説明

ドアミラー

【課題】運転者の視界を妨げることなく、乗車時に運転者がターンランプ部の動作を視認できるドアミラーを提供する。
【解決手段】ターンランプ部20を備えたドアミラー1において、ターンランプ部20は、ミラーボディー12側に配置されるベースハウジング21と、ベースハウジング21上に設けられ、発光ダイオード25が取り付けられるインナーハウジング23と、インナーハウジング23を外側から覆うアウターレンズ22とを備え、アウターレンズ22は、発光ダイオード25が発光する光の一部を取り込み、この光の一部を進行方向後方側に向かって導出する光導出部36を有し、ミラーボディー12の進行方向後方側に、光導出部36の先端を露出させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターンランプ部を有するドアミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の左右に取り付けられているドアミラーに、ターンランプ部(サイドウインカー部)を設け、周囲の人に対するターンランプ部の点滅有無の視認性を向上させたものが知られている。この種のターンランプ部は、発光される光を運転者が視認できないような位置に配置される。
これは、ターンランプ部から発光される光が運転者の視界に入ると光量が強すぎて、運転者の視界を妨げてしまうからである。さらに、ターンランプ部から発光される光の放射角度は法規で定められており、法規を満足する放射角度が得られる位置にターンランプ部を設ける必要があるからである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−291671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、運転者が乗車している状態で、ターンランプ部が正常に点滅しているか否かを判断できないという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、運転者の視界を妨げることなく、乗車時に運転者がターンランプ部の動作を視認できるドアミラーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車体の側部に設けられ、前記車体の進行方向後方に向けてミラーが嵌め込まれるミラーボディーと、前記ミラーボディーの進行方向前方側の面に取り付けられるターンランプ部とを備えたドアミラーにおいて、前記ターンランプ部は、前記ミラーボディー側に配置されるベースハウジングと、前記ベースハウジング上に設けられ、光源体が取り付けられるインナーハウジングと、前記インナーハウジングを外側から覆うアウターレンズとを備え、前記アウターレンズは、前記光源体が発光する光の一部を取り込み、この光の一部を進行方向後方側に向かって導出する光導出部を有し、前記ミラーボディーの進行方向後方側に、前記光導出部の先端を露出させたことを特徴とする。
【0007】
このように構成することで、光源体から発光された光は、光量が減衰された状態で光導出部からミラーボディーの進行方向後方側に向かって導出される。このため、光導出部の先端から発光される光によって、運転者の視界が妨げられることがない。また、乗車時に運転者がターンランプ部の動作を視認できる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記光導出部の先端に、この先端から発光される光を拡散するための光拡散部を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、光導出部の先端から発光される光の光量が少ない状態であっても確実に運転者が視認できる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記光導出部の先端の面を断面鋸歯状に形成し、これを前記光拡散部として設定したことを特長とする。
このように構成することで、簡素な構造で、かつ安価に光導出部の先端から発光される光を確実に拡散させることが可能になる。
【0010】
請求項4に記載した発明は、前記アウターレンズの進行方向前方側の面のうち、前記光導出部が設けられている部位に対応する箇所に、外光の前記光導出部への入光を阻害するための入光阻害部を設けたことを特長とする。
このように構成することで、例えば、太陽光などの外光が光導出部を介してこの光導出部の先端から発光されてしまうことを防止できる。このため、運転者がターンランプ部の動作を誤診してしまうことを確実に防止できる。
【0011】
請求項5に記載した発明は、前記アウターレンズの進行方向前方側の面のうち、前記光導出部が設けられている部位に対応する箇所を、断面鋸歯状に形成し、これを前記入光阻害部として設定したことを特長とする。
このように構成することで、簡素な構造で、かつ安価に外光が光導出部に入光されてしまうことを阻害できる。
【0012】
請求項6に記載した発明は、前記ミラーボディーの前記ミラーを嵌め込むためのミラー用開口部の周縁であって、かつ前記車体の左右方向外側に、前記光導出部の先端を露出させるための開口部を形成し、前記アウターレンズの前記開口部に対応する部位に、前記光導出部を設けたことを特長とする。
このように構成することで、簡素な構造で、かつ効率よく光源体が発光する光をミラーボディーの進行方向後方側に向かって導くことができる。
すなわち、ターンランプ部から発光される光の放射角度は法規で定められており、法規を満足する放射角度が得られる位置にターンランプ部を設ける必要があるので、ターンランプ部は、ミラーボディーの進行方向前方であって、かつ車体の左右方向外側に配置される。このため、ミラーボディーのミラー用開口部の周縁であって、かつ車体の左右方向外側に光導出部を露出させる開口部を設けることにより、光導出部の光導出経路の長さを短く設定できる。よって、アウターレンズの構造を簡素化することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光源体から発光された光は、光量が減衰された状態で光導出部からミラーボディーの進行方向後方側に向かって導出される。このため、光導出部の先端から発光される光によって、運転者の視界が妨げられることがない。また、乗車時に運転者がターンランプ部の動作を視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態におけるドアミラーを進行方向前方からみた斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるドアミラーを進行方向後方からみた斜視図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるターンランプ部を後方からみた斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるターンランプ部を前方からみた斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるアウターレンズを内面側からみた斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における2次成型部が成型される前のターンランプ部の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態における光導出部、および入光阻害部の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(ドアミラー)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ドアミラーを進行方向前方からみた斜視図、図2は、ドアミラーを進行方向後方からみた斜視図、図3は、図1のA−A線に沿う断面図である。なお、以下の説明において、説明を簡単にするために、車両の進行方向前方を単に前方、進行方向後方を単に後方、車幅方向を単に左右方向、車両の鉛直方向上下を単に上方、および下方などとして説明する場合がある。
図1〜図3に示すように、ドアミラー1は、車体3の側面に設けられたミラーベース4に、進行方向後方を確認可能な使用位置、およびドア面に沿って邪魔にならない格納位置に傾動可能に支持されたものである。
【0016】
ドアミラー1は、後方に向けてミラー用開口部11を有するミラーボディー12と、ミラー用開口部11を閉塞するように設けられ、車体3の後方を確認するためのミラー2と、ミラーボディー12の前方側の面に取り付けられているターンランプ部20により外観構成されている。
ミラーボディー12には、不図示の車内の操作スイッチによってミラーボディー12を傾動させる不図示の電動格納ユニットと、ミラー2の反射角を調整するためのリモコンユニット18が内装されている。そして、リモコンユニット18の後方に、ミラー2が支持されている。
【0017】
ミラーボディー12は樹脂などで成型されたものであって、ミラー用開口部11が形成されたボディー本体41と、ボディー本体41の前方である背面側に取り付けられるカバー42とで構成されている。カバー42は、上下方向(図1、図2における上下方向)に分割可能な下部カバー(カバーボディー)43と上部カバー(スカルキャップ)44とで構成されている。
ボディー本体41は、ミラー用開口部11を形成するリム部45と、リム部45の内周縁に一体成形された容器部46とを有している。そして、使用位置において、不図示の運転席から車体3の左右両側の後方を視認できるように、ミラーベース4から斜め後方に向かうように配置されている。
【0018】
リム部45は断面略V字状に形成されており、内周面45aと、この内周面45aから僅かに外側に折り返す形で形成された外周面45bとにより構成されている。容器部46は、不図示の電動格納ユニットやリモコンユニット18を収納可能な御椀状に形成されている。そして、容器部46の底部46aの外面を覆うように、下部カバー43、および上部カバー44が取り付けられる。
【0019】
下部カバー43は、容器部46の底部46aの外面のうち、上下方向中央よりやや下側から底部46aの下部全体を覆うように湾曲形成されている。一方、上部カバー44は、下部カバー43を避けるように、底部46aの上下方向中央よりやや下側から底部46aの上部全体を覆うように湾曲形成されている。
これら下部カバー43、および上部カバー44には、それぞれボディー本体41と係合可能な不図示の係合爪が一体成形されている。また、各カバー43,44は、これらの周縁がボディー本体41の周縁に形成されているリム部45の外周面45bと滑らかに接続するように形成されている。
【0020】
ここで、上部カバー44には、左右方向略中央から左右方向外側に至る間に切除部44aが形成されていると共に、ボディー本体41には、上部カバー44の切除部44aに対応する位置に凹部41aが形成されている。そして、これら切除部44a、および凹部41aにターンランプ部20が収納されるようになっている。つまり、ターンランプ部20は、カバー42の下部カバー43と上部カバー44との間に取り付けられた状態になっている。
【0021】
(ターンランプ部)
図4は、ターンランプ部を後方からみた斜視図、図5は、ターンランプ部を前方からみた斜視図である。
図3〜図5に示すように、ターンランプ部20は、ボディー本体41の凹部41aに収納されるベースハウジング21と、カバー42と共に前方に露出するアウターレンズ22と、ベースハウジング21とアウターレンズ22との間に設けられるインナーハウジング23とを備えている。
【0022】
ベースハウジング21は、非透明な樹脂によって、前方側が開口された箱状の部材をボディー本体41の凹部41aに対応するように、左右方向(図3における左右方向)に長く湾曲形成されたものである。ベースハウジング21の短手方向側壁には、このベースハウジング21をボディー本体41に締結固定するための取付ステー47が突設されている。この取付ステー47には、不図示のボルト等を挿入可能なボルト孔48が形成されている。ボディー本体41の底部46aには、ボルト孔48に対応する箇所に雌ネジ部49が刻設されている。これにより、ボディー本体41にベースハウジング21を締結固定することができる。
【0023】
ベースハウジング21の底面21aには、コネクタハウジング26が一体成形されている。コネクタハウジング26は、ターンランプ部20と車体3の内部に設けられている不図示のバッテリとを電気的に接続するコネクタ28の一方を構成するものである。コネクタハウジング26は、バッテリから延びる外部コネクタ(何れも不図示)が嵌着可能に形成され、かつ外部コネクタの受け入れ口となる開口部を左右方向内側(図4における右側)に向けた形で形成されている。
【0024】
また、ベースハウジング21の開口縁には、外フランジ部21bが形成されている(図7参照)。外フランジ部21bは、アウターレンズ22の一部を構成する後述の2次成型部35によって被覆される部位である(詳細は後述する)。
【0025】
さらに、ベースハウジング21内に、このベースハウジング21の開口部を閉塞するように左右方向に長く湾曲形成された非透明な樹脂製のインナーハウジング23が設けられている。このインナーハウジング23には、ベースハウジング21側に左右方向に長いターミナル24が収納されている。ターミナル24の左右方向内側端は、コネクタハウジング26内に延出されており、コネクタ28の他方を構成する端子部27を形成している。
【0026】
一方、ターミナル24の左右方向外側(図3における左側)端は、後方に向かって2段の段差を有するように形成されている。そして、ターミナル24には、各段差面24a,24bにそれぞれターンランプ部20の光源体である発光ダイオード25が左右方向外側に向かって実装されている。また、ターミナル24には、各発光ダイオード25よりも左右方向内側に、不図示のバッテリの電圧を降圧して発光ダイオード25に供給するための基板29が実装されている。
ここで、インナーハウジング23には、発光ダイオード25に対応する部位に開口部23aが形成されており、この開口部23aを介して発光ダイオード25が外部に露出するようになっている。
【0027】
図6は、アウターレンズを内面側からみた斜視図である。
図3〜図6に示すように、アウターレンズ22は透明な樹脂によって、インナーハウジング23を外側から覆うように左右方向に長く湾曲形成されたものである。アウターレンズ22は、カバー42を構成する上部カバー44に形成されている切除部44aを介し、前方に向かって膨出する膨出部31と、膨出部31の周縁に設けられた外フランジ部32とが一体成形されている。
【0028】
膨出部31は、上部カバー44の切除部44aに対応するように左右方向に長く形成されており、左右方向外側端に平坦面33が形成されている。また、膨出部31の内面には、長手方向に沿って長く形成され、かつ上下方向に沿って並列に配置された複数(この実施形態では4つ)の導光部31aが形成されている。さらに、膨出部31の内面には、導光部31aの上下方向両側に複数の凸部からなる光拡散レンズ部31bが形成されている。また、平坦面33の内面に、複数の凸部からなる光拡散レンズ部33aが形成されている。
【0029】
このような構成のもと、発光ダイオード25から発光された光が導光部31aに入光されると、この光が導光部31a内で乱反射し、導光部31a全体から光が漏出する。また、発光ダイオード25から発光された光が各光拡散レンズ部31b,33aに入光されると、この光が拡散される。これにより、発光ダイオード25から発光された光が、膨出部31全体から効率よく放射される。
【0030】
膨出部31の周縁に一体成形されている外フランジ部32のうち、左右方向内側(図3における右側)に位置している外フランジ部32には、左右方向内側に向かって延出部34が形成されている。延出部34は、ターンランプ部20をドアミラー1に組み込んだ状態でカバー42内に潜り込んだ状態になる。このように、インナーハウジング23は、アウターレンズ22によって外側から完全に覆われる。そして、外フランジ部32と延出部34とがベースハウジング21の外フランジ部21bに当接するようになっている。
【0031】
ここで、外フランジ部32、および延出部34は、この外周縁がベースハウジング21の外フランジ部21bの外周縁よりもやや大きくなるように形成されている。このベースハウジング21の外フランジ部21bよりも延出された部位には、2次成型部35が一体成形されている。
【0032】
図7は、2次成型部が成型される前のターンランプ部の斜視図である。
図4、図7に示すように、2次成型部35は、ベースハウジング21とアウターレンズ22とを不図示の金型内で重ね合わせた状態で(図7参照)、不図示の金型にアウターレンズ22と同一材料の透明な樹脂を流し込み、成型されるものであって(図4参照)、アウターレンズ22の一部を構成している。
【0033】
このように、アウターレンズ22の外フランジ部32、および延出部34に2次成型部35を成型することにより、別途ボルト等の固定部材を用いることなく、ベースハウジング21とアウターレンズ22とを一体化できる。
このため、部品点数を減少させることができると共に、ターンランプ部20全体の小型化を図ることが可能になる。また、ベースハウジング21とアウターレンズ22とにより形成される空間K1(図3参照)の気密性、水密性を高めることができる。
【0034】
ここで、2次成型部35を成型してしまうとベースハウジング21とアウターレンズ22とにより形成される空間K1が密閉されてしまうので、2次成型部35を成型する前に、ベースハウジング21にインナーハウジング23、ターミナル24、発光ダイオード25、基板29等を組み付けておく必要がある。
【0035】
また、図1〜図5に示すように、2次成型部35は、この左右方向外側がアウターレンズ22の平坦面33と同一平面上となる位置に形成されており、ここの短手方向略中央に光導出部36が後方(図3における下方)に向かって突出形成されている。
光導出部36は、発光ダイオード25から発光された光の一部を、平坦面33を介して後方に向かって導出するためのものである。光導出部36は、平坦面33の面方向に対してやや左右方向内側(図3における右側)に傾斜している。
【0036】
つまり、光導出部36は、ミラーボディー12を構成するボディー本体41におけるリム部45の内周面45a側に向かって突出している。
一方、リム部45の内周面45aには、光導出部36に対応する部位に開口部13が形成されている。そして、この開口部13から光導出部36の先端が露出されている。
【0037】
また、光導出部36の先端には、断面略鋸歯状の光拡散部36aが形成されている。さらに、アウターレンズ22の平坦面33には、光導出部36の延在方向に対応する位置に、入光阻害部37が左右方向外側(図3における左側)に向かって突出形成されている。入光阻害部37の前面37aは、断面略鋸歯状に形成されている。
このように構成された光導出部36、および入光阻害部37によって、乗車時に運転者の視界が妨げられることなく、ターンランプ部20の動作を視認できる。より詳しく、以下に説明する。
【0038】
(光導出部、および入光阻害部の作用)
次に、図8に基づいて、光導出部36、および入光阻害部37の作用について説明する。
図8は、光導出部、および入光阻害部の作用説明図である。
まず、光導出部36の作用について説明する。同図に示すように、発光ダイオード25から発光された光L1は、その殆どがアウターレンズ22の内面に形成された導光部31aや光拡散レンズ部31b,33aを介して外部に放射される。
【0039】
ここで、ターンランプ部20は、ドアミラー1の前面を覆うカバー42の左右方向略中央から左右方向外側に至る間に形成された切除部44aを介して露出している。このため、アウターレンズ22を介して外部に放射された光L1は、運転者が視認することが困難である。このように外部に放射された光L1の光量は、例えば約0.6cd程度である。
【0040】
一方、発光ダイオード25から発光された光L1のうちの一部の光L1’は、アウターレンズ22内で乱反射を繰り返す。そして光L1’は、アウターレンズ22と同一の材料で形成されている2次成型部35の光導出部36へと導かれ、先端から後方に向かって放射される。このとき、ボディー本体41のリム部45に形成されている開口部13から光導出部36の先端が露出されているので、開口部13を介して光L1’が放射される。また、光導出部36の先端には、断面略鋸歯状の光拡散部36aが形成されているので、光導出部36の先端から放射される光L1’が拡散される。
このように後方に放射された光L1’は、運転者が容易に視認することができる。また、このように放射された光L1’の光量は、例えば約0.01cd程度である。
【0041】
次に、入光阻害部37の作用について説明する。
ここで、図8に示すように、アウターレンズ22、および2次成型部35は、透明な樹脂により成型されているので、太陽光等の外光Lgが光導出部36に入光され、この先端から後方に向かって外光Lgが放射される虞がある。しかしながら、アウターレンズ22の平坦面33には、光導出部36の延在方向に対応する位置に、入光阻害部37が左右方向外側(図8における左側)に向かって突出形成されている。そして、入光阻害部37の前面37aは断面略鋸歯状に形成されているので、外光Lgが入光阻害部37に入光されると拡散され、殆ど光導出部36に外光Lgが入光されない。
【0042】
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、ターンランプ部20を構成する2次成型部35に、光導出部36を後方に向かって突設すると共に、ミラーボディー12に光導出部36を露出可能な開口部13が形成されているので、光導出部36に導かれた光L1’を運転者が視認することができる。しかも、光L1’は、発光ダイオード25から発光された光L1のうちの1部であるので、光導出部36から放射される光L1’の光量は、光L1に対して十分減衰されている。このため、光L1’によって、運転者の視界が妨げられることがなく、乗車時に運転者がターンランプ部20の動作を視認できる。
【0043】
また、ターンランプ部20の左右方向外側に光導出部36を形成していると共に、ミラーボディー12を構成するボディー本体41のリム部45に光導出部36を露出させる開口部13を形成している。簡素な構造で、かつ効率よく光L1’を後方に導くことができる。
すなわち、ターンランプ部20から発光される光L1の放射角度は法規で定められており、法規を満足する放射角度が得られる位置にターンランプ部20を設ける必要があるので、ターンランプ部20は、ミラーボディー12の前方であって、かつ左右方向外側に配置される。しかも、ターミナル24に、左右方向外側に向かって発光ダイオード25が実装される。このため、ボディー本体41のリム部45から光導出部36を露出させることにより、光導出部36の光導出経路の長さL1(図3参照)を短く設定できる。よって、アウターレンズ22全体の構造を簡素化することが可能になる。
【0044】
さらに、光導出部36の先端には、光拡散部36aが形成されているので、光導出部36の先端から放射される光L1’が拡散される。このため、光量の少ない(例えば、約0.01cd程度)光L1’であっても、確実に運転者がターンランプ部20の動作を視認できる。しかも光拡散部36aは、断面略鋸歯状に形成されているだけなので、簡素な構造で、かつ安価に光L1’を拡散させることができる。
【0045】
そして、アウターレンズ22の平坦面33には、光導出部36の延在方向に対応する位置に、入光阻害部37が左右方向外側に向かって突出形成されている。このため、光導出部36への外光Lgの入光をほぼ防止することができる。よって、運転者がターンランプ部20の動作を誤診してしまうことを確実に防止できる。しかも入光阻害部37は、この前面37aを断面略鋸歯状に形成するだけで十分機能を果たすことができる。このため、簡素な構造で、かつ安価に外光Lgの光導出部36への入光を防止することができる。
【0046】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、光導出部36の先端に、断面略鋸歯状の光拡散部36aを形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、光拡散部36aを形成しなくてもよい。また、光拡散部36aを形成する場合、例えばプリズム構造のように光を拡散できる構造であれば断面略鋸歯状に限られるものではない。
【0047】
さらに、上述の実施形態では、アウターレンズ22の平坦面33に、前面37aが断面略鋸歯状に形成された入光阻害部37を突設し、光導出部36に外光Lgが入光されるのを防止している。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、前面37aを断面略鋸歯状に形成することなく、外光Lgの入光を遮断する遮光テープ等を貼付してもよい。すなわち、光導出部36への外光Lgの入光経路の途中に、外光Lgの入光を防止するものを別途設けてもよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、ベースハウジング21とアウターレンズ22とを不図示の金型内で重ね合わせた後に成型される2次成型部35に、光導出部36を形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、予めアウターレンズ22に光導出部36を形成しておき、この光導出部36が形成されたアウターレンズ22とベースハウジング21とを2次成型部35により一体化してもよい。
【0049】
ここで、予めアウターレンズ22に光導出部36を形成する場合、2次成型部35を形成することなく、ベースハウジング21とアウターレンズ22とを締結固定部材(例えば、ボルト等)を用いて一体化させてもよい。
また、予めアウターレンズ22に光導出部36を形成する場合、その後の2次成型部35を成型する際、光導出部36の周囲にも樹脂が流れるように構成する必要がある。このため、光導出部36の周囲が肉厚形状になってしまう。このため、製造コストの低減化や製品の小型化を図る場合、2次成型部35を成型する段階で光導出部36を形成することが望ましい。
【0050】
さらに、上述の実施形態では、ターンランプ部20の光源体として発光ダイオード25を用いた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、発光ダイオード25に代わって、ハロゲンランプやHIDランプ(High IntensityDischarged Lamp)等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ドアミラー
2 ミラー
3 車体
11 ミラー用開口部
12 ミラーボディー
13 開口部
20 ターンランプ部
21 ベースハウジング
22 アウターレンズ
23 インナーハウジング
25 発光ダイオード(光源体)
36 光導出部
36a 光拡散部
37 入光阻害部
45 リム部
L1,L1’ 光
Lg 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側部に設けられ、前記車体の進行方向後方に向けてミラーが嵌め込まれるミラーボディーと、
前記ミラーボディーの進行方向前方側の面に取り付けられるターンランプ部とを備えたドアミラーにおいて、
前記ターンランプ部は、
前記ミラーボディー側に配置されるベースハウジングと、
前記ベースハウジング上に設けられ、光源体が取り付けられるインナーハウジングと、
前記インナーハウジングを外側から覆うアウターレンズとを備え、
前記アウターレンズは、前記光源体が発光する光の一部を取り込み、この光の一部を進行方向後方側に向かって導出する光導出部を有し、
前記ミラーボディーの進行方向後方側に、前記光導出部の先端を露出させたことを特徴とするドアミラー。
【請求項2】
前記光導出部の先端に、この先端から発光される光を拡散するための光拡散部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のドアミラー。
【請求項3】
前記光導出部の先端の面を断面鋸歯状に形成し、これを前記光拡散部として設定したことを特長とする請求項2に記載のドアミラー。
【請求項4】
前記アウターレンズの進行方向前方側の面のうち、前記光導出部が設けられている部位に対応する箇所に、外光の前記光導出部への入光を阻害するための入光阻害部を設けたことを特長とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のドアミラー。
【請求項5】
前記アウターレンズの進行方向前方側の面のうち、前記光導出部が設けられている部位に対応する箇所を、断面鋸歯状に形成し、これを前記入光阻害部として設定したことを特長とする請求項4に記載のドアミラー。
【請求項6】
前記ミラーボディーの前記ミラーを嵌め込むためのミラー用開口部の周縁であって、かつ前記車体の左右方向外側に、前記光導出部の先端を露出させるための開口部を形成し、
前記アウターレンズの前記開口部に対応する部位に、前記光導出部を設けたことを特長とする請求項1〜請求項5の何れかに記載のドアミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−89371(P2012−89371A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235459(P2010−235459)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】