説明

ディスプレイストリップ

本発明の目的は、商品を封入した袋を取り付ける工程の自動化が容易であり、いったん取り外した商品を封入した袋を容易に再接着することができるディスプレイストリップを提供することである。 本発明は、商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのディスプレイストリップであって、前記ディスプレイストリップは、少なくとも、基材層とシーラント層とからなるものであり、前記シーラント層は、前記袋の表面層と熱圧着することにより結合することができるものであり、かつ、熱圧着する前には粘着性を示さないが、熱圧着により結合した前記袋を剥離すると粘着面が露出して前記袋を再結合することができるディスプレイストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、商品を封入した袋を複数並べて取り付けて展示するためのディスプレイストリップに関する。
【背景技術】
スナック菓子等の商品は、通常、ピロー包装(縦ピロー、横ピロー)で袋に包装された形で販売される。このように商品を封入した袋は、商店の陳列棚に並べて販売されることが多い。しかし、この方法だと陳列棚に人手により1袋づつ陳列する必要があり、また、所定の陳列棚にしか展示して販売できないという場所的制限を受けていた。
ストリップバッグ展示と呼ばれる、陳列棚を必要としない商品の展示販売方法が知られている。ストリップバッグ展示とは、図1に示したようにディスプレイストリップと呼ばれる所定巾のテープ材に複数の商品を取り付けて吊り下げるという展示形態である。この展示形態であれば、陳列棚を必要とせず、商店のレジ横やホテルのフロント等のあらゆる場所において展示販売が可能である。
従来、ディスプレイストリップとしては、例えば、粘着テープからなるものや、紙や樹脂からなるテープの所定の位置に予め穴あけ加工を施しておき裏面から粘着テープを貼り付けたもの等、粘着テープの粘着力によって商品を封入した袋をディスプレイストリップに取り付けるものが用いられていた。このようなタイプのディスプレイストリップは、いったん取り付けた商品を取り外した後に再接着させることができる等の利点がある。
しかし、これらのディスプレイストリップでは、商品を封入した袋をディスプレイストリップに取り付ける工程を機械を用いて自動化するのが困難であるという問題があった。即ち、このようなディスプレイストリップを粘着テープが露出したまま自動化しようとしても、機械を通過する際にローラ等に粘着してしまい自由なテープ送りをすることができなかった。一方、粘着面を離型シート等で覆った場合にも、結局は商品の取り付け操作が煩雑となり自動化が困難であった。また、粘着テープの表面に埃やゴミが付着して外観を損ねてしまうことがあるという問題もあった。
これに対して、片面にヒートシール層を設けることにより、商品が封入された袋を直接ヒートシールして接着することができるディスプレイストリップが提案されている。このディスプレイストリップを用いれば、商品を封入した袋をディスプレイストリップに取り付ける工程を、商品を袋に封入する一連の工程と連続して自動化することが極めて容易である。しかしながら、このようなヒートシールタイプのディスプレイストリップでは、いったん取り外した商品を再接着するためにはシーラー等を用いる必要があり、商店等においてこれを行うのは困難であった。
発明の要約
本発明は、上記現状に鑑み、商品を封入した袋を取り付ける工程の自動化が容易であり、いったん取り外した商品を封入した袋を容易に再接着することができるディスプレイストリップを提供することを目的とするものである。
本発明は、商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのディスプレイストリップであって、前記ディスプレイストリップは、少なくとも、基材層とシーラント層とからなるものであり、前記シーラント層は、前記袋の表面層と熱圧着することにより結合することができるものであり、かつ、熱圧着する前には粘着性を示さないが、熱圧着により結合した前記袋を剥離すると粘着面が露出して前記袋を再結合することができるディスプレイストリップである。
上記シーラント層は、熱活性型粘着剤を含有することが好ましく、2層以上からなる層構造を有するものであって、少なくとも、最表層が熱活性型粘着剤を含有する熱活性型粘着剤層であり、前記熱活性型粘着剤層の内側の層が常温で粘着性を示す粘着剤層であることがより好ましい。また、熱活性型粘着剤は、2次転移点が−10〜70℃の熱可塑性樹脂と、融点が70〜120℃の固体可塑剤とを含有することが好ましく、更に、粘着性付与剤を含有することが好ましい。
上記シーラント層は、また、2層以上からなる層構造を有するものであって、少なくとも、最表層が常温で粘着性を示さない熱溶融性樹脂を含有するヒートシール層であり、前記ヒートシール層の内側の層が常温で粘着性を示す粘着剤層であることが好ましい。上記常温で粘着性を示す粘着剤層は、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤を含むことが好ましい。この場合、ヒートシール層の厚さが20μm以下であることが好ましい。
上記基材層は、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、金属、紙又はこれらの積層物からなることが好ましい。
上記袋は、少なくとも、シーラント層と基材層とからなることが好ましい。上記シーラント層は、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体、及び、低密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種からなることが好ましく、また、上記シーラント層は、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレンフィルムからなることが好ましい。上記シーラント層と基材層とは、接着剤を介してラミネートされたものであることが好ましい。上記シーラント層と基材層とは、中間層を介してラミネートされたものであることが好ましく、上記シーラント層と中間層とは、接着剤を介してラミネートされたものであることがより好ましい。
本発明のディスプレイストリップと商品が封入された袋とがヒートシールにより結合されてなる商品展示体もまた、本発明の1つである。
【図面の簡単な説明】
図1は、ストリップバッグ展示を示す模式図である。図2は、本発明のディスプレイストリップに商品を封入した袋を取り付ける手順の1例を示す模式図である。
図中、1はディスプレイストリップを表し、2は商品を封入した袋を表し、3はシール部位を表す。
発明の詳細な開示
以下に本発明を詳述する。
本発明のディスプレイストリップは、少なくとも、基材層とシーラント層とからなるものであり、上記シーラント層と商品を封入した袋の表面とは熱圧着するにより結合することができるものである。
更に、本発明のディスプレイストリップにおいては、上記シーラント層は熱圧着により結合する前には粘着性を示さず容易に自動化の機械に供することができるが、熱圧着により結合した袋を剥離した場合には粘着面が露出して袋を再結合することができる。
このようなディスプレイストリップとしては特に限定されないが、例えば、熱活性型粘着剤を含有するシーラント層を有するもの(第1の態様);シーラント層は2層以上からなる層構造を有するものであって、少なくとも、最表層が常温で粘着性を示さない熱溶融性樹脂を含有するヒートシール層であり、該ヒートシール層の内側の層が常温で粘着性を示す粘着剤層であるもの(第2の態様)等が挙げられる。
第1の態様の本発明のディスプレイストリップは、熱活性型粘着剤を含有するシーラント層を有する。本明細書において熱活性型粘着剤とは、加熱前には粘着性を示さないが、加熱により粘着性を発現し、いったん発現した粘着性は常温に戻した後も持続する性質を有する接着剤を意味する。このような接着剤はディレイドタック粘着剤とも呼ばれている。上記ディレイドタック粘着剤としては、米国特許4091162号に記載されているもの等を用いることができる。
上記熱活性型粘着剤としては特に限定されないが、例えば、2次転移点が−10〜70℃の熱可塑性樹脂と、融点が70〜120℃の固体可塑剤とを含有するものが好適に用いられる。このようなタイプの熱活性型粘着剤は、加熱により溶融した固体可塑剤が熱可塑性樹脂を可塑化することにより粘着性を発現する。上記2次転移点が−10〜70℃の熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、合成ゴム、天然ゴム等が挙げられる。上記アクリル系重合体としては、例えば、炭素数が2〜10であるアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルと、炭素数が1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体等が挙げられる。
上記融点が70〜120℃の固体可塑剤としては特に限定されず、例えば、ジシクロヘキシルフタレート、ビス(シスー3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂と固体可塑剤とを含有する熱活性型粘着剤は、更に、粘着性付与剤を含有することが好ましい。粘着性付与剤を含有することにより、加熱により発現する粘着性を増大することができる。
上記粘着性付与剤としては特に限定されず、例えば、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂等が挙げられる。
また、上記熱活性型粘着剤としては、上記熱可塑性樹脂と固体可塑剤とを含有する熱活性型粘着剤の他にも、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、アクリル酸からなる共重合体の存在下で、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミドからなる単量体混合物を重合して得られる熱活性型粘着剤等も用いることができる。
上記熱活性型粘着剤のうち市販されているものとしては、例えば、東亜合成社製「アロンタック」、ダイセル化学工業社製「エコブリッド」、東洋インキ製造社製「ヒートマジック」等が挙げられ、これらの製品の中から選ばれる。
第1の態様の本発明のディスプレイストリップにおいては、上記シーラント層は、熱活性型粘着剤を含有する層の1層のみでもよい。この場合には、袋が取り付けられたディスプレイストリップから袋が剥離されたとき、袋側に移行することなく、ディスプレイストリップに残存している粘着剤に、袋を再結合することができる。
シーラント層が2層以上からなる層構造を有する場合には、少なくとも、最表層が上記熱活性型粘着剤を含有する熱活性型粘着剤層であり、該熱活性型粘着剤層の内側の層が常温で粘着性を示す粘着剤層であることが好ましい。このような構造を有することにより、加熱により発現する上記熱活性型粘着剤の粘着性に内層の粘着剤層の粘着力が加わることから、袋に封入させる商品の重量が重い場合であっても確実に保持することができる。
上記常温で粘着性を示す粘着剤層を構成する粘着剤としては特に限定されず、例えば、天然ゴム、合成ゴム等を含有するゴム系粘着剤;アクリル酸エステル等を含む溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等のアクリル系粘着剤等が挙げられる。上記ゴム系粘着剤としては、例えば、ポリイソブチレン系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、ブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。
第1の態様の本発明のディスプレイストリップは、シーラント層が上記熱活性型粘着剤を含有することにより、商品が封入された袋と熱圧着することにより上記熱活性型粘着剤の粘着性が発現し袋を結合させることができる。シーラント層は加熱前には粘着性を示さないことから、袋を熱圧着する工程を容易に自動化することができる。また、いったん発現した粘着性は常温に戻した後も持続することから、結合した袋を取り外しても、再接着することが可能である。
第2の態様の本発明のディスプレイストリップにおいては、上記シーラント層は2層以上からなる層構造を有するものであって、少なくとも、最表層が常温で粘着性を示さない熱溶融性樹脂を含有するヒートシール層であり、該ヒートシール層の内側の層が常温で粘着性を示す粘着剤層である。
上記常温で粘着性を示さない熱溶融性樹脂としては特に限定されないが、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂が好適である。上記ヒートシール層が、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することにより、特に現在欧米で用いられる多くの袋の表面のシーラント層として採用されているヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)とのヒートシール性に優れる。なかでも、ポリプロピレン又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を主成分とし、融点を下げるために更に低密度ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体を配合したものがより好適である。なお、上記低密度ポリエチレンには、シングルサイト系触媒又はチーグラー系触媒を用いて重合された直鎖ポリエチレンも含まれる。
また、上記ヒートシール層は、常温では粘着性を示さないことから、粘着剤層を被覆するマスク層としての役割をも有する。このようなマスク層を有することにより、第2の態様の本発明のディスプレイストリップは、加熱前には粘着性を示さず、袋を熱圧着する工程を容易に自動化することができる。
上記常温で粘着性を示す粘着剤層を有することにより第2の態様の本発明のディスプレイストリップは、ヒートシールによるディスプレイストリップと袋との結合力に粘着剤層の粘着力が加わることから、袋に封入させる商品の重量が重い場合であっても確実に保持することができる。また、いったん結合した袋を取り外した場合には、内側の粘着剤層が表出して、袋を再接着することができる。
上記ヒートシール層の厚さは、内側の常温で粘着性を示す粘着剤層に対して充分に薄いことが好ましい。上記ヒートシール層の厚さの好ましい上限は20μmである。20μmを超えると、いったん結合した袋を取り外した場合に、内側の粘着剤層が表出せず、袋を再接着することができないことがある。
上記常温で粘着性を示す粘着剤層においては、粘着性を与える成分として、上述の熱活性型粘着剤の粘着性成分として用いられるゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤等を用いることができる。
上記ヒートシール層は表面に存在することから、上記常温で粘着性を示す粘着剤層に固体可塑剤を積極的に含ませる必要はないが、本発明の目的を阻害しない範囲で固体可塑剤を含有してもよい。上記常温で粘着性を示す粘着剤層に固体可塑剤が含まれる場合には、ヒートシールが行われる前には、常温で粘着性を示さないが、ヒートシール後において常温で粘着性を示すようになる。しかし、できるだけ常温で高い粘着性を得るためには、固体可塑剤を含まない方が好ましい。
第2の態様の本発明のディスプレイストリップは、シーラント層が上述の構成からなることにより、ヒートシールにより容易に商品が封入された袋をディスプレイストリップに結合させることができる。シーラント層は加熱前には粘着性を示さないことから、剥離フィルムを挟み込む必要がなく、袋をヒートシールする工程を容易に自動化することができる。また、結合した袋を取り外した場合には、ヒートシール層が破壊され内側の粘着剤層が表出することから、袋を再接着することができる。
本発明のディスプレイストリップにおいて、上記シーラント層はディスプレイストリップの実質的全面に形成されていてもよいし、商品を取り付ける所定の位置にのみ形成されていてもよい。ディスプレイストリップの実質的全面に形成されている場合には、ディスプレイストリップの任意の位置に商品を取り付けることができ好ましい。なお、ここで実質的にとは、穴あけ加工を施した位置や商品を取り付けることのない周辺部等は含まないという意味である。
上記基材層としては特に限定されないが、多数の商品を取り付けて吊り下げる用途から充分な強度を有し、かつ、熱圧着時に溶融したり劣化したりしない耐熱性を有することが好ましく、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、金属箔、紙又はこれらの積層物等からなるものや、紙に樹脂成分をコーティングしたもの等が好適である。
上記基材層の厚さとしては特に限定されないが、30〜200μmであることが好ましい。30μm未満であると、充分な強度が得られずに展示時や商品を封入した袋を取り外す際に破損する恐れがあり、200μmを超えると、基材層が断熱材の役割をして熱圧着時にシーラント層に充分に熱が伝わらないことがある。
本発明のディスプレイストリップは、上記基材層と上記シーラント層との間に、更に、他の機能を担保する層を有していてもよい。このような層としては、例えば、印刷層等が挙げられる。特に基材層としてポリマーが用いられる場合には、印刷層は基材層とシーラント層との間に設けられることが好ましく、基材層として紙が用いられる場合には、紙の積層されていない面に印刷を行うことが好ましい。
本発明のディスプレイストリップの形態としては特に限定されず、例えば、テープ状、シート状等が挙げられる。また、本発明のディスプレイストリップの片端には、商品を取り付けたディスプレイストリップを吊り下げて展示するためにフックに引っ掛けるための穴あけ加工を施したり、クリップ等を取り付けたりしてもよい。特に、穴あけ加工は一連の自動化工程の中で容易に行えることから好ましい。ただし、ディスプレイストリップに穴を開けてフックに引っ掛ける場合には、穴の部分に力がかかり破れやすいことから、上記基材層を強化したり、上記基材層と上記シーラント層との間にポリエチレン層やナイロン層を有するものを用いてもよい。
本発明のディスプレイストリップに取り付ける商品を封入する袋としては、通常用いられている袋がいずれも使用できるが、なかでも、少なくとも、シーラント層と基材層とからなるものが好ましい。上記袋の表面のシーラント層は、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種からなるものが好適である。また、上記袋の表面のシーラント層は、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)フィルムからなるものが好適である。ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)フィルムとは、通常、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)の表面に、プロピレン−エチレン−ブテン3元共重合体等のヒートシール性を有する樹脂からなるごく薄いターポリマー層を設けることによりヒートシール性を付与したものを意味し、とりわけ欧米では袋材に多く採用されている。
上記商品を封入する袋を構成するシーラント層と基材層とは、接着剤を介してラミネートされたものであることが好ましい。接着剤を介してラミネートすることにより高い層間接着力が得られることから、袋を本発明のディスプレイストリップから取り外す際に袋の層間での破壊がなく、ディスプレイストリップと袋との界面又はディスプレイストリップ内部での破壊が起こりやすくなる。
また、上記商品を封入する袋を構成するシーラント層と基材層とは、中間層を介してラミネートされたものであってもよい。この場合、シーラント層と中間層とは、接着剤を介してラミネートされたものであることが好ましい。シーラント層と中間層とが接着剤を介してラミネートされることにより高い層間接着力が得られることから、袋を本発明のディスプレイストリップから取り外す際に袋の層間での破壊がなく、ディスプレイストリップと袋との界面又はディスプレイストリップ内部での破壊が起こりやすくなる。
このような商品を封入する袋は、ヒートシール性のポリマーを基材層を形成するポリマーとともに共押出するか、ホットメルト接着剤等のヒートシール性のあるポリマーを基材層上にコーティングすることにより製造することができる。本発明のディスプレイストリップに取り付ける商品を封入する袋としては、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/印刷層/接着剤層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)層/ポリエチレン(PE)層/無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの;二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)層/ポリエチレン(PE)層/無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの;二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/印刷層/アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの;二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの;透明蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層/印刷層/無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの;ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層;ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの;ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層/印刷層/接着剤層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの等が挙げられる。
本発明のディスプレイストリップを作製する方法としては特に限定されず、従来公知のコーティング方法を用いることができる。例えば、基材層上にグラビア法、カレンダー法により熱活性型粘着剤等を所定の厚みになるようにコートすることによりシーラント層を形成する方法等が挙げられる。シーラント層の厚みによっては、同一の樹脂で複数回のコーティングを行ってもよい。
シーラント層が2層以上からなる場合には、基材層に常温で粘着性を示す粘着剤をコートした後、その上に熱活性型粘着剤等がコートされる。また、最表層がマスクされる場合には、基材層上に粘着剤がコートされた後、その上に、マスク剤として用いられるポリプロピレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル樹脂等のフィルムがラミネートされる。
なお、熱活性型粘着剤層をコートすることによりシーラント層を形成する場合及び常温で粘着性を示す粘着剤をコートする場合には、それぞれ10〜200g/mの範囲で塗布することが好ましく、30〜100g/m範囲で塗布することがより好ましい。
本発明のディスプレイストリップに商品を封入した袋を取り付ける方法としては特に限定されないが、例えば、図2に示す手順により取り付けることが好ましい。この方法では、まず、袋の表側がディスプレイストリップに接するようにして商品を封入した袋を置き、次いで袋の上部をヒートシールして袋をディスプレイストリップに結合させる(図2a)。所定の数の商品を封入した袋をディスプレイストリップに結合したところで、各商品を封入した袋をヒートシール部を軸に上下反転させて袋の表面がディスプレイストリップとは反対側になるようにする(図2b)。この状態でディスプレイストリップの片端をフック等に吊り下げて展示すれば、袋とディスプレイストリップとの接着部は図2cのようになっていることから、商品を封入した袋を下方向に引っ張れば少ない力で容易にディスプレイストリップから取り外すことができる。
袋とディスプレイストリップとの結合強度としては特に限定されないが、1〜30N/15mmであることが好ましい。1N/15mm未満であると、商品の重量によっては自重により商品が落下してしまうことがあり、30N/15mmを超えると、吊り下げた状態で商品を封入した袋を引っ張ってもはずれないことがある。より好ましくは5〜20N/15mmである。
本発明のディスプレイストリップを用いれば、熱圧着することにより容易に商品を封入した袋を固定することができ、自動化により容易に大量の商品を取り付けることができる。更に、商品を封入した袋をディスプレイストリップから取り外した場合にも、袋をディスプレイストリップに再接着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
厚さ50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに熱活性型粘着剤(東洋インキ製造社製、「ヒートマジックDW1040W」)をバーコーターを用いて30g/mの塗布量で塗布し、乾燥機にて40℃、4分間乾燥した。常温で1日養生した後、35mm巾に裁断して、ディスプレイストリップを得た。
得られたディスプレイストリップの表面には粘着性は認められなかった。
【実施例2】
50g/mの紙にポリエチレン(PE)層の厚さが30μmになるように押出しラミネートした積層紙のPE層上に熱活性型粘着剤(東亞合成社製、「アロンタックTT−1225」)をバーコーターを用いて40g/mの塗布量で塗布し、乾燥機にて40℃、10分間乾燥する。常温で1日養生した後、35mm巾に裁断すれば、ディスプレイストリップが得られる。
得られるディスプレイストリップの表面には粘着性は認められない。
【実施例3】
厚さ75μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに熱活性型粘着剤(ダイセル化学工業社製、「エコブリッドTM−120」)をバーコーターを用いて50g/mの塗布量で塗布し、乾燥機にて40℃、10分間乾燥した。常温で1日養生した後、35mm巾に裁断して、ディスプレイストリップを得た。
得られたディスプレイストリップの表面には粘着性は認められなかった。
【実施例4】
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに40g/mの紙をドライラミネートした積層紙の紙面上に、熱活性型粘着剤(ダイセル化学工業社製、「エコブリッドTM−100」)をバーコーターを用いて30g/mの塗布量で塗布し、乾燥機にて40℃、10分間乾燥する。常温で1日養生した後、35mm巾に裁断すれば、ディスプレイストリップが得られる。
得られるディスプレイストリップの表面には粘着性は認められない。
【実施例5】
厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに常温で粘着性を示すブチルゴム系粘着剤をバーコーターを用いて30g/mの塗布量で塗布し、乾燥機にて40℃、4分間乾燥する。常温で1日養生した後、更に粘着剤層上に厚さ20μmのシングルサイト触媒系直鎖状低密度ポリエチレン層を積層する。これを35mm巾に裁断すれば、ディスプレイストリップが得られる。
得られるディスプレイストリップの表面には粘着性は認められない。
【実施例6】
厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート層を塗工した後、低密度ポリエチレン13μmを押出しラミネートする。この低密度ポリエチレン面に、ブチルゴム系粘着剤をバーコーターを用いて30g/mの塗布量で塗布し、乾燥機にて40℃、4分間乾燥する。常温で1日養生した後、更に粘着剤層上に厚さ5μmのエチレン酢酸ビニル樹脂層を積層した。これを35mm巾に裁断すれば、ディスプレイストリップが得られる。
得られるディスプレイストリップの表面には粘着性は認められない。
(比較例1)
厚さ50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに厚さ20μmのメタロセン低密度ポリエチレン層を積層した。これを35mm巾に裁断して、ディスプレイストリップを得た。
得られたディスプレイストリップの表面には粘着性は認められなかった。
(比較例2)
厚さ50μmの二軸ポリプロピレンフィルム上に常温で粘着性を有するアクリル系粘着剤を20μmの厚さにコートし、これを35mm巾に裁断して、ディスプレイストリップを得た。
(評価)
実施例及び比較例で作製したディスプレイストリップについて、以下の方法により取扱い性、接着性及び再接着性を評価した。
結果を表1に示した。
(1)取扱い性の評価
得られたディスプレイストリップをローラによる自動テープ送り機構を備えるストリップバッグ装置に供し、ディスプレイストリップがスムーズに送られるかを以下の基準により評価した。
○:スムーズに送られた
×:ローラ部で詰まってしまいスムーズに送られなかった
(2)接着性の評価
ストリップバッグ装置を用いてシール温度195℃、シール時間250msecに設定して、袋材を熱圧着して接着サンプルを作製した。15mm巾にカットした接着サンプルについて、引張試験機(東洋精機製作所社製、ストログラフV1−C)を用いて、300mm/minの引張速度にてシール強度を測定した。なお、袋材としては、表面から、シーラブルOPP/インク/ポリエチレン/シーラブルOPPの総厚さ50μmのフィルムを使用した。
(3)再接着性の評価
ストリップバッグ装置を用いてシール温度195℃、シール時間250msecに設定して、袋材を熱圧着して接着サンプルを作製した。この接着サンプルから袋材を剥離した後、内容量50g入りの包装袋を再度粘着させ、24時間包装袋を吊り下げた状態にして観察を行った。試験は10サンプルについて行い、24時間後までに落下した包装袋の数を計数した。

【産業上の利用可能性】
本発明によれば、商品を封入した袋を取り付ける工程の自動化が容易であり、いったん取り外した商品を封入した袋を容易に再接着することができるディスプレイストリップを提供できる。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのディスプレイストリップであって、
前記ディスプレイストリップは、少なくとも、基材層とシーラント層とからなるものであり、
前記シーラント層は、前記袋の表面層と熱圧着することにより結合することができるものであり、かつ、熱圧着する前には粘着性を示さないが、熱圧着により結合した前記袋を剥離すると粘着面が露出して前記袋を再結合することができることを特徴とするディスプレイストリップ。
【請求項2】
シーラント層は、熱活性型粘着剤を含有する請求の範囲第1項記載のディスプレイストリップ。
【請求項3】
シーラント層は2層以上からなる層構造を有するものであって、少なくとも、最表層が熱活性型粘着剤を含有する熱活性型粘着剤層であり、前記熱活性型粘着剤層の内側の層が常温で粘着性を示す粘着剤層である請求の範囲第2項記載のディスプレイストリップ。
【請求項4】
熱活性型粘着剤は、2次転移点が−10〜70℃の熱可塑性樹脂と、融点が70〜120℃の固体可塑剤とを含有する請求の範囲第2又は3項記載のディスプレイストリップ。
【請求項5】
熱活性型粘着剤は、更に、粘着性付与剤を含有する請求の範囲第4項記載のディスプレイストリップ。
【請求項6】
シーラント層は2層以上からなる層構造を有するものであって、少なくとも、最表層が常温で粘着性を示さない熱溶融性樹脂を含有するヒートシール層であり、前記ヒートシール層の内側の層が常温で粘着性を示す粘着剤層である請求の範囲第1項記載のディスプレイストリップ。
【請求項7】
常温で粘着性を示す粘着剤層は、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤を含む請求の範囲第6項記載のディスプレイストリップ。
【請求項8】
ヒートシール層の厚さが20μm以下である請求の範囲第6又は7項記載のディスプレイストリップ。
【請求項9】
基材層は、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、金属、紙又はこれらの積層物からなる請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7又は8項記載のディスプレイストリップ。
【請求項10】
袋は、少なくとも、シーラント層と基材層とからなる請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8又は9項記載のディスプレイストリップ。
【請求項11】
シーラント層は、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体、及び、低密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種からなる請求の範囲第10項記載のディスプレイストリップ。
【請求項12】
シーラント層は、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる請求の範囲第10項記載のディスプレイストリップ。
【請求項13】
シーラント層と基材層とは、接着剤を介してラミネートされたものである請求の範囲第10、11又は12項記載のディスプレイストリップ。
【請求項14】
シーラント層と基材層とは、中間層を介してラミネートされたものである請求の範囲第10、11又は12項記載のディスプレイストリップ。
【請求項15】
シーラント層と中間層とは、接着剤を介してラミネートされたものである請求の範囲第14項記載のディスプレイストリップ。
【請求項16】
請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14項記載のディスプレイストリップと商品が封入された袋とがヒートシールにより結合されてなる商品展示体。

【国際公開番号】WO2004/054895
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【発行日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560639(P2004−560639)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016011
【国際出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】