説明

ナビゲーション装置、および回避エリア設定方法

【課題】複数の回避エリアを簡単な操作で一括して設定する。
【解決手段】ナビゲーション装置1において、記憶部170は、地図情報51に含まれる地点ごとに、所定のカテゴリを示す情報を関連付けたカテゴリ情報52を記憶する。回避エリア設定部140は、ユーザ操作受付部160を介して、所定のカテゴリの指定を受け付けると、カテゴリ情報52を用いて、指定されたカテゴリに含まれる地点を特定し、それぞれの地点について所定の範囲の回避エリアを設定する一括して設定する。経路算出部130は、一括して設定された回避エリアを通らない推奨経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、および回避エリア設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるナビゲーション装置において、ユーザが自車両を走行させてたくない、道路(以下、「回避道路」と呼ぶ。)や、地図上の範囲(以下、「回避エリア」と呼ぶ。)の指定を受け付け、指定された回避道路や回避エリアに含まれる道路を通らない推奨経路を探索する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−304516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の回避道路や回避エリアを指定する場合、ユーザは、回避対象の道路やエリアごとに設定操作を行う必要がある。
【0005】
例えば、道路の混雑が予想されるエリアや交通の危険性が高いエリアを、予め経路探索の対象から除外したい場合、ユーザは、地図上から1つ1つエリアを探し出し、それぞれに回避エリアに関する設定を行う必要がある。このような作業は、ユーザにとって負担である。
【0006】
本発明は、複数の回避エリアを簡単な操作で一括して設定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためのナビゲーション装置に係る発明は、地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置であって、前記地図情報に含まれる地点ごとに、所定のカテゴリを示す情報を関連付けたカテゴリ情報を記憶する記憶手段と、前記カテゴリの指定を受け付けるカテゴリ指定手段と、指定されたカテゴリに含まれる地点を前記カテゴリ情報から特定し、特定した地点それぞれについて所定の範囲の回避エリアを設定する回避エリア設定手段と、設定された回避エリアを通らない推奨経路を探索する経路探索手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
ここで、上記のナビゲーション装置は、前記回避エリアのサイズの指定を受け付ける回避エリアサイズ指定手段を有し、前記回避エリア設定手段は、指定された回避エリアサイズの回避エリアを、特定した地点それぞれに設定することを特徴としていてもよい。
【0009】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記カテゴリ指定手段は、前記カテゴリの一覧を表示し、前記一覧の中からカテゴリの指定を受け付けることを特徴としていてもよい。
【0010】
上記の課題を解決するための方法に係る発明は、地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置における回避エリア設定方法であって、前記ナビゲーション装置は、前記地図情報に含まれる地点ごとに、所定のカテゴリを示す情報を関連付けたカテゴリ情報を記憶し、前記カテゴリの指定を受け付けるカテゴリ指定ステップと、指定されたカテゴリに含まれる地点を前記カテゴリ情報から特定し、特定した地点それぞれについて所定の範囲の回避エリアを設定する回避エリア設定ステップと、設定された回避エリアを通らない推奨経路を探索する経路探索ステップと、を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の回避エリアを簡単な操作で一括して設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示すブロック図。
【図2】地図情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図3】カテゴリ情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図4】回避エリア情報のデータ構造の例を説明するための図。
【図5】ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図。
【図6】回避エリアを一括して設定する処理の流れを示すフロー図
【図7】回避エリアを設定する操作画面の遷移例を示す図(その1)。
【図8】回避エリアを設定する操作画面の遷移例を示す図(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
【0015】
ナビゲーション装置1は、車両などに搭載され、地図情報、経路情報、渋滞情報などの交通情報を表示してユーザを誘導するナビゲーション処理を行うための装置である。
【0016】
もちろん、ナビゲーション装置1は、車両に備え付けられたものでなくてもよく、例えば、持ち運び可能なPND(Personal Navigation Device)などであってもよい。また、車内LAN(Local Area Network)、CAN(Controller Area Network)などの車内通信回線を介して他の車載機器やセンサなどの車両機器と通信を行ってもよい。
【0017】
ナビゲーション装置1は、演算処理部10、ディスプレイ20、入力装置30(タッチパネル31、ダイヤルスイッチ32)、音声入出力装置40(スピーカ41、マイクロフォン42)、記憶装置50、車速センサ60、ジャイロセンサ62、GPS(Global Positioning System)受信装置64、FM多重放送受信装置66、ビーコン受信装置68を有する。
【0018】
もちろん、ナビゲーション装置1は、上記の構成に限られず、例えば、地上デジタル放送用のチューナーや、携帯電話回線やインターネットなどの通信ネットワークと接続する通信装置を有していてもよい。
【0019】
演算処理部10は、上記の各装置を制御し、様々な処理を行う中心的ユニットである。演算処理部10は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)11と、実行するプログラムや必要なデータを格納するRAM(Random Access Memory)12やROM(Read Only Memory)13などのメモリと、他の装置を通信により制御するためのインタフェース(I/F)14とが、信号線15により接続されて構成される。
【0020】
演算処理部10は、例えば、車速センサ60、ジャイロセンサ62、GPS受信装置64から出力される情報を用いて現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図情報を記憶装置50から読み出す。
【0021】
また、演算処理部10は、読み出した地図情報をグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ20へ表示する。また、地図情報を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を算出して、ディスプレイ20へ表示する。
【0022】
また、演算処理部10は、例えば、スピーカ41を介してユーザを誘導するための音声を出力する。また、マイクロフォン42や入力装置30を介してユーザの要求を受け付け、要求に対応する処理を実行する。
【0023】
また、演算処理部10は、例えば、FM多重放送受信装置66やビーコン受信装置68を介して、情報センターから交通情報などを受信してディスプレイ20へ表示する。
【0024】
ディスプレイ20は、演算処理部10で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ20は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0025】
入力装置30は、ユーザの指示をユーザの操作により受け付けるためのユニットである。入力装置30は、タッチパネル31と、ダイヤルスイッチ32と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キー、キーボードなどで構成される。
【0026】
タッチパネル31は、ディスプレイ20の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル31は、ディスプレイ20に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して演算処理部10に出力する。タッチパネル31は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0027】
ダイヤルスイッチ32は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部10に出力する。演算処理部10では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ32の回転角度を求める。
【0028】
音声入出力装置40は、音声出力装置としてスピーカ41と、音声入力装置としてマイクロフォン42とを備える。スピーカ41は、演算処理部10で生成された音声信号を出力する。マイクロフォン42は、ユーザその他の搭乗者から発せられた音声などの、ナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0029】
スピーカ41とマイクロフォン42とは、車両の所定の部位に、別個に配置されている。もちろん、スピーカ41とマイクロフォン42とは、一体の筐体に収納されていてもよい。また、ナビゲーション装置100は、スピーカ41およびマイクロフォン42を、それぞれ複数備えることができる。
【0030】
記憶装置50には、演算処理部10が各種処理を実行するために必要な、プログラムやデータ、ナビゲーション処理に使用される地図情報、音声認識に使用される音声辞書など(図示せず)が格納される。また、記憶装置50には、回避エリアの設定に使用される各種情報(カテゴリ情報、回避エリア情報)が格納される。これらの情報は、演算処理部10のCPU11によってRAM12上に読み出されて使用される。記憶装置50は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD-ROMなどにより構成される。
【0031】
ここで、図2〜4を参照して、地図情報、カテゴリ情報、回避エリア情報について説明する。
【0032】
図2は、地図情報のデータ構造の例を説明するための図である。
【0033】
本図に示すように、地図情報51は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)5111ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ5120を含んでいる。リンクデータ5120は、リンクの識別コード(リンクID)5121ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報5122、リンクを含む道路の種別情報5123、リンクの長さを示すリンク長情報5124、リンク旅行時間5125、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)5126、リンクに含まれる車線の数を示す車線数5127などを含んでいる。リンクの道路種別には、有料道路か否かの情報が格納されている。
【0034】
もちろん、地図情報51の構成は上記に限られない。
【0035】
図3は、カテゴリ情報のデータ構造の例を説明するための図である。カテゴリ情報52は、指定されたカテゴリに含まれる複数の地点を特定するために用いられる情報である。
【0036】
本図に示すように、カテゴリ情報52は、カテゴリを識別するためのコード(カテゴリID)5211ごとに、当該カテゴリに含まれる地点の情報を含んでいる。カテゴリID5211は、所定のカテゴリごとに予め割り当てられた識別情報である。
【0037】
カテゴリとは、目的地や経由地として設定可能な少なくとも1以上の地図上の地点を、例えば、駅、ショッピングセンター、レジャー施設、テーマパーク、スポーツ施設などのジャンルや用途ごとの分類である。ユーザが指定する地点である登録地のカテゴリがあってもよい。また、例えば、「海岸線沿い」などの、地理的な条件に基づくカテゴリがあってよい。また、ユーザが任意のカテゴリを追加して、任意の地点を登録できるようにしてもよい。
【0038】
カテゴリに含まれる地点の情報の各エントリは、地点を識別するためのコード(地点ID)5221、当該地点と対応するノードの座標情報5222、当該地点の名称5223、当該地点が属する地理的な地域情報5224を含んでいる。
【0039】
例えば、「駅」のカテゴリの場合、当該カテゴリに含まれる地点情報として、全国の駅のエントリが含まれる。名称5223には、例えば、「A駅」、「B駅」などの名称が格納される。地域情報5224には、例えば、「A県」、「B県」などの都道府県を示す情報が格納される。他のカテゴリの場合も上記と同様に全国のエントリが含まれる。「海岸線沿い」のカテゴリの場合、全国の海岸線沿いの地点のエントリが含まれる。
【0040】
カテゴリに応じて、地点の情報の各エントリは他の属性情報を含んでいてもよい。例えば、「駅」のカテゴリの場合、駅を通過する路線を示す路線情報5225を含んでいる。この路線情報5225を用いることにより、指定された路線が通過する駅のエントリを特定することができる。
【0041】
もちろん、カテゴリ情報52の構成は上記に限られない。
【0042】
図4は、回避エリア情報のデータ構造の例を説明するための図である。回避エリア情報は、設定された回避エリアを特定するための情報である。
【0043】
本図に示すように、回避エリア情報53は、回避エリアを識別するためのコード(回避エリアID)5311ごとに、回避エリアを特定する情報を1つ以上含む。
【0044】
回避エリアを特定する情報の各エントリは、地点を識別するためのコード(地点ID)5321、当該地点と対応するノードの座標情報5322、当該地点を基準として設定された回避エリアの範囲を示す座標情報5323を含む。
【0045】
地点ID5321および座標情報5322には、それぞれ、カテゴリ情報に含まれる地点ID5221および座標情報5222に対応する情報が格納される。座標情報5323には、例えば、指定された回避エリアサイズに基づいて算出された、座標情報5322の位置を中心とする地図上の範囲を示す座標情報が格納される。
【0046】
指定されたカテゴリについて一括して回避エリアが設定された場合、当該カテゴリについて1つの回避エリアID5311が割り当てられる。すなわち、同一カテゴリに属する複数の回避エリアについて1つの回避エリアID5311が割り当てられる。また、当該カテゴリに属する複数の回避エリアのエントリが作成される。
【0047】
なお、指定されたカテゴリに含まれる地点が1つである場合や、指定された地点について回避エリアが設定された場合、当該地点を基準とする回避エリアについて1つの回避エリアID5311が割り当てられる。また、指定された範囲が回避エリアとして設定された場合、地点ID5321および座標情報5322には、情報が格納されない。
【0048】
もちろん、回避エリア情報53の構成は上記に限られない。回避エリアとして指定された地点ごとに回避エリアID5311を割り当てるようにしても良い。
【0049】
図1に戻って、車速センサ60、ジャイロセンサ62、及び、GPS受信装置64は、移動体(ナビゲーション装置1)の現在位置(自車位置)などを検出するために使用される。
【0050】
車速センサ60は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ62は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置64は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置や進行速度を測定する。
【0051】
上記のようにして検出されたデータは、演算処理部10に送られて、ナビゲーション処理に使用される。もちろん、各種センサは、車内LANやCANを介してナビゲーション装置1と接続されていてもよい。
【0052】
FM多重放送受信装置66は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などや、FM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0053】
ビーコン受信装置68は、ビーコンから送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報などを受信する。
【0054】
次に、図5を参照して、ナビゲーション装置1の機能構成について説明する。図5は、ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図である。
【0055】
本図に示すように、ナビゲーション装置1は、経路誘導部110、現在地算出部120、経路算出部130、回避エリア設定部140、表示処理部150、ユーザ操作受付部160、記憶部170を有する。記憶部170は、地図情報51、カテゴリ情報52、回避エリア情報53を有する。
【0056】
経路誘導部110、現在地算出部120、経路算出部130、回避エリア設定部140、表示処理部150、ユーザ操作受付部160は、演算処理部10のCPU11が、記憶装置50やROM13から、所定のプログラムやデータをRAM12上にロードして実行することにより構築される。記憶部170は、記憶装置50やRAM12により構築される。
【0057】
経路誘導部110は、ナビゲーション装置1の本来の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路の表示、経路誘導等)を行う。
【0058】
具体的には、経路誘導部110は、現在地算出部120が算出した現在地周辺の地図情報を記憶部170から読み出す。そして、読み出した地図情報に現在地情報を重ねて表示するように表示処理部150に指示する。
【0059】
また、経路誘導部110は、経路算出部130が算出した経路情報がある場合は、その経路を表示するように表示処理部150に指示する。FM多重放送受信装置66やビーコン受信装置68を介して取得した交通情報を表示するようにしてもよい。また、経路誘導部110は、スピーカ41を用いてユーザを案内する音声を出力する。また、ユーザ操作受付部160を介して受け付けたユーザの操作に対応する処理を行う。
【0060】
現在地算出部120は、所定の間隔毎(例えば、所定距離毎、所定時間毎)に、車速センサ60、ジャイロセンサ62、GPS受信装置64から出力される情報を用いて現在地を算出する。算出された現在地情報は、経路誘導部110、経路算出部130などに送られてそれらの処理に使用される。
【0061】
経路算出部130は、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ推奨経路の探索を行う。回避エリアが設定されている場合は、当該回避エリアに含まれる道路(リンク)を通過しない推奨経路の探索を行う。
【0062】
具体的には、経路算出部130は、まず、ユーザ操作受付部160を介してユーザにより指定された目的地を取得する。また、現在地算出部120から現在地を取得する。また、地図情報51と、回避エリア情報53を記憶部170から読み出す。そして、ダイクストラ法等を用いて、2地点(現在地と目的地)間を結ぶ経路を、所定の地点(ノード)を結ぶ道路(リンク)をリンクコスト(例えば、距離や旅行時間)に換算して、経路上の総コストが他の経路に対して最少となる経路を探索する。
【0063】
経路探索のとき、経路算出部130は、回避エリア情報53の座標情報5323から特定される範囲に含まれるリンクを、経路探索の対象から除外する。なお、FM多重放送受信装置66やビーコン受信装置68を介して取得した交通情報を用いて最適な経路を探索するようにしてもよい。
【0064】
回避エリア設定部140は、回避エリアの設定を受け付けるための操作画面を表示処理部150を介して表示する。また、回避エリアを設定する操作をユーザ操作受付部160を介して受け付ける。そして、指定された回避エリアを特定する情報を生成して回避エリア情報53に格納する。なお、例えば、目的地の周辺やユーザの自宅の周辺については、回避エリアが設定されないようにしてもよい。
【0065】
表示処理部150は、他の機能部の指示を受け付け、ディスプレイ20に画面を表示させるための描画コマンドを生成して出力する。例えば、指定されたスケール、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、経由地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。また、ユーザの指示を受け付けるためのメニュー項目や、操作ボタンなどの画像を描画するように描画コマンドを生成する。
【0066】
ユーザ操作受付部160は、入力装置30を介して入力されたユーザの操作を受け付け、その操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。また、マイクロフォン42を介して入力された音声から、音声認識により対応する操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。
【0067】
例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、ユーザ操作受付部160は、目的地の設定を受け付けるための地図情報やダイアログ、ウインドウなどを表示する処理を、経路算出部130に要求する。また、例えば、ユーザが回避エリアの設定を要求したときは、ユーザ操作受付部160は、回避エリアの設定を受け付けるための地図情報やダイアログ、ウインドウなどを表示する処理を、回避エリア設定部140に要求する。
【0068】
次に、上述のハードウェアおよび機能部により実現される処理について、図6〜8を参照して説明する。
【0069】
図6は、回避エリアを一括して設定する処理の流れを示すフロー図である。本フローは、ユーザにより回避エリアを設定する指示がされることにより開始される。図7、8は、回避エリアを設定する操作画面の遷移例を示す図である。
【0070】
まず、回避エリア設定部140は、回避エリアを一括して設定するための指示を受け付ける(S100)。
【0071】
具体的には、ユーザにより回避エリアの設定を行うための所定の操作(例えば、メニューの選択)が行われると、回避エリア設定部140は、図7(A)に示すような操作メニュー710を、表示処理部150を介してディスプレイ20に表示する。
【0072】
なお、表示処理部150は、経路誘導部110の要求を受け付けて、ディスプレイ20に、地図画像700、現在地マーク702、推奨経路703を表示している。もちろん、推奨経路が算出されていない場合は、推奨経路703は表示されない。
【0073】
操作メニュー710には、回避エリアの設定方法を指定するための各種ボタン711が表示される。本図では、ボタン711として、以下のようなボタンが表示されている。
【0074】
「地図から」ボタンは、回避対象となる地図上の地点や範囲をユーザに指定させることにより、回避エリアを設定する方法を選択するためのボタンである。「周辺施設」ボタンは、現在地の周辺の施設(ノード)の中から回避対象となる施設をユーザに指定させることにより、回避エリアを設定する方法を選択するためのボタンである。
【0075】
「登録地から」ボタンは、ユーザにより予め登録された登録地(ノード)の中から回避対象となる登録地をユーザに指定させることにより、回避エリアを設定する方法を選択するためのボタンである。「一括設定」ボタンは、回避対象となるカテゴリをユーザに指定させることにより、当該カテゴリに含まれる地点(ノード)について、回避エリアを設定する方法を選択するためのボタンである。
【0076】
本フローでは、回避エリア設定部140が、ユーザ操作受付部160を介して「一括設定」ボタン711の選択を受け付けた場合について、以下説明する。
【0077】
一括設定の指示を受け付けると(S100)、回避エリア設定部140は、カテゴリの設定を受け付ける(S110)。
【0078】
具体的には、回避エリア設定部140は、「一括設定」ボタン711の選択を受け付けると、図7(B)に示すような操作メニュー720を、表示処理部150を介してディスプレイ20に表示する。
【0079】
操作メニュー720には、回避対象のカテゴリを指定するための各種ボタン721が表示される。各種ボタン721は、カテゴリ情報52のカテゴリID5211が示すカテゴリに対応する。本図では、ボタン721として、「駅」ボタン、「ショッピングセンター」ボタン、「登録地ボタン」が表示されている。
【0080】
本フローでは、回避エリア設定部140が、ユーザ操作受付部160を介して「駅」ボタン721の選択を受け付けた場合について、以下説明する。
【0081】
カテゴリの設定を受け付けると(S110)、回避エリア設定部140は、詳細設定を受け付ける(S120)。
【0082】
具体的には、例えば、回避エリア設定部140は、「駅」ボタン721の選択を受け付けると、図7(C)に示すような操作メニュー730を、表示処理部150を介してディスプレイ20に表示する。
【0083】
操作メニュー730には、指定されたカテゴリ(S110)をさらに区分したカテゴリを指定するための各種ボタン731が表示される。本図では、ボタン731として、「全国の駅」ボタン、「指定地域」ボタン、「指定路線」ボタンが表示されている。
【0084】
例えば、「指定地域」ボタン731の選択を受け付けた場合、回避エリア設定部140は、図8(D)に示すような操作メニュー740を、表示処理部150を介してディスプレイ20に表示する。
【0085】
操作メニュー740には、地域を指定するための各種ボタン741が表示される。本図では、ボタン741として、都道府県ごとに対応するボタンが表示されている。
【0086】
なお、「全国の駅」ボタン731の選択を受け付けた場合、回避エリア設定部140は、図8(D)に示すような画面を表示せずに、S130に進む。また、「指定路線の駅」ボタン731の選択を受け付けた場合、回避エリア設定部140は、路線を指定するための各種ボタンが表示された操作メニューを表示する。もちろん、地域と路線の両方を指定することができるようにしてもよい。
【0087】
ボタン741の選択を受け付けると(S120)、回避エリア設定部140は、回避エリアサイズの設定を受け付ける(S130)。
【0088】
具体的には、回避エリア設定部140は、図8(E)に示すような操作メニュー750と、設定イメージ欄755とを、表示処理部150を介してディスプレイ20に表示する。
【0089】
操作メニュー750には、回避エリアのサイズを一括して指定するための各種ボタン751が表示される。本図では、ボタン751として、所定のサイズを指定するための、「大」ボタン、「中」ボタン、「小」ボタンが表示されている。
【0090】
設定イメージ欄755には、回避エリアの設定イメージが表示される。例えば、選択されたボタン751に対応するサイズの回避エリアを示す画像が、回避対象の地点および当該地点の周辺の地図とともに表示される。なお、回避エリアは、同一カテゴリに含まれる各地点に一括して設定されるので、設定イメージ欄755には、例えば、複数の地点の中からランダムに選択された地点を、サンプルとして表示するようにすることができる。
【0091】
回避エリアサイズの選択を受け付けると(S130)、回避エリア設定部140は、回避エリアの設定を行う(S140)。
【0092】
具体的には、回避エリア設定部140は、まず、指定されたカテゴリ(S110)と、指定された地域を示す情報(S120)と、指定された回避エリアサイズ(S130)とをユーザ操作受付部160を介して取得する。
【0093】
それから、回避エリア設定部140は、カテゴリ情報52を参照し、指定されたカテゴリと対応するカテゴリID5211に対応付けられたエントリのうち、指定された地域と一致する地域情報5224を有するエントリを特定する。
【0094】
なお、地域として全国が指定された場合、指定されたカテゴリと対応するカテゴリID5211に対応付けられた全エントリを特定する。また、地域以外のカテゴリ、例えば、「路線」が指定された場合、指定されたカテゴリと対応するカテゴリID5211に対応付けられたエントリのうち、指定された路線と一致する路線情報5225を有するエントリを特定する。
【0095】
そして、回避エリア設定部140は、特定したエントリに対応するエントリを、回避エリア情報53に追加する。すなわち、特定したエントリの地点ID5221と座標情報5222を、対応するエントリの地点ID5321と座標情報5322にコピーする。また、追加したエントリのグループについて、新しい回避エリアID5311を割り当てる。
【0096】
また、回避エリア設定部140は、追加した各エントリの座標情報5322と、指定された回避エリアサイズとを用いて、各エントリの地点を基準とする回避エリアの座標情報を算出し、座標情報5323として格納する。
【0097】
上記のようにして、指定されたカテゴリについて回避エリアの設定が行われたあと、経路算出部130は、回避エリア情報53を参照し、回避エリアに含まれる道路(リンク)を通らない推奨経路の算出を行う(S150)。
【0098】
例えば、所定のカテゴリについて回避エリアが設定された場合、図8(F)に示すように、各種情報がディスプレイ20に表示される。
【0099】
本図では、回避エリアを示す情報である回避エリア画像761が、指定されたカテゴリに含まれる地点762を取り囲むように表示されている。また、回避エリアを通過しないように再度探索された推奨経路703が表示されている。
【0100】
以上のようにして、回避エリアが一括して設定される。
【0101】
なお、詳細設定(S130)は実行されないように構成してもよい。また、上記では、指定されたカテゴリに含まれる地点について同一サイズの回避エリアを設定しているが、地点の属性に応じたサイズを設定する構成としてよい。具体的には、例えば、「駅」のカテゴリの各エントリに、駅の大きさを示す情報を含ませるようにする。そして、回避エリアの座標情報を算出する際に、大きさに応じた回避エリアサイズを用いるようにする。
【0102】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、複数の回避エリアを簡単な操作で一括して設定するための技術を提供することができる。すなわち、ユーザは、所定のカテゴリに含まれる複数の地点について、簡単な操作でまとめて回避エリアを設定することができる。また、ユーザが登録地のカテゴリに複数の地点を予め登録しておけば、それらの地点についてまとめて回避エリアを設定することができる。
【0103】
そして、例えば、「駅」などの用途に基づくカテゴリについて回避エリアを一括設定すれば、ユーザは、道路の混雑が予想されるエリアや交通の危険性が高いエリアを回避することができる。また、例えば、「海岸線沿い」などの地理的条件に基づくカテゴリについて回避エリアを一括設定すれば、ユーザは、特定の季節(例えば、夏)に道路の混雑が予想されるエリアや交通の危険性が高いエリア回避することができる。
【0104】
以上、本発明について、例示的な実施形態と関連させて記載した。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、上に記載の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【符号の説明】
【0105】
1:ナビゲーション装置、10:演算処理部、11:CPU、12:RAM、13:ROM、14:I/F、15:信号線、20:ディスプレイ、30:入力装置、31:タッチパネル、32:ダイヤルスイッチ、40:音声入出力装置、41:スピーカ、42:マイクロフォン、50:記憶装置、51:地図情報、52:カテゴリ情報、53:回避エリア情報、60:車速センサ、62:ジャイロセンサ、64:GPS受信装置、66:FM多重放送受信装置、68:ビーコン受信装置、
5111:メッシュID、5120:リンクデータ、5121:リンクID、5122:座標情報、5123:種別情報、5124:リンク長情報、5125:リンク旅行時間、5126:接続リンクID、5127:車線数、
5211:カテゴリID、5221:地点ID、5222:座標情報、5223:名称、5224:地域情報、5225:路線情報、
5311:回避エリアID、5321:地点ID、5322:座標情報、5323:座標情報、
110:経路誘導部、120:現在地算出部、130:経路算出部、140:回避エリア設定部、150:表示処理部、160:ユーザ操作受付部、170:記憶部、
700:地図画像、702:現在地マーク、703:推奨経路、710:操作メニュー、711:ボタン、720:操作メニュー、721:ボタン、730:操作メニュー、731:ボタン、740:操作メニュー、741:ボタン、750:操作メニュー、751:ボタン、755:設定イメージ欄、761:回避エリア画像、762:地点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置であって、
前記地図情報に含まれる地点ごとに、所定のカテゴリを示す情報を関連付けたカテゴリ情報を記憶する記憶手段と、
前記カテゴリの指定を受け付けるカテゴリ指定手段と、
指定されたカテゴリに含まれる地点を前記カテゴリ情報から特定し、特定した地点それぞれについて所定の範囲の回避エリアを設定する回避エリア設定手段と、
設定された回避エリアを通らない推奨経路を探索する経路探索手段と、を有すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記回避エリアのサイズの指定を受け付ける回避エリアサイズ指定手段を有し、
前記回避エリア設定手段は、
指定された回避エリアサイズの回避エリアを、特定した地点それぞれに設定すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置であって、
前記カテゴリ指定手段は、
前記カテゴリの一覧を表示し、前記一覧の中からカテゴリの指定を受け付けること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置における回避エリア設定方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
前記地図情報に含まれる地点ごとに、所定のカテゴリを示す情報を関連付けたカテゴリ情報を記憶し、
前記カテゴリの指定を受け付けるカテゴリ指定ステップと、
指定されたカテゴリに含まれる地点を前記カテゴリ情報から特定し、特定した地点それぞれについて所定の範囲の回避エリアを設定する回避エリア設定ステップと、
設定された回避エリアを通らない推奨経路を探索する経路探索ステップと、を行うこと、
を特徴とする回避エリア設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−197212(P2010−197212A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42277(P2009−42277)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】