説明

トリガー式スプレイヤー及びその製造方法

【課題】部品点数を減らすことができ、組み付けが容易なトリガー式スプレイヤー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本体部1と、該本体部1にトリガー部4と、該トリガー部4に当接するバネ部6と、液体を収容可能な容器Xの口部に取り付け可能なキャップ部2と、該キャップ部2の内側のシリンダ部3と、該シリンダ部3の下端部3aに連結された導入部5と、シリンダ部3の下端部3aに収容されるFバルブと、摺動可能なピストン部13と、該ピストン部13に連続し屈曲可能な液体流通部13aと、該液体流通部13aの先端に設けられたスピンナー部14と、ノズル口部15と、液体流通部13aに設けられトリガー部4に枢着される支持棒部16と、ピストン部13に収容されるSバルブ7bと、を備え、本体部1、トリガー部4、バネ部6、キャップ部2、シリンダ部3、導入部5及びノズル口部15が一体であるトリガー式スプレイヤー100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式スプレイヤー及びその製造方法に関し、より詳しくは、部品点数を減らすことができ、組み付けが容易なトリガー式スプレイヤー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に収容された液体を所望の位置に吹き付ける装置として従来からトリガー式スプレイヤーが知られている。
かかるトリガー式スプレイヤーは、トリガーを回動することによって、内蔵されたポンプを加圧、減圧させ、その圧力変化を利用して液体を噴射させる装置であり、近年、蓄圧式のものも含めて多くのタイプが開発されている。
【0003】
例えば、先端にノズルを嵌合した射出筒に、吐出弁体、吐出弁座、吸込み弁等を配設した蓄圧式のトリガー式スプレイヤーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ピストンバルブと該ピストンバルブをピストン弁座に押圧するバネ体と、これらを収納するピストンカバーを備えることで、蓄圧機能を有する領域の容積が小さくできる等のメリットがある蓄圧式のディスペンサーが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−6288号公報
【特許文献2】特開2009−160573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1又は2に記載のトリガー式スプレイヤーを含む従来のトリガー式スプレイヤーは、いずれも部品点数が多く、その分、組み付け工数が増え、且つ組み付け自体も複雑である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、部品点数を減らすことができ、しかも、組み付けが容易なトリガー式スプレイヤー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、本体部、キャップ部、シリンダ部、導入部、ノズル口部、トリガー部及びバネ部が一体とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、(1)本体部と、該本体部に枢着されたトリガー部と、該トリガー部に当接されるバネ部と、本体部に内蔵され、液体を収容可能な容器の口部に取り付け可能なキャップ部と、該キャップ部の内側に設けられたシリンダ部と、該シリンダ部の下端部に連結された導入部と、シリンダ部の下端部に収容されシリンダ部内への液体の流路を開閉するFバルブと、シリンダ部内を摺動可能なピストン部と、該ピストン部に連続し屈曲可能な液体流通部と、該液体流通部の先端に設けられたスピンナー部と、該スピンナー部が嵌合されるノズル口部と、液体流通部に設けられトリガー部に枢着される支持棒部と、ピストン部に収容されシリンダ部内の液体の流路を開閉するSバルブと、を備え、少なくとも、本体部、トリガー部、バネ部、キャップ部、シリンダ部、導入部及びノズル口部が一体となっているトリガー式スプレイヤーに存する。
【0009】
本発明は、(2)トリガー部が指入れ穴部を有し、該指入れ穴部に指を入れて、引くことにより、液体が噴射される上記(1)記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0010】
本発明は、(3)本体部には、把持する際に指を当接する突起部が設けられており、該突起部が指入れ穴部よりも下方に設けられている上記(2)記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0011】
本発明は、(4)Sバルブが、弁と、該弁を上方に付勢するバルブ用バネ部と、ピストン部にバルブ用バネ部を固定する基部と、からなり、弁、バルブ用バネ部及び基部が一体となっている上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0012】
本発明は、(5)トリガー部の移動に連動してピストン部が上下に摺動するようになっており、該ピストン部の摺動に基づいて、シリンダ部内の液体が加圧され、蓄圧された該液体がノズル部から外部に噴射されるようになっている上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0013】
本発明は、(6)上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のトリガー式スプレイヤーの製造方法であって、本体部、キャップ部、シリンダ部、導入部、ノズル口部、トリガー部及びバネ部が一体となった第1部材に、Fバルブを挿入し、ピストン部、液体流通部、スピンナー部及び支持棒部が一体となった第2部材に、Sバルブを取り付け、第1部材のシリンダ部に、第2部材のピストン部を圧入することにより得られるトリガー式スプレイヤーの製造方法に存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトリガー式スプレイヤーは、少なくとも、本体部、キャップ部、シリンダ部、導入部、ノズル口部、トリガー部及びバネ部が一体となっているので、部品点数を減らすことができ、全体の組み付けが容易となる。
また、組み付け時においては、シリンダ部にピストン部を圧入するだけで、容易に各部の位置決めを行うことができる。
【0015】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、トリガー部が指入れ穴部を有する場合、ノズル口部15から液垂れが発生しても手に付着することを防止できる。
また、例えば、ノズル部を自分に向け、指入れ穴部に親指を入れて、引くことにより、化粧水等の液体を容易に自分に吹き付けることができる。このとき、トリガー部を把持する際に人差指が当接する突起部が設けられていると、トリガー式スプレイヤーを持ちやすく滑りにくい。
【0016】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、Sバルブが、弁と、該弁を上方に付勢するバルブ用バネ部と、ピストン部にバルブ用バネ部を固定する支持部と、からなる場合、蓄圧式のスプレイヤーとして用いることができ、且つ、これらが一体となっている場合、取り付けも更に容易となる。
【0017】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、トリガー部の移動に連動してピストン部が上下に摺動するようになっており、該ピストン部の摺動に基づいて、シリンダ部内の液体が加圧され、蓄圧された該液体がノズル部から外部に噴射されるようになっている場合、簡単な構造でありながら、確実に一定量の液体を噴射することが可能となる。
【0018】
本発明のトリガー式スプレイヤーの製造方法においては、第1部材に、Fバルブを挿入し、第2部材にSバルブを取り付け、シリンダ部にピストン部を圧入することにより得られるので、組み付けが極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係るトリガー式スプレイヤーの一実施形態を示す部分断面図である。
【図2】図2の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第1部材を示す斜視図であり、図2の(b)は、図2の(a)の断面図である。
【図3】図3の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第2部材を示す斜視図であり、図3の(b)は、図3の(a)の断面図である。
【図4】図4の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのSバルブを示す斜視図であり、図4の(b)は、図4の(a)の断面図である。
【図5】図5の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのトリガー部を引く前の状態を示す断面図であり、図5の(b)は、図5の(a)の状態からトリガー部を引いた後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
本発明のトリガー式スプレイヤーは、容器の口部に着脱可能となっている。すなわち、トリガー式スプレイヤーは、キャップ部を介して、市販の容器に対して着脱可能となっている。なお、該容器は、口部にトリガー式スプレイヤーのキャップ部が取り付け可能であれば、形状を問わない。
【0022】
図1は、本発明に係るトリガー式スプレイヤーの一実施形態を示す部分断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100は、本体部1と、該本体部1に枢着されたトリガー部4と、該トリガー部4に当接されるバネ部6と、本体部1に内蔵され容器Xの口部に取り付け可能なキャップ部2と、該キャップ部2の内側に設けられたシリンダ部3と、該シリンダ部3の下端部3aに連結された導入部5と、シリンダ部3の下端部3aに収容されシリンダ部3内への液体の流路を開閉するFバルブ7aと、シリンダ部3内を摺動可能なピストン部13と、該ピストン部13に連続し屈曲可能な液体流通部13aと、該液体流通部13aの先端に設けられたスピンナー部14と、該スピンナー部14が嵌合されるノズル口部15と、液体流通部13aに設けられトリガー部4に枢着される支持棒部16と、ピストン部13に収容されシリンダ部3内の液体の流路を開閉するSバルブ7bと、を備える。
【0023】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100は、本体部1、トリガー部4、バネ部6、キャップ部2、シリンダ部3、導入部5及びノズル口部15が一体となった第1部材50を有する。このため、トリガー式スプレイヤー100は、部品点数を減らすことができ、全体の組み付けが容易となる。
【0024】
図2の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第1部材を示す斜視図であり、 図2の(b)は、 図2の(a)の断面図である。
図2の(a)及び 図2の(b)に示すように、第1部材50において、本体部1には、上方に延びる棒状のバネ部6が設けられており、該バネ部6は、トリガー部4に当接されるようになっている。
また、本体部1には、キャップ部2が設けられており、該キャップ部2は、液体を収容可能な図示しない容器の口部に取り付け可能となっている。
さらに、該キャップ部2の内側には、中空円筒状のシリンダ部3が設けられている。
【0025】
第1部材50において、本体部1は、壁部1aを有しており、該壁部1aにより、キャップ部2及びシリンダ部3が覆われている。すなわち、キャップ部2及びシリンダ部3は、本体部1に内蔵された構造となっている。これにより、トリガー式スプレイヤー100を把持しやすくなり且つ内部構造が保護される。
また、本体部1には、壁部1aに連続するように突起部1bが設けられている。本体部1が突起部1bを有することにより、トリガー式スプレイヤー100を把持する際に指を突起部1bに引掛けることができるので、手を突起部1bに当接させることにより、トリガー式スプレイヤーを持ちやすくなり且つ滑りにくくなる。
【0026】
第1部材50において、本体部1には、スピンナー部14が嵌合されるノズル口部15が設けられている。スピンナー部14は、ノズル口部15に嵌合されることにより、位置決めされる。なお、ノズル口部15には、スピンナー部14から吐出される液体を例えば泡状にするフラップが設けられていてもよい。
【0027】
第1部材50において、シリンダ部3は、下端部3aに導入部5が連結されている。トリガー式スプレイヤー100において、導入部5は容器内に挿入されており、先端が容器内の液体中に浸漬される。そして、容器内の液体はこの導入部5を介して吸い上げられシリンダ部3内に流入されることになる。なお、導入部5の先端には、チューブ等が取り付けられていてもよい。この場合、チューブの先端が容器内の液体中に浸漬され、該チューブから容器内の液体が導入されることになる。
【0028】
このとき、シリンダ部3の下端部3aには、シリンダ部3内への液体の流路を開閉するFバルブ7aが内設されている。これにより、容器X内の液体がシリンダ部3内へ導入される場合には、Fバルブ7aが流路を開き、液体が吐出される場合には、Fバルブ7aが流路を閉じるようになっている。
【0029】
第1部材50において、本体部1には、トリガー部4が枢着されている。
トリガー部4は、蓋部4aと、該蓋部4aから屈曲して連結された指入れ部4bとからなる略L字状であり、蓋部4aに、支持棒部16を枢着する枢着部16aが設けられ、指入れ部4bに、指を入れてトリガー部4を引くための指入れ穴部8が設けられている。
【0030】
ここで、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、トリガー部4が指入れ穴部8を有するので、ノズル口部15から液垂れが発生しても手に付着することを防止できる。
例えば、突起部1bに人差し指を当接させ、指入れ穴部8に親指を入れて、引くことにより、化粧水等の液体を容易に自分に吹き付けることができる。
このとき、トリガー式スプレイヤー100においては、突起部1bは、指入れ穴部8よりも下方に設けられている。
より詳しくは、トリガー部4の作用時において、突起部1bに当接される指が、指入れ穴部8に当接される指よりも下方になるように、突起部1b及び指入れ穴部8が設けられている。このため、トリガー式スプレイヤー100を把持しやすく、且つトリガー部4を引きやすいという利点がある。
【0031】
トリガー部4は、蓋部4aの一端が本体部1に枢着されており、トリガー部4を閉じることにより、本体部1が蓋をされるようになっている。トリガー部4を閉じると、支持棒部16が枢着部16aに枢着され、トリガー部4が位置固定される。なお、同時に、バネ部6は、屈曲された状態で蓋部4aに当接される。
【0032】
第1部材50において、トリガー部4には、指入れ部4bに嵌合穴部20aが設けられており、トリガー部4を閉じることにより、上記ノズル口部15が嵌合穴部20aに配置されるようになっている。これにより、トリガー部4がノズル口部15からの液体の吐出を妨げない。
また、トリガー部4には、ストッパー20が取り付けられている。かかるストッパー20は、嵌合穴部20aに嵌合可能となっており、図1に示すように、ストッパー20を嵌合穴部20aに嵌合することにより、ノズル口部15を封じることができる。また、ストッパー20を嵌合穴部20aに嵌合することにより、トリガー部4の回動をロックすることができるので、例えば、不使用時に液体が漏れることを抑制することができる。
【0033】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、ピストン部13、液体流通部13a、スピンナー部14及び支持棒部16が一体となった第2部材60を有する。このため、上記トリガー式スプレイヤー100は、部品点数をより減らすことができ、全体の組み付けがより容易となる。
【0034】
図3の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第2部材を示す斜視図であり、図3の(b)は、図3の(a)の断面図である。
図3の(a)及び図3の(b)に示すように、第2部材60において、ピストン部13は、シリンダ部3内を摺動するようになっている。該摺動により、シリンダ部3内の液体が加圧され、蓄圧された液体がノズル口部15から外部に噴射されることになる。
【0035】
第2部材60において、上述したように、ピストン部13には、屈曲可能な液体流通部13aが連続して設けられている。
また、液体流通部13aには、先端にスピンナー部14が設けられており、中腹部に支持棒部16が設けられている。
【0036】
液体流通部13aは、スピンナー部14をノズル口部15に嵌合し、支持棒部16をトリガー部4の枢着部16aに枢着することにより、屈曲した状態で位置決めされる(図1参照)。
【0037】
トリガー式スプレイヤー100において、ピストン部13には、シリンダ部3内の液体の流路を開閉するSバルブ7bが収容されている。
【0038】
図4の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのSバルブを示す斜視図であり、図4の(b)は、図4の(a)の断面図である。
図4の(a)及び図4の(b)に示すように、Sバルブ7bは、弁17aと、該弁17aを上方に付勢するバルブ用バネ部17bと、ピストン部13にバルブ用バネ部17bを固定する基部17cと、からなる。
【0039】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、弁17a、バルブ用バネ部17b及び基部17cが一体となったSバルブ7bを備えるので、上記トリガー式スプレイヤー100は、部品点数をより一層減らすことができ、全体の組み付けがより一層容易となる。
【0040】
Sバルブ7bは、ピストン部13の内部に配置される(図1参照)。このとき、基部17cは、ピストン部13の下端部に固定されるようになっており、弁17aは、ピストン部13内の弁座に当接されるようになっている。
そして、バルブ用バネ部17bは、伸縮可能となっており、弁17aは、バルブ用バネ部17bによる一定のバネ力により、弁座に付勢されるようになっている。
【0041】
Sバルブ7bは、ピストン部13内の液体の流路を塞ぐ弁の働きをする。すなわち、弁17aがバルブ用バネ部17bによって上方に付勢されているので、シリンダ部3内の液体が一定の圧力まで加圧されると、ピストン部13が下降すると共に、Sバルブ7bとシリンダ部3との間が開き、シリンダ部3内の液体が一定の圧力より減圧されると、ピストン部13が上昇すると共に、Sバルブ7bとシリンダ部3との間が閉じるようになっている。これにより、トリガー式スプレイヤー100においては、Sバルブ7bによって液体の流通が確実に遮断されるので、液垂れを防止することができる。なお、Sバルブ7bは、図4の(b)に示すように、内部が中空となっているので、Sバルブ7bの軽量化が図られ、バルブ用バネ部17bへの負担も小さい。
【0042】
次に、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100の作用について説明する。
図5の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのトリガー部を引く前の状態を示す断面図であり、図5の(b)は、図5の(a)の状態からトリガー部を引いた後の状態を示す断面図である。
【0043】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、図5の(a)に示すトリガー部4の指入れ穴部8に指を入れて、手前に引くことにより、図5の(b)に示すように、トリガー部4が下方に移動する。
このとき、支持棒部16がトリガー部4の枢着部16aに枢着されているので、支持棒部16が下方に移動し、これと共にピストン部13が下降する。
ピストン部13が下降すると、シリンダ部3内の液体が加圧される。そして、液体に一定の圧力まで蓄圧されると、Sバルブ7bが開き、該液体がシリンダ部3から液体流通部13aの内部を流通してスピンナー部14からノズル口部15を介して外部に噴射されるようになっている。
【0044】
そして、液体が噴射されると、シリンダ部3内の液体が徐々に減圧され、その後、液体の噴射が停止する。
【0045】
液体の噴射後、トリガー部4を手前に引いた状態から開放すると、トリガー部4に屈曲された状態で当接されたバネ部6の復帰力によって、トリガー部4が元の位置に戻ると共に、支持棒部16が上方に移動し、ピストン部13が上昇する。
ピストン部13が上昇すると、シリンダ部3内の空間が負圧となるので、負圧を解消するためにFバルブ7aが流路を開き、容器内の液体が吸上げられ、シリンダ部3内に液体が充填されることになる。
【0046】
トリガー式スプレイヤー100においては、このような操作が繰り返されることにより、一定量の液体が、ノズル口部15から繰り返して噴射されることになる。このように、上記トリガー式スプレイヤー100は、簡単な構造でありながら、確実に一定量の液体を噴射することが可能となっている。
【0047】
次に、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100の製造方法について説明する。
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100の製造方法においては、まず、本体部1、キャップ部2、シリンダ部3、導入部5、ノズル口部15、トリガー部4及びバネ部6が一体となった第1部材50(図2参照)に、Fバルブ7aを挿入する。
【0048】
一方で、ピストン部13、液体流通部13a、スピンナー部14及び支持棒部16が一体となった第2部材60(図3参照)には、Sバルブ7b(図4参照)を取り付ける。
【0049】
そして、第1部材50のシリンダ部3に、第2部材60のピストン部13を圧入することによりトリガー式スプレイヤーが得られる。なお、上述した第1部材50、第2部材60、Fバルブ7a及びSバルブ7bの材質は、いずれも合成樹脂であり、主として射出成形により製造される。
【0050】
このように、上記トリガー式スプレイヤー100の製造方法においては、組み付け工数が少なくてすむので、組み付けが極めて容易である。
また、組み付け時に、シリンダ部3にピストン部13を圧入するだけで、容易に各部の位置決めを行うことができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100は、少なくとも第1部材50を備えていれば、部品点数を減らすことができ、組み付けが容易であり且つ組み付け時の位置決めを確実に行えるという利点を奏することができる。
したがって、トリガー式スプレイヤー100は、ピストン部13、液体流通部13a、スピンナー部14及び支持棒部16が一体となった第2部材60を有するが、ピストン部13、液体流通部13a、スピンナー部14及び支持棒部16はそれぞれ別体であってもよい。
同様に、トリガー式スプレイヤー100は、弁17a、バルブ用バネ部17b及び基部17cが一体となったSバルブ7bを有するが、弁17a、バルブ用バネ部17b及び基部17cはそれぞれ別体であってもよい。
【0053】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100において、本体部1には、壁部1aに連続するように突起部1bが設けられている。突起部1bは必ずしも有する必要はない。
また、トリガー部4には、ストッパー20が取り付けられているが、ストッパー20は必ずしも有する必要はない。
【0054】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100において、バネ部6は、板状となっているが、コイル状、蛇状、バネ座金状等であってもよく、バルブ用バネ部17bは、蛇状となっているが、コイル状、板状、バネ座金状等であってもよい。
【0055】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100において、FバルブとSバルブとが一体となっていてもよい。その場合、全体としての部品点数がより少なくなる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のトリガー式スプレイヤーは、トリガーを引くことにより、容器内の液を噴射する装置として好適に用いられる。本発明のトリガー式スプレイヤーによれば、部品点数を減らすことができ、組み付けが容易である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・本体部
1a・・・壁部
1b・・・突起部
2・・・キャップ部
3・・・シリンダ部
3a・・・下端部
4・・・トリガー部
4a・・・蓋部
4b・・・指入れ部
5・・・導入部
6・・・バネ部
7a・・・Fバルブ部
7b・・・Sバルブ部
8・・・指入れ穴部
13・・・ピストン部
13a・・・液体流通部
14・・・スピンナー部
15・・・ノズル口部
16・・・支持棒部
16a・・・枢着部
17a・・・弁
17b・・・バルブ用バネ部
17c・・・基部
20・・・ストッパー
20a・・・嵌合穴部
50・・・第1部材
60・・・第2部材
100・・・トリガー式スプレイヤー
X・・・容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
該本体部に枢着されたトリガー部と、
該トリガー部に当接されるバネ部と、
前記本体部に内蔵され、液体を収容可能な容器の口部に取り付け可能なキャップ部と、
該キャップ部の内側に設けられたシリンダ部と、
該シリンダ部の下端部に連結された導入部と、
前記シリンダ部の下端部に収容され前記シリンダ部内への前記液体の流路を開閉するFバルブと、
前記シリンダ部内を摺動可能なピストン部と、
該ピストン部に連続し屈曲可能な液体流通部と、
該液体流通部の先端に設けられたスピンナー部と、
該スピンナー部が嵌合されるノズル口部と、
前記液体流通部に設けられ前記トリガー部に枢着される支持棒部と、
前記ピストン部に収容され前記シリンダ部内の前記液体の流路を開閉するSバルブと、
を備え、
少なくとも、前記本体部、前記キャップ部、前記シリンダ部、前記導入部、前記ノズル口部、前記トリガー部及び前記バネ部が一体となっているトリガー式スプレイヤー。
【請求項2】
前記トリガー部が指入れ穴部を有し、
該指入れ穴部に指を入れて、引くことにより、前記液体が噴射される請求項1記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項3】
前記本体部には、把持する際に指を当接する突起部が設けられており、
該突起部が前記指入れ穴部よりも下方に設けられている請求項2記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項4】
前記Sバルブが、弁と、該弁を上方に付勢するバルブ用バネ部と、前記ピストン部に前記バルブ用バネ部を固定する基部と、からなり、
前記弁、前記バルブ用バネ部及び前記基部が一体となっている請求項1〜3のいずれか1項に記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項5】
前記トリガー部の移動に連動して前記ピストン部が上下に摺動するようになっており、
該ピストン部の摺動に基づいて、前記シリンダ部内の前記液体が加圧され、蓄圧された該液体が前記ノズル部から外部に噴射されるようになっている請求項1〜4のいずれか1項に記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のトリガー式スプレイヤーの製造方法であって、
前記本体部、前記キャップ部、前記シリンダ部、前記導入部、前記ノズル口部、前記トリガー部及び前記バネ部が一体となった第1部材に、前記Fバルブを挿入し、
前記ピストン部、前記液体流通部、前記スピンナー部及び前記支持棒部が一体となった第2部材に、前記Sバルブを取り付け、
前記第1部材の前記シリンダ部に、前記第2部材の前記ピストン部を圧入することにより得られるトリガー式スプレイヤーの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−56293(P2013−56293A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195403(P2011−195403)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(391050961)
【Fターム(参考)】