説明

データコード読取装置

【課題】 商品に付されバーコードなどが印刷されたデータコードラベルを、レーザスキャナ装置による読取窓の読取位置に移動させるために、ディスプレイ装置を見ながら容易に移動方向を知ることができるデータコード読取装置を提供する。
【解決手段】 レーザスキャナ装置4の内部に設けられ光源から発光したレーザ光を垂直面となった読取窓18に向かって上方から下方に照射するスキャナ機構20と、読取窓18の外面に沿って上方から下方に向けて取付けられたビデオカメラ30と、このビデオカメラ30によって撮影された映像をディスプレイ装置10の画面の一部に表示する領域表示部13とを設け、読取窓18とビデオカメラ30と領域表示部13との少なくとも一部が、それぞれ上下方向に一致させて配置したデータコード読取装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に付されたデータコードラベルの情報を、レーザスキャナ装置により読取って容易にデータ入力するデータコード読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデータコード読取装置は、例えば特許文献1に示されるように、チェックアウトカウンタの上面にバーコードスキャナのケースが支柱により取付けられている。このケースの内部にレーザ光照射光学系が設けられ、外壁の上部に透光性の読取窓が設けられている。レーザ光照射光学系は、光源から発光するレーザ光を集光レンズ、回転多面鏡、反射鏡を経由させて、反射鏡の上部に位置する読取窓に向って下方から上方に照射している。
【0003】
また、バーコードが印刷されたラベルから反射したレーザ光は、読取窓からケースの内部に入射して、反射鏡、回転多面鏡、集光鏡を経由してから光電変換素子で受光し、バーコードラベルの商品コードなどのデータを読取るようになっている。さらに、ケースの内部には、ラベルから反射するレーザ光に向って、下方から上方に読取窓の読取位置を撮影する小型ビデオカメラが設けられている。
【0004】
そして、実際に商品の販売情報をレーザ光照射光学系により読取って売上登録するために、商品に貼り付けられたかまたは固定されたバーコードラベルを外方からバーコードスキャナの読取窓に接近させると、小型ビデオカメラによって読取窓にある読取位置が撮影され、バーコードがディスプレイに写し出される。これにより、キャッシャーは、ディスプレイを見ながらバーコード全体が映し出される読取位置に、バーコードラベルを移動することできると記載されている。
【0005】
これにより読取窓の前の読取位置にあるバーコードラベルの商品情報がレーザ光照射光学系により読取られ、売上登録情報としてデータコード読取装置に入力される。
【特許文献1】特開2000−322505号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のデータコード読取装置は、商品に一体となったバーコードラベルを読取窓の読取位置に一致させるために、キャッシャーがディスプレイを見ながら左右方向、上下方向、前後方向に移動させる必要があるが、この移動方向を瞬間的に定めるのは容易でなかった。
【0007】
すなわち、商品に付されたバーコードラベルを読取窓に接近させ、読取位置の付近に移動する際、レーザ光が下方から斜め上方に位置した読取窓に向って発射されるために、商品に付されたラベルを斜め下方に向ける必要がある。このため、商品の裏側にあってオペレータの視界から見えない状態のラベルを読取位置に近づける必要があり、これが容易ではなかった。
【0008】
また、キャッシャーが商品と一体のラベルを読取位置に少しずつ接近させていく際には、商品とともにラベルを移動させる左右方向および上下方向が、ディスプレイに映写された映像の左右方向ならびに上下方向に一致するとは限らず、経験の浅いキャッシャーであるほどラベルを読取位置に一致させることが容易ではなかった。さらに、反射鏡から読取窓に向って下方から上方に照射されたレーザ光が、キャッシャーの目に入射して障害をもたらす恐れがあった。
【0009】
本発明は、上記事情によりなされたものであって、商品に付されバーコードなどが印刷されたデータコードラベルを読取窓の読取位置に移動させるために、ディスプレイ装置を見ながら即時に移動方向を決定できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、販売商品を載置可能なチェックアウトカウンタと、このチェックアウトカウンタの上部に設けたレーザスキャナ装置と、このレーザスキャナ装置の上部に設けられたディスプレイ装置とを備えたデータコード読取装置において、前記レーザスキャナ装置の内部に設けられ光源から発光したレーザ光を垂直面となった読取窓に向かって上方から下方に照射するスキャナ機構と、前記読取窓の外面に沿って上方から下方に向けて取付けられたビデオカメラと、このビデオカメラによって撮影された映像を前記ディスプレイ装置の画面の一部に表示する領域表示部とを設け、前記読取窓と前記ビデオカメラと前記領域表示部との少なくとも一部が、それぞれ上下方向に一致させて配置したデータコード読取装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、商品に付されたデータコードラベルを、このデータコードの現物とディスプレイ装置に映写されたビデオカメラの映像とを見ながら、容易に読取窓の読取位置に移動させることができるようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明によるデータコード読取装置の実施態様について、図1から図4を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明のデータコード読取装置1を示す斜視図である。このデータコード読取装置1は、下部に複数の収納部2や引出3を備えたチェックアウトカウンタ5を備え、このチェックアウトカウンタ5の上面は全体的に平滑面となっている。また、チェックアウトカウンタ5の上面の中央部後方に位置して、レーザスキャナ装置4のスキャナーボックス6が設けられ、このスキャナーボックス6の両脇には、それぞれ買い物籠7が水平方向に移動自在に載置されている
【0014】
このスキャナーボックス6の上部には、それぞれ液晶画面を有するキャッシャー用のディスプレイ装置10と顧客用のディスプレイ装置11とが取付けられている。キャッシャー用のディスプレイ装置10は、表示画面が仰角約45度で前方に向けられており、また顧客用のディスプレイ装置11は、表示画面がほぼ垂直状態となって後方に向けられている。これらのディスプレイ装置10,11は、それぞれ上下方向に多少角度が変更可能となっている。
【0015】
さらに、キャッシャー用のディスプレイ装置10は、図2に示すように少なくとも第1領域12と第2領域13とに区画され、それぞれ異なった内容の表示が可能となっている。この第2領域13の横方向の中心には、垂直方向に延びた中心線8が印刷されている。なお、この中心線8は、このような印刷によるものではなく、画面に表示する映像の一部により設けることもできる。
【0016】
また、キャッシャー用のディスプレイ装置10に隣接して、テンキー、商品登録キー各種締キーなど多数のキーを有するキーボード15が一体的に設けられている。さらにキーボード15の一側部には、各種のカードと交信してデータを読取りまたは書込むための、カード挿入スリット16が前後方向に向かって設けられている。
【0017】
一方、スキャナーボックス6の前面には、四角形の開口部17設けられ、この開口部17には透明のガラス板を垂直方向に取付けた読取窓18が固定されている。この読取窓18は、第2領域13の真下に位置している。また、スキャナーボックス6の内部には、図3および図4に示すスキャナ機構20が内蔵されている。このスキャナ機構20は、光源19から発光されたレーザ光をモータ21によって回転する回転多面鏡22に照射し、この回転多面鏡22からは少しずつ角度が変えられたレーザ光が固定反射鏡23に向って反射され、また固定反射鏡23から反射したレーザ光は上方から斜め下方に向けて読取窓18を透過し、読取窓18の前方を所定の読取範囲14で照射している。この所定の読取範囲14内に、商品24に貼付されたデータコードラベル25が位置したときに、このデータコードラベル25にバーコードなどで印刷された商品情報が読取られる。
【0018】
また、このスキャナ機構20には、図示をしていないが、レーザ光が照射されたデータコードラベル25からの反射光を受光して反射する集光鏡、この集光鏡から反射した光を方向変換する反射鏡、この反射鏡からの光信号を受光して電気信号に変換する、図4に示した光電変換素子26をスキャナーボックス6の内部に有している。このように構成されたレーザスキャナ装置4はすでに知られたものである。
【0019】
次に、図2および図3によりデータコードラベル25を撮影するビデオカメラ30について説明する。このビデオカメラ30は、読取窓18の外方かつ上部に位置するキャッシャー用のディスプレイ装置10の下部に取付けられている。このビデオカメラ30は読取窓18の上方から下方に向けられ、この読取窓18の前方を通過する商品24に付されたデータコードラベル25およびその周囲が撮影されるように配置されている。
【0020】
次に図4のブロック図により、データコード読取装置1を電気的に制御する制御回路について説明する。
【0021】
マイクロコンピュータ40は、中央制御装置であるCPU41と、プログラムなどの固定的データを格納するROM42と、可変的なデータを書換自在に格納するRAM43とを備え、バスライン44により接続されている。また、バスライン44を介して、他のコンピュータとの間でデータ通信を行うための通信I/F(インタフェイス)47が接続されている。
【0022】
また、このバスライン44には、後述するPOS端末48からの信号によりキーボード15を制御するキーボード制御回路50、キャッシャー用のディスプレイ装置10と顧客用のディスプレイ装置11の表示画面を制御する表示制御回路51、データコードラベル25を中心にその周囲を含めて撮影するビデオカメラ30を制御する画像処理装置52とが接続されている。
【0023】
さらに、バスライン44には、レーザスキャナ装置20に設けたレーザ光源19の発光を制御する発光制御回路53、レーザ光を多角的に反射させる回転多面鏡22を回転するミラー用モータ21の制御を行うモータ制御回路54、データコードラベル25からの反射光を受光した光電変換素子26の情報を電気信号に変更する光電変換制御回路55がそれぞれ接続されている。
【0024】
また、このバスライン44には、販売商品24の売上を決済するためのPOS端末48が接続されている。レーザスキャナ装置4またはキーボード15から入力されてデータ登録された売上は、このPOS端末48により決済される。
【0025】
次に、このデータコード読取装置1の稼動状態において、顧客が購入した商品24の情報を入力して登録し、顧客から代金の支払を受けて決算処理を行う場合について具体的に説明する。
【0026】
図1において、まず顧客またはキャッシャーは、購入した商品24が入った買い物籠7をチェックアウトカウンタ5の上部に設けられたスキャナーボックス6の右側に載置する。キャッシャーは、予めスキャナーボックス6の左側に空の買い物籠7を載置しておく。
【0027】
レーザスキャナ装置4による読取可能な状態におけるビデオカメラ30は、読取窓18の下方に向けられていることにより、チェックアウトカウンタ5の上面を中央部にして、左右にスキャナーボックス6の両脇に置かれた2つの買い物籠7の底部を撮影し、図2に示したように、ディスプレイ装置10の第2領域13に画面表示をしている。
【0028】
この状態において、キャッシャーは右側の買い物籠7から1個の商品24を取り出し、貼付されたデータコードラベル25を見ながら斜め後方の読取窓18に向ける。このときビデオカメラ30は、商品24のデータコードラベル25が貼付された面を撮影して、この映像をキャッシャー用のディスプレイ装置10の操作状態表示エリアである第2領域13に画面表示する。
【0029】
キャッシャーは、この画面表示を見ながらデータコードラベル25が、ディスプレイ装置10に有する第2領域13の中央部である2つの買い物籠7の間に位置するように、読取窓18の前にある商品24を前後左右に移動させることができる。このときに読取窓18、第2領域13を視界に入れつつ現物のデータコードラベル25を見ながら、中心線8に重なるようにしてその位置を調整できる。
【0030】
この場合において、キャッシャーの中央前方にデータコードラベル25、読取窓18、第2領域13が位置するとともに、読取窓18とビデオカメラ30の位置とディスプレイ装置10の第2領域13との位置が上下位置関係にあるために、キャッシャーが商品24を持って視線を縦方向に移動させつつ上下および左右方向へ移動させて、第2領域13の中心線8に対するデータコードラベル25の位置決めを容易に行うことができる。
【0031】
この移動中にもレーザスキャナ装置4のスキャナ機構20は、回転多面鏡22が回転してレーザ光を上方から下方にある読取窓18に向って照射している。このレーザ光によるデータコードラベル25に印刷されたバーコードの読取可能な範囲は、読取窓18の前方であって、そのバーコード全体が縦、横、斜め方向から走査されるレーザ光の照射範囲14となっている。
【0032】
このレーザ光の照射範囲に入ったバーコードの反射光は、図示しない反射鏡、回転多面鏡、集光鏡を経由して光電変換素子26に受光され電気信号に変換されて商品情報となる。この間にバーコードは瞬間的に複数回読取られ、その読取られた数回のデータが一致した場合に、これが正しいデータとしてディスプレイ装置10の第1領域12に商品名および価格が表示される。
【0033】
これらのデータコードラベル25、読取窓18、ディスプレイ装置10の第2領域13、第1領域12が、全てキャッシャーの中央前方の上下方向に位置していることにより、操作状態表示エリアである第2領域13に表示された目視どおりの映像を見ながらデータコードラベル25の位置決めを行うことができるので、キャッシャーは極めて円滑に商品データの読取作業を行うとともに、直ちに第2領域13の上方にある第1領域12に表示された商品情報を見ることにより、正しいデータ入力の完了を確認することができる。
【0034】
そして、キャッシャーが1個の商品24のデータ入力を確認した後は、商品24を読取窓18の前を通過させてから左側の買い物籠7に収容する。その後も同様な作業を繰返すことにより、全ての商品24に貼付されたデータコードラベル25の情報を次々と入力していくことができる。
【0035】
最終的に全ての販売商品24の入力が完了した場合には、キーボード15の終了キーを操作して登録作業を終了し、POS端末48に設けられた締めキーを押すことによって売上合計金額を算出し、顧客から現金、電子マネー、商品券などにより売上金を受領して、決算作業を完了させる。
【実施例2】
【0036】
上記実施例においては、読取窓の上部にあるディスプレイ装置にビデオカメラを取付けたが、このビデオカメラに代わって映像中間体となる反射鏡またはプリズムをこの位置に取り付け、この反射鏡またはプリズムにより反射または屈折された映像を、別の位置に取り付けたビデオカメラにより撮影し、ディスプレイ装置の第2領域に表示することもできる。これらの映像中間体とビデオカメラとにより、上記実施例と同様に、表示領域に表示されたデータコードラベルを見ながら、現物のデータコードラベルを同一の感覚で移動させて容易に読取範囲に移動させることができる。
【0037】
また、ビデオカメラの映像を参照しながらラベルの読み取りを行う必要の無いベテランキャッシャーのために、ビデオカメラの映像を表示させないスイッチを設けて、このスイッチを切ることにより映像に頼らずにデータコード読取装置による入力を行うことができる。
【0038】
さらに、商品に付されたデータコードラベルは、バーコードラベルに限らず、2次元コードなどが付されたラベルによるデータコード読取装置にも起用することができる。
【0039】
以上説明したように、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲でいろいろな型式のデータコード読取装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるデータコード読取装置の斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示すデータコード読取装置の一部分を表す正面図である。
【図3】図1に示すデータコード読取装置の側面を表す一部断面図である。
【図4】図1に示すデータコード読取装置における電気的接続を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 データコード読取装置
4 レーザスキャナ装置
5 チェックアウトカウンタ
10 ディスプレイ装置
12 第1領域(領域表示部)
13 第2領域(領域表示部)
18 読取窓
20 スキャナ機構
24 商品
25 データコードラベル
30 ビデオカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売商品を載置可能なチェックアウトカウンタと、このチェックアウトカウンタの上部に設けたレーザスキャナ装置と、このレーザスキャナ装置の上部に設けられたディスプレイ装置とを備えたデータコード読取装置において、
前記レーザスキャナ装置の内部に設けられ光源から発光したレーザ光を垂直面となった読取窓に向かって上方から下方に照射するスキャナ機構と、前記読取窓の外面に沿って上方から下方に向けて取付けられたビデオカメラと、このビデオカメラによって撮影された映像を前記ディスプレイ装置の画面の一部に表示する領域表示部とを設け、前記読取窓と前記ビデオカメラと前記領域表示部との少なくとも一部が、それぞれ上下方向に一致させて配置したことを特徴とするデータコード読取装置。
【請求項2】
販売商品を載置可能なチェックアウトカウンタと、このチェックアウトカウンタの上部に設けたレーザスキャナ装置と、このレーザスキャナ装置の上部に設けられたディスプレイ装置とを備えたデータコード読取装置において、
前記レーザスキャナ装置の内部に設けられ光源から発光したレーザ光を垂直面となった読取窓に向かって上方から下方に照射させるスキャナ機構と、前記読取窓からレーザ光が照射されたデータコードラベルの映像を屈曲または反射させる映像中間体と、この映像中間体を経由した映像を撮影するビデオカメラと、このビデオカメラによって撮影された映像を前記ディスプレイ装置の画面の一部に表示する領域表示部とを設け、これらの前記読取窓と前記映像中間体と前記領域表示部との少なくとも一部が、それぞれ上下方向に一致させて配置したことを特徴とするデータコード読取装置。
【請求項3】
前記映像中間体は、データコードラベルの映像を反射または屈折させる反射鏡あるいはプリズムであることを特徴とする請求項2記載のデータコード読取装置。
【請求項4】
前記チェックアウトカウンタは、前記読取窓の両脇の少なくとも一方の脇に買い物籠を載置可能とし、前記映像表示部に少なくとも前記買い物籠の一部の映像が表示されるように、前記ビデオカメラを取付けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のデータコード読取装置。
【請求項5】
前記ディスプレイ装置は、前記領域表示部の上部に商品情報領域表示部を設け、この商品情報領域表示部に少なくとも商品名および商品価格を表示したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のデータコード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−93424(P2009−93424A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263509(P2007−263509)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】