説明

データ通信システムとそれに使用する携帯電話機

【課題】 通話中に、メモリダイアルに登録されている第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、通話中の相手に確実に情報を伝達できる携帯電話機を提供する。
【解決手段】 問い合わせを受けた側の携帯電話機10では、通話中に、表示部1とスクロールボタン6を用いてメモリダイアルの検索を行い、目的の電話番号7の電話番号と名前を表示させて決定ボタン3を押下することにより、通話相手の携帯電話機9に対して、表示されている電話番号と名前を含むメール8を自動的に送信し、問い合わせ側の携帯電話機9では、通話中に、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより、直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通話中に第三者の電話番号を通話相手に通知する機能を備えたデータ通信システムとそれに使用する携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】通話中、通話相手に第三者の電話番号を問われることがある。最近、電話張を持ち合わせている人は少なく、携帯電話のメモリダイアルに登録してある場合が多い。したがって、メモリダイアルに登録されている電話番号を調べるため、通話中であってもメモリダイアル検索を行い、検索結果を見て口頭で伝えることになる。このメモリダイアルは、使用頻度の高い電話番号をあらかじめメモリに記憶させておき、キー操作によってメモリから電話番号を読出し、ディスプレイに表示させることにより、所望の番号を検索するものである。
【0003】しかしながら、通話中に、メモリダイアルによって電話番号を読出し、その読出した電話番号を通話相手に通知する場合には、図5に示すように、通知者は、携帯電話機の表示画面50を読みやすい位置に移動させ、表示された電話番号を覚えたのち、送話できる位置に携帯電話機を戻し、口頭伝達51することが必要となる。
【0004】通話相手側は、この音声による通知を携帯電話機の受話器52から聞いて電話番号を知ることになる。したがって、通知する側での表示画面50の読み間違い、覚え間違いによる口頭伝達51の伝達誤り、受話器52からの聞き取り誤り等が発生しやすく、情報が正しく伝達されない可能性が高い。また、通知者側の操作についても不便な面が多い。
【0005】例えば、特開平11−41333号公報(先行例1)には、メモリダイアルに記憶された電話番号などの情報を正確に送信することができる携帯電話機が開示されている。先行例1では、携帯電話機の使用者が、通話中において、メモリダイアルを使用するためのキー操作を行うと、制御回路は、メモリダイアル記憶部からメモリダイアル情報、例えば「052−263−××××」を読出し、そのメモリダイアル情報をディスプレイに表示させる。
【0006】次いで、使用者が、その読出されたメモリダイアル情報を通話相手に通知するためのキー操作を行うと、制御回路は、音声データ格納部からメモリダイアル情報の各数字情報の要素に対応した音声データ、例えば「ゼロ」、「ゴ」、「ニ」、「ノ」、「ニ」、「ロク」、「サン」、…、を読出す。読出された音声データは、データ変換部で通信データに変換され、送受信部から基地局に送信される。これによって、メモリダイアル情報が音声データとして送信されるものである。これにより、少なくとも、第三者の電話番号を通話相手に送信する際の誤りを防止することが可能となる。
【0007】また、特開2001−111673号公報(先行例2)には、通話中に電話番号等のデータを送受するために、データ送受信モードを介在させるようにした携帯電話機が開示されており、これによれば、電話番号を受信する側で、受信した電話番号を携帯電話機内にデータとして取得できるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行例1のような従来の方式では、通知したい電話番号を一旦音声に変換して送信する必要があり、このための音声変換処理を必要とし、また、この場合においても、受信者には、音声により番号を通知されるという点では、従来の聞き取りミスの問題は解消されない。
【0009】また、先行例2のような方法では、通常の音声通話中に、音声通話をデータ送受信モードに切り替えてデータ伝送を実行するような特殊なプロトコルを用いる必要があるため、携帯電話機の制御が複雑となるという問題がある。
【0010】本発明の目的は、上記のような問題を解消し、メモリダイアルに登録されている第三者の電話番号を通話中に問い合わせされた場合に、通話中の相手に確実に伝達できるデータ通信システムとそれに使用する携帯電話機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明によるデータ通信システムにおいては、携帯電話機間で通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、問い合わせを受けた側では、電話番号と名前を表示部に表示させて決定ボタンを押下することにより、自動的に、通話相手に対して、表示されている電話番号と名前を含むメールを送信し、送信されたメールに対応して、問い合わせ側に対して、通話中にメール着信通知が行われ、問い合わせ側では、通話中に、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させるものである。
【0012】また、本発明による携帯電話機においては、通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、問い合わせを受けた側では、通話中に、メモリダイアルの検索を行い、電話番号と名前を表示させて決定ボタンを押下することにより、通話相手に対して、表示されている電話番号と名前を自動的にメール送信し、問い合わせ側では、通話中に、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させるものである。
【0013】また、通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、問い合わせを受けた側では、通話中に、メモリダイアルの検索を行い、電話番号と名前を表示させて決定ボタンを押下することにより、自動的に終話処理を行い、通話相手に対して、表示されている電話番号と名前をメール送信したのち、通話の再接続処理を行い、問い合わせ側では、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させるものである。
【0014】また、問い合わせ側の表示画面に表示された前記電話番号と名前は、通話中においても、メモリダイアル登録操作を行うことにより直ちにメモリダイアルに登録できるものである。
【0015】また、問い合わせ側の表示画面に表示された前記電話番号を着信先として、終話後、通話ボタンを押下することにより直ちに発呼できるものである。
【0016】また、前記メモリダイアルの検索に代えて、キー入力部から前記電話番号と名前を直接入力するものである。
【0017】本発明によるデータ通信システムおよびそれに使用する携帯電話機は、携帯電話機間で通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、問い合わせを受けた側の携帯電話機では、目的とする電話番号と名前を検索し表示部に表示させて、決定ボタンを押下することにより、自動的に、通話相手に対して、表示されている電話番号と名前を含むメールを送信し、送信されたメールに対応して、相手側にメール着信通知が行われる。
【0018】問い合わせ側では、通話中においても、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させるものであり、問い合わせされた電話番号は、従来のような表示画面の目視による読み上げによることなく、伝達もメールの送受信で行われるため、問い合わせを依頼した側においても、音声で聞き取る必要がなく、受信した電話番号をそのまま用いて、発呼することが可能となる。
【0019】またメモリダイアルに直ちに登録することができる。したがって、電話番号情報の伝達の過程でミス等が発生することを完全に防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図により説明する。
【0021】(実施例の構成)図2は、本発明の実施の形態に係る携帯電話機のブロック構成図である。本発明による携帯電話機は、電波の送受信を行う無線部21とアンテナ20、メモリダイアル検索結果の表示を行う表示部22、キー入力を行うキー入力部24と、メモリダイアルを記憶するメモリ部25、および、通話の制御やメール送信の制御やメモリ検索やキー入力等の携帯電話機の動作全体を制御する制御部23から構成される。
【0022】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態について、図1および図3を参照して説明する。図1は、本発明によるデータ通信システムと携帯電話機の操作インタフェースの構成図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る動作フロー図である。
【0023】図1において、自分の携帯電話機10は相手の携帯電話機9と通話中の状態にあるものとする。携帯電話機と使用者とのインタフェースは、自分の携帯電話機10について代表的に示しているように、メモリダイアルに記憶された電話番号等を表示する表示部1、通話ボタン2、候補を決定するための決定ボタン3、音声通話のためのマイク4、レシーバ5、候補を逐次表示するためのスクロールボタン6、その他、終話ボタン、テンキー等から構成される。
【0024】本発明によるデータ通信システムと携帯電話機においては、自分の携帯電話機10が相手の携帯電話機9と通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受け、その電話番号が自分の携帯電話機10のメモリダイアルに登録してある場合、通話中であってもメモリダイアル検索を行うことが可能なように構成される。
【0025】さらに、本発明によるデータ通信システムと携帯電話機は、メモリダイアルに登録されている電話番号を検索した結果、目的とする電話番号7が見付かった場合には、目的の電話番号7を表示させ選択状態にして決定ボタンを押下することにより、通話相手である相手の携帯電話機9に対して、表示されている目的の電話番号7の「名前」と「電話番号」を含むメール送信8を自動的に実行する。送信されたこのメールに対応して、問い合わせ側に対して、通話中にメール着信通知が行われる。
【0026】相手の携帯電話機9では、メール着信通知に応答してメール受信を行うことにより、通話中に目的の電話番号7の「名前」と「電話番号」を取得し、表示画面に表示させることができる。
【0027】この表示情報は、相手の携帯電話機9でのメモリダイアルへの登録操作によってそのままメモリダイアルに記憶することが可能であり、また、表示状態のまま現在の通話状態を終話させたのち、直ちにこの電話番号に発呼することもできる。
【0028】第1の実施の形態について、動作の詳細を図3により説明する。図3のステップ31において、自分の携帯電話機10が相手の携帯電話機9と通話中状態にある。この状態で、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせがあると、一旦マイク4とレシーバ5から口耳を離し、メモリダイアル検索に移る(ステップ31)。自分の携帯電話機10のメモリダイアル検索を開始するため、メモリ検索ボタン(図示されない)を押下する(ステップ32)。
【0029】メモリ検索ボタンが押下されたことにより、メモリダイアルに記憶されている電話帳が表示部1に表示される(ステップ33)。つぎに、スクロールボタン6を押下する(ステップ34)ことにより、メモリダイアルに登録されている名前と電話番号がスクロール表示される(ステップ35)。
【0030】目的の電話番号7が見付かった時点で、決定ボタン3を押下し、相手に通知すべき電話番号を決定する(ステップ36)。この決定ボタン3の押下により、表示内容が確定したとみなされ、メール送信動作が開始される(ステップ37)。
【0031】確定された電話番号の「名前」と「電話番号」はメールにて通話相手に自動的に送信される。この間、自分の携帯電話機10と相手の携帯電話機9との通話中状態は継続しており、メール送信後は再びステップ31の通話状態に戻る。
【0032】相手の携帯電話機9により通話相手は、メール着信通知に応答してこのメールを受信し開封して、問い合わせた電話番号を取得し確認する。受信した電話番号が所望の電話番号であることが確認された場合には、操作メニューからメモリダイアルへの登録を選択し、メモリダイアルに登録することができる。
【0033】また、さらに他の電話番号を問い合わせたいときには、ステップ31の状態から以上の動作ステップを繰り返すことにより処理を継続すればよい。
【0034】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態について、図1および図4を参照して説明する。図4は、第2の実施の形態を示す動作フローである。
【0035】図4において、動作ステップ41は、第1の実施の形態と同様にして、自分の携帯電話機10が相手の携帯電話機9と通話中状態にある。この状態で、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせがあると、自分の携帯電話機10のメモリダイアル検索を開始するため、メモリ検索ボタン(図示されない)を押下し(ステップ42)、メモリダイアルに記憶されている電話帳を表示部1に表示させる(ステップ43)。
【0036】つぎに、スクロールボタン6を操作して(ステップ44)、メモリダイアルに登録されている名前と電話番号をスクロール表示させる(ステップ45)。目的の電話番号7が見付かった時点で、決定ボタン3を押下し、相手に通知すべき電話番号を決定する(ステップ46)。
【0037】この決定ボタン3の押下により、表示内容が確定したと判断し、自動的に終話動作を実行する(ステップ47)。相手の携帯電話機9との通話を終了させた後に、確定された電話番号の「名前」と「電話番号」をメールにて通話相手に自動的に送信する(ステップ48)。
【0038】相手の携帯電話機9により通話相手は、メール着信通知に応答してこのメールを受信し開封して、問い合わせた電話番号を取得し確認する。受信した電話番号が所望の電話番号であることが確認された場合には、メモリダイアルに登録することができる。
【0039】自分の携帯電話機10は、ステップ48のメール送信が完了すると、相手の携帯電話機9との再接続処理を実行し(ステップ49)、接続が完了すると、通話が再開させる(ステップ50)。
【0040】以上のように、電話番号を通知するためのメール送受信の前後で、通話終了処理および再接続処理を自動的に実行することにより、使用者の操作の負担なしに、不必要な通話期間を短縮するすることができる。
【0041】また、終話後、問い合わせ側の表示画面に表示されている電話番号を着信先として、通話ボタンを押下することにより直ちに発呼することができる。
【0042】第1および第2の実施の形態においては、所望の電話番号をメモリダイアルに登録されたデータから検索して表示させたが、メモリダイアルに登録されていない電話番号を通信相手に通知したい場合には、キー入力部から通知したい電話番号と名前を直接入力し表示させたのち、決定ボタン3を押下することにより、通話相手に電話番号と名前を通知することも可能である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、携帯電話機で通話中に通話相手から第三者の電話番号の問い合わせがあった場合に、自分の携帯電話機内に記録されたメモリダイアルから電話番号を検索し、検索結果をメールにて相手に伝達することが可能となるため、送話者側の電話番号の読み取りや口頭伝達による伝達ミスが回避でき、また、情報を受け取る側でも、メールにて電話番号を受信できるため、口頭伝達の場合のような電話番号の聞き取りミスを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるデータ通信システムおよび携帯電話機の操作インタフェースの構成図である。
【図2】本発明による携帯電話機のブロック構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る動作フロー図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る動作フロー図である。
【図5】従来例の構成図である。
【符号の説明】
1 表示部
2 通話ボタン
3 決定ボタン
4 マイク
5 レシーバ
6 スクロールボタン
7 目的の電話番号
8 メール送信
9 相手の携帯電話機
10 自分の携帯電話機
21 無線部
22 表示部
23 制御部
24 キー入力部
25 メモリ部
31〜37 第1の実施の形態に係る動作ステップ
41〜50 第2の実施の形態に係る動作ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 携帯電話機間で通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、問い合わせを受けた側では、電話番号と名前を表示部に表示させて決定ボタンを押下することにより、自動的に、通話相手に対して、表示されている電話番号と名前を含むメールを送信し、送信されたメールに対応して、問い合わせ側に対して、通話中にメール着信通知が行われ、問い合わせ側では、通話中に、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させることを特徴とするデータ通信システム。
【請求項2】 通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、問い合わせを受けた側では、通話中に、メモリダイアルの検索を行い、電話番号と名前を表示させて決定ボタンを押下することにより、通話相手に対して、表示されている電話番号と名前を自動的にメール送信し、問い合わせ側では、通話中に、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】 通話中に、通話相手から第三者の電話番号の問い合わせを受けた場合に、問い合わせを受けた側では、通話中に、メモリダイアルの検索を行い、電話番号と名前を表示させて決定ボタンを押下することにより、自動的に終話処理を行い、通話相手に対して、表示されている電話番号と名前をメール送信したのち、通話の再接続処理を行い、問い合わせ側では、メール着信通知に応答してメール受信操作を行うことにより直ちにメールの受信を行い、受信した電話番号と名前を表示画面に表示させることを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】 問い合わせ側の表示画面に表示された前記電話番号と名前は、通話中においても、メモリダイアル登録操作を行うことにより直ちにメモリダイアルに登録できることを特徴とする請求項2または3に記載の携帯電話機。
【請求項5】 問い合わせ側の表示画面に表示された前記電話番号を着信先として、終話後、通話ボタンを押下することにより直ちに発呼できることを特徴とする請求項2または3に記載の携帯電話機。
【請求項6】 前記メモリダイアルの検索に代えて、キー入力部から前記電話番号と名前を直接入力することを特徴とする請求項2または3に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2003−188974(P2003−188974A)
【公開日】平成15年7月4日(2003.7.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−387421(P2001−387421)
【出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】