説明

ドレン処理装置及びドレン処理方法

【課題】適切なドレン処理が可能となるドレン処理装置及びドレン処理方法の提供。
【解決手段】実施形態にかかるドレン処理装置10は、液体を貯留する貯留部20と、貯留部20内における第1の液体としての水の液位を検出するフロートセンサ30と、貯留部20内の水を外部に排出可能とする排水処理部40と、検出された液位が高い高位状態が連続する場合に水を排出させる制御部41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン処理装置及びドレン処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設・土木機械等の車両では、メンテナンスの一環として、燃料タンクのドレンコックを開いて水や塵埃の排出を行っている。一般的な車両のドレン処理として、燃料タンク内の水位を目視して手動により排出部に設けられた弁を開閉することで、手動でドレン処理を行っている。
【0003】
一方、例えば家庭に設置されたポンプ装置などにおいて、流路に侵入する水を除去するために、例えば燃料タンクに燃料を貯留させて燃料と水を分離させるとともに燃料タンク内の水の液位を検出する検出器を設け、水位が所定の液位を超えた場合に燃料タンクの排水部の弁を開閉するように構成された自動式のドレン処理装置が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−342972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術では次のような問題がある。すなわち、例えば燃料タンクが振動したり傾斜したり動作する際には水位が変化しやすく、検出の正確性が低下する。したがって、動作を伴う環境下では自動式での適切な検出は困難となり、ドレン処理の精度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかるドレン処理装置は、液体を貯留する貯留部と、前記貯留部内における第1の液体の液位を検出する液位検出部と、前記貯留部内の第1の液体を前記貯留部外部に排出可能とする排出部と、前記検出された前記貯留部内の液位が高い状態が連続する場合に、前記排出部から前記液体を排出させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
他の実施形態にかかるドレン処理方法は、液体を貯留可能な貯留部内の液位を検出し、前記検出された前記貯留部内の液位が高い状態が連続する場合に、前記液体を前記貯留部の外部に排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるドレン処理装置およびドレン処理方法によれば動作を伴う環境においても適切なドレン処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態にかかるドレン処理装置の構成を示す側面図。
【図2】同ドレン処理装置のシステムを示すブロック図。
【図3】同ドレン処理装置の電気的接続を示す説明図。
【図4】同ドレン処理装置の制御手順を示すフローチャート。
【図5】同ドレン処理装置の傾いた状態を示す側面図。
【図6】他の実施形態にかかるドレン処理装置の制御手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態にかかる濾過装置について図1乃至図4を参照して説明する。
【0011】
図1は実施形態にかかるドレン処理装置10の構成を示す側面図、図2は同ドレン処理装置10のシステムを示すブロック図、図3は電気的接続を示す説明図、図4はドレン処理装置10の傾いた状態を示す側面図、図5は制御手順を示すフローチャートである。図中Z方向は鉛直方向を示している。
【0012】
図1に示すドレン処理装置10は、例えばディーゼルエンジン車や建設機械などにおける燃料回路に設けられた油水分離フィルタ11の下部に設置されている。燃料が油水分離フィルタ11を通過する際に、外側ろ材と内側ろ材の間にて凝集・粗大化した燃料中の水滴が下方に設けられたドレン処理装置10に溜まるように構成されている。
【0013】
ドレン処理装置10は、燃料Fや水Wなどの液体を貯留する貯留部20と、貯留部20内の水位を検出する液位検出部としてのフロートセンサ30と、貯留部20内の水Wを外部に排出可能とする排水処理部40と、を備えて構成されている。
【0014】
貯留部20は、底部21と側壁部22を有する中空容器であり、内部に液体を貯留可能になっている。貯留部20は、例えば車体フレームなどに取り付けられる。貯留部20内部では、軽油などの燃料F(第2の液体)と、燃料Fに混ざった水W(第1の液体)が、貯留され、比重により上下に分離される。図1に示すように貯留部20内部上部には燃料Fが貯留され、貯留部20内部下部には水Wが溜まる。このとき、比重の大きい塵や埃などの異物も下部に堆積する。
【0015】
底部21には排水口(第1液体排出口)28が形成されている。この排水口28は排水路28aに連通している。貯留部20下方の排水路28aにはコントロールボックス29が設置され、コントロールボックス29内には排水処理部40が収容されている。
【0016】
また、貯留部20内部には、液位検出部としてのフロートセンサ30が設けられている。フロートセンサ30は燃料Fと水Wの間の比重を有するとともに水位に応じて上下に移動可能なフロート31を有している。フロートセンサ30は水位に応じて変位するフロート31の位置に基づき水位情報を検出して制御部41に送信する。
【0017】
排水処理部40は制御部41を搭載した制御盤42と、制御部41の制御により排水路28aを開閉する電磁弁43と、電源としてのバッテリ44と、貯留部20内の水Wを排出側に送る排水処理を行う排水ポンプ45と、を備えている。これらの制御盤42、電磁弁43、バッテリ44、排水用ポンプ45、がコントロールボックス29内に収容されている
図2及び図3に示すように、ドレン処理装置10の制御部41は例えば電磁弁43や排水ポンプ45に接続され、電磁弁43の開閉動作や排水ポンプ45の動作を制御することにより排水処理を制御する。制御部41はタイマ46に接続され、タイマ46を作動させることにより電磁弁43の動作タイミングを制御する。
【0018】
また制御部41は、車体に設けられた車体PC16、フロートセンサ30、車体に設けられた表示器17、などに接続されている。制御部41は車体本体PC16に接続されたインストルメントパネル15における設定入力情報や、フロートセンサ30からの検出情報を含む各種情報に基づいてデータ処理を行い、電磁弁43を開閉動作させる制御を行うとともに、各種情報を表示器17に表示させる制御を行う。
【0019】
ドレン処理装置10は例えば建設機械や土木機械などの車両に設けられているため、動作環境によって傾斜したり、振動したりする場合がある。図4は貯留部20が35度傾斜した状態を示す断面図である。このように動作した場合にはフロート31の高さによって決定される見かけの水量と実際の水量との間にずれが生じる。
【0020】
次に、本実施形態にかかるドレン処理装置10によるドレン処理方法の制御手順について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
初期状態において電磁弁43は排水路28aを閉じており、フロートセンサ30は貯留部20内の水と燃料Fの間に配置されている。
【0022】
制御部41はエンジン14がオンになると、まず、フロートセンサ30により液位情報を取得する(ST1)。そして液位が所定の高閾値よりも高いか否かを判定する(ST2)。例えば高閾値は貯留部20の高さの2/3程度となる所定の値に設定される。
【0023】
制御部41は検出された水位が閾値よりも高い場合には(ST2のYES)、タイマ46を作動させ、この高位状態(検出された水位が閾値よりも高い状態)が一定時間連続するかどうかを検出する(ST3)。ST2において閾値以下である場合(ST2のNo)にはST1に戻り、高位状態を検出するまで検出を繰り返す。連続時間は、貯留部20の形状や大きさ動作環境などの条件によって設定されるが、本実施形態では例えば10秒間とした。
【0024】
制御部41は、高位状態が10秒間連続した場合には(ST3のYES)電磁弁43を開けるとともに排水ポンプ45を動作させ、排水処理を開始する(ST4)。これにより、貯留部20の底に溜まった水が排水路28aを通って外部に排出される。
【0025】
一方、10秒間連続しない場合には、電磁弁43および排水ポンプ45は動作させずに、再びST1に戻る。そしてST1〜ST4を繰り返す。
【0026】
ST3にて排水処理を行った場合には、電磁弁43を開けて排水を行っている間に水位を検出する(ST5)。排水により水位が下がり、あらかじめ設定された所定の低閾値(第2の閾値)を下回った時点で電磁弁43を閉じるとともに排水ポンプ45を停止して排水を終了し(ST6)、再びST1に戻る。例えば低閾値は貯留部20の高さの1/3程度となる所定の値に設定される。以上の動作をエンジン14がオフされるまで繰り返し行う。
【0027】
本実施形態によれば、制御部41の制御により高位状態が一定時間連続する場合にのみ排水をさせることとしたので、液位が不安定な場合の誤動作を防止することができる。すなわち、一定時間高位状態が継続しない場合には電磁弁の開動作を行わず排水処理をしないこととしたので、例えば貯留部20の傾斜により実際の水位よりも見かけの水位が上昇した場合や貯留部20の振動により水面が波打っている場合などには排水処理を行わないため、誤動作を防止することができる。
【0028】
このように、一定時間の連続を条件としたことにより、傾きや振動がある場合にも対応できるので、傾きセンサを設け、あるいはフロートセンサのストロークLを長くするなどの追加の設備が不要となり、装置構成を複雑化することなく貯留部20の動作時でも適切なドレン処理が可能となる。
【0029】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成は、上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0030】
例えば上記実施形態においては一定時間連続して検出する場合を例示下がこれに限られるものではない。例えば他の実施形態として、図6に示すように、高位状態を一定回数連続して検出した場合に(ST12)、排水処理を行うようにしてもよい。この場合であっても上記実施形態と同様の効果を得られる。さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0031】
10…ドレン処理装置、11…油水分離フィルタ、16…車体PC、15…インストルメントパネル、17…表示器、20…貯留部、21…底部、22…側壁部、23…蓋部、28…排水口(第1液体流出口)、28a…排水路、29…コントロールボックス、30…フロートセンサ、31…フロート、40…排水処理部、41…制御部、42…制御盤、43…電磁弁、44…バッテリ、45…排水ポンプ、46…タイマ、F…燃料、W…水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部内における第1の液体の液位を検出する液位検出部と、
前記貯留部内の第1の液体を前記貯留部外部に排出可能とする排出部と、
前記検出された前記貯留部内の液位が高い状態が連続する場合に、前記排出部から前記液体を排出させる制御部と、
を備えたことを特徴とするドレン処理装置。
【請求項2】
前記貯留部は、水を含む燃料を貯留し、前記燃料と前記燃料に含まれる水とを上下に分離させ、
前記液位検出手段は前記水の液位を検出するフロートセンサであり、
前記排出部は前記貯留部の下部に溜まる水を排出することを特徴とする請求項1記載のドレン処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記貯留部内の液位が第1の閾値以上となる高位状態が一定時間以上連続して検出される場合に、前記排出を行うことを特徴とする請求項1または2記載のドレン処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記貯留部内の第1の液体の液位が第1の閾値以上となる高位状態が一定回数以上連続して検出される場合に、前記排出を行うことを特徴とする請求項1または2記載のドレン処理装置。
【請求項5】
液体を貯留可能な貯留部内の液位を検出し、
前記検出された前記貯留部内の液位が高い状態が連続する場合に、前記液体を前記貯留部の外部に排出することを特徴とするドレン処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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