説明

ナビゲーション装置および目的地リスト提示方法

【課題】目的地候補として提示されるリスト内から所望の施設を探して選択しやすい「ナビゲーション装置および目的地リスト提示方法」を提供する。
【解決手段】過去に目的地として設定したことのある施設を表す施設情報を、当該目的地に至る経路として設定された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報と共に記憶する履歴情報記憶部6と、ETC車載機200にETCカードが挿入されているか否かを検出するカード挿入検出部12と、履歴情報記憶部6を検索して目的地候補のリストを生成する履歴検索部10とを備え、ETCカードの挿入時は、誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの上位に掲載する一方、ETCカードの未挿入時は、誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの上位に掲載した目的地候補のリストを生成して提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置および目的地リスト提示方法に関し、特に、過去に目的地として設定したことのある施設を検索して今回の目的地に設定することを可能にした履歴検索機能を備えたナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置には、所望の目的地を設定して誘導経路を探索し、探索された誘導経路に従って走行案内を行う経路誘導機能が搭載されている。通常、目的地とする所望の施設を検索する機能として、施設名検索、住所検索、電話番号検索、ジャンル検索など、様々な検索機能が用意されている。その検索機能の1つに、履歴検索機能がある。履歴検索機能は、過去に目的地として設定したことのある施設を検索してリスト表示することにより、リストの中から所望の施設を選択して今回の目的地に設定することを可能にしたものである。
【0003】
従来、この履歴検索機能を応用した技術が提案されている。例えば、過去に利用された有料道路の料金所に対応付けて目的地履歴をナビゲーション装置に記憶しておく。そして、ナビゲーション装置がETC車載機を通じて有料道路の利用履歴情報(料金所情報、利用明細情報)をETCカードから読み取ると、この利用履歴情報の料金所に対応付けられた目的地履歴を目的地候補として提示する技術が提案されている(例えば、特許文献1の段落0060を参照)。
【0004】
この特許文献1に記載の技術によれば、ETCカードがETC車載機に挿入されている場合は、ETCカードに記憶されている利用履歴情報に基づいて、有料道路を経由する誘導経路の目的地として設定したことのある施設が目的地候補として提示される。すなわち、ETCカードの利用(つまり、有料道路の利用)を前提とするような遠方の施設で、過去に目的地として設定したことのある施設が今回の目的地候補として提示されるので、遠方の目的地を設定する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−285752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に記載の技術は、ETCカードに記憶されている利用履歴情報を利用して目的地候補を提示するものであり、ETCカードがETC車載機に挿入されていない場合については何ら考慮されていない。
【0007】
すなわち、ETCカードがETC車載機に挿入されていない場合、目的地設定のメニュー画面を開いて履歴検索機能を選択すると、過去に目的地として設定したことのある施設が全てその設定順に並べてリスト表示される。そのため、遠くにある施設も近くにある施設も混在して表示される状態となるため、リスト内から所望の施設を探して選択する際の手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ETCカードの利用を前提とするような遠方の施設を目的地として設定する場合も、ETCカードの利用を前提としない比較的近くの施設を目的地として設定する場合も、目的地候補として提示されるリスト内から所望の施設を探して選択しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、過去に目的地として設定したことのある施設を表す施設情報を、当該目的地に至る経路として設定された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報と共に履歴情報記憶部に記憶させる。そして、ETC車載機にETCカードが挿入されていることが検出されている場合は、識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの上位に掲載するとともに、誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成して提示する。一方、ETCカードの挿入が検出されていない場合は、誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの上位に掲載するとともに、誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成して提示する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、ETCカードの利用を前提とするような遠方の施設を目的地として設定したい場合は、ETCカードがETC車載機に挿入されていれば、有料道路が含まれる誘導経路の目的地として過去に設定した遠方の施設が目的地候補のリストの上位に優先して表示される。一方、ETCカードの利用を前提としない比較的近くの施設を目的地として設定したい場合は、ETCカードがETC車載機に挿入されていなければ、有料道路が含まれない誘導経路の目的地として過去に設定した比較的近くの施設が目的地候補のリストの上位に優先して表示される。これにより、ETCカードの利用を前提とするような遠方の施設を目的地として設定する場合も、ETCカードの利用を前提としない比較的近くの施設を目的地として設定する場合も、目的地候補として提示されるリスト内から所望の施設を探して選択しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による履歴情報の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の履歴検索部により生成される目的地候補のリストの一例を示す図である。
【図4】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態によるナビゲーション装置の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置100の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のナビゲーション装置100は、地図データ記憶部1、現在地検出部2、目的地設定部3、経路探索部4、誘導経路記憶部5、履歴情報記憶部6、履歴記録部7、操作受付部8、メニュー画面生成部9、履歴検索部10、表示制御部11およびカード挿入検出部12を備えて構成されている。
【0013】
なお、これらの各機能ブロック1〜12は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロック1〜12は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
【0014】
また、ナビゲーション装置100には、操作部110および表示部120が接続されている。操作部110は、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、誘導経路の目的地)を設定したり、各種の操作を行ったりするためのものである。この操作部110は、例えばリモコン、タッチパネルまたは操作スイッチ等により構成される。表示部120は、各種の画像(例えば、自車周辺の地図画像や各種操作画面の画像など)を表示するためのものであり、例えば液晶ディスプレイにより構成される。
【0015】
さらに、ナビゲーション装置100には、ETC車載機200が接続されている。このETC車載機200は、その機能構成として、ETCカード検知部21を備えている。ETCカード検知部21は、ETC車載機200にETCカードが挿入されているか否かを検知し、その検知信号をナビゲーション装置100に通知する。
【0016】
ETCカード検知部21が検知信号をナビゲーション装置100に通知するタイミングは、ETC車載機200の電源がオンになったタイミング(すなわち、車両のアクセサリスイッチ(ACC)がオフからオンに切り替わったタイミング)、およびETC車載機200の電源がオンの状態でETCカードが挿入されたタイミングまたは抜かれたタイミングである。
【0017】
ナビゲーション装置100のカード挿入検出部12は、ETCカード検知部21から通知される検知信号に基づいて、ETC車載機200にETCカードが挿入されているか否かを検出する。そして、その検出結果を履歴検出部10に通知する。
【0018】
地図データ記憶部1は、道路を表す道路データおよび道路に面する各種施設を表す施設情報を含む地図データを記憶するものであり、例えばハードディスク等の記録媒体により構成される。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてハードディスクを用いているが、DVD−ROM、CD−ROM、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0019】
道路データは、マップマッチングや経路探索等の各種の処理に必要なデータである。この道路データは、道路を細かく分割して複数のベクトルのつながりで表したときの個々のベクトルに相当する道路リンクに関するリンク情報と、個々の道路リンクの両端点に相当するノードに関するノード情報とを含んでいる。施設情報は、各種施設の位置情報や施設名情報を含むデータである。この施設情報により示される施設を、誘導経路の目的地として設定することが可能である。
【0020】
現在地検出部2は、車両の現在地を所定間隔毎に検出するものであり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0021】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0022】
目的地設定部3は、表示部120に表示されている目的地設定用の操作画面において、ユーザによる操作部110の操作を介して指定された地点を目的地として設定する。この目的地の設定は、地図データ記憶部1に記憶されている施設情報や、後述するように履歴検索部10により履歴情報記憶部6から検索された施設情報を用いて行う。
【0023】
経路探索部4は、地図データ記憶部1に記憶されている地図データを用いて、現在地検出部2により検出された現在地から、目的地設定部3により設定された目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を探索する。誘導経路記憶部5は、経路探索部4により探索された誘導経路のデータを一時的に記憶する。
【0024】
履歴情報記憶部6は、過去に目的地として設定したことのある施設を表す施設情報を、当該目的地に至る経路として設定された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報と共に記憶するものであり、例えばハードディスク等の記録媒体により構成される。なお、ハードディスクの代わりに、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。以下では、履歴情報記憶部6に記憶される施設情報および識別情報をまとめて履歴情報と称する。
【0025】
図2は、履歴情報記憶部6に記憶される履歴情報の一例を示す図である。図2に示すように、本実施形態の履歴情報は、過去に目的地として設定したことのある施設を表す施設情報と、当該目的地に至る経路として設定された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報とから構成される。施設情報は、例えば施設名情報および位置情報から成る。識別情報は、誘導経路中に有料道路が含まれている場合は“1”、含まれていない場合は“0”といった2値のフラグ情報である。図2に示す履歴情報は、上から順番に、目的地として設定した日時の時系列に沿って順番に記憶されている。
【0026】
履歴記録部7は、履歴情報記憶部6に対する履歴情報の記録処理を行う。すなわち、履歴記録部7は、目的地として設定された施設を表す施設情報を目的地設定部3から取得する。また、履歴記録部7は、経路探索部4により探索され誘導経路記憶部5に記憶された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを判定し、その判定結果に応じて識別情報を生成する。そして、履歴記録部7は、目的地設定部3から取得した施設情報と、誘導経路記憶部5を参照して生成した識別情報とをセットにして履歴情報記憶部6に記録する。
【0027】
操作受付部8は、ユーザによる操作部110に対する各種操作を受け付ける。例えば、操作受付部8は、目的地設定のメニュー画面を開くための操作を受け付ける。また、操作受付部8は、目的地設定のメニュー画面の中から履歴検索機能を選択するための操作を受け付ける。さらに、操作受付部8は、特定の施設を目的地として設定するための操作を受け付ける。
【0028】
メニュー画面生成部9は、目的地設定のメニュー画面を開くための操作を操作受付部8が受け付けた場合に、当該メニュー画面を生成して表示制御部11に供給する。この場合、表示制御部11は、メニュー画面生成部9により生成されたメニュー画面を表示部120に表示させるように制御する。
【0029】
履歴検索部10は、目的地設定のメニュー画面の中から履歴検索機能を選択するための操作を操作受付部8が受け付けた場合や、ETC車載機200にETCカードが挿入されていることがカード挿入検出部12により検出された場合に、履歴情報記憶部6に施設情報が記憶されている施設を検索して目的地候補のリストを生成し、表示制御部11に供給する。この場合、表示制御部11は、履歴検索部10により生成された目的地候補のリストを表示部120に表示させるように制御する。
【0030】
具体的には、履歴検索部10は、カード挿入検出部12によりETCカードの挿入が検出されていない場合には、ユーザによる操作部110の操作(目的地設定のメニュー画面の中から履歴検索機能を選択するための操作)に応じて、履歴情報記憶部6を検索して目的地候補のリストを生成する。
【0031】
このとき、履歴検索部10は、履歴情報記憶部6に記憶されている識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの上位に掲載するとともに、識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成する。例えば、履歴情報記憶部6に記憶されている履歴情報が図2の通りであったとすると、履歴検索部10は、図3(a)に示すような順序で各施設を掲載した目的地候補のリストを生成する。
【0032】
また、履歴検索部10は、カード挿入検出部12によりETCカードの挿入が検出された時、すなわち、ETCカード検知部21からカード挿入検出部12に対してETCカード挿入ありの検知信号が通知された時に、履歴情報記憶部6を検索して目的地候補のリストを生成する。
【0033】
このとき、履歴検索部10は、履歴情報記憶部6に記憶されている識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの上位に掲載するとともに、識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成する。例えば、履歴情報記憶部6に記憶されている履歴情報が図2の通りであったとすると、履歴検索部10は、図3(b)に示すような順序で各施設を掲載した目的地候補のリストを生成する。
【0034】
上述の目的地設定部3は、目的地候補のリストの中から特定の施設を目的地として設定するための操作を操作受付部8が受け付けた場合に、当該受け付けた施設を目的地として設定する。
【0035】
図4は、上記のように構成した本実施形態によるナビゲーション装置100の動作例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、車両のアクセサリスイッチがオンとされたときに開始する。
【0036】
まず、カード挿入検出部12は、ETCカード検知部21から通知される検知信号に基づいて、ETC車載機200にETCカードが挿入されているか否かを検出する(ステップS1)。ここで、ETCカードの挿入が検出された場合、履歴検索部10は、履歴情報記憶部6を検索し、識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの上位に優先的に掲載した目的地候補のリストを生成する(ステップS2)。そして、表示制御部11は、履歴検索部10により生成された目的地候補のリストを表示部120に表示させるように制御する(ステップS3)。その後、処理はステップS9に遷移する。
【0037】
一方、ステップS1でETCカードの挿入が検出されなかった場合、操作受付部8は、目的地設定に関する操作部110のメニュー操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS4)。ここで、メニュー操作を受け付けていない場合、処理はステップS1に戻る。一方、メニュー操作を受け付けた場合、メニュー画面生成部9は、メニュー画面を生成して表示制御部11に供給する。表示制御部11は、メニュー画面生成部9により生成されたメニュー画面を表示部120に表示させるように制御する(ステップS5)。
【0038】
続いて、操作受付部8は、表示部120に表示されたメニュー画面の中から、目的地とする所望の施設を検索する機能として、履歴検索機能が選択されたか否かを判定する(ステップS6)。履歴検索機能が選択された場合、履歴検索部10は、履歴情報記憶部6を検索し、識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの上位に優先的に掲載した目的地候補のリストを生成する(ステップS7)。そして、表示制御部11は、履歴検索部10により生成された目的地候補のリストを表示部120に表示させるように制御する(ステップS8)。
【0039】
その後、操作受付部8は、ステップS3またはステップS8で表示部120に表示された目的地候補のリストの中から、特定の施設を選択するための操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS9)。当該操作を受け付けていない場合は、処理はステップS9で待機する。一方、特定の施設を選択するための操作を操作受付部8が受け付けた場合、目的地設定部3は、選択された特定の施設を目的として設定する(ステップS10)。
【0040】
なお、上記ステップS6において、表示部120に表示されたメニュー画面の中から履歴検索機能が選択されていない、すなわち、施設名検索、住所検索、電話番号検索、ジャンル検索など他の検索機能が選択されたと判断した場合は、目的地設定部3は、それらのうち選択された検索機能に従って目的地設定処理を行う(ステップS11)。
【0041】
ステップS10またはステップS11で目的地が設定されると、経路探索部4は、地図データ記憶部1に記憶されている地図データを用いて、現在地検出部2により検出された現在地から、目的地設定部3により設定された目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を探索する(ステップS12)。経路探索部4は、探索した誘導経路のデータを誘導経路記憶部5に記憶させる。
【0042】
最後に、履歴記録部7は、目的地として設定された施設を表す施設情報と、経路探索部4により探索され誘導経路記憶部5に記憶された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報とをセットにして、履歴情報記憶部6に記憶させる(ステップS13)。なお、記録しようとする施設が既に履歴情報記憶部6に記憶されている場合は、何も記録しない。
【0043】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、過去に目的地として設定したことのある施設を表す施設情報を、当該目的地に至る経路として設定された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報と共に履歴情報記憶部6に記憶させる。そして、ETC車載機200にETCカードが挿入されていることが検出されている場合は、識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの上位に掲載するとともに、誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成して提示するようにしている。一方、ETC車載機200にETCカードの挿入が検出されていない場合は、誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設をリストの上位に掲載するとともに、誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設をリストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成して提示するようにしている。
【0044】
このように構成した本実施形態によれば、ETCカードの利用を前提とするような遠方の施設を目的地として設定したい場合は、ETCカードがETC車載機200に挿入されていれば、有料道路が含まれる誘導経路の目的地として過去に設定した遠方の施設が目的地候補のリストの上位に優先して表示される。一方、ETCカードの利用を前提としない比較的近くの施設を目的地として設定したい場合は、ETCカードがETC車載機200に挿入されていなければ、有料道路が含まれない誘導経路の目的地として過去に設定した比較的近くの施設が目的地候補のリストの上位に優先して表示される。これにより、ETCカードの利用を前提とするような遠方の施設を目的地として設定する場合も、ETCカードの利用を前提としない比較的近くの施設を目的地として設定する場合も、目的地候補として提示されるリスト内から所望の施設を探して選択しやすくすることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、履歴検索部10は、カード挿入検出部12によりETCカードの挿入が検出された時に、直ちに履歴情報記憶部6を検索して目的地候補のリストを生成するようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ETC車載機200にETCカードが挿入されている状態において、目的地設定のメニュー画面の中から履歴検索機能を選択するための操作が行われた時に、履歴情報記憶部6を検索して目的地候補のリストを生成するようにしてもよい。
【0046】
ただし、上記実施形態のように、ETCカードの挿入が検出された時に直ちに目的地候補のリストを生成するようにすれば、メニュー画面を開いて履歴検索機能を選択するための操作を省略することができ、目的地設定の操作を簡便にすることができる。
【0047】
なお、ETC車載機200にETCカードが挿入されているからといって、ユーザが常に履歴検索機能を使って目的地を検索するとは限らない。例えば、ETC車載機200の電源がオンのときもオフのときも、ETC車載機200にETCカードを常時挿入した状態としているユーザも少なくない。その場合に、アクセサリスイッチをオンにするたびに履歴検索機能が自動的に起動して目的地候補のリストが表示部120に表示されると、それを煩わしく感じる場合もある。
【0048】
図5は、本実施形態によるナビゲーション装置の変形例を示すブロック図であり、上述のような煩わしさを解消するための機能を備えている。なお、この図5において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0049】
図5に示すナビゲーション装置100は、図1に示した機能構成の他に、設定判定部13および制御部14を備えている。設定判定部13は、履歴検索部10により生成され表示制御部11により画面表示された目的地候補のリストに基づいて目的地の設定が行われたか否かを判定する。例えば、設定判定部13は、目的地候補のリストの中から特定の施設を目的地として設定するための操作を操作受付部8が受け付けた場合に、目的地候補のリストに基づいて目的地の設定が行われたと判断する。
【0050】
制御部14は、目的地候補のリストが表示されたにもかかわらず、その目的地候補のリストから目的地の設定が行われないことが所定回数続けて設定判定部13により判定された場合、それ以降は、カード挿入検出部12によりETCカードの挿入が検出された時であっても、目的地候補のリストを生成しないように履歴検索部10を制御する。
【0051】
例えば、履歴検索部10が生成する目的地候補のリストに、目的地の設定を行わないことをユーザが指示できるようにするためのキャンセルボタンを付加しておく。そして、ETC車載機200にETCカードが挿入されているために履歴検索機能が自動的に起動して目的地候補のリストが表示部120に表示されたときに、キャンセルボタンが操作されたら、設定判定部13は目的地の設定が行われなかったと判定し、その旨を制御部14に通知する。一方、目的地候補のリストの中から目的地の設定が行われた場合は、その旨を制御部14に通知する。
【0052】
制御部14は、キャンセルボタンが操作された旨の通知を設定判定部13から受けるたびに、目的地候補のリストに基づく目的地の設定が行われなかった回数のカウント値を1つずつ上昇させていく。一方、目的地候補のリストの中から目的地の設定が行われた場合は、カウント値をゼロにリセットする。
【0053】
そして、カウント値が所定値に達した場合、制御部14は、それ以降は、カード挿入検出部12によりETCカードの挿入が検出された時であっても、目的地候補のリストを生成しないように履歴検索部10を制御する。なお、目的地設定のメニュー画面の中から履歴検索機能を選択するための操作が行われた時は、通常通り履歴検索部10を動作させる。
【0054】
このようにすれば、ETCカードの挿入が検出された時に自動的に目的地候補のリストを表示することによって目的地設定のユーザ操作を簡便にすることができる一方、当該目的地候補のリストが表示されたときにおけるキャンセルボタンのユーザ操作を学習することで、ユーザが希望する場合にのみ目的地候補のリストを表示させるようにすることができる。
【0055】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
3 目的地設定部
6 履歴情報記憶部
8 操作受付部
10 履歴検索部
11 表示制御部
12 カード挿入検出部
13 設定判定部
14 制御部
100 ナビゲーション装置
200 ETC車載機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に目的地として設定したことのある施設を表す施設情報を、当該目的地に至る経路として設定された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報と共に記憶する履歴情報記憶部と、
ETC車載機にETCカードが挿入されているか否かを検出するカード挿入検出部と、
上記履歴情報記憶部に上記施設情報が記憶されている施設を検索して目的地候補のリストを生成する履歴検索部と、
上記履歴検索部により生成された上記目的地候補のリストを画面表示させる表示制御部とを備え、
上記履歴検索部は、上記カード挿入検出部により上記ETCカードの挿入が検出されている場合は、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設を上記リストの上位に掲載するとともに、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設を上記リストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成する一方、上記カード挿入検出部により上記ETCカードの挿入が検出されていない場合は、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設を上記リストの上位に掲載するとともに、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設を上記リストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
上記履歴検索部は、上記カード挿入検出部により上記ETCカードの挿入が検出されていない場合、ユーザによる操作部の操作に応じて、上記目的地候補のリストを生成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上記履歴検索部は、上記カード挿入検出部により上記ETCカードの挿入が検出された時に、上記目的地候補のリストを生成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
上記履歴検索部により生成され上記表示制御部により画面表示された上記目的地候補のリストに基づいて目的地の設定が行われたか否かを判定する設定判定部と、
上記目的地候補のリストに基づく目的地の設定が行われないことが所定回数続けて上記設定判定部により判定された場合、それ以降は、上記カード挿入検出部により上記ETCカードの挿入が検出された時であっても、上記目的地候補のリストを生成しないように上記履歴検索部を制御する制御部とを更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
過去に目的地として設定したことのある施設を表す施設情報が、当該目的地に至る経路として設定された誘導経路中に有料道路が含まれているか否かを示す識別情報と共に記憶された履歴情報記憶部を備えたナビゲーション装置において目的地候補のリストを提示する方法であって、
上記ナビゲーション装置が、ETC車載機にETCカードが挿入されているか否かを検出する第1のステップと、
上記第1のステップで上記ETCカードの挿入が検出されている場合、上記ナビゲーション装置が、上記履歴情報記憶部に上記施設情報が記憶されている施設を検索して、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設を上記リストの上位に掲載するとともに、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設を上記リストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成する第2のステップと、
上記第1のステップで上記ETCカードの挿入が検出されていない場合、上記ナビゲーション装置が、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていないことが示されている施設を上記リストの上位に掲載するとともに、上記識別情報により誘導経路中に有料道路が含まれていることが示されている施設を上記リストの下位に掲載した目的地候補のリストを生成する第3のステップと、
上記ナビゲーション装置が、上記第2のステップまたは上記第3のステップで生成された上記目的地候補のリストを画面表示させる第4のステップとを有することを特徴とする目的地リスト提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101002(P2013−101002A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243831(P2011−243831)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】