の生理的及び薬理学的な反応を刺激するのに十分な、活性化合物の量を指す。活性化合物の有効量は、有害作用を生じることなしに、所望の生理的及び薬理学的な反応を刺激することが好ましい。
【0019】
本明細書により、患者とは、テトミラスト又はその組合せを必要とする任意の人間若しくは非ヒト動物、又はテトミラスト若しくはその組合せを用いた治療により利益が得られる、ヒト及び非ヒト動物を含めた任意の対象として定義される。治療の対象となる非ヒト動物は、すべての家畜及び野生の脊椎動物を含む。患者は、治療時に本発明の任意の1種の活性化合物の定常状態の血漿レベルを有することができる。
【0020】
「治療」及び「治療する」という用語は、本明細書で使用する場合、予防的治療及び対症療法の両治療方式を指す。
【0021】
本発明の方法は、呼吸器疾患、障害、又は状態などの、疾患、障害、又は状態を予防又は治療するのに使用し得る。呼吸器疾患、障害、又は状態とは、アレルギー性及び炎症性の肺及び上気道の疾患が挙げられる。具体的な呼吸器疾患、障害、又は状態は、喘息の状態(例えば、アレルギー性喘息、気管支喘息、運動誘発喘息、汚染誘発喘息、及び冷気誘発喘息)、急性呼吸促迫症候群、慢性又は急性の気管支収縮、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎(例えば、急性気管支炎、慢性気管支炎、閉塞性気管支炎、痙性気管支炎、アレルギー性気管支炎)、気腫、塵肺、細小気道閉塞、副鼻腔炎、気管支拡張、及び鼻炎(例えば、季節性又は通年性の鼻炎)を含むが、これらに限らない。
【0022】
本発明の実施形態は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を予防又は治療する方法を含む。COPDは、気流制限(気道閉塞)の進展を伴うことが多く、患者の気管支肺胞洗浄液及び痰の中にある炎症細胞は、好中球である。
【0023】
米国特許第5643932号、米国特許第6291487号、及び米国特許公開第2004/14563号で開示された様々な疾患、障害又は状態に加えて、テトミラストで予防又は治療し得る他の具体的な疾患、障害、又は状態は、再狭窄、婦人科系障害、変形性関節炎、湿疹、ループス腎炎、同種腎移植片不全、先天性閉塞性腎症、セリアック病、グレーヴズ病、甲状腺炎、筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、中枢神経系の脱髄性疾患(CNS)、脳脊髄炎、筋炎、及び移植片対宿主病(GvHD)を含むが、これらに限らない。
【0024】
テトミラスト
テトミラスト(2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール;6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸)は、様々な疾患の治療に有用なチアゾール誘導体であり、米国特許公開第2004/0147563号に記載されている。テトミラストの化学構造は、式1で提供される。
【化2】

【0025】
本明細書で使用され、本発明の式1で表されるテトミラストは、プロドラッグ、抱合体、又はテトミラストの活性化状態を提供することになる任意の他の形態を含む。テトミラストは、本明細書で使用する場合、その塩の形態(酸性及び塩基性の両方)、溶媒和化合物、多形体などを含むことをさらに意図する。
【0026】
β−アドレナリン受容体アゴニスト
「β−アドレナリン受容体アゴニスト」という句は、本明細書で使用する場合、β−アドレナリン受容体を刺激する化合物を指す。β−アドレナリン受容体は、気管支の平滑筋内の主な受容体である。β−アドレナリン受容体は、一度活性化するとアデニル酸シクラーゼを刺激してcAMPを合成する。本出願及び当技術分野で使用される同等の句は、「ベータアゴニスト」及び「βアゴニスト」が挙げられる。このβ−アドレナリン受容体アゴニストは、本明細書で使用する場合、そのラセミ体、立体異性体及びこれらの混合物、プロドラッグ、抱合体、又はβ−アドレナリン受容体アゴニストの活性化状態を提供する任意の他の形態を含む。さらに、任意のβ−アドレナリン受容体アゴニストは、本明細書で使用する場合、その塩の形態(酸性又は塩基性の両方)、溶媒和化合物、多形体などを含むことを意図している。
【0027】
β−アドレナリン受容体アゴニストは、例えば、アルブテロール(サルブタモール)、AR−C68397AA、アルホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、CHF−1035、クレンブテロール、ドペキサミン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、HOKU−81、イブテロール、イソエタリン、イソプレナリン、KUL−1248、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、ノロミロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメファモール、サルメテロール、シベナデト、ソテレノート(soterenot)、スルホンテロール、TA−2005、テルブタリン、チアラミド、ツロブテロール、エピネフリン、ノルエピネフリン、コルテロール、エチルノルエピネフリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、エフェドリン、GSK−597901、GSK−159797、GSK−678007、GSK−642444、GSK−159802、(−)−2−[7(S)−[2(R)−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルオキシ]−N,N−ジメチルアセトアミド塩酸塩一水和物、カルモテロール、QAB−149及び5−[2−(5,6−ジエチルインダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン、4−ヒドロキシ−7−[2−{[2−{[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[3−(4−メトキシベンジルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒルドキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−n−ブチルオキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−{4−[3−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−2−メチル−2−ブチルアミノ}エタノール、5−ヒドロキシ−8−(1−ヒドロキシ−2−イソプロピルアミノブチル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−(4H)−オン、1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−2−tertブチルアミノ)エタノール、及び1−(4−エトキシカルボニルアミノ−3−シアノ−5−フルオロフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールを含むがこれらに限らない。
【0028】
β−アドレナリン受容体アゴニストは、非選択性及び選択性のβアゴニストとして分類し得る。非選択性βアゴニストは、すべての種類のα−及びβ−アドレナリン受容体に作用する化合物を指し、これらの化合物は、エピネフリン、ノルエピネフリン、コルテロール、エチルノルエピネフリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、及びエフェドリンを含むが、これらに限らない。選択性β2アゴニストは、特異的にβ−アドレナリン受容体に作用する化合物を指し、これらの化合物は、アルブテロール(サルブタモール)、AR−C68397AA、アルホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、CHF−1035、クレンブテロール、ドペキサミン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、HOKU−81、イブテロール、イソエタリン、イソプレナリン、KUL−1248、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、ノロミロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメファモール、サルメテロール、シベナデト、ソテレノート、スルホンテロール、TA−2005、テルブタリン、チアラミド、ツロブテロール、GSK−597901、GSK−159797、GSK−678007、GSK−642444、GSK−159802、(−)−2−[7(S)−[2(R)−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルオキシ]−N,N−ジメチルアセトアミド塩酸塩一水和物、カルモテロール、QAB−149及び5−[2−(5,6−ジエチルインダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン、4−ヒドロキシ−7−[2−{[2−{[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[3−(4−メトキシベンジルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒルドキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−n−ブチルオキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−{4−[3−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−2−メチル−2−ブチルアミノ}エタノール、5−ヒドロキシ−8−(1−ヒドロキシ−2−イソプロピルアミノブチル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−(4H)−オン、1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−2−tertブチルアミノ)エタノール、及び1−(4−エトキシカルボニルアミノ−3−シアノ−5−フルオロフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールを含むが、これらに限らない。
【0029】
βアドレナリン受容体アゴニストは、長時間作用性又は短時間作用性としても分類し得る。「長時間作用性」は、気管支に対して約6時間以上の効果を有する薬物を指し、いくつかの例では約12時間まで持続し得る。「短時間作用性」は、気管支に対して約6時間未満の効果を有する薬物を指す。
【0030】
本発明で考慮する、β−アドレナリン受容体アゴニストの具体的な実施形態は、アルブテロール又はサルメテロールを含む。さらなる実施形態において、β−アドレナリン受容体アゴニストは、キシナホ酸サルメテロールである。
【0031】
抗炎症ステロイド
「抗炎症ステロイド」という句は、本明細書で使用する場合、当分野では周知であり、炎症を低下又は予防する化合物を指し、立体異性体及びその混合物、エステル、プロドラッグ、抱合体、又は抗炎症の活性を提供する任意の他の形態を含む。抗炎症ステロイドは、本明細書で使用する場合、その塩(酸性及び塩基性の両方)、溶媒和化合物、多形体などを含むことを意図する。
【0032】
抗炎症ステロイドの例は、コルチコステロイド、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ブチキソコート、シクレソニド、ピバル酸クロコルトロン、デフラザコート、デキサメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プロピオン酸デプロドン、フィメキソロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルニソリド、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、酢酸ハロプレドン、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、メチルプレドニゾロン、アセポン酸メチルプレドニゾロン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、モメタゾン、ナフロコート、プレドニゾン、プレドニゾロン、ファルネシル酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニカルベート、リメキソロン、ロフレポニド、トリアムシノロン(例えば、アセトニドとして)、チプレダン、6α、9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17b−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−oco−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、RPR−106541、及び5T−126(SSP−Torii)を含むが、これらに限らない。
【0033】
メチルプレドニゾロン及びプレドニゾンは、経口及び注射剤の形態の抗炎症性コルチコステロイドであり、多数のブランド及びジェネリック製薬会社から市販されている。プロピオン酸ベクロメタゾンは、吸入用エアロゾルとして、GlaxoSmithKline社から、Beconase(登録商標)及びBeconase AQ(登録商標)の名称で販売されている。プロピオン酸フルチカゾンは、GlaxoSmithKline社から、Flonase(登録商標)の名称で販売されている。トリアムシノロンアセトニドは、スプレー式点鼻薬及びエアロゾルとして、Rhone−Poulenc Roher社から、Nasocort(登録商標)の名称で販売されている。フルニソリドは、経鼻の溶液としてRoche Laboratories社から、Nasalide(登録商標)及びNasarel(商標)の名称で販売されている。デキサメタゾンは、リン酸ナトリウムとして、Medeva Pharmaceuticals、Incから、Dexacort(商標)リン酸の名称で販売されている。フランカルボン酸モメタゾンは、一水和物として、経鼻の製剤として、Schering Corpから、Nasonex(登録商標)の名称で販売されている。ブデソニドは、肺疾患の治療に使用される、さらに別の吸入コルチコステロイドである。ブデソニドは、Turbuhaler(登録商標)デバイス内の粉末として、Astra Pharmaceuticals, L.P.より、Pulmicort Turbuhaler(登録商標)の名称で市販されている。このような薬物及び経鼻の製剤又は経口若しくは注射用配合物はすべて、Medical Economics Corporation, Inc, of New Jersey、USAより発行されている1999年版Physicians’ Desk Reference(登録商標)(PDR)に載っている。
【0034】
本発明で考慮する抗炎症ステロイドの具体的な実施形態は、フルチカゾンを含む。本発明のさらなる実施形態において、抗炎症ステロイドは、プロピオン酸フルチカゾンである。
【0035】
活性化合物の調製
上述のように、本発明の活性化合物はまた、例えばその塩の形態及び/又は溶媒和化合物(例えば、水和物)、及び/又はそのN−酸化物などの形態でも存在し得る。
【0036】
活性化合物の塩の形態は、その塩基性の塩及び酸付加塩を含む。本発明の実施形態において、塩は、「薬学的に許容される塩」であってよく、塩は、活性化合物の遊離型と比較して、活性化合物の薬物動態学的な特性を改善し得る。活性化合物は、薬学的に許容される塩の形態をとることにより、以前にはなかった望ましい薬物動態学的な性質をも最初から付与し、体内の治療活動に関しては、活性化合物の薬物動力学的性質にプラスの影響さえ与え得る。
【0037】
好ましい影響を受け得る活性化合物の薬物動態学的な特徴には、例えば細胞膜を通して活性化合物を輸送する方法などが含まれるが、これは次に活性化合物の吸収、分布、生体内変換及び排出に、直接及びプラスの影響を与え得る。
【0038】
本発明の活性化合物の塩の形態は、従来の手段で調製し得る。活性化合物が酸性基を含有する場合、その適切な塩は、化合物を十分な量の適切な塩基に反応させて、対応する塩基付加塩を得ることによって形成し得る。そのような塩基の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化リチウムを含めたアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウム及び水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド(例えば、カリウムエタノレート及びナトリウムプロパノレートなど);並びにピペリジン、ジエタノールアミン及びN−メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。本発明の活性化合物のアルミニウム塩もまた含まれる。
【0039】
したがって、活性化合物の薬学的に許容される塩基性の塩は、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、三価鉄塩、二価鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、第1マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、及び亜鉛塩を含むが、これらに限らない。
【0040】
或いは酸付加塩は、遊離塩基の形態の活性化合物を、十分な量の薬学的に許容される有機酸又は無機酸で処理することによって形成し得る。例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩などのハロゲン化水素酸塩;硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの他の鉱酸及びその対応する塩;エタンスルホネート、トルエンスルホネート、及びベンゼンスルホネートなどのアルキルスルホネート及びモノアリルスルホネート;並びに酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などの他の有機酸及びその対応する塩を含むが、これらに限らない。
【0041】
したがって、本発明の活性化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、樟脳、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、リン酸二水素塩、ジニトロベンゾエート、ドデシル硫酸塩、エタンスルホネート、フマル酸塩、ガラクテレート(粘液酸から)、ガラクトウロネート、グルコヘプタノエート、グルコネート、グルタメート、グリセロホスフェート、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタノエート、ヘクサノエート、ヒップレート、塩化水素塩、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヨウ化物、イセチオン酸塩、iso−酪酸塩、乳酸塩、ラクトバイネート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデレート、メタホスフェート、メタンスルホン酸塩、メチルベンゾエート、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホネート、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチネート、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオネート、リン酸塩、ホスホン酸塩、及びフタル酸塩を含むが、これらに限らない。
【0042】
上述のように、本発明の活性化合物は、その立体異性体も含む。「立体異性体」という用語は、同じ分子式を有し、原子が同じ順番で結合しているが、空間での原子の並び方が異なる化合物を指す。立体異性体はエナンチオマー(光学異性体とも呼ばれ、ミラーイメージであり、比旋光度が等しいが反対である立体異性体)及びジアステレオマー(ミラーイメージではない立体異性体)を含む。
【0043】
本発明の活性化合物は、そのエステルも含む。「エステル」という用語は、エステル化反応から生成された活性化合物を指し、エステル化反応においてカルボン酸は、水分子の損失を通してアルコールと反応する。
【0044】
医薬組成物、配合物及び投与の方法
本発明の医薬組成物は、上述した活性化合物の任意の1種又は複数を含む。医薬組成物は、患者への投与のためのそのような担体の特性及び期待される性能に従い、薬学的に許容される担体も含み得る。
【0045】
本明細書で使用する場合「担体」という用語は、許容可能な希釈剤、賦形剤、アジュバント、媒体、可溶化補助剤、粘度調整剤、保存剤、及び患者へ投与される最終医薬組成物に好ましい特性を付与することで知られている他の薬剤を含む。
【0046】
より詳細には、本発明により考慮される担体は、所望の又は所定のpHを得るために、酸化及びアルカリ化する薬剤、抗菌剤(抗菌、抗真菌、及び抗原虫性薬剤を含む)、医薬組成物の成分を損傷又は分解から保護する抗酸化剤、所望のpHを維持するための緩衝剤、イオン強度を維持するためのキレート化剤、分散剤及び懸濁剤、乳化剤、賦形剤、保存剤、安定剤、糖、及び界面活性剤を含む。このような様々な種類の担体の治療上許容可能な例は、当業者には知られており、特異的な例は以下で考察する。
【0047】
本発明の一実施形態において、本方法は以下の組合せの1つを投与することを含む。1)テトミラスト及びアルブテロール、2)テトミラスト及びキシナホ酸サルメテロール、3)テトミラスト、アルブテロール、及びプロピオン酸フルチカゾン、並びに4)テトミラスト、キシナホ酸サルメテロール、及びプロピオン酸フルチカゾン。
【0048】
本明細書で使用する場合、活性化合物を単独で投与する場合と比較して、活性化合物の組合せにより生理的及び薬理学的な反応が増強する場合には、活性化合物の組合せは「より効果的」であり得る。或いは、活性化合物の組合せにより、活性化合物を単独で投与する場合と同じレベルの生理的及び薬理学的反応が生じ、組合せた各活性化合物の投与量が、活性化合物を単独で投与する場合と同じレベルの反応を生じるのに必要な投与量よりも低い場合には、その組合せは「より効果的」であり得る。最後に、活性化合物の組合せは、活性化合物を単独で投与する場合と比較して、組合せにより追加の生理的及び薬理学的反応が生じる場合、その組合せは「より効果的」であり得る。
【0049】
本発明の活性化合物は、治療する疾患、障害、又は状態の性質により、任意の適切な経路で投与してもよい。例えば化合物は、シロップ、錠剤、カプセル剤、又はロゼンジなどとして、徐放性製剤又は即効型製剤のいずれかで経口投与してもよい。或いは、本発明の化合物は、乾燥粉末、溶液、分散液などとして、吸入により投与してもよい。化合物は、クリーム、軟膏、ローション、スプレー式点鼻薬、エアロゾルなどとして、局所的に投与してもよい。最後に、化合物は代わりに、非経口、皮内、皮下、筋肉内、又は静脈内の注射に使用してもよい。
【0050】
医薬配合物は、医薬品分野で知られている任意の方法で調製してもよい。一般的に配合物は、活性化合物(複数可)を液体の担体又は細かく分割した固体担体と、又はこれらの両方と、均一に及び本質的に結合させることによって調整し、次いで必要に応じて、生成物を所望の配合物へと形作る。
【0051】
経口投与に適した本発明の配合物は、活性化合物(複数可)の所定の量を含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤などの個別の単位として提供してもよい。配合物は、粉末又は粒剤、水性又は非水性の液体中の溶液又は懸濁液、また水中油型の液体乳濁液又は油中水型の液体乳濁液であってよい。活性化合物(複数可)は、ボーラス、し剤又はペーストとして提供してもよい。
【0052】
経口組成物は、一般的に不活性希釈剤又は食用担体を含む。活性化合物(複数可)を、賦形剤に取り込んでもよい。うがい薬として使用するため、経口組成物を液体担体を用いて調製することもでき、この場合液体担体内の活性化合物は、口から投与し、口の中でうがいをし(swished)、はき出すか又は飲み込む。薬剤に適合性のある結合剤及び/又は免疫賦活剤の物質を組成物の部分として含んでもよい。結合剤は、例えば、微結晶性のセルロース、ガムトラガカント、又はゼラチンを含んでもよい。賦形剤は、例えば、デンプン又はラクトースを含んでもよい。アルギン酸、又はコーンスターチなどの崩壊剤を加えてもよい。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、又はコロイド性二酸化ケイ素などの摺滑剤などを加えてもよい。最後に、ハッカ、サリチル酸メチル又はオレンジ香料などの着香料も経口組成物に加えてもよい。
【0053】
経口組成物がシロップの形態である場合、その配合物は、一般的に液体担体中の化合物若しくは塩の懸濁液又は溶液からなることになる。液体担体の例は、エタノール、ピーナッツオイル、オリーブ油、グリセリン、又は水である。
【0054】
組成物が錠剤の形態である場合、固体配合物を調製するのに通常使用されている任意の医薬品担体を使用し得るが、これらは、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、デンプン、ラクトース、及びショ糖を含む。錠剤は、加圧又は成型で、任意選択で1種又は複数の副成分と作製し得る。圧縮による錠剤は、活性化合物を自由に流動する形態、例えば粉末又は粒剤で、任意選択で、結合剤、潤滑剤、不活性な希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合させて、適切な機器内で加圧することにより調製し得る。成型した錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状の化合物(複数可)の混合物を適切な機器で成型することによって作製し得る。錠剤は、任意選択でコーティングするか又は刻みをいれるか、さらに配合を行うことによって、持続放出又は徐放性の活性化合物をその中に入れて提供し得る。
【0055】
組成物が、カプセル剤の形態である場合には、任意の普通の封入、例えば、硬質又は軟質のゼラチンカプセルシェルが適切である。
【0056】
徐放性配合物においては、生分解性及び/又は生体適合性のポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物(polyanhydres)、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリアクト酸などを使用し得る。
【0057】
吸入による投与の典型的な組成物は、乾燥粉末又はフッ素化した炭化水素(例えば、トリクロロフルオロメタン)などの従来の噴霧剤を用いたエアロゾルの形態として投与される溶液、懸濁液、又は乳濁液の形態である。乾燥粉末の形態の組成物は、ラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤(担体)を含有してもよく、吸入器又は注入器での使用のための異なる一次包装システム(例えば、カプセル剤及びカートリッジ又はブリスタ)で提供してもよい。
【0058】
配合物の包装は、一回又は複数回のデリバリーに適切であってよい。複数回のデリバリーの場合、配合物は、予備計量するか、又は使用中に計量してもよい。乾燥粉末吸入器は、1)一回分の使用、2)一回分を複数回、及び3)複数回分の使用のデバイスの3種類に分類される。
【0059】
一回分の吸入器では、一回分の用量は、製造者により小さい容器に秤量されていてもよく、小さい容器と通常は硬質カプセルである。カプセル剤は、個別のボックス又は容器から取り出し、吸入器の受口の部分へ注入する。次にカプセル剤が開封されるか、又はピン若しくは切刃で穿孔処理されることによってした吸息した空気流の部分がカプセル剤を通り抜けて粉末を飛沫同伴するか、又は吸入中に穿孔を通してカプセル剤から粉末が放出される。吸入後、空になったカプセル剤は、吸入器から取り除く。
【0060】
一部のカプセル剤吸入器は放出部を有し、ここから個々のカプセル剤が受取りチャンバーへと伝達され、受取りチャンバー内で穿孔され及び中身が出る。他のカプセル剤吸入器は、カプセル剤用チャンバー付きの回転放出部を有し、この回転放出部を空気路に合わせることによって用量が放出されてもよい。
【0061】
ブリスター用吸入器は、カプセル剤吸入器よりも薬物に対する水分保護が優れている。粉末は、カバーに加えブリスター箔に穴をあけるか、又はカバー箔をはがすことによって取り出すことができる。
【0062】
複数回用の吸入器は、通常事前に測定した量の粉末配合物を含有していない。これらの吸入器は一般的には、容器と、患者によって操作される用量を測定する仕組みとで構成される。容器は、容積測定の置換えによって個々に単離される複数回分の用量を有する。回転する膜又はディスク、回転するシリンダー、及び回転する円錐台を含めた、様々な用量測定の仕組みが存在するが、これらすべてには、容器からの粉末を充填しなければならない空洞がある。他の複数回用デバイスは、容器からの特定の容量の粉末をデリバリーチャンバー又は空気路へ移動させるための部分的又は円周方向に凹みがある測定用スライド又は測定用プランジャーを有する。
【0063】
乾燥粉末の吸入器を介した応用とは別に、本発明の組成物は、水溶液若しくは懸濁液として、又は加圧した包みから送達されるエアロゾルとして投与し得る。吸入に適切なエアロゾル組成物は、懸濁液又は溶液のいずれかで、一般的に活性成分(複数可)及びフルオロ炭素又は水素含有のクロロフルオロ炭素、又はこれらの混合物などの適切な噴霧剤を含有する。エアロゾル組成物は賦形剤を含まなくてもよいし、任意選択で追加の配合賦形剤(例えば、オレイン酸又はレシチン)及び共溶媒(例えば、エタノール)を含有してもよい。加圧した配合物は、一般的にバルブで閉められたキャニスター内に保持し、マウスピースを備えたアクチュエータにはめ込むことになる。
【0064】
吸入による投与のための薬物は、粒度を制御することが望ましい。気管支系への吸入に対する最適の粒度は、通常1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。20μmよりも大きなサイズの粒子は、吸入によって狭い気道に到達する場合には、一般的に大きすぎる。このような粒度を達成するために、活性化合物(複数可)の粒子は、微粉化などの従来の手段によってサイズを減少させてもよい。空気分級又はふるい分けによって、所望する画分へと分離してもよい。粒子は、結晶性となることが好ましい。
【0065】
加圧したエアロゾル組成物は、一般的にバルブ、特に計量バルブを装着したキャニスターに仕込むことになる。キャニスターは、任意選択でプラスチック物質(例えば、フルオロ炭素ポリマー)でコーティングしてもよい。キャニスターは、口腔デリバリーに対応しているアクチュエータにはめ込んでもよい。
【0066】
経鼻デリバリー用の典型的な組成物は、吸入に関して上述したものを含み、点鼻薬用ポンプによって投与し得る、水などの不活性媒体中の溶液又は懸濁液の形態での非加圧の組成物、さらに任意選択でそれを緩衝液、抗菌剤、粘膜付着性薬剤、等張化変性剤、及び粘度変性剤などの従来の賦形剤と組合せたものをさらに含む。
【0067】
典型的な皮膚及び経皮の配合物は、従来の水性又は非水性の媒体を含む。例えば、媒体は、クリーム、軟膏、ローション、若しくはペーストであってよく、又は薬用の絆創膏、パッチ又は膜の形態であってよい。
【0068】
非経口、皮内、又は皮下の適用に対して典型的な組成物は、水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールなどの無菌の希釈剤、又は他の合成溶媒を含み得る。組成物は、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸又は重硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤、及び酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝液も含み得る。組成物は、塩化ナトリウム又はブドウ糖などの張度を調整するための薬剤、及び塩化水素酸などの酸又は水酸化ナトリウムなどの塩基を含めたpHの調整のための薬剤も含み得る。組成物は、ガラス又はプラスチックでできた、アンプル、使い捨てシリンジ、又は複数の用量のバイアルに封入してもよい。
【0069】
注射剤としての使用に適切な医薬組成物は、無菌の水溶液又は分散液、及び無菌の注射用の溶液又は分散液の即時調合のための無菌の粉末を含む。静脈内投与に対し、適切な担体は、生理的食塩水、静菌性水、又はリン酸塩で緩衝した生理食塩水を含む。すべてのケースで、その組成物は、無菌であるべきであり、容易に注入可能な程度の流動性を有するべきである。組成物は、製造及び貯蔵の状態で安定しているべきであり、細菌及び真菌などの微生物による汚染作用に対抗して保存されるべきである。担体は、溶媒又は分散媒、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びその適切な混合物であってよい。適切な流動度は、例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合必要な粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により維持してもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗菌の及び抗真菌の薬剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成し得る。多くの場合、組成物は、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール例えばマンニトール、ソルビトールなど、又は塩化ナトリウムなどを含むことになる。吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることで、注射剤組成物の吸収を延長させることもできる。
【0070】
無菌の注射剤溶液は、必要量の活性化合物(複数可)を、適切な溶媒中で、上に列挙した成分の1種又はそれらの組合せと共に組み込むことによって、必要に応じて、その次に殺菌濾過を行うことによって調製し得る。一般的に、分散液は、活性化合物(複数可)を、塩基性分散媒及び上に列挙したものの中で他の必要成分を含有する無菌媒体に組み込むことによって調製する。真空乾燥及び凍結乾燥によって事前に無菌濾過した溶液から活性成分の粉末とさらに所望する任意の追加成分が産生されるが、真空乾燥及び凍結乾燥を使用して、無菌の注射剤溶液に使用する無菌の粉末を調製してもよい。
【0071】
本発明の組成物は、単一用量が患者に投与されるように、単位剤形の形態、例えば、錠剤、カプセル剤、又は計量したエアロゾルとしてもよい。
【0072】
所望の治療効果を達成するために必要な各活性化合物の量は、もちろん特定の化合物、投与経路、治療中の被検者、及び治療している特定の疾患、障害、又は状態によって変わることになる。併用療法においては、活性化合物の個々の作用が相互にプラスに影響及び強化し得るので、単独で投与する場合の個々の化合物の通例の用量と比較して、活性化合物の組合せによる投与のそれぞれの用量を減少させることも可能となり得る。したがって、標準的な実験的試験を実行することによって、追加の治療有効量を同定することもできる。
【0073】
一般的に、経口投与の各用量単位には、本発明の活性化合物約0.3mg〜約100mgを含有し得る。非経口投与の各用量単位には、活性化合物約0.1mg〜約100mgを含有し得る。鼻腔内投与の各用量単位には、各活性化につき活性化合物約1μg〜約400μgを含有し得る。乾燥粉末の吸入量は、各用量単位につき活性化合物約1μg〜約1000μgを含有し得る。局所的配合物は、本発明の活性化合物約0.001%〜約5.0%を含有するのが適切である。
【0074】
本発明の一実施形態において、テトミラストは、患者に1回の投与につき約25mg〜約100mg投与してもよい。別の実施形態において、テトミラストは、1回の投与につき約25mg〜約75mg投与してもよい。さらに別の実施形態において、テトミラストは、1回の投与につき約50mg投与してもよい。別の実施形態において、テトミラストは経口投与してもよい。
【0075】
β−アドレナリン受容体アゴニストは、1回の投与につき約25μg〜約800μg投与してもよい。本発明の一実施形態において、β−アドレナリン受容体アゴニストは、1回の投与につき約90μg〜約720μg投与してもよい。別の実施形態において、β−アドレナリン受容体アゴニストは、90分間経過する間に約720μg投与してもよい。さらに別の実施形態において、β−アドレナリン受容体アゴニストは、1回の投与につき約90μg投与してもよい。β−アドレナリン受容体アゴニストは、吸入で投与してもよい。具体的な実施形態では、β−アドレナリン受容体アゴニストはアルブテロールである。別の実施形態において、β−アドレナリン受容体アゴニストは、キシナホ酸サルメテロールである。キシナホ酸サルメテロールは、1回の投与につき約50μg〜約200μg投与してもよい。さらに別の実施形態において、キシナホ酸サルメテロールは、1回の投与につき約50μg投与してもよい。
【0076】
抗炎症ステロイドは、1回の投与につき約25μg〜2000μg投与してもよい。本発明の一実施形態において、抗炎症ステロイドは、1回の投与につき約50μg〜約1000μg投与してもよい。別の実施形態において、抗炎症ステロイドは、1回の投与につき約250μg投与してもよい。抗炎症ステロイドは、吸入で投与してもよい。具体的な実施形態では、抗炎症ステロイドはプロピオン酸フルチカゾンであってよい。
【0077】
活性化合物は、1日1〜6回投与してもよい。本発明の実施形態において、活性化合物は、1日1回又は2回投与されている。
【0078】
活性化合物は、個別、2成分型又は3成分型の剤形(又はそれ以上)として共に投与してもよいし、異なる剤形として投与してもよい。活性化合物は、同時に投与してもよいし、近い又は離れた時刻のいずれかに、例えば1種又は2種の化合物(複数可)を朝に投与して、他の化合物(複数可)を晩に投与することもできる。したがって、例えば、本発明のβ−アドレナリン受容体アゴニスト及び抗炎症ステロイドは、2成分の剤形として一緒に、テトミラストは個別の剤形で配合し、この2つの剤形を同時に、別個に、又は逐次的に投与してもよい。組合せは、予防的に又は症状が現れ始めてから使用してもよい。一部の例では、その組合せを使用して、呼吸器疾患、障害、又は状態の進行を予防したり、呼吸機能の低下を停止し得る。
【0079】
本発明の一実施形態において、すべての活性化合物は、同時に、又は非常に近い時刻に投与し得る。
【0080】
本発明による活性化合物は、経口投与、又は吸入器、特に乾燥粉末の吸入器の助けを借りてデリバリーを行う吸入のための組成物の形態で投与し得る。例えば、テトミラストは、経口投与してもよく、β−アドレナリン受容体アゴニスト及び抗炎症ステロイドは、吸入により投与してもよい。しかし、他の任意の形態又は応用が可能である。
【実施例】
【0081】
以下の記述は、本発明を例示することを目的とし、明示又は黙示を問わず、本発明の範囲を決して制限することを意図していない。本明細書に付随の特許請求の範囲は、本発明を説明し、本発明で熟慮された範囲を表現し、本発明の特徴を指摘することを目的とする。
【0082】
方法
以下に記載の試験に、以下の方法を使用した。
【0083】
血液採取及び分析
テトミラスト、アルブテロール、及びプロピオン酸フルチカゾンの濃度を求めるために血液を採取した。投与前のベースラインのための収集血液を治療前に取った。薬物動態学的な(PK)血液試料を投与前及び投与後に採取した。PK分析のため、各被検者から総量約70mLの血液を取った。
【0084】
テトミラスト及びプロピオン酸フルチカゾンの濃度を求めるために、5mLの血液試料を緑色の先端部(テトミラスト)又はラベンダー色の先端部(プロピオン酸フルチカゾン)のVacutainer(登録商標)チューブ(ヘパリン抗凝血薬を含有)に採取した。各チューブを穏やかに3〜4回反転させ、15分間以内の間氷浴内に置いた。各チューブを冷却遠心機(4℃)内で、毎分2000〜3000回旋(rpm)で、最低10分間の間回転させた。分離した血漿は、等しく分割して2本のポリプロピレンチューブに入れ、−20℃以下で保存した。1本のチューブは、分析用に発送し、もう1本のチューブは、本試験終了時まで−20℃以下で保存した。
【0085】
アルブテロールの濃度を求めるために、5mLの血液試料を赤い先端部のVacutainer(登録商標)チューブに採取した。各チューブは、室温で30分間の間凝固させた。各チューブを冷却遠心機(4℃)内で、2000−3000rpmで最低10分間の間回転させた。分離した血清は、次いで等しく分割して2本のポリプロピレンチューブに入れ、−20℃以下で保存した。1本のチューブは、分析用に発送し、もう1本のチューブは、本試験終了時まで−20℃以下で保存した。
【0086】
薬力学的評価
被検者を安静にし、3分以上の間、仰臥位にした後、12リード心電図(ECG)にかけた。スクリーニング及び治療前のベースライン(第0日目)の測定に加え、治療期間中の特定の時間にもECGを記録した。本試験に使用したすべての12−リードECGモニターを、較正及び標準化した。心室の速度、PR間隔(心電図のP波開始時間と、QRS間隔の開始との間の経過時間、これは心房を介しての電気的活動に相当する)、QRS間隔(心室を介しての電気的インパルスの動作)、QT/QTc間隔(QT間隔は、心臓の電気的サイクルにおけるQ波の開始と、T波の終了との間の時間を測定し、QTcは、Fridericiaの式[QTcF]及びBazettの式[QTcB]によって求められるQT間隔を補正したもの)、及び全体のECG解説(健常又は異常)を文書に記録した。測定は、適切な場合には、任意の血液試料も採取の前に記録した。各ECGの原本は、少なくとも3部(現場用、スポンサー用、ECGの主要提供者にそれぞれ1部ずつ)作成した。ECGの各原本は、研究者によって署名され、日付が入れられた。ECGは、eResearch Technologies、Inc.(Philadelphia、PA)が再読した。
【0087】
スクリーニング、ベースライン(第0日目)、及び治療期間中の特定の時間における、血清のカリウム濃度を求めるために、血液試料を採取した。
【0088】
被検者を3分以上の間座らせた後で、バイタルサイン(心拍及び収縮期圧)を測定した。スクリーニング及びベースライン(第0日目)に加えて、バイタルサインは、治療期間中の特定の時間に測った。可能な場合に、測定はいずれの血液試料の採取前に実施した。
【0089】
肺機能検査(PFT)
試験期間中、被検者の呼吸の状態をモニターするために、肺機能検査を行った。流量曲線をスパイロメトリーを介して取った。Combivent(登録商標)(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals、Inc.、Ridgefield CT)は、以下に記載の試験期間中必要に応じて短時間作用性の救助用に使用したが、いずれのスパイロメトリー試験の場合でも6時間前からその使用を差し控えた。スパイロメトリー試験は、スクリーニング、ベースライン(第0日目)、及び治療期間中の特定の時間に実施した。各被検者、試験の任意の時点で、各自5つまでのスパイロメトリーの記録を取れた。スパイロメトリーの記録は、主要提供者であるQuantum Research、Inc.(Louisville、CO)製の機器を用いて実施した。すべてのスパイロメトリーの記録は、残され、Quantum Research、Inc.へ分析のために送られた。
【0090】
スパイロメトリーの記録に関しては、以下に示すような最善の計測試行を行った。1秒間における努力呼気量 (FEV) のうち、許容できる最高値を所定の試験期間の「最高値」として選択した。2つ以上のFEV値がピーク値として並んだ場合、これらの計測試行で得られたFEV値及び努力性肺活量 (FVC) の和を使用した。2回の計測試行の間で、条件が同じであった場合には、試行の日付と時間に基づき、実施した順番で最初の試行で得られた数値を記録した。
【0091】
(実施例1)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者へのテトミラスト及びアルブテロールの同時投与
本実施例では、テトミラストとアルブテロールを組合せて投与することの効果を検討した。
【0092】
本試験は多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー、反復投与により27名の外来COPD患者に対して実施された。全ての被験者は、ベースラインの前に28日間にわたる吸入ステロイド及び/又は長時間作用性の気管支拡張剤及び/又は持続酸素吸入(1日あたり16時間以上)の休薬と、7日間にわたる経口β2−アゴニスト及び/又は経口テオフィリン塩の休薬を行った。無作為化された被験者には8日間、1日1回(QD)のプラセボ又はテトミラスト(50mg用量:2×25mg錠剤)が経口投与された。試験第8日目に、定量吸入器(MDI)及び支持チャンバー(Ventolin(登録商標)、GlaxoSmithKline、Research Triangle Park、NC)を介して連続4回のアルブテロール(アルブテロール基剤として90μg/パフ)が吸入投与された。すなわち、90μg+90μg+180μg+360μgでアルブテロール基剤として全用量720μg、或いは合計8パフを30分毎に1回の投与として90分間にわたり行った。
【0093】
被検者らは、7日間の休薬期間(試験第9〜15日目)に入り、続いて他方の治療選択肢(プラシーボ又はテトミラスト経口用量50mg)へのクロスオーバーが行われた。[0091]の試験第23日目において、吸入によるアルブテロールの反復投与が繰り返された。
【0094】
第1〜6日目及び第17〜21日目に、被検者らは、経口の被験薬物(プラシーボ又はテトミラスト50mg)を8オンスの水と共に朝食の直前に取るように指示された。プラシーボの選択肢に振り分けられた被検者らは、QDにプラシーボ錠剤2錠を受け取った。第7日目、8日目、16日目、22日目、及び23日目に、被検者らは、クリニックで、研究スタッフの面前で経口の薬物(プラシーボ又はテトミラスト50mg)を飲んだ。
【0095】
PK試料を採取する試験日、クリニックでアルブテロールの反復吸入投与が行われた日、及び/又はスパイロメトリー試験が実施された日を除いて、試験期間を通して必要に応じて、短時間作用性の救助用にCombivent(登録商標)吸入エアロゾルの使用が許可された。PK試料を採取するすべての試験日には、Combivent(登録商標)は、PKを取る6時間前からその使用を差し控えた。さらに、試験日第8日目及び第23日目(クリニックでアルブテロールの反復吸入投与が行われたとき)には、PK評価の6時間前から、及びクリニック来診の期間中はずっと、Combivent(登録商標)の使用を差し控えた。Combivent(登録商標)は、スパイロメトリー試験の6時間前から使用を差し控えた。Combivent(登録商標)吸入エアロゾルの推奨用量は、2吸入を1日4回である。本試験において、被検者らは、必要に応じて追加の吸入を行うことを許可されているが、その吸入の全回数は、24時間で12回を上回らないものとした。被検者らは、初めて使用する前と、エアロゾルを24時間よりも長い時間使用していなかった場合とには、「試験的噴射」を3回行うことになっていた。
【0096】
スクリーニングの際には、アルブテロール可逆性試験を行った。アルブテロール可逆性は、以下の3ステップからなる:(1)被検者らは、FEV値測定のために、ベースラインスパイロメトリー試験を実施した、(2)被験者らは、3〜5分間の間隔をあけて2パフのアルブテロール吸入投与を受けた、(3)2度目のアルブテロールを吸入した30分後に、被検者らは、FEV値測定のための2回目のスパイロメトリー試験を実施した。
【0097】
第8日目と第23日目に、アルブテロールの反復吸入投与を以下の時間に実施した。0時間 (1パフ)、30分 (1パフ)、1時間 (2パフ)、及び1.5時間 (4パフ)。投与前と、次いでその後に続くアルブテロールの各吸入投与の後、5分及び25分ごと (5、25、35、55、65、85、95、及び115分) 及び175、235、295、及び355分に肺機能検査及びパルス酸素測定によって評価を行った。第8日目及び第23日目で、上に明記した間隔で流量曲線を評価したが、可逆性は検討しなかった。
【0098】
肺機能検査の結果により、患者の呼吸状態の測定値は、プラシーボ群よりもテトミラスト群の方が一貫してより高いことが明らかとなった。例えば、定常状態のベースライン測定値から、第8/23日目のFEVの測定値への平均変化量の範囲は、テトミラスト投与群で0.16〜0.34Lであり、プラシーボ投与群で0.13〜0.29Lであった(表1、図3)。このような差は、統計学的に有意であることを示した。
【0099】
【表1−1】


【表1−2】

【0100】
同様にテトミラスト群におけるベースライン測定と第8/23日目のFVC測定値との間の平均変化量は、最初のアルブテロールを吸入投与した後の各時点において、投与後5分を除いては、一貫してプラセボ群よりも高かった。定常状態のベースラインと第8/23日目との間のFVCの平均変化量の範囲は、テトミラスト投与群では0.27〜0.53Lであり、プラシーボ投与群では、0.15〜0.43Lであった(表2)。ここでも、このような差は、統計学的に有意であることが示された。
【0101】
【表2−1】


【表2−2】

【0102】
さらに本試験は、FEV又はFVCの改善の差を検出するほどの検出力を持っていないにもかかわらず、探索的な繰り返し測定の分析によって、吸入によるアルブテロールの効果は、テトミラストと組み合わせた場合増強する可能性があることが示された。第8/23日目のアルブテロール誘発中のFEV及びFVCの平均値が大きいことから明らかなように、テトミラストと一緒に吸入したアルブテロールは、アルブテロールを単独で吸入した場合と比較して、より大きな効力があり、作用の期間は延長したようにみえた(表3及び4)。肺機能検査測定は、アルブテロールの吸入投与後、6時間までしか取らなかったので、この効果がどれくらい持続するのか知られていない。このような計算結果は、併用療法の効果は相加的効果を越えるものであり、テトミラストと組み合わせることで、吸入によるアルブテロールの効果を増強することを示唆する証拠を提供する。
【0103】
【表3−1】


【表3−2】


【表3−3】

【0104】
【表4−1】


【表4−2】


【表4−3】

【0105】
経口のテトミラスト及びプラセボはどちらも、相対的に高用量のアルブテロール吸入投与と同時に用いたが、心拍数、収縮期血圧、血清カリウム、又はQT間隔について両群の間に臨床的に有意義な変化は観察されなかった。さらに、経口のテトミラスト及びプラセボは、どちらもアルブテロール吸入投与と同時に用いたが、有害事象、血清の化学的性質、血液学、又は尿検査において臨床的に有意義な差は観察されなかった。これらの結果は、テトミラスト及びアルブテロールから成る併用療法は患者にとって安全であることを示すものである。
【0106】
まとめると、本試験の結果は、テトミラスト及びアルブテロールの組合せは、COPDの患者の肺機能を改善するための安全及び有効な治療であることを示すものである。さらにこの結果は、化合物は、併用療法の一部として投与する方が単独で投与するよりも効果的であることを示唆している。したがって、テトミラスト及びアルブテロールの組合せは、呼吸器の疾患、障害、又は状態に対し有望な治療を提示している。
【0107】
(実施例2)
COPD患者へのテトミラスト、キシナホ酸サルメテロール、及びプロピオン酸フルチカゾンの同時投与
本実施例において、テトミラスト、キシナホ酸サルメテロール、及びプロピオン酸フルチカゾンの組合せを投与する効果を検討した。
【0108】
本試験は、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、外来患者により、Advair Diskus(登録商標)250/50(プロピオン酸フルチカゾン及びキシナホ酸サルメテロール、GlaxoSmithKline、 Research Triangle Park, NC)を経口プラセボ又はテトミラスト50 mg(2×25mg錠剤)と共にCOPD患者へ投与したphase 1B試験である。すべての患者は、短時間作用性の吸入によるコルチコステロイド、長時間作用性の気管支拡張剤、及び/又は連続する酸素療法(一日あたり16時間以上)からの最低28日間の休薬、及びβアゴニスト及び/又は経口テオフィリンからの最低7日間の休薬を受けた。患者は、第1日目の投薬の前に、2つの治療選択肢(経口のテトミラスト50mg又はプラシーボ)のうちの1つにランダムに振り分けられ、Otsuka Maryland Research Institute (OMRI)生物統計学研究部門から提供されたコンピュータ生成のランダム化コードに従ってこの2グループの間で1:1に分けられた。ランダム化は、中央IVRSシステムを用いて実施され、各研究センターから中心に集められた。
【0109】
被験者らは、処置期間1で7日間のテトミラスト 50 mg又はプラセボの経口投与の処置を受けた。処置期間2、つまり第8日〜第35日目の間に、同時に吸入されるAdvair Diskus(登録商標)250/50が治療投薬計画に加えられた。
【0110】
被検者らは、すべての試験処置日に、朝食の直後に8オンスの水で、経口の試験薬物(テトミラスト50mg又はプラシーボ)QDを取るように指示された。プラシーボ群に振り分けられた被検者らには、2錠のプラシーボ錠剤QDが与えられた。テトミラスト群に振り分けられた被検者らには、2×25mgのテトミラスト錠剤QDが与えられた。試験日第1〜7日目、第14日目、第21日目、第28日目、及び第35日目には、被検者らは、クリニックで、研究スタッフの面前で経口の試験薬物(テトミラスト50mg又はプラシーボ)を服用した。
【0111】
クリニックにおいて研究スタッフの面前で薬物が投与された第14日目、第21日目、第28日目、および第35日目を除く第8〜35日までの全ての調査日において、被験者は自分自身でAdvair Diskus(登録商標)250/50を吸入投与した。Advair Diskus(登録商標)250/50は、毎日2回(BID)投与した。朝の投与は、経口投与(テトミラスト50mg又はプラシーボ)のタイミングと一致させた。晩の投与は、12時間後であった。投薬時間は、被検者の日記に記録した。
【0112】
試験期間中、短時間作用性の救助用に使用するために、スポンサーによってCombivent(登録商標)(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals、Inc.、Ridgefield、CT)が提供された。Combivent(登録商標)は、いずれのPFTの前6時間の間は、使用を差し控えた。Combivent(登録商標)は定量式吸入器として提供された。それぞれの駆動操作によって、バルブから臭化イプラトロピウム21μg及び硫酸アルブテロール120μgが計量され、マウスピースから臭化イプラトロピウム18μg及び硫酸アルブテロール103μg(アルブテロール90μgに相当する)が送達される。Combivent(登録商標)の用量は1日につき、2吸入を4回であった。本試験において、被検者らは、必要に応じて追加の吸入をすることが許されていたが、吸入の合計が、24時間で12回を上回らないものとした。吸入器を初めて使用する前、及びエアロゾルを24時間より長い時間使用していなかった場合、「試験的噴射」を3回行うことが推奨された。
【0113】
肺機能検査の結果から、患者の呼吸状態の測定値は、プラシーボ群よりもテトミラスト群の方が一貫して高いことが明らかになった。例えば、第1日目のベースラインを用いると、FEVレベルは、プラシーボ群に比べてテトミラスト群の方が、統計学的に有意に改善されていた。FEVトラフ値は、第3日目を除く第7日目までのすべての時間(Advair Diskus(登録商標)250/50の同時投与前)、及び第14日目〜第35日目までのすべての時間(Advair Diskus(登録商標)250/50の同時投与後)において、プラシーボ群よりもテトミラスト群の方が、統計学的に有意に改善されていた(図1)。FEVのピーク値及び平均値に関して、テトミラスト群における改善は、プラシーボと比較して、第7日目、第21日目、及び第28日目に統計学的に有意であり、第14日及び第35日目に統計学的意義に近づいた(図2)。
【0114】
加えて本試験は、FEVにおける改善の差を検出するまでの検出力を持っていなかったにもかかわらず、探索的な繰り返し測定の分析によって、吸入によるプロピオン酸フルチカゾンにサルメテロール(Advair Diskus(登録商標)250/50)を加えたものの効果は、テトミラストと組み合わせた場合増強する可能性があることが示された。第8日〜第35日目のAdvair Diskus(登録商標)250/50の同時投与期間中のFEV平均値が大きいことから明らかなように、テトミラストと一緒に吸入したAdvair Diskus(登録商標)250/50は、Advair Diskus(登録商標)250/50を単独で吸入した場合と比較してより大きな効力があり、作用の期間は延長したようにみえた(表5及び6)。このような計算結果は、併用療法の効果は相加的効果を越えるものであり、吸入によるキシナホ酸サルメテロール及びプロピオン酸フルチカゾンの効果は、テトミラストと組み合わせた場合に増強することを示唆する動かぬ証拠を提供するものである。さらに、本試験は、テトミラストにアルブテロールの累積的な投与を加えた効果を検証した実施例1の結果を支持及び拡大している。
【0115】
【表5−1】


【表5−2】

【0116】
【表6】

【0117】
経口のテトミラストおよびプラセボはどちらも、Advair Diskus(登録商標)250/50と同時に組み合わせて使用したが心拍数、収縮期血圧、血清カリウム、又はQT間隔について両群の間に臨床的に有意義な変化は観察されなかった。さらに、経口のテトミラストおよびプラセボはどちらも、Advair Diskus(登録商標)250/50の吸入投与と同時に使用したが、有害事象、血清の化学的性質、血液学、又は尿検査において臨床的に有意義な差は観察されなかった。このような結果は、テトミラスト、キシナホ酸サルメテロール、及びプロピオン酸フルチカゾンからなる併用療法は患者にとって安全であることを示すものである。
【0118】
まとめると、本試験の結果は、テトミラスト、キシナホ酸サルメテロール、及びプロピオン酸フルチカゾンの組合せは、COPDの患者の気管支拡張性の反応を増加させるための安全及び有効な治療であることを実証するものである。さらにこの結果は、化合物は、併用療法の一部として投与する方が単独で投与するよりも効果的であることを示唆している。したがって、テトミラスト、サルメテロール及びフルチカゾンの組合せは、呼吸器の疾患、障害、又は状態に対し有望な治療を提示している。
【0119】
本発明の他の実施形態は、本明細書中に開示されている本発明の明細書及び実施例を考察することによって、当業者には明らかとなるであろう。本発明の明細書及び実施例は例示としてみなされ、本発明の本当の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲において示されることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患、障害、又は状態を治療又は予防するために使用されてもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトミラストの治療有効量及び少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニストを含む、呼吸器の疾患、障害、又は状態を予防又は治療するための、治療薬であって、該呼吸器の疾患、障害又は状態が、喘息の状態、急性呼吸促迫症候群、慢性若しくは急性の気管支収縮、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、気腫、塵肺、細小気道閉塞、副鼻腔炎、気管支拡張又は鼻炎から選択される、上記治療薬。
【請求項2】
β−アドレナリン受容体アゴニストが、アルブテロール(サルブタモール)、AR−C68397AA、アルホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、CHF−1035、クレンブテロール、ドペキサミン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、HOKU−81、イブテロール、イソエタリン、イソプレナリン、KUL−1248、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、ノロミロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメファモール、サルメテロール、シベナデト、ソテレノート、スルホンテロール、TA−2005、テルブタリン、チアラミド、ツロブテロール、エピネフリィン、ノルエピネフリン、コルテロール、エチルノルエピネフリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、エフェドリン、GSK−597901、GSK−159797、GSK−678007、GSK−642444、GSK−159802、(−)−2−[7(S)−[2(R)−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]−5,6,7,8−テラヒドロ−2−ナフチルオキシ]−N,N−ジメチルアセトアミド塩酸塩一水和物、カルモテロール、QAB−149及び5−[2−(5,6−ジエチルインダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン、4−ヒドロキシ−7−[2−{[2−{[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[3−(4−メトキシベンジルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒルドキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−n−ブチルオキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−{4−[3−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−2−メチル−2−ブチルアミノ}エタノール、5−ヒドロキシ−8−(1−ヒドロキシ−2−イソプロピルアミノブチル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−(4H)−オン、1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−2−tertブチルアミノ)エタノール、又は1−(4−エトキシカルボニルアミノ−3−シアノ−5−フルオロフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールから選択される、請求項1に記載の治療薬。
【請求項3】
β−アドレナリン受容体アゴニストがサルメテロールである、請求項2に記載の治療薬。
【請求項4】
β−アドレナリン受容体アゴニストがキシナホ酸サルメテロールである、請求項3に記載の治療薬。
【請求項5】
β−アドレナリン受容体アゴニストがアルブテロールである、請求項2に記載の治療薬。
【請求項6】
β−アドレナリン受容体アゴニストがアルブテロールの立体異性体である、請求項5に記載の治療薬。
【請求項7】
β−アドレナリン受容体アゴニストが、長時間作用性のβ−アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1に記載の治療薬。
【請求項8】
β−アドレナリン受容体アゴニストが、短時間作用性のβ−アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1に記載の治療薬。
【請求項9】
テトミラスト及びβ−アドレナリン受容体アゴニストが、同時に、別個に、又は逐次的に投与されるように製剤された、請求項1に記載の治療薬。
【請求項10】
テトミラストが経口的に投与されるように製剤された、請求項1に記載の治療薬。
【請求項11】
β−アドレナリン受容体アゴニストが吸入によって投与されるように製剤された、請求項1に記載の治療薬。
【請求項12】
1回の投与につき25mg〜100mgのテトミラストを患者に投与するように製剤された、請求項1に記載の治療薬。
【請求項13】
1回の投与につき25μg〜800μgのβ−アドレナリン受容体アゴニストを患者に投与するように製剤された、請求項1に記載の治療薬。
【請求項14】
1回の投与につき25mg〜100mgのテトミラストと、1回の投与につき25μg〜800μgのサルメテロールとを患者に投与するように製剤された、請求項3に記載の治療薬。
【請求項15】
1回の投与につき25mg〜100mgのテトミラストと、1回の投与につき25μg〜800μgのアルブテロールとを患者に投与するように製剤された、請求項5に記載の治療薬。
【請求項16】
テトミラストの治療有効量と、少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニストと、少なくとも1種の抗炎症ステロイドとを含む、呼吸器の疾患、障害、又は状態を予防又は治療するための、治療薬であって、該呼吸器の疾患、障害又は状態が、喘息の状態、急性呼吸促迫症候群、慢性若しくは急性の気管支収縮、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、気腫、塵肺、細小気道閉塞、副鼻腔炎、気管支拡張又は鼻炎から選択される、上記治療薬。
【請求項17】
抗炎症ステロイドが、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ブチキソコート、シクレソニド、ピバル酸クロコルトロン、デフラザコート、デキサメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プロピオン酸デプロドン、フィメキソロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルニソリド、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、酢酸ハロプレドン、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、メチルプレドニゾロン、アセポン酸メチルプレドニゾロン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、モメタゾン、ナフロコート、プレドニゾン、プレドニゾロン、ファルネシル酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニカルベート、リメキソロン、ロフレポニド、トリアムシノロン、チプレダン、6α,9β−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17b−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9β−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−oco−17β−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、RPR−106541、又は5T−126(SSP−Torii)から選択される、請求項16に記載の治療薬。
【請求項18】
抗炎症ステロイドがフルチカゾンである、請求項17に記載の治療薬。
【請求項19】
抗炎症ステロイドがプロピオン酸フルチカゾンである、請求項18に記載の治療薬。
【請求項20】
β−アドレナリン受容体アゴニストが、アルブテロール(サルブタモール)、AR−C68397AA、アルホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、CHF−1035、クレンブテロール、ドペキサミン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、HOKU−81、イブテロール、イソエタリン、イソプレナリン、KUL−1248、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、ノロミロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメファモール、サルメテロール、シベナデト、ソテレノート、スルホンテロール、TA−2005、テルブタリン、チアラミド、ツロブテロール、エピネフリン、ノルエピネフリン、コルテロール、エチルノルエピネフリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、エフェドリン、GSK−597901、GSK−159797、GSK−678007、GSK−642444、GSK−159802、(−)−2−[7(S)−[2(R)−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルオキシ]−N,N−ジメチルアセトアミド塩酸塩−水和物、カルモテロール、QAB−149及び5−[2−(5,6−ジエチルインダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン、4−ヒドロキシ−7−[2−{[2−{[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[3−(4−メトキシベンジルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒルドキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−n−ブチルオキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−{4−[3−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−2−メチル−2−ブチルアミノ}エタノール、5−ヒドロキシ−8−(1−ヒドロキシ−2−イソプロピルアミノブチル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−(4H)−オン、1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−2−tertブチルアミノ)エタノール、又は1−(4−エトキシカルボニルアミノ−3−シアノ−5−フルオロフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールから選択される、請求項16に記載の治療薬。
【請求項21】
β−アドレナリン受容体アゴニストがサルメテロールである、請求項20に記載の治療薬。
【請求項22】
β−アドレナリン受容体アゴニストがキシナホ酸サルメテロールである、請求項21に記載の治療薬。
【請求項23】
β−アドレナリン受容体アゴニストがアルブテロールである、請求項20に記載の治療薬。
【請求項24】
β−アドレナリン受容体アゴニストがアルブテロールの立体異性体である、請求項23に記載の治療薬。
【請求項25】
β−アドレナリン受容体アゴニスが、長時間作用性のβ−アドレナリンアゴニストである、請求項16に記載の治療薬。
【請求項26】
β−アドレナリン受容体アゴニストが、短時間作用性のβ−アドレナリン受容体アゴニストである、請求項16に記載の治療薬。
【請求項27】
β−アドレナリン受容体アゴニストがサルメテロールであり、抗炎症ステロイドがフルチカゾンである、請求項16に記載の治療薬。
【請求項28】
β−アドレナリン受容体アゴニストがキシナホ酸サルメテロールであり、抗炎症ステロイドがプロピオン酸フルチカゾンである、請求項27に記載の治療薬。
【請求項29】
テトミラスト、β−アドレナリン受容体アゴニスト、及び抗炎症ステロイドが、同時に、別個に、又は逐次的に投与されるように製剤された、請求項16に記載の治療薬。
【請求項30】
テトミラストが経口的に投与されるように製剤された、請求項16に記載の治療薬。
【請求項31】
β−アドレナリン受容体アゴニストが吸入によって投与されるように製剤された、請求項16に記載の治療薬。
【請求項32】
抗炎症ステロイドが吸入によって投与されるように製剤された、請求項16に記載の治療薬。
【請求項33】
1回の投与につき25mg〜100mgのテトミラストを患者に投与するように製剤された、請求項16に記載の治療薬。
【請求項34】
1回の投与につき25μg〜800μgのβ−アドレナリン受容体アゴニストを患者に投与するように製剤された、請求項16に記載の治療薬。
【請求項35】
1回の投与につき25μg〜2000μgの抗炎症ステロイドを患者に投与するように製剤された、請求項16に記載の治療薬。
【請求項36】
1回の投与につき25mg〜100mgのテトミラストと、1回の投与につき25μg〜2000μgのフルチカゾンとを患者に投与するように製剤された、請求項18に記載の治療薬。
【請求項37】
1回の投与につき25mg〜100mgのテトミラストと、1回の投与につき25μg〜800μgのアルブテロールとを患者に投与するように製剤された、請求項23に記載の治療薬。
【請求項38】
1回の投与につき25mg〜100mgのテトミラストと、1回の投与につき25μg〜800μgのサルメテロールと、1回の投与につき25μg〜2000μgのフルチカゾンとを患者に投与するように製剤された、請求項27に記載の治療薬。
【請求項39】
呼吸器疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、請求項1から38までのいずれか一項に記載の治療薬。
【請求項40】
患者が、テトミラストの定常状態の血漿濃度を有する、請求項1から38までのいずれか一項に記載の治療薬。
【請求項41】
テトミラスト及び少なくとも1種のβ−アドレナリン受容体アゴニストを含む医薬組成物。
【請求項42】
β−アドレナリン受容体アゴニストが、サルメテロール又はアルブテロールから選択される、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
25mg〜100mgのテトミラストと、25μg〜800μgのβ−アドレナリン受容体アゴニストを含む、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項44】
少なくとも1種の抗炎症ステロイドをさらに含む、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項45】
β−アドレナリン受容体アゴニストが、サルメテロール又はアルブテロールから選択され、抗炎症ステロイドがフルチカゾンである、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
25mg〜100mgのテトミラストと、25μg〜800μgのβ−アドレナリン受容体アゴニストと、25μg〜2000μgの抗炎症ステロイドとを含む、請求項44に記載の医薬組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−47281(P2013−47281A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265020(P2012−265020)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2008−558131(P2008−558131)の分割
【原出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】