説明

テルカゲパントカリウムの固形投与製剤

【課題】CGRPモジュレーターの提供。
【解決手段】活性成分としてN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド(テルカゲパント)のカリウム塩、アルギニン及び薬学的に許容される界面活性剤を含む固形投与の医薬製剤。また、テルカゲパントのカリウム塩の非晶形。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、固形投与の医薬製剤である。さらに詳細には、本発明の技術分野は、活性成分の製剤が経口の固形投与形態である。
【背景技術】
【0002】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド:Calcitonin Gene−Related Peptide)はカルシトニンのメッセンジャーRNAの組織特異的な選択的プロセシングによって生成される、天然に存在する37アミノ酸のペプチドであり、中枢神経系及び末梢神経系に広範に分布される。CGRPは、感覚の求心性神経及び中枢神経に主に局在しており、血管拡張を含めて、いくつかの生物学的作用を媒介する。細胞から放出されると、CGRPは、アデニリルシクラーゼの活性化と主に連関される特定の細胞表面レセプターに対して結合することによってその生物学的応答を開始する。CGRPレセプターは、脳、心血管系、内皮及び平滑筋の由来のものを含めて、いくつかの組織及び細胞で特定されかつ薬理学的に評価されている。
【0003】
CGRPは、片頭痛及び群発性頭痛などの脳血管障害の病理学に関与している有力な神経調節物質である。臨床治験では、頸静脈のCGRPのレベルの上昇は、片頭痛発作の間に生じることが見出され(Goadsbyら、Ann.Neurol.,1990,28,183〜187)、CGRPの唾液レベルは、発作の間に片頭痛の被験者で上昇することが示された(Bellamyら、Headache,2006,46,24〜33)。CGRP自体は、片頭痛様頭痛を誘発することが示されている(Lassenら、Cephalalgia,2002,22,54〜61)。臨床治験では、CGRPアンタゴニストBIBN4096BSは、急性の片頭痛発作(Olesenら、New Engl.J.Med.,2004,350,1104〜1110)を治療するのに有効であり、かつコントロール群においてCGRPの注入によって誘導される頭痛を妨げ得る(Petersenら、Clin.Pharmacol.Ther.,2005,77,202〜213)ことが示されている。
【0004】
三叉神経血管系のCGRP媒介性活性は、片頭痛の病因において重要な役割を果たし得る。さらに、CGRPは頭蓋内血管の平滑筋上のレセプターを活性化し、血管拡張の増大をもたらし、これは、片頭痛発作の間の頭痛に寄与すると考えられる(Lance,Headache Pathogenesis: Monoamines,Neuropeptides,Purines and Nitric Oxide,Lippincott−Raven Publishers,1997,3−9)。硬膜の主な動脈である中央髄膜動脈は、CGRPを含めていくつかの神経ペプチドを含む三叉神経節由来の感覚線維によって神経支配される。ネコにおける三叉神経節刺激は、CGRPのレベルの増大を生じ得、ヒトでは、三叉神経の活性化が顔面紅潮及び外頸静脈におけるCGRPのレベルの増大を生じた(Goadsbyら、Ann.Neurol.,1988,23,193〜196)。従って、CGRPの血管効果は、CGRPアンタゴニストによって減弱、予防又は逆転され得る。
【0005】
CGRPアンタゴニスト化合物は、ヒト及び動物、ただし特にヒトにおけるCGRPに関与する障害の薬剤として有用である。頭痛に加えて、このような障害としては、疼痛;非インスリン依存性糖尿病;血管障害;炎症;関節炎;気管支過敏性;喘息;ショック;敗血症;オピエート離脱症候群;モルフィン耐性;男性及び女性の一過性熱感;アレルギー性皮膚炎;乾癬;脳炎;脳外傷、虚血、脳卒中、癲癇;神経変性疾患;皮膚病;神経性皮膚発赤;皮膚の酒さ及び紅斑;耳鳴り;炎症性腸疾患;過敏性腸症候群及び膀胱炎が挙げられる。特に重要なのは、片頭痛及び群発頭痛を含めて、頭痛の急性又は予防的な治療である。
【0006】
2004年10月28日公開の国際公開第WO2004/092166号は、CGRPレセプター機能のインヒビター、モジュレーター又はプロモーターで治療され得るヒト又は他の種の疾患又は症状の治療のために有用な化合物を開示する。このような疾患又は症状としては、参照された出願に言及されるものが挙げられ、特に片頭痛及び群発性頭痛が挙げられる。
【0007】
国際公開第WO’166号の実施例86、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド(テルカゲパント又は化合物1):
【0008】
【化1】

は特に強力なCGRPモジュレーターである。化合物1の実験室調製は、WO’166号に記載される。
【0009】
国際公開第WO 2007/120592号は、化合物1のカリウム塩(「テルカゲパント」又は化合物1A)、カリウム塩水和物(化合物1B又は「テルカゲパントカリウム水和物」)及びカリウム塩エタノール付加物(化合物1C又は「テルカゲパントカリウムエタノール付加物」)を開示する:
【0010】
【化2】

【0011】
国際公開第WO 2008/030524号は、化合物1、その塩及び溶媒和物型の液体製剤を開示する。
【0012】
テルカゲパントは、現在片頭痛の治療のための臨床開発中である。
【発明の概要】
【0013】
発明の要旨
本発明は、活性成分としてのN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド(テルカゲパント)のカリウム塩、アルギニン及び薬学的に許容される界面活性剤を含む固形投与の医薬製剤に関する。特定の実施態様では、この活性成分は、テルカゲパントカリウムのエタノール付加物若しくは水和物、又は非晶形である。活性成分がエタノール付加物である場合、本発明の組成物は、テルカゲパントカリウムのエタノール付加物のI型若しくはII型、又はその混合物を含む。
【0014】
本発明はまた、テルカゲパントのカリウム塩の新規な非晶形に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】A及びBは、噴霧乾燥方法によって製造されるテルカゲパントのカリウム塩の粉末非晶形の写真である。
【図2】A及びBは、沈殿方法によって製造されるテルカゲパントのカリウム塩の粉末非晶形の写真である。
【図3】テルカゲパントカリウムのエタノール付加物I型のX線回折パターンである。
【図4】テルカゲパントカリウムのエタノール付加物II型のX線回折パターンである。
【図5】テルカゲパントカリウムの水和物のX線回折パターンである。
【図6】テルカゲパントカリウムの非晶形のモジュレイテッドDSC曲線である。
【図7】テルカゲパントの結晶性テルカゲパントカリウムのエタノール付加物(I型)の炭素−13交差分極マジック・アングル・スピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルである。
【図8】結晶性テルカゲパントカリウムの水和物の炭素−13交差分極マジック・アングル・スピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルである。
【図9】非晶形テルカゲパントカリウムの炭素−13交差分極マジック・アングル・スピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルである。
【図10】テルカゲパントカリウムのエタノール付加物I型のラマンスペクトルである。
【図11】テルカゲパントカリウムの水和物のラマンスペクトルである。
【図12】テルカゲパントカリウムの非晶形のラマンスペクトルである。
【図13】テルカゲパントカリウムのエタノール付加物の300mgの単回経口用量の投与後の予備的平均血漿濃度−時間のプロフィールを示す。
【0016】
発明の詳細な記載
本発明は、
(1)N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウム、又はその水和物若しくはエタノール付加物、又はその非晶形;
(2)アルギニン;及び
(3)薬学的に許容される界面活性剤;
を含む固形投与の医薬製剤に関する。
【0017】
特定の実施態様では、上記製剤は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムのエタノール付加物を含む。
【0018】
他の実施態様では、上記製剤は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムのエタノール付加物のI型若しくはII型、又はそれらの混合物を含む。
【0019】
本発明の組成物中で用いられる場合、I型は、8.27、4.01及び3.32Åというd−間隔のような、本明細書に記載されるような特徴的なX線回折ピークの1つ以上によって検出され得る。
【0020】
本発明の組成物で用いられる場合、I型は、109.1ppm、55.8ppm及び54.6ppmのような、本明細書で記載されるような特徴的な固体状態炭素−13 NMRスペクトルのピークの1つ以上によって検出され得る。
【0021】
本発明の組成物で用いられる場合、I型は、本明細書に記載されるような特徴的なラマンスペクトルの1つ以上によって、例えば、646.3、707.4,761.5、832.9、1063.3、1365.5,1402.0,1445.7又は1455.3というピーク(cm−1)によって検出され得る。
【0022】
本発明の組成物で用いられる場合、II型は、11.62、7.80、及び4.92Åというd−間隔のような、本明細書の記載されるような特徴的なX線回折ピークのうちの1つ以上で検出され得る。
【0023】
他の実施態様では、この製剤は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの水和物を含む。
【0024】
本発明の組成物において用いられる場合、この水和物は、16.96、8.50及び4.26Åというd−間隔のような、本明細書に記載のような特徴的なX線回折ピークの1つ以上によって検出され得る。
【0025】
本発明の組成物において用いられる場合、この水和物は、126.1ppm、54.4ppm及び36.6ppmのような本明細書に記載のような特徴的な固体状態炭素−13 NMRスペクトルのピークのうちの1つ以上によって検出され得る。
【0026】
本発明の組成物において用いる場合、水和物は、本明細書に記載のような特徴的なラマンスペクトルのうちの1つ以上によって、例えば、646.8、707.0、753.7、832.7、1064.7、1364.3、1403.0又は1441.0というピーク(cm−1)によって検出され得る。
【0027】
別の実施態様では、この製剤は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの非晶形を含む。
【0028】
この製剤は、約0.005mg〜約1000mgの活性成分のN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドを含んでもよく、この重量は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムテルカゲパントの等価な重量測定から、水和物、エタノール付加物、又は非晶形として決定される。適切な製剤は、この等価重量に基づいて、10〜800mg、又は25〜750mg、又は50〜700、又は100〜500mgのN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドを含んでもよい。適切な特異的な製剤は、約140、約150、約280、又は約300mgのN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドを含む。
【0029】
この製剤は、約25〜約75重量%のN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドを活性成分として、例えば約35〜約55重量%含んでもよい。典型的には、この組成物は、約50重量%を含んでもよい。重量パーセントは、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの等価な重量の測定から、水和物,エタノール付加物(I型若しくはII型、又はそれらの混合物)、又は非晶形として決定される。
【0030】
テルカゲパントは、インビボで、患者の胃で又は模倣された胃液では、標準的な医薬製剤からは効率的に遊離されないことが発見されている。標準的な製剤の表面は、ゲルを形成し、それによって、その製剤へ水が浸透することを妨げ、そしてテルカゲパント活性成分の放出を阻害すると考えられる。標準的な製剤では、このカリウム塩は、中性型に変換し、錠剤の周囲に比較的不溶性のシェルを作製する。このシェルはその薬物の溶解を効率的に妨げる。
【0031】
上記の説明どおり、本発明は、テルカゲパントの液体製剤に匹敵するバイオアベイラビリティを有する、アルギニンを含むテルカゲパントの固形投与の製剤に関する。アルギニンは、この固形投与製剤中で、薬学的に許容される塩基性化剤/溶解増強剤として作用すると考えられる。この塩基性化剤/溶解増強剤は、この製剤の他の好ましい特性に大きく影響することなくこの活性成分の放出を増強する。この塩基性化剤/溶解増強剤の存在によって、酸性条件下、胃での錠剤の侵食及び溶解の間にこの製剤からの薬物放出が容易になる。
【0032】
従って、本発明の製剤は、「塩基性化/溶解増強剤」、すなわち、モノアミノジカルボン酸アルギニン((NHCH−COOH(CH−NH−CNH(NH))を含む。アルギニンの塩基性化/溶解増強の特性は、その高いpKa及び等電点と組み合わせて、その比較的高い溶解度に起因すると考えられる。アルギニンは2.03,9.00及び12.1というpKa、並びに10.76というpI(等電点)を有する。
【0033】
このアミノ酸塩基性化/溶解増強剤は、胃の中で又は模倣された胃液の中で、溶解の間に、錠剤の表面上に不溶性のシェルの生成(中性型)を予防又は阻害するように作用する。本発明の適切な製剤は、塩基性化/溶解増強量の塩基性化/溶解増強剤(すなわち、アルギニン)を含んでもよい。適切な量は少なくとも5.0%の塩基性化/溶解増強剤、又は少なくとも10.0%の塩基性化/溶解増強剤である。塩基性化/溶解増強剤の適切な量は、最大90.0%までの塩基性化/溶解増強剤(アルギニン)であり得る。他の実施態様では、適切な量とは、最大50.0%まで、又は最大35.0%まで、又は最大30.0%までである。適切な医薬製剤は、約40.0%の塩基性化/溶解増強剤、約30.0%の塩基性化/溶解増強剤、約25.0%の塩基性化/溶解増強剤、約20.0%の塩基性化/溶解増強剤、約15.0%の塩基性化/溶解増強剤又は約10.0%の塩基性化/溶解増強剤を含んでもよい。
【0034】
本発明の一実施態様では、この固形投与製剤は錠剤である。
【0035】
本発明の製剤はまた、薬学的に許容される界面活性剤を含んでもよい。本明細書において用いる場合、「薬学的に許容される界面活性剤」又は「界面活性剤」という用語は、交換可能に用いられ、液気界面で吸着することによって水の表面張力を減らす剤を指す。界面活性剤は通常、両親媒性である有機化合物、すなわち、疎水性基及び親水性基の両方を含む分子である。界面活性剤は一般に、製剤の最大約1〜50重量%の量で存在してもよい。
【0036】
本発明での使用に適切な界面活性剤は、薬学的に許容される陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性(両親媒性/両染性)(amphipathic/amphophilic)界面活性剤及び非イオン性界面活性剤として分類され得る。
【0037】
好ましい界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。「非イオン性界面活性剤」という用語は、水中でイオンに解離しない種類の界面活性剤を意味することが当業者によって理解される。本発明の製剤のための好ましい非イオン性界面活性剤は、ポリオキシプロピレンブロックコポリマーであって、「ポロキサマー」とも呼ばれ、ポリオキシプロピレンの中央の疎水性鎖及びポリオキシエチレンの2つの親水性鎖を含む。適切なポロキサマーとしてはポロキサマー(Poloxamer)407を含む。
【0038】
この製剤は、最大50%までのポロキサマー、いくつかの実施態様では最大10%まで、他の実施態様では最大7.5%までのポロキサマーを含んでもよい。適切な医薬製剤は約10.0%のポロキサマー、約7.5%ポロキサマー、約5.0%又は約2.0%ポロキサマーを含んでもよい。
【0039】
薬学的に許容される適切な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、一価のアルキルカルボキシレート類、アシルラクチレート類、アルキルエーテルカルボキシレート類、N−アシルサルコシネート類、多価アルキルカーボネート類、N−アシルグルタメート類、脂肪酸−ポリペプチド縮合物類、硫酸エステル類、硫酸アルキル類(ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む)、エトキシル化アルキル硫酸塩類、エステル連結スルホン酸塩類(ドキュセートナトリウム又はジオクチルナトリウムコハク酸(DSS)を含む)、αオレフィンスルホン酸塩類及びリン酸エトキシル化アルコール類を含む。
【0040】
薬学的に許容される適切な陽イオン性界面活性剤としては、例えば、モノアルキル四級アンモニウム塩類、ジアルキル四級アンモニウム化合物類、アミドアミン類及びアミンイミド類を含む。
【0041】
薬学的に許容される適切な両性(両親媒性/両染性)界面活性剤としては、例えば、N−置換アルキルアミド類、N−アルキルベタイン類、スルホベタイン類及びN−アルキルβアミノプロプリオネート(aminoproprionate)類を含む。
【0042】
本発明と組み合わせて用いる他の適切な界面活性剤としては、ポリエチレングリコールをエステル又はエーテルとして含む。例としては、ポリエトキシル化ヒマシ油(キャスターオイル)、ポリエトキシル化した硬化ヒマシ油、又はヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸又は硬化ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸を含む。用いられ得る市販の界面活性剤は、商品名Cremophor、Myrj、Polyoxyl 40 stearate、Emerest 2675、Lipal 395及びPEG 3350という商品名で公知である。
【0043】
さらに他の実施態様では、この製剤は、薬学的に許容される崩壊剤を含む。崩壊剤は投与後に錠剤の破壊又は崩壊を容易にする、医薬錠剤に添加される物質である。適切な崩壊剤は、デンプン(コーンスターチ及びジャガイモデンプンを含む)、粘土、セルロース、アルギン(aligns)、ガム及び架橋ポリマーである。適切な崩壊剤としては、典型的には他の崩壊剤よりも少量で用いられ得る「スーパー崩壊剤(super disintegrants)」として公知の、ある種の崩壊剤が挙げられる。スーパー崩壊剤の例示的な分類としては、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリジン(クロスポピドンとしても公知)及びスターチグリコセートナトリウム(sodium starch glycosate)を含む。
【0044】
この崩壊剤(スーパー崩壊剤を含む)は、製剤の重量に対して最大約20重量%の量で存在してもよい。
【0045】
さらに他の実施態様では、この製剤は追加の薬学的に許容される賦形剤を含み、例えば、充填剤、流動促進剤、滑沢剤、着色剤、コーティング剤及びワックスを含む。
【0046】
充填剤は、取り扱い及び処理を容易にするために、製剤のかさを増すために追加される。本発明での使用のための薬学的に許容される適切な充填剤としては、マンニトール、AVICEL、非ラクトース充填剤及びアミン基と相互作用しない他の充填剤が挙げられる。
【0047】
流動促進剤は、散剤の流動特徴を改善する。本発明での使用のための適切な流動促進剤としては、コロイド状二酸化ケイ素及びタルク(滑石)を含む。流動促進剤は典型的には、最大約1重量%までの量で製剤中に存在する。本発明のいくつかの実施態様では、滑沢剤は最大0.5重量%までの量で存在する。
【0048】
滑沢剤はまた、粒子間の摩擦を軽減し、金型から錠剤を取り出すことを容易にする。本発明における使用のための例示的な滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム(顆粒の内、及び/又は顆粒の外側)、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油及びポリエチレングリコールを含む。滑沢剤は典型的には、製剤中に最大2重量%までの量で存在する。本発明のいくつかの実施態様では、滑沢剤は、最大1重量%までの量、又は最大0.5重量%の量で存在する。着色剤は薬物処方の見た目を改善し、製造の間に製剤を識別及び/又は特定することを補助する。本発明で有用な着色剤としては、医薬製剤での使用のための食品医薬品局(Food and Drug Administration)が承認した任意の着色料が挙げられる。
【0049】
フィルムコーティング剤も製剤をコーティングするために用いられてもよい。適切なフィルムコーティング剤としては、Colorcon,Inc.が製造するOPADRY及びOPADRY II(多様な着色剤の混合物を含む)が挙げられる。これらは、ヒドロキシプロピルセルロース、HPMC 2910/ヒプロメロース6 cpベース及びポリビニルアルコールベースのコーティング製剤である。
【0050】
本発明はまた、本発明の固形投与製剤を患者に投与することを包含する、頭痛を治療する方法に関する。
【0051】
本発明はまた、群発性頭痛及び片頭痛を含めて、頭痛などのCGRPが関与する疾患又は障害を治療するための本発明の製剤の使用に関する。
【0052】
本発明の別の実施態様は、患者においてCGRPレセプターが関与する疾患又は障害(例えば、頭痛)の治療、管理、緩和又はリスクの軽減のための方法であって、この患者に対して本発明の製剤を投与することを包含する方法に関する。
【0053】
一実施態様では、本発明の固形投与製剤は、少なくとも2.75μMの血中のCmaxをもたらす。他の実施態様では、本発明の固形投与製剤は、少なくとも3.0μMの血中のCmaxをもたらす。特定の実施態様では、上記に列挙される所望のCmax値は、約280mgのテルカゲパント活性成分を含む製剤で、及び約300mgのテルカゲパント活性成分を含む製剤で達成される。
【0054】
一実施態様では、本発明の固形投与製剤では、投与後1.0時間以下の時点でTmaxが達成される。別の実施態様では、本発明の固形投与製剤では、投与後1.25時間以下の時点でTmaxが達成される。さらに別の実施態様では、本発明の固形投与製剤では、投与後約1.5時間以下の時点でTmaxが達成される。
【0055】
一実施態様では、本発明の固形投与製剤では、2.5μM時間以下の血中のAUC0−Tmaxが示される。他の実施態様では、本発明の固形投与製剤では、2.0μM時間以下の血中のAUC0−Tmaxが示される。
【0056】
一実施態様では、本発明の固形投与製剤では、5.5μM時間以下の血中のAUC0−2hrが示される。他の実施態様では、本発明の固形投与製剤では、4.5μM時間以下の血中のAUC0−2hrが示される。
【0057】
一実施態様では、本発明の固形投与製剤では、10.0μM時間以下の血中のAUC0−4hrが示される。他の実施態様では、本発明の固形投与製剤では、9.0μM時間以下の血中のAUC0−4hrが示される。
【0058】
一実施態様では、本発明の固形投与製剤では、15.5μM時間以下の血中のAUC0−∞が示される。他の実施態様では、本発明の固形投与製剤では、15.0μM時間以下の血中のAUC0−∞が示される。
【0059】
例示的な製剤を下の表1に示す:
【0060】
【表1】

【0061】
コアの錠剤重量は、当業者に公知のとおり、塩換算率に従って算出する(例えば、1.1494gのテルカゲパントカリウム塩は、1gの中性型のテルカゲパントと等しい)。
【0062】
定義
本明細書において用いる場合、「テルカゲパント」及び「化合物1」は交換可能に用いられ、以下の化合物N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドを意味する:
【0063】
【化3】

【0064】
USAN評議会は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドとエタノールとのカリウム塩を指すのに「テルカゲパントカリウム」という用語を採用している。しかし、本明細書において用いる場合、「テルカゲパントカリウム」という用語は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドのカリウム塩(化合物1A)の全ての形態又は溶媒和物を指す:
【0065】
【化4】

【0066】
本明細書において用いる場合、「テルカゲパントカリウムエタノール付加物」という用語は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムのエタノール付加物(化合物1C)を指す:
【0067】
【化5】

【0068】
本明細書において用いる場合、「テルカゲパントカリウム水和物」という用語は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの水和物(化合物1B)を指す:
【0069】
【化6】

【0070】
本明細書において用いる場合、「治療」、「治療する」などという用語は、所望の薬理学的効果及び/又は生理学的効果を得ることをいう。この効果は、疾患、障害若しくは症状、又はそれらの症候を完全に又は部分的に予防することに関して予防的であってもよいし、並びに/或いは疾患、障害若しくは症状及び/又はそれに起因し得る有害な影響の部分的又は完全な治癒に関して治療的であってもよい。「治療」とは本明細書において用いる場合、哺乳動物、特にヒトにおける疾患、障害又は症状の任意の治療を包含し、これには以下が挙げられる:(a)疾患、障害又は症状の傾向があるが、まだそうであると診断はされていない被験者においてその疾患、障害又は症状の発現を予防すること;(b)その疾患、障害又は症状を阻害する、すなわちその発症を阻止すること;並びに、(c)その疾患、障害又は症状を救済、すなわち退行を生じること。
【0071】
「個体」「被験者(subject)」及び「患者(patient)」という用語は、本明細書において交換可能に用いられ、哺乳動物を指すが、これに限定されるわけではないが、マウス、サル、ヒト、哺乳動物の家畜、哺乳動物の運動性動物、及び哺乳動物のペットが挙げられる。好ましくは患者とはヒト(男性又は女性)である。
【0072】
「治療上有効な量」又は「有効量」とは、テルカゲパント又はその塩若しくは溶媒和物の量であって、哺乳動物又は他の被験者に対して疾患を治療するために投与された場合、その疾患のこのような治療を発揮するのに十分な量(例えば、テルカゲパント又はその塩若しくは溶媒和物の量)を意味する。「治療上有効な量」は、化合物、その疾患及びその重症度、並びに治療されるべき被験者の年齢、体重などに依存して変化するであろう。
【0073】
「薬学的に許容される」という用語は、「薬学的に許容される賦形剤」、「薬学的に許容される希釈剤」、「薬学的に許容される担体」及び「薬学的に許容されるアジュバント」などの句において単独で用いられる場合、一般には安全で、非毒性でかつ生物学的にもそれ以外の望ましくないことがない医薬製剤を調製するのに有用である賦形剤、希釈剤、担体、アジュバント又は同様の物質を意味し、これには、獣医学での使用に及びヒトでの薬学的な使用に許容できる賦形剤、希釈剤、担体及びアジュバントが挙げられる。「薬学的に許容される」物質は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は合理的な利益/危険性の比と釣り合った他の合併症の問題なしにヒト及び動物の組織との接触に適切である。いくつかの実施態様では、「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府若しくは合衆国政府の監督官庁によって承認されるか、又は米国薬局方若しくは動物及びより詳細にはヒトでの使用のための他の一般に認識される国際的な薬局方に列挙されることを意味する。
【0074】
「薬学的に許容される賦形剤」又は薬学的に許容される「希釈剤」、「担体」又は「アジュバント」とは、本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、このような賦形剤、希釈剤、担体又はアジュバントの1つ及び2つ以上の両方を包含する。「賦形剤」、「希釈剤」、「担体」又は「アジュバント」とは、固形投与医薬製剤の製剤化に用いられ、かつそれ自体が一般には治療効果をほとんど又は全く有さない物質を指す。多様な賦形剤、希釈剤、担体又はアジュバントが本発明で用いられ、これにはRemington:The Science and Practice of Pharmacy,第21版、317〜318(2006)に記載されるものが挙げられる。これらとしては限定されるわけではないが、界面活性剤、崩壊剤、充填剤、抗酸化剤、抗菌剤(治療効果を呈するものとは対照的に製剤自体の崩壊を妨げる)、防腐剤、キレート剤、緩衝剤、流動促進剤、滑沢剤、毒性調整剤、着色剤、香味料及び希釈剤、乳化剤及び懸濁剤、並びに薬学的な用途を有する他の物質を含む。
【0075】
本明細書において用いる場合、「固形の単位剤形(solid unit dosage form)」という用語は、ヒト及び動物の被験者のための単位投薬量として適切な物理的に離れた固形単位であって、各々の単位が薬学的に許容される希釈剤、担体又はビヒクルに関連して所望の効果を生じるのに十分な量で計算される所定の量の本発明の化合物を含む単位を指す。例示的な「固形の単位剤形」は、錠剤、カプセル(capsules)、丸剤、トローチ、カシェ(cachets)及びペレット(丸薬)である。本発明の固形投与製剤は、経口経路の投与による使用のために設計される。
【0076】
本明細書において用いる場合、「医薬製剤」とは、被験者、例えば、哺乳動物、特にヒトに対する経口投与のために適切な組成物を包含することを意味する。一般には、「医薬製剤」は無菌であり、かつ一般には、被験者において望ましくない応答を惹起し得る混入物を含まない(例えば、薬学的組成物中の化合物は薬学的等級である)。
【0077】
テルカゲパントの形態
エタノール付加物
上記のとおり、テルカゲパントカリウムエタノール付加物及び合成方法は、国際公開第WO 2007/120592号に開示される。テルカゲパントカリウムエタノール付加物I型の製造方法は、国際公開WO2007/120592の実施例3〜6に開示される。エタノール付加物II型は、I型の種(結晶)がテルカゲパントカリウムの溶液に添加されない場合に製造の間に生成されることが観察されている。
【0078】
カリウム塩エタノール付加物I型は、8.27、4.01及び3.32Åというd−間隔に相当する回折ピークを呈する。カリウム塩エタノール付加物I型はさらに、16.52、7.55及び7.02Åというd−間隔で特徴付けられる。カリウム塩エタノール付加物I型はさらに、5.52、5.08及び4.63Åというd−間隔でも特徴付けられる。
【0079】
カリウム塩エタノール付加物II型は、11.62、7.80及び4.92Åというd−間隔に相当する特徴的な回折ピークを呈する。カリウム塩エタノール付加物II型はさらに、4.55、4.31及び4.11Åというd−間隔によって特徴付けられる。カリウム塩エタノール付加物II型はさらに3.85、3.55及び2.88Åというd−間隔でも特徴付けられる。
【0080】
I型は、109.1ppm、55.8ppm及び54.6ppmという固体状態炭素−13 NMRスペクトルのピークによって特徴付けられる。
【0081】
I型テルカゲパントカリウム塩エタノール付加物のラマンスペクトルは、646.3、707.4,761.5、832.9、1063.3、1365.5,1402.0、1445.7、1455.3というピーク(cm−1)によって特徴付けられる。
【0082】
水和物
テルカゲパントカリウム水和物及び合成の方法は、国際公開第WO 2007/120592号に開示される。
【0083】
カリウム塩水和物は、16.96、8.50及び4.26Åというd−間隔に相当する特徴的な回折ピークを呈する。このカリウム塩水和物はさらに、7.41、6.88、及び3.79Åというd−間隔によって特徴付けられる。このカリウム塩水和物はさらに5.00、3.41及び3.06Åというd−間隔でも特徴付けられる。
【0084】
カリウム塩水和物は、126.1ppm、54.4ppm及び36.6ppmという固体状態炭素−13のNMRスペクトルのピークによって特徴付けられる。
【0085】
カリウム塩水和物のラマンスペクトルは、646.8、707.0、753.7、832.7、1064.7、1364.3、1403.0,1441.0というピーク(cm−1)によって特徴付けられる。
【0086】
非晶形
本明細書において用いる場合、「非晶形」という用語は、テルカゲパントカリウムの化学的かつ物理的に安定な非晶質の非結晶形態を指す。この非晶形態は、貯蔵中に結晶形態に変換することはないが、吸湿性であって、湿気から保護されない場合、水を吸収する。
【0087】
この非晶形は、なんらポリマーを添加することなく有機溶液中でテルカゲパントのカリウム塩を噴霧乾燥することによって得られ得る。噴霧乾燥プロセスの間、この液体のフィードストックはミクロンサイズの液滴の噴霧へと微粒化され、この液滴と熱い処理気体とを乾燥チャンバ中で接触させる際に溶媒の蒸発が急速に生じる。乾燥粒子の生成は、制御された温度及びガス流量条件下で進行する。この急速な有機溶媒の蒸発の結果、非晶質薬物の生成が生じる。適切な有機溶液としてはメタノール及びアセトンを含む。
【0088】
あるいは、この非晶形は、テルカゲパントカリウム塩エタノール付加物を加熱し、そしてエタノール付加物上に湿潤な窒素ガスを通過させることによって調製してもよい。
【0089】
非晶形は、衝突噴流プロセス(impinging jet process)によって得ることが可能で、ここでは、イソプロピルアセテート中のカゲパントの濃縮溶液を逆溶剤(例えば、ヘプタン)と急速に混合し、それによって非晶形を沈殿物として生成する。フィードストリームに対する少量の水の添加によって、非晶形の粒子の形態を改善する。
【0090】
形態学、粒子サイズ分布及び表面積は、その非晶形がどのように作製されるかに従って異なる。噴霧乾燥によって作製される非晶形は、典型的には小さく、かつ比較的、凝集性の物質である。噴霧乾燥された非晶形は40℃/75%の相対湿度で6週間にわたり化学的に安定である。
【0091】
噴霧乾燥によって作製される非晶形は、15μm未満、しばしば10μm未満という平均粒子サイズ;0.20以下、しばしば1.5以下という密度(g/cm);35〜45%というカール・インデックス(Carr’s Index)(圧縮パーセンタビリティ:percentability compression);約1.64というハウスナー比(Hausner ratio)、及び3.0以下、しばしば2.5以下、しばしば2.0以下という表面積(m/g)を有する。
【0092】
カール・インデックスは粉末の流動性の指標として製薬技術において高頻度に用いられる。Mark Gibson,「Pharmaceutical Preformulation and Formulation:A Practical Guide from Candidate Drug Selection to Commercial Dosage Form」Boca Raton:CRC Press.(2001)を参照のこと。
【0093】
ハウスナー比は粉末の流動性の尺度である。
【0094】
溶液沈殿によって作製される非晶形は、より広い粒子サイズ分布、大きい表面積を有する。溶液沈殿によって作製される非晶形は、多孔性物質であると期待される。
【0095】
沈殿によって生成される非晶形は、150μm未満、しばしば125μm未満、しばしば110μm未満という平均粒子サイズ;25〜30%というカール・インデックス(圧縮パーセンタビリティ:percentability compression);約1.38以上というハウザー比、及び50〜100m/g、しばしば70〜90m/gという表面積(m/g)を有する。
【0096】
非晶質カリウム塩は、189.00℃という中間点温度で、熱流量曲線を逆転するのにおける熱容量変化を示し、これは非晶質カリウム塩のガラス遷移に相当する。
【0097】
非晶形のカリウム塩は、126.0ppm、53.7ppm及び29.1ppmという固体状態炭素−13のNMRスペクトルのピークによって特徴付けられる。
【0098】
非晶質カリウム塩のラマンスペクトルは、646.8、706.8、752.3、832.4、1063.6、1365.2、1437.6というピーク(cm−1)によって特徴付けられる。
【0099】
製剤の製造
本発明の製剤は、乾式造粒法によって調製され得る。この錠剤製造プロセスは本質的に、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドの全ての薬物型(カリウム塩水和物,カリウム塩エタノール付加物(I型若しくはII型又はそれらの混合物)、カリウム塩非晶質)について同じである。下に示される製造プロセスの流れ図は、本発明の固形投与製剤を製造するための適切なプロセスを記載する。
【0100】
【化7】

【0101】
あるいは、湿式造粒プロセスを用いてもよい。医薬錠剤を作製するための湿式造粒法は当業者に周知である。典型的には、湿式造粒プロセスは、湿気のある塊を秤量、混合、整粒、スクリーニングする工程、この塊を乾燥、乾燥スクリーニング、滑沢及び錠剤へ圧縮する工程を包含する。この混合工程は、ブレンダー、例えば、ツイン・シェル・ブレンダー(twin shell blender)、ダブル・コーン・ブレンダー(double cone blender)若しくはリボン・ブレンダー(ribbon blender)中で、又はプラネタリー・ミキサー(planetary mixer)若しくは高速/高剪断ミキサー中で生じる。
【0102】
この製剤はまた、流動層造粒プロセスによって調製されてもよい。
【0103】
乾式造粒、湿式造粒及び流動層造粒プロセスは、Remington’s「The Science and Practice of Pharmacy,」第21版(2006),896〜901頁に記載されている。
【0104】
本発明の製剤の用法用量
本発明の製剤がCGRPアンタゴニストとして作用する能力によって、この製剤はヒト及び動物、ただし特にヒトのCGRPに関与する障害の有用な薬剤となる。
【0105】
本発明の製剤は、以下の症状又は疾患のうちの1つ以上の治療、予防、寛解、管理又はリスクを軽減するのに有用性を有する:頭痛;片頭痛、群発性頭痛;慢性緊張性頭痛;疼痛;慢性疼痛;神経性炎症及び炎症性疼痛;神経障害性疼痛;眼痛;歯痛;糖尿病;インスリン非依存性糖尿病;血管障害;炎症;関節炎;気管支過敏症;喘息;発作;敗血症;オピエート離脱症候群;モルフィン耐性;男性及び女性の一過性熱感;アレルギー性皮膚炎;脳炎;脳外傷;癲癇;神経変性疾患;皮膚病;神経性皮膚発赤;皮膚の酒さ及び紅斑;耳鳴り;炎症性腸疾患;過敏性腸症候群、膀胱炎;並びにCGRPレセプターの拮抗によって治療又は予防され得る他の症状が挙げられる。特に重要なのは、片頭痛及び群発頭痛を含めて、頭痛の急性又は予防的な治療である。
【0106】
投与されるテルカゲパントのカリウム塩(又はその水和物若しくはエタノール付加物又は非晶形)の投薬量は、レシピエントの年齢、健康及び体重、現在の治療の種類(もしあれば)、治療の頻度、並びに望まれる効果の性質に依存する。本発明の製剤は、本発明に従うテルカゲパントのカリウム塩(又はその水和物若しくはエタノール付加物、又はその非晶形)のある量を、治療されている被験者の症状、障害又は疾患を治療するために有効な量で含んでもよい。当業者は、テルカゲパントのカリウム塩(又はその水和物若しくはエタノール付加物(I型若しくはII型又はそれらの混合物)、又はその非晶形)の薬学的に有効な量を、その必要な患者に投与する方法が経験的に又は医学分野で現在認識される水準によって決定され得ると理解する。例えば、ヒト患者に投与される場合、本発明の製剤の薬剤の合計1日用量は、担当医による妥当な医学的判断の範囲内で決定されることが理解される。
【0107】
本発明の投薬量は、活性成分として利用可能な量のテルカゲパントに従い、その中性型でN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドとして記載される。当業者によって理解されるとおり、活性成分の量は、換算率に従って算出され、製剤で用いられるテルカゲパントの形態(カリウム塩エタノール付加物、カリウム塩水和物、カリウム塩非晶質)、並びに他の要因、例えば、製造ロットのアッセイ及び純度(水、エタノール、溶媒又は他の不純物の量)に基づいて算出される。エタノール付加物の例示的な換算率は、1.1494gのエタノール付加物が1.0gの活性成分(又は中性型)に等しい。水和物の例示的な換算率は、1.157gの水和物が1.0gの活性成分(又は中性型)に等しい。非晶形についての例示的な換算率は1.067gの非晶形が1.0gの活性成分(又はその中性型)に等しい。
【0108】
従って、100mgの単位用量の製剤は、115.2mgのエタノール付加物(テルカゲパントがカリウム塩のエタノール付加物の形態である場合)、115.7mgの水和物(テルカゲパントがカリウム塩の水和物の形態である場合)又は106.7mgの非晶質(テルカゲパントがカリウム塩の非晶形である場合)を含む。
【0109】
CGRPレセプター活性の拮抗作用を必要とする症状の治療、予防、管理、寛解又はリスクの軽減では、適切な投薬レベルは一般には、1日あたり患者の体重1kgあたり約0.01〜500mgのテルカゲパント活性成分であり、これは、単回投与で投与されても、又は複数回の投与で投与されてもよい。適切な投薬レベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、1日あたり約0.05〜100mg/kg又は1日あたり約0.1〜50mg/kgであってもよい。テルカゲパント活性成分(カリウム塩水和物、エタノール付加物又は非晶形の形態)は、1日あたり1〜4回の投与計画で投与されてもよいし、又は1日あたり1回若しくは2回投与されてもよい。この投薬レジメは、最適の治療応答を提供するために調節されてもよい。
【0110】
単回剤形を作製するために担体物質と組み合され得るテルカゲパント活性成分の量は、治療される宿主及び特定の投与方法に依存して変化する。例えば、ヒトへの経口投与を意図する製剤は都合の良いことには、適切な及び簡便な量の担体物質と配合され、約0.005mg〜約2.5gのテルカゲパントを含んでもよい。単位剤形は一般に、1日に1回、2回又は3回投与される、約0.005mg〜約1000mgのテルカゲパント、典型的には、0.005mg、0.01mg、0.05mg、0.25mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgのテルカゲパントを含む。好ましい単位剤形は、100〜200mg又は250mg〜350mgである。
【0111】
任意の特定の患者のためのテルカゲパント活性成分の特定の治療上有効な用量レベルは、以下の多様な要因に依存する:達成されるべき細胞応答のタイプ及び程度;用いられる特定の薬剤の活性;用いられる特定の薬剤;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び食餌;投与の時間、投与経路及びその薬剤の排泄速度;治療の期間;特定の薬剤と組み合わせて又は同時に用いられる薬物;並びに医学分野で周知のその他の要因。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルでテルカゲパントの用量を開始して、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増大することは十分に当該技術分野の技術の範囲内である。
【0112】
本発明の製剤との併用療法
本発明の製剤は、抗炎症剤又は鎮痛剤又は抗片頭痛剤、例えば、エルゴタミン又は5−HTアゴニスト、特に5−HT1B/1Dアゴニスト、例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、エレトリプタン(eletriptan)、アルモトリプタン、フロバトリプタン(frovatriptan)、ドニトリプタン(donitriptan)及びリザトリプタン(rizatriptan);シクロオキシゲナーゼインヒビター、例えば、選択的シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター、例えば、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ又はパラコキシブ;非ステロイド性抗炎症剤又はサイトカイン抑制抗炎症剤、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ケトロラク、エトドラク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナク、オキサプロジン、アパゾン、ニメスリド(nimesulide)、ナブメトン、テニダプ(tenidap)、エタネルセプト、トルメチン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ジフルニサル、サルサラート(salsalate)、オルサラジン(olsalazine)又はスルファサラジンなどの化合物;又はステロイド性鎮痛薬と組み合わされて用いられてもよい。同様に、本化合物を、鎮痛剤、例えば、アセトアミノフェン、フェナセチン、コデイン、フェンタニル、スフェンタニル、メタドン、アセチルメタドール、ブプレノルフィン又はモルフィンとともに投与してもよい。
【0113】
さらに、本発明の製剤は、インターロイキンインヒビター、例えば、インターロイキン−1インヒビター;NK−1レセプターアンタゴニスト、例えば、アプレピタント;NMDAアンタゴニスト;NR2Bアンタゴニスト;ブラジキニン−1レセプターアンタゴニスト;アデノシンA1レセプターアゴニスト;ナトリウムチャネルブロッカー、例えば、ラモトリジン;オピエートアゴニスト、例えば、レボメタジルアセテート(levomethadyl acetate)又はメタジルアセテート(methadyl acetate);リポキシゲナーゼインヒビター、例えば、5−リポキシゲナーゼのインヒビター;αレセプターアンタゴニスト、例えば、インドラミン;αレセプターアゴニスト;バニロイドレセプターアンタゴニスト;mGluR5アゴニスト、アンタゴニスト又は賦活薬(potentiator);GABA Aレセプターモジュレーター、例えばアカンプロセートカルシウム(acamprosate calcium);ニコチンのアンタゴニスト又はアゴニスト、例としてはニコチン;ムスカリンのアゴニスト又はアンタゴニスト;選択的セロトニン再取り込みインヒビター、例えば、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、デュロキセチン、エシタロプラム又はシタロプラム;三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン、ドキセピン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン又はイミプラミン;ロイコトリエンアンタゴニスト、例えば、モンテルカスト又はザフィルカスト;一酸化窒素のインヒビター又は一酸化窒素の合成のインヒビターと組み合わせて用いられてもよい。
【0114】
また、本発明の製剤はエルゴットアルカロイド、例えば、エルゴタミン、エルゴノビン、エルゴノビン、メチルエルゴノビン、メテルゴリン、エルゴロイドメシレート、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン、ジヒドロ−I−エルゴクリプチン、ジヒドロ−θ−エルゴクリプチン、エルゴトキシン、エルゴコルニン、エルゴクリスチン、エルゴクリプチン、I−エルゴクリプチン、θ−エルゴクリプチン、エルゴシン、エルゴスタン、ブロモクリプチン又はメチセルギドと組み合わせて用いられてもよい。
【0115】
さらに、本発明の製剤は、βアドレナリンアンタゴニスト、例えば、チモロール、プロパノロール、アテノロール又はナドロールなど;MAOインヒビター、例えば、フェネルジン;カルシウムチャネルブロッカー、例えば、フルナリジン、ニモジピン、ロメリジン、ベラパミル、ニフェジピン、プロクロルペラジン又はガバペンチン;神経遮断薬、例えば、オランザピン及びクエチアピン;抗けいれん薬、例えば、トピラメート、ゾニサミド、トナベルサット、カラベルサット又はジバルプロエクスナトリウム(divalproex sodium);アンジオテンシンIIアンタゴニスト、例えば、ロサルタン及びカンデサルタンシレキセチル;アンジオテンシン変換酵素インヒビター、例えば、リシノプリル、又はA型ボツリヌス毒素と組み合わせて用いられてもよい。
【0116】
本発明の製剤は、賦活剤(potentiator)、例えば、カフェイン、H2−アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミ又は水酸化マグネシウム;充血除去剤、例えば、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン又はレボ−デスオキシ−エフェドリン;鎮咳薬、例えば、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン又はデキストロメトロファン;利尿薬;運動促進剤、例えば、メトクロプラミド又はドンペリドン、及び鎮静及び非鎮静の抗ヒスタミン薬と組み合わせて用いられてもよい。
【0117】
特に好ましい実施態様では、本発明の製剤は、抗片頭痛剤、例えば:エルゴタミン;5−HTアゴニスト、特に5−HT1B/1Dアゴニスト、特にスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタン及びリザトリプタン;並びにシクロオキシゲナーゼインヒビター、例えば、選択的シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター、特に、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、メロキシカム、バルデコキシブ又はパラコキシブと組み合わせて用いられる。
【0118】
上記の組み合わせとしては、本発明の製剤と、一つの他の活性化合物とだけでなく、2つ以上の他の活性な化合物とが挙げられる。同様に、本発明の製剤は、本発明の化合物が有用である疾患又は症状の予防、治療、管理、寛解又はリスクの軽減に用いられる他の薬物と組み合わせて用いられる。このような他の薬物は、そのために通常用いられる経路及び量で、本発明の化合物と同時に又は連続して投与され得る。
【0119】
このような組み合わせでは、本発明の製剤及び他の活性剤は別々に投与されても、又は結合して投与されてもよい。さらに、1つの成分の投与は、他の剤の投与の前、同時又は連続して、そして投与の同じ又は異なる経路を介して投与されてもよい。
【0120】
他に規定しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と同様又は等価な任意の方法及び材料が本発明の実施又は試験において用いられてもよいが、好ましい方法及び材料はここで記載されている。本明細書で言及される全ての刊行物は、それに関連してその刊行物が引用されている方法及び/又は材料を開示及び記載するために参考にすることにより本明細書に組み込まれる。
【0121】
「任意の(optional)」又は「必要に応じて(optionally)」とは、その後に記載される事象、環境、特徴又は成分が必須ではないが、存在してもよいことを意味し、その説明はその事象又は環境が存在する場合及びそれが存在しない場合を包含する。
【0122】
本明細書において及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形“a”、“and”及び“the”は、その文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を包含することに注意すべきである。特許請求の範囲は、任意の選択的な要素を除外するように草案される場合もあることにさらに注意のこと。そのようなものとして、この陳述は、特許請求の範囲の要素の言及と組み合わせた「単に」(solely)、「だけ」(only)などのような除外的な用語法の使用、又は「ネガティブな」(negative)限定の使用のための先行詞として機能するものとする。
【0123】
本発明をさらに記載する前に、本発明は、記載される具体的な実施態様に対して(それ自体が当然ながら変化し得るので)限定されないことが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、本発明に用いられる用語集は具体的な実施態様を記載する目的に過ぎず、限定されることを意図しないと理解されるべきである。
【0124】
実施例
実施例1−非晶形のテルカゲパントカリウム
テルカゲパントのカリウム塩エタノール付加物のサンプルをメタノール中に12重量%で溶解した。溶液を、デンマークのNiroA/Sが製造したSD−Micro中で以下の条件で噴霧乾燥した:
処理ガス速度30kg/hr
微粒化(噴霧)速度2kg/hr
フィード速度15mL/分
入口温度:136℃
出口温度:65℃。
【0125】
得られた粉末は、Philips,Inc.が製造したX’pert X線回折計を用いてX線粉末回折スペクトルによって測定した。回折角度は、4〜40°で作動された。単一の非晶質生成が広範な光輪のプロフィールで示された。
【0126】
得られた粉末の写真を図1A(100μmの縮尺目盛り)及び図1B(20μmの縮尺目盛り)で示す。
【0127】
得られた粉末は、7μmの平均粒子サイズを有すると特徴付けられた。粉末の95%が18μm未満の粒子サイズを有し、10%が2μm未満の粒子サイズを有した。粉末の密度は、「ルーズ(loose)」では0.11g/cm、「タップド(tapped)」では0.18g/cmと測定された。
【0128】
カールの密度は39%と測定され、ハウスナー比は1.64であった。表面積は1.5m/gであった。
【0129】
水分含量は25℃/75%の相対湿度で18%であると確認された。
【0130】
実施例2−テルカゲパントカリウム非晶形の沈殿方法
テルカゲパントのカリウム塩の濃縮ストリームを、酢酸エチル又は他の良好な溶媒(例えば、THF)中で、40〜300mg/mlの範囲で調製する。水分含量が0〜2重量%になるように、濃縮されたモル(M)溶液に水を添加してもよい。この水が容易に濾過される三次元粒子の生成を助ける。次いでテルカゲパントの非晶質カリウム塩を、濃縮ストリームとヘプタン又は他の逆溶剤(例えば、シクロヘキサン)とを、衝突噴流接触装置を用いて2以上の容積のヘプタンに対して1容積の濃縮バッチの比で接触させることによって、「衝突噴流(impinging jet)」法で沈殿させる。この装置では、濃縮されたストリームはシリンジポンプを用いて小容積に連続して供給され、同時に逆溶剤がシリンジポンプを用いてこの容積に添加される。この生成物は、ストリームが接触された後に沈殿し、得られた生成物のスラリーを収集フラスコ中に収集する。この方法では、この装置は、「T」形を呈し、バッチ及びヘプタンの入口及び生成スラリーの出口を備える。このスラリーを濾過して、ヘプタンで洗浄する。次いでこの生成物を真空オーブン中で40〜50℃で乾燥する。
【0131】
実施例2のプロセスによって生じる粉末の写真は、図2A(300μmの縮尺目盛り)及び図2B(50μmの縮尺目盛り)に示す。
【0132】
得られた粉末は、99μmという平均粒子サイズを有すると特徴付けられた。粉末のうち95%が296μm未満の粒子サイズを有し、10%が11μm未満の粒子サイズを有した。粉末の密度は、「ルーズ(loose)」では0.24g/cm、「タップド(tapped)」では0.33g/cmと測定された。
【0133】
カールの密度は27%と測定され、ハウスナー比は1.38であった。表面積は80.6m/gであった。
【0134】
水分含量は25℃/75%の相対湿度で約18%であると確認された。
【0135】
実施例3−テルカゲパントカリウム型のX線粉末回折研究
X線粉末回折研究は、分子の構造、結晶化度及び多形性を特徴付けるために広く用いられる。カリウム塩エタノール付加物のI型及びII型の、並びにカリウム塩水和物のX線粉末回折パターンを、PW3040/60コンソールを備えるPhilips Analytical X’Pert PRO X−ray Diffraction Systemで作成した。PW3373/00セラミックCu LEF X線管Kα放射線を供給源として用いた。図3は、カリウム塩エタノール付加物I型のX線粉末回折パターンを示す。このカリウム塩エタノール付加物I型は、8.27、4.01及び3.32Åというd−間隔に相当する特徴的な回折ピークを呈した。このカリウム塩エタノール付加物I型はさらに、16.52、7.55及び7.02Åというd−間隔で特徴付けられた。このカリウム塩エタノール付加物I型はさらに、5.52、5.08及び4.63Åというd−間隔によっても特徴付けられた。
【0136】
図4は、カリウム塩エタノール付加物II型のX線回折パターンを示す。このカリウム塩エタノール付加物II型は、11.62、7.80及び4.92Åというd−間隔に相当する特徴的な回折ピークを呈する。カリウム塩エタノール付加物II型はさらに、4.55、4.31及び4.11Åというd−間隔によって特徴付けられた。このカリウム塩エタノール付加物II型はさらに、3.85、3.55及び2.88Åというd−間隔によっても特徴付けられた。
【0137】
図5は、カリウム塩水和物のX線粉末回折パターンを示す。このカリウム塩水和物は16.96、8.50及び4.26Åというd−間隔に相当する特徴的な回折ピークを呈した。このカリウム塩水和物はさらに、7.41、6.88及び3.79Åというd−間隔によって特徴付けられた。このカリウム塩水和物はさらに、5.00、3.41及び3.06Åというd−間隔によっても特徴付けられた。
【0138】
実施例4−テルカゲパントカリウム非晶形のモジュレイテッドDSC研究
モジュレイテッドDSCデータは、TA装置DSC Q1000を用いて獲得された。MDSCは、伝統的なDSCで用いられるとおり、単一直線加熱速度の代わりに加熱速度の正弦変化又は変調変化を用いる。これによって熱流量が可逆成分及び非可逆成分に分離されることが可能になる。この非晶質物質のガラス遷移は、サンプルの熱容量の変化に起因して、逆転熱流量曲線中でベースライン中の変化として検出される。
【0139】
テルカゲパント非晶質カリウム塩の2〜6mgのサンプルを開放パンに秤量した。このパンをリッドでカバーしたが、吸収された湿気を除去することを可能にするために圧着はしなかった。このパンを熱量計セル中のサンプル位置に置いた。空のパンを参照位置に置いた。この熱量計セルを閉じて、窒素流をこのセルに通した。加熱プログラムは、60秒という変調間隔及び±0.5℃という変調振幅で2℃/分の加熱速度でサンプルを加熱するように設定した。操作を完了したとき、データをシステムソフトウェア中でDSC分析プログラムを用いて分析した。
【0140】
図6は、非晶質カリウム塩のモジュレイテッドDSC曲線である。189.00℃という中間点温度で逆転熱流量曲線で観察された熱容量変化は、非晶質カリウム塩のガラス遷移に相当する。
【0141】
実施例5−テルカゲパントカリウム型の固体状態C13 NMRスペクトル
上記のX線粉末回折パターンに加えて、テルカゲパントカリウムエタノール付加物はさらに、固体状態炭素−13 核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって特徴付けられた。固体状態炭素−13 NMRスペクトルは、Bruker 4mm H/X CPMASプローブを用いてBruker DSX 400WB NMRシステムで得た。この炭素−13 NMRスペクトルは、可変振幅の交差分極、総側波帯抑圧及び100kHzでのTPPMデカップリングを用いるプロトン/炭素−13交差分極マジック角回転を利用した。このサンプルを10.0kHzでスピンして、全部で512のスキャンを90秒という待ち時間(recycle delay)で収集した。FTを行う前に10Hzという線幅拡大をスペクトルに供した。化学的シフトを、二次参照としてグリシンのカルボニル炭素(176.03p.p.m.)を用いてTMSスケールで報告する。
【0142】
I型は109.1ppm、55.8ppm及び54.6ppmという固体状態炭素−13 NMRスペクトルのピークによって特徴付けられる。
【0143】
【表2】

【0144】
テルカゲパントのカリウム塩の水和物は、126.1ppm、54.4ppm及び36.6ppmという固体状態炭素−13 NMRスペクトルのピークによって特徴付けられる。
【0145】
【表3】

【0146】
テルカゲパントのカリウム塩の非晶形は、126.0ppm、53.7ppm及び29.1ppmという固体状態炭素−13 NMRスペクトルのピークによって特徴付けられる。
【0147】
【表4】

【0148】
実施例6−テルカゲパントカリウム型のラマンスペクトル
条件:
装置:挿入プローブを備えるKaiser Optical Systems,Inc.のHoloLab Series 5000
サンプル条件:前処理なしの固形粉末。
サンプリング方式:各々のスペクトルを5秒の露出及び5秒の累積で収集した。
【0149】
【表5】

【0150】
このスペクトルは、図10(テルカゲパントカリウムエタノール付加物I型)、図11(水和物)及び図12(非晶形)に示される。
【0151】
実施例7−テルガケパントカリウムエタノール付加物のI型及びII型の相対的な安定性
スラリー実験は、5℃及び40℃で行い、エタノールに対して等量のI型及びII型を添加した。スラリー実験から回収された固体のXPRDは、I型への型変換を示し、このことはI型が5℃及び40℃の温度範囲でより安定な形態であることを示唆した。
【0152】
実施例8−錠剤の例示的な製造
本発明の製剤は、乾式造粒法によって調製され得る。錠剤製造プロセスは、全ての提唱された製剤及び薬物物質型について同じである。下に示される製造プロセスの流れ図に示されるとおり、本発明による適切なプロセスは以下の工程からなる:
1.テルカゲパントカリウム、アルギニン、マンニトール、ポロキサマー407、二酸化ケイ素、及びクロスポピドンを同時ふるいにかける。
2.ふるいにかけられた物質を適切なブレンダー中で約10分間ブレンドし、次いでステアリン酸マグネシウムのバッチ量の1/2を用いて滑沢化する。
3.粉末混合物を、ローラー圧縮機(roller compactor)を用いて乾式造粒する。
4.得られた圧縮された顆粒を粉砕する。
5.この粉砕された顆粒を残りのステアリン酸マグネシウムを用いて滑沢化する。
6.滑沢化された物質を錠剤に圧縮する。
7.この錠剤を、精製された水及びOPADRY(登録商標)White,Brown又は他の色から構成される白色フィルムコーティング懸濁液でコーティングする。
【0153】
実施例9−テルカゲパントのカリウム塩の例示的な製剤
テルカゲパントのカリウム塩の例示的な錠剤製剤は、下の表4A(I型エタノール付加物)、4B(水和物)及び4C(非晶形)に示される。
【0154】
【表6】

【0155】
【表7】

【0156】
【表8】

【0157】
実施例10−テルカゲパントの製剤の比較治験
非盲検、無作為、6期間クロスオーバー治験を行って、36例の男性及び女性の被験者に対して単回経口投与として投与された、テルカゲパントの6製剤の比較のバイオアベイラビリティを決定した。この6つの製剤は、5つの固形投与の製剤(表5)及び経口の軟性の弾性液体充填カプセル(C1)を含んだ。3つの固形の剤形は、I型テルカゲパントカリウムを含み、別の剤形はテルカゲパントカリウム水和物を含み、そして5番目のものは、非晶形のテルカゲパントカリウムを含んだ。
【0158】
この製剤を下の表5に記載する。
【0159】
【表9】

【0160】
製剤に含まれる「他の賦形剤」はステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン、二酸化ケイ素、マンニトール及びコーティングであった。
【0161】
また本治験には、以下の成分を含んだ、液体充填した経口の軟性の弾性カプセル製剤C1も含んだ:
テルカゲパントカリウム塩エタノール付加物 28.56%
PEG 400 23.36%
プロピレングリコール 7.14%
クレモフォール EL 18.09%
ポリソルベート 80 18.09%
ブチル化ヒドロキシルトルエン 0.04%
水 4.72%
【0162】
一晩の8時間の絶食後、各々の被験者は、6つの製剤のうちの1つの単回の300mgの経口用量を、240mLの水と一緒に投与された。水は、薬物投与の前後1時間に制限され、被験者が各々の用量を投与される順序は、コンピューターが作成した割り当てスケジュールに従って無作為化された。各々の治療期間は、5日という最小ウオッシュアウトで隔てられた。
【0163】
テルカゲパント製剤の単回投与の投与後の平均の血漿濃度−時間のプロフィールの形は、経口の液体充填カプセルである製剤C1の形と感知できるほどの違いはなかった(図13)。各々の製剤のプロフィールによって、急速な吸収(中央Tmax≦1.5時間)が示唆され、ここでは、製剤にわたって同様のTmaxであり、そして製剤にわたって同様のみかけの終末半減期を有し、少なくともポストピークのテルカゲパント血漿濃度の双指数の低下があった(図13)。
【0164】
下の表6A〜6Gは、本治験からの多様な薬物動態のデータの統計学的分析の結果を示す。以下の定義が関連する:
GM=幾何平均
GMR vs.C1=幾何平均比対C1
HM=調和平均
%CV=変動係数%
90%CI=90%信頼区間
AUC=「AUC」又は「曲線下面積」は、経時的な薬物の血漿濃度の尺度であり、薬物曝露の尺度である。AUCの測定は製剤の当業者には周知である。
Cmax=Cmaxは観察された最高の血漿薬物濃度の尺度である。
Tmax=TmaxはCmaxに最初に到達した時間である。
半減期=身体中の薬物の濃度又は量が1/2まで低下されるのに必要な時間間隔。
【0165】
これらの用語のさらなる説明は、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,第18〜19頁,1790〜1791頁(第11版,2006)に見出すことができる。
【0166】
【表10】

【0167】
【表11】

【0168】
【表12】

【0169】
【表13】

【0170】
【表14】

【0171】
【表15】

【0172】
【表16】

【0173】
試験製剤と参照の液体充填カプセルとの間のTmaxに統計学的に有意な相違はなかった。
【0174】
実施例11−テルカゲパントカリウムエタノール付加物及びテルカゲパントカリウム水和物の製剤の比較
テルカゲパント製剤C1(上記)、液体充填カプセル(300及び600mg)の投与の結果、2時間の無疼痛及び疼痛救済カウントが生じ、これは、第II相治験でプラセボより優れていた。テルカゲパント製剤C1(150mg及び300mg)の投与の結果、2時間の無疼痛及び疼痛救済カウントが生じ、これは、第III相治験でプラセボより優れていた。
【0175】
テルカゲパントのエタノール付加物塩の固形製剤である製剤G1をこの治験でC1と比較した。この治験は、280mgのテルカゲパントエタノール付加物塩(製剤G1の錠剤、わずかに改変した製剤Gの錠剤)と280mgのテルカゲパント水和物(製剤Iの錠剤)の薬物動態のプロフィールを、無作為化、クロスオーバー方式で直接比較した。
【0176】
【表17】

【0177】
非盲検、無作為化、2期間、クロスオーバー治験を行って、36例の健常な男性及び女性の被験者に対して単回経口投与として投与されたテルカゲパントの2つの製剤(製剤G1及びI)の生物学的同等性を評価した。
【0178】
各々の被験者には両方の期間に同時に各々の用量のテルガケパントを与えた。一晩の8時間の絶食後、各々の被験者は、単回の280mgの経口用量の固形投与製剤G1又は単回の280mgの経口用量の固形投与製剤Iのいずれかを投与された。これらの用量は240mLの水とともに投与された。水は、薬物投与の前後1時間に制限され、被験者が各々の用量を投与される順序は、コンピューターが作成した割り当てスケジュールに従って無作為化された。被験者は、薬物動態の測定のために、両方の期間で投与前及び薬物投与後48時間にわたって特定の時点で血液を収集された。被験者を薬物動態の測定のために両方の治療期間で投与後24時間、臨床検査施設(CRU)に隔離した。被験者は治験担当者の指示によって、投与後最大48時間まで検査施設にとどまる必要がある場合があった。治療期間の間、5日(約15半減期)という最小ウオッシュアウトがあった。安全性及び耐容性は、有害事象、ECG、バイタルサインのモニタリング、及び実験室の安全性アセスメントを注意深く問い質すことによって評価した。
【0179】
結果
テルカゲパントの2つの製剤の平均の血漿濃度−時間プロフィールの形は、感知できるほど異なることはなく、ここでは両方のプロフィールとも、急速な吸収、及び少なくともポストピークのテルカゲパント血漿濃度の双指数の低下を示唆していた。
【0180】
表8は、薬物動態のデータの統計学的分析の結果を示す。280mgのテルカゲパントの固形投与の水和物製剤に対する280mgの固形投与の製剤G1の比較のために、幾何平均の比(製剤G1/製剤I)及びAUC0−∞及びCmaxについての対応する90%信頼区間は、それぞれ0.94(0.88,0.99)及び0.95(0.83、1.08)であった。
以下の定義が関連である:
GM=幾何平均
MSE=平均平方誤差
%CV=変動係数%
90%CI=90%信頼区間
AUC=「AUC」又は「曲線下面積」は、経時的な薬物の血漿濃度の尺度であり、薬物曝露の尺度である。AUCの測定は製剤の当業者には周知である。
Cmax=Cmaxは観察された最高の血漿薬物濃度の尺度である。
Tmax=TmaxはCmaxに最初に到達した時間である。
半減期=身体中の薬物の濃度又は量が1/2に低下されるのに必要な時間間隔。
【0181】
【表18】

【0182】
本発明は、その具体的な実施態様を参照して記載されかつ例示されてきたが、当業者は手順及びプロトコールの多様な適合、変化、改変、置換、欠失又は追加が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解する。例えば、本明細書において上記で示された特定の投薬量以外の有効な投薬量が、上記で示される本発明の化合物での任意の適応について治療されている哺乳動物の応答性における変化の結果として適用可能であり得る。同様に、観察される特定の薬理学的反応は、選択される特定の活性な化合物、又は薬学的担体が存在するか否か、並びに使用される製剤の種類及び投与方法に従って及び依存して変化する場合があり、結果におけるこのような期待される変動又は相違は、本発明の目的及び実施を踏まえて考慮される。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、このような特許請求の範囲は、合理的にできるだけ広く解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶液中でN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムのエタノール付加物又は水和物の噴霧乾燥工程によって調製して得られる、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの非晶形。
【請求項2】
非晶形が15μm未満の平均粒子サイズを有する、請求項1に記載のN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの非晶形。
【請求項3】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムのエタノール付加物又は水和物をメタノール中に溶解する工程及び該非晶形を沈殿する工程によって得られる、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの非晶形。
【請求項4】
非晶形が、150μm未満の平均粒子サイズを有する、請求項3に記載のN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウムの非晶形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−246478(P2011−246478A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155043(P2011−155043)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【分割の表示】特願2011−516753(P2011−516753)の分割
【原出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】