説明

ディスク装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク装置、より詳細には、CD,DVDなどのディスク装置におけるディスク装填機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
装置に対するディスクの搬入および搬出のためのディスクローディング機構に関する公知文献として、例えば、特開平9−185860号公報や特開平9−293306号公報に開示されたものがある。
図4は、従来技術によるディスク装置の一例を説明するための要部斜視図である。上記特開平9−185860号公報に開示されたものは、図4に示したように、オートローデイングによって、装置へのディスクの搬入および搬出を行うようにしたもので、トレイ16が、プレーヤーハウジング17に対して一対の案内レール18を介して突出収納自在に設けられており、例えば、3種類の大きさの異なるディスク(図示せず)が、このトレイ16上に載置されて再生位置に搬送される。なお、ディスクの大きさとして、直径が30cm,20cm,12cmのものを使用することができる。
【0003】
トレイ16を移動させるために、トレイ16の側面に、その移動方向に沿って、かつ、略全長にわたってラック部16aが設けられており、ラック部16aに噛合する歯車19が、モータなどによって回転駆動されるようになっている。トレイ16のディスク担持面には、上記のディスクを収容し得るように、円弧状外形を有する同心円状の凹部16b,16c,16dが、所定の段差をもって形成されている。また、トレイ16の突出方向に略直交する方向では、円弧状外形凹部が欠切形成されている。
【0004】
プレーヤハウジング17内には、第1押圧部材としてのターンテーブル20が、そのディスク担持面が下向きになるように設けられており、トレイ16に載置されてターンテーブル20のディスク担持面に平行な方向においてプレーヤハウジング17内に収納された各ディスクは、このターンテーブル20のディスク担持面の直下に所定の間隔を隔てて位置している。
【0005】
ターンテーブル20の直下に達したディスクは、ディスククランプ機構21によって上方に向けて持ち上げられるようにしてトレイ16から離間させられ、かつ、ターンテーブル20のディスク担持面に対してクランプされる。尚、ディスククランプ機構21は、ディスクに当接してこれをターンテーブル20のディスク担持面に押圧するための第2押圧部材としての円盤状押圧部材22と、支持部材23によって、上下方向、すなわち、ターンテーブル20のディスク担持面に対して直角方向において揺動自在に設けられて自由端部にて円盤状押圧部材22を回転可能に支持した支持部材23と、この支持部材23を揺動させる駆動手段とから構成されている。
【0006】
支持部材23上には、光学式ピックアップを担持したキャリッジ24が配置されており、ターンテーブル20に装着されたディスクの記録面に沿ってキャリッジ24を移動すべく、ガイドシャフト25によって案内されてキャリッジ24を移動させる駆動手段が形成されている。
【0007】
上述のように、装置内にディスクを搬入および搬出するトレイに、ディスクのサイズに対応させた円弧状外形凹部を形成することにより、ディスク載置時の作業性の向上、および、トレイ移動時のディスクずれ防止等を可能とする方法が提供されている。
【0008】
図5は、従来技術によるディスク装置の他の例を説明するための図で、図5(A)は平面図で、図5(B)は図5(A)のB−B矢視図である。
上記特開平9−293306号公報に開示されたものは、図5に示したようなローディング機構によって装置に対するディスクの搬入および搬出を行うようにしたもので、ディスク32が交換自在に載置されかつ光ディスクドライブ装置筐体の前面開口部を介して前記筐体前面と前記筐体内部とを引き出し収納自在に水平駆動されるトレイ本体31と、前記トレイ本体31上面奥側に立設された枢軸26と、一端が当該枢軸26に開閉自在に枢支されると共に前記一端から他端へわたって前記ディスク32の周縁部29を厚さ方向に包持する包持溝27を相対向して凹設した一対のクランプアーム28と、前記枢軸26に巻回され前記一対のクランプアーム28を相互に引き付け付勢するコイルバネ30とから構成されており、ディスク周縁部29をトレイ本体31上面の一対のクランプアーム28の包持溝27相互間へ、一対のクランプアーム28を押し広げつつ挿入し、ディスク32を一対のクランプアーム28の包持溝27相互間に把持させ、ローデイング機構を駆動して、トレイ本体31をディスク装置筐体内部に収納するようにしたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によるディスク収納方式では、トレイ本体に円弧状外形を有する3種類の凹部の形成や、トレイ本体にクランプアームの付設が必要であり、上述のように、トレイ本体にある程度厚みが必要であり、装置全体での薄形化,軽量化を図ることができなかった。
【0010】
本発明は、上述のような実情を考慮してなされたもので、ディスク装置のディスク収納において、従来技術のように、引き出し収納の方式とは異なり、新規なディスク収納方法として、クランクアームを回動収納する方式を用いることにより、装置の薄型化や軽量化が可能なディスク装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ディスクを保持するディスク保持手段を有し、該ディスク保持手段によって前記ディスクの搬入および搬出を行うディスク装置において、前記ディスク保持手段が、前記ディスク周縁部の半周より狭い範囲に当接するように3つのディスク当接支持部材が配設された円弧状のディスク保持部を有し、前記ディスク当接支持部材のうちの1つは前記ディスクの上面に当接し、残りの2つのディスク当接支持部材は前記ディスクの下面に当接することを特徴としたものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のディスク装置において、前記ディスク保持部が、記ディスクの下面に当接する1つの前記ディスク当接支持部材を有するディスク支持部材と、前記ディスクの上面と下面に当接する残り2つの前記ディスク当接支持部材を有すのディスク支持部材とからなり、複数の前記ディスク支持部材が、結合軸によって結合され、かつ、付勢手段によって付勢されて前記ディスクの外形より大きい外径を有する円弧を形成することを特徴としたものである。
【0014】
請求項の発明は、請求項に記載のディスク装置において、円錐台状のディスク案内突起が設けられ、かつ、前記ディスク保持手段の回動に連動して前記ディスクを上下させるディスク昇降手段を有し、該ディスク昇降手段が、前記ディスク保持手段が所定の位置まで回動される動作に連動して、前記ディスク案内突起を前記ディスクの中央孔に嵌合させて該ディスクを保持することを特徴としたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は、本発明によるディスク装置の一実施例を説明するための要部構成図で、図1(A)はディスクの取り出しまたは装填開始時の状態を示す平面図で、図1(B)はその正面図、図2(A)はディスク取り出し動作中または装填途中の状態を示す平面図で、図2(B)はその正面図、図3(A)はディスク装填完了時の状態を示す平面図で、図3R>3(B)はその正面図である。
【0018】
図1に示したように、ディスク4を当接支持するために、ローディングアーム5とローディングサブアーム6とが軸5aで枢支されており、また、ローディングアーム5に対してローディングサブアーム6が付勢ばね7によって付勢されている。ローディングサブアーム6が付勢ばね7によって付勢されて軸5aを中心に回動し、ローディングサブアーム6の一端が、ストッパ5cに当接して係止されることにより、ローディングアーム5とローディングサブアーム6とによって、ディスク4の外径よりやや大きめの外径を有する円弧が形成される。
【0019】
当接支持部材5d,6aがディスク4の下面を支え、当接支持部材5eが、ディスク4の上面を受けることにより、ディスク4自身の重心との関係で、ディスク4が所定の位置に保持されるようになっている。また、ローディングアーム5の一端は、基台(図示せず)に植設されたアーム軸14に回動自在に取り付けられているとともに、一体的に形成された部分ギア5bを有しており、減速駆動系であるギア8,プーリギア9,ベルト10,プーリ11,駆動モータ12と回転結合されている。駆動モータ12が図示反時計方向に回転すると、ローディングアーム5とローディングサブアーム6と付勢ばね7とからなるディスク保持部材が反時計方向に回転する。
【0020】
ディスク4がメカ組品1に装填できる所定の位置の近傍に来ると、パネル蓋15が連動してR方向に回転し、前記ディスク保持部材を装置の前面に出すために必要であったパネルの開口部が閉じる。
【0021】
図2に示したように、メカ組品1は、前記減速駆動系と連動した(連動する機構は図示せず)スライドカム13により、支軸1bを回転軸として図示反時計方向に回転し、所定の位置に来たディスク4を下からすくい上げるようにして、円錐台状のディスク案内突起を有するターンテーブル1aにディスク4の中心孔を案内して係止する。メカ組品1が更に回転すると、天板2に回動自在で、かつ、上下方向にも移動可能に取り付けられたクランパ3が、ディスク4をしっかりと保持し、ターンテーブル1aと一体となって回転するようになっている(図3を参照)。
【0022】
図3に示したように、ローディングアーム5とローディングサブアーム6と付勢ばね7とからなるディスク保持部材は、更に回転を続け、天板2に植設された解除ピン2aにローディングサブアーム6の端部6bが当接することにより、ローディングサブアーム6が、軸5aを中心に付勢ばね7を押圧するように回動し、これにより、当接支持部材5d,5e,6aがディスク4から離間し、ディスク保持部材がディスク4を解放する。尚、ディスク4を取り出すときの動作は、上記説明の逆の順番となる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、発明によれば、トレイの本体部分を薄くすることができ、装置全体の薄型化,軽量化が図られると共に、ディスクの支持およびディスクの収納が回動式のため、ディスクを装填するために、装置の外に出る案内保持部分が小さく、シンプルに見える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるディスク装置の一実施例を説明するための図で、ディスクの取り出しまたは装填開始の状態を示す要部構成図である。
【図2】図1に示した実施例のディスクの取り出し動作中または装填途中の状態を示す要部構成図である。
【図3】図1に示した実施例のディスク装填完了時の状態を示す要部構成図である。
【図4】従来技術によるディスク装置の一例を説明するための要部斜視図である。
【図5】従来技術によるディスク装置の他の例を説明するための要部構成図である。
【符号の説明】
1…メカ組品、1a…ターンテーブル、1b…支軸、1c…カムフォロアピン、2…天板、2a…解除ピン、3…クランパ、4,32…ディスク、5…ローディングアーム、5a…軸、5b…部分ギア、5c…ストッパ、5d,5e,6a…当接支持部材、6…ローディングサブアーム、6b…ローディングサブアームの端部、7…付勢ばね、8…ギア、9…プーリギア、10…ベルト、11…プーリ、12…駆動モータ、13…スライドカム、14…アーム軸、15…パネル蓋、16…トレイ、16a…ラック部、16b,16c,16d…円弧状外形凹部、17…プレーヤハウジング、18…案内レール、19…歯車、20…ターンテーブル、21…ディスククランプ機構、22…円盤状押圧部材、23…支持部材、24…キャリッジ、25…ガイドシャフト、26…枢軸、27…包持溝、28…クランプアーム、29…ディスク周縁部、30…コイルバネ、31…トレイ本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを保持するディスク保持手段を有し、該ディスク保持手段によって前記ディスクの搬入および搬出を行うディスク装置において、前記ディスク保持手段が、前記ディスク周縁部の半周より狭い範囲に当接するように3つのディスク当接支持部材が配設された円弧状のディスク保持部を有し、前記ディスク当接支持部材のうちの1つは前記ディスクの上面に当接し、残りの2つのディスク当接支持部材は前記ディスクの下面に当接することを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置において、前記ディスク保持部が、前記ディスクの下面に当接する1つの前記ディスク当接支持部材を有するディスク支持部材と、前記ディスクの上面と下面に当接する残り2つの前記ディスク当接支持部材を有する他のディスク支持部材とからなり、複数の前記ディスク支持部材が、結合軸によって結合され、かつ、付勢手段によって付勢されて前記ディスクの外形より大きい外径を有する円弧を形成することを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項に記載のディスク装置において、円錐台状のディスク案内突起が設けられ、かつ、前記ディスク保持手段の回動に連動して前記ディスクを上下させるディスク昇降手段を有し、該ディスク昇降手段が、前記ディスク保持手段が所定の位置まで回動される動作に連動して、前記ディスク案内突起を前記ディスクの中央孔に嵌合させて該ディスクを保持することを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】特許第3585390号(P3585390)
【登録日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【発行日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−64803
【出願日】平成11年3月11日(1999.3.11)
【公開番号】特開2000−260091(P2000−260091A)
【公開日】平成12年9月22日(2000.9.22)
【審査請求日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【参考文献】
【文献】特開平10−112103(JP,A)
【文献】特開平10−092077(JP,A)
【文献】特開平09−293306(JP,A)
【文献】実開平02−080350(JP,U)
【文献】特開昭63−177352(JP,A)
【文献】特開昭63−175260(JP,A)
【文献】実開昭62−153649(JP,U)
【文献】実開昭60−135854(JP,U)