説明

ナビゲーション装置

【課題】製品コストの上昇を抑えつつ、検索対象とする施設を絞り込むためのジャンルリストの並び順を適切なものとする。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、予めジャンル分けされた地図上の様々な施設について、各ジャンルをリスト状に並べたジャンルリストを表示モニタ16に表示し、そのジャンルリストにおいて指定されたジャンルの施設を地図上で検索する。制御部10の処理により、検索対象とする地域を特定し、その地域内に存在する施設の数をジャンルごとに算出する。こうして算出されたジャンルごとの施設の数に基づいて、ジャンルリストにおける各ジャンルの表示順序を設定し、その表示順序でジャンルリストを表示モニタ16に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等において用いられるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地の設定などを行うために所望の施設を検索するナビゲーション装置において、検索対象とする施設を絞り込むためのジャンルリストを表示し、そのジャンルリストで指定されたジャンルの施設を検索するものが知られている。たとえば特許文献1には、時間帯、日付、曜日、ガソリン残量、地域などに応じて各ジャンルの優先度情報を予め設定しておき、この優先度情報に基づいてジャンルリストの並び順を決定するナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−14618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置では、各ジャンルの優先度情報を予め設定してナビゲーション装置に記憶させておく必要がある。したがって、優先度情報の設定に多大な手間がかかると共に、ナビゲーション装置が記憶しなければならない情報の量が増大するため、製品コストの上昇につながるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるナビゲーション装置は、予めジャンル分けされた地図上の様々な施設について、各ジャンルをリスト状に並べたジャンルリストを表示手段に表示し、そのジャンルリストにおいて指定されたジャンルの施設を地図上で検索するものであって、地域を特定する地域特定手段と、地域特定手段により特定された地域内に存在する施設の数をジャンルごとに算出する算出手段と、算出手段により算出されたジャンルごとの施設の数に基づいて、ジャンルリストにおける各ジャンルの表示順序を設定する表示順序設定手段と、表示順序設定手段により設定された表示順序でジャンルリストを表示手段に表示する表示制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、製品コストの上昇を抑えつつ、検索対象とする施設を絞り込むためのジャンルリストの並び順を適切なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】施設検索処理のフローチャートである。
【図3】各ジャンルの地域ごとの施設数の例を示す図である。
【図4】地域ごとのジャンル表示順序の例を示す図である。
【図5】ジャンルリストの表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1のブロック図に示す。車両用のナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System(登録商標))情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。
【0009】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。たとえば、目的地の設定や地点登録を行うための施設検索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、自車両の現在位置の検出処理、地図を含む各種の画像表示処理、音声出力処理などが制御部10によって実行される。
【0010】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の走行速度を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、制御部10において自車両の移動方向および移動量が求められる。
【0011】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0012】
HDD13に記録された地図データは、経路計算データと、道路データと、背景データと、POIデータとを含む。経路計算データは、目的地までの推奨経路を探索する際などに用いられるデータである。道路データは、道路の形状や種別などを表すデータである。道路データにおいて、各道路は後述するようにノードや形状補間点と呼ばれる点を複数繋げることによって構成されている。背景データは、地図の背景を表すデータである。なお、地図の背景とは、地図上に存在する道路以外の様々な構成物である。たとえば、河川、鉄道、緑地帯、各種構造物などが背景データによって表される。
【0013】
POIデータは、地図上の施設(POI:Point Of Interest)に関するデータである。たとえば、地図上に存在するレストラン、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア等の様々な種類の施設について、その施設のジャンルと位置の情報がPOIデータとしてHDD13に記録されている。このPOIデータに基づいて、地図上で当該施設の位置にその種類に応じたアイコンが表示されると共に、後で説明するような施設検索処理が行われる。なお、POIデータを複数の階層でジャンル分けしてもよい。たとえば、レストラン、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア等の施設については、その施設ジャンルごとに様々な種類のチェーン店が存在する。そのため、これらの施設ジャンルについては、チェーン店の種類に応じてさらにジャンル分けすることができる。
【0014】
地図データにおいて道路網を構成する各道路の最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、所定の道路区間にそれぞれ対応する複数のリンクによって道路網が構成されており、リンク単位で経路計算データおよび道路データが表現されている。なお、道路データにおいて各リンクの両端には、座標情報がそれぞれ設定されたノードと呼ばれる点が設けられている。また、各リンクの途中には形状補間点と呼ばれる点が必要に応じて設けられている。各形状補間点には、ノードと同様に座標情報がそれぞれ設定されている。これらの点を順に繋げることにより、道路データにおいて道路の形状が表される。
【0015】
一方、経路計算データには、各道路区間に対応するリンクごとに、自車両が当該道路区間を走行する際の通過所要時間等に応じたリンクコストが設定されている。このリンクコストに基づいて、予め設定された経路探索条件に応じたリンクの組合せを求めることにより、ナビゲーション装置1において推奨経路の探索が行われる。たとえば、移動時間の短さを最優先として経路探索を行うような経路探索条件が設定されている場合は、出発地から目的地までの通過所要時間が最小となるリンクの組合せが推奨経路として求められる。
【0016】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、HDD以外の記録媒体に地図データを記録することとしてもよい。たとえば、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードなどに記録された地図データを用いることができる。また、外部のサーバ等から無線通信回線を介して地図データをダウンロードし、これをフラッシュメモリ等に記憶して利用してもよい。すなわち、本実施の形態によるナビゲーション装置1では、どのような記録媒体を用いてこれらのデータを記憶してもよい。
【0017】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の現在位置を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて、自車両の現在位置を制御部10において算出することができる。このGPS信号に基づく自車両の現在位置の算出結果と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の各検出結果に基づく移動方向および移動量の算出結果とにより、制御部10において所定時間ごとに自車両の現在位置を検出するための位置検出処理が実行され、自車両の現在位置が検出される。
【0018】
VICS情報受信部15は、図示しないVICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報をVICS情報受信部15が受信することにより、渋滞情報を始めとする様々な道路交通情報がナビゲーション装置1において取得される。VICS情報により提供される渋滞情報では、各リンクの道路状況を順調、混雑または渋滞の3種類の道路状況のうちいずれかで表現している。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は、制御部10に出力され、渋滞情報の表示や推奨経路の探索などに利用される。
【0019】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0020】
表示モニタ16は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ16により、地図の表示や推奨経路の案内表示などが行われる。表示モニタ16に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0021】
スピーカ17は、制御部10の制御により様々な音声情報を出力する。たとえば、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などがスピーカ17から出力される。
【0022】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、検索したい施設のジャンルを設定したり、目的地を設定して推奨経路の探索を開始したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0023】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、前述のようにして検出された自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算による経路探索処理を行う。この処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路を探索する。さらにナビゲーション装置1は、たとえば色を変える等の方法により、表示モニタ16に表示された地図上において他の道路と識別可能な形態で探索された推奨経路を表示する。そして、推奨経路に従って所定の画像情報や音声情報を表示モニタ16やスピーカ17から出力することにより、自車両を目的地まで案内する。
【0024】
次に、ナビゲーション装置1において実行される施設検索処理について説明する。ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、ユーザからの指示に応じて、目的地の設定や地点登録を行うための施設検索処理を前述のPOIデータに基づいて行うことができる。この施設検索処理では、検索対象とする地域(たとえば都道府県)が特定されると、その地域のPOIデータに含まれる施設の各ジャンルやチェーン店名をリスト状に並べたジャンルリストを表示モニタ16に表示し、そのジャンルリストにおいてユーザに指定されたジャンル(チェーン店)の施設を地図上で検索する。そして、検索された施設をリスト状に表示し、その中でユーザに指定された施設を目的地や経由地に設定したり、登録地点リストに登録したりする。
【0025】
なお、ジャンルリストを表示モニタ16に表示する際には、検索対象地域内の施設数をジャンルごとに算出し、その算出結果に基づいてジャンルリストにおける各ジャンルの表示順序を設定する。具体的には、検索対象地域内の施設数が多いジャンルであるほどジャンルリストにおいてより上位の表示順序となるように、各ジャンルの表示順序を設定する。こうすることで、検索対象地域ごとに、検索対象とする施設を絞り込むためのジャンルリストの並び順をその地域内の施設数に応じて適切に調節することができる。
【0026】
以上説明したような施設検索処理のフローチャートを図2に示す。このフローチャートは、ユーザが入力装置18の操作により施設検索処理を開始するための所定の指示をナビゲーション装置1に対して行うと、ナビゲーション装置1において制御部10により実行されるものである。
【0027】
ステップS10において、制御部10は、ユーザからの指示に応じて施設の検索方法を選択する。ここでは、自車両の現在位置の周辺を検索するための自車位置周辺検索、目的地の周辺を検索するための目的地周辺検索、表示モニタ16に表示されている地図上でユーザに指定された位置の周辺を検索するための表示位置周辺検索、または目的地までの推奨経路の周辺を検索するための経路周辺検索のいずれかを、ユーザからの指示に応じて選択することができる。ただし、目的地周辺検索や経路周辺検索は、目的地が設定されておらずに推奨経路が未探索の場合には選択できない。なお、自車位置周辺検索において用いられる自車両の現在位置は、前述のように制御部10が所定時間ごとに位置検出処理を実行することで求められたものである。
【0028】
ステップS20において、制御部10は、ステップS10で選択された検索方法が経路周辺検索であるか否かを判定する。選択された検索方法が経路周辺検索ではない場合、すなわち自車位置周辺検索、目的地周辺検索または表示位置周辺検索のいずれかである場合は、ステップS30へ進む。一方、ステップS10において経路周辺検索を選択した場合は、ステップS60へ進む。
【0029】
ステップS30において、制御部10は、施設検索を行う検索対象地域を特定するために、検索中心位置として地図上のいずれかの位置を指定する。ここでは、ステップS10で選択された検索方法に応じた位置を検索中心位置として指定する。具体的には、自車位置周辺検索であれば、自車両の現在位置を検索中心位置として指定し、目的地周辺検索であれば、目的地の位置を検索中心位置として指定する。また、表示位置周辺検索であれば、地図上でユーザに指定された位置を検索中心位置に指定する。
【0030】
ステップS40において、制御部10は、ステップS30で指定された検索中心位置が含まれる地域を検索対象地域として特定する。以下の説明では、都道府県単位で地域を分類した場合の例を考える。すなわち、自車位置周辺検索であれば、自車両の現在位置が含まれる都道府県を検索対象地域として特定し、目的地周辺検索であれば、目的地が含まれる都道府県を検索対象地域として特定する。また、表示位置周辺検索であれば、地図上でユーザに指定された位置が含まれる都道府県を検索対象地域として特定する。なお、地域の分類方法は都道府県単位に限らない。たとえば、都道府県以外の行政区域(市町村等)に応じて地域を分類してもよい。また、地図データにおいて予め所定距離ごとに設定された地図メッシュに応じて地域を分類してもよい。あるいは、予め分類された地域を利用せずに検索対象地域を特定してもよい。たとえば、検索中心位置から所定距離以内の範囲を検索対象地域とすることができる。
【0031】
ステップS50において、制御部10は、地図データの一部としてHDD13に記録されているPOIデータに基づいて、ステップS40で特定された検索対象地域の都道府県内の施設数をジャンルごとに算出する。ここでは、POIデータにおいて表される施設の各ジャンルについて、検索対象地域の都道府県内に存在する施設の数をそれぞれ算出する。これを実現するために、たとえば、各都道府県内に存在するジャンルごとの施設数情報を予めPOIデータ内に記録しておくようにする。このようにすれば、検索対象地域とされた都道府県の施設数情報をPOIデータから読み出すことで、その都道府県内に存在するジャンルごとの施設数を容易に算出することができる。あるいは、こうした施設数情報を予めPOIデータ内に記録しておかなくてもよい。その場合、たとえば各施設が属する地域の情報をPOIデータにおいて予め記録しておき、これを用いて検索対象地域内に存在するジャンルごとの施設数を算出することができる。または、各施設の位置情報から施設ごとに検索対象地域内に存在するか否かを判断し、その判断結果に基づいて検索対象地域内に存在するジャンルごとの施設数を算出してもよい。
【0032】
なお、前述のようにPOIデータが複数の階層でジャンル分けされている場合、上位階層のジャンル(たとえば施設の種類)を予めユーザに指定させ、そのジャンルに属する下位階層の各ジャンル(たとえばチェーン店名)について、検索対象地域内に存在する施設の数をそれぞれ算出することが好ましい。ステップS50を実行することで検索対象地域内のジャンルごとの施設数を算出したら、ステップS80へ進む。
【0033】
ステップS60において、制御部10は、自車両の現在位置から目的地までの間に推奨経路が通過する地域を検索対象地域として特定する。このとき、推奨経路が通過する地域(都道府県)の数が1つであれば、その地域を検索対象地域として特定する。一方、推奨経路が複数の地域(都道府県)を通過する場合は、その複数の地域をそれぞれ検索対象地域として特定する。なお、前述のステップS40と同様に、都道府県のように予め分類された地域を利用せずに検索対象地域を特定してもよい。たとえば、推奨経路から所定距離以内の範囲を検索対象地域とすることができる。
【0034】
ステップS70において、制御部10は、地図データの一部としてHDD13に記録されているPOIデータに基づいて、ステップS60で特定された検索対象地域の都道府県内の施設数をジャンルごとに算出する。ここで、推奨経路が1つの都道府県のみを通過する場合は、前述のステップS50と同様の方法により、POIデータにおいて表される施設の各ジャンルについて検索対象地域の都道府県内に存在する施設の数をそれぞれ算出することができる。一方、推奨経路が複数の都道府県を通過する場合は、各ジャンルの施設数を検索対象地域の都道府県ごとにそれぞれ算出し、その算出結果を合計すればよい。ステップS70を実行したら、ステップS80へ進む。
【0035】
ステップS80において、制御部10は、ステップS50またはステップS70で算出されたジャンルごとの施設数に基づいて、ジャンルリストにおける各ジャンルの表示順序を設定する。具体的には、算出された施設数が多いほど上位の表示順序を各ジャンルに対して設定し、各ジャンルを縦に並べたジャンルリストにおいてより上位(上方)の位置に表示されるようにする。
【0036】
ステップS90において、制御部10は、検索対象地域の都道府県内に存在する各施設のジャンルリストを、ステップS80で設定された表示順序により表示モニタ16に表示する。すなわち、検索対象地域の都道府県内に存在する施設の数が多いジャンルほどその表示順序が上位となるように、検索対象として選択可能な施設の各ジャンルを並べてリスト表示する。なお、このときに検索対象地域の都道府県内での各ジャンルの施設数をジャンルリストと共に表示してもよい。
【0037】
ステップS100において、制御部10は、ステップS90で表示されたジャンルリストにおいていずれかのジャンルがユーザに指定されたか否かを判定する。ユーザが入力装置18を用いてジャンルリスト上でいずれかのジャンルを指定する操作を行うと、続くステップS110へ進む。
【0038】
ステップS110において、制御部10は、HDD13に記録されているPOIデータに基づいて、ステップS100でユーザに指定されたジャンルの施設を検索対象地域の都道府県内で検索する。たとえば、ステップS10で選択された検索方法が自車位置周辺検索、目的地周辺検索または表示位置周辺検索のいずれかである場合は、ステップS30で指定された検索中心位置を基準として、そこから近い順に所定数だけ指定されたジャンルの施設を検索する。一方、ステップS10で選択された検索方法が経路周辺検索である場合は、目的地までの推奨経路を基準として、そこから近い順に所定数だけ指定されたジャンルの施設を検索する。
【0039】
ステップS120において、制御部10は、ステップS110の検索結果を表示モニタ16に表示する。ここでは、ステップS110で検索された施設の名称や位置を上記の基準位置から近い順に並べてリスト表示する。なお、このとき基準位置からの距離を併記したり、地図を表示して各施設の位置をその地図上に表示したりしてもよい。
【0040】
ステップS130において、制御部10は、ステップS120で表示された検索結果のリストにおいていずれかの施設がユーザに指定されたか否かを判定する。ユーザが入力装置18を用いて検索結果リスト上でいずれかの施設を指定する操作を行うと、続くステップS140へ進む。
【0041】
ステップS140において、制御部10は、ステップS130でユーザに指定された施設に対して所定のアクション(処理)を実行する。たとえば、指定された施設を目的地や経由地に設定したり、登録地点リストに登録したりすることができる。なお、ここで実行されるアクションの内容は、予めユーザが選択してもよいし、ステップS130で施設を指定した後にユーザが選択できるようにしてもよい。
【0042】
ステップS140を実行したら、制御部10は図2のフローチャートを終了する。ナビゲーション装置1では、ユーザからの指示に応じて、以上説明したような施設検索処理が制御部10により実行される。
【0043】
たとえば、ジャンルリストとして様々な種類のチェーン店名をリスト表示し、その中からいずれかのチェーン店の施設を地図上で検索する場合、図2のステップS50またはS70では、ステップS40またはS60で検索対象地域として特定された都道府県内のチェーン店数をチェーン店の種類ごとに算出する。こうして算出されたチェーン店数が多い順に、各チェーン店名の表示順序をステップS80において設定し、その表示順序に従ってチェーン店名のリストをステップS90において表示する。いずれかのチェーン店名がステップS100においてユーザに指定されると、そのチェーン店の施設をステップS110において検索対象地域の都道府県内で検索し、検索結果をステップS120において表示する。
【0044】
上記の施設検索処理におけるジャンルリスト表示の具体例を以下に説明する。図3は、都道府県単位で地域を分類し、チェーン店ごとに施設をジャンル分けした場合の各ジャンルの地域ごとのチェーン店数の例を示す図である。ここでは、A、B、C、D、EおよびFの各ジャンルについて、愛知県、青森県、秋田県、石川県および茨城県の各県におけるチェーン店数と、全都道府県における合計チェーン店数とを表している。なお、A、B、C、D、EおよびFの各ジャンルは、たとえばファミリーレストランの各チェーン店に対応するものである。
【0045】
図4は、図3に示したチェーン店数に基づいて設定される地域ごとのジャンル表示順序の例を示す図である。たとえば愛知県の場合、図3においてジャンルD、A、B、C、E、Fの順にチェーン店数が多いことから、この順に従ってジャンルリストにおける各ジャンルの表示順序が図4に示すように設定される。同様に、青森県、秋田県、石川県および茨城県の各県についても、図3に示すチェーン店数の順に従って、各ジャンルの表示順序が図4に示すようにそれぞれ設定される。
【0046】
図5は、図4に示したジャンル表示順序に応じたジャンルリストの表示画面例を示す図である。たとえば自車両の現在位置が愛知県内にあるときに自車位置周辺検索を行うと、図5(a)に示すようなジャンルリストが表示モニタ16に表示される。このジャンルリストでは、図4に示したジャンル表示順序のうち愛知県に対する表示順序に従って、ジャンルD、A、B、C、Eの順に各ジャンルがリスト表示されている。表示順序が最下位のジャンルFは図5(a)において示されていないが、これは画面を下にスクロールさせると表示される。なお、図5(a)では最上位のジャンルDが選択されている様子を示しており、その表示形態が他とは異なっている。
【0047】
また、たとえば目的地までの推奨経路が秋田県と青森県を通過するときに経路周辺検索を行うと、図5(b)に示すようなジャンルリストが表示モニタ16に表示される。このジャンルリストでは、図3に示したジャンルごとのチェーン店数のうち秋田県と青森県のチェーン店数の合計値の大きさに応じた表示順序に従って、ジャンルA、E、B、C、Dの順に各ジャンルがリスト表示されている。表示順序が最下位のジャンルFは図5(b)において示されていないが、これは画面を下にスクロールさせると表示される。なお、図5(b)では最上位のジャンルAが選択されている様子を示しており、その表示形態が他とは異なっている。
【0048】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、次の(1)〜(3)のような作用効果を奏することができる。
【0049】
(1)ナビゲーション装置1は、予めジャンル分けされた地図上の様々な施設について、各ジャンルをリスト状に並べた図5のようなジャンルリストを表示モニタ16に表示し、そのジャンルリストにおいて指定されたジャンルの施設を地図上で検索する。このナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、検索対象とする地域を特定し(ステップS40、S60)、その地域内に存在する施設の数をジャンルごとに算出する(ステップS50、S70)。こうして算出されたジャンルごとの施設の数に基づいて、ジャンルリストにおける各ジャンルの表示順序を設定し(ステップS80)、その表示順序でジャンルリストを表示モニタ16に表示する(ステップS90)。このようにしたので、地図データに含まれる従来のPOIデータを用いて、各地域のジャンルごとの施設数に応じてジャンルリストの並び順を調節することができる。そのため、ナビゲーション装置1の製品コストの上昇を抑えつつ、検索対象とする施設を絞り込むためのジャンルリストの並び順を適切なものとすることができる。
【0050】
(2)制御部10は、ステップS80において、ステップS50またはS70で算出された施設の数が多いほど上位の表示順序を各ジャンルに対して設定するようにした。これにより、施設数が多くてユーザが検索対象とする可能性が高いジャンルであるほど、ジャンルリスト上でより上位に表示して、ユーザがそのジャンルをジャンルリストから選択しやすいようにすることができる。
【0051】
(3)制御部10は、ユーザからの指示に応じて、自車位置周辺検索、目的地周辺検索、表示位置周辺検索または経路周辺検索のいずれかの施設検索方法を選択する(ステップS10)。ここで自車位置周辺検索、目的地周辺検索または表示位置周辺検索のいずれかを選択した場合、ステップS50において制御部10は、自車両の現在位置、目的地または地図上で指定された位置のいずれかに基づいて検索対象とする地域を特定する。一方、経路周辺検索を選択した場合、ステップS70において制御部10は、目的地への推奨経路に基づいて検索対象とする地域を特定する。このようにしたので、ユーザの検索目的に応じて適切な地域を検索対象地域として特定することができる。
【0052】
なお、上記実施形態において、ステップS50またはS70で算出されたジャンルごとの施設数が所定の条件を満たす場合は、各ジャンルに対して所定の表示順序をステップS80で設定してもよい。たとえば、ジャンルごとの施設数の最大値と最小値を比較し、最大値が最小値の2倍以上であれば前述したようなジャンルごとの施設数に応じた表示順序の設定を行う一方で、2倍未満であれば所定の表示順序、たとえば50音順や総施設数順などの表示順序を各ジャンルに対して設定する。このようにすれば、たとえば各ジャンルの施設数の差が小さく、そのため前述のようなジャンルごとの施設数に応じた表示順序の設定が不要な場合や、従来のような表示順序の方が好ましい場合においても、その状況に応じて適切にジャンルリストの表示順序を設定することができる。
【0053】
以上説明したようなジャンルリストの表示順序に対する設定方法を切り替えるための条件は、上記条件に限らない。たとえば、ジャンルごとの施設数の分散や総施設数に対する割合などを条件として、ジャンルごとの施設数に応じた表示順序と所定の表示順序のどちらを採用するか判断することができる。
【0054】
さらに、ジャンルリストの表示順序に対する上記のような二種類の設定方法を一つのジャンルリスト内で混在させて用いてもよい。たとえば、ステップS50またはS70で算出された施設数が多い順に所定数(たとえば10個)のジャンルを第一のジャンルに分類し、残りのジャンルを第二のジャンルに分類する。そして、第一のジャンルに属する各ジャンルについては、ジャンルごとの施設数に基づいて表示順序を設定する一方で、第二のジャンルに属する各ジャンルについては、50音順や総施設数順などのように所定の表示順序を設定する。このようにすれば、施設数が多い代表的なジャンルに対する表示順序の設定と、それ以外のジャンルに対する表示順序の設定とを、それぞれ適切な方法により行うことができる。
【0055】
あるいは、特定の地域におけるジャンルリストの表示順序を他の地域に対しても適用するようにしてもよい。たとえば、予め登録されたユーザの自宅位置が属する地域を基準として、この地域におけるジャンルリストの表示順序を他の地域に対しても適用する。このようにすれば、どの地域が検索対象地域とされた場合であっても、ユーザにとって馴染みが深い表示順序でジャンルリストを表示することができる。
【0056】
特定のジャンルについては施設数に応じた表示順序の設定対象から除外して、最上位など所定の表示順序としてもよい。たとえば、ユーザが予め指定したジャンル、過去の履歴において立ち寄り頻度が高い施設のジャンル、登録地点として登録済みの施設のジャンルなどについて、施設数に応じた表示順序の設定対象から除外することができる。
【0057】
上記実施形態では、車両に搭載されるナビゲーション装置1の適用例を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ナビゲーション機能を有しない車載装置において適用してもよい。あるいは、車両に搭載されていない装置、たとえばパーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォンなどにおいても適用可能である。
【0058】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:VICS情報受信部、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予めジャンル分けされた地図上の様々な施設について、各ジャンルをリスト状に並べたジャンルリストを表示手段に表示し、前記ジャンルリストにおいて指定されたジャンルの施設を前記地図上で検索するナビゲーション装置であって、
地域を特定する地域特定手段と、
前記地域特定手段により特定された地域内に存在する前記施設の数を前記ジャンルごとに算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されたジャンルごとの前記施設の数に基づいて、前記ジャンルリストにおける各ジャンルの表示順序を設定する表示順序設定手段と、
前記表示順序設定手段により設定された表示順序で前記ジャンルリストを前記表示手段に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示順序設定手段は、前記算出手段により算出された前記施設の数が多いほど上位の表示順序を各ジャンルに対して設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記表示順序設定手段は、前記算出手段により算出されたジャンルごとの前記施設の数が所定の条件を満たす場合は、各ジャンルに対して所定の表示順序を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記表示順序設定手段は、前記ジャンルを第一のジャンルと第二のジャンルに分類し、前記第一のジャンルに対しては前記算出手段により算出された前記施設の数に基づいて表示順序を設定し、前記第二のジャンルに対しては所定の表示順序を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記表示順序設定手段は、前記算出手段により算出された前記施設の数が多い順に所定数のジャンルを前記第一のジャンルに分類し、残りのジャンルを前記第二のジャンルに分類することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
現在位置を検出する位置検出手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記地図を前記表示手段に表示する地図表示制御手段と、
前記目的地への経路を探索する経路探索手段とをさらに備え、
前記地域特定手段は、前記現在位置、前記目的地、前記地図上で指定された位置、または前記経路のいずれかに基づいて、前記地域を特定することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−68423(P2013−68423A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205082(P2011−205082)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】