説明

ハイブリッドユビキチンプロモーターを含む発現ベクター

【課題】導入遺伝子の高発現および持続発現ならびにエクスビボ遺伝子治療に有用であり、さらにインビトロにおける組換え蛋白発現にも有用である、ハイブリッドユビキチンプロモーターを含む発現ベクターを提供する。
【解決手段】治療遺伝子をコードするDNA配列に作動可能に連結されたユビキチンプロモーターの5’末端に連結された1またはそれ以上のエンハンサーを含むハイブリッドユビキチンプロモーターを用いる組換え発現ベクター。前記エンハンサーがサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、伸長因子1−アルファエンハンサー、内皮エンハンサーおよび肝臓特異的エンハンサーからなる群より選択されるものである前記組換え発現ベクター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はハイブリッドユビキチンプロモーターを含む発現ベクターに関する。該プロモーターはとりわけインビボにおける導入遺伝子の高発現および持続発現ならびにエクスビボ遺伝子治療に有用であり、さらにインビトロにおける組換え蛋白発現にも有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ユビキチンは豊富に存在する小型の76個のアミノ酸の蛋白であり、すべての真核細胞において発現される(Ciechanover et al. 2000; Wilkinson et al., 2000)。該蛋白は異常な、ミスフォールディングされたあるいは短命な蛋白に共有結合し、それらの蛋白はプロテアソームにおいて破壊される運命にある(Ciechanover上記文献)。ユビキチンはヒストンとも結合し、遺伝子発現において役割を果たしている可能性がある(Spencer and Davie, 1999)。そのコーディング配列は進化の過程で著しく保存されており、昆虫からヒトに至るまで同一である。ヒトにおいて少なくとも3つのユビキチン遺伝子があり、UbA、UbBおよびUbCと命名されており、それらはそれぞれ1個、3個または9個の76アミノ酸のコーディングユニットの正確なダイレクトリピートを含むと思われる(Baker and Board, Nucleic Acids Research, 15:443-463 (1987); Lund et al. 1985; Nenoi, et al. 1996; およびWilborg et al., EMBO J., 4:755-759 (1985))。ヒトのUbBおよびUbC遺伝子は配列決定されており、それらのコーディング領域中にイントロンを含まないが、それぞれ5’隣接領域中にイントロンを含むことが示されている(Baker and Board上記文献; Nenoi上記文献)。UbCプロモーターは、トランスジェニックマウスに導入された場合、およびプラスミドDNAベクター中に含有させられた場合に高レベルの不変的発現を引き起こすことが示されている(Johansen et al., FEBS 267:289-294 (1990); Schopp et al., Nucleic Acids Research, 24:1787-1788 (1996); Wulff et al., 1990)。
【0003】
ヒトサイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーター(米国特許第5849522号;米国特許第5168062号参照)は、導入遺伝子の強力な構成的発現を高レベルで引き起こすことが知られている。しかしながら、遺伝子治療への適用において、CMVプロモーターを用いて達成される発現レベルは経時的に有意に低下することが示されている。
したがって、遺伝子治療のごとき適用において高発現および持続発現を可能にする改良された調節エレメントを提供する必要があり続けている。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明は、1またはそれ以上のユビキチンプロモーター由来のエレメントと1またはそれ以上の強力なエンハンサーとを一緒に用いたハイブリッド調節領域を提供する。さらに本発明は、結合されたコーディング配列の高発現および持続発現を提供するDNAベクターを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細な説明
ユビキチンBプロモーターがクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)レポーター遺伝子をドライブするDNAベクターは、低レベルながら持続的な発現を引き起こす。CMVエンハンサーとユビキチンBプロモーターが連結されてCATを発現するハイブリッドを構築した。結果は、ユビキチンBプロモーター単独よりも有意に高いレベルの持続的発現であった。本発明のハイブリッドユビキチンプロモーターを用いる持続的発現は、肺および肝臓を包含する種々の組織において達成された。
【0006】
好ましい具体例において、プロモーターがヒトユビキチンA、ユビキチンBまたはユビキチンC遺伝子、あるいは他の種のユビキチン遺伝子から単離された発現ベクターを構築する。好ましいエンハンサーはヒトおよびネズミのサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー(米国特許第5849522号;米国特許第5168062号参照)、伸長因子1−アルファエンハンサー、内皮特異的エンハンサーおよび肝臓特異的エンハンサー、ならびに特に肺における発現をサポートできる他の構成的または誘導可能なエンハンサーエレメントを包含する。
【0007】
他の好ましい具体例において、プラスミドベクターは完全にあるいは部分的に免疫刺激性CpG配列を欠失していてもよい。かかるCpG欠失プラスミドの製造方法および材料はPCT公開WO00/14262に開示されており、その開示を参照により本明細書に一体化させる。
【0008】
細胞にデリバリーされる好ましい治療遺伝子のうち好ましいものは、因子VIIa(米国特許第4784950号)、因子VIII(米国特許第4965199号、米国特許第4868112号(B−ドメイン欠失)、および米国特許第5661008号)、および因子IX(米国特許第4994371号)を包含する造血因子である。他の好ましい導入遺伝子は、グルコセレブロシダーゼ(ゴーシェ病;米国特許第5879680号;米国特許第5236838号)、アルファ−ガラクトシダーゼ(ファブリー病;米国特許第5401650号)、酸性アルファ−グルコシダーゼ(ポムペ病;WO00/12740)、アルファ−n−アセチルガラクトサミニダーゼ(シントラー病;米国特許第5382524号)、酸性スフィンゴミエリナーゼ(ニーマン−ピック病;米国特許第5686240号)、アルファ−イズロニダーゼ(WO9310244A1)を包含するリソソーム貯蔵酵素をコードするものである。他の好ましい導入遺伝子は、のう胞性線維症膜貫通コンダクタンスレギュレーター(CFTR)、ジストロフィン、インスリンおよびアルファ−1−アンチトリプシンに関する遺伝子を包含する。上記刊行物の開示を参照により本明細書に一体化させる。
【0009】
持続的な遺伝子発現は、遺伝子治療が考えられる多くの遺伝学的疾病ならびにインビトロにおける組換え蛋白発現に必要とされるであろう。サイトメガロウイルス(CMV)のごときウイルスプロモーターを含むプラスミドDNA(pDNA)ベクターからの発現はしばしば一時的なものである。我々は、ユビキチンBプロモーターから発現されるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)受容体遺伝子を含有する発現ベクター(pUBI−CAT)を構築し、マウス肺におけるそれらの発現持続性を評価した。カチオン性−pDNA複合体をBALB/cマウスに鼻腔内投与し、肺におけるCATレベルをアッセイした。pUBI−CATからのCAT発現は初めは低かったが、その後増加して、35日目にはCNVプロモーターを用いたベクター(pCF1−CAT)からのレベルよりも4〜9倍高いレベルとなった。次いで、我々は、CMVエンハンサーをUbBプロモーターの5’末端に付加した。このベクター(pCUBI−CAT)からのCAT発現は2日目にはpCF1−CATと同等であったが、58日目にはpCF1−CATからの発現よりも40倍高くなった。以前の研究は、pDNAベクター中の免疫刺激性CpGモチーフを除去することがそれらの毒性を低下させることを示すものであったので、我々は、pCUBI−CATのCpG欠失バージョンも構築し、さらに我々は、CpGを欠失し、コドンを最適化したcDNAであってアルファ−ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、および因子IXをコードするものを合成し、pCUBIベクターに挿入した。持続性プロモーターとCpG減少のこの組合せは商業的な生存可能な遺伝子による遺伝子治療に必要な長い持続性と効率を提供することができる。
【0010】
一定量の遺伝子治療ベクターからの持続的な治療的レベルの遺伝子産物は多くの疾病徴候に望ましいものである。我々は、ヒトユビキチンBプロモーターを含むpDNAベクターからの導入遺伝子発現が非常に安定なものであり得、いくつかの状況において実際に経時的に増大するというユニークな性質を有するものであることをここに示す。ヒトCMVプロモーターの強力なエンハンサーエレメントをUbプロモーターに付加した場合、CMV−Ubハイブリッドプロモーターからのレポーター遺伝子発現は多く、肺において少なくとも3ヶ月持続した。治療導入遺伝子であるアルファ−ガラクトシダーゼAの発現もまた、1ヶ月の研究期間中着実にレベルが増加しながら持続した。
【0011】
エピソームpDNAからの長期にわたる導入遺伝子発現が維持されうるという知見は、持続的発現に対する主な制限因子がプロモーター活性であるという主張を支持する。核保持エレメント、複製開始点または真核トランスポゾンの使用のごとき細胞におけるpDNAの安定性を増大させるシステムは、実際に長期にわたる遺伝子発現を促進する(1,2,27)。しかしながら、インプットpDNAの最初の大きな損失後に、極端に低いが検出可能なレベルのpDNAが組織中で数ヶ月にわたり安定に維持されることが示された(3,28)。大部分の合成ベクターの標的細胞である肺上皮細胞または内皮細胞(カチオン性脂質−pDNAに適する)、肝細胞、あるいは骨格筋は十分に分化したものであり、非常に低いターンオーバーを有する(29)。我々の結果は、トランスダクションされた組織中に存在するpDNAの残存量が持続的な発現を引き起こすに十分に安定であることを示す。
【0012】
ユビキチンプロモーターからの持続的転写活性に関する機構は不明であり、我々は、その活性が少なくとも一部には細胞中のユビキチンの正常な機能に関連していると推測できるだけである。ユビキチンは異常なまたはミスフォールディングされた蛋白の除去ならびに遺伝子活性化を引き起こすヒストンの修飾に構成的に必要とされ、それゆえ多くのウイルスプロモーターについて観察されるダウンレギュレーションに付される可能性はない(12,14)。またユビキチンは細胞ストレスに応答して誘導され、おそらくカチオン性脂質−pDNA複合体の投与に関連することが知られている細胞壊死およびアポトーシスに応答してアップレギュレーションされる可能性がある。そのことは経時的に発現増加が観察されることから説明できる(25,30)。他の可能性は、プロモーターが初期の時点において抑制されうること、あるいは経時的に転写因子がプロモーターに動員されることである。
【0013】
Ubプロモーター中の潜在的な転写因子結合部位の検索によりCEBP/B、CREB、GATA−2、Sp1および他のものに関して可能性のある部位が見出されたが、このプロモーターに関連する実際の因子はさらなる分析が必要であろう。CMV−Ubハイブリッド中に使用されるCMVエンハンサー領域は複数のSp1、CREBおよびNFkB部位を付加し、転写活性の有意な増加に貢献する(31)。しかしながら、CMVとは異なり、CMV−Ubハイブリッドは経時的にダウンレギュレーションされない。CMV−Ub中に使用されるCMVエンハンサー配列は、細胞のGfiレプレッサーのごときいくつかの既知のレプレッサー結合部位を回避するが、YY1に関する部位をやはり含んでおり、その部位はレプレッサーとして機能しうる(32,33)。Ubプロモーターと伴わない単独のCMV配列もまたそれ自体持続的発現を引き起こさなかった(データ示さず)。とにかく、ハイブリッドプロモーターのUb部分に関与する因子のアレイはCMVの正常な不活性化に打ち勝って活性を維持したように思われる。
【0014】
アルファ−ガラクトシダーゼAを用いたここに示す結果は、プラスミド中のCpGモチーフの除去が経時的にCMVの不活性化にも影響することを示唆する。未修飾CMVプロモーターを含むがCpG減少骨格を含むpGZA−HAGAベクターは、INデリバリー後においてその非−CpG減少カウンターパートよりも有意に持続的であった(図7A)。そのベクターはIVデリバリー後にはあまり持続的でなかったが、発現減少は非−CpGベクターにおいて通常観察されるよりもずっと少なかった。この効果に存する機構は不明であるが、免疫刺激性CpGモチーフは、カチオン性脂質−pDNA複合体に関連した炎症応答において主な役割を果たし、結果的にpDNAベクターからの導入遺伝子発現を抑制することが示されている(34,35)。発現の損失は、プロモーター活性の直接的抑制によりあるいは免疫刺激性CpGモチーフに対するCTL応答によるトランスフェクション細胞の除去(36)により引き起こされた可能性がある。よって、免疫刺激性CpGモチーフの含量を減少させ、本質的により持続性のあるCMV−Ubプロモーターを含ませることによりこの負の効果を減じることにより、両方の正の因子の混成物である発現プロファイルが期待でき、データがこの推測を支持すると思われる。
【0015】
これらのベクターの改善された品質にもかかわらず、IVまたはINデリバリー後に達成されうるアルファ−ガラクトシダーゼAのレベルはやはり治療に必要なレベルよりも低かった(23)。この問題に対する1の進行中のアプローチは、現在のカチオン性脂質−pDNAよりも能力のある遺伝子導入ビヒクルを開発することである。しかしながら、アルファ−ガラクトシダーゼAの持続的かつ着実に増加するレベルが観察されたので(図7)、ベクターの複数回の再投与により全体としてレベルが上昇する可能性がある。繰り返し投与は1回投与により達成されうる発現レベルよりも有意に高い発現レベルを達成するであろうと予想される。この可能性につき現在検討中である。
【0016】
CMV−ユビキチンハイブリッドプロモーターは、持続的な遺伝子発現を必要とするインビトロまたはインビボでの適用に有用であろう。遺伝子治療の観点から、適用される疾病としてはのう胞性線維症およびアルファ−1−アンチトリプシン欠損症のごとき肺疾患ならびに血友病、尿素サイクル疾患、家族性高コレステロール血症、フェニルケトン尿症およびリソソーム貯蔵疾患の家族のような先天性遺伝疾患等が挙げられる。特定の疾病には、肺または肝臓は血流中への蛋白の分泌のための貯蔵器官として潜在的に役立つ可能性がある。このような場合に必然的に、血中において十分な治療レベルを達成し、そして標的器官によって取り込まれるためにはかなり持続した発現を必要とする。CMV−ユビキチンハイブリッドプロモーターはウイルスベクター(例えば、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクター)であるという観点からも、そして筋肉または脳のごとき他の組織中においても有用なものである。合成遺伝子デリバリーベクターに着手することに対しては依然として重大な制限因子があるが、CMV−ユビキチンハイブリッドプロモーターからの持続的な遺伝子発現を生じさせる能力は実際的かつ有効な遺伝子治療に重要な構成要素を提供するであろう。
【0017】
培養されたヒト気道上皮細胞におけるユビキチンプロモーターからの導入遺伝子発現
これらの研究に使用したpDNAベクターを図1に示す。pUB−SEAPプラスミドは、ヒトユビキチンB(Ub)プロモーターの転写制御下にある分泌形態のヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼ(SEAP)cDNAを含み、Ubプロモーター配列のすぐ下流にイントロン(アデノウイルスおよびマウス免疫グロブリン遺伝子イントロンのハイブリッド)を含む。プラスミドpUBI−SEAPは、それがハイブリッドイントロンのかわりにユビキチンBイントロンを含むこと以外はpUB−SEAPと同じである。対照プラスミドpCF1−SEAPはヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時初期エンハンサーおよびプロモーター配列を含む。
【0018】
我々は、肺の徴候に関してウイルスにより媒介されない遺伝子デリバリーに興味があったので、まず肺上皮細胞におけるUbプロモーターからの発現を測定した。CFヒト気道上皮細胞系であるCFT1細胞をpUB−SEAP、pUBI−SEAP、またはpCF1−SEAPでトランスフェクションし、2日後に培地中のSEAPレベルをアッセイした(図2A)。pUB−SEAPからの発現は、CMVプロモーターを含むpCF1−SEAPからの発現よりもずっと低かった。pUBI−SEAPからの発現もまたpCF1−SEAPからの発現よりも低かったが、pUB−SEAPと比較すると約5倍高く、ユビキチン遺伝子それ自身のイントロンを用いた発現の有益な効果が示された。ヒト気管支上皮細胞であるBEAS細胞中にも構築物を導入し、SEAP発現を6日間測定した(図2B)。CFT1細胞において観察されたように、トランスフェクション2日目におけるpCF1−SEAPからのSEAP発現はpUB−SEAPまたはpUBI−SEAPからの発現よりも有意に高かった。しかしながら、トランスフェクション6日目までにはpCF1−SEAPからの発現は著しく低下し、一方でpUBI−SEAPからの発現はさらに一定となった。各ウェルの細胞数および集密性は同等であり、pUBI−SEAPを導入された細胞と比較してpCF1−SEAPでトランスフェクションされた細胞における毒性増加は明らかでなかった。これらのインビトロでの結果は、CMVプロモーターを含むベクターと比較した場合に、ユビキチンプロモーターを担持するpDNAベクターは低いがより安定した導入遺伝子発現を提供したことを示唆するものであった。
【0019】
マウス肺におけるpUBI−CATからの導入遺伝子発現の持続性
上で観察されたプロファイルがインビボにおいても実現されるかどうかを調べるために、我々は、マウス肺におけるpUBI−CATからのCAT発現のレベルおよび期間を測定した。CMVプロモーターを含むプラスミドpCF1−CATと発現プロファイルを比較した。pDNAをカチオン性脂質GL−67と複合体化させ、次いで、ヌードBALB/cマウスの鼻腔内に滴下した。免疫欠損マウスを用いて、プロモーター持続性をアッセイする際のEscherichia coliのpCAT酵素に対する免疫応答の厄介さを回避した。すでに観察されている結果(24)と矛盾せずに、滴下後2日目においてpCF1−CATからの発現は初めは高かったが、その後最初の21日のうちに100倍低下した(図3A)。対照的に、2日目にはpUBI−CATからの発現は非常に低かったが、その後経時的に着実に増加し、35日目までにこの時点におけるpCF1−CATからのCATレベルよりも約8〜10倍高くなった。pUBI−CATベクターを静脈注射した場合、CAT発現はやはり最初な極端に低く、注射1日後にはほとんど検出不可能レベルであった(図3B)。しかしながら、35日までに発現は2log倍増加し、この時点においてpCF1−CATからのCATレベルよりも3〜4倍高かった。それゆえ、導入遺伝子がユビキチンプロモーターの制御下にある場合にはインビボにおいて肺上皮細胞および内皮細胞の両方において非常に持続性のある導入遺伝子発現が達成された。
【0020】
マウス肺におけるpCUBI−CATからの導入遺伝子発現の持続性
有意に延長されたけれども、pUBI−CATからの導入遺伝子発現レベルは実用的なものとしては低すぎるようである。導入遺伝子発現の絶対的なレベルを上昇させるために、我々は、ヒトCMVエンハンサーの一部分をユビキチンBプロモーター配列の5’側に隣接して付加してpCUBI−CATを得た(図1)。インビボでの研究用に、カチオン性脂質−pCUBI−CAT複合体をヌードBALB/cマウスに滴下し、肺におけるCAT発現レベルを84日目まで測定した(図4A)。pCF1−CATよりも低かったが、CMVエンハンサーを欠くpUBI−CATと比較した場合、pCUBI−CATからのCAT初期の発現は有意に増加した(約2log倍)(図3参照)。すでに観察されているように、pCF1−CATからのCAT発現は最初の2〜3週間で急激に低下し、84日目には残存CAT発現は無視できるものであった。対照的に、pCUBI−CATからのCAT発現はこの期間中ほとんど一定であり、84日目において2日目のCATレベルの約50%を維持していた。マウスのグループに2回目のpCUBI−CATを与えて、再投与により発現レベルが改善されうるかどうかを調べた(図4B)。26日目に2回目の投与を受けたマウスからの28日目におけるCAT発現は、1回投与されたマウスよりも約2倍上回っており、この違いは84日目まで続いた。84日目における再投与されたマウスからのCATレベルは2日目のレベルのほぼ100%であった。これらの結果は、CMV−Ubハイブリッドプロモーターは豊富で本質的に減少しない発現を少なくとも12週間にわたり提供することができ、再投与により増加した高レベルの持続した発現が提供されうることを示すものである。
【0021】
マウス肝臓におけるpCUBI−SEAPからの持続的な導入遺伝子発現
肝臓は、ウイルス遺伝子および合成遺伝子両方のデリバリーベクターのためのもう1つの主要標的器官である。肝臓におけるCMV−ユビキチンハイブリッドプロモーターの発現プロファイルを調べるために、有効に肝細胞をトラスダクションするプロトコル(方法の欄参照)を用いてpDNAをデリバリーした。10μgのpCUBI−SEAPまたはpCF1−SEAPをベージュ/SCIDマウスの尾の静脈に注射し、注射後1、14、28、および42日目に血清中に分泌されたSEAPレベルを測定した(図5)。pCUBI−SEAPおよびpCF1−SEAPの両方からの血清中の最初のSEAPレベルは極端に高かった(1日目において1mg/mlよりも高かった)。肺において見られたように、pCF1−SEAPからの発現は最初の2週間のうちに急激に低下し、42日目には低レベルとなった。pCUBI−SEAPからの発現はずっとゆっくりと低下し、42日目において有意なレベルのSEAPが残存していた。42日目において肝臓におけるSEAPレベルもまた対応して高かった(100mgの組織あたり1198μg SEAP±208μg)。これらの結果は、CMV−Ubハイブリッドプロモーターが肺と同様に肝臓からも持続的な発現を提供できることを示す。
【0022】
CpG減少CMV−ユビキチンプロモーターベクターからの導入遺伝子発現の持続性
我々および他の者は、pDNAベクター中に存在する免疫刺激性CpGモチーフが、カチオン性脂質−pDNA複合体のINまたはIVデリバリー後に急性炎症応答を誘発することにおいて主要な役割を果たしていることをすでに示している(25,26)。pCUBIベクターを全身使用により適したものにするために、我々は、CpG減少ベクターであるpGZCUBIを構築した。該ベクターは未修飾Ubプロモーターおよびイントロンを含むが、カナマイシン耐性を付与する合成非−CpG遺伝子から構成されるCpG減少骨格および最小の複製開始点を含む。このベクター中に、我々はヒトアルファ−ガラクトシダーゼA(HAGA)をコードするcDNAを挿入した(図6)。pGZCUBI−HAGAベクターは306位にCpGモチーフ(pDNAの両方の鎖を数える)を含み、292位にCpGモチーフを含む、CMVプロモーターからアルファ−ガラクトシダーゼAを発現させるCpG減少ベクターであるpGZA−HAGAに匹敵する。対照的に、非−CpG減少CMVプロモーターベクターpCFA−HAGAは482位にCpGモチーフを含む。pGZCUBI−HAGA、pGZA−HAGA、またはpCFA−HAGAのいずれかを含む複合体をヌードBALB/cマウスに鼻腔内滴下(IN)または静脈注射(IV)し、肺におけるアルファ−ガラクトシダーゼA発現レベルを経時的に測定した(図7)。INデリバリー後、pCFA−HAGAからのアルファ−ガラクトシダーゼA発現は急激に減少し、pCF1−CATからのCAT発現に関してすでに観察されたのと同様であった(図7A)。しかしながら、CpG減少pGZA−HAGAからの発現は有意により持続的であり、35日目までレベルが低下しなかった。pGZCUBI−HAGAからのアルファ−ガラクトシダーゼA発現は滴下後2日目においてpGZA−HAGAおよびpCFA−HAGAの両方と同等であったが、その後経時的に着実に増加し、35日目には発現が2日目の初期レベルの10倍となった(図7A)。
【0023】
IVデリバリー後、pGZA−HAGAからのアルファ−ガラクトシダーゼA発現は21日目まで低下し、その後、35日目にわずかに回復した(図7B)。pGZCUBI−HAGAからの発現は、初めはpGZA−HAGAからの発現よりも低かったが、35日目までの期間中経時的に着実に増加した。まとめて考えると、これらの結果は、CMV−Ubプロモーターは持続的なアルファ−ガラクトシダーゼA発現を提供し、pDNAのCpG含量を減少させるだけでもアルファ−ガラクトシダーゼA発現の維持が改善されることを示すものであった。非−CpG減少ベクターpCUBI−CATおよびpCUBI−SEAPに関して示されたように(図4および図5)、CpG減少はCMV−Ubプロモーターからの持続的発現に必要ではなかった。しかしながら、CpG減少およびCMV−Ubプロモーターの両方がベクターに導入された場合、INおよびIV両方のデリバリーで35日目においてアルファ−ガラクトシダーゼAレベルが持続していただけでなく、初発レベルよりも有意に高かった。
【0024】
材料および方法
プラスミドベクター構築物
分泌形態のヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼ(SEAP)を発現するpUB−SEAPを構築するために、Pfuポリメラーゼを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてヒトユビキチンBプロモーター(17)をヒトゲノムDNA(Clontech Laboratories Inc., Palo Alto, CA)から増幅した。増幅された配列はATG開始コドンのA残基に対してヌクレオチド−1093から−741までに対応していた。pCF1−SEAP中のCMVプロモーター(8)をPmeIおよびXbaIで切り出し、UBBプロモーターを含むPCR生成物に置き換えてpUB−SEAPを得た。pUBI−SEAPを構築するために、上記のごとくPCRによりヒトUBBプロモーターおよびイントロンを増幅し、次いで、pBC12/PL/SEAP(Tropix, Bedford, MA)中に挿入し、ユビキチンATGコドンのかわりにSEAPの翻訳開始ATGが来るようにした。UBBプロモーター−イントロン−SEAPフラグメントをBglIIおよびXhoIで末端切断し、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントで平滑末端化させ、次いで、pCFA(8)の平滑末端化されたPmeIおよびNotI部位中に挿入してpUBI−SEAPを得た。pUBI−SEAPと同様のやり方でUBBプロモーターおよびイントロンをCATの上流に挿入してpUBI−CATを構築した。
【0025】
pCUBI−SEAPを構築するために、MfeIを用いてpUBI−SEAPを直鎖状にし、次いで、平滑末端化させた。pCFAをSphIおよびNcoIで消化し、平滑末端化させ、次いで、300bpのCMVエンハンサーフラグメントを精製した。そのCMVエンハンサーフラグメントをpUBI−SEAPのMfeI部位に連結してpCUBI−SEAPを得た。pCUBI−SEAP/pCUBI−CATのエンハンサー/プロモーター/イントロンの配列を図8に示す。pCUBI−CATを構築するために、pCUBI−SEAPをBamHIおよびSphIで消化し、3.2kbのベクター骨格フラグメントを単離した。pUBI−CATをBamHIおよびSphIで消化し、UBBイントロン−CAT cDNA−BGHポリAを含む1.7kbのフラグメントを単離し、次いで、該3.2kbのフラグメントに連結してpCUBI−CATを得た。
【0026】
ヒトアルファ−ガラクトシダーゼA(HAGA)を発現するpCFA−HAGAを構築するために、pCFAをNotIで消化し、次いで、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントで平滑末端化させた。BamHIおよびEcoRIを用いてヒトアルファ−ガラクトシダーゼA cDNAをpGB83(G. Barsomian博士から親切にも頂いた)から切り出し、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントで平滑末端化させ、次いで、pCFAの平滑末端化NotI部位中に連結してpCFA−HAGAを得た。CpG減少ベクターpGZA−HAGAを構築するために、pGZA−sCAT(以前はpGZA−CATと称した)(35)をNotIで消化し(sCAT cDNAを除去するために)、平滑末端化させ、次いで、ベクター骨格を精製した。このベクター骨格は合成非−CpGカナマイシン耐性遺伝子および最小複製開始点(35)を含む。次いで、pGB83からの平滑末端化されたヒトアルファ−ガラクトシダーゼA cDNAフラグメント(上記参照)をpGZAの平滑末端化NotI部位中に連結してpGZA−HAGAを得た。
【0027】
CpG減少ベクターpGZCUBI−HAGAを構築するために、CMVエンハンサー−UBBプロモーター−UBBイントロン領域を、PCR生成物が5’末端にMfeI部位および3’末端にNotI部位を含むことになるPCRプライマーを用いて、pCUBI−CATからPCR増幅した。PCR生成物をシャトルベクター中にクローン化し、次いで、MfeIおよびNotIで切り出した。pGZA−sCATをMfeIおよびNotIで消化し、MCVプロモーター−イントロン−sCAT cDNAを除去し、次いで、PCR生成物を連結してpGZCUBIを得た。次いで、pGB83からの平滑末端化されたヒトアルファ−ガラクトシダーゼA cDNAフラグメント(上記参照)をpGZCUBIの平滑末端化NotI部位中に連結してpGZCUBI−HAGAを得た。
【0028】
カチオン性脂質およびプラスミドDNA
カチオン性脂質GL−67(N−スペルミンコレステリルカルバメート)およびGL−62(N−スペルミンコレステリルカルバメート)はすでに記載されている(24)。ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン(DphPE)、および平均分子量5000ダルトンのポリエチレングリコールに共有結合したジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE−PEG5000)をAvanti Polar Lipids, Inc. (Alabaster, AL)から購入した。記載されたように(24)、GL−67をGL−67:DOPE:DMPE−PEG5000(1:2:0.05 モル:モル)として処方し、GL−62をGL−62:DPhPE:DMPE−PEG5000(1:1:0.05 モル:モル)として処方した。
【0029】
アルカリ分解、限外濾過およびカラムクロマトグラフィーによりプラスミドDNAを精製した(24)。カブトガニ血球溶解物発色アッセイ(Bio Whitaker, Walkersville)により調べたところ、これらの研究に使用した精製pDNAはpDNA 1mgあたり10μg未満のE. Coli染色体DNAならびにpDNA1mgあたり10エンドトキシン単位未満を含有していた。
【0030】
インビトロトランスフェクション
のう胞性線維症患者由来の不死化ヒト気管上皮細胞系FCT1細胞をJames Yankaskas博士より親切にも提供された(37)。ヒト気管支上皮細胞系BEAS細胞をAmerican Type Culture Collection (Manassas, VA)から得た。細胞をウェル1個あたり2x10個の密度で24ウェル組織培養プレートに撒いた。0.5mlのカチオン性脂質GL−67:pDNA(10.5:30μM)複合体を各ウェルに添加した。トランスフェクションから5時間後に複合体を除去し、新鮮培地と交換した。48時間後に細胞培地中のSEAPレベルを測定した。各pDNAベクターにつき4つのウェルをトランスフェクションした。
【0031】
カチオン性脂質:pDNA複合体および裸のpDNAのマウス中への投与
肺内デリバリーのために、すでに記載(24)されているようにしてBALB/c(nu/nu)マウスに75μlのカチオン性脂質GL−67:pDNA(0.6:3.6mM)を鼻腔内滴下した。全身投与には、100μlのカチオン性脂質GL−62:pDNA(0.75:0.75mMまたは1:1 mM)をマウスの尾の静脈に注射した。肝臓へのpDNAのデリバリーには、Zhang et alにより記載された迅速大容積プロトコル(38)を用いて尾の静脈に注射した。簡単に説明すると、10μgのプラスミドDNA(1mg/ml)を1:1(v:w)の割合のTrans IT In Vivoポリマー溶液(Mirus Corporation)と混合し、水で体積を200μlとし、2〜4秒ボルテックスし、次いで、室温で5分間インキュベーションした。その後、溶液をMirus Delivery Solution中約2mlにまで希釈し、次いで、6〜8秒かけて尾の静脈に注射した。この手順を用いると、pDNAは主に肝細胞により取り込まれることが示されている(38,39)。注射後14、28および42日目に、マウスを麻酔し、眼窩の後ろから採血した。その後、血清を−80℃で保存した。
【0032】
酵素活性
記載されたようにして(8)蛍光酵素活性アッセイを用いて、組織培養細胞の培地中に分泌されたSEAPレベルを測定した。比色アッセイを用いてマウス血清中のSEAPレベルをアッセイした。血清をリン酸緩衝化セイライン中1:200にまで希釈し、次いで、65℃で20分加熱して不活性化させた。アルカリ性ホスファターゼ試薬(150μl)(Sigma Diagnostics, St. Louis, MO)を50μlの希釈試料(96ウェルプレート中)に添加し、室温で10分インキュベーションし、次いで、405nmの吸光度を測定した。ヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼ(Calbiochem, San Diego, CA)を標準として用いた。記載されたようにして(24)、肺ホモジネートからのCAT酵素活性を測定した。記載されたようにして(23)、アルファ−ガラクトシダーゼAに対するポリクローナル抗体を用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により肺中のアルファ−ガラクトシダーゼAレベルを定量した。この抗体はヒトのアルファ−ガラクトシダーゼAを特異的に認識し、マウスのアルファ−ガラクトシダーゼAを認識しない。
【0033】
上記実施例は非限定的であり、説明のみを目的とする。当業者は、本明細書中の開示を読めば、多くの修飾、付加および改良が可能であることを容易に理解するであろう。かかる修飾、付加および改良は本発明の一部である。本明細書中で引用した各刊行物の開示を、それらに含まれる教示を参照することにより本明細書にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】プラスミドDNAのダイヤグラムである。UbはヒトユビキチンBプロモーター;イントロンはアデノウイルスおよびマウス免疫グロブリン遺伝子イントロンのハイブイッド;SEAPは分泌ヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼcDNA;pAはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル;UbイントロンはUBB遺伝子中の内在性イントロン;CATはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼcDNA;CMVenhはヒトサイトメガロウイルス即時初期遺伝子エンハンサー領域(転写開始部位に対して−522から−219まで);CMVはサイトメガロウイルス即時初期遺伝子エンハンサー−プロモーター(開始部位に対して−522から+78まで)。
【図2】ヒト気道内皮細胞におけるpUB−SEAPおよびpUBI−SEAPからのSEAPの発現。A)カチオン性脂質GL−67と複合体化(10.5μM GL−67:30μM pDNA)したpUB−SEAP、pUBI−SEAP、あるいはpCF1−SEAPでCFT−1細胞をトランスフェクションした。トランスフェクションから2日後に組織培養培地を集め、SEAP発現に関してアッセイした。B)カチオン性脂質GL−67と複合体化(10.5μM GL−67:30μM pDNA)したpUB−SEAP、pUBI−SEAP、あるいはpCF1−SEAPでBEAS細胞をトランスフェクションした。トランスフェクションから2、4および6日後に組織培養培地を集め、SEAP発現に関してアッセイした。1のpDNAあたりn=4ウェル。データを平均値±標準偏差で示す。
【図3】マウス肺におけるpUBI−CATからのCAT発現の持続性。A)pUBI−CATまたはpCF1−CATと複合体化されたカチオン性脂質GL−67 75μl(0.6:3.6mM GL−67:pDNA)をヌードBALB/cマウスの鼻腔内に滴下した。滴下後異なる日数において肺を集め、肺ホモジネート中のCATレベルを測定した。B)pUBI−CATまたはpCF1−CATと複合体化されたカチオン性脂質GL−62 100μl(0.75:0.75mM GL−62:pDNA)をヌードBALB/cマウスの尾の静脈に注射した。注射後異なる日数において肺を集め、肺ホモジネート中のCATレベルを測定した。1つの時点につきn=4マウス。データを平均値±標準偏差で示す。
【図4】マウス肺におけるpCUBI−CATからのCAT発現の持続性。A)pCUBI−CATまたはpCF1−CATと複合体化されたカチオン性脂質GL−67 75μl(0.6:3.6mM GL−62:pDNA)をヌードBALB/cマウスの鼻腔内に滴下した。滴下後異なる日数において肺を集め、肺ホモジネート中のCATレベルを測定した。B)26日目に2回目のGL−67:pCUBI−CAT複合体をマウスのグループに滴下した。28日目および84日目(1回目の滴下から)に肺を集め、CATアッセイを行なった。1グループにつきn=4マウス。データを平均値±標準偏差で示す。
【図5】マウス肝臓におけるpCUBI−SEAPからのSEAP発現の持続性。10μgのpCUBI−SEAPまたはpCF1−SEAPを含有するMirusデリバリー溶液(方法の欄参照)1.9mlを、ベージュ/SCIDマウスの尾の静脈に注射した。注射後1、14、28、および42日目に採血し、血清中のSEAP活性レベルを測定した。それぞれの線は個々のマウスを示す。
【図6】α−ガラクトシダーゼAベクターのダイヤグラム。CMVenhはヒトサイトメガロウイルス即時初期遺伝子エンハンサー領域(転写開始部位に対して−522から−219まで);UbはヒトユビキチンBプロモーター;UbイントロンはUBB遺伝子中の内在性イントロン;HAGAはヒトα−ガラクトシダーゼcDNA;BGH pAはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル;ori−minは最小複製開始領域;Kan−synは合成の非−CpGカナマイシン耐性遺伝子。pGZA−HAGAは、CMVプロモーター全体がCMV−Ubプロモーターの代わりに存在すること以外、同じである。
【図7】マウス肺におけるpGZCUBI−HAGAおよびpGZA−HAGAからのα−ガラクトシダーゼA発現の持続性。A)pGZCUBI−HAGA、pGZA−HAGAまたはpCFA−HAGAと複合体化されたカチオン性脂質GL−67 75μl(0.6:3.6mM GL−62:pDNA)をヌードBALB/cマウスの鼻腔内に滴下した。滴下後異なる日数において肺を集め、肺ホモジネート中のCATレベルを測定した。B)pGZCUBI−HAGAまたはpGZA−HAGAと複合体化されたカチオン性脂質GL−62 100μl(0.6:3.6mM GL−62:pDNA)をヌードBALB/cマウスの尾の静脈に注射した。A)およびB)の両方について、注射後異なる日数において肺を集め、α−ガラクトシダーゼAレベルを測定した。1つのグループにつきn=4マウス。データを平均値±標準偏差で示す。
【図8】CMVエンハンサー−ユビキチンBプロモーターおよびイントロン領域の配列。CMVエンハンサー領域は転写開始部位に対して−522から−219まで伸長している。転写因子Sp1、CREB/ATFおよびNF Bの結合部位を示す。UbBプロモーター領域は翻訳ATG開始部位に対して−1093から開始する。推定上のTATAボックスを囲み、cap部位の可能性のあるものを黒三角により示す。イントロン領域を小文字で示す。UbBイントロン中の2つのダイレクトリピートを上線により示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療遺伝子をコードするDNA配列に作動可能に連結されたユビキチンプロモーターの5’末端に連結された1またはそれ以上のエンハンサーを含む組換え発現ベクター。
【請求項2】
ユビキチンプロモーターがヒトユビキチンA、ユビキチンBおよびユビキチンCからなる群より選択される遺伝子から単離されたものである請求項1記載の組換え発現ベクター。
【請求項3】
エンハンサーがサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、伸長因子1−アルファエンハンサー、内皮エンハンサーおよび肝臓特異的エンハンサーからなる群より選択されるものである請求項2記載の組換え発現ベクター。
【請求項4】
エンハンサーがCMVエンハンサーである請求項3記載の組換え発現ベクター。
【請求項5】
発現ベクターが、ネイティブな配列に存在する少なくとも1のCpG配列をなくすように変化させられているものである請求項4記載の組換え発現ベクター。
【請求項6】
ユビキチンプロモーターがヒトユビキチンBから単離されたものである請求項4記載の組換え発現ベクター。
【請求項7】
治療遺伝子が因子VIIa、因子VIIIおよび因子IXからなる群より選択されるものである請求項4記載の組換え発現ベクター。
【請求項8】
治療遺伝子がグルコセレブロシダーゼ、アルファ−ガラクトシダーゼ、酸性アルファ−グルコシダーゼ、アルファ−n−アセチルガラクトサミニダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼおよびアルファ−イズロニダーゼからなる群より選択されるものである請求項4記載の組換え発現ベクター。
【請求項9】
治療遺伝子がCFTR、ジストロフィンおよびアルファ−1−アンチトリプシンからなる群より選択されるものである請求項4記載の組換え発現ベクター。
【請求項10】
アルファ−ガラクトシダーゼをコードするDNA配列に作動可能に連結されたヒトユビキチンBから単離されたプロモーターの5’末端に連結されたCMVエンハンサーを含む組換え発現ベクター。
【請求項11】
グルコセレブロシダーゼをコードするDNA配列に作動可能に連結されたヒトユビキチンBから単離されたプロモーターの5’末端に連結されたCMVエンハンサーを含む組換え発現ベクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−48624(P2013−48624A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−222363(P2012−222363)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2002−529524(P2002−529524)の分割
【原出願日】平成13年9月13日(2001.9.13)
【出願人】(500034653)ジェンザイム・コーポレーション (37)
【Fターム(参考)】