説明

テント

【課題】テントの剛性を向上する。
【解決手段】テント1は、テント本体10と、テント本体10を支持するポール11と、テント本体10の外表面に沿って形成され、ポール11が挿通するスリーブ12と、スリーブ12に設けられ、張り綱13を取り付けるための張り綱取付け部14と、を有している。スリーブ12の生地の繊維方向が、スリーブ12とテント本体10との接合線Aに対し平行及び垂直に向いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば山岳用やキャンプ用のテントには、シート状のテント本体をポールで支持するものが一般的である。この種のテントには、強風などの悪天候にも耐えられる剛性が求められる。剛性を高くしたテントとして、テント本体の外周面に沿ってスリーブを設け、当該スリーブにポールを挿通させるスリーブ式のテントがあげられる(特許文献1第5図参照。)。このスリーブ式のテントは、ポールとテント本体が密着しているため剛性が高くなる。
【0003】
また、強風などに対するテントの剛性を上げるため、テント使用時に、テントに張り綱を繋げて、当該張り綱を杭により地面に固定することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−27495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のスリーブ式のテントでは、スリーブがテント本体に沿って湾曲し、その曲がりの外周側と内周側の生地の長さが相違するため、縫製のし易さ等を考慮して、図4に示すようにスリーブ100の生地の繊維方向が、テント本体101との接合線Bに対し斜め約45度になっている。
【0006】
このような繊維方向のスリーブ100は、テントの外方向への紳縮量が大きくなるため、上述の張り綱102を繋ぐ場合には、より紳縮しないテント本体101側に張り綱接続部103が設けられ、張り綱102は、スリーブ100側ではなくテント本体101側に接続される。
【0007】
この場合、ポール104が張り綱102に十分に固定されなくなり、加えてテント本体101における張り綱102の接続点(支点)とポール104との間に距離ができるため、強風が吹くとポール104とテント本体101が大きく揺れることになり、風に対するテントの剛性が低下する。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、張り綱が繋がれるテントの剛性を向上することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、テント本体と、前記テント本体を支持するポールと、前記テント本体の外表面に沿って形成され、前記ポールが挿通するスリーブと、前記スリーブに設けられ、張り綱を取り付けるための張り綱取付け部と、を有し、前記スリーブの生地の繊維方向が、前記スリーブと前記テント本体との接合線に対し平行及び垂直に向いている、テントである。
【0010】
本発明によれば、スリーブの生地の繊維方向が、スリーブとテント本体との接合線に対し平行及び垂直に向いているので、スリーブが外方向に外力を受けても紳縮が極めて小さくなる。よって、スリーブに張り綱取付け部を設けて、ポールを通すスリーブに直接的に張り綱を取り付けることができる。この結果、張り綱によりポールを十分に固定できるので、強風が吹いてもテントが揺れることが抑制され、テントの剛性を向上できる。
【0011】
前記張り綱取付け部は、前記接合線に対し垂直方向に向けて前記スリーブ周りに形成された固定部と、前記固定部に接続され、前記張り綱が取り付けられるリング部とを有するものであってもよい。かかる場合、張り綱で引っ張られたときにスリーブが接合線に対しおよそ垂直方向に引っ張られるようになる。この垂直方向のスリーブの紳縮が最も小さいため、張り綱によるテントの固定をより強固に行うことができる。
【0012】
前記テント本体は、前記スリーブとの間に介在され、前記スリーブよりも伸縮性が高い伸縮部を有していてもよい。かかる場合、スリーブの周辺部分の柔軟性が確保されるので、伸縮性が小さいスリーブであってもポールを通しやすくなる。よって、テントの剛性を確保しつつ、テントの組み立て性、取扱性も向上できる。
【0013】
前記スリーブの生地の伸縮率は30%以下が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、テントの剛性を上げて、テントの信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】テントの構成の概略を示す斜視図である。
【図2】テントのスリーブ部分を示す側面図である。
【図3】テントのスリーブ部分の部分拡大図である。
【図4】改良前のスリーブ部分の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1及び図2は、本実施の形態にかかるテント1の一例を示す説明図である。
【0017】
テント1は、例えばドーム型の組み立て式のものであり、組み立てた時にドーム状になるテント本体10と、テント本体10を支持する2本のポール11と、テント本体10の外表面に沿って形成され、ポール11が挿通するスリーブ12と、スリーブ12に設けられ、張り綱13を取り付けるための張り綱取付け部14と、を有している。
【0018】
テント本体10は、ナイロン(ディポン社の登録商標)等の生地のシート状部20と、シート状部20とスリーブ12との間に介在された伸縮部としての網状部21を有している。
【0019】
シート状部20は、テント1が張られたときに床、壁、天井を構成するドーム状になるように形成されている。シート状部20の正面には、出入口15が形成されている。網状部21は、シート状部20の外側面に沿って帯状に形成されている。網状部21は、後述するスリーブ12と同様にテント1を平面から見た時のテント1の対角線上に中央で交差するように2本形成されている。なお、網状部21は、シート状部20とスリーブ12の間の一部にのみ形成されていてもよい。
【0020】
スリーブ12は、ナイロン(ディポン社の登録商標)等の生地の細長の円筒状に形成され、両端からポール11を挿通できる。スリーブ12は、網状部21と同様にテント1を平面から見た時のテント1の対角線上に中央で交差するように2本形成されている。スリーブ12は、網状部21の外側縁部に沿って縫合されている。
【0021】
図3に示すようにスリーブ12は、生地の繊維(織糸)方向がスリーブ12とテント本体10の網状部21との接合線Aに対し平行及び垂直に向くように形成されている。スリーブ12は、生地の破断時の伸縮率が30%以下になっている。網状部21は、例えばスリーブ12とシート状部20よりも伸縮性が高く設定されており、例えば菱形、丸形等の網目を有している。シート状部20は、例えば生地の繊維方向が接合線Aに対し斜めに向くように形成されている。
【0022】
張り綱取付け部14は、接合線Aに対し垂直方向に向けてスリーブ12周りに接合された固定部30と、固定部30の外側先端に接続され、張り綱13が取り付けられるリング部31を有している。張り綱取付け部14は、例えば布で形成されている。
【0023】
以上のように構成されたテント1の使用時には、図1に示すように各スリーブ12にポール11が挿入され、ポール11の先端が地中に挿されて、テント本体10がドーム状に張られる。張り綱13は、一端がスリーブ12の張り綱取り付け部14に接続され、引張した状態で他端が杭40により地面に固定される。
【0024】
以上の実施の形態によれば、スリーブ12の生地の繊維方向が、スリーブ12とテント本体10との接合線Aに対し平行及び垂直に向いているので、スリーブ12が外方向に外力を受けても紳縮が極めて小さくなる。よって、スリーブ12に張り綱取付け部14を設けて、ポール11が通るスリーブ12に直接的に張り綱13を取り付けることができる。この結果、張り綱13によりポール11をしっかり固定でき、強風が吹いてもテント1が揺れることが抑制され、テント1の剛性を向上できる。
【0025】
また、張り綱取付け部14が、接合線Aに対し垂直方向に向けてスリーブ12周りに形成された固定部30と、張り綱13が取り付けられるリング部31を有しているので、張り綱13で引っ張られたときにスリーブ12が接合線Aに対しておよそ垂直方向に引っ張られるようになる。この垂直方向のスリーブ12の紳縮が小さいため、張り綱13の引張力を上げて、張り綱13によるテント1の固定をより強固に行うことができる。
【0026】
テント本体10が、スリーブ12との間に介在される網状部21を有しているので、スリーブ12の周辺部分の柔軟性が確保され、伸縮性が小さいスリーブ12であってもポール11を挿入しやすくなる。よって、テント1の剛性を確保しつつ、テント1の組み立て性、取扱性も向上できる。
【0027】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0028】
例えば上述の実施の形態で記載したテント1がドーム型であったが他の形状のものであっても本発明は適用できる。また、テント本体10、ポール11、スリーブ12等の形状も他のものであってもよい。さらに、張り綱取付け部14の数や位置も任意に選択できる。網状部21は、あってもなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、テントの剛性を向上する際に有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 テント
10 テント本体
11 ポール
12 スリーブ
13 張り綱
14 張り綱取付け部
15 出入口
20 シート状部
21 網状部
30 固定部
31 リング部
40 杭
A 接合線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テント本体と、
前記テント本体を支持するポールと、
前記テント本体の外表面に沿って形成され、前記ポールが挿通するスリーブと、
前記スリーブに設けられ、張り綱を取り付けるための張り綱取付け部と、を有し、
前記スリーブの生地の繊維方向が、前記スリーブと前記テント本体との接合線に対し平行及び垂直に向いている、テント。
【請求項2】
前記張り綱取付け部は、前記接合線に対し垂直方向に向けてスリーブ周りに形成された固定部と、前記固定部に接続され、前記張り綱が取り付けられるリング部とを有する、請求項1に記載のテント。
【請求項3】
前記テント本体は、前記スリーブとの間に介在され、前記スリーブよりも伸縮性の高い伸縮部を有する、請求項1又は2に記載のテント。
【請求項4】
前記スリーブの生地の伸縮率が30%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のテント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate