説明

トナー用低温定着性、耐ブロッキング性改善剤

【課題】
トナーの定着温度を低下させ、かつブロッキングを防止する効果に優れた低温定着性、耐ブロッキング性改善剤を提供する。さらに、低温定着性、耐ブロッキング性改善剤を含有するバインダー樹脂及びバインダー樹脂を含有し、低温定着性、耐ブロッキング性に優れたトナーを提供する。
【解決手段】
構成脂肪酸が、炭素数16〜22の飽和脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの融点が50〜80℃であり、かつ100℃での溶融粘度が5〜50mPa・sであることを特徴とするトナー用低温定着性、耐ブロッキング性改善剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真などにおいて、静電荷像の現像に使用するトナーの低温定着性及び耐ブロッキング性を改善する効果を持つポリグリセリン脂肪酸エステル及びこのポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するバインダー樹脂及びトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による普通紙のコピー機、レーザープリンターなどの現像剤として、トナーが用いられている。トナーの製造方法には、機械的粉砕法、重合法、噴霧乾燥法などがあり、それぞれ特徴を持っている。しかし、安全性、品質の安定性、生産効率の面で、現在、ほとんどのトナーは機械的粉砕法で生産されている。機械的粉砕法とは、バインダー樹脂中に結着樹脂や着色剤などの各成分を溶融混練させ、粉砕、分級してトナーを製造する方法であるが、粉砕法で製造されたトナーは、最終的に機械的な力で微粒子化されるため、トナー粒子の粒径が不均一となる。粒径が不均一であると、トナーの流動性や摩擦帯電性が悪化するため、良好な繊細画像は得られにくい欠点を持つ。一方、重合法は粒子の均一性を向上できる方法であり、均一な球形のトナーが得られるため、従来の粉砕法トナーよりも高性能の機能を有するトナーを製造できる。重合法とは、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、離型剤などを含有する単量体混合物を重合することによりトナーを得る方法である。
【0003】
ところで、最近、パソコンの普及と共に、レーザープリンター、デジタル複合機用のトナーとして、省エネルギーに寄与できること、印字及び複写の高速化に対応できること、フルカラー化に対応できることなどトナーに要求される項目が高度なものになってきている。コピー機やプリンターで最もエネルギーを消費する部分はトナーの紙への定着工程であるが、省エネルギーのためには定着工程の定着ロール温度を低くすることが必要である。また、定着工程で紙に与えられる熱量には自ずと限界があるため、各種マシンを高速化するためには紙面温度を低下させる必要があり、この点からも低温定着化が求められる。一方、トナーの紙への定着温度を下げるには、バインダー樹脂のガラス転移温度を低下することで可能となるが、ガラス転移温度を下げることで、マシン内などでトナーが固まってしまうブロッキング問題が起こる。
【0004】
この低温定着性の付与と、ブロッキング防止を解決する方法がこれまでに種々、検討されてきた。例えば、特許文献1には、バインダー樹脂に天然ワックスを分散させる方法が提案されている。しかし、ワックスの分散状態は樹脂との混練条件により、ある程度、調整することは可能であるが、天然ワックスは遊離アルコールや遊離脂肪酸を含有し、幅広い分子組成であるため、樹脂の種類によっては、高分散させることは困難となる。そのため、利用できる樹脂の種類が限定される欠点がある。また、遊離アルコールや遊離脂肪酸を多く含有しているために熱安定性に劣ることも欠点である。これに対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、不純物をほとんど含まず、組成をある程度制御でき、熱安定性も良いため、ポリグリセリン脂肪酸エステルをトナーに分散させる方法が提案されている。例えば、特許文献2には、バインダー樹脂に、融点50〜70℃の、ポリグリセリンと炭素数10〜40の脂肪酸との部分エステル化合物を配合する方法や、特許文献3には、バインダー樹脂に、ジグリセリンと炭素数10〜40の脂肪酸との完全エステル化合物を配合する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−13724号公報
【特許文献2】特許第2697953号公報
【特許文献3】特開2006−268056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、トナーの定着温度を低下させ、かつブロッキングを防止する効果に優れた低温定着性、耐ブロッキング性改善剤を提供することにある。さらに、本発明は低温定着性、耐ブロッキング性改善剤を含有するバインダー樹脂及びバインダー樹脂を含有し、低温定着性、耐ブロッキング性に優れたトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、ポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融時の粘度がトナーの低温定着性や耐ブロッキング性に影響を与えることを見出した。すなわち、溶融粘度が低いと、バインダー樹脂に配合してもブリードしやすく、ブロッキングを起こす要因となる。また、溶融粘度が高いと、バインダー樹脂へ高分散させることが難しく、低温定着性を改善することが困難となる。前記問題点を解決するためには、ポリグリセリン脂肪酸エステルの適度な溶融粘度が必要不可欠な条件であるという知見を見出した。したがって、特許文献2や特許文献3は、粘度については一切言及しておらず、トナーの低温定着性、耐ブロッキング性改善剤としては不十分である。具体的には、炭素数10付近のポリグリセリン脂肪酸エステルは融点及び溶融時の粘度が低いため、樹脂に配合してもブリードしやすく、ブロッキングを起こす要因となる。また、炭素数40付近のポリグリセリン脂肪酸エステルは融点及び溶融時の粘度が高いため、低温定着性を改善することや、バインダー樹脂へ高分散させることが困難である。以上のことから、これらの方法では、トナーの低温定着性及び耐ブロッキング性を改善するには不十分である。
【0007】
すなわち、本発明は、構成脂肪酸が、炭素数16〜22の飽和脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの融点が50℃〜80℃であり、かつ100℃での溶融粘度が5〜50mPa・sであることを特徴とするトナー用低温定着性、耐ブロッキング性改善剤であり、これを含有するトナー用バインダー樹脂及びこのバインダー樹脂を用いたトナーである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融粘度及び融点が、上記の範囲であれば、樹脂の軟化を促進させ、素早くトナー表面に油膜を形成できるため、定着温度の低下、定着効率の向上につながる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融粘度が5mPa・s、または、融点が50℃より低くなると、バインダー樹脂に配合してもブリードしやすく、ブロッキングを起こす要因となり、逆にポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融粘度が50mPa・s、または、融点が80℃より高くなると、バインダー樹脂へ高分散させることが難しく、低温定着性を改善することが困難となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トナーの定着温度を低下させ、かつブロッキングを防止する効果に優れた低温定着性、耐ブロッキング性改善剤が提供される。また、これらの低温定着性、耐ブロッキング性改善剤を含有するバインダー樹脂及びバインダー樹脂を含有し、低温定着性、耐ブロッキング性に優れたトナーが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施形態に基づき本発明を詳細に説明する。本発明におけるトナー用低温定着性、耐ブロッキング性改善剤は、炭素数16〜22の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0010】
炭素数16〜22の飽和脂肪酸は、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸から一種以上選択されていると良い。好適には、ステアリン酸、ベヘン酸から一種以上選択されることである。
【0011】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルに使用するポリグリセリンは、特に限定されるものではないが、水酸基価から算出した平均重合度2以上であれば良く、好適には2〜15の範囲である。ここで平均重合度(n)とは、水酸基価から算出される値であり、末端分析法によって算出される値である。詳しくは、次式(式1)及び(式2)から平均重合度が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中の水酸基価とは、エステル化物中に含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1g中のエステル化物に含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法(I)、2003年度版」に準じて算出される。
【0012】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率は、ポリグリセリンが有する水酸基数に対するポリグリセリンに付加する脂肪酸のモル数から算出され、10%以上であればトナーの低温定着性、耐ブロッキング性を改善する効果を有するが、好適には25%以上である。
【0013】
また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、バインダー樹脂100重量部に対し3重量部〜35重量部が配合されることが好ましい。配合量が3重量部未満ではトナーの低温定着性、耐ブロッキング性がほとんど向上しない場合がある。また、35重量部よりも多くなるとトナーの機械強度が劣り、十分な耐久性が得られなくなる場合がある。
【0014】
本発明におけるバインダー樹脂として、スチレン・アクリル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられるが、これに限定するものではない。
【0015】
本発明のトナーとは、着色剤や帯電防止剤、離型剤などをバインダー樹脂中に分散させた一般的に「トナー」と呼ばれるものであれば良く、それが1成分トナーまたは2成分トナーであっても良い。さらには磁性を有するものであっても非磁性であっても良い。また、必要であれば二酸化ケイ素、金属石鹸、ポリオレフィンワックスなどのトナー用添加剤を配合しても良い。
【0016】
また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルが使用できるトナーの製造方法であるが、機械的粉砕法、噴霧乾燥法、重合法、マイクロカプセル法など限定されることなく適用することができる。
【0017】
以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、今回使用したポリグリセリンは、ジグリセリンS、ポリグリセリン#310、#500、#750(いずれも阪本薬品工業(株)製)であり、水酸基価から算出した平均重合度は各々2、4、6、10である。以下、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0018】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成)
ジグリセリンSを100gとパルミチン酸617gを反応容器に入れ、触媒及び窒素気流下、240℃で反応させ、エステル化率約95%のポリグリセリンテトラパルミテートを得た。以下同様に、脂肪酸の種類及びポリグリセリンに対する脂肪酸のモル比率を変化させて合成したものを表1に示した。
【0019】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの融点の測定)
ポリグリセリン脂肪酸エステルの融点は、示差走査熱量計(FP900 サーモシステムFP90/FP84HT、メトラートレド(株)製)を用いて測定した。合成したポリグリセリン脂肪酸エステルの融点を表1に示した。
【0020】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融粘度の測定)
100℃におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融粘度は、SV型粘度計(SV−10、(株)エー・アンド・デイ製)を用いて測定した。合成したポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融粘度を表1に示した。
【0021】
【表1】

【0022】
(実施例1)
スチレン80.5部及びn−ブチルアクリレート19.5部からなるコア用単量体と、カーボンブラック7部、帯電防止剤1部、ジビニルベンゼン0.3部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー0.5部、ポリグリセリンテトラパルミテート15部を添加、混合、溶解してコア用重合性単量体組成物を得た。コア用重合性単量体組成物の調製は全て室温で行った。
【0023】
他方、室温でイオン交換水250部に塩化マグネシウム9.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム5.8部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。この分散液の調製は全て室温で行った。
【0024】
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温で上記コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで撹拌した。そこに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート6部添加後、エバラマイルダーを用いて15,000rpmの回転数で30分間高せん断撹拌して、単量体混合物の液滴を造粒した。この造粒した単量体混合物の水分散液を10Lの反応器に入れ、60℃で重合反応を開始させた。次に、室温でメチルメタクリレート3部とイオン交換水30部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。このシェル用重合性単量体と水溶性開始剤として過硫酸アンモニウム0.3部を蒸留水65部に溶解し、これを反応器に入れ、4時間重合を継続した後、反応を停止し、トナー粒子の水分散液を得た。
【0025】
上記により得たコア・シェル型重合体粒子の水分散液を室温で撹拌しながら、硫酸により酸洗浄を行い、ろ過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えてスラリー化し、水洗浄を行った。その後、再度脱水と水洗浄を室温で数回繰り返し行って、固形分をろ過した後、乾燥機にて45℃で一昼夜乾燥を行い、重合体粒子を得た。この重合体粒子100部に、室温で疎水化処理したコロイダルシリカ0.6部を添加し、ヘンシルミキサーを用いて混合して重合法トナーを調製した。
【0026】
(実施例2)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラステアレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0027】
(実施例3)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0028】
(実施例4)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンモノステアレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0029】
(実施例5)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンジステアレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0030】
(実施例6)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリステアレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0031】
(実施例7)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンヘキサステアレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0032】
(実施例8)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリステアレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0033】
(実施例9)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンモノベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0034】
(実施例10)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンオクタベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0035】
(実施例11)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンドデカベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0036】
(実施例12)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンモノステアレート/ベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0037】
(実施例13)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラステアレート/ベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0038】
(実施例14)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンオクタステアレート/ベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0039】
(比較例1)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラオレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0040】
(比較例2)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンオクタミリステートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0041】
(比較例3)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリベヘネートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0042】
(比較例4)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラリグノセレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0043】
(比較例5)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリリグノセレートに替えた。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0044】
(比較例6)
実施例1において使用したポリグリセリンテトラパルミテートを用いなかった。それ以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0045】
(実施例15)
粉砕トナーの常法により、スチレン80部、メタクリル酸メチル5部、アクリル酸n−ブチル15部、架橋性モノマーであるジビニルベンゼン0.2部からなるビニル系共重合体を製造した。このビニル系共重合体25部、ポリグリセリンテトラパルミテート10部、マグネタイト60部、ポリプロピレンワックス2部、カーボンブラック2部、帯電防止剤1部をボールミルで粉砕混合した。その後、ロールミルで溶融混練し、冷却、粗粉砕後、ジェットミルで微粉砕してトナー用組成物を得た。さらに、このトナー用組成物に、疎水性シリカ微粉末0.3部を添加して粉砕法トナーを調製した。
【0046】
(実施例16)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラステアレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0047】
(実施例17)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0048】
(実施例18)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンモノステアレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0049】
(実施例19)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンジステアレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0050】
(実施例20)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリステアレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0051】
(実施例21)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンヘキサステアレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0052】
(実施例22)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリステアレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0053】
(実施例23)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンモノベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0054】
(実施例24)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンオクタベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0055】
(実施例25)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンドデカベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0056】
(実施例26)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンモノステアレート/ベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0057】
(実施例27)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラステアレート/ベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0058】
(実施例28)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンオクタステアレート/ベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0059】
(比較例7)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラオレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0060】
(比較例8)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンオクタミリステートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0061】
(比較例9)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリベヘネートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0062】
(比較例10)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリンテトラリグノセレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0063】
(比較例11)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートをポリグリセリントリリグノセレートに替えた。それ以外は実施例15と同様にしてトナーを得た。
【0064】
(比較例12)
実施例15において使用したポリグリセリンテトラパルミテートを用いなかった。それ以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。
【0065】
(試験方法)
本実施例では、以下の方法で評価した。
【0066】
(低温定着性)
定着ロール部の温度を変化できるように改造した市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(8枚機)を用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度におけるトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めることにより行った。定着率は、改造プリンターで印刷した試験用紙の黒ベタ領域において、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後とすると、定着率は次式から算出することができる。定着率(%)=(ID後/ID前)×100ここで、テープ剥離操作とは試験用紙の測定部分に粘着テープを貼り、一定圧力で付着させ、その後一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射式画像濃度測定器を用いて測定した。この定着試験において、定着率80%の定着ロール温度を現像剤の定着温度として評価した。結果を表2に示す。
【0067】
(耐ブロッキング性)
トナーを密閉可能な容器に入れて密閉した後、この容器を55℃の温度に保持した恒温水槽中に沈める。8時間経過した後、恒温水槽から容器を取り出し、容器内のトナーを42メッシュの篩上に移す。この際、容器内でのトナーの凝集構造を破壊しないように、容器内からトナーを静かに取り出し、かつ注意深く篩上に移す。そして、粉体測定機を用いて、強度4.5の条件で30秒間振動した後、篩上に残ったトナーの状態を観察した。トナー粒子に凝集(ケーキ化)が認められない場合を○で示し、凝集が認められる場合を×で示した。
結果を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
本発明によれば、トナーの定着温度を低下させ、かつブロッキングを防止する効果に優れた低温定着性、耐ブロッキング性改善剤が提供される。また、これらの低温定着性、耐ブロッキング性改善剤を含有するバインダー樹脂及びバインダー樹脂を含有し、低温定着性、耐ブロッキング性に優れたトナーが提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成脂肪酸が、炭素数16〜22の飽和脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの融点が50〜80℃であり、かつ100℃での溶融粘度が5〜50mPa・sであることを特徴とするトナー用低温定着性、耐ブロッキング性改善剤。
【請求項2】
請求項1記載のトナー用低温定着性、耐ブロッキング性改善剤を含有するトナー用バインダー樹脂。
【請求項3】
請求項2記載のバインダー樹脂を用いたトナー。

【公開番号】特開2009−151250(P2009−151250A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331251(P2007−331251)
【出願日】平成19年12月24日(2007.12.24)
【出願人】(390028897)阪本薬品工業株式会社 (140)
【Fターム(参考)】