ディスク駆動装置
【課題】部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減を図ったディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】昇降部材10の係合ボス10aが、メインシャーシ2に支持されたカムスライダ4のカム溝8に係合され、カムスライダ4のスライド操作によりカム溝8に備えられた傾斜カム溝部8cで係合ボス10aが押動されてドライブシャーシ11が昇降操作される。ドライブシャーシ11の昇降により、ターンテーブル25とクランパ26とが接近離隔操作される。ターンテーブル25とクランパ26との離隔操作に伴うカムスライダ4のスライド操作により、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前から傾斜カム溝部8cで押動される係合ボス10aに接離自在に当接されると共に、係合ボス10aの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部28を、メインシャーシ2に一体的に備える。
【解決手段】昇降部材10の係合ボス10aが、メインシャーシ2に支持されたカムスライダ4のカム溝8に係合され、カムスライダ4のスライド操作によりカム溝8に備えられた傾斜カム溝部8cで係合ボス10aが押動されてドライブシャーシ11が昇降操作される。ドライブシャーシ11の昇降により、ターンテーブル25とクランパ26とが接近離隔操作される。ターンテーブル25とクランパ26との離隔操作に伴うカムスライダ4のスライド操作により、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前から傾斜カム溝部8cで押動される係合ボス10aに接離自在に当接されると共に、係合ボス10aの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部28を、メインシャーシ2に一体的に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD等のディスクを利用するディスク駆動装置に関するもので、特に、スピンドルモータ等を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材のボスと、メインシャーシ上をスライドするカムスライダのカム溝との係合により、ドライブシャーシを昇降させ、前記スピンドルモータ等に圧入されたターンテーブルとクランパの圧着によりディスクの回転を保持しているディスク駆動装置において、駆動負荷が低い箇所でも部品の移動速度を有効に下げ、部品同士の隙間に起因して生じる衝突音を軽減することができるディスク駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のディスク駆動装置として、ディスクが載置されるトレイの排出・収納動作に連動してカムスライダがスライド操作され、このカムスライダのスライド移動に伴って、ドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、カムスライダに形成されたカム溝に沿って摺動移動され、この摺動移動によりドライブシャーシが昇降操作されて、ターンテーブルとクランパとを接近離隔操作するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、ディスク駆動装置として、図4〜図13に示すようなDVD等のディスクを利用した光ディスク駆動装置1がある。なお、各図中に示される座標軸は共通する方向を示すもので、トレイ3の移動方向にY軸をとり、トレイ3のディスク載置面3aに平行でY軸と直交する方向にX軸をとり、これらX,Y軸と直交する方向にZ軸をとっている。
【0004】
図4および図5に示すように、トレイ3は、メインシャーシ2上で、両側複数のガイド2aに規制されてスライド可能に保持され、そのディスク載置面3aに載置する図示しないディスクと共に光ディスク駆動装置1の装置本体1aに対して挿入、排出される。このトレイ3の下面には、その片側に寄った位置においてY軸方向に延在するラック3bが形成されると共に、後述するカムスライダ4のボス4a,4bを各々ガイドする略L字状のガイド溝3c,3dが形成されている。
【0005】
カムスライダ4は、図6や図7に示すように、断面略L字状の部材で、メインシャーシ2によってX軸方向にスライド可能に保持され、その上面にはトレイ3のガイド溝3c,3dと係合可能な位置に前記ボス4a,4bが突設され、一側部には駆動ギア5の小歯車部5aと間欠噛合するラック4cが形成されている。
【0006】
また、カムスライダ4には、後述するラックユニット6(図11参照)の第二のラック7のボス7aと係合可能なカム溝(図示省略)が形成されている。
【0007】
一方、カムスライダ4のZ―Y平面に平行となる面には、図8〜図10に示すように、X軸と平行な上下の上カム溝部8a,9aおよび下カム溝部8b,9bと、この上下のカム溝部8a,8b,9a,9b間にわたりZ軸に対して傾斜する傾斜カム溝部8c,9cとを有するカム溝8,9が形成されている。
【0008】
そして、昇降部材10の係合ボス10a,10bがそれぞれカム溝8,9に嵌入されて、相対摺動自在にガイドする構造とされている。
【0009】
図4〜図7や図12等に示すようにドライブシャーシ11は、後方2箇所をダンパー12を介してネジ13でメインシャーシ2に取り付けられ、前方2箇所をダンパー14を介してネジ15で昇降部材10に取り付けられている。
【0010】
昇降部材10は左右にガイド突部10c,10dが設けられており、メインシャーシ2のガイド溝2b,2cに沿ってZ軸方向に昇降可能とされ、前方に配置されたカムスライダ4のカム溝8,9と係合可能な位置に前記係合ボス10a、10bが設けられている。
【0011】
ドライブシャーシ11には、ディスクを載置し回転させるモータ装置としてのスピンドルモータ16や、ディスクの半径方向に移動しながらディスクに記録された信号を読み書きする光ヘッド17および光ヘッド17をディスクの半径方向へ移動させる部品が搭載されている。
【0012】
光ヘッド17はディスクの半径方向に主軸18、副軸19により平行移動可能なように保持されており、光ヘッド17のディスクの半径方向への駆動は、駆動用モータ20の回転を伝えるピニオンギア21、該ピニオンギア21に噛み合う駆動ギア22、該駆動ギア22に噛み合う光ヘッド17のラックユニット6により駆動される構造とされている。
【0013】
図11に示されるように、駆動ギア22の中間部に配置された第1ギア22aはピニオンギア21に噛み合い、裏面側に配置された第2ギアはラックユニット6に噛み合い、上面側に配置された第3ギア22bは中間駆動ギア23に噛み合うよう構成されている。
【0014】
そして、この中間駆動ギア23は駆動ギア5の大歯車部5bに噛み合うよう構成されている。
【0015】
光ヘッド17の駆動を安定して行うため、ラックユニット6は光ヘッド17に固定された第一のラック24および第一のラック24のピッチ線方向に付勢バネ(図示省略)により付勢され平行移動可能なように保持された第二のラック7を有するいわゆるダブルラックで行えるように構成されている。
【0016】
次に、トレイ3が、光ディスク駆動装置1に収納された状態から排出されるまでの動作について説明する。
【0017】
図11および図12に示すように、駆動用モータ20の回転がピニオンギア21に伝えられ、駆動ギア22の第1ギア22aから第2ギアを経由してラックユニット6がY軸プラス方向に動作される。
【0018】
これにより光ヘッド17がドライブシャーシ11のストッパ11aに当たり最内周部で停止した後も、さらに第二のラック7のみを駆動ギア22で移動させて、第二のラック7のボス7aで係合するカムスライダ4の図示省略のカム溝の壁を押すことで、カムスライダ4はX軸マイナス方向へ動き、カムスライダ4のラック4cと駆動ギア5の小歯車部5aが噛み合い始める。
【0019】
その後、駆動ギア5によりカムスライダ4がさらにX軸マイナス方向へ移動され、図8、図9、図10に順次示すようにカムスライダ4の移動に伴い、昇降部材10の係合ボス10a、10bはそれぞれカム溝8,9の上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに沿って下カム溝部8b,9bに到達する。
【0020】
この係合ボス10a、10bの上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに移行してしばらくすると、駆動用モータ20の駆動力により、図13に示されるようなスピンドルモータ16に圧入しているターンテーブル25と、このターンテーブル25に圧入されているマグネット(図示省略)の着磁力で圧着しているクランパ26を互いに離隔させ、引き剥がすように構成されている。
【0021】
またこの時、カムスライダ4のボス4a,4bはトレイ3のガイド溝3c,3dに係合しながら動き、ガイド溝3c,3dの壁を押すことで、トレイ3がY軸プラス方向に動き、トレイ3のラック3bと駆動ギア5の小歯車部5aが噛み合い、トレイ3が排出される。
【0022】
そしてこのトレイ3の排出が完了するまで、駆動時の負荷に合わせてタイマーで駆動用モータ20の電圧を設定している。
【0023】
【特許文献1】特開2002−298548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、上記のようにトレイ3を排出するまで、駆動時の負荷に合わせて駆動用モータ20の電圧を設定しているが、各負荷の変動遷移時間が短いために、負荷が大きくない箇所でも、高い電圧が短い時間であるが掛かっていることで部品動作速度が速くなる場合や、あるいは、負荷の軽い場所であることから電圧は下げているが、手前の区間の電圧が高いために部品動作速度が速くなる場合がある。そして、このような場合に、部品同士の衝突による音が大きくなるという問題があった。
【0025】
このような負荷が大きい箇所としては、第二のラック7のボス7aによるカムスライダ4のカム溝の壁の押し始めから、ターンテーブル24からクランパ26を引き剥がす間であり、この区間は駆動用モータ20の駆動電圧を高く設定している。
【0026】
そしてクランパ26を引き剥がした後は、昇降部材10の係合ボス10a、10bとカムスライダ4の傾斜カム溝部8c,9cとの相互間に僅かの隙間がある為に、両部品が速い速度で衝突することにより、衝突音を発するという問題があった。
【0027】
そこで、本発明は、上記のような課題に鑑み、部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減を図ったディスク駆動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明に係る請求項1記載のディスク駆動装置は、ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスに接離自在に当接されると共に、係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられている点にある。
【0029】
また、本発明に係る請求項2記載のディスク駆動装置は、ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記昇降部材の側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられている点にある。
【0030】
さらに、本発明に係る請求項3記載のディスク駆動装置は、ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記ドライブシャーシの側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられている点にある。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る請求項1記載のディスク駆動装置によれば、ターンテーブルとクランパとの離隔操作に伴うカムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から傾斜カム溝部で押動される係合ボスに接離自在に当接されると共に、係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、メインシャーシに一体的に備えられているため、ターンテーブルとクランパとが互いに離隔される駆動負荷の遷移区間に弾性部で負荷を与えることで、負荷を平滑化することができ、係合ボスとカムスライダの傾斜カム溝部との相互間に隙間がある場合でも、係合ボスの移動速度を有効に下げることができ、ここに部品相互間の衝突速度を下げることができ、部品同士の衝突音の軽減が図れる。
【0032】
また、本発明に係る請求項2記載のディスク駆動装置によれば、ターンテーブルとクランパとの離隔操作に伴うカムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から昇降部材の側面に接離自在に当接されると共に、傾斜カム溝部で押動される係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、メインシャーシに一体的に備えられているため、上記同様、駆動負荷の遷移区間に弾性部で負荷を与えることで、負荷を平滑化することができ、係合ボスとカムスライダの傾斜カム溝部との相互間に隙間がある場合でも、係合ボスの移動速度を有効に下げることができ、ここに部品相互間の衝突速度を下げることができ、部品同士の衝突音の軽減が図れる。
【0033】
さらに、本発明に係る請求項3記載のディスク駆動装置によれば、ターンテーブルとクランパとの離隔操作に伴うカムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前からドライブシャーシの側面に接離自在に当接されると共に、傾斜カム溝部で押動される係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、メインシャーシに一体的に備えられているため、上記同様、駆動負荷の遷移区間に弾性部で負荷を与えることで、負荷を平滑化することができ、係合ボスとカムスライダの傾斜カム溝部との相互間に隙間がある場合でも、係合ボスの移動速度を有効に下げることができ、ここに部品相互間の衝突速度を下げることができ、部品同士の衝突音の軽減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明すると、図1は本実施の形態に係るディスク駆動装置としての光ディスク駆動装置1の要部を示している。また、この光ディスク駆動装置1の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されており、同様構成部分は同一符号を付している。
【0035】
即ち、本実施の形態によれば、樹脂成型品で形成されたメインシャーシ2に、弾性作用を発揮するための弾性部28が一体成形された構造とされている。この弾性部28は、図1に示されるように、下部に折返し部28aを有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部28aから上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部28bの上部が、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前に係合ボス10aの側面に接離自在に当接するように構成されている。
【0036】
また、弾性部28は樹脂の可撓性により、その弾性当接片部28bが折返し部28aを基部として撓み変形可能となっており、係合ボス10a、10bがカム溝8,9における傾斜カム溝部8c,9cに沿って下降移動される際、その下降移動に伴って係合ボス10aの当接される位置が、弾性当接片部28bを弾性変形させながら弾性当接片部28bの一側に沿って下方向に漸次移動されていくように構成されている。
【0037】
そして、この係合ボス10aの下降移動に伴って、弾性部28の弾性当接片部28bが折返し部28aを基部として撓み変形される構造であるため、係合ボス10aの下降移動により、折返し部28aに蓄勢される弾発力が漸次増大する構造となっている。
【0038】
また、その他の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されている。
【0039】
本実施の形態は以上のように構成されており、トレイ3を排出するまでの動作も前述と略同等である。
【0040】
従って、トレイ3を排出するまでの負荷の遷移としては、第二のラック7のボス7aでカムスライダ4のカム溝の壁を押す際の負荷が最も大きく、カムスライダ4はX軸マイナス方向へ動き、カムスライダ4のその後のX軸マイナス方向への移動に伴い、昇降部材10の係合ボス10a、10bはそれぞれカム溝8,9の上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに沿って下カム溝部8b,9bに到達する。
【0041】
この間における負荷は、昇降部材10の係合ボス10a、10bが上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに到達するまでは、ドライブシャーシ11およびドライブシャーシ11に取り付けてある部品の自重による負荷が掛かっており負荷が大きいが、傾斜カム溝部8c,9cに到達してからは、傾斜カム溝部8c,9cが斜め下方向に傾斜しているため、ドライブシャーシ11およびドライブシャーシ11に取り付けてある部品の自重により逆に負荷は軽くなる。
【0042】
また、昇降部材10の係合ボス10a、10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達してからは、傾斜カム溝部8c,9cに沿って、昇降部材10が降下し始め、これに伴いドライプシャーシ11が降下し始めることにより、スピンドルモータ16も降下し始める。
【0043】
その為、スピンドルモータ16のマグネットの着磁力で磁着しているクランパ26も降下し、メインシャーシ2の受け部2eと緩衝し、マグネットの着磁力を上回る駆動用モータ20の駆動力によりクランパ26はターンテーブル24から引き剥がされる。この際の負荷が前述した第二のラック7のボス7aでカムスライダ4のカム溝の壁を押す際の負荷の次に大きな負荷となっている。
【0044】
その後に係合ボス10a、10bが傾斜カム溝部8c,9cを移行している区間の負荷は、前述した係合ボス10a、10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達後から、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がすまでの区間と同じく自重により負荷は軽くなる。
【0045】
昇降部材10の係合ボス10a,10bが傾斜カム溝部8c,9cの移行後、下カム溝部8b,9bの移行中は、同時にカムスライダ4のボス4a,4bはトレイ3のガイド溝3c,3dに係合しながら動き、ガイド溝3c,3dの壁を押すことで、トレイ3をY軸プラス方向に動かす必要があり、負荷が若干大きくなり、その後はラック3bによりトレイ3はそのまま排出され、動作完了となる。
【0046】
ここまでの動作で、駆動用モータ20の駆動電圧としては、負荷が高い区間である、最初の第二のラック7のボス7aでカムスライダ4のカム溝の壁を押し始める箇所から、カムスライダ4のボス4a,4bはトレイ3のガイド溝3c,3dに係合しながら動き、ガイド溝3c,3dの壁を押すことで、トレイ3をY軸プラス方向に動かし始めるまでが高く設定されている。
【0047】
このように駆動用モータ20の駆動電圧が高く設定してある区間で、負荷の高い箇所から低い箇所に移行する区間は、昇降部材10の係合ボス10a,10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達後から、クランパ26をターンテーブル24から引き剥がし始めるまでの区間とクランパ26をターンテーブル25から引き剥がした後から昇降部材10の係合ボス10a,10bが下カム溝部8b,9bに到達する傾斜カム溝部8c,9cの移行区間である。
【0048】
この内、前者の昇降部材10の係合ボス10a,10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達後から、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がし始めるまでの区間については、ドライブシャーシ11およびドライブシャーシ11に取り付けてある部品の自重により昇降部材10の係合ボス10a,10bは傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁に常に当接しており、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がし始めるまでの区間で部品間の衝突はない。
【0049】
また、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がした後から昇降部材10の係合ボス10a,10bが下カム溝部8b,9bに到達する傾斜カム溝部8c,9cの移行区間では、クランパ26を引き剥がした後、負荷が急に小さくなると同時に昇降部材10の係合ボス10aの外径とカムスライダ4の傾斜カム溝部8cの溝幅の差、同じく係合ボス10bの外径と傾斜カム溝部9cの溝幅の差により僅かの隙間があるため、高い駆動電圧でクランパ26から引き剥がされることでフリーとなったドライブシャーシ11が昇降部材10の係合ボス10a、10bと傾斜カム溝部8c,9cの上側の壁の接地地点から係合ボス10a,10bと傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁が接地する地点まで勢い良く動き、その結果、係合ボス10a,10bと傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁が衝突することで、衝突音が発生するおそれがあった。
【0050】
これに対し、本実施の形態においては、メインシャーシ2に弾性部28が一体的に備えられており、弾性部28の弾性当接片部28bは、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされる前から係合ボス10aと接触し、係合ボス10aの下降移動に伴って、係合ボス10aに接触状態となっている弾性当接片部28bが変位して、その弾発力が漸次増大するように構成されているため、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされて、ドライブシャーシ11が自重落下する状態となっても、昇降部材10の降下に際し、弾性部28における弾性当接片部28bの弾発力が降下の負荷となる。
【0051】
従って、クランパ26の引き剥がし後に駆動負荷が低くなった箇所においても、弾性部28により負荷を与えることにより、負荷を平滑化することができ、ドライブシャーシ11の落下速度を有効に下げることができ、ドライブシャーシ11の落下速度が遅くなる。さらにこのことと併せて、係合ボス10aの下降に負荷が加わることで、カムスライダ4のスライド操作における抵抗が大きくなり、駆動用モータ20の駆動力が食われ、カムスライダ4の移動速度も遅くなる。
【0052】
この結果、クランパ26が引き剥がされた際に、傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁と、各係合ボス10a、10bとの衝突速度が遅くなるため、衝突音の発生が小さくなり、ここに部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減が有効に図れるという利点がある。
【0053】
また、メインシャーシ2に断面略U字状の弾性片部材からなる弾性部28を一体成形した簡単な構造であり、部品点数の増加を招くことなく、既存の部品を使って容易に提供でき、部品コスト面や製造コスト面でも有利となる利点がある。
【0054】
<実施の形態2>
図2は本発明の実施の形態2を示しており、上記実施の形態1を展開させたものである。そして、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されており、同様構成部分は同一符号を付している。
【0055】
即ち、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、樹脂成型品で形成されたメインシャーシ2に、弾性作用を発揮するための弾性部28が一体成形された構造とされている。この弾性部28は、図2に示されるように、下部に折返し部28aを有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部28aから上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部28bの上部が、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前に、昇降部材10の側面に接離自在に当接するように構成されている。
【0056】
そして、係合ボス10a、10bがカム溝8,9における傾斜カム溝部8c,9cに沿って下降移動される際、その下降移動に伴って昇降部材10の当接される位置が、弾性当接片部28bを弾性変形させながら弾性当接片部28bの一側に沿って下方向に漸次移動されていくように構成され、この下降移動に伴って、折返し部28aに蓄勢される弾発力が漸次増大する構造となっている。また、その他の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されている。
【0057】
従って、本実施の形態によれば、メインシャーシ2に弾性部28が一体的に備えられており、弾性部28の弾性当接片部28bは、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされる前から昇降部材10と接触し、各係合ボス10a、10bの傾斜カム溝部8c,9cに沿った下降移動に伴って、昇降部材10に接触状態となっている弾性当接片部28bが変位して、その弾発力が漸次増大するように構成されているため、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされて、ドライブシャーシ11が自重落下する状態となっても、昇降部材10の降下に際し、弾性部28における弾性当接片部28bの弾発力が降下の負荷となる。
【0058】
従って、クランパ26の引き剥がし後に駆動負荷が低くなった箇所においても、弾性部28により負荷を与えることにより、負荷を平滑化することができ、ドライブシャーシ11の落下速度を有効に下げることができ、ドライブシャーシ11の落下速度が遅くなる。さらにこのことと併せて、昇降部材10の下降に負荷が加わることで、カムスライダ4のスライド操作における抵抗が大きくなり、駆動用モータ20の駆動力が食われ、カムスライダ4の移動速度も遅くなる。
【0059】
この結果、クランパ26が引き剥がされた際に、傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁と、各係合ボス10a、10bとの衝突速度が遅くなるため、衝突音の発生が小さくなり、ここに部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減が有効に図れるという利点がある。
【0060】
また、メインシャーシ2に断面略U字状の弾性片部材からなる弾性部28を一体成形した簡単な構造であり、部品点数の増加を招くことなく、既存の部品を使って容易に提供でき、部品コスト面や製造コスト面でも有利となる利点がある。
【0061】
<実施の形態3>
図3は本発明の実施の形態3を示しており、上記実施の形態1を展開させたものである。そして、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されており、同様構成部分は同一符号を付している。
【0062】
即ち、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、樹脂成型品で形成されたメインシャーシ2に、弾性作用を発揮するための弾性部28が一体成形された構造とされている。この弾性部28は、図3に示されるように、下部に折返し部28aを有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部28aから上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部28bの上部が、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前に、ドライブシャーシ11の側面に接離自在に当接するように構成されている。
【0063】
そして、係合ボス10a、10bがカム溝8,9における傾斜カム溝部8c,9cに沿って下降移動される際、その下降移動に伴ってドライブシャーシ11の当接される位置が、弾性当接片部28bを弾性変形させながら弾性当接片部28bの一側に沿って下方向に漸次移動されていくように構成され、この下降移動に伴って、折返し部28aに蓄勢される弾発力が漸次増大する構造となっている。また、その他の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されている。
【0064】
従って、本実施の形態によれば、メインシャーシ2に弾性部28が一体的に備えられており、弾性部28の弾性当接片部28bは、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされる前からドライブシャーシ11と接触し、各係合ボス10a、10bの傾斜カム溝部8c,9cに沿った下降移動に伴って、ドライブシャーシ11に接触状態となっている弾性当接片部28bが変位して、その弾発力が漸次増大するように構成されているため、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされて、ドライブシャーシ11が自重落下する状態となっても、ドライブシャーシ11の降下に際し、弾性部28における弾性当接片部28bの弾発力が降下の負荷となる。
【0065】
従って、クランパ26の引き剥がし後に駆動負荷が低くなった箇所においても、弾性部28により負荷を与えることにより、負荷を平滑化することができ、ドライブシャーシ11の落下速度を有効に下げることができ、ドライブシャーシ11の落下速度が遅くなる。さらにこのことと併せて、ドライブシャーシ11の下降に負荷が加わることで、カムスライダ4のスライド操作における抵抗が大きくなり、駆動用モータ20の駆動力が食われ、カムスライダ4の移動速度も遅くなる。
【0066】
この結果、クランパ26が引き剥がされた際に、傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁と、各係合ボス10a、10bとの衝突速度が遅くなるため、衝突音の発生が小さくなり、ここに部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減が有効に図れるという利点がある。
【0067】
また、メインシャーシ2に断面略U字状の弾性片部材からなる弾性部28を一体成形した簡単な構造であり、部品点数の増加を招くことなく、既存の部品を使って容易に提供でき、部品コスト面や製造コスト面でも有利となる利点がある。
【0068】
<他の実施の形態>
また、上記の実施の形態においては、弾性部28がメインシャーシ2に一体成形により一体的に備えられた構造を示しているが、同様構成のバネ片等をメインシャーシ2に一体的に固定することにより備える構造としてもよく、何ら実施の形態の構造に限定されない。
【0069】
さらに、ドライブシャーシ11に昇降部材10を取り付け、この昇降部材10に係合ボス10a、10bを設けた構造を示しているが、昇降部材10を省略し、ドライブシャーシ11にカムスライダ4のカム溝8,9に係合される係合ボスを設ける構造としてもよい。
【0070】
また、光ディスク駆動装置1に限らず、その他のディスク駆動装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る実施の形態1の光ディスク駆動装置の要部説明図である。
【図2】本発明に係る実施の形態2の光ディスク駆動装置の要部説明図である。
【図3】本発明に係る実施の形態3の光ディスク駆動装置の要部説明図である。
【図4】従来の光ディスク駆動装置の平面図である。
【図5】従来の光ディスク駆動装置からドライブシャーシに搭載されている部品を削除した状態を示す平面図である。
【図6】従来の光ディスク駆動装置の要部斜視図である。
【図7】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【図8】従来の光ディスク駆動装置の要部動作説明図である。
【図9】従来の光ディスク駆動装置の要部動作説明図である。
【図10】従来の光ディスク駆動装置の要部動作説明図である。
【図11】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【図12】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【図13】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 光ディスク駆動装置、2 メインシャーシ、3 トレイ、4 カムスライダ、8,9 カム溝、8a,9a 上カム溝部、8b,9b 下カム溝部、8c,9c 傾斜カム溝部、10 昇降部材、10a,10b 係合ボス、11 ドライブシャーシ、16 スピンドルモータ、25 ターンテーブル、26 クランパ、28 弾性部、 28a 折返し部、28b 弾性当接片部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD等のディスクを利用するディスク駆動装置に関するもので、特に、スピンドルモータ等を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材のボスと、メインシャーシ上をスライドするカムスライダのカム溝との係合により、ドライブシャーシを昇降させ、前記スピンドルモータ等に圧入されたターンテーブルとクランパの圧着によりディスクの回転を保持しているディスク駆動装置において、駆動負荷が低い箇所でも部品の移動速度を有効に下げ、部品同士の隙間に起因して生じる衝突音を軽減することができるディスク駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のディスク駆動装置として、ディスクが載置されるトレイの排出・収納動作に連動してカムスライダがスライド操作され、このカムスライダのスライド移動に伴って、ドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、カムスライダに形成されたカム溝に沿って摺動移動され、この摺動移動によりドライブシャーシが昇降操作されて、ターンテーブルとクランパとを接近離隔操作するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、ディスク駆動装置として、図4〜図13に示すようなDVD等のディスクを利用した光ディスク駆動装置1がある。なお、各図中に示される座標軸は共通する方向を示すもので、トレイ3の移動方向にY軸をとり、トレイ3のディスク載置面3aに平行でY軸と直交する方向にX軸をとり、これらX,Y軸と直交する方向にZ軸をとっている。
【0004】
図4および図5に示すように、トレイ3は、メインシャーシ2上で、両側複数のガイド2aに規制されてスライド可能に保持され、そのディスク載置面3aに載置する図示しないディスクと共に光ディスク駆動装置1の装置本体1aに対して挿入、排出される。このトレイ3の下面には、その片側に寄った位置においてY軸方向に延在するラック3bが形成されると共に、後述するカムスライダ4のボス4a,4bを各々ガイドする略L字状のガイド溝3c,3dが形成されている。
【0005】
カムスライダ4は、図6や図7に示すように、断面略L字状の部材で、メインシャーシ2によってX軸方向にスライド可能に保持され、その上面にはトレイ3のガイド溝3c,3dと係合可能な位置に前記ボス4a,4bが突設され、一側部には駆動ギア5の小歯車部5aと間欠噛合するラック4cが形成されている。
【0006】
また、カムスライダ4には、後述するラックユニット6(図11参照)の第二のラック7のボス7aと係合可能なカム溝(図示省略)が形成されている。
【0007】
一方、カムスライダ4のZ―Y平面に平行となる面には、図8〜図10に示すように、X軸と平行な上下の上カム溝部8a,9aおよび下カム溝部8b,9bと、この上下のカム溝部8a,8b,9a,9b間にわたりZ軸に対して傾斜する傾斜カム溝部8c,9cとを有するカム溝8,9が形成されている。
【0008】
そして、昇降部材10の係合ボス10a,10bがそれぞれカム溝8,9に嵌入されて、相対摺動自在にガイドする構造とされている。
【0009】
図4〜図7や図12等に示すようにドライブシャーシ11は、後方2箇所をダンパー12を介してネジ13でメインシャーシ2に取り付けられ、前方2箇所をダンパー14を介してネジ15で昇降部材10に取り付けられている。
【0010】
昇降部材10は左右にガイド突部10c,10dが設けられており、メインシャーシ2のガイド溝2b,2cに沿ってZ軸方向に昇降可能とされ、前方に配置されたカムスライダ4のカム溝8,9と係合可能な位置に前記係合ボス10a、10bが設けられている。
【0011】
ドライブシャーシ11には、ディスクを載置し回転させるモータ装置としてのスピンドルモータ16や、ディスクの半径方向に移動しながらディスクに記録された信号を読み書きする光ヘッド17および光ヘッド17をディスクの半径方向へ移動させる部品が搭載されている。
【0012】
光ヘッド17はディスクの半径方向に主軸18、副軸19により平行移動可能なように保持されており、光ヘッド17のディスクの半径方向への駆動は、駆動用モータ20の回転を伝えるピニオンギア21、該ピニオンギア21に噛み合う駆動ギア22、該駆動ギア22に噛み合う光ヘッド17のラックユニット6により駆動される構造とされている。
【0013】
図11に示されるように、駆動ギア22の中間部に配置された第1ギア22aはピニオンギア21に噛み合い、裏面側に配置された第2ギアはラックユニット6に噛み合い、上面側に配置された第3ギア22bは中間駆動ギア23に噛み合うよう構成されている。
【0014】
そして、この中間駆動ギア23は駆動ギア5の大歯車部5bに噛み合うよう構成されている。
【0015】
光ヘッド17の駆動を安定して行うため、ラックユニット6は光ヘッド17に固定された第一のラック24および第一のラック24のピッチ線方向に付勢バネ(図示省略)により付勢され平行移動可能なように保持された第二のラック7を有するいわゆるダブルラックで行えるように構成されている。
【0016】
次に、トレイ3が、光ディスク駆動装置1に収納された状態から排出されるまでの動作について説明する。
【0017】
図11および図12に示すように、駆動用モータ20の回転がピニオンギア21に伝えられ、駆動ギア22の第1ギア22aから第2ギアを経由してラックユニット6がY軸プラス方向に動作される。
【0018】
これにより光ヘッド17がドライブシャーシ11のストッパ11aに当たり最内周部で停止した後も、さらに第二のラック7のみを駆動ギア22で移動させて、第二のラック7のボス7aで係合するカムスライダ4の図示省略のカム溝の壁を押すことで、カムスライダ4はX軸マイナス方向へ動き、カムスライダ4のラック4cと駆動ギア5の小歯車部5aが噛み合い始める。
【0019】
その後、駆動ギア5によりカムスライダ4がさらにX軸マイナス方向へ移動され、図8、図9、図10に順次示すようにカムスライダ4の移動に伴い、昇降部材10の係合ボス10a、10bはそれぞれカム溝8,9の上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに沿って下カム溝部8b,9bに到達する。
【0020】
この係合ボス10a、10bの上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに移行してしばらくすると、駆動用モータ20の駆動力により、図13に示されるようなスピンドルモータ16に圧入しているターンテーブル25と、このターンテーブル25に圧入されているマグネット(図示省略)の着磁力で圧着しているクランパ26を互いに離隔させ、引き剥がすように構成されている。
【0021】
またこの時、カムスライダ4のボス4a,4bはトレイ3のガイド溝3c,3dに係合しながら動き、ガイド溝3c,3dの壁を押すことで、トレイ3がY軸プラス方向に動き、トレイ3のラック3bと駆動ギア5の小歯車部5aが噛み合い、トレイ3が排出される。
【0022】
そしてこのトレイ3の排出が完了するまで、駆動時の負荷に合わせてタイマーで駆動用モータ20の電圧を設定している。
【0023】
【特許文献1】特開2002−298548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、上記のようにトレイ3を排出するまで、駆動時の負荷に合わせて駆動用モータ20の電圧を設定しているが、各負荷の変動遷移時間が短いために、負荷が大きくない箇所でも、高い電圧が短い時間であるが掛かっていることで部品動作速度が速くなる場合や、あるいは、負荷の軽い場所であることから電圧は下げているが、手前の区間の電圧が高いために部品動作速度が速くなる場合がある。そして、このような場合に、部品同士の衝突による音が大きくなるという問題があった。
【0025】
このような負荷が大きい箇所としては、第二のラック7のボス7aによるカムスライダ4のカム溝の壁の押し始めから、ターンテーブル24からクランパ26を引き剥がす間であり、この区間は駆動用モータ20の駆動電圧を高く設定している。
【0026】
そしてクランパ26を引き剥がした後は、昇降部材10の係合ボス10a、10bとカムスライダ4の傾斜カム溝部8c,9cとの相互間に僅かの隙間がある為に、両部品が速い速度で衝突することにより、衝突音を発するという問題があった。
【0027】
そこで、本発明は、上記のような課題に鑑み、部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減を図ったディスク駆動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明に係る請求項1記載のディスク駆動装置は、ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスに接離自在に当接されると共に、係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられている点にある。
【0029】
また、本発明に係る請求項2記載のディスク駆動装置は、ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記昇降部材の側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられている点にある。
【0030】
さらに、本発明に係る請求項3記載のディスク駆動装置は、ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記ドライブシャーシの側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられている点にある。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る請求項1記載のディスク駆動装置によれば、ターンテーブルとクランパとの離隔操作に伴うカムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から傾斜カム溝部で押動される係合ボスに接離自在に当接されると共に、係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、メインシャーシに一体的に備えられているため、ターンテーブルとクランパとが互いに離隔される駆動負荷の遷移区間に弾性部で負荷を与えることで、負荷を平滑化することができ、係合ボスとカムスライダの傾斜カム溝部との相互間に隙間がある場合でも、係合ボスの移動速度を有効に下げることができ、ここに部品相互間の衝突速度を下げることができ、部品同士の衝突音の軽減が図れる。
【0032】
また、本発明に係る請求項2記載のディスク駆動装置によれば、ターンテーブルとクランパとの離隔操作に伴うカムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から昇降部材の側面に接離自在に当接されると共に、傾斜カム溝部で押動される係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、メインシャーシに一体的に備えられているため、上記同様、駆動負荷の遷移区間に弾性部で負荷を与えることで、負荷を平滑化することができ、係合ボスとカムスライダの傾斜カム溝部との相互間に隙間がある場合でも、係合ボスの移動速度を有効に下げることができ、ここに部品相互間の衝突速度を下げることができ、部品同士の衝突音の軽減が図れる。
【0033】
さらに、本発明に係る請求項3記載のディスク駆動装置によれば、ターンテーブルとクランパとの離隔操作に伴うカムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前からドライブシャーシの側面に接離自在に当接されると共に、傾斜カム溝部で押動される係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、メインシャーシに一体的に備えられているため、上記同様、駆動負荷の遷移区間に弾性部で負荷を与えることで、負荷を平滑化することができ、係合ボスとカムスライダの傾斜カム溝部との相互間に隙間がある場合でも、係合ボスの移動速度を有効に下げることができ、ここに部品相互間の衝突速度を下げることができ、部品同士の衝突音の軽減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明すると、図1は本実施の形態に係るディスク駆動装置としての光ディスク駆動装置1の要部を示している。また、この光ディスク駆動装置1の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されており、同様構成部分は同一符号を付している。
【0035】
即ち、本実施の形態によれば、樹脂成型品で形成されたメインシャーシ2に、弾性作用を発揮するための弾性部28が一体成形された構造とされている。この弾性部28は、図1に示されるように、下部に折返し部28aを有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部28aから上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部28bの上部が、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前に係合ボス10aの側面に接離自在に当接するように構成されている。
【0036】
また、弾性部28は樹脂の可撓性により、その弾性当接片部28bが折返し部28aを基部として撓み変形可能となっており、係合ボス10a、10bがカム溝8,9における傾斜カム溝部8c,9cに沿って下降移動される際、その下降移動に伴って係合ボス10aの当接される位置が、弾性当接片部28bを弾性変形させながら弾性当接片部28bの一側に沿って下方向に漸次移動されていくように構成されている。
【0037】
そして、この係合ボス10aの下降移動に伴って、弾性部28の弾性当接片部28bが折返し部28aを基部として撓み変形される構造であるため、係合ボス10aの下降移動により、折返し部28aに蓄勢される弾発力が漸次増大する構造となっている。
【0038】
また、その他の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されている。
【0039】
本実施の形態は以上のように構成されており、トレイ3を排出するまでの動作も前述と略同等である。
【0040】
従って、トレイ3を排出するまでの負荷の遷移としては、第二のラック7のボス7aでカムスライダ4のカム溝の壁を押す際の負荷が最も大きく、カムスライダ4はX軸マイナス方向へ動き、カムスライダ4のその後のX軸マイナス方向への移動に伴い、昇降部材10の係合ボス10a、10bはそれぞれカム溝8,9の上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに沿って下カム溝部8b,9bに到達する。
【0041】
この間における負荷は、昇降部材10の係合ボス10a、10bが上カム溝部8a,9aから傾斜カム溝部8c,9cに到達するまでは、ドライブシャーシ11およびドライブシャーシ11に取り付けてある部品の自重による負荷が掛かっており負荷が大きいが、傾斜カム溝部8c,9cに到達してからは、傾斜カム溝部8c,9cが斜め下方向に傾斜しているため、ドライブシャーシ11およびドライブシャーシ11に取り付けてある部品の自重により逆に負荷は軽くなる。
【0042】
また、昇降部材10の係合ボス10a、10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達してからは、傾斜カム溝部8c,9cに沿って、昇降部材10が降下し始め、これに伴いドライプシャーシ11が降下し始めることにより、スピンドルモータ16も降下し始める。
【0043】
その為、スピンドルモータ16のマグネットの着磁力で磁着しているクランパ26も降下し、メインシャーシ2の受け部2eと緩衝し、マグネットの着磁力を上回る駆動用モータ20の駆動力によりクランパ26はターンテーブル24から引き剥がされる。この際の負荷が前述した第二のラック7のボス7aでカムスライダ4のカム溝の壁を押す際の負荷の次に大きな負荷となっている。
【0044】
その後に係合ボス10a、10bが傾斜カム溝部8c,9cを移行している区間の負荷は、前述した係合ボス10a、10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達後から、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がすまでの区間と同じく自重により負荷は軽くなる。
【0045】
昇降部材10の係合ボス10a,10bが傾斜カム溝部8c,9cの移行後、下カム溝部8b,9bの移行中は、同時にカムスライダ4のボス4a,4bはトレイ3のガイド溝3c,3dに係合しながら動き、ガイド溝3c,3dの壁を押すことで、トレイ3をY軸プラス方向に動かす必要があり、負荷が若干大きくなり、その後はラック3bによりトレイ3はそのまま排出され、動作完了となる。
【0046】
ここまでの動作で、駆動用モータ20の駆動電圧としては、負荷が高い区間である、最初の第二のラック7のボス7aでカムスライダ4のカム溝の壁を押し始める箇所から、カムスライダ4のボス4a,4bはトレイ3のガイド溝3c,3dに係合しながら動き、ガイド溝3c,3dの壁を押すことで、トレイ3をY軸プラス方向に動かし始めるまでが高く設定されている。
【0047】
このように駆動用モータ20の駆動電圧が高く設定してある区間で、負荷の高い箇所から低い箇所に移行する区間は、昇降部材10の係合ボス10a,10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達後から、クランパ26をターンテーブル24から引き剥がし始めるまでの区間とクランパ26をターンテーブル25から引き剥がした後から昇降部材10の係合ボス10a,10bが下カム溝部8b,9bに到達する傾斜カム溝部8c,9cの移行区間である。
【0048】
この内、前者の昇降部材10の係合ボス10a,10bが傾斜カム溝部8c,9cに到達後から、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がし始めるまでの区間については、ドライブシャーシ11およびドライブシャーシ11に取り付けてある部品の自重により昇降部材10の係合ボス10a,10bは傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁に常に当接しており、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がし始めるまでの区間で部品間の衝突はない。
【0049】
また、クランパ26をターンテーブル25から引き剥がした後から昇降部材10の係合ボス10a,10bが下カム溝部8b,9bに到達する傾斜カム溝部8c,9cの移行区間では、クランパ26を引き剥がした後、負荷が急に小さくなると同時に昇降部材10の係合ボス10aの外径とカムスライダ4の傾斜カム溝部8cの溝幅の差、同じく係合ボス10bの外径と傾斜カム溝部9cの溝幅の差により僅かの隙間があるため、高い駆動電圧でクランパ26から引き剥がされることでフリーとなったドライブシャーシ11が昇降部材10の係合ボス10a、10bと傾斜カム溝部8c,9cの上側の壁の接地地点から係合ボス10a,10bと傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁が接地する地点まで勢い良く動き、その結果、係合ボス10a,10bと傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁が衝突することで、衝突音が発生するおそれがあった。
【0050】
これに対し、本実施の形態においては、メインシャーシ2に弾性部28が一体的に備えられており、弾性部28の弾性当接片部28bは、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされる前から係合ボス10aと接触し、係合ボス10aの下降移動に伴って、係合ボス10aに接触状態となっている弾性当接片部28bが変位して、その弾発力が漸次増大するように構成されているため、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされて、ドライブシャーシ11が自重落下する状態となっても、昇降部材10の降下に際し、弾性部28における弾性当接片部28bの弾発力が降下の負荷となる。
【0051】
従って、クランパ26の引き剥がし後に駆動負荷が低くなった箇所においても、弾性部28により負荷を与えることにより、負荷を平滑化することができ、ドライブシャーシ11の落下速度を有効に下げることができ、ドライブシャーシ11の落下速度が遅くなる。さらにこのことと併せて、係合ボス10aの下降に負荷が加わることで、カムスライダ4のスライド操作における抵抗が大きくなり、駆動用モータ20の駆動力が食われ、カムスライダ4の移動速度も遅くなる。
【0052】
この結果、クランパ26が引き剥がされた際に、傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁と、各係合ボス10a、10bとの衝突速度が遅くなるため、衝突音の発生が小さくなり、ここに部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減が有効に図れるという利点がある。
【0053】
また、メインシャーシ2に断面略U字状の弾性片部材からなる弾性部28を一体成形した簡単な構造であり、部品点数の増加を招くことなく、既存の部品を使って容易に提供でき、部品コスト面や製造コスト面でも有利となる利点がある。
【0054】
<実施の形態2>
図2は本発明の実施の形態2を示しており、上記実施の形態1を展開させたものである。そして、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されており、同様構成部分は同一符号を付している。
【0055】
即ち、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、樹脂成型品で形成されたメインシャーシ2に、弾性作用を発揮するための弾性部28が一体成形された構造とされている。この弾性部28は、図2に示されるように、下部に折返し部28aを有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部28aから上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部28bの上部が、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前に、昇降部材10の側面に接離自在に当接するように構成されている。
【0056】
そして、係合ボス10a、10bがカム溝8,9における傾斜カム溝部8c,9cに沿って下降移動される際、その下降移動に伴って昇降部材10の当接される位置が、弾性当接片部28bを弾性変形させながら弾性当接片部28bの一側に沿って下方向に漸次移動されていくように構成され、この下降移動に伴って、折返し部28aに蓄勢される弾発力が漸次増大する構造となっている。また、その他の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されている。
【0057】
従って、本実施の形態によれば、メインシャーシ2に弾性部28が一体的に備えられており、弾性部28の弾性当接片部28bは、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされる前から昇降部材10と接触し、各係合ボス10a、10bの傾斜カム溝部8c,9cに沿った下降移動に伴って、昇降部材10に接触状態となっている弾性当接片部28bが変位して、その弾発力が漸次増大するように構成されているため、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされて、ドライブシャーシ11が自重落下する状態となっても、昇降部材10の降下に際し、弾性部28における弾性当接片部28bの弾発力が降下の負荷となる。
【0058】
従って、クランパ26の引き剥がし後に駆動負荷が低くなった箇所においても、弾性部28により負荷を与えることにより、負荷を平滑化することができ、ドライブシャーシ11の落下速度を有効に下げることができ、ドライブシャーシ11の落下速度が遅くなる。さらにこのことと併せて、昇降部材10の下降に負荷が加わることで、カムスライダ4のスライド操作における抵抗が大きくなり、駆動用モータ20の駆動力が食われ、カムスライダ4の移動速度も遅くなる。
【0059】
この結果、クランパ26が引き剥がされた際に、傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁と、各係合ボス10a、10bとの衝突速度が遅くなるため、衝突音の発生が小さくなり、ここに部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減が有効に図れるという利点がある。
【0060】
また、メインシャーシ2に断面略U字状の弾性片部材からなる弾性部28を一体成形した簡単な構造であり、部品点数の増加を招くことなく、既存の部品を使って容易に提供でき、部品コスト面や製造コスト面でも有利となる利点がある。
【0061】
<実施の形態3>
図3は本発明の実施の形態3を示しており、上記実施の形態1を展開させたものである。そして、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されており、同様構成部分は同一符号を付している。
【0062】
即ち、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、樹脂成型品で形成されたメインシャーシ2に、弾性作用を発揮するための弾性部28が一体成形された構造とされている。この弾性部28は、図3に示されるように、下部に折返し部28aを有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部28aから上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部28bの上部が、ターンテーブル25からクランパ26が離隔される前に、ドライブシャーシ11の側面に接離自在に当接するように構成されている。
【0063】
そして、係合ボス10a、10bがカム溝8,9における傾斜カム溝部8c,9cに沿って下降移動される際、その下降移動に伴ってドライブシャーシ11の当接される位置が、弾性当接片部28bを弾性変形させながら弾性当接片部28bの一側に沿って下方向に漸次移動されていくように構成され、この下降移動に伴って、折返し部28aに蓄勢される弾発力が漸次増大する構造となっている。また、その他の構造は、前述の光ディスク駆動装置1の構造と略同様に構成されている。
【0064】
従って、本実施の形態によれば、メインシャーシ2に弾性部28が一体的に備えられており、弾性部28の弾性当接片部28bは、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされる前からドライブシャーシ11と接触し、各係合ボス10a、10bの傾斜カム溝部8c,9cに沿った下降移動に伴って、ドライブシャーシ11に接触状態となっている弾性当接片部28bが変位して、その弾発力が漸次増大するように構成されているため、ターンテーブル25からクランパ26が引き剥がされて、ドライブシャーシ11が自重落下する状態となっても、ドライブシャーシ11の降下に際し、弾性部28における弾性当接片部28bの弾発力が降下の負荷となる。
【0065】
従って、クランパ26の引き剥がし後に駆動負荷が低くなった箇所においても、弾性部28により負荷を与えることにより、負荷を平滑化することができ、ドライブシャーシ11の落下速度を有効に下げることができ、ドライブシャーシ11の落下速度が遅くなる。さらにこのことと併せて、ドライブシャーシ11の下降に負荷が加わることで、カムスライダ4のスライド操作における抵抗が大きくなり、駆動用モータ20の駆動力が食われ、カムスライダ4の移動速度も遅くなる。
【0066】
この結果、クランパ26が引き剥がされた際に、傾斜カム溝部8c,9cの下側の壁と、各係合ボス10a、10bとの衝突速度が遅くなるため、衝突音の発生が小さくなり、ここに部品の衝突速度を下げて部品同士の衝突音の軽減が有効に図れるという利点がある。
【0067】
また、メインシャーシ2に断面略U字状の弾性片部材からなる弾性部28を一体成形した簡単な構造であり、部品点数の増加を招くことなく、既存の部品を使って容易に提供でき、部品コスト面や製造コスト面でも有利となる利点がある。
【0068】
<他の実施の形態>
また、上記の実施の形態においては、弾性部28がメインシャーシ2に一体成形により一体的に備えられた構造を示しているが、同様構成のバネ片等をメインシャーシ2に一体的に固定することにより備える構造としてもよく、何ら実施の形態の構造に限定されない。
【0069】
さらに、ドライブシャーシ11に昇降部材10を取り付け、この昇降部材10に係合ボス10a、10bを設けた構造を示しているが、昇降部材10を省略し、ドライブシャーシ11にカムスライダ4のカム溝8,9に係合される係合ボスを設ける構造としてもよい。
【0070】
また、光ディスク駆動装置1に限らず、その他のディスク駆動装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る実施の形態1の光ディスク駆動装置の要部説明図である。
【図2】本発明に係る実施の形態2の光ディスク駆動装置の要部説明図である。
【図3】本発明に係る実施の形態3の光ディスク駆動装置の要部説明図である。
【図4】従来の光ディスク駆動装置の平面図である。
【図5】従来の光ディスク駆動装置からドライブシャーシに搭載されている部品を削除した状態を示す平面図である。
【図6】従来の光ディスク駆動装置の要部斜視図である。
【図7】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【図8】従来の光ディスク駆動装置の要部動作説明図である。
【図9】従来の光ディスク駆動装置の要部動作説明図である。
【図10】従来の光ディスク駆動装置の要部動作説明図である。
【図11】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【図12】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【図13】従来の光ディスク駆動装置の要部平面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 光ディスク駆動装置、2 メインシャーシ、3 トレイ、4 カムスライダ、8,9 カム溝、8a,9a 上カム溝部、8b,9b 下カム溝部、8c,9c 傾斜カム溝部、10 昇降部材、10a,10b 係合ボス、11 ドライブシャーシ、16 スピンドルモータ、25 ターンテーブル、26 クランパ、28 弾性部、 28a 折返し部、28b 弾性当接片部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、
前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスに接離自在に当接されると共に、係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、
前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記昇降部材の側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項3】
ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、
前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記ドライブシャーシの側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項4】
前記弾性部は、下部に折返し部を有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部から上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部の上部が、前記ターンテーブルから前記クランパが離隔される前に前記当接され、前記係合ボスの下降移動に伴って前記当接される位置が弾性当接片部の下方向に漸次移動されていくことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のディスク駆動装置。
【請求項1】
ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、
前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスに接離自在に当接されると共に、係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、
前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記昇降部材の側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項3】
ディスクを回転させるモータ装置を備えたドライブシャーシあるいはドライブシャーシを取り付ける昇降部材の係合ボスが、メインシャーシにスライド自在に支持されたカムスライダのカム溝に係合され、カムスライダのスライド操作によりカム溝に備えられた傾斜カム溝部で係合ボスが押動されてドライブシャーシが昇降操作され、この昇降操作により、モータ装置に圧入されたターンテーブルとクランパとが接近離隔操作され、ターンテーブルとクランパとの圧着によりディスクを回転操作自在に保持するディスク駆動装置において、
前記ターンテーブルと前記クランパとの離隔操作に伴う前記カムスライダのスライド操作により、ターンテーブルからクランパが離隔される前から前記ドライブシャーシの側面に接離自在に当接されると共に、前記傾斜カム溝部で押動される前記係合ボスの下降移動に伴って弾発力が漸次増大する弾性部が、前記メインシャーシに一体的に備えられていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項4】
前記弾性部は、下部に折返し部を有する断面略U字状の弾性片部材からなり、折返し部から上向き突出状に配置された上部遊端状の一方の弾性当接片部の上部が、前記ターンテーブルから前記クランパが離隔される前に前記当接され、前記係合ボスの下降移動に伴って前記当接される位置が弾性当接片部の下方向に漸次移動されていくことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のディスク駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−269683(P2008−269683A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109103(P2007−109103)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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