ナビゲーション装置
【課題】地震などの災害時において、避難場所へのより安全な経路を提示する。
【解決手段】
ナビゲーション装置の記憶装置には、地図上の道路を構成するリンクの災害時の安全ランクを特定する情報が記憶されている。ナビゲーション装置は、避難場所への複数の避難経路を探索した後、安全ランクを特定する情報を用いて、探索した避難経路について安全ランクを求める。そして、安全ランクが最大の経路を推奨避難経路と設定する。避難場所やリンクの安全ランクを、交通情報配信サーバから受信するようにしてもよい。
【解決手段】
ナビゲーション装置の記憶装置には、地図上の道路を構成するリンクの災害時の安全ランクを特定する情報が記憶されている。ナビゲーション装置は、避難場所への複数の避難経路を探索した後、安全ランクを特定する情報を用いて、探索した避難経路について安全ランクを求める。そして、安全ランクが最大の経路を推奨避難経路と設定する。避難場所やリンクの安全ランクを、交通情報配信サーバから受信するようにしてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に災害発生時における車載用ナビゲーション装置の経路探索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地震などの災害時に避難場所への経路を表示する表示装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−177666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、避難場所への経路が表示されるだけでは、その経路が安全かどうか分からない。
【0005】
本発明の目的は、災害時に、より安全な避難経路を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明のナビゲーション装置は、避難場所への経路のうち、より安全な経路を推奨避難経路と設定する。
【0007】
例えば、本発明のナビゲーション装置は、
地図上の道路を構成するリンクの災害時の安全ランクを特定する情報を記憶する記憶手段と、
災害時の避難場所を設定する避難場所設定手段と、
前記避難場所への複数の避難経路を探索する経路探索手段と、
前記安全ランクを特定する情報を用いて、前記経路探索手段で探索した避難経路の安全ランクを求める安全ランク算出手段と、
前記安全ランク算出手段で求められた前記避難経路の安全ランクが最大の経路を推奨避難経路と設定する手段とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステムの概略構成図である。図示するように、本実施形態のナビゲーションシステムは、車載用ナビゲーション装置100と、交通情報配信サーバ200とを有する。交通情報配信サーバ200は、ネットワーク201を介して、無線基地局202と接続されている。車載用ナビゲーション装置100は、無線基地局202を介して、交通情報配信サーバ200と接続される。
【0010】
交通情報配信サーバ200は、車載用ナビゲーション装置100に交通情報や災害情報を配信するサーバ装置である。交通情報配信サーバ200は、自身の記憶装置に、渋滞情報、交通規制情報、災害情報などを保持する。渋滞情報には、渋滞の場所を示す情報と、渋滞の時間帯を示す情報と、渋滞内容とが含まれている。渋滞の場所を示す情報には、渋滞の座標位置や渋滞に関連する道路を特定する情報(道路名や後述するメッシュID、リンクIDなど)が含まれている。災害情報には、大規模な交通事故、火災、洪水、地震、津波などに関する情報、具体的には、災害発生日時、通行不可能な道路、危険な道路などに関する情報が含まれている。また、交通情報配信サーバ200は、FM多重放送局204、ビーコン205などを介して、自身が保持する情報を車載用ナビゲーション装置100に配信する。
【0011】
図2は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、地磁気センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、車内LAN装置11と、FM多重放送受信装置12と、ビーコン受信装置13と、ネットワーク通信装置15とを有する。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ6〜8やGPS受信装置9から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データおよび交通情報配信サーバ200から受信した時系列交通情報を用いて、ユーザから指示された目的地と現在地(出発地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0013】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。演算処理部1とディスプレイ2との間の信号S1は、RGB信号やNTSC(National Television System Committee)信号で接続するのが一般的である。
【0014】
記憶装置3は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図データ300が記憶されている。
【0015】
図3は、地図データ300の構成を示す図である。地図データ300は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)310ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ311を含む。
【0016】
リンクデータ311は、リンクID321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、リンクの災害時の安全性を示す安全ランク326、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)327などを含む。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。リンク旅行時間325は、日時、天気などの条件ごとに対応付けられたリンク旅行時間であってもよい。
【0017】
本実施形態では、安全ランク326は、0〜10の数値で表され、標準を5として、値が大きいほど安全であることを示す。このような安全ランクは、例えば、以下の基準で定められたものである。なお、「<」は、左の要素の方が安全ランクが低く、危険な道路に属すことを示す。
海沿いの道<平地の道
海沿いの道<平地の道
山間部の道<平地の道
車線数小<車線数多
中央分離帯無し<中央分離帯有り
山間部<市外、郊外
高速道路<一般道
高架下道路、高架道路<地上道路
周辺に高層建物あり<周辺に高層建物なし
橋、トンネル<地上の道路
また、地図データ300には、対応するメッシュ領域に含まれている道路以外の地図構成物の情報(名称、種別、座標情報など)も含まれている。
【0018】
さらに、地図データには、災害時に避難場所となる施設(公園、公民館、学校など)の地点の座標位置が含まれている。
【0019】
図2に戻って説明する。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し演算処理部1にその内容を転送する処理を行う。
【0020】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0021】
センサ6〜8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車輪速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。地磁気センサ7は、地球が保持している磁場を検知し、移動体が向いている方角を検出する。ジャイロ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。
【0022】
車内LAN装置11は、車載用ナビゲーション装置100が搭載された車両の様々な情報、例えばドアの開閉情報、ライトの点灯状態情報、エンジンの状況や故障診断結果などを受ける。
【0023】
FM多重放送受信装置12は、FM多重放送信号としてFM多重放送局204から送られてくる概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスステーション/パーキング)情報、駐車場情報、天気情報、災害情報などを受信する。
【0024】
ビーコン受信装置13は、ビーコン205から送られてくる現況交通情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報、災害情報などを受信する。
【0025】
ネットワーク通信装置15は、車載用ナビゲーション装置100と、交通情報配信サーバ200との間の情報の授受を仲介する。また、定期的あるいは経路探索の際に、交通情報配信サーバ200にアクセスし、渋滞情報、規制情報や災害情報を受信する。
【0026】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0027】
図示するように、演算処理部1は、ユーザ操作解析部41と、経路探索部42と、経路誘導部43と、現在位置算出部44と、情報記憶部45、表示処理部46、受信情報処理部48とを有する。
【0028】
ユーザ操作解析部41は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け、その要求内容を解析して、その要求内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1の各部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、目的地を設定するため、地図をディスプレイ2に表示する処理を表示処理部45に要求する。また、現在地(出発地)から目的地までの経路を演算する処理を経路探索部42に要求する。
【0029】
現在位置算出部44は、車輪速センサ6で計測される距離パルスデータS5およびジャイロ8で計測される角加速度データS7を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から自車走行後の位置である現在地(X′,Y′)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に、現在地を合わせ込む。
【0030】
経路探索部42は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ経路のコスト(例えば、旅行時間)が最少となる経路を探索する。
【0031】
経路誘導部43は、経路探索部42で探索された経路を用いて経路誘導を行う。例えば、経路の情報と、現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかを音声出入力装置4を用いて音声でユーザに知らせる。また、経路誘導部43は、ディスプレイ2に表示された地図上に進行すべき方向を表示して、ユーザに推奨経路を通知する。
【0032】
表示処理部46は、ディスプレイ2への表示が要求される領域にある地図データを記憶装置3から受け取り、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、ディスプレイ2に送信する。
【0033】
受信情報処理部48は、受信した渋滞情報、規制情報や災害情報を情報記憶部45に記憶させる。なお、記憶装置3が、書換え可能なHDD、フラッシュROMなどで構成される場合は、受信情報処理部48は、受信した情報を、記憶装置3に記憶させるようにしてもよい。
【0034】
図5は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0035】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0036】
[動作の説明]次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0037】
経路探索部42は、ユーザから入力装置5を介して、経路探索要求を受け付けると、出発地(現在位置)と目的地を設定し、その間の推奨経路を探索する。経路探索部42は、例えば、リンク旅行時間をリンクコストとして、ダイクストラ法等により総コストが最少の経路を探索して、推奨経路とする。なお、渋滞情報を入手している場合は、渋滞のある道路を構成するリンクを除外するか、あるいは、そのリンクのコストを重み付けするなどして、渋滞のあるリンクを通りにくくして、経路探索を行う。
【0038】
経路誘導部43は、こうして探索された経路を用いて経路誘導を行う。
【0039】
一方、受信情報処理部48は、経路誘導中に、災害情報を受信すると、その災害情報を、表示処理部46を介して、ディスプレイ2に表示する。
【0040】
図6(a)は、ディスプレイ2の表示画面500に、災害情報503が表示されたところを示す。
【0041】
このとき、経路誘導部43は、ユーザから入力装置5を介して、避難場所へ経路(避難経路)の表示要求を受け付ける。
【0042】
図6(b)は、かかる場合における、避難経路の表示要求を受け付ける画面510の表示例である。
【0043】
ユーザから避難経路の表示要求を受け付けると、経路誘導部43は、避難経路の探索処理を行う。
【0044】
図7は、かかる避難経路探索処理のフロー図である。
【0045】
経路誘導部43は、まず、現在の経路誘導を中止する(S102)。
【0046】
次に、経路誘導部43は、現在位置周辺(例えば、10km以内)の避難場所を特定する(S104)。具体的には、地図データ300に登録されている避難場所の中から、現在位置から所定距離(例えば10km)以内の避難場所(公民館、公園、学校など)を抽出する。
【0047】
次に、経路誘導部43は、現在位置から避難場所までの経路を探索するように、経路探索部42に指示する。これを受けて、経路探索部42は、避難場所を目的地と設定して、経路探索を行う。なお、予め渋滞情報を入手している場合は、渋滞のある道路を構成するリンクを除外するか、あるいは、そのリンクのコストを重み付けするなどして、渋滞のあるリンクを通りにくくして、経路探索を行う。
【0048】
このとき、経路探索部42は、距離優先や旅行時間優先など、探索条件を代えて、避難場所への複数の経路を探索する。また、複数の避難場所がある場合、それぞれの避難場所について、経路を探索する。
【0049】
避難場所への複数の経路が探索されると、経路誘導部43は、それらの経路の中から、予め定めた災害時危険道路(例えば、橋、トンネル)に属するリンクがある経路を除外する(S108)。なお、リンクの安全ランク326を参照し、安全ランクが「0」であるリンクを、災害時危険道路に属するリンクであるとしてもよい。
【0050】
また、経路誘導部43は、受信した災害情報に、通行不可能な道路の情報が含まれている場合、その道路に属するリンクを含む経路も除外する。
【0051】
さらに、経路誘導部43は、総距離が所定距離(例えば20km)以上の経路を除外する。
【0052】
次に、経路誘導部43は、残った経路について、安全ランクを求める(S110)。
【0053】
経路の安全ランクは、例えば、下記式1のように、経路を構成するリンクの安全ランクをリンク長で重み付けして加算した値を、経路の総距離で除することにより求めることができる(加重平均)。
(経路の安全ランク)={Σ(リンクの安全ランク)×(リンク長)}/総経路長 ・・・式1
図8を用いて、経路の安全ランクについて、具体的に説明する。
図8(a)のように、現在位置から避難場所まで、いくつかの経路があり、それぞれの経路を構成するリンクA〜Iの安全ランクが、それぞれ、A:10、B:4、C:5、D:5、E:6、F:5、G:10、H:10、I:8であるとする。なお、それぞれのリンクのリンク長は等しいとする。また、リンクAは、受信した災害情報から、通行不可の道路に属するリンクであるとする。このとき、それぞれの経路の安全ランクは、図8(b)のようになる。
【0054】
図7に戻って説明する。
【0055】
避難経路それぞれの安全ランクが求められると、経路誘導部43は、安全ランクが最大の避難経路を抽出する(S112)。
【0056】
次に、経路誘導部43は、抽出した避難経路の安全ランクと、現在位置が存在するリンクの安全ランク326とを比較する(S114)。
【0057】
抽出した避難経路の安全ランクが、現在位置が存在するリンクの安全ランク以下の場合、「移動するよりも現在位置の方が安全である」旨の情報を表示し(S116)、避難経路探索処理を終了する。
【0058】
一方、抽出した避難経路の安全ランクが、現在位置が存在するリンクの安全ランクを超える場合、安全ランクが最大の避難経路を表示し(S118)、経路探索処理を終了する。
【0059】
その後、経路誘導部43は、ユーザから、表示している避難経路を用いて誘導するように要求を受け付けると、その避難経路を用いて経路誘導を開始する。
【0060】
図6(c)は、安全ランクが最大の避難経路521を安全ランク522とともに表示した表示画面520である。なお、この表示画面522では、安全ランクが上位3番目までの避難経路を表示するようにしている。
【0061】
また、図6(d)は、安全ランクが最大の避難経路531を用いて、経路誘導が開始されたところの画面530である。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0063】
上記実施形態によれば、災害時、単に避難場所への経路を表示するだけでなく、より安全な避難経路が選択され、表示される。したがって、ユーザは、より安全な経路にしたがって、避難場所まで移動することができる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限られない。上記実施形態は、本発明の要旨の範囲内で様々な変形が可能である。
【0065】
例えば、経路誘導部43は、交通情報配信サーバ200から、災害発生の情報を受信したら、すぐに、現在の経路誘導を中止し、経路探索部42に、避難経路をすぐに探索するように指示してもよい。そして、安全ランクの最大の経路をすぐに表示するようにしてもよい。
【0066】
また、経路誘導中でなくても、ユーザから入力装置5を介して避難経路の表示要求を受け付けたときや、通情報配信サーバ200から災害発生の情報を受信したとき、避難経路を探索し、表示するようにしてもよい。
【0067】
また、交通情報配信サーバ200から避難場所を受信した場合、経路探索部42は、その避難場所までの避難経路を探索するようにしてもよい。例えば、経路探索部42は、現在位置を、交通情報配信サーバ200に送る。交通情報配信サーバ200は、受信した現在位置周辺(例えば、10km以内)の避難場所を、自身の記憶装置に記憶されている避難場所の中から抽出し、車載用ナビゲーション装置100に送信する。経路探索部42は、受信した避難場所までの経路を探索するようにする。
【0068】
また、リンクの安全ランクを交通情報配信サーバ200から受信してもよい。経路誘導部43は、受信したリンクの安全ランクを用いて、避難経路の安全ランクを求めるようにする。
【0069】
また、交通情報配信サーバ200から、安全ランクを算出するための情報を受信して、リンクデータ321の安全ランク326を変えて(補正して)用いてもよい。
【0070】
図9は、かかる場合の交通情報配信サーバ200が送信する災害時配信情報210を示す。災害時配信情報210は、車載用ナビゲーション装置100の現在位置周辺の避難場所の座標位置を含む情報(避難場所情報)211、通行不可能な道路に関する情報(リンク切れ情報)212、安全ランク情報213などを含んでいる。
【0071】
図10は、安全ランク情報213の構成を示す。安全ランク情報213は、リンクの条件2131ごとに、安全ランクに補正(増加又は加減)すべき値(安全ランク加減値)2132を含んでいる。
【0072】
このような災害時配信情報210を受信すると、経路誘導部42は、災害時配信情報210の避難場所情報211で特定される地点を、目的地として設定して、避難経路を探索する(S106)。
【0073】
経路誘導部43は、探索された複数の経路の中から、災害時配信情報210のリンク切れ情報212で特定される通行不可能な道路に属するリンクを含む経路を除外する(S108)。
【0074】
次に、経路誘導部43は、災害時配信情報210の安全ランク加減値を用いて、避難経路の安全ランクを求める。具体的には、リンクデータ321の安全ランク326を、安全ランク加減値2132で補正した値を、そのリンクの安全ランクとする。例えば、リンクが、海沿いの道路(例えば、海岸から100m以内の道路)である場合、リンクデータの安全ランク326から「1」を引いた値を、そのリンクの安全ランクとする。
【0075】
なお、交通情報配信サーバ200から、通行を推奨する道路に関する情報を受信するようにしてもよい。そして、経路探索部42は、通行を推奨する道路に属すリンクのコストを低く重み付けして、経路に選択され易くして、避難経路を探索するようにしてもよい。
【0076】
また、経路誘導部43は、交通情報配信サーバ200から渋滞情報を受信した場合、渋滞があるとされる道路のリンクの安全ランクを、他のリンクに比べて、小さくするようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、経路の安全ランクを求めるとき、リンクの安全ランクをその距離で重み付けして、加重平均して求める方法について説明したが、安全ランクの求め方は、これに限られない。リンク長が長いほど、安全ランクを下げるようにしてもよい。例えば、所定距離上のリンクは、その元の安全リンクから「1」を引いた値を、安全ランクとする。
【0078】
また、上記のようにして、経路の安全ランクを求めたのち、さらに、経路の総距離に応じて、安全ランクを修正してもよい。例えば、総距離が所定距離(例えば20km、30km、40km)を超える場合、安全ランクを所定値だけ減少(例えば、それぞれ「1」、「2」、「3」を引いて減少)させるようにする。
【0079】
また、上記実施形態では、安全ランクをリンクごとに定めたが、地域ごとに安全ランクを定めてもよい。例えば、車載用ナビゲーション100の記憶装置3は、地図上の区分けされた領域に対応させて安全ランクが記憶されている。経路誘導部43は、避難経路の安全ランクを求める際、リンクごとに、そのリンクが属する領域の安全ランクを求める。そして、求めた安全ランクを、そのリンクの安全ランクとして、避難経路全体の安全ランクを求める。
【0080】
また、経路探索部42は、避難場所が現在位置周辺にない場合、周辺で最も安全ランクが高いリンクを避難場所に設定して、そのリンクまでの避難経路を探索するようにしてもよい。
【0081】
また、経路誘導部43は、公園などの避難場所が、現在位置から数km以内にある場合、車両から降りて歩いていくように指示するメッセージを表示をするようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、安全ランクは、その値が大きい程、安全であることを示すものとして説明したが、これに限らず、その値が小さい程、安全であることを示すものとしてもよい。
【0083】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーションシステムの概略構成図である。
【図2】図2は、車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図3】図3は、記憶装置3に記憶されている地図データの構成例を示す図である。
【図4】図4は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図6】図6は、災害時の表示画面の遷移図である。
【図7】図7は、避難経路探索のフロー図である。
【図8】図8は、避難険路の安全ランクを説明するための図である。
【図9】図9は、災害時配信情報の構成例である。
【図10】図10は、災害時配信情報に含まれる安全ランク情報の構成例である。
【符号の説明】
【0085】
100・・・車載用ナビゲーション装置、
200・・・交通情報配信サーバ、
201・・・ネットワーク、202・・・無線基地局、204・・・FM多重放送局、205・・・ビーコン、
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・入力装置、6・・・車輪速センサ、7・・・地磁気センサ、8・・・ジャイロ、9・・・GPS受信機、11・・・車内LAN装置、12・・・FM多重放送受信装置、13・・・ビーコン受信装置、15・・・ネットワーク通信装置、
21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・DMA、25・・・描画コントローラ、26・・・VRAM、27・・・カラーパレット、28・・・A/D変換器、29・・・SCI、30・・・PIO、31・・・カウンタ、41・・・ユーザ操作解析部、42・・・経路探索部、43・・・経路誘導部、44・・・現在位置算出部、45・・・情報記憶部、46・・・表示処理部、48・・・受信情報処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に災害発生時における車載用ナビゲーション装置の経路探索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地震などの災害時に避難場所への経路を表示する表示装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−177666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、避難場所への経路が表示されるだけでは、その経路が安全かどうか分からない。
【0005】
本発明の目的は、災害時に、より安全な避難経路を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明のナビゲーション装置は、避難場所への経路のうち、より安全な経路を推奨避難経路と設定する。
【0007】
例えば、本発明のナビゲーション装置は、
地図上の道路を構成するリンクの災害時の安全ランクを特定する情報を記憶する記憶手段と、
災害時の避難場所を設定する避難場所設定手段と、
前記避難場所への複数の避難経路を探索する経路探索手段と、
前記安全ランクを特定する情報を用いて、前記経路探索手段で探索した避難経路の安全ランクを求める安全ランク算出手段と、
前記安全ランク算出手段で求められた前記避難経路の安全ランクが最大の経路を推奨避難経路と設定する手段とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステムの概略構成図である。図示するように、本実施形態のナビゲーションシステムは、車載用ナビゲーション装置100と、交通情報配信サーバ200とを有する。交通情報配信サーバ200は、ネットワーク201を介して、無線基地局202と接続されている。車載用ナビゲーション装置100は、無線基地局202を介して、交通情報配信サーバ200と接続される。
【0010】
交通情報配信サーバ200は、車載用ナビゲーション装置100に交通情報や災害情報を配信するサーバ装置である。交通情報配信サーバ200は、自身の記憶装置に、渋滞情報、交通規制情報、災害情報などを保持する。渋滞情報には、渋滞の場所を示す情報と、渋滞の時間帯を示す情報と、渋滞内容とが含まれている。渋滞の場所を示す情報には、渋滞の座標位置や渋滞に関連する道路を特定する情報(道路名や後述するメッシュID、リンクIDなど)が含まれている。災害情報には、大規模な交通事故、火災、洪水、地震、津波などに関する情報、具体的には、災害発生日時、通行不可能な道路、危険な道路などに関する情報が含まれている。また、交通情報配信サーバ200は、FM多重放送局204、ビーコン205などを介して、自身が保持する情報を車載用ナビゲーション装置100に配信する。
【0011】
図2は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、地磁気センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、車内LAN装置11と、FM多重放送受信装置12と、ビーコン受信装置13と、ネットワーク通信装置15とを有する。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ6〜8やGPS受信装置9から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データおよび交通情報配信サーバ200から受信した時系列交通情報を用いて、ユーザから指示された目的地と現在地(出発地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0013】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。演算処理部1とディスプレイ2との間の信号S1は、RGB信号やNTSC(National Television System Committee)信号で接続するのが一般的である。
【0014】
記憶装置3は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図データ300が記憶されている。
【0015】
図3は、地図データ300の構成を示す図である。地図データ300は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)310ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ311を含む。
【0016】
リンクデータ311は、リンクID321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、リンクの災害時の安全性を示す安全ランク326、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)327などを含む。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。リンク旅行時間325は、日時、天気などの条件ごとに対応付けられたリンク旅行時間であってもよい。
【0017】
本実施形態では、安全ランク326は、0〜10の数値で表され、標準を5として、値が大きいほど安全であることを示す。このような安全ランクは、例えば、以下の基準で定められたものである。なお、「<」は、左の要素の方が安全ランクが低く、危険な道路に属すことを示す。
海沿いの道<平地の道
海沿いの道<平地の道
山間部の道<平地の道
車線数小<車線数多
中央分離帯無し<中央分離帯有り
山間部<市外、郊外
高速道路<一般道
高架下道路、高架道路<地上道路
周辺に高層建物あり<周辺に高層建物なし
橋、トンネル<地上の道路
また、地図データ300には、対応するメッシュ領域に含まれている道路以外の地図構成物の情報(名称、種別、座標情報など)も含まれている。
【0018】
さらに、地図データには、災害時に避難場所となる施設(公園、公民館、学校など)の地点の座標位置が含まれている。
【0019】
図2に戻って説明する。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し演算処理部1にその内容を転送する処理を行う。
【0020】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0021】
センサ6〜8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車輪速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。地磁気センサ7は、地球が保持している磁場を検知し、移動体が向いている方角を検出する。ジャイロ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。
【0022】
車内LAN装置11は、車載用ナビゲーション装置100が搭載された車両の様々な情報、例えばドアの開閉情報、ライトの点灯状態情報、エンジンの状況や故障診断結果などを受ける。
【0023】
FM多重放送受信装置12は、FM多重放送信号としてFM多重放送局204から送られてくる概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスステーション/パーキング)情報、駐車場情報、天気情報、災害情報などを受信する。
【0024】
ビーコン受信装置13は、ビーコン205から送られてくる現況交通情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報、災害情報などを受信する。
【0025】
ネットワーク通信装置15は、車載用ナビゲーション装置100と、交通情報配信サーバ200との間の情報の授受を仲介する。また、定期的あるいは経路探索の際に、交通情報配信サーバ200にアクセスし、渋滞情報、規制情報や災害情報を受信する。
【0026】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0027】
図示するように、演算処理部1は、ユーザ操作解析部41と、経路探索部42と、経路誘導部43と、現在位置算出部44と、情報記憶部45、表示処理部46、受信情報処理部48とを有する。
【0028】
ユーザ操作解析部41は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け、その要求内容を解析して、その要求内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1の各部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、目的地を設定するため、地図をディスプレイ2に表示する処理を表示処理部45に要求する。また、現在地(出発地)から目的地までの経路を演算する処理を経路探索部42に要求する。
【0029】
現在位置算出部44は、車輪速センサ6で計測される距離パルスデータS5およびジャイロ8で計測される角加速度データS7を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から自車走行後の位置である現在地(X′,Y′)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に、現在地を合わせ込む。
【0030】
経路探索部42は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ経路のコスト(例えば、旅行時間)が最少となる経路を探索する。
【0031】
経路誘導部43は、経路探索部42で探索された経路を用いて経路誘導を行う。例えば、経路の情報と、現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかを音声出入力装置4を用いて音声でユーザに知らせる。また、経路誘導部43は、ディスプレイ2に表示された地図上に進行すべき方向を表示して、ユーザに推奨経路を通知する。
【0032】
表示処理部46は、ディスプレイ2への表示が要求される領域にある地図データを記憶装置3から受け取り、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、ディスプレイ2に送信する。
【0033】
受信情報処理部48は、受信した渋滞情報、規制情報や災害情報を情報記憶部45に記憶させる。なお、記憶装置3が、書換え可能なHDD、フラッシュROMなどで構成される場合は、受信情報処理部48は、受信した情報を、記憶装置3に記憶させるようにしてもよい。
【0034】
図5は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0035】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0036】
[動作の説明]次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0037】
経路探索部42は、ユーザから入力装置5を介して、経路探索要求を受け付けると、出発地(現在位置)と目的地を設定し、その間の推奨経路を探索する。経路探索部42は、例えば、リンク旅行時間をリンクコストとして、ダイクストラ法等により総コストが最少の経路を探索して、推奨経路とする。なお、渋滞情報を入手している場合は、渋滞のある道路を構成するリンクを除外するか、あるいは、そのリンクのコストを重み付けするなどして、渋滞のあるリンクを通りにくくして、経路探索を行う。
【0038】
経路誘導部43は、こうして探索された経路を用いて経路誘導を行う。
【0039】
一方、受信情報処理部48は、経路誘導中に、災害情報を受信すると、その災害情報を、表示処理部46を介して、ディスプレイ2に表示する。
【0040】
図6(a)は、ディスプレイ2の表示画面500に、災害情報503が表示されたところを示す。
【0041】
このとき、経路誘導部43は、ユーザから入力装置5を介して、避難場所へ経路(避難経路)の表示要求を受け付ける。
【0042】
図6(b)は、かかる場合における、避難経路の表示要求を受け付ける画面510の表示例である。
【0043】
ユーザから避難経路の表示要求を受け付けると、経路誘導部43は、避難経路の探索処理を行う。
【0044】
図7は、かかる避難経路探索処理のフロー図である。
【0045】
経路誘導部43は、まず、現在の経路誘導を中止する(S102)。
【0046】
次に、経路誘導部43は、現在位置周辺(例えば、10km以内)の避難場所を特定する(S104)。具体的には、地図データ300に登録されている避難場所の中から、現在位置から所定距離(例えば10km)以内の避難場所(公民館、公園、学校など)を抽出する。
【0047】
次に、経路誘導部43は、現在位置から避難場所までの経路を探索するように、経路探索部42に指示する。これを受けて、経路探索部42は、避難場所を目的地と設定して、経路探索を行う。なお、予め渋滞情報を入手している場合は、渋滞のある道路を構成するリンクを除外するか、あるいは、そのリンクのコストを重み付けするなどして、渋滞のあるリンクを通りにくくして、経路探索を行う。
【0048】
このとき、経路探索部42は、距離優先や旅行時間優先など、探索条件を代えて、避難場所への複数の経路を探索する。また、複数の避難場所がある場合、それぞれの避難場所について、経路を探索する。
【0049】
避難場所への複数の経路が探索されると、経路誘導部43は、それらの経路の中から、予め定めた災害時危険道路(例えば、橋、トンネル)に属するリンクがある経路を除外する(S108)。なお、リンクの安全ランク326を参照し、安全ランクが「0」であるリンクを、災害時危険道路に属するリンクであるとしてもよい。
【0050】
また、経路誘導部43は、受信した災害情報に、通行不可能な道路の情報が含まれている場合、その道路に属するリンクを含む経路も除外する。
【0051】
さらに、経路誘導部43は、総距離が所定距離(例えば20km)以上の経路を除外する。
【0052】
次に、経路誘導部43は、残った経路について、安全ランクを求める(S110)。
【0053】
経路の安全ランクは、例えば、下記式1のように、経路を構成するリンクの安全ランクをリンク長で重み付けして加算した値を、経路の総距離で除することにより求めることができる(加重平均)。
(経路の安全ランク)={Σ(リンクの安全ランク)×(リンク長)}/総経路長 ・・・式1
図8を用いて、経路の安全ランクについて、具体的に説明する。
図8(a)のように、現在位置から避難場所まで、いくつかの経路があり、それぞれの経路を構成するリンクA〜Iの安全ランクが、それぞれ、A:10、B:4、C:5、D:5、E:6、F:5、G:10、H:10、I:8であるとする。なお、それぞれのリンクのリンク長は等しいとする。また、リンクAは、受信した災害情報から、通行不可の道路に属するリンクであるとする。このとき、それぞれの経路の安全ランクは、図8(b)のようになる。
【0054】
図7に戻って説明する。
【0055】
避難経路それぞれの安全ランクが求められると、経路誘導部43は、安全ランクが最大の避難経路を抽出する(S112)。
【0056】
次に、経路誘導部43は、抽出した避難経路の安全ランクと、現在位置が存在するリンクの安全ランク326とを比較する(S114)。
【0057】
抽出した避難経路の安全ランクが、現在位置が存在するリンクの安全ランク以下の場合、「移動するよりも現在位置の方が安全である」旨の情報を表示し(S116)、避難経路探索処理を終了する。
【0058】
一方、抽出した避難経路の安全ランクが、現在位置が存在するリンクの安全ランクを超える場合、安全ランクが最大の避難経路を表示し(S118)、経路探索処理を終了する。
【0059】
その後、経路誘導部43は、ユーザから、表示している避難経路を用いて誘導するように要求を受け付けると、その避難経路を用いて経路誘導を開始する。
【0060】
図6(c)は、安全ランクが最大の避難経路521を安全ランク522とともに表示した表示画面520である。なお、この表示画面522では、安全ランクが上位3番目までの避難経路を表示するようにしている。
【0061】
また、図6(d)は、安全ランクが最大の避難経路531を用いて、経路誘導が開始されたところの画面530である。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0063】
上記実施形態によれば、災害時、単に避難場所への経路を表示するだけでなく、より安全な避難経路が選択され、表示される。したがって、ユーザは、より安全な経路にしたがって、避難場所まで移動することができる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限られない。上記実施形態は、本発明の要旨の範囲内で様々な変形が可能である。
【0065】
例えば、経路誘導部43は、交通情報配信サーバ200から、災害発生の情報を受信したら、すぐに、現在の経路誘導を中止し、経路探索部42に、避難経路をすぐに探索するように指示してもよい。そして、安全ランクの最大の経路をすぐに表示するようにしてもよい。
【0066】
また、経路誘導中でなくても、ユーザから入力装置5を介して避難経路の表示要求を受け付けたときや、通情報配信サーバ200から災害発生の情報を受信したとき、避難経路を探索し、表示するようにしてもよい。
【0067】
また、交通情報配信サーバ200から避難場所を受信した場合、経路探索部42は、その避難場所までの避難経路を探索するようにしてもよい。例えば、経路探索部42は、現在位置を、交通情報配信サーバ200に送る。交通情報配信サーバ200は、受信した現在位置周辺(例えば、10km以内)の避難場所を、自身の記憶装置に記憶されている避難場所の中から抽出し、車載用ナビゲーション装置100に送信する。経路探索部42は、受信した避難場所までの経路を探索するようにする。
【0068】
また、リンクの安全ランクを交通情報配信サーバ200から受信してもよい。経路誘導部43は、受信したリンクの安全ランクを用いて、避難経路の安全ランクを求めるようにする。
【0069】
また、交通情報配信サーバ200から、安全ランクを算出するための情報を受信して、リンクデータ321の安全ランク326を変えて(補正して)用いてもよい。
【0070】
図9は、かかる場合の交通情報配信サーバ200が送信する災害時配信情報210を示す。災害時配信情報210は、車載用ナビゲーション装置100の現在位置周辺の避難場所の座標位置を含む情報(避難場所情報)211、通行不可能な道路に関する情報(リンク切れ情報)212、安全ランク情報213などを含んでいる。
【0071】
図10は、安全ランク情報213の構成を示す。安全ランク情報213は、リンクの条件2131ごとに、安全ランクに補正(増加又は加減)すべき値(安全ランク加減値)2132を含んでいる。
【0072】
このような災害時配信情報210を受信すると、経路誘導部42は、災害時配信情報210の避難場所情報211で特定される地点を、目的地として設定して、避難経路を探索する(S106)。
【0073】
経路誘導部43は、探索された複数の経路の中から、災害時配信情報210のリンク切れ情報212で特定される通行不可能な道路に属するリンクを含む経路を除外する(S108)。
【0074】
次に、経路誘導部43は、災害時配信情報210の安全ランク加減値を用いて、避難経路の安全ランクを求める。具体的には、リンクデータ321の安全ランク326を、安全ランク加減値2132で補正した値を、そのリンクの安全ランクとする。例えば、リンクが、海沿いの道路(例えば、海岸から100m以内の道路)である場合、リンクデータの安全ランク326から「1」を引いた値を、そのリンクの安全ランクとする。
【0075】
なお、交通情報配信サーバ200から、通行を推奨する道路に関する情報を受信するようにしてもよい。そして、経路探索部42は、通行を推奨する道路に属すリンクのコストを低く重み付けして、経路に選択され易くして、避難経路を探索するようにしてもよい。
【0076】
また、経路誘導部43は、交通情報配信サーバ200から渋滞情報を受信した場合、渋滞があるとされる道路のリンクの安全ランクを、他のリンクに比べて、小さくするようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、経路の安全ランクを求めるとき、リンクの安全ランクをその距離で重み付けして、加重平均して求める方法について説明したが、安全ランクの求め方は、これに限られない。リンク長が長いほど、安全ランクを下げるようにしてもよい。例えば、所定距離上のリンクは、その元の安全リンクから「1」を引いた値を、安全ランクとする。
【0078】
また、上記のようにして、経路の安全ランクを求めたのち、さらに、経路の総距離に応じて、安全ランクを修正してもよい。例えば、総距離が所定距離(例えば20km、30km、40km)を超える場合、安全ランクを所定値だけ減少(例えば、それぞれ「1」、「2」、「3」を引いて減少)させるようにする。
【0079】
また、上記実施形態では、安全ランクをリンクごとに定めたが、地域ごとに安全ランクを定めてもよい。例えば、車載用ナビゲーション100の記憶装置3は、地図上の区分けされた領域に対応させて安全ランクが記憶されている。経路誘導部43は、避難経路の安全ランクを求める際、リンクごとに、そのリンクが属する領域の安全ランクを求める。そして、求めた安全ランクを、そのリンクの安全ランクとして、避難経路全体の安全ランクを求める。
【0080】
また、経路探索部42は、避難場所が現在位置周辺にない場合、周辺で最も安全ランクが高いリンクを避難場所に設定して、そのリンクまでの避難経路を探索するようにしてもよい。
【0081】
また、経路誘導部43は、公園などの避難場所が、現在位置から数km以内にある場合、車両から降りて歩いていくように指示するメッセージを表示をするようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、安全ランクは、その値が大きい程、安全であることを示すものとして説明したが、これに限らず、その値が小さい程、安全であることを示すものとしてもよい。
【0083】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーションシステムの概略構成図である。
【図2】図2は、車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図3】図3は、記憶装置3に記憶されている地図データの構成例を示す図である。
【図4】図4は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図6】図6は、災害時の表示画面の遷移図である。
【図7】図7は、避難経路探索のフロー図である。
【図8】図8は、避難険路の安全ランクを説明するための図である。
【図9】図9は、災害時配信情報の構成例である。
【図10】図10は、災害時配信情報に含まれる安全ランク情報の構成例である。
【符号の説明】
【0085】
100・・・車載用ナビゲーション装置、
200・・・交通情報配信サーバ、
201・・・ネットワーク、202・・・無線基地局、204・・・FM多重放送局、205・・・ビーコン、
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・入力装置、6・・・車輪速センサ、7・・・地磁気センサ、8・・・ジャイロ、9・・・GPS受信機、11・・・車内LAN装置、12・・・FM多重放送受信装置、13・・・ビーコン受信装置、15・・・ネットワーク通信装置、
21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・DMA、25・・・描画コントローラ、26・・・VRAM、27・・・カラーパレット、28・・・A/D変換器、29・・・SCI、30・・・PIO、31・・・カウンタ、41・・・ユーザ操作解析部、42・・・経路探索部、43・・・経路誘導部、44・・・現在位置算出部、45・・・情報記憶部、46・・・表示処理部、48・・・受信情報処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
地図上の道路を構成するリンクの災害時の安全ランクを特定する情報を記憶する記憶手段と、
災害時の避難場所を設定する避難場所設定手段と、
前記避難場所への複数の避難経路を探索する経路探索手段と、
前記安全ランクを特定する情報を用いて、前記経路探索手段で探索した避難経路の安全ランクを求める安全ランク算出手段と、
前記安全ランク算出手段で求められた前記避難経路の安全ランクが最大の経路を推奨避難経路と設定する手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記記憶手段は、災害時の避難場所を記憶しており、
前記避難場所設定手段は、前記記憶手段に記憶された避難場所の中の現在位置周辺の避難場所を設定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1において、
避難場所を特定する情報を受信する受信手段を有し、
前記避難場所設定手段は、前記受信手段で受信した情報により特定される避難場所を設定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1において、
安全ランクを補正する情報を受信する受信手段を有し、
前記安全ランク算出手段は、前記受信手段で受信した情報を用いてリンクの安全ランクを補正し、補正した安全ランクを用いて、前記経路探索手段で探索した避難経路の安全ランクを求める
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記記憶手段は、リンクごと又は領域ごとに定められた安全ランクを記憶している
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記記憶手段は、通行危険リンクを記憶し、
前記ナビゲーション装置は、
前記通行危険リンクを含む避難経路を推奨避難経路から除外する手段
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記推奨避難経路と現在位置の安全ランクと比較して、現在位置の方が安全ランクが大きい場合、現在地の方が安全である旨の情報を表示する手段を有する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記避難場所設定手段は、安全ランクが予め定めた値より高い道路を避難場所に設定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
地図上の道路を構成するリンクの災害時の安全ランクを特定する情報を記憶する記憶手段と、
災害時の避難場所を設定する避難場所設定手段と、
前記避難場所への複数の避難経路を探索する経路探索手段と、
前記安全ランクを特定する情報を用いて、前記経路探索手段で探索した避難経路の安全ランクを求める安全ランク算出手段と、
前記安全ランク算出手段で求められた前記避難経路の安全ランクが最大の経路を推奨避難経路と設定する手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記記憶手段は、災害時の避難場所を記憶しており、
前記避難場所設定手段は、前記記憶手段に記憶された避難場所の中の現在位置周辺の避難場所を設定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1において、
避難場所を特定する情報を受信する受信手段を有し、
前記避難場所設定手段は、前記受信手段で受信した情報により特定される避難場所を設定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1において、
安全ランクを補正する情報を受信する受信手段を有し、
前記安全ランク算出手段は、前記受信手段で受信した情報を用いてリンクの安全ランクを補正し、補正した安全ランクを用いて、前記経路探索手段で探索した避難経路の安全ランクを求める
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記記憶手段は、リンクごと又は領域ごとに定められた安全ランクを記憶している
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記記憶手段は、通行危険リンクを記憶し、
前記ナビゲーション装置は、
前記通行危険リンクを含む避難経路を推奨避難経路から除外する手段
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記推奨避難経路と現在位置の安全ランクと比較して、現在位置の方が安全ランクが大きい場合、現在地の方が安全である旨の情報を表示する手段を有する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記避難場所設定手段は、安全ランクが予め定めた値より高い道路を避難場所に設定する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−292402(P2006−292402A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109548(P2005−109548)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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