説明

トンネル拡幅先受け工法及びトンネル拡幅用プレライニング機

【課題】 既設トンネルの外周から張り出す拡幅用先受け支保工を、連続して効率的かつ経済的に構築でき、しかもその構築に当たり地山安定や地下水位維持が確実に図れるばかりでなく、地山を緩めずに切羽の安定も確保できるようにする。
【解決手段】 既設トンネル10内からトンネル横断方向にカッタ14A・14Bを伸ばして突出させ、該カッタをトンネル軸方向へ移動させて地山をスリット切削し、そのスリット15A・15B内に覆工を施工することにより、既設トンネル10の外周から張り出してトンネル軸方向へ連続する拡幅用先受け支保工16A・16Bを構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設トンネルを拡幅するための先受け支保工を構築するトンネル拡幅先受け工法、及びその構築を行うトンネル拡幅用プレライニング機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、道路トンネルの分合流部では、2本のトンネルを切り拡げて無柱の大空間を構築する必要があり、土砂地山では、切り拡げの際に地山の安定確保や地下水維持のため、補助工法が必要になる。
【0003】
従来、その一つとして、薬液注入や凍結工法による地盤改良があるが、広範囲の改良が必要で、コストが高く、工期も長くなる。
【0004】
また、先受け工として図1及び図2に示すような曲線パイプルーフ工法がある。この工法は、2本の既設トンネル1・2の一方から他方へ向かって掘削して曲線パイプ3を1本ずつ挿入し、隣接する曲線パイプ3間に凍結工法等で地盤改良4を施して止水する。
【0005】
しかし、これによると、掘削とパイプ挿入を1本ずつ行うので、手間がかかる。また、曲線パイプ3がトンネル軸方向に連続しないため、隣接する曲線パイプ3間に地盤改良4をする必要があり、これにより、コストが高く、工期も長くなる。
【0006】
また、特許文献1(特許第3096652号公報)には、並行する2本の道路用シールドトンネル間に、非常駐車帯となる拡幅部を構築する次のような工法が開示されている。
【0007】
2本のシールドトンネル間の地山の上下を地盤改良して上下の地盤改良部を形成する。一方のシールドトンネルからアーチ状桁材を上側の地盤改良部中に推進圧入して、他方のシールドトンネル内へと貫入させ、これを繰り返してアーチ状桁材を所要区間で連設し、上方地山の山留工とする。この後、各シールドトンネルにおいて、アーチ状桁材と下側の地盤改良部との間に位置するセグメントを撤去して開口を形成し、この開口から両シールドトンネル間の地山を掘削し、両シールドトンネルの内部区間どうしを連通させる。そして、下側の地盤改良部を所定深さだけ掘削し、ここにコンクリートを打設して底盤を形成する。
【0008】
しかし、この場合も、2本のシールドトンネル間の地盤改良と、地盤改良部へのアーチ状桁材の推進圧入が必要で、図1及び図2に示した曲線パイプルーフ工法と同様に、コストが高く、工期も長くなる。
【特許文献1】特許第3096652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、既設トンネルの外周から張り出す拡幅用先受け支保工を、連続して効率的かつ経済的に構築でき、しかもその構築に当たり地山安定や地下水位維持が確実に図れるばかりでなく、地山を緩めずに切羽の安定も確保できるトンネル拡幅先受け工法、及びその構築を行うトンネル拡幅用プレライニング機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のトンネル拡幅先受け工法では、既設トンネル内からトンネル横断方向にカッタを伸ばして突出させ、該カッタをトンネル軸方向へ移動させて地山をスリット切削し、そのスリット内に覆工を施工することにより、既設トンネルの外周から張り出してトンネル軸方向へ連続する拡幅用先受け支保工を構築する。
【0011】
その好ましい実施形態を挙げると次のとおりである。
<請求項2に係る発明>
カッタで弓形にスリット切削する。
<請求項3に係る発明>
上下の拡幅用先受け支保工を同時に構築する。
<請求項4に係る発明>
既設シールドトンネルからカッタを地山に挿入し、カッタをトンネル軸方向へ移動させてセグメントと共に地山をスリット切削する。
【0012】
<請求項5に係る発明>
カッタと止水装置と覆工装置を備えていて、これらと共に全体を既設トンネル内で移動させることができるプレライニング機を用い、カッタを既設トンネル内から突出させ、止水装置で止水しつつプレライニング機をトンネル軸方向へ移動させて地山をスリット切削し、そのスリット内に覆工装置で覆工を施工する。
【0013】
<請求項6に係る発明>
プレライニング機に、既設トンネル内で設置位置を移動させることができる外側フレームと、これに対してトンネル軸方向へ相対移動可能な内側フレームとを備え、外側フレームを既設トンネルに対して保持し止水装置で止水した状態で内側フレームを移動させることにより、内側フレームと共にカッタ及び覆工装置をトンネル軸方向へ移動させる。
【0014】
本発明によるトンネル拡幅用プレライニング機は、既設トンネルの外周から張り出す拡幅用先受け支保工を既設トンネル内から構築するもので、既設トンネル内をトンネル軸方向へ移動させることができるとともに、既設トンネルに対して保持できる外側フレームと、この外側フレーム内でこれに対して相対移動可能な内側フレームと、この内側フレームからトンネル横断方向に伸びて既設トンネルの外周へ突出するように内側フレームに装着され、内側フレームの移動に伴い地山をスリット切削するカッタと、内側フレームに装着され、切削されたスリットに内側フレームの移動に伴い覆工を施工する覆工装置とを備えてなる。
【0015】
その好ましい実施形態を挙げると次のとおりである。
<請求項10に係る発明>
外側フレーム及び内側フレームのそれぞれに装着され、それぞれを既設トンネルに対して保持及びその解除ができる保持装置と、外側フレーム及び内側フレームのそれぞれに装着され、泥水循環用のチャンバを形成した状態で止水及びその開放ができる止水装置とを備える。
【0016】
<請求項11に係る発明>
カッタは弓形にスリット切削し、覆工装置は、該カッタと並行に伸びてスリット内に固化材を打設する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、既設トンネル内から突出させたカッタをトンネル軸方向へ移動させて地山をスリット切削し、そのスリット内に覆工を施工して、既設トンネルの外周から張り出してトンネル軸方向へ連続する拡幅用先受け支保工を構築するので、次のような効果がある。
(1)既設トンネルの外周から張り出す拡幅用先受け支保工を、既設トンネル内から連続して効率的に施工でき、従来に比べ工期を短縮できるとともに、工費を大幅に低減できる。例えば、道路トンネルの合流部の場合、従来の半分以下の工費に低減できる。
(2)覆工が連続した拡幅用先受け支保工となるため、地山安定や地下水位維持が確実に図れる。
(3)スリット切削を泥水循環させながら行うことができるので、地山を緩めずに、切羽の安定を確保しながら、土砂を効率良く排出できる。
(4)止水のための補助的工法は最小限に抑えられるので、凍結工法などの高価な工期のかかる工法を併用する必要がない。
(5)弓形にスリット切削することにより、強度上有利な弓形断面の拡幅用先受け支保工を構築できる。
(6)上下の拡幅用先受け支保工を構築することにより、既設トンネルと並行する後行トンネルを、これらの上下の拡幅用先受け支保工間に沿って施工できるとともに、両トンネル間の拡幅工事を安全に行える。
【0018】
(7)既設トンネル内で相対的に移動可能な内外のフレームによる二重構造のプレライニング機を用いて、カッタによるスリット切削と、そのスリットへの覆工と、止水を効率良く行うことができる。
(8)プレライニング機は、内外のフレームの止水装置を切り替え、つまり、内側フレームの移動時には外側フレームの止水装置で止水し、外側フレームの移動時には内側フレームの止水装置で止水して既設トンネル内を移動して行く構造とすれば、泥水循環しながらのスリット切削を簡単な止水工法で効率良く行える。
(9)カッタで弓形にスリット切削しながら、カッタと並行に伸びる覆工装置でスリット内へ固化材を充填すれば、弓形にスリット切削しても、その形を崩さずに弓形断面の拡幅用先受け支保工を構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
先に、本発明の先受け工法による施工手順の概要について図3〜図8を参照して説明する。本例は、先行の既設シールドトンネル(以下、「既設トンネル」と記す)10と並行に後行トンネル11を構築して、これらの間を拡幅する場合であって、後行トンネル11を構築する前に、本発明による先受け工法を上下それぞれに施工する。後行トンネル11はまだ構築していないので、破線で示している。
【0021】
先ず、図3(A)・(B)に示すように、セグメントの一部取り外し及び切削に対応する(止水対策)ために、既設トンネル10の周囲の上下それぞれの部分について、薬液注入12A・12Bを既設トンネル10から行う。その注入は、先受け工法の施工始点と終点では、後で構築する後行トンネル11の施工領域に届く程度まで、しかも既設トンネル10からの先受け支保工を上下対称の弓形に施工することから、これに対応するように弓形に行い、これらの間の区間については、既設トンネル10の外周部分だけ部分的に上下平行に薬液注入する。
【0022】
このようにしておいてから、図4(A)・(B)に示すように、既設トンネル10の一部のセグメントを取り外して、既設トンネル10内にセットしたプレライニング機13から、上下のカッタ14A・14Bを上下対称の弓形に伸ばして突出させる。そして、これら上下のカッタ14A・14Bを、上下の薬液注入部分12A・12Bを縦断するようにトンネル軸方向へ同時に移動させて、図5(A)・(B)に示すように、地山を上下対称の断面弓形にスリット切削しながら、その上下のスリット15A・15Bにプレライニング機13から固化材を充填して、図6(A)・(B)に示すように、上下対称の断面弓形の拡幅用先受け支保工16A・16Bを構築する。
【0023】
このとき、施工始点のセグメントより先のスリット切削する区間のセグメントには、カッタ14A・14Bで切削可能なセグメントを用いて、セグメントも切削しながら地山をスリット切削し、しかもカッタ14A・14Bの周囲でプレライニング機13の止水装置17A・17Bにより止水して泥水循環しながら切削する。固化材の充填は、伸びているカッタ14A・14Bの後ろ側でスリット15A・15Bに固化材を打設する。
【0024】
このようにして上下の拡幅用先受け支保工16A・16Bを同時に所定区間構築後、図7に示すように、これら拡幅用先受け支保工16A・16Bに沿ってシールド掘進機18を掘進させて後行トンネル11を施工する。この後、図8に示すように、上下の拡幅用先受け支保工16A・16Bの間を切り拡げ、既設トンネル10と後行トンネル11との間が拡幅されて合流部19となった2連のトンネルを完成させる。
【0025】
次に、プレライニング機13の構造とその機能について、図9〜図11の平面図及び図12〜図15の断面図を参照して説明する。
【0026】
プレライニング機13は、内外二重の円筒状となる内側フレーム20a及び外側フレーム20bと、内側フレーム20aから上下対称の弓形に伸びる上下のカッタ14A・14Bと、これら上下のカッタ14A・14Bのそれぞれの後ろ側でこれに沿って内側フレーム20aから弓形に伸びる上下の覆工装置(本例の場合、固化材打設装置)21A・21Bと、上下の止水装置17A・17Bと、内外のフレーム20a・20bをそれぞれ既設トンネル10に対して保持する内外のフレーム保持装置22a・22bとを備えている。
【0027】
内側フレーム20a及び外側フレーム20bは、既設トンネル10内に敷設したそれぞれのためのレール23a・23b上をトンネル軸方向に移動可能で、互いに相対移動可能であるが、それぞれのフレーム保持装置22a・22bにより、既設トンネル10に対して移動しないように個別に保持できるようになっている。各フレーム保持装置22a・22bは、放射状に配置された複数の油圧ジャッキ等からなり、これを伸縮することで、既設トンネル10に対する保持とその解除を行えるようになっている。
【0028】
上下のカッタ14A・14Bは、本例の場合はチェーンソーのような形態で、既設トンネル10のセグメント取り外し部分から地山に伸ばし、内側フレーム20aと一体に前進させることにより、地山をスリット切削する。その際、上下の止水装置17A・17Bで上下それぞれに止水して、後述のように泥水のための上下のチャンバ24A・24Bを形成し、ここを利用して泥水を循環させながら切削及び排土する。
【0029】
上下の止水装置17A・17Bには、上下それぞれについて、内側フレーム20aに設けられた前後二組の内側止水部材17aと、外側フレーム20bに設けられた前後二組の外側止水部材17bがあり、これらが伸縮することで、止水とその開放を内外別々に行えるようになっている。
【0030】
すなわち、上下の止水装置17A・17Bのそれぞれにおいて、外側止水部材17bの組をセグメントに圧接するまで伸長させることにより、上下それぞれのチャンバ24A・24Bが形成され、これら外側止水部材17bを収縮させることにより、上下のチャンバ24A・24Bが開放される。内側フレーム20aは、このような上下のチャンバ24A・24Bを形成した状態でレール23aに沿って前進させる。このとき、外側フレーム20bは、フレーム保持装置22bによって既設トンネル10に対し保持しておく。
【0031】
また、上下の止水装置17A・17Bのそれぞれにおいて、内側止水部材17a同士の間隔は、外側止水部材17b同士の間隔よりも小さく、内側止水部材17aの組を上下のチャンバ24A・24B内で伸長させることにより、上下のチャンバ24A・24Bの一部が仕切られる。この後、外側止水部材17bを収縮させると、上下のチャンバ24A・24Bは容積を小さくした状態となる。外側フレーム20bは、このような状態でレール23bに沿って前進させる。このとき、内側フレーム20aは、フレーム保持装置22aによって既設トンネル10に対し保持しておく。施工開始点で取り外したセグメントは、後ろ側の内側止水部材17aの後方でセグメント復旧25を行う。
【0032】
次に、このようなプレライニング機13を使用して、上下の拡幅用先受け支保工16A・16Bを構築する本実施例の工法について、図16〜図20の平面図及び図20の断面である図21〜図24を参照して具体的に説明する。
【0033】
前述のように薬液注入12を施した後、図16に示すように、内側フレーム20aからカッタ14A・14B及び覆工装置21A・21Bを伸ばし、セグメント取り外し部分を通じて弓形の薬液注入部分へ挿入する。このとき、外側フレーム20bは、フレーム保持装置22bにより既設トンネル10に対して保持しておく。そして、カッタ14A・14Bによる初期切削を行い、その初期切削部分に覆工装置21A・21Bからコンクリート等の固化材を打設する。
【0034】
上下の止水装置17A・17Bの外側止水部材17bを伸長させ、図14の断面に示したように、上下のチャンバ24A・24Bを形成する。
【0035】
図17及び図18に示すように、外側フレーム20bは既設トンネル10に対して保持したまま、内側フレーム20aをレール23aに沿って前進させ、上下のカッタ14A・14Bにより、切削可能なセグメントと共に地山を上下対称の弓形断面にスリット切削して、チャンバ24A・24Bとの間で泥水循環しながら、切削直後のスリットに、上下の覆工装置21A・21Bにてコンクリート等の固化材を後ろ向きに注入して充填して行く。
【0036】
このようにして内側フレーム20aが外側フレーム20b内の前端に達したら、図19に示すように、内外のフレーム保持装置22a・22bを切り替え、内側フレーム20aをフレーム保持装置22aにより既設トンネルに対して保持しておいて、外側フレーム20bをレール23bに沿って前進させる。このとき、外側止水部材17bは退避させて内側止水部材17aにて止水し、図20に示すように施工開始点でのセグメント取り外し部分のセグメント復旧25を行う。図21〜図24は、VI−VI線、VII−VII線、VIII−VIII線、IX−IX線の断面をそれぞれ示す。
【0037】
外側フレーム20bの前進終了後、これを既設トンネルに対して再び保持しておいて、内側フレーム20aをレール23aに沿って前進させ、再び上記と同様のことを繰り返して、上下対称の断面弓形の拡幅用先受け支保工16A・16Bを所定区間構築する。その構築後、セグメント切削部分についてセグメントの復旧を行うことで、セグメントと拡幅用先受け支保工16A・16Bとの一体化を図り、シールドトンネルの力学的安定性を確保する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記の実施例では、カッタ14A・14Bで切削したスリットに、覆工装置21A・21Bにてコンクリート等の固化材を打設したが、鋼材等の覆工部材を挿入して拡幅用先受け支保工16A・16Bを構築してもよい。
【0039】
また、上記の実施例では、上下の拡幅用先受け支保工16A・16Bを構築するに際し、上下のカッタ14A・14Bを用いて上下一対のスリット15A・15Bを切削し、その上下のスリット15A・15Bにプレライニング機13から固化材を充填して、図6(A)・(B)に示すように、上下一対の拡幅用先受け支保工16A・16Bを同時に構築したが、上下別々に構築してもよい。すなわち、例えばプレライニング機13から上側のカッタ14A(又は、下側のカッタ14B)のみを伸ばして突出させ、地山に上側のスリット15A(又は、下側のスリット15B)を切削し、プレライニング機13から固化材を充填して上側の拡幅用先受け支保工16A(又は、下側の拡幅用先受け支保工16B)のみを先に構築する。次いで、上側のカッタ14A(又は、下側のカッタ14B)をプレライニング機13内に引き戻し、内側フレーム20aをレール23aに沿って後退させた後、プレライニング機13から下側のカッタ14B(又は、上側のカッタ14A)のみを伸ばして突出させ、地山に下側のスリット15B(又は、上側のスリット15A)を切削し、プレライニング機13から固化材を充填して下側の拡幅用先受け支保工16B(又は、上側の拡幅用先受け支保工16A)を後から構築する。
【0040】
更に、上記の実施例では、1台の内側フレーム23aに上下のカッタ14A・14Bを搭載して上下のスリット15A・15Bを同時並行して切削したが、同一レール23aに沿って移動可能な前後2台の内側フレームを用意し、上側のカッタ14A及び下側のカッタ14Bをそれぞれ(1台)の内側フレームに搭載し、これら前後の内側フレームをレール23aに沿って前進させることで、上下のスリット15A・15Bを先後の関係で切削し、これらスリット15A・15Bに固化材を充填して最終的に上下一対の拡幅用先受け支保工16A・16Bを構築してもよい。
【0041】
更に、上下対称の2台のカッタ14A・14Bを用いたが、1台のカッタを上下反転させて共用できるようにしてもよく、また、その断面形状も弓形に限らない。更に、泥水循環して切削及び排土を行ったが、泥土加圧して行ってもよい。
本発明は、シールドトンネル以外のトンネルにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来工法である曲線パイプルーフ工法の斜視図である。
【図2】図1のI−I線での断面図である。
【図3】本発明の先受け工法による施工手順の概要を図3から図8に示し、図3は薬液注入した状態を表し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図4】カッタを伸ばして地山に挿入した状態を表し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図5】上下の拡幅用先受け支保工を構築している状態を表し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図6】上下の拡幅用先受け支保工を構築後の状態を表し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図7】上下の拡幅用先受け支保工に沿って後行トンネルを施工している状態の斜視図である。
【図8】上下の拡幅用先受け支保工の間を切り拡げ、既設トンネルと後行トンネルとの間を拡幅した状態の斜視図である。
【図9】本発明によるプレライニング機の構造の概要を示す平面図である。
【図10】その構造と共に機能を示す平面図で、外側フレームを既設トンネルに対して保持した状態である。
【図11】内側フレームを既設トンネルに対して保持した状態の同様の平面図である。
【図12】図10のII−II線での断面図である。
【図13】同じくIII−III線での断面図である。
【図14】同じくIV−IV線での断面図である。
【図15】図11のV−V線での断面図である。
【図16】本発明の実施例の工法を図16から図20に工程順に示し、図16は施工開始点においてカッタ及び覆工装置を伸ばして薬液注入部分へ挿入したときの平面図である。
【図17】内側フレームを前進しながらスリット切削と同時に固化材を打設しているときの平面図である。
【図18】引き続き同様の作業を行っているときの平面図である。
【図19】外側フレームのフレーム保持装置と内側フレームのフレーム保持装置とを切り替えたときの平面図である。
【図20】セグメント復旧を行っているときの平面図である。
【図21】図20のVI−VI線での断面図である。
【図22】同じくVII−VII線での断面図である。
【図23】同じくVIII−VIII線での断面図である。
【図24】同じくIX−IX線での断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 既設トンネル
11 後行トンネル
12A・12B 薬液注入
13 プレライニング機
14A・14B カッタ
15A・15B スリット
16A・16B 拡幅用先受け支保工
17A・17B 止水装置
17a・17b 止水部材
18 シールド掘進機
19 合流部
20a 内側フレーム
20b 外側フレーム
21A・21B 覆工装置
22a・22b フレーム保持装置
23a・23b レール
24A・24B チャンバ
25 セグメント復旧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設トンネル内からトンネル横断方向にカッタを伸ばして突出させ、該カッタをトンネル軸方向へ移動させて地山をスリット切削し、そのスリット内に覆工を施工することにより、既設トンネルの外周から張り出してトンネル軸方向へ連続する拡幅用先受け支保工を構築することを特徴とするトンネル拡幅先受け工法。
【請求項2】
カッタで弓形にスリット切削することを特徴とする請求項1に記載のトンネル拡幅先受け工法。
【請求項3】
上下の拡幅用先受け支保工を同時に構築することを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル拡幅先受け工法。
【請求項4】
既設シールドトンネルからカッタを地山に挿入し、カッタをトンネル軸方向へ移動させてセグメントと共に地山をスリット切削することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のトンネル拡幅先受け工法。
【請求項5】
カッタと止水装置と覆工装置を備えていて、これらと共に全体を既設トンネル内で移動させることができるプレライニング機を用い、カッタを既設トンネル内から突出させ、止水装置で止水しつつプレライニング機をトンネル軸方向へ移動させて地山をスリット切削し、そのスリット内に覆工装置で覆工を施工することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のトンネル拡幅先受け工法。
【請求項6】
プレライニング機に、既設トンネル内で設置位置を移動させることができる外側フレームと、これに対してトンネル軸方向へ相対移動可能な内側フレームとを備え、外側フレームを既設トンネルに対して保持し止水装置で止水した状態で内側フレームを移動させることにより、内側フレームと共にカッタ及び覆工装置をトンネル軸方向へ移動させることを特徴とする請求項5に記載のトンネル拡幅先受け工法。
【請求項7】
止水装置を外側フレームと内側フレームのそれぞれに備え、内側フレームの移動時には外側フレームの止水装置で止水し、外側フレームの移動時には内側フレームの止水装置で止水することを特徴とする請求項6に記載のトンネル拡幅先受け工法。
【請求項8】
覆工装置からスリット内に固化材を充填することを特徴とする請求項5、6又は7に記載のトンネル拡幅先受け工法。
【請求項9】
既設トンネルの外周から張り出す拡幅用先受け支保工を既設トンネル内から構築するためのプレライニング機であって、既設トンネル内をトンネル軸方向へ移動させることができるとともに、既設トンネルに対して保持できる外側フレームと、この外側フレーム内でこれに対して相対移動可能な内側フレームと、この内側フレームからトンネル横断方向に伸びて既設トンネルの外周へ突出するように内側フレームに装着され、内側フレームの移動に伴い地山をスリット切削するカッタと、内側フレームに装着され、切削されたスリットに内側フレームの移動に伴い覆工を施工する覆工装置とを備えてなることを特徴とするトンネル拡幅用プレライニング機。
【請求項10】
外側フレーム及び内側フレームのそれぞれに装着され、それぞれを既設トンネルに対して保持及びその解除ができる保持装置と、外側フレーム及び内側フレームのそれぞれに装着され、泥水循環用のチャンバを形成した状態で止水及びその開放ができる止水装置とを備えたことを特徴とする請求項9に記載トンネル拡幅用プレライニング機。
【請求項11】
カッタは弓形にスリット切削し、覆工装置は、該カッタと並行に伸びてスリット内に固化材を打設することを特徴とする請求項9又は10に記載のトンネル拡幅用プレライニング機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−183280(P2006−183280A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376382(P2004−376382)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【出願人】(592093833)青山機工株式会社 (5)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】