説明

テント構造

【課題】内部のテント室に除菌など処理すべき対象物を収容して、処理流体を供給可能としたり、テント室において効率的な空調を実現可能にしたりするテント構造に関し、テントの組立作業が容易に、かつ、迅速にできるようにする。
【解決手段】テント構造は、立体的に枠組みされて固定側6の面上に設置可能とされるフレーム7と、フレーム7に沿って延び、フレーム7に支持されて内部がテント室8とされるテント本体膜9と、一端部側12がテント室8内に向かって開口する処理流体3用の複数の吐出口13を有する一方、他端部側14の端部が処理流体3の導入口15とされる可撓性の流体通路16とを備える。テント本体膜9、および流体通路16が折り畳まれた状態から、テント本体膜9が展張させられるとき、展張動作に連動してテント本体膜9、および流体通路16が互いの相対的な所定位置に設置されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌汚染の発生地点などにおいて、除菌や洗浄などで処理すべき対象物を収容し、この対象物に対し除菌用オゾンや洗浄水などの処理流体を供給して処理可能にしたり、内部空間に対して効率的な空調を実現可能にしたりするためのテント構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記テント構造には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、テントは、立体的に枠組みされて固定側の面上に設置可能とされるフレームと、このフレームに沿って延び、このフレームに支持されて内部がテント室とされるテント本体膜と、一端部側が上記テント室内に向かって開口する洗浄水用の複数の吐出口を有する一方、他端部側の端部が上記洗浄水の導入口とされるホースとを備えている。
【0003】
ここで、ある地点で細菌汚染などの問題点が発生したとし、これに上記テントが必要とされた場合には、折り畳まれてコンパクトにされているテントが上記地点にまで直ちに搬送され、そこで、まず、このテントの組立作業が行なわれる。そして、組み立てられたテントにおいて、上記ホースを後付けし、このホースを通して上記テント室内に洗浄水が供給される。この洗浄水はシャワーとされて上記対象物に注がれ、これにより、この対象物が洗浄処理される。この場合、上記洗浄水が無用に広く飛散することは、上記テントによって防止され、このテント室内での飛散にとどめられる。
【0004】
ここで、上記したテントの組立作業では、まず、折り畳まれたテントのフレームに空気を導入させて膨張させる。そして、この膨張により、上記フレームを所定形状にまで展張させて固定側の面上に設置する。次に、上記展張されたフレームにテント本体膜を組み付けるが、この場合、上記フレームの内部に所定形状のテント室が形成されるよう、このテント本体膜が組み付けられる。次に、上記ホースを後付けし、上記フレームとテント本体膜との組立体を所定位置に設置させれば、上記テントの組立作業が終わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4067043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したテントの組立作業をする場合には、まず、上記フレームを展張させて固定側の面上に設置し、次に、このフレームにテント本体膜とホースとをこの順序で順次組み付けることが要求される。しかし、このようにテントの構成部品を順序立てて、順次組み付ける、という作業は煩雑である。
【0007】
また、前記したような汚染などの問題点が発生した場合、通常、その対象物の処理には迅速性が要求される。しかし、上記したようにテントの組立作業は煩雑であることから、この組立作業には長時間を要するおそれがある。しかも、上記先浄水を供給するホースとして、いわゆる散水用のゴムホースが別途に設けられている。このため、このようなホースと上記フレームやテント本体膜とを一体的に展張させたり、一体的に折り畳んで収納したりする作業は容易でない。よって、テントを用いての対象物の処理を、より迅速にする上で、改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、内部のテント室に除菌など処理すべき対象物を収容して、この対象物に対し処理流体を供給可能としたり、上記テント室において効率的な空調を実現可能にしたりするためのテント構造に関し、このテントの組立作業が容易に、かつ、迅速にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、立体的に枠組みされて固定側6の面上に設置可能とされるフレーム7と、このフレーム7に沿って延び、このフレーム7に支持されて内部がテント室8とされるテント本体膜9と、一端部側12が上記テント室8内に向かって開口する処理流体3用の複数の吐出口13を有する一方、他端部側14の端部が上記処理流体3の導入口15とされる可撓性の流体通路16とを備えたテント構造において、
上記テント本体膜9、および流体通路16が折り畳まれた状態から、上記テント本体膜9が展張させられるとき、この展張動作に連動して上記テント本体膜9、および流体通路16が互いの相対的な所定位置に設置されるようにしたことを特徴とするテント構造である。
【0010】
請求項2の発明は、上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16が一体的に折り畳まれた状態から展張されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のテント構造である。
【0011】
請求項3の発明は、上記フレーム7をチューブ材20〜22により形成し、折り畳んだ状態の上記フレーム7への気体25の導入により、上記フレーム7が所定形状にまで膨張して展張されるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のテント構造である。
【0012】
請求項4の発明は、上記流体通路16の外殻材44を、上記フレーム7とテント本体膜9との少なくともいずれか一方に取り付けたことを特徴とする請求項2または3に記載のテント構造である。
【0013】
請求項5の発明は、上記流体通路16の外殻材44の少なくとも一部分を、上記フレーム7または本体膜9と同じ材質にしたことを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1つに記載のテント構造である。
【0014】
請求項6の発明は、上記流体通路16の外殻材44の少なくとも一部分を、上記フレーム7またはテント本体膜9の一部分により形成したことを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1つに記載のテント構造である。
【0015】
請求項7の発明は、テント1の平面視(図1)で、上記流体通路16の一端部側12を、上記テント本体膜9の内面に沿った環形状となるように形成したことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1つに記載のテント構造である。
【0016】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明による効果は、次の如くである。
【0018】
請求項1の発明は、立体的に枠組みされて固定側の面上に設置可能とされるフレームと、このフレームに沿って延び、このフレームに支持されて内部がテント室とされるテント本体膜と、一端部側が上記テント室内に向かって開口する処理流体用の複数の吐出口を有する一方、他端部側の端部が上記処理流体の導入口とされる可撓性の流体通路とを備えたテント構造において、
上記テント本体膜、および流体通路が折り畳まれた状態から、上記テント本体膜が展張させられるとき、この展張動作に連動して上記テント本体膜、および流体通路が互いの相対的な所定位置に設置されるようにしている。
【0019】
このため、テントの使用時に、まず、このテントの組立作業をしようとする場合には、テント本体膜と流体通路16とが予め折り畳まれているとしても、この折り畳まれた状態から、このテント本体膜を単に展張させればよい。このようにすれば、上記したように、この展張動作に連動して上記流体通路が所定位置に設置され、上記組立作業が終わることとなる。よって、上記テントの組立作業は、極めて容易に、かつ、迅速にすることができる。
【0020】
請求項2の発明は、上記フレーム、テント本体膜、および流体通路が一体的に折り畳まれた状態から展張されるようにしている。
【0021】
このため、上記フレーム、テント本体膜、および流体通路をそれぞれ個別に展張させる必要がなく、よって、テントの組立作業が更に迅速にできる。一方、テントの不使用時には、上記フレーム、テント本体膜、および流体通路を一体的に折り畳むことにより、これらをコンパクトに収納させることができる。
【0022】
請求項3の発明は、上記フレームをチューブ材により形成し、折り畳んだ状態の上記フレームへの気体の導入により、上記フレームが所定形状にまで膨張して展張されるようにしている。
【0023】
このため、上記フレームの展張は、チューブ材であるフレームへの気体の導入、という簡単な構成で容易に達成される。よって、その分、上記テントの組立作業は、より容易にできる。
【0024】
請求項4の発明は、上記流体通路の外殻材を、上記フレームとテント本体膜との少なくともいずれか一方に取り付けている。
【0025】
このため、上記流体通路の外殻材が、上記フレームとテント本体膜とのいずれか一方、もしくは両者に取り付けられているとしても、これらが折り畳まれた状態から展張されるとき、この展張動作に上記流体通路は精度よく追従する。よって、このように組み立てられたテントには、その各構成部品の相対位置につき、良好な寸法精度が得られる。
【0026】
請求項5の発明は、上記流体通路の外殻材の少なくとも一部分を、上記フレームまたはテント本体膜と同じ材質にしている。
【0027】
このため、テントを形成する際の材料管理が容易にできると共に、材料の歩留りを向上させることができて、テントの形成が容易、かつ、安価にできる。また、このように、材質を同じにすると、展張や折り畳み時における上記フレーム、テント本体膜、および流体通路のそれぞれの変形が無理なく行なわれて、互いの変形が円滑に進行する。よって、上記展張や折り畳み時に、上記フレーム、テント本体膜、および流体通路のいずれかが無理に変形して損傷する、ということは防止される。
【0028】
請求項6の発明は、上記流体通路の外殻材の少なくとも一部分を、上記フレームまたはテント本体膜の一部分により形成している。
【0029】
このため、上記外殻材の形成に、上記フレームまたはテント本体膜の一部分が利用された分、テントの構成を簡単にできる。
【0030】
請求項7の発明は、テントの平面視で、上記流体通路の一端部側を、上記テント本体膜の内面に沿った環形状となるように形成している。
【0031】
このため、上記流体通路の一端部側が有する各吐出口から処理流体を吐出させることにより、テント本体膜のテント室内における処理流体の分布を、より均一にできる。よって、この処理流体による対象物の処理が精度よくできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1を示し、テントの平面図である。
【図2】実施例1を示し、テントの側面図である。
【図3】実施例1を示し、テントの斜視図である。
【図4】実施例1を示し、図1のIV−IV線矢視拡大断面部分破断図である。
【図5】実施例2を示し、図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のテント構造、具体的には、内部のテント室に除菌など処理すべき対象物を収容して、その処理流体を供給可能にしたり、上記テント室において効率的な空調を実現可能にしたりするためのテント構造に関し、このテントの組立作業が容易に、かつ、迅速にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0034】
即ち、テント構造は、立体的に枠組みされて固定側の面上に設置可能とされるフレームと、このフレームに沿って延び、このフレームに支持されて内部がテント室とされるテント本体膜と、一端部側が上記テント室内に向かって開口する処理流体用の複数の吐出口を有する一方、他端部側の端部が上記処理流体の導入口とされる可撓性の流体通路とを備える。
【0035】
上記テント本体膜、および流体通路が折り畳まれた状態から、上記テント本体膜が展張させられるとき、この展張動作に連動して上記テント本体膜、および流体通路が互いの相対的な所定位置に設置されるようにしている。
【実施例1】
【0036】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1〜4に従って説明する。
【0037】
図1〜4において、符号1は、テント構造である。このテント1は、細菌、化学、放射能汚染の発生地点など所望位置において、除菌や洗浄などで処理すべき対象物2を収容し、この対象物2に対し除菌用オゾンや洗浄水などの処理流体3を供給可能にするためのものである。なお、上記テント1は、その内部における空気につき、効率的な空調を実現可能にするためのものであってもよい。
【0038】
なお、説明の便宜上、図中矢印Frの方向を前方として、以下説明する。また、下記する左右とは、上記前方に向かってのテント1の幅方向をいうものとする。
【0039】
上記対象物2は、人の他、家畜などの動物であってもよく、食物や機器類などであってもよい。また、上記処理流体3は、オゾンガス等の除菌剤を混入した空気であるが、水などによる溶液であってもよく、また、温度や湿度調整された空気であってもよい。
【0040】
上記テント1は、立体的に枠組みされて地面や床面など固定側6の面上に設置可能とされるフレーム7と、このフレーム7に沿って延び、このフレーム7に支持されて内部が閉じられたテント室8とされるテント本体膜9と、上記フレーム7に上記テント本体膜9を着脱可能に支持させるフック形状の係止具10と、一端部側12が上記テント室8内に向かって開口する処理流体3用の複数の吐出口13を有する一方、他端部側14の端部が上記処理流体3の導入口15とされる可撓性の流体通路16と、上記導入口15を通し上記流体通路16内に処理流体3を供給する流体供給機17とを備えている。
【0041】
上記フレーム7は、アルミ等の金属製、塩化ビニル等の樹脂製のフレームが利用可能であるが、本実施例では、複数のチューブ材20〜22を枠組みすることにより形成されている。具体的には、上記フレーム7は、上記固定側6の面上に立設される4本の柱チューブ材20と、上記テント1の左右各側部において、前、後柱チューブ材20,20の下端部同士を連結する連結チューブ材21と、上記各柱チューブ材20の上端部に支持される屋根チューブ材22とを備えている。
【0042】
上記フレーム7の各チューブ材20〜22は、その各内部が互いに連通している。これら各チューブ材20〜22は、その各内部に導入された圧縮気体25により膨張させられて展張させられることにより、所定形状に保形されている。これにより、上記フレーム7は上記固定側6の面上に自立するよう配置される。
【0043】
上記各チューブ材20〜22のうち、1本の柱チューブ材20の下端部に開閉可能に閉じられる気体注入口26が形成されている。この気体注入口26に吐出口が着脱可能に連結される気体注入機27が設けられている。そして、この気体注入機27の駆動により、開口された気体注入口26を通し上記各チューブ材20〜22の内部に上記気体25が注入可能とされる。具体的には、気体25は空気であり、気体注入機27はエアコンプレッサである。なお、気体25はCOガスであってもよい。また、上記フレーム7を上記固定側6の面上の所定位置に保持可能とする複数(4本)の保持ロープ28が設けられている。
【0044】
前記テント本体膜9は、上記各チューブ材20〜22で枠組みされたフレーム7の内部に配置されている。上記テント本体膜9は、前後方向で対面する前、後面膜32,33と、左右で対面する側面膜34,34と、上下方向で対面する屋根膜35および床面膜36とを備え、これら各膜32〜36の互いの対向縁部同士が熱溶着や、縫製、面ファスナー等により結合されて上記テント本体膜9が形成されている。
【0045】
上記前面膜32には出入口38が形成され、この出入口38を開閉可能に閉じるドア膜39が設けられている。また、側面膜34には窓開口40が形成され、この窓開口40を閉じる透明の樹脂シート41が設けられている。上記フレーム7の各チューブ材20〜22、およびテント本体膜9の各膜の材質は、その芯材としてのポリエステルなど樹脂繊維、ケナフ等の天然繊維、ガラス繊維等の無機繊維の少なくとも1つからなる織物又は編物と、この芯材の各外面にコーティングされる塩化ビニル、EVA、フッ素樹脂などから選ばれる合成樹脂、またはゴム製の表皮とを備えている。
【0046】
前記流体通路16の外殻材44は、帯形状の2枚の長尺膜45,46同士を重ね合わせ、それぞれの幅方向の端縁部同士を熱溶着等により接合することによって形成されている。そして、これら長尺膜45,46の間に上記流体通路16が形成されている。具体的には、上記外殻材44の横断面視(図4)で、上記両長尺膜45,46のうち、テント室8の内部空間側に位置する一方の長尺膜45の長さが、他方の長尺膜46の長さよりも長くされている。そして、上記一方の長尺膜45の幅方向の中途部が上記他方の長尺膜46から離れるよう円弧形状に屈曲させられる一方、この他方の長尺膜46は断面直線形状とされている。これにより、これら両長尺膜45,46のそれぞれ幅方向の中途部の間に断面半円形状の上記流体通路16が形成されている。なお、上記流体通路16の断面形状は、楕円形や、三角形、矩形などの多角形状であってもよい。
【0047】
上記流体通路16の一端部側12の外殻材44は、この外殻材44の上記他方の長尺膜46の外面とこの外面に対面する上記テント本体膜9の上端部内面との間に設けられた面ファスナーである取付具47により、上記テント本体膜9の上端部内面に着脱可能に取り付けられている。この場合、上記したように、外殻材44の他の長尺膜46は、断面直線形状とされている。このため、この他の長尺膜46を上記した取付具47により、断面直線形状のテント本体膜9の内面に取り付けるとき、この取り付け作業は、上記他方の長尺膜46の断面直線形状を保ったままで、無理なく容易にできる。
【0048】
テント1の平面視(図1)で、上記流体通路16の一端部側12は、上記テント本体膜9の上端部の内面に沿った矩形の環形状となるよう形成され、上記一端部側12の外殻材44には、前記吐出口13が、上記外殻材44の長手方向で、等ピッチとなるよう形成されている。
【0049】
なお、上記流体通路16の一端部側12の環形状は、円環形状や開口の狭いC字形状を含む概念である。また、上記流体通路16の一端部側12の配置形状は、要するに、この一端部側12が有する各吐出口13から吐出される処理流体3がテント室8内に供給可能となるように設定されるものであって、特に限定されるものではない。しかし、上記流体通路16の一端部側12の配置形状は、上記テント室8内の各部に対し処理流体3がほぼ均一な状態で供給されるよう設定されることが好ましい。
【0050】
上記流体通路16の他端部側14の外殻材44は、上下方向に延び、面ファスナーである他の取付具48により上記テント本体膜9の側面膜34の内面に着脱可能に取り付けられている。上記流体通路16の他端部側14の外殻材44の上端部は上記流体通路16の一端部側12の外殻材44の長手方向の一部分に連結され、その内部の流体通路16同士は互いに連通している。また、上記他端部側14の外殻材44の下端部に前記導入口15が形成されている。
【0051】
上記外殻材44の各長尺膜45,46は、それぞれ上記テント本体膜9と同じ材質とされているが、いずれか一方のみが同じ材質であってもよい。また、上記外殻材44は、上記テント本体膜9の内面に縫製や熱溶着により固定させてもよい。
【0052】
前記流体供給機17には、上記気体注入機27が兼用され、この気体注入機27の吐出口は上記導入口15に着脱可能に連結される。そして、この気体注入機27から吐出された気体25は上記導入口15を通し流体通路16に導入される。また、上記流体供給機17は、上記気体注入機27から導入口15に向かう気体25にオゾンガスを混合させるオゾン発生器51を有している。また、上記気体注入機27の吸入口にはオゾン分解器52が着脱可能とされている。また、前記流体供給機17は、気体注入機27の代わりにスポットクーラー等の空調機を使用することもできる。これにより、上記テント室8を快適に効率よく空調することができる。また、上記空調機とオゾン発生器51を併用すれば、除菌と空調を同時にすることができる。
【0053】
上記テント1の不使用時には、上記フレーム7の各チューブ材20〜22内の気体25が上記気体注入口26を通し排出され、上記テント1のフレーム7、テント本体膜9、および流体通路16が一体的にコンパクトに折り畳まれて収納される。
【0054】
上記テント1の使用時には、このテント1は、まず、次のような組立作業により組み立てられる。
【0055】
即ち、固定側6の面上で、上記気体注入機27の駆動により、気体注入口26を通しフレーム7の内部に気体25が導入される。すると、上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16は折り畳まれた状態から、上記フレーム7の各チューブ材20〜22が膨張させられ、これにより、上記フレーム7とテント本体膜9とによる組み合わせ体7,9が自立するよう展張させられる。また、このとき、この展張動作に連動して上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16が互いの相対的な所定位置に設置される。そこで、上記気体注入口26を閉じることにより、上記組み合わせ体7,9を固定側6の面上に自立状態に維持させる。これにより、上記テント1の組立作業が終わる。
【0056】
次に、上記流体供給機17として、上記気体注入機27を上記導入口15に連結すると共に、この導入口15に上記オゾン発生器51を連結する。そして、これら気体注入機27とオゾン発生器51とを駆動させれば、上記気体25とオゾンガスとの混合体である処理流体3が上記導入口15を通し流体通路16の他端部側14に導入される。すると、上記処理流体3は上記流体通路16の一端部側12に達し、ここで、上記各吐出口13から上記テント室8内に吐出され、この吐出された上記処理流体3によって上記対象物2が除菌処理される。
【0057】
また、必要に応じて、上記気体注入機27の注入口に上記オゾン分解器52を取り付けて上記気体注入機27を駆動させることができる。このようにすると、上記気体注入機27のモーター等の内部機関が、オゾンガスにより侵されることが防止される。
【0058】
なお、上記外殻材44は、上記フレーム7やテント本体膜9の内面、もしくは外面に、上記両長尺膜45,46のいずれか一方の長尺膜を直接縫製又は熱溶着して固定することにより形成してもよい。この場合、上記外殻材44の一部分は上記フレーム7やテント本体膜9の一部分により形成されることとなるが、上記外殻材44の全部を上記フレーム7またはテント本体膜9の一部分により形成するようにしてもよい。
【0059】
以下の図5は、実施例2を示している。この実施例2は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例2】
【0060】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図5に従って説明する。
【0061】
図5において、上記フレーム7は、上記テント本体膜9の一部分と、このテント本体膜9の内面に熱溶着により取り付けられた帯形状の長尺膜55とで構成され、これら9,55の間に上記気体25が注入される空間56が形成されている。そして、上記テント本体膜9の一部分、長尺膜55、および空間56が前記フレーム7の各チューブ材20〜22を構成している。
【0062】
上記流体通路16の外殻材44は単なる断面円形のチューブ材により形成され、この外殻材44は、上記テント本体膜9の内面とフレーム7とにそれぞれU字バンド形状の取付具58により取り付けられている。
【0063】
なお、上記外殻材44は取付具58によりフレーム7にのみ、取り付けてもよい。また、前記実施例1の長尺膜45を上記フレーム7の長尺膜55の一部分に取り付けて、上記外殻材44を形成してもよい。
【0064】
上記構成によれば、テント本体膜9、および流体通路16が折り畳まれた状態から、上記テント本体膜9が上記フレーム7の展張に伴って展張させられるとき、この展張動作に連動して上記テント本体膜9、および流体通路16が互いの相対的な所定位置に設置されるようにしている。
【0065】
このため、テント1の使用時に、まず、このテント1の組立作業をしようとする場合には、テント本体膜9と流体通路16とが予め折り畳まれているとしても、この折り畳まれた状態から、このテント本体膜9を単に展張させればよい。このようにすれば、上記したように、この展張動作に連動して上記流体通路16が所定位置に設置され、上記組立作業が終わることとなる。よって、上記テント1の組立作業は、極めて容易に、かつ、迅速にすることができる。
【0066】
また、前記したように、上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16が一体的に折り畳まれた状態から展張されるようにしている。
【0067】
このため、上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16をそれぞれ個別に展張させる必要がなく、よって、テント1の組立作業が更に迅速にできる。一方、テント1の不使用時には、上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16を一体的に折り畳むことにより、これらをコンパクトに収納させることができる。
【0068】
また、前記したように、フレーム7をチューブ材20〜22により形成し、折り畳んだ状態の上記フレーム7への気体25の導入により、上記フレーム7が所定形状にまで膨張して展張されるようにしている。
【0069】
このため、上記フレーム7の展張は、チューブ材であるフレーム7への気体25の導入、という簡単な構成で容易に達成される。よって、その分、上記テント1の組立作業は、より容易にできる。
【0070】
また、前記したように、流体通路16の外殻材44を、上記フレーム7とテント本体膜9との少なくともいずれか一方に取り付けている。
【0071】
このため、上記流体通路16の外殻材44が、上記組み合わせ体7,9のうち、フレーム7とテント本体膜9とのいずれか一方、もしくは両者7,9に取り付けられているとしても、これら7,9,16が折り畳まれた状態から展張されるとき、この展張動作に上記流体通路16は精度よく追従する。よって、このように組み立てられたテント1には、その各構成部品7,9,16の相対位置につき、良好な寸法精度が得られる。
【0072】
また、前記したように、上記流体通路16の外殻材44の少なくとも一部分を、上記フレーム7またはテント本体膜9の一部分と同じ材質にしている。
【0073】
このため、テント1を形成する際の材料管理が容易にできると共に、材料の歩留りを向上させることができて、テント1の形成が容易、かつ、安価にできる。また、このように、材質を同じにすると、展張や折り畳み時における上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16のそれぞれの変形が無理なく行なわれて、互いの変形が円滑に進行する。よって、上記展張や折り畳み時に、上記フレーム7、テント本体膜9、および流体通路16のいずれかが無理に変形して損傷する、ということは防止される。
【0074】
また、前記したように、上記流体通路16の外殻材44の少なくとも一部分を、上記フレーム7またはテント本体膜9の一部分により形成している。
【0075】
このため、上記外殻材44の形成に、上記フレーム7またはテント本体膜9の一部分が利用された分、テント1の構成を簡単にできる。
【0076】
また、前記したように、テント1の平面視(図1)で、上記流体通路16の一端部側12を、上記テント本体膜9の内面に沿った環形状となるように形成している。
【0077】
このため、上記流体通路16の一端部側12が有する各吐出口13から処理流体3を吐出させることにより、テント本体膜9のテント室8内における処理流体3の分布を、より均一にできる。よって、この処理流体3による対象物2の処理が精度よくできる。
【符号の説明】
【0078】
1 テント
2 対象物
3 処理流体
6 固定側
7 フレーム
8 テント室
9 テント本体膜
10 係止具
12 一端部側
13 吐出口
14 他端部側
15 導入口
16 流体通路
17 流体供給機
20〜22 チューブ材
25 気体
27 気体注入機
44 外殻材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体的に枠組みされて固定側の面上に設置可能とされるフレームと、このフレームに沿って延び、このフレームに支持されて内部がテント室とされるテント本体膜と、一端部側が上記テント室内に向かって開口する処理流体用の複数の吐出口を有する一方、他端部側の端部が上記処理流体の導入口とされる可撓性の流体通路とを備えたテント構造において、
上記テント本体膜、および流体通路が折り畳まれた状態から、上記テント本体膜が展張させられるとき、この展張動作に連動して上記テント本体膜、および流体通路が互いの相対的な所定位置に設置されるようにしたことを特徴とするテント構造。
【請求項2】
上記フレーム、テント本体膜、および流体通路が一体的に折り畳まれた状態から展張されるようにしたことを特徴とする請求項1記載のテント構造。
【請求項3】
上記フレームをチューブ材により形成し、折り畳んだ状態の上記フレームへの気体の導入により、上記フレームが所定形状にまで膨張して展張されるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のテント構造。
【請求項4】
上記流体通路の外殻材を、上記フレームとテント本体膜との少なくともいずれか一方に取り付けたことを特徴とする請求項2または3に記載のテント構造。
【請求項5】
上記流体通路の外殻材の少なくとも一部分を、上記フレームまたはテント本体膜と同じ材質にしたことを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1つに記載のテント構造。
【請求項6】
上記流体通路の外殻材の少なくとも一部分を、上記フレームまたはテント本体膜の一部分により形成したことを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1つに記載のテント構造。
【請求項7】
テントの平面視で、上記流体通路の一端部側を、上記テント本体膜の内面に沿った環形状となるように形成したことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1つに記載のテント構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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