説明

ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色を抑制する方法

【課題】ドネペジル含有貼付製剤中の経時的な変色を抑制すること。
【解決手段】粘着剤とドネペジルとを含む粘着剤層中に、アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステル、イソアスコルビン酸またはその金属塩、エチレンジアミン四酢酸またはその金属塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、3(2)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール、(±)−α−トコフェロール、酢酸(±)−α−トコフェロール、ルチン、次亜リン酸、メタ重亜硫酸金属塩、およびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩基性薬物であるドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有し、抗アルツハイマー型認知症薬として使用されている。アルツハイマー型認知症患者には、高齢者が多く、高齢者には経口剤の嚥下が困難な者も多い。また、アルツハイマー型認知症の症状が進行した患者でも、経口剤の服薬が困難となる場合がある。これらのような場合にはドネペジルの経皮などの非経口投与が有用である。
【0003】
ドネペジルを経皮などの非経口投与するための、ドネペジル含有貼付製剤は公知であり、例えば、特開平11−315016号公報(特許文献1)、WO2003/032960号パンフレット(特許文献2)およびWO2006/082728号パンフレット(特許文献3)等に記載されている。これら特許文献1〜特許文献3には、経口投与製剤で使用されている一般的な抗酸化剤、例えば、トコフェロールおよびこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール等を用いることができるとの記載がある。しかしながら、これら特許文献1〜特許文献3には、抗酸化剤を実際に配合した製剤例の記載はなく、また、抗酸化剤の貼付製剤中での有効性については十分に検証されていない。
【0004】
また、特開2000−136134号公報(特許文献4)には、ドネペジルを含有する経口投与用組成物において、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム(メタ重亜硫酸ナトリウム)、システイン、クエン酸、エデト酸ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)、アスコルビン酸およびエリソルビン酸(イソアスコルビン酸)等の抗酸化剤を添加することで、類縁物質の増加を抑制できることが記載されている。しかし、特許文献4は、液剤、シロップ剤等の経口投与製剤を提案するもので、貼付製剤への抗酸化剤の適用を教示するものではなく、また、抗酸化剤の貼付製剤中での有効性については十分に検証されていない。
【0005】
一方、貼付製剤は、大気中の酸素やpH、温度、湿度、光などの影響を受けて、経時的に外観変化が生じ易い傾向にある。かかる貼付製剤の外観変化、例えば、色相、彩度、明度などの変化(変色)は、その変化量がわずかであり貼付製剤の有効性に何ら悪影響を及ぼすものでなくても、患者に品質劣化を惹起させ、その使用を躊躇わせる等の不都合を引き起こし得る。とりわけ、貼付製剤の変色に基づく不都合は、特に、貼付製剤がフレッシュな状態において肉眼で白色〜薄黄色(薄茶色)に見えるものである場合に、患者に鋭敏に認知され易い傾向にある。
【0006】
一方、例えば、特許第3124069号(特許文献5)や特開平11−047233号公報(特許文献6)、特表2006−523637号公報(特許文献7)、特表2003−530422号公報(特許文献8)には、貼付製剤において、長期保存時の変色を抑制する技術が開示されている。しかしながら、これらの文献は、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色を抑制する方法を教示するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−315016号公報
【特許文献2】WO2003/032960号パンフレット
【特許文献3】WO2006/082728号パンフレット
【特許文献4】特開2000−136134号公報
【特許文献5】特許第3124069号
【特許文献6】特開平11−047233号公報
【特許文献7】特表2006−523637号公報
【特許文献8】特表2003−530422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、ドネペジル含有貼付製剤中の経時的な変色を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ドネペジル含有貼付製剤に特定の安定化剤を添加することにより、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 支持体と粘着剤層とを有し、該粘着剤層に粘着剤とドネペジルとを含む、貼付製剤の経時的な変色を抑制する方法であって、
前記粘着剤層中に、前記粘着剤と、前記ドネペジルと、安定化剤と、を含ませることを含み、
前記安定化剤が、アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステル、イソアスコルビン酸またはその金属塩、エチレンジアミン四酢酸またはその金属塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、3(2)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール、(±)−α−トコフェロール、酢酸(±)−α−トコフェロール、ルチン、次亜リン酸、メタ重亜硫酸金属塩、およびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、方法。
貼付製剤の製造後初期においても十分な発明の効果が達成される点で、前記(1)において、エチレンジアミン四酢酸またはその金属塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、3(2)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、次亜リン酸、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール、および酢酸(±)−α−トコフェロールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
(2) 前記安定化剤が、以下(a)〜(e)よりなる群から選択される少なくとも1種である、(1)に記載の方法。
(a)アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステルと、イソアスコルビン酸またはその金属塩、メタ重亜硫酸金属塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(b)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(c)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(d)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩との組み合わせ
(e)ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩と、ルチンとの組み合わせ
(3) 前記安定化剤が、以下(a−1)〜(c−1)よりなる群から選択される少なくとも1種である、(2)に記載の方法。
(a−1)アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステルと、イソアスコルビン酸またはその金属塩、メタ重亜硫酸金属塩、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、およびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(b−1)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩および2−メルカプトベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(c−1)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールおよびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
貼付製剤の製造後初期においても十分な発明の効果が達成される点で、前記(3)において安定化剤が、以下(b−2)、(c−2)および(d−2)よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(b−2)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩
(c−2)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
(d−2)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩
(4) 前記粘着剤と、前記ドネペジルと、前記安定化剤を含む調合物を準備する工程と、
前記調合物を前記支持体表面に付与して前記粘着剤層を成膜する工程と、
を有する、(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期間において経時的な変色を抑制できるので、安定性の高いドネペジル含有貼付製剤を実現することができ、医師や患者などの使用者や取扱者における製剤への信頼性が高められる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
本発明の貼付製剤の経時的な変色を抑制する方法は、支持体と、支持体の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを含む貼付製剤において、該粘着剤層に、ドネペジルと、粘着剤と、特定の安定化剤とを少なくとも含有させるものである。
【0013】
ここで、「ドネペジル」とは、2−[(1−ベンジル−4−ピペリジニル)メチル]−5,6−ジメトキシインダン−1−オン(フリー体)((±)-2-[(1-benzylpiperidin-4-yl)methyl]-5,6-dimethoxyindan-1-one)だけでなく、その薬学的に許容される塩およびエステルも含む概念である。
【0014】
また、「安定化剤」とは、ドネペジルを含む粘着剤層中および粘着剤層形成に使用する材料の調合物中において、経時的な変色(または色相、彩度および明度の変化)を抑制し得る作用を有する化合物を意味する。本明細書においては、かかる経時的な変色の度合いは、CIE1976(L*a*b*)表色系(エルスター・エースター・ビースター表色系 JIS Z 8729)における色彩値(L*,a*,b*)にて評価される。
【0015】
本発明において、ドネペジルは、ドネペジル(フリー体)、その薬学的に許容される塩若しくはエステルのいずれであってもよいが、経皮吸収性の観点からは、粘着剤層がドネペジル(フリー体)を含有する構成であるのが好ましい。
【0016】
本発明の貼付製剤は、抗アルツハイマー型認知症薬として用いられ得る。また、その他の用途としては、抗脳血管性認知症、片頭痛予防などが挙げられる。
【0017】
本発明の貼付製剤において、粘着剤層中のドネペジルの割合は、粘着剤層の総重量基準で好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%の範囲である。割合が1重量%に満たない場合は治療に有効な量の放出が期待できず、また、30重量%を超えると治療効果に限界が生じると共に経済的に不利となるおそれがある。
【0018】
本発明で使用する安定化剤は、特定の安定化剤であり、アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステル(好適には、ナトリウム塩、パルミチン酸エステル)、イソアスコルビン酸またはその金属塩(好適には、ナトリウム塩)、エチレンジアミン四酢酸またはその金属塩(好適には、カルシウム二ナトリウム塩、四ナトリウム塩)、2−メルカプトベンズイミダゾール、3(2)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール、(±)−α−トコフェロール、酢酸(±)−α−トコフェロール、ルチン、次亜リン酸、メタ重亜硫酸金属塩(例えば、ナトリウム塩)、およびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩(好適には、ナトリウム塩)からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0019】
上記において、金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。エステルとしては、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、ミリスチン酸エステルなどが挙げられる。
本発明において、貼付製剤の経時的な変色を抑制するためには、前記方法は、前記粘着剤層中に、前記粘着剤と、前記ドネペジルと、安定化剤と、を含ませることが、貼付製剤の製造工程に含まれることが好ましい。安定化剤は本発明の効果を奏した後、貼付製剤の製造中または保管中に分解・消失することがあるが、この場合も本発明の範囲内である。
【0020】
上記の安定化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上の安定化剤を組み合わせて用いる場合、その好ましい組み合わせの態様としては、以下の(a)〜(e)が挙げられる。
(a)アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステル(以下、これらを総じて「アスコルビン酸類」ともいう)と、イソアスコルビン酸またはその金属塩、メタ重亜硫酸金属塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(b)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(c)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(d)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩との組み合わせ
(e)ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩と、ルチンとの組み合わせ
【0021】
上記の(a)〜(e)の安定化剤の組み合わせのなかでも、より好ましい態様は、以下の(a−1)〜(c−1)である。これら(a−1)〜(c−1)の使用により、各々の安定化剤の単独使用の相加平均と比較して、経時的な変色の抑制効果が相乗的に発揮される。貼付製剤の製造後初期においても十分な発明の効果が達成される点で、以下(b−2)、(c−2)および(d−2)よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
(a−1)アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステルと、イソアスコルビン酸またはその金属塩、メタ重亜硫酸金属塩、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、およびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(b−1)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩および2−メルカプトベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(c−1)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールおよびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(b−2)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩
(c−2)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
(d−2)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩
【0022】
安定化剤は、貼付製剤の粘着剤層に含有されることが必要である。安定化剤の重量割合は粘着剤層の物性に悪影響を与えない限り特に限定されない。安定化剤の割合の上限値の好ましい例は、粘着剤層の総重量に基づき、その総量として、5重量%を超えると粘着剤層の接着性などの物性が低下する可能性があり、0.0005重量%を下回ると十分な安定化効果が得られない可能性がある。従って、上限値の好ましい例は、5重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.7重量%、0.5重量%、0.3重量%であり、下限値の好ましい例は、0.0005重量%、0.001重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%である。
【0023】
より具体的には、粘着剤層の総重量に基づき、その総量として、0.0005〜5重量%が好ましく、さらに0.001〜3重量%が好ましく、さらに0.01〜1重量%が好ましく、さらに0.01〜0.91重量%が好ましく、さらに0.01〜0.7重量%が好ましく、さらに0.02〜0.7重量%が好ましく、さらに0.02〜0.5重量%が好ましく、最も好ましくは0.03〜0.3重量%である。
【0024】
以上記載の安定化剤に用いる2種の化合物の組み合わせ((a)〜(e)、(a−1)〜(c−1))、および(b−2)〜(d−2)の態様において、両者の重量比は、100:1〜1:100が好ましく、10:1〜1:100がより好ましく、1:1〜1:100がさらに好ましい。
【0025】
本発明の貼付製剤において、粘着剤層に含まれる粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤;シリコーンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム等のゴム系粘着剤;シリコーン系粘着剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ酢酸ビニル等のビニル系高分子粘着剤等が挙げられる。
【0026】
ゴム系粘着剤は、反応性の高い官能基を有しないことが多く、そこに含有されるドネペジルは比較的安定に存在し、貼付剤が着色する可能性も比較的低い。このようなゴム系粘着剤としては、ポリイソブチレン、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体〔例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等〕等が好ましく使用され、これらは一種でまたは2種以上混合して用いてもよい。
【0027】
アクリル系粘着剤は、共重合させるモノマーの種類や比率によって、粘着特性や薬物溶解度等を制御できるなど自由度が比較的高い反面、ドネペジルと反応性を有する官能基をそのポリマー鎖に有している場合があり、また粘着剤中に残存するモノマーや重合開始剤が反応性を有する場合があるため、貼付製剤が着色する懸念がある。したがって、本発明はアクリル系粘着剤を用いた貼付製剤において特に有利に実施される。
【0028】
本発明におけるアクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むアクリル系粘着剤が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分(主たる構成単位)とするアクリル系粘着剤である。主成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)との共重合体か、或いは、これら以外の他のモノマー(第3モノマー成分)がさらに共重合した共重合体が、架橋処理のしやすさ、人間の皮膚への貼接着、薬物溶解の操作性等の観点から特に好ましい。
【0029】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)の例としては、アルキル基の炭素数が1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、アルキル基の炭素数が4〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。さらに、常温で粘着性を与えるために、重合体のガラス転移温度を低下させるモノマー成分の使用がさらに好適であることから、アルキル基の炭素数が4〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシルなど、好ましくは、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、特に好ましくは2−エチルヘキシル)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。具体的にはアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸シクロへキシルなどがより好ましく、中でも、アクリル酸2−エチルへキシルが最も好ましい。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
一方、上記の架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)において、架橋反応に関与できる官能基としては、水酸基、カルボキシル基、ビニル基などが挙げられ、水酸基およびカルボキシル基が好ましい。当該モノマー(第2モノマー成分)の具体例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸などが挙げられる。これらのうち、入手の容易性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル(特に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)が好ましく、アクリル酸が最も好ましい。これらのモノマー(第2モノマー成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、上記他のモノマー(第3モノマー成分)は、主として、粘着剤層の凝集力調整やドネペジルの溶解性・放出性の調整などのために使用される。当該モノマー(第3モノマー成分)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニルアミド類;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシエステル;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー(第3モノマー成分としての使用なので架橋点とはしない);(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する(メタ)アクリル酸誘導体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコールエステル;(メタ)アクリロニトリル;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルスルホン酸などのスルホン酸を有するモノマー;ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどのビニル基含有モノマーなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルエステル類、ビニルアミド類が好ましく、ビニルエステル類は酢酸ビニルが好ましく、ビニルアミド類はN−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。これらのモノマー(第3モノマー成分)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
当該アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー=99〜85:1〜15の重量比で配合して共重合させることが好ましく、99〜90:1〜10の重量比がより好ましい。
【0033】
また、当該アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(第1モノマー成分)と、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー(第2モノマー成分)と、これら以外の他のモノマー(第3モノマー成分)との共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーと、これら以外の他のモノマーとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー:これら以外の他のモノマー=40〜94:1〜15:5〜50の重量比で配合して共重合させることが好ましく、50〜89:1〜10:10〜40の重量比がより好ましい。
【0034】
重合反応は、自体公知の方法で行えばよく特に限定されないが、例えば、上記のモノマーを、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなど)を添加して、溶媒(例えば、酢酸エチルなど)中で、50〜70℃で5〜48時間反応させる方法が挙げられる。
【0035】
本発明における特に好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル/酢酸ビニルの共重合体、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸の共重合体等であり、より好ましくは、アクリル酸2−エチルへキシルエステル/アクリル酸/N−ビニル−2−ピロリドンの共重合体である。
【0036】
また、本発明におけるアクリル系粘着剤のガラス転移温度は、共重合組成によっても異なるが、貼付製剤としての粘着性の観点から、通常−100〜−10℃であることが好ましく、より好ましくは−90〜−20℃である。
【0037】
本発明の貼付製剤においては、粘着剤層へのソフト感の付与、貼付製剤を皮膚から剥離する時の皮膚接着力に起因する痛みや皮膚刺激性の軽減等の観点から、粘着剤層に液状成分を含有させることができる。粘着剤層との相溶性の観点から有機液状成分が好ましい。有機液状成分を含む本発明の貼付製剤において、有機液状成分の種類によってはドネペジルと化学反応するなどして貼付製剤が着色する可能性がある。したがって、かかる安定性低下を効率的に抑制し得る点で、本発明は有機液状成分を含む貼付製剤において特に有利に実施される。
【0038】
当該有機液状成分としては、それ自体室温で液状であり、可塑化作用を示し、上記の粘着剤を構成する粘着性ポリマーと相溶するものであれば、特に制限なく使用できるが、ドネペジルの経皮吸収性、保存安定性を向上させるものが好ましい。また、粘着剤中へのドネペジルの溶解性等をさらに高める目的でも配合することができる。このような有機液状成分としては、脂肪酸アルキルエステル〔例えば、炭素数1〜4の低級1価アルコールと炭素数12〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸とのエステル等〕; 炭素数8〜10の飽和又は不飽和の脂肪酸〔例えば、カプリル酸(オクタン酸、C8)、ペラルゴン酸(ノナン酸、C9)、カプリン酸(デカン酸、C10)、ラウリン酸(C12)等〕;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;オリーブ油、ヒマシ油、スクアレン、ラノリン等の油脂類;酢酸エチル、エチルアルコール、ジメチルデシルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、オレイルアルコール等の有機溶剤;液状の界面活性剤;ジイソプロピルアジぺ−ト、フタル酸エステル、ジエチルセバケート等の可塑剤類;流動パラフィン等の炭化水素類等が挙げられる。また、エトキシ化ステアリルアルコール、グリセリンエステル(室温で液状の物)、ミリスチン酸イソトリデシル、N−メチルピロリドン、オレイン酸エチル、オレイン酸、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸オクチル、1,3−プロパンジオール、グリセリン等も挙げられる。これらの中でも、製剤の安定性等の観点から、脂肪酸アルキルエステル、飽和脂肪酸、炭化水素類、有機溶剤が好ましく、より好ましくは脂肪酸アルキルエステルである。これらの有機液状成分はいずれかを単独でまたは2種以上の組み合わせで使用される。
【0039】
また、粘着剤にアクリル系粘着剤を使用する場合、有機液状成分は、上記の中でも、アクリル系粘着剤との相溶性等の観点から、脂肪酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4の低級1価アルコールと炭素数12〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸とのエステルである。ここで、炭素数12〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸は飽和脂肪酸が好ましく、また、炭素数1〜4の低級1価アルコールは直鎖でも分岐鎖でもよい。炭素数12〜16の脂肪酸の好適な例としては、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)等が挙げられ、炭素数1〜4の低級1価アルコールの好適な例としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール等が挙げられる。特に好ましい脂肪酸アルキルエステルの具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル等が挙げられる。
【0040】
なお、脂肪酸アルキルエステルを使用する場合、ドネペジルの経皮吸収性向上の観点から、脂肪酸アルキルエステルとともに炭素数8〜10の脂肪酸および/またはグリセリンを併用しても良い。
【0041】
本発明において、有機液状成分の配合量は上記粘着剤100重量部当たり、好ましくは10〜160重量部であり、より好ましくは40〜150重量部である。配合量が10重量部未満のとき、粘着剤層の可塑化が不充分なために良好なソフト感が得られなかったり、皮膚刺激性の低減効果が十分に得られない場合があり、逆に160重量部を超えるとき、粘着剤が有する凝集力によっても有機液状成分を粘着剤中に保持できず、粘着剤層表面にブルーミングして粘着力が弱くなり過ぎて、貼付使用中に皮膚面から製剤が脱落する可能性が高くなる。
【0042】
本発明の貼付製剤では、粘着剤層には、前記のとおり、公知の化学的架橋処理(架橋剤を用いた架橋処理等)や物理的架橋処理(γ線のような電子線照射や紫外線照射による架橋処理等)等で架橋処理を施すことができるが、当該架橋処理は、当分野で一般的に行われている手法により行うことができる。本発明の貼付製剤において、化学的または物理的架橋処理によっては、貼付製剤が着色する可能性がある。したがって、本発明は粘着剤層に架橋処理が施された貼付製剤において特に有利に実施される。なお、架橋処理はドネペジルに悪影響を及ぼしにくいという観点から、架橋剤を用いた化学的架橋処理が好ましい。
【0043】
架橋剤を用いた化学的架橋処理を施す場合、架橋剤にはドネペジルによって架橋の形成が阻害されない架橋剤であれば特に制限されないが、例えば、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)等)、金属酸化物(例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、多官能性イソシアネート化合物、有機金属化合物(例えば、ジルコニウムおよび亜鉛アラニネート、酢酸亜鉛、グリシンアンモニウム亜鉛、チタン化合物等)、金属アルコラート(例えば、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、アルミニウムイソプレピレート、アルミニウムsec−ブチレート等)、および金属キレート化合物(例えば、ジプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、テトラオクチレングリコールチタン、アルミニウムイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等)が挙げられる。これらの中でも、ドネペジルの存在下で効率的に架橋を形成し得るという観点から、過酸化物、金属酸化物、有機金属化合物、金属アルコラート、金属キレート化合物が好ましく、より好ましくは金属アルコラート、金属キレート化合物であり、適度な架橋密度の架橋構造が得られ易いという観点から、最も好ましくは金属キレート化合物である。また、金属キレート化合物のなかでもエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが特に好ましい。これらの架橋剤は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
架橋剤の配合量は、架橋剤や粘着剤の種類によって異なるが、一般に、粘着剤100重量部に対して0.1〜0.6重量部であり、好ましくは0.15〜0.5重量部である。0.1重量部より少ないと架橋点が少なすぎて粘着剤層に充分な凝集力が付与できず、剥離時に凝集破壊に起因する糊残りや強い皮膚刺激が発現するおそれがあり、0.6重量部より多いと、凝集力は大きいが充分な皮膚接着力が得られなくなる場合がある。また、未反応の架橋剤の残留によって皮膚刺激がおこるおそれがある。
【0045】
化学的架橋処理は、例えば、架橋剤の添加後、架橋反応温度以上に加熱して保管する工程、すなわち、熟成工程を経ることにより実施することができ、このときの加熱温度は、架橋剤の種類に応じて適宜選択されるが、好ましくは60〜90℃であり、より好ましくは60〜80℃である。加熱時間としては、好ましくは12〜96時間であり、より好ましくは24〜72時間である。
【0046】
本発明の貼付製剤では、架橋処理された粘着剤層がドネペジルとともに金属塩化物を含有することができる。粘着剤層が金属塩化物を含むことで、貼付製剤をヒト皮膚に貼付した状態で、粘着剤層の凝集力の低下が軽減され、粘着剤層を剥離する際の凝集破壊が生じ難いものとなる。
【0047】
かかる金属塩化物としては、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩化物;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物;塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄等が挙げられる。安全性および粘着剤層の凝集力低下抑制能に優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄が好ましく、塩化ナトリウム、塩化カルシウムがより好ましく、とりわけ好ましくは塩化ナトリウムである。これらはいずれかを単独で使用しても2種以上を併用してもよい。金属塩化物の配合量としては、粘着剤100重量部当たり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、最も好ましくは3〜10重量部である。この配合量が0.1重量部未満の場合、粘着剤層の凝集力低下を抑制する効果が不充分となる場合があり、逆に20重量部を超えた場合、抑制効果はあるものの粘着剤(粘着性ポリマー)中に均一に分散出来ず、製剤が外観不良を引き起こすことがある。
【0048】
本発明において、金属塩化物は、粘着剤層の形成過程で、塩酸ドネペジルを、金属を含有する無機塩基で中和して生じさせてもよく、かかる金属を含有する無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機塩基等が挙げられ、副生成物を生じ難いという観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムであり、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0049】
本発明の貼付製剤において、粘着剤層の厚みは20〜300μmが好ましく、30〜300μmがより好ましく、50〜300μmが最も好ましい。粘着剤層の厚みが20μm未満であると、十分な粘着力を得ること、有効量のドネペジルを含有させること、が困難となるおそれがあり、粘着剤層の厚みが300μmを超えると塗工困難のおそれがある。
【0050】
本発明の貼付製剤は、支持体と粘着剤層を含み、好ましくは剥離ライナーを備える。すなわち、本発明の貼付製剤は、前述の粘着剤層を支持体の少なくとも片面に積層した構造を有し、粘着剤層の粘着面(粘着剤層の支持体に積層した面と反対の面)は、使用の直前まで剥離ライナーで被覆して保護されていることが好ましい。また、シリコーン系、フッ素系、ワックス等の背面処理剤を支持体上に塗布し、剥離ライナーを用いずにロール状の形態とすることもできる。
【0051】
支持体は、特に限定はされないが、粘着剤層中のドネペジルが支持体中を通ってその背面から失われて割合が低下しないもの(即ち、ドネペジルに対して不透過性を有する材料)が好ましく、また、後述するように粘着剤層中に有機液状成分を含有させる態様の場合は、ドネペジルと有機液状成分が支持体中を通って背面から失われてそれらの割合が低下しないもの(即ち、有機液状成分およびドネペジルに対して不透過性を有する材料)が好ましい。
【0052】
具体的には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂などの単独フィルム、金属箔、又はこれらから選ばれる2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなどが挙げられる。これらのうち、支持体として粘着剤層との接着性(投錨性)を向上させるために支持体を上記材質からなる無孔性フィルムと下記の多孔性フィルムとのラミネートフィルムとし、多孔性フィルム側に粘着剤層を形成することが好ましい。
【0053】
当該多孔性フィルムとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものであれば特に限定されず、例えば紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)不織布など)、上記のフィルム(例えば、ポリエステル、ナイロン、サラン(商品名)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、金属箔、ポリエチレンテレフタレートなどの単独フィルム、およびこれらの1種または2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなど)に機械的に穿孔処理したフィルムなどが挙げられ、特に紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布など)が支持体の柔軟性の点から好ましい。多孔性フィルムの厚みは投錨性向上および粘着剤層の柔軟性を考慮すると通常10〜500μm、プラスタータイプや粘着テープタイプのような薄手の貼付製剤の場合は通常1〜200μm程度である。織布や不織布の場合は、これらの目付量を5〜30g/m2とすることが投錨力の向上の点で好ましい。
【0054】
本発明の貼付製剤の支持体の厚みは、特に限定されないが、好ましくは2〜200μm、より好ましくは10〜50μmである。2μm未満であると、自己支持性等の取扱い性が低下する傾向となり、200μmを超えると、違和感(ごわごわ感)を生じ、追従性が低下する傾向となる。
【0055】
剥離ライナーとしては、特に制限されず、公知の剥離ライナーを用いることができる。具体的には、剥離ライナーとしては、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が剥離ライナー用の基材の表面に形成された剥離ライナーや、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム、剥離ライナー用の基材の表面に、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材による剥離層を形成した構成の剥離ライナーなどが挙げられる。剥離ライナーの剥離面は、基材の片面のみであってもよく、両面であってもよい。
【0056】
このような剥離ライナーにおいて、剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、長鎖アルキル基含有ポリマー、シリコーンポリマー(シリコーン系剥離剤)、フッ素系ポリマー(フッ素系剥離剤)などの剥離剤が挙げられる。剥離ライナー用の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステル(PETを除く)フィルムなどのプラスチックフィルムやこれらのフィルムに金属を蒸着した金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;金属箔などが挙げられる。
【0057】
また、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体又はランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなどを用いることができる。
【0058】
なお、前記剥離ライナー用の基材の表面に形成される剥離層は、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材を、前記剥離ライナー用の基材上に、ラミネート又はコーティングすることにより形成することができる。
【0059】
剥離ライナーの厚み(全体厚)としては、特に限定するものではないが、通常200μm以下、好ましくは25〜100μmである。
【0060】
本発明において、貼付製剤の製法は特に限定されないが、一実施態様として、本発明の貼付製剤は、粘着剤と、ドネペジルと、上記の特定の安定化剤とを少なくとも含む調合物を成膜してドネペジルを含む粘着剤層を形成することによって製造される。すなわち、本発明はまた、支持体の少なくとも片面に設けるドネペジルを含有する粘着剤層を、粘着剤と、ドネペジルと、上記の特定の安定化剤を含む調合物の成膜によって形成する、ドネペジル含有貼付製剤の製造方法に関する。さらに、上記の特定の安定化剤を、粘着剤の存在下、ドネペジルと共存させることを含む、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色を抑制する方法に関する。
【0061】
この実施態様では、粘着剤層形成用の調合物中でドネペジルに上記の特定の安定化剤が付されるので、粘着剤層の形成に使用する調合物の調製時から製剤の安定化が図られるとともに、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色が抑制される。
【0062】
具体的には、例えば、粘着剤、ドネペジル、上記の安定化剤等を溶媒に溶解または分散させて調合し、得られた溶液または分散液を支持体の少なくとも片面上に塗布し、乾燥して成膜することにより粘着剤層を支持体の表面上に形成させ、次いで剥離ライナーを設ける方法が挙げられる。あるいは、例えば、上記の溶液または分散液を保護用の剥離ライナーの少なくとも片面上に塗布し、乾燥して成膜することにより粘着剤層を剥離ライナーの表面上に形成させ、次いで支持体を粘着剤層に接着させることによって製造することができる。
【0063】
上記の粘着剤等を溶解乃至分散させる溶媒には、例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、2−プロパノール、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。また、架橋剤を添加した後、これらを粘度調整のために使用することもできる。
【0064】
なお、粘着剤層が架橋される場合、化学的架橋処理にあっては、好ましくは上記溶液または分散液中に架橋剤が添加される。また、粘着剤層が架橋される場合、成膜後の粘着剤層に架橋を促進するために、好ましくは保管(エージング処理(熟成工程))が行われる。かかるエージング処理(熟成工程)は、通常、上記溶液または分散液を塗布、乾燥して成膜後(粘着剤層形成後)、得られた粘着剤層を60〜90℃(好ましくは60〜80℃)の加熱下に、12〜96時間程度(好ましくは24〜72時間程度)置くことによって行われる。この間、ドネペジルは上記の安定化剤と共存することにより、製剤の着色が抑制される。
【0065】
本発明の貼付製剤の形状は限定されず、例えば、テープ状、シート状、マトリックス型、リザーバー型、膜放出制御型などを含む。テープ状またはシート状が環境、特に酸素の影響を受けやすいことから、本発明の安定化効果は有利である。
【0066】
また、本発明の貼付製剤の投与量は、使用する粘着剤や有機液状成分の種類や量、患者の年齢、体重、症状などにより異なるが、通常、成人に対して、ドネペジルまたは塩酸ドネペジル2〜150mgを含有した貼付製剤を皮膚5〜120cm2に、1〜7日間程度貼り付けるのが好ましい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。なお、記載中、特記しない限り、「部」は「重量部」を意味する。
【0068】
実施例1〜15および比較例1〜9
不活性ガス雰囲気下、アクリル酸2−エチルへキシル75部、N−ビニル−2−ピロリドン22部、アクリル酸3部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2部を酢酸エチル中60℃にて溶液重合させて粘着剤Aの酢酸エチル溶液(粘着剤固形分:28%)を得た。
次に、下記表2に示す安定化剤を含み、下記表1の配合組成を混合し、酢酸エチルで粘度調整して塗工液を得た。これをポリエチレンテレフタレート(PET)剥離ライナー上に乾燥後厚60μmとなるよう塗布し、乾燥し、これにPET支持体を貼り合せて貼付製剤を得た後、70℃、48時間保管して実施例1〜15および比較例1〜9の保管された貼付製剤を得た。
【0069】
【表1】

【0070】
参考例1
塩酸ドネペジルおよび2種の添加剤を配合しないこと以外は、実施例1と同様に処理して、参考例1の保管された貼付製剤(プラセボ製剤)を得た。
【0071】
参考例2
2種の添加剤を配合しないこと以外は、実施例1と同様に処理して、参考例2の保管された貼付製剤(コントロール製剤)を得た。
【0072】
(経時的な変色の測定)
まず、参考例1の貼付製剤(プラセボ製剤)の色彩を、CIE1976(L*a*b*)表色系(エルスター・エースター・ビースター表色系 JIS Z 8729)により表される色彩値(L*s,a*s,b*s)とし、次いで、実施例1〜15および比較例1〜9の貼付製剤、ならびに参考例2の貼付製剤(コントロール製剤)の各々の色彩を、CIE1976(L*a*b*)表色系(エルスター・エースター・ビースター表色系 JIS Z 8729)により表される色彩値(L*1,a*1,b*1)とした。
そして、得られた参考例1の貼付製剤(プラセボ製剤)の色彩値(L*s,a*s,b*s)を基準点として、実施例1〜15および比較例1〜9の貼付製剤ならびに参考例2の貼付製剤(コントロール製剤)の色彩値(L*1,a*1,b*1)との色差(ΔE*ab1)を、下記式1にしたがって算出した。結果を表2に示す。
ΔE*ab1=[(L*1-L*s) 2+(a*1-a*s) 2+(b*1-b*s) 2]1/2 ・・・ (式1)
次いで、実施例1〜15および比較例1〜9の貼付製剤、および参考例2の貼付製剤(コントロール製剤)を、23℃の恒温条件で8〜11ヶ月保存した後、長期保存後の実施例1〜15および比較例1〜9の貼付製剤、および参考例2の貼付製剤(コントロール製剤)の色彩値(L*t,a*t,b*t)を、上記と同様に測定した。
そして、上述した各製剤の長期保存前の色彩値(L*1,a*1,b*1)を基準点として、実施例1〜15および比較例1〜9の貼付製剤ならびに参考例2の貼付製剤(コントロール製剤)の長期保存後の色彩値(L*t,a*t,b*t)との色差(ΔE*ab2)を、下記式2にしたがって算出した。結果を表2に示す。
ΔE*ab2=[(L*t-L*1) 2+(a*t-a*1) 2+(b*t-b*1) 2]1/2 ・・・ (式2)
【0073】
【表2】

【0074】
表2から明らかなように、実施例1〜15の貼付製剤は、比較例1〜9および参考例2と比較して、長期保存前後の色差ΔE*ab2が小さな値となった。このことから、実施例1〜15の貼付製剤においては、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色が抑制されたことが確認された。
【0075】
実施例16〜30
安定化剤を表3に示す2種の安定化剤(各々0.5重量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様に操作して、実施例16〜30の保管された貼付製剤を得た。
得られた実施例16〜30の保管された貼付製剤の色彩値(L*1,a*1,b*1)および長期保存後の色彩値(L*t,a*t,b*t)を上記と同様に測定し、上述の式1および式2にしたがって、各々のΔE*ab1およびΔE*ab2を算出した。結果を、表3に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
表3から明らかなように、実施例16〜30の貼付製剤は、比較例1〜9および参考例2と比較して、長期保存前後の色差ΔE*ab2が小さな値となった。このことから、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色が抑制されたことが確認された。
また、実施例16、実施例17、実施例19、実施例20、実施例22、実施例24、実施例26および実施例27においては、長期保存前後の色差ΔE*ab2が、併用した安定化剤の各々単独の経時的な変色抑制効果の相加平均(実施例1、実施例4、実施例5、実施例8、実施例11および実施例12の色差ΔE*ab2に基づいて計算される値であり、それぞれ、1.1、1.3、0.8、34.5、0.7、0.6、0.3および0.3となる。)を下回る値となった。このことから、これらの実施例にて用いている安定化剤の組み合わせによれば、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色の抑制効果が相乗的に発揮されることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、ドネペジル含有貼付製剤の経時的な変色を抑制して、長期間において一定の外観を維持することができ、医師や患者などの使用者や取扱者における製剤への信頼性が高められるので、非経口投与、特に経皮投与による抗アルツハイマー型認知症、抗脳血管性認知症、片頭痛予防等の医薬用途において、広く且つ有効に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と粘着剤層とを有し、該粘着剤層に粘着剤とドネペジルとを含む、貼付製剤の経時的な変色を抑制する方法であって、
前記方法は、前記粘着剤層中に、前記粘着剤と、前記ドネペジルと、安定化剤と、を含ませることを含み、
前記安定化剤が、アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステル、イソアスコルビン酸またはその金属塩、エチレンジアミン四酢酸またはその金属塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、3(2)−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール、(±)−α−トコフェロール、酢酸(±)−α−トコフェロール、ルチン、次亜リン酸、メタ重亜硫酸金属塩、およびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、方法。
【請求項2】
前記安定化剤が、以下(a)〜(e)よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
(a)アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステルと、イソアスコルビン酸またはその金属塩、メタ重亜硫酸金属塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(b)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(c)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩およびルチンからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(d)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩との組み合わせ
(e)ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩と、ルチンとの組み合わせ
【請求項3】
前記安定化剤が、以下(a−1)〜(c−1)よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の方法。
(a−1)アスコルビン酸またはその金属塩もしくはエステルと、イソアスコルビン酸またはその金属塩、メタ重亜硫酸金属塩、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、およびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(b−1)イソアスコルビン酸またはその金属塩と、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩および2−メルカプトベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
(c−1)2−メルカプトベンズイミダゾールと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールおよびヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせ
【請求項4】
前記粘着剤と、前記ドネペジルと、前記安定化剤を含む調合物を準備する工程と、
前記調合物を前記支持体表面に付与して前記粘着剤層を成膜する工程と、
を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2012−255044(P2012−255044A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222172(P2012−222172)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2008−547069(P2008−547069)の分割
【原出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】