説明

データ処理システム

【課題】 データ送信装置とデータ処理装置がデータ保護能力を確認して最適なデータ処理をおこなうことができるデータ処理システムを提供する。
【解決手段】 データ送信装置1の制御部16は、データ処理装置2に対して備えている保護機能について問い合わせを行う。これに対して、データ処理装置2は自身のデータ保護機能の情報をデータ送信装置1に送る。データ送信装置1は、この保護機能情報が、データ印刷に必要とされる保護機能を満たしているかを判定し、それを満たしている場合は、メモリ34に格納されているデータに保護設定をしてデータ転送を許可する。データ処理装置2は受信したデータに対して、保護処理を行いながら、プリント部38にて印刷処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等のデータ送信装置からデジタル複合機等のデータ処理装置に暗号化等の保護処理を行ったデータを送信して処理するデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の発達により、パソコンから携帯電話に画像データ等を送信したり、インターネットを介してデータを取り込んだりして、そのデータを携帯電話のメモリに保存することが可能となっている。もちろん、このようにデータを保存できる携帯可能な装置は、携帯電話に限らず、PDAやノートパソコンでも可能である。こうして、仕事に必要なデータを取り込み、出先でプリントアウトすることも可能となっている。
【0003】
特許文献1には、携帯電話からデジタル複写機等の画像形成装置にデータを送信し、そのデータを用紙に印刷したり、FAXしたりする技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−65864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、データには機密レベルの高いものもあり、安易に出先の画像形成装置でデータを印刷することができない。画像形成装置側にデータ保護機能が全くない場合には、データがそこから流出してしまう虞があるからである。また、画像形成装置にデータ保護機能があってもデータの機密レベルに応じたレベルであるか利用者が一々確認しなければならず、使い勝手が悪かった。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、データ送信装置がデータ処理装置のデータ保護能力を確認して最適なデータ処理をおこなうことができるデータ処理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、データを送信するデータ送信装置と、該データ送信装置から送信されるデータを受信して処理するデータ処理装置からなるデータ処理システムにおいて、前記データ送信装置は、データ処理装置におけるデータ保護機能の能力を確認する手段と、該確認手段により確認されたデータ保護機能の能力に応じて、データの保護処理を設定し、データのデータ処理装置への送信を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】
こうして、データ送信装置は、データ処理装置のデータ保護機能の能力に応じて、データの保護処理を設定し送信したり、データ保護機能の能力によっては送信を制限あるいは停止したりすることができる。
【0008】
また、本発明は、データを送信するデータ送信装置と、該データ送信装置から送信されるデータを受信して処理するデータ処理装置からなるデータ処理システムにおいて、前記データ送信装置は、データ処理装置におけるデータ保護機能の能力を確認する手段と、データ送信装置としてのデータ保護機能の能力と、前記確認手段により確認されたデータ処理装置におけるデータ保護機能の能力に基づいて、データの保護処理を設定し、データのデータ処理装置への送信を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
こうして、データ送信装置としてのデータ保護機能の能力と、前記確認手段により確認されたデータ処理装置におけるデータ保護機能の能力に基づいて、データの保護処理を設定するので、両方の保護機能の中で一番能力の高い保護を設定することもでき、最適な保護を設定できる。さらに送信も制御しているので、不十分な保護状態のデータが送信することも防ぐことができる。
【0010】
ここで、前記制御手段は、データの予め規定された機密レベルに対応するデータの保護処理を設定し、データのデータ処理装置への送信を制御してもよいし、設定したデータの保護処理を利用者に報知してもよいし、前記データ処理装置がデータの保護処理に対応できない場合は、データの送信を制限してもよいし、データの送信が制限されたことを利用者に報知してもよい。さらに、データの送信が制限された状態を解除する手段を備えてもよいし、データの送信が制限された状態を解除したことを履歴管理する手段を備えてもよい。
【0011】
こうして、データに予め機密レベルを設定しておき、それに合わせて保護機能を設定するので、所望のデータ保護が得られるし、それに見合う保護が得られなければ、送信停止を含む送信制限を行うことができるので、必要な保護データしか送信されないことになる。さらにそれを利用者に報知すれば、利用者がその状態を確認し、場合によってはそれを解除することも可能となれば、必要に応じてデータ処理を行うことも可能となる。送信制限解除の履歴を管理しておけば、どのデータを何時解除したかが分かり、データの保護処理管理を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、データ送信装置は、データ処理装置のデータ保護機能の能力に応じて、データの保護処理を設定し送信したり、データ保護機能の能力によっては送信を制限あるいは停止したりすることができ、利用者がデータ処理装置の保護機能を細かく調査しなくともデータを十分に保護できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るデータ処理システムを示す概略図であり、図2はこのデータ処理システムの一例を示すブロック図である。
図1に示すように、このデータ処理システムは、携帯電話であるデータ送信装置1と、このデータを受信して用紙に印刷を行うデジタル複合機であるデータ処理装置2とから構成される。データ送信装置1とデータ処理装置2は、無線(Bluetooth)等により情報の送受信が可能となっているが、これに限るものではなく、赤外線による光通信(IrDA規格)や有線での接続で送受信してもよいし、接合端子を設けてデータ送信装置1をデータ処理装置2に接合するものでもよい。
【0015】
データ送信装置1は、表示部11、テンキー等からなる操作部12、外部携帯電話機と通話等を行うための通信部13、データを管理保管するメモリからなる管理部(記憶部)14、データ処理装置2とBluetoothによるデータ伝送を行うためのI/F部15、各部を制御する制御部16とから構成される。
【0016】
データ処理装置2は、情報処理部21と画像形成部22とからなっている。情報処理部21は、テンキー等からなる操作部31、表示部32、操作部31から入力されたパスワードと入力データのパスワードを比較して認証する認証部33、入力されたデータを一旦記録するメモリ34、データ送信装置1とBluetoothによるデータ伝送を行うI/F部35とを備える。
【0017】
画像形成部22は、画像を読み取るスキャナ部37、データを用紙に印刷するプリント部38、データを記録管理する記憶部(管理部)39、外部装置をネットワーク20を介して接続しているネットワーク通信部40を備えている。
【0018】
スキャナ部37は、透明ガラスからなる原稿載置台に自動原稿送り装置(ADF)により原稿を搬送すると、原稿の画像をスキャナユニットにより読み取る。読み取った画像データは一旦記憶部39に格納される。
また、印刷データは上記スキャナ部37から読み取るだけでなく、ネットワーク20を介して外部のパソコン等から送信され、ネットワーク通信部40を介して記憶部39に格納される。
【0019】
プリント部38は、記憶部39から読み出した印刷データである画像を、レーザ書込ユニットにより感光体に書き込み、それを現像して用紙に転写し画像を形成する。用紙は、搬送系により、給紙トレイ44から給紙されて、画像形成する電子写真プロセス部分に搬送されて画像形成された後、排紙トレイ43に排出される。
【0020】
次に、このデータ処理システムの動作概略を説明する。
本実施形態は、図1に示すように、データを携帯電話等のデータ送信装置1に記録しておき、必要に応じて出先のコンビニエンスストア等のデジタル複写機等のデータ処理装置2を使用してデータを印刷する場合を想定している。この場合、データによっては機密を要するものが存在し、その機密レベル応じた保護機能を有しているデータ処理装置2を使用しなければならない。
【0021】
そこで、データ送信装置1は、データ処理装置2に対して備えている保護機能について問い合わせを行う。これに対して、データ処理装置2は自身のデータ保護機能の情報をデータ送信装置1に送る。データ送信装置1は、この保護機能情報が、データ印刷に必要とされる保護機能を満たしているかを判定し、それを満たしている場合は、データ保護の設定を行い、データ転送を許可する。データ処理装置2は、この保護設定に基づいて、印刷処理を行う。こうして、利用者は、データ処理装置2がデータの機密レベルに合う保護機能を有しているかを細かく調査する必要もなく、簡単にデータ処理装置2の保護機能を確認して印刷することができる。
【0022】
また、データ処理装置2は、ネットワークを介してパソコンにも接続されており、パソコンのデータをデータ処理装置2を用いて印刷も可能となっている。
【0023】
図3、図4及び図5は、このデータ処理システムにおけるデータ処理手順を示すフローチャートである。
まず、データ送信装置1は、あらかじめ管理部14に印刷データを格納している。このデータは、通信部13を介して外部からデータを取り込んでもよいし、パソコン等から直接データを取り込んだものでもよい。利用者がデータの印刷処理を操作部12から指示した場合、データ送信装置1の制御部32は、管理部14に記憶されている詳しくは後述するデータの機密レベルの情報を抽出する。この機密レベル情報は、データのヘッダ部に書き込まれているものとする。
【0024】
制御部16は、まず自身のデータ保護機能を調査し、データ保護機能を有しているかを判定する(ステップS1)。保護機能を有していれば、制御部16は、I/F部15を介してデータ処理装置2に対してデータ保護機能の能力を問い合わせる(ステップS2)。データ処理装置2の制御部36は、I/F部35を介して問い合わせ情報を取り込み、メモリ34に格納されている保護機能能力情報を読み出して、I/F部35を介してデータ送信装置1に返信する(ステップS3)。
【0025】
データ送信装置1の制御部16は、I/F部15を介してデータ処理装置2の保護機能能力情報を得て、管理部14に格納する。そして、その保護機能能力情報に基づいて、情報データ処理装置2が保護機能を有しているかを判定する(ステップS4)。保護機能を有していれば、データ送信装置1の制御部16は、管理部14に記憶されているデータの機密レベルが、データ送信装置1とデータ処理装置2の保護機能能力情報に基づいて、対応できるレベルなのかを判定する(ステップS5)。機密レベルは、例えば高/中/低や高/低などのレベル設定が行われ、各レベルに応じて必要とされる保護機能が設定されている。この保護機能とは、例えば、暗号化の有無、暗号化のレベル、データ処理装置2の処理後のデータ消去等である。
【0026】
対応できるレベルであれば、制御部16は保護機能を確定し(ステップS6)、管理部14に記憶されている印刷データに保護設定処理を施して、I/F部15を介してデータ処理装置2に印刷データを送信させる(ステップS7)。このデータ保護設定処理とは、例えば、パスワードを設定して暗号化処理を施し、かつデータ処理装置2に処理後のデータ消去を要求するものであり、この情報はデータのヘッダ部分に記録される。制御部16は、このような保護に関する処理を行うと同時に、利用者に対し表示部11に保護機能の処理内容について報知する(ステップS8)。データ処理装置2はI/F部35を介して印刷データを受け取り、一旦メモリ34に格納する。制御部36は、ヘッダ部から保護設定処理情報を抽出し、それに従って処理を進める(ステップS9)。
【0027】
制御部36は、メモリ34から印刷データを読み出し、暗号の解凍を行う。すなわち、表示部32にパスワード要求を表示させ、利用者がパスワードを操作部31から入力すると、認証部33に認証させ、データのパスワードと一致すれば、暗号を解凍する。そしてそのデータを記憶部39に転送し、制御部41はプリント部38により印刷処理を行う。そして、制御部36,41はメモリ34と記憶部39に残っている印刷データをすべて消去する。
【0028】
こうして、データ送信装置1がデータ処理装置2のデータ保護機能能力を確認し、自分の保護機能能力とデータの機密レベルを考慮してデータの保護設定を行うので、出先においても、利用者が簡単にデータ保護機能を利用した処理が可能となる。
【0029】
ステップS1において、データ送信装置1が保護機能を有していない場合、或いはステップ4において、データ処理装置2が保護機能を有していない場合、図4のステップS11に進む。データ送信装置1の制御部16は、管理部14に記憶されているデータの機密レベルが、データ送信装置1とデータ処理装置2により対応できるレベルなのかを判定する。
【0030】
機密レベルが高く対応できない場合、制御部16はデータ処理装置2へのデータ送信は行わない(ステップS12)。そしてデータ送信を停止したことを表示部11を通じて報知する(ステップS13)。この時点で、利用者が保護機能がなくてもよいと判断した場合、操作部12により利用者が送信停止の解除指示を行い、制御部16が解除処理を行う(ステップS14)。
【0031】
送信停止の解除処理を行った場合、データ送信装置1からデータ処理装置2に保護処理を行うことなく、データを送信する(ステップS15)。そして、利用者には保護処理を行うことなくデータ送信を行ったことを表示部11に表示して報知し(ステップS16)、保護処理を行うことなくデータ送信を行ったことを管理部14に履歴として残す(ステップS17)。データ処理装置2においては、保護処理を行うことなく、印刷データを印刷する(ステップS18)。
【0032】
こうして、データ送信装置1は、データ保護機能が不十分と判断した場合は、送信を制限するので、データの保護が不十分なまま処理を行うことを防ぐことができる。また、利用者の判断で、送信制限を解除できるので、例えば、印刷する出先の場所が守秘義務がある関連会社のようにデータの保護機能が不要になった場合にも柔軟に対応することができる。さらに、送信制限を解除した場合の履歴も残すので、後になって確認もできデータ管理の向上を図ることができる。
【0033】
ステップS5及びステップS14において、送信停止の解除を行わない場合は、そのまま処理を終了する。またステップS11において、データの機密レベルが高くない場合は、ステップ21に進む。
【0034】
データ送信装置1からデータ処理装置2に保護処理を行うことなく、データを送信する(ステップS21)。そして、利用者には保護処理を行うことなくデータ送信を行ったことを表示部11に表示して報知する(ステップS22)。データ処理装置2においては、保護処理を行うことなく、印刷データを印刷する(ステップS23)。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るデータ処理システムを示す概略図である。
【図2】データ処理システムの一例を示すブロック図である。
【図3】データ処理システムにおけるデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に続くデータ処理システムにおけるデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図3及び図4に続くデータ処理システムにおけるデータ処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 データ送信装置
2 データ処理装置
11 表示部
12 操作部
13 通信部
14 管理部
16 制御部
20 ネットワーク
21 情報処理部
22 画像形成部
31 操作部
32 制御部
32 表示部
33 認証部
34 メモリ
36,41 制御部
37 スキャナ部
38 プリント部
39 記憶部
40 ネットワーク通信部
42 原稿排紙トレイ
43 排紙トレイ
44 カセット給紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信するデータ送信装置と、該データ送信装置から送信されるデータを受信して処理するデータ処理装置からなるデータ処理システムにおいて、
前記データ送信装置は、データ処理装置におけるデータ保護機能の能力を確認する手段と、該確認手段により確認されたデータ保護機能の能力に応じて、データの保護処理を設定し、データのデータ処理装置への送信を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
データを送信するデータ送信装置と、該データ送信装置から送信されるデータを受信して処理するデータ処理装置からなるデータ処理システムにおいて、
前記データ送信装置は、
データ処理装置におけるデータ保護機能の能力を確認する手段と、
データ送信装置としてのデータ保護機能の能力と、前記確認手段により確認されたデータ処理装置におけるデータ保護機能の能力に基づいて、データの保護処理を設定し、データのデータ処理装置への送信を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、データの予め規定された機密レベルに対応するデータの保護処理を設定し、データのデータ処理装置への送信を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、設定したデータの保護処理を利用者に報知することを特徴とする請求項4に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記データ処理装置がデータの保護処理に対応できない場合は、データの送信を制限することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、データの送信が制限されたことを利用者に報知することを特徴とする請求項5に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
さらに、データの送信が制限された状態を解除する手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
さらに、データの送信が制限された状態を解除したことを履歴管理する手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載のデータ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−185145(P2006−185145A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377674(P2004−377674)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】