説明

ハイブリッド型作業機

【課題】エンジンの燃料の消費量を削減できるハイブリッド型作業機を提供する。
【解決手段】ハイブリッド型作業機の一例であるハイブリッド型油圧ショベルは、旋回用油圧モータ10にメインライン27を介して作動油を供給する主動力ポンプ4と、コントロールバルブ20にパイロットライン28を介して作動油を供給する電動パイロットポンプ5と、主動力ポンプ4を駆動するエンジン6と、エンジン6をアシスト可能であり、エンジン6で駆動されて発電可能なアシスト用電動機7と、アシスト用電動機7が発電した電気を蓄える蓄電装置18と、蓄電装置18に蓄えられた電気を使って電動パイロットポンプ5を駆動するパイロット用電動機19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等に使用されるハイブリッド型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機としては、特開2007−51691号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この作業機械は、パイロット圧を発生するパイロットポンプと、このパイロットポンプを常時駆動するエンジンとを備えている。
【0003】
上記従来の作業機では、エンジンがパイロットポンプを常時駆動するため、パイロット圧が要らないときでも、パイロットポンプがパイロット圧を発生している。したがって、上記パイロット圧が要らないときは、エンジンが無駄に燃料を消費してパイロットポンプを駆動していることになる。
【0004】
すなわち、上記従来の作業機には、エンジンが無駄に燃料を消費してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−51691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、エンジンの燃料の消費量を削減できるハイブリッド型作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のハイブリッド型作業機は、
アクチュエータにメインラインを介して作動油を供給する主ポンプと、
バルブにパイロットラインを介して作動油を供給するパイロットポンプと、
上記主ポンプを駆動するエンジンと、
上記エンジンをアシスト可能であり、上記エンジンで駆動されて発電可能な発電電動機と、
上記発電電動機が発電した電気を蓄える蓄電装置と、
上記蓄電装置に蓄えられた電気を使って上記パイロットポンプを駆動するパイロット用電動機と
を備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、上記パイロット用電動機は、必要時に、蓄電装置に蓄えられた電気を使って、パイロットポンプを駆動することができる。したがって、上記エンジンがパイロットポンプを常時駆動しなくても、必要なときだけ、パイロット用電動機がパイロットポンプを駆動することができるので、エンジンの燃料の消費量を削減できる。
【0009】
また、上記発電電動機がエンジンをアシストすることにより、エンジンの燃料の消費量をさらに削減できる。
【0010】
また、上記パイロットポンプは、エンジンに連結しなくてもよいので、設置の自由度が高く、設置が容易である。
【0011】
また、上記発電電動機は、エンジンで駆動される従来のパイロットポンプを取り外し、この従来のパイロットポンプがあった場所に設置することができる。したがって、上記従来のパイロットポンプを備える油圧ショベルを小改良すれば、本発明のハイブリッド型油圧ショベルを得ることができる。
【0012】
また、上記従来のパイロットポンプがあった場所に本発明のパイロットポンプを設置すると、ハイブリッド型油圧ショベルを全体として小型化できる。
【0013】
一実施形態のハイブリッド型作業機は、
上記アクチュエータからタンクへの戻りラインに接続された第1油圧モータと、
上記バルブと上記アクチュエータとの間の供給ライン、および、上記戻りラインに接続された第1シーケンスバルブと、
上記アクチュエータおよび上記戻りラインに接続された第2シーケンスバルブと、
上記第1油圧モータで駆動されて発電可能な第1発電機と、
上記第1油圧モータに並列に接続されたリリーフバルブと
を備え、
上記蓄電装置は、上記第1発電機が発電した電気を蓄える。
【0014】
上記実施形態によれば、上記第1油圧モータはアクチュエータからタンクへの戻りラインに接続されている。これにより、上記戻りラインの作動油が第1油圧モータに供給され、第1発電機が第1油圧モータで駆動される。その結果、上記第1発電機は電気を発電し、この電気を蓄電装置に電気を蓄えることができる。したがって、上記発電電動機の発電量が少なくても、第1発電機で発電されて蓄電装置に蓄えられた電気でパイロット用電動機を駆動できる。
【0015】
また、上記第1油圧モータにはリリーフバルブが並列に接続されているので、第1油圧モータに供給される作動油の流量を低く抑えることができる。したがって、上記第1油圧モータを小型化できる。
【0016】
また、上記第1油圧モータは小型化できるので、既存の油圧装置を小改良すれば、この油圧装置に搭載できる。
【0017】
一実施形態のハイブリッド型作業機は、
上記アクチュエータは第2油圧モータであり、
上記第2油圧モータで旋回駆動される旋回体と、
上記第2油圧モータで駆動されて発電可能な第2発電機と
を備え、
上記蓄電装置は、上記第2発電機が発電した電気を蓄える。
【0018】
上記実施形態によれば、上記第2発電機は第2油圧モータで駆動されて電気を発電し、この電気は蓄電装置に電気を蓄えられる。したがって、上記発電電動機の発電量が少なくても、第2発電機で発電されて蓄電装置に蓄えられた電気でパイロット用電動機を駆動できる。
【0019】
一実施形態のハイブリッド型作業機は、
上記発電電動機が上記エンジンをアシストする動力が、上記エンジンの最低必要動力以下となるように、上記発電電動機を制御する第1アシスト制御部を備える。
【0020】
上記実施形態によれば、上記第1アシスト制御部は、発電電動機がエンジンをアシストする動力が、エンジンの最低必要動力以下となるように、発電電動機を制御するので、エンジンが逆回転などの異常動作しないようにして、エンジンの損傷を防ぐことができる。
【0021】
一実施形態のハイブリッド型作業機は、
上記エンジンの負荷を検出する負荷検出部と、
上記負荷検出部が検出した上記エンジンの負荷が予め設定された基準値より小さくなったときには、上記発電電動機が発電するように、かつ、上記負荷検出部が検出した上記エンジンの負荷が上記基準値以上になったときには、上記発電電動機が上記エンジンをアシストするように、上記発電電動機を制御する第2アシスト制御部と
を備える。
【0022】
上記実施形態によれば、上記第2アシスト制御部は、負荷検出部が検出したエンジンの負荷が予め設定された基準値より小さくなったときには、発電電動機が発電するように、かつ、負荷検出部が検出したエンジンの負荷が上記基準値以上になったときには、発電電動機が上記エンジンをアシストするように、発電電動機を制御するので、発電電動機の発電効率を上げることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のハイブリッド型作業機によれば、メイン圧を発生する主ポンプと、パイロット圧を発生するパイロットポンプと、主ポンプを駆動するエンジンと、エンジンをアシスト可能であり、エンジンで駆動されて発電可能な発電電動機と、発電電動機が発電した電気を蓄える蓄電装置と、蓄電装置に蓄えられた電気が供給され、パイロットポンプを駆動するパイロット用電動機とを備えることによって、パイロットポンプはエンジンで常時駆動されず、パイロット用電動機が、必要なときだけ、蓄電装置の電気を使ってパイロットポンプを駆動するので、エンジンの燃料の消費量を削減できる。
【0024】
また、上記発電電動機がエンジンをアシストすることにより、エンジンの燃料の消費量をさらに削減できる。
【0025】
また、上記パイロットポンプは、エンジンに連結しなくてもよいので、設置の自由度が高く、設置が容易である。
【0026】
また、上記発電電動機は、エンジンで駆動される従来のパイロットポンプを取り外し、このパイロットポンプがあった場所に設置することができる。したがって、上記従来のパイロットポンプを備える油圧ショベルを小改良すれば、本発明のハイブリッド型油圧ショベルを得ることができる。
【0027】
また、上記従来のパイロットポンプがあった場所に本発明のパイロットポンプを設置すると、ハイブリッド型油圧ショベルを全体として小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は本発明の第1実施形態のハイブリット型油圧ショベルの模式平面図である。
【図2】図2は上記第1実施形態のハイブリッド型油圧ショベルの要部の構成を示すための模式図である。
【図3】図3は本発明の第2実施形態のハイブリッド型油圧ショベルの要部の構成を示すための模式図である。
【図4】図4は本発明の第3実施形態のハイブリッド型油圧ショベルの要部の構成を示すための模式図である。
【図5】図5は上記第3実施形態のエンジンの負荷の時間変化を示すグラフである。
【図6】図6は本発明の第4実施形態のハイブリッド型油圧ショベルの構成を示す模式図である。
【図7】図7は上記第4実施形態のエンジンの負荷の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のハイブリッド型作業機の一例であるハイブリット型油圧ショベルを図示の実施形態により詳細に説明する。
【0030】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態のハイブリット型油圧ショベルを上方から見た模式図である。
【0031】
上記ハイブリット型油圧ショベルは、下部走行体1と、この下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体2と、この上部旋回体2に取り付けられた作業アーム3とを備えている。なお、上記上部旋回体2は本発明の旋回体の一例である。
【0032】
上記下部走行体1は、それぞれ独立に駆動可能な左側駆動部8および右側駆動部9を有し、前進、後進、左折および右折が可能である。
【0033】
上記上部旋回体2は、メイン圧を発生する主動力ポンプ4と、パイロット圧を発生する電動パイロットポンプ5と、主動力ポンプ4を駆動するエンジン6と、このエンジン6をアシスト可能なアシスト用電動機7とを搭載している。このアシスト用電動機7は、エンジン6で駆動されて発電可能な発電機でもある。なお、上記主動力ポンプ4は本発明の主ポンプの一例で、電動パイロットポンプ5は本発明のパイロットポンプの一例で、アシスト用電動機7は本発明の発電電動機の一例である。
【0034】
上記作業アーム3は上部旋回体2から径方向外方に延びており、作業アーム3の先端部はバケット部3aである。また、上記作業アーム3には、主動力ポンプ4のメイン圧を受ける油圧シリンダ(図示せず)を複数取り付けている。
【0035】
図2は上記ハイブリッド型油圧ショベルの要部の構成を示すための模式図である。
【0036】
上記ハイブリッド型油圧ショベルは、旋回用油圧モータ10、第1,第2シーケンスバルブ11,12、減速機13、ギア14、回生用油圧モータ15、リリーフバルブ16、発電機17、蓄電装置18、パイロット用電動機19および制御装置30を備えている。なお、上記旋回用油圧モータ10は本発明の第2油圧モータの一例で、回生用油圧モータ15は本発明の第1油圧モータの一例で、発電機17は本発明の第1発電機の一例である。
【0037】
上記旋回用油圧モータ10には、主動力ポンプ4からメインライン27、コントロールバルブ20および供給ライン21を介して作動油が供給される。この旋回用油圧モータ10の動力が減速機13およびギア14を介して上部旋回体2に伝わって、上部旋回体2が旋回するようになっている。なお、上記コントロールバルブ20は本発明のバルブの一例である。
【0038】
上記コントロールバルブ20には、電動パイロットポンプ5からパイロットライン28を介して作動油が供給される。すなわち、上記コントロールバルブ20は電動パイロットポンプ5のパイロット圧を受ける。
【0039】
上記第1,第2シーケンスバルブ11,12は旋回用油圧モータ10に供給される作動油の圧力を制御する。上記第1シーケンスバルブ11はバイパスライン22に接続されている一方、第2シーケンスバルブ12は戻りライン23に接続されている。
【0040】
上記回生用油圧モータ15は、戻りライン23を介してタンク24へ戻ってくる作動油が供給される。この戻りライン23からタンク24へ分岐した分岐ライン25にはリリーフバルブ16を接続している。すなわち、上記リリーフバルブ16は回生用油圧モータ15に並列に接続されている。これにより、上記回生用油圧モータ15に供給される作動油の圧力が予め設定された圧力値を越えないようになっている。
【0041】
上記発電機17は回生用油圧モータ15で駆動されて電気を発電する。この発電機17およびアシスト用電動機7が発電した電気は、蓄電装置18に蓄えられる。
【0042】
上記パイロット用電動機19は、蓄電装置18に蓄えられた電気を使って電動パイロットポンプ5を駆動する。
【0043】
上記制御装置30は、アシスト用電動機7およびパイロット用電動機19の駆動を制御する。
【0044】
なお、図2の50は、メータアウトのラインである。
【0045】
上記構成のハイブリッド型油圧ショベルによれば、パイロット用電動機19は、必要時に、蓄電装置18に蓄えられた電気を使って、電動パイロットポンプ5を駆動することができる。したがって、上記エンジン6が電動パイロットポンプ5を常時駆動しなくても、必要なときだけ、パイロット用電動機19が電動パイロットポンプ5を駆動することができるので、エンジン6の燃料の消費量を削減できる。
【0046】
また、上記アシスト用電動機7がエンジン6をアシストすることにより、エンジン6の燃料の消費量をさらに削減できる。
【0047】
また、上記電動パイロットポンプ5は、エンジン6に連結しなくてもよいので、設置の自由度が高く、設置が容易である。
【0048】
また、上記アシスト用電動機7は、エンジンで駆動される従来のパイロットポンプを取り外し、この従来のパイロットポンプがあった場所に設置することができる。したがって、上記従来のパイロットポンプを備える油圧ショベルへのアシスト用電動機7の搭載は小改良で済む。
【0049】
これに対して、上記従来のパイロットポンプを備える油圧ショベルに、エンジンをアシスト可能なアシスト用電動機を搭載する場合、エンジンと主動力ポンプの間にアシスト用電動機を配置することになる。したがって、上記油圧ショベルへのアシスト電動機の搭載は大改良が必要である。
【0050】
また、上記従来のパイロットポンプを取り外し、この従来のパイロットポンプがあった場所に、アシスト用電動機7を設置する場合、駆動装置全体のサイズを大幅に変える必要がない。したがって、上記従来のパイロットポンプを備える油圧ショベルの車体とハイブリッド型油圧ショベルの車体とを共通化できる。
【0051】
また、上記従来のパイロットポンプがあった場所にアシスト用電動機7を設置しているので、ハイブリッド型油圧ショベルの大型化を防ぐことができる。
【0052】
また、上記回生用油圧モータ15には戻りライン23の作動油が供給されて、発電機17が回生用油圧モータ15で駆動されて電気を発電することができる。この電気は蓄電装置18に電気を蓄えられるので、アシスト用電動機7の発電量が少なくても、発電機17で発電されて蓄電装置18に蓄えた電気でパイロット用電動機19を駆動できる。
【0053】
また、上記回生用油圧モータ15にはリリーフバルブ16が並列に接続されているので、回生用油圧モータ15に供給される作動油の流量を低く抑えることができる。したがって、上記回生用油圧モータ15を小型化できる。
【0054】
また、上記回生用油圧モータ15は小型化できるので、既存の油圧装置を小改良すれば、既存の油圧装置に搭載できる。
【0055】
上記第1実施形態において、回生用油圧モータ15、リリーフバルブ16、発電機17および分岐ライン25を用いないようにしてもよい。すなわち、上記ハイブリッド型油圧ショベルから、回生用油圧モータ15、リリーフバルブ16、発電機17および分岐ライン25を取り外したものを、本発明の一実施形態のハイブリッド型油圧ショベルとしてもよい。
【0056】
〔第2実施形態〕
図3は本発明の第2実施形態のハイブリッド型油圧ショベルの構成を示す模式図である。この図3において、図2の第1実施形態の構成部と同一の構成部には、図2の第1実施形態の構成部の参照番号と同一の参照番号を付している。
【0057】
上記ハイブリッド型油圧ショベルは、上記第1実施形態の回生用油圧モータ15、リリーフバルブ16、発電機17および分岐ライン25を備えていないが、旋回用油圧モータ10と減速機13の間にアシスト用電動機26を備えている。また、上記ハイブリッド型油圧ショベルは、上記第1実施形態と同様に図1の構成を有する。なお、上記アシスト用電動機26は本発明の第2発電機の一例である。
【0058】
上記アシスト用電動機26は、旋回用油圧モータ10をアシスト可能な電動機である。また、上記アシスト用電動機26は、旋回用油圧モータ10で駆動されて電気を発電することが可能な発電機でもある。上記アシスト用電動機26が電気を発電した場合、この電気は蓄電装置18に蓄えられる。
【0059】
上記構成のハイブリッド型油圧ショベルによれば、旋回用油圧モータ10で図1の上部旋回体2を旋回駆動する。その後、上記上部旋回体2の減速時、アシスト用電動機26は旋回用油圧モータ10で駆動されて電気を発電し、この電気が蓄電装置18に電気を蓄えられる。すなわち、上記上部旋回体2の減速時において、上部旋回体2の運動エネルギの少なくとも一部を電気エネルギに変換して回収することができる。したがって、上記アシスト用電動機7の発電量が少なくても、電動パイロットポンプ5を駆動するための電気を確保できる。
【0060】
また、上記ハイブリッド型油圧ショベルには、上記第1実施形態の回生用油圧モータ15、リリーフバルブ16、発電機17および分岐ライン25を後付けできる。この後付けを行う場合、バイパスライン22には第1シーケンスバルブ11が接続され、かつ、戻りライン23には第2シーケンスバルブ12が接続されているので、メータイン・アウト圧力を後付け前と同等にでき、加速トルクおよび減速トルクを後付け前後で同じにできる。その場合、後付け前に存在していたリリーフバルブは、作動しないように、例えばメータイン・アウト圧よりも高い圧力設定値にしておく。
【0061】
上記第2実施形態において、アシスト用電動機26に換えて、旋回用油圧モータ10をアシストしないが、旋回用油圧モータ10で駆動されて発電可能な発電機を配置してもよい。
【0062】
〔第3実施形態〕
図4は本発明の第3実施形態のハイブリッド型油圧ショベルの構成を示す模式図である。この図4において、図2の第1実施形態の構成部と同一の構成部には、図2の第1実施形態の構成部の参照番号と同一の参照番号を付している。
【0063】
上記ハイブリッド型油圧ショベルは制御装置130を備えている点が、上記第1実施形態とは異なる。なお、上記制御装置130は本発明の第1アシスト制御部の一例である。
【0064】
図5は上記エンジン6の負荷の時間変化を示すグラフである。この図5において、点線はエンジン6の最低必要動力(20kW)を示し、ハッチングを付した部分はアシスト用電動機7のアシスト動力を示している。
【0065】
上記制御装置130は、アシスト用電動機7のアシスト動力がエンジン6の最低必要動力以下となるように、アシスト用電動機7を制御する。別の言い方をすれば、上記制御装置130の制御によって、アシスト用電動機7のアシスト動力がエンジン6の最低必要動力を越えないようになっている。なお、上記制御装置130はパイロット用電動機19の駆動も制御する。ここで、上記エンジン6の最低必要動力とは、エンジン6が正常に動く動力範囲で最も小さい動力を意味する。
【0066】
また、上記制御装置130には、蓄電装置18の電圧を示す信号が入力される。上記制御装置130は、蓄電装置18の電圧を示す信号に基づいて、アシスト用電動機7の駆動を制御する。より詳しくは、上記蓄電装置18の電圧が予め設定された電圧を越えていると、制御装置130はアシスト用電動機7にエンジン6をアシストさせる。
【0067】
上記構成のハイブリッド型油圧ショベルによれば、制御装置130の制御によって、アシスト用電動機7のアシスト動力がエンジン6の最低必要動力を越えないので、エンジン6が逆回転などせず、エンジン6の損傷を防ぐことができる。
【0068】
また、上記蓄電装置18の電圧が予め設定された電圧を越えていると、制御装置130はアシスト用電動機7にエンジン6をアシストさせるので、蓄電装置18が満充電になっているために、回生エネルギを無駄に捨ててしまうという事態を回避できる。
【0069】
〔第4実施形態〕
図6は本発明の第4実施形態のハイブリッド型油圧ショベルの構成を示す模式図である。この図6において、図4の第3実施形態の構成部と同一の構成部には、図4の第3実施形態の構成部の参照番号と同一の参照番号を付している。
【0070】
上記ハイブリッド型油圧ショベルは、エンジン6の負荷を検出するエンジン負荷検出装置240と、このエンジン負荷検出装置240が検出したエンジン6の負荷に基づいて、アシスト用電動機7を制御する制御装置230とを備えている点が、上記第1実施形態とは異なる。なお、上記制御装置230は本発明の第2アシスト制御部の一例で、エンジン負荷検出装置240は本発明の負荷検出部の一例である。
【0071】
図7は上記エンジン6の負荷の時間変化を示すグラフである。この図7において、点線はエンジン6の最低必要動力(20kW)を示している。また、ハッチングを付した部分のうち、エンジン6の負荷の正領域に重なる部分はアシスト用電動機7のアシスト動力を示す一方、エンジン6の負荷の負領域に重なる部分はアシスト用電動機7の発電状態を示している。
【0072】
上記制御装置230は、エンジン負荷検出装置240が検出したエンジン6の負荷が予め設定された基準値より小さくなったときには、アシスト用電動機7が電気を発電するように、アシスト用電動機7を制御する。一方、上記制御装置230は、エンジン負荷検出装置240が検出したエンジン6の負荷が上記基準値以上になったときには、アシスト用電動機7がエンジン6をアシストするように、アシスト用電動機7を制御する。このとき、上記アシスト用電動機7のアシスト動力は、エンジン6の最低必要動力を越えないようになっている。ここで、上記エンジン6の最低必要動力とは、エンジン6が正常に動く動力範囲で最も小さい動力を意味する。
【0073】
上記構成のハイブリッド型油圧ショベルによれば、制御装置230が、エンジン負荷検出装置240が検出したエンジン6の負荷が予め設定された基準値より小さくなったときには、アシスト用電動機7が発電するように、かつ、エンジン負荷検出装置240が検出するエンジン6の負荷が上記基準値以上になったときには、アシスト用電動機7がエンジン6をアシストするように、アシスト用電動機7を制御するので、アシスト量を大きくすることができる。したがって、上記エンジン6をより小型化できるなど低燃費化を図ることができる。
【0074】
また、上記アシスト用電動機7のアシスト動力は、エンジン6の最低必要動力を越えないので、エンジン6が逆回転などせず、エンジン6の損傷を防ぐことができる。
【0075】
本発明は、上記第1〜第4実施形態に記載したようなハイブリッド型油圧ショベルにだけ適用できるものではなく、例えば、油圧クレーンなどの建設機械や、旋回体を備えていないトラクタなどの農業機械にも適用できるものである。
【0076】
また、本発明の実施形態は、上記第1〜第4実施形態に限定されず、上記第1〜第4実施形態で記載した内容を適宜組み合わせたものであってもよい。例えば、上記第3実施形態において、第4実施形態のエンジン負荷検出装置240を用いてもよい。この場合、上記制御装置130に換えて、エンジン負荷検出装置240が検出したエンジン6の負荷に基づいて、アシスト用電動機7を制御する制御装置を用いてもよい。
【0077】
また、本発明は、エンジンをアシストする電動機が小型で済む場合に特に有効である。
【符号の説明】
【0078】
1…下部走行体
2…上部旋回体
3…作業アーム
4…主動力ポンプ
5…電動パイロットポンプ
6…エンジン
7,26…アシスト用電動機
10…旋回用油圧モータ
11…第1シーケンスバルブ
12…第2シーケンスバルブ
13…減速機
14…ギア
15…回生用油圧モータ
16…リリーフバルブ
17…回生用発電機
18…蓄電装置
19…パイロット用電動機
20…コントロールバルブ
21…供給ライン
22…バイパスライン
23…戻りライン
24…タンク
25…分岐ライン
27…メインライン
28…パイロットライン
30,130,230…制御装置
240…エンジン負荷検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(10)にメインライン(27)を介して作動油を供給する主ポンプ(4)と、
バルブ(20)にパイロットライン(28)を介して作動油を供給するパイロットポンプ(5)と、
上記主ポンプ(4)を駆動するエンジン(6)と、
上記エンジン(6)をアシスト可能であり、上記エンジン(6)で駆動されて発電可能な発電電動機(7)と、
上記発電電動機(7)が発電した電気を蓄える蓄電装置(18)と、
上記蓄電装置(18)に蓄えられた電気を使って上記パイロットポンプ(5)を駆動するパイロット用電動機(19)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型作業機。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド型作業機において、
上記アクチュエータ(10)からタンク(24)への戻りライン(23)に接続された第1油圧モータ(15)と、
上記バルブ(20)と上記アクチュエータ(10)との間の供給ライン(21)、および、上記戻りライン(23)に接続された第1シーケンスバルブ(11)と、
上記アクチュエータ(10)および上記戻りライン(23)に接続された第2シーケンスバルブ(12)と、
上記第1油圧モータ(15)で駆動されて発電可能な第1発電機(17)と、
上記第1油圧モータ(15)に並列に接続されたリリーフバルブ(16)と
を備え、
上記蓄電装置(18)は、上記第1発電機(17)が発電した電気を蓄えることを特徴とするハイブリッド型作業機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハイブリッド型作業機において、
上記アクチュエータ(10)は第2油圧モータ(10)であり、
上記第2油圧モータ(10)で旋回駆動される旋回体(2)と、
上記第2油圧モータ(10)で駆動されて発電可能な第2発電機(26)と
を備え、
上記蓄電装置(18)は、上記第2発電機(26)が発電した電気を蓄えることを特徴とするハイブリッド型作業機。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のハイブリッド型作業機において、
上記発電電動機(7)が上記エンジン(6)をアシストする動力が、上記エンジン(6)の最低必要動力以下となるように、上記発電電動機(7)を制御する第1アシスト制御部(130)を備えたことを特徴とするハイブリッド型作業機。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のハイブリッド型作業機において、
上記エンジン(6)の負荷を検出する負荷検出部(240)と、
上記負荷検出部(240)が検出した上記エンジン(6)の負荷が予め設定された基準値より小さくなったときには、上記発電電動機(7)が発電するように、かつ、上記負荷検出部(240)が検出した上記エンジン(6)の負荷が上記基準値以上になったときには、上記発電電動機(7)が上記エンジン(6)をアシストするように、上記発電電動機(7)を制御する第2アシスト制御部(230)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−62728(P2012−62728A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209601(P2010−209601)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】