説明

ハイブリッド車両の冷却システム

【課題】走行用モーターやインバーターの廃熱をより有効に利用することのできるハイブリッド車両の冷却システムを提供する。
【解決手段】放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーター11とエンジン4とを通ってエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路5と、走行用モーター2と直流電流を交流に変換して走行用モーター2に供給するインバーター1とを通ってHV冷却水を循環させるHV冷却回路3とを備えるハイブリッド車両の冷却システムにおいて、走行用モーター2及びインバーター1を通過したHV冷却水をエンジン冷却回路5に導入するEV冷却モードと、エンジン冷却回路5とHV冷却回路3との間の冷却水の流通のないノーマルモードとを切り替える第1水路切替弁17及び第2水路切替弁21を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーターとを通ってエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路と、走行用モーターと直流電流を交流に変換して走行用モーターに供給するインバーターとを通ってHV冷却水を循環させるHV冷却回路とを備えるハイブリッド車両の冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境性能の向上を目的として開発されたハイブリッド車両の普及が進められている。ハイブリッド車両には、エンジンと走行用モーターとの2つの駆動源が設けられ、また車載された2次電池の直流電流を交流に変換して走行用モーターに供給するインバーターが搭載されている。
【0003】
こうしたハイブリッド車両では、エンジンの冷却に加え、HVシステムの走行用モーターやインバーターの冷却も必要となる。そのため、ハイブリッド車両には、エンジン冷却用の冷却回路(エンジン冷却回路)とHVシステム用の冷却回路(HV冷却回路)との2つの冷却回路が設けられ、各冷却回路に冷却水を循環させることでエンジンやHVシステムの冷却を行うようにしている。
【0004】
ところで、エンジン冷却回路とHV冷却回路とでは、冷却水の適温が異なっている。また許容可能な冷却水の最大温度も冷却回路間で異なっている。例えばエンジン冷却回路の冷却水(エンジン冷却水)は、エンジンの運転状況によっては100℃を超えることがあるが、HV冷却回路の冷却水(HV冷却水)は、それよりも大幅に低い温度(例えば65℃)以下に保つ必要がある。そのため、ハイブリッド車両では、エンジン冷却回路とHV冷却回路とを各々独立した冷却回路として設けることが一般的となっている。
【0005】
ちなみに近年には、電気のみにより走行する電気自動車の普及に向けた開発が進められてもいる。そして従来、そうした電気自動車において、特許文献1に見られるような、走行用モーターやインバーターの廃熱を車室内の暖房に利用する技術が提案されている。そこで、こうした技術を応用して、ハイブリッド車両においてもその走行用モーターやインバーターの廃熱を車室内の暖房に利用するようにすれば、車両全体のヒートマネージメントをより有効に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−197937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで近年には、ハイブリッド化に伴うエンジンの小型化やエンジン自体の熱効率の向上により、エンジンの熱源としての利用性が低下する傾向にある。またハイブリッド車両では、モーターのみを用いたEV走行時や車両停止時には、エンジンが停止されることがあり、エンジンの熱源として利用を殆ど行うことができない期間がある。そのため、ハイブリッド車両では、暖房のような熱利用機器への熱供給がよりシビアなものとなっており、車両全体のヒートマネージメントがより重要視されている。その点、上記従来技術における走行用モーターやインバーターの廃熱の暖房への利用は、車両全体のヒートマネージメントを有効に行うための手段の一つではある。しかしながら、現状では、熱利用効率の更なる向上が求められており、それだけで十分なヒートマネージメントができているとは言えない状況にある。
【0008】
また一般にハイブリッド車両では、製造コストを抑えるためにHV冷却回路には、エンジン冷却回路に設けられるものよりも、放熱能力の低いラジエーターしか設けられていない。通常は、ハイブリッドシステムの発熱量は、エンジンに比して小さく、そうした放熱能力の小さいラジエーターでも十分な冷却を行うことが可能である。しかしながら、登坂走行時のような低速高負荷時には、ハイブリッドシステムの発熱が大となり、放熱能力の小さいラジエーターでは、十分な冷却が行えないことがある。そのため、そうしたラジエーターでもオーバーヒートが生じない程度に走行用モーターの出力を制限せざるを得なくなっている。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、より有効なヒートマネージメントを行うことのできるハイブリッド車両の冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
・放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーターとエンジンとを通ってエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路、
・走行用モーターと直流電流を交流に変換してその走行用モーターに供給するインバーターとを通ってHV冷却水を循環させるHV冷却回路、
を備えるハイブリッド車両の冷却システムに適用されるものとなっている。そして請求項1に記載のハイブリッド車両の冷却システムは、
・HV冷却水の熱をエンジン冷却水に伝える伝熱手段、
・伝熱手段によるHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を通じてエンジン冷却水を加温することで走行用モーター及びインバーターの廃熱をエンジンの暖機に利用すること、
・伝熱手段を通じてHV冷却水の熱をエンジン冷却水に伝えるとともに、その伝熱により加熱されたエンジン冷却水をエンジン用ラジエーターにて冷却することで、走行用モーター及びインバーターの廃熱をエンジン用ラジエーターで放熱させること、
・伝熱手段によるHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行わないときには、エンジン冷却回路とHV冷却回路とが各々独立した冷却回路となること、
を具備したものとなっている。
【0011】
こうした請求項1のハイブリッド車両の冷却システムでは、伝熱手段を通じた伝熱により、HV冷却水からエンジン冷却水への熱伝達が行われる。そこでエンジンの暖機中にそうした伝熱を行えば、走行用モーターやインバーターの廃熱で加熱されたHV冷却水の熱でエンジン冷却水が加温されるようになり、走行用モーターやインバーターの廃熱をエンジンの暖機に利用することができるようになる。またHV冷却水からエンジン冷却水に伝えられた熱がエンジン用ラジエーターで放熱されることになり、走行用モーターやインバーターの廃熱がエンジン用ラジエーターにて放熱されることになる。そのため、走行用モーターやインバーターの廃熱の放熱にエンジン用ラジエーターを利用することができるようになる。
【0012】
一方、上記の如く構成された冷却システムでは、伝熱手段によるHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行わないときには、エンジン冷却回路とHV冷却回路とは、各々独立した冷却回路となる。すなわち、このときの両冷却回路は、冷却回路間の冷却水の流通や両冷却回路の冷却水間の熱交換が行われない状態となる。そのため、通常は、両冷却回路の冷却水を異なる温度として、各々の冷却回路における適温とすることができ、両冷却回路共に効率的な冷却を行うことができるようになる。
【0013】
このように、こうした冷却システムでは、必要に応じてHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うことで、走行用モーターやインバーターの廃熱のエンジン暖機への有効利用や、より有効な廃熱の処理を行うことができる。また、通常は両冷却回路を独立させることができ、各々の冷却回路において最適な状態で冷却を行うことが可能となる。したがって、請求項1に記載のハイブリッド車両の冷却システムによれば、より有効なヒートマネージメントを行うことができるようになる。
【0014】
また上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、
・放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーターとエンジンとを通ってエンジン冷却水を循環させる第1の冷却回路、
・走行用モーターと直流電流を交流に変換してその走行用モーターに供給するインバーターとを通ってHV冷却水を循環させる第2の冷却回路、
を備えるハイブリッド車両の冷却システムに適用されるものとなっている。そして請求項2に記載のハイブリッド車両の冷却システムは、
・HV冷却水の熱を前記エンジン冷却水に伝える伝熱手段、
・伝熱熱手段によるHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を禁止、許容する切替手段、
を具備している。
【0015】
こうした請求項2に記載のハイブリッド車両の冷却システムでは、伝熱手段を通じた伝熱により、HV冷却水からエンジン冷却水への熱伝達を行うことができる。そこでエンジンの暖機中にそうした伝熱を行えば、走行用モーターやインバーターの廃熱で加熱されたHV冷却水の熱でエンジン冷却水が加温されるようになり、走行用モーターやインバーターの廃熱をエンジンの暖機に利用することができるようになる。またHV冷却水からエンジン冷却水に伝えられた熱がエンジン用ラジエーターで放熱されることになり、走行用モーターやインバーターの廃熱がエンジン用ラジエーターにて放熱されることになる。そのため、走行用モーターやインバーターの廃熱の放熱にエンジン用ラジエーターを利用することができるようになる。
【0016】
一方、上記の如く構成された冷却システムでは、切替手段によって、伝熱熱手段によるHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を禁止することができる。こうしてHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を禁止すれば、エンジン冷却回路とHV冷却回路とは、各々独立した冷却回路となる。すなわち、両冷却回路間の冷却水の流通や両冷却回路の冷却水間の熱交換が行われない状態となる。そのため、通常は、両冷却回路の冷却水を異なる温度とし、各々の冷却回路における適温とすることができ、両冷却回路共に効率的な冷却を行うことができるようになる。
【0017】
このように、こうした冷却システムでは、必要に応じてHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うことで、走行用モーターやインバーターの廃熱のエンジン暖機への有効利用や、より有効な廃熱の処理を行うことができる。また通常は両冷却回路を独立させることで、各々の冷却回路において最適な状態で冷却を行うことが可能となる。したがって、請求項2に記載のハイブリッド車両の冷却システムによれば、より有効なヒートマネージメントを行うことができるようになる。
【0018】
ちなみに、上記のようなヒートマネージメントは、こうした請求項2に記載のハイブリッド車両の冷却システムに、請求項3に記載のような制御手段を設けることで、より有効に行うことができるようになる。すなわち、
・エンジンが停止中であること、
・HV冷却水がエンジン冷却水よりも高温であること、
の少なくとも一方の成立を条件に、HV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うべく切替手段を制御する制御手段を設ければ、
・走行用モーターやインバーターの廃熱の放熱にエンジン用ラジエーターを有効利用すること、
・走行用モーターやインバーターの廃熱をエンジンの暖機に有効利用すること、
が可能となる。
【0019】
なお、上記のようなハイブリッド車両の冷却システムに設けられる伝熱手段は、
・請求項4のように、走行用モーター及びインバーターを通過後のHV冷却水をエンジン冷却回路に導入することで、HV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うものとして構成すること、
・請求項5のように、HV冷却水と前記エンジン冷却水との間で熱交換を行う熱交換器として構成すること、
が可能である。
【0020】
請求項4の構成によれば、両冷却回路を繋ぐ接続水路、及びその接続水路を通じた冷却水の流通を禁止、許容する手段の設置という、比較的簡易な部材の追加のみで本発明の冷却システムを実現することができるようになる。また請求項5の構成によれば、冷却水の流通がないという意味で、両冷却回路の独立性を維持したまま、本発明の冷却システムを実現することができるようになる。
【0021】
また上記課題を解決するため、請求項6に記載の発明は、
・放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーターとエンジンとを通ってエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路、
・走行用モーターと直流電流を交流に変換して走行用モーターに供給するインバーターとを通ってHV冷却水を循環させるHV冷却回路、
を備えるハイブリッド車両の冷却システムに適用されるものとなっている。そして請求項6に記載のハイブリッド車両の冷却システムは、
・走行用モーター及びインバーターを通過したHV冷却水をエンジン冷却回路に導入するEV冷却モードと、エンジン冷却回路とHV冷却回路との間の冷却水の流通のないノーマルモードとを切り替える切替手段、
を備えるようにしている。
【0022】
こうした冷却システムでは、EV冷却モードでは、走行用モーター及びインバーターを通過することで加熱したHV冷却水がエンジン冷却回路に導入されることで、エンジン冷却回路を流れるエンジン冷却水が加温されるようになる。そこでエンジンの暖機中にEV冷却モードとすれば、走行用モーターやインバーターの廃熱で加熱されたHV冷却水の熱でエンジン冷却水が加温されるようになり、走行用モーターやインバーターの廃熱をエンジンの暖機に利用することができる。またHV冷却水の温度が高いときにEV冷却モードとすれば、走行用モーターやインバーターの廃熱の放熱に、エンジン用ラジエーターを利用可能となる。
【0023】
一方、ノーマルモードでは、両冷却回路は、互いの冷却水の流通のない独立した回路となるため、冷却回路間で冷却水温度を異ならせることが可能となる。そのため、このときの冷却システムでは、冷却水の温度を各々の冷却回路における適温として、最適な状態で冷却を行うことができるようになる。
【0024】
このように、こうした冷却システムでは、必要に応じてHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うことで、走行用モーターやインバーターの廃熱のエンジン暖機への有効利用や、より有効な廃熱の処理を行うことができる。また通常は両冷却回路を独立させることで、各々の冷却回路において最適な状態で冷却を行うことが可能となる。したがって、請求項6に記載のハイブリッド車両の冷却システムによれば、より有効なヒートマネージメントを行うことができるようになる。
【0025】
ちなみに、上記のようなヒートマネージメントは、こうした請求項6に記載のハイブリッド車両の冷却システムに、請求項7に記載のような制御手段を設けることで、より有効に行うことができるようになる。すなわち、
・エンジンが停止中であること、
・HV冷却水がエンジン冷却水よりも高温であること、
の少なくとも一方の成立を条件に、HV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うべく切替手段を制御する制御手段を設ければ、走行用モーターやインバーターの廃熱の放熱にエンジン用ラジエーターを有効利用することや、走行用モーターやインバーターの廃熱をエンジンの暖機に有効利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るハイブリッド車両の冷却システムの第1実施形態についてその全体構成を模式的に示すブロック図。
【図2】同実施形態のハイブリッド車両の冷却システムについてそのノーマルモードでの冷却水の流れを示すブロック図。
【図3】同実施形態のハイブリッド車両の冷却システムについてそのEV冷却モードでの冷却水の流れを示すブロック図。
【図4】同実施形態の採用する冷却モード切替ルーチンにおける電子制御ユニットの処理手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態のハイブリッド車両の冷却システムの動作態様の一例を示すタイムチャート。
【図6】本発明に係るハイブリッド車両の冷却システムの第2実施形態についてその全体構成を模式的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
以下、本発明のハイブリッド車両の冷却システムを具体化した第1の実施の形態を、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムの全体構成を示している。同図に示すように、この冷却システムは、インバーター1及び走行用モーター2を備えるHV系の冷却を行うためのHV冷却回路3と、エンジン4の冷却を行うエンジン冷却回路5との2つの冷却回路を備えている。
【0029】
HV冷却回路3は、同HV冷却回路3に冷却水を循環させるためのHV用電動ウォーターポンプ6と、同HV冷却回路3を循環する冷却水を放熱により冷却するためのHV用ラジエーター7とを備えている。そしてHV冷却回路3では、HV用電動ウォーターポンプ6よりHV用ラジエーター7、走行用モーター2及びインバーター1を順に通過して冷却水が循環されている。
【0030】
エンジン冷却回路5は、同エンジン冷却回路5に冷却水を循環させるためのエンジン用電動ウォーターポンプ8を備えている。エンジン用電動ウォーターポンプ8より吐出された冷却水はまず、エンジン4の内部に形成されたウォータージャケットに送られる。エンジン4の下流において冷却水路は、3つの水路に分岐され、分岐された各水路は、ヒーターコア9、スロットルバルブ10及びエンジン用ラジエーター11にそれぞれ接続されている。
【0031】
ヒーターコア9の下流では、排気熱回収器12を通る水路とEGRクーラー13を通る水路とに冷却水路が分岐されている。排気熱回収器12は、排気の熱を回収して冷却水を加熱する熱交換器として、EGRクーラー13は、排気系から吸気系へと還流される排ガス(EGRガス)を冷却水で冷却する熱交換器としてそれぞれ構成されている。排気熱回収器12及びEGRクーラー13を通過した冷却水は、スロットルバルブ10を通過した冷却水と合流された後、サーモスタット14に送られる。サーモスタット14は、電動式のバルブとして構成されており、その開閉に応じてエンジン用ラジエーター11の通水の許容と遮断とを切り替える。なおエンジン冷却回路5に設けられるエンジン用ラジエーター11は、HV冷却回路3に設けられるHV用ラジエーター7よりも、大型で冷却能力の高いものが採用されている。
【0032】
以上のように構成されたHV冷却回路3とエンジン冷却回路5とは、2つの水路、すなわち第1接続水路15と第2接続水路16とにより接続されている。第1接続水路15は、エンジン冷却回路5のエンジン用電動ウォーターポンプ8の下流側と、HV冷却回路3のHV用ラジエーター7の下流とを接続するように設けられている。また第2接続水路16は、エンジン冷却回路5のサーモスタット14の下流側と、HV冷却回路3の走行用モーター2の下流側とを接続するように設けられている。
【0033】
なお第1接続水路15の途中には、第1水路切替弁17が設けられている。この第1水路切替弁17は、その開閉に応じて第1接続水路15の冷却水の通過の許容と遮断とを切り替える。また第2接続水路16の途中には、第2水路切替弁21が設けられている。この第2水路切替弁21は、その開閉に応じて第2接続水路16の冷却水の通過の許容と遮断とを切り替える。
【0034】
こうした冷却システムは、電子制御ユニット18により制御されている。電子制御ユニット18は、中央演算処理装置(CPU)、読込専用メモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)及び入出力ポート(I/O)を備えるコンピューターユニットとして構成されている。ここでCPUは、冷却システムの制御に係る各種演算処理を実施し、ROMは、制御用のプログラムやデータを記憶する。またRAMは、CPUの演算結果やセンサーの検出結果を一時的に記憶し、I/Oは、外部とのデータの入出力を媒介する。
【0035】
こうした電子制御ユニット18には、エンジン冷却回路5を流れる冷却水の温度(エンジン冷却水温)やHV冷却回路3を流れる冷却水の温度(EV冷却水温)の検出結果が入力されている。そして電子制御ユニット18は、それらの検出結果に基づいてHV用電動ウォーターポンプ6やエンジン用電動ウォーターポンプ8、サーモスタット14、第1水路切替弁17及び第2水路切替弁21を制御することで、冷却システムの運転を管理するようにしている。
【0036】
本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムでは、電子制御ユニット18は、冷却システムの冷却モードの切り替えを、状況に応じて実施するようにしている。ここで切り替えられる冷却モードは、ノーマルモードとEV冷却モードとの2つの冷却モードとなっている。
【0037】
ノーマルモードでは、電子制御ユニット18は、HV用電動ウォーターポンプ6とエンジン用電動ウォーターポンプ8とを作動させるとともに、第1水路切替弁17及び第2水路切替弁21を閉じるように制御を行う。図2に示すように、このときの冷却システムでは、第1接続水路15及び第2接続水路16を通じた冷却水の流通が禁止され、HV冷却回路3とエンジン冷却回路5とは、各々独立した冷却回路として動作する。すなわち、このときには、HV系の冷却とエンジン4の冷却とがそれぞれ個別に行われるようになる。そのため、ノーマルモードでは、HV冷却回路3を流れるHV冷却水とエンジン冷却回路5を流れるエンジン冷却水とを異なる温度として、各々の冷却回路における適温とすることができ、両冷却回路共に効率的な冷却を行うことができるようになる。
【0038】
一方、EV冷却モードでは、電子制御ユニット18は、HV用電動ウォーターポンプ6を停止してエンジン用電動ウォーターポンプ8のみを作動させるとともに、第1水路切替弁17及び第2水路切替弁21を開くように制御を行う。図3に示すように、このときの冷却システムでは、第1接続水路15及び第2接続水路16を通じた冷却水の流通が許容されて、HV冷却回路3とエンジン冷却回路5とは、一体の冷却回路として動作する。すなわち、このときの冷却システムでは、エンジン用電動ウォーターポンプ8の吐出した冷却水(エンジン冷却水)の一部が第1接続水路15を通じてHV冷却回路3のインバーター1の上流に導入される。その導入された冷却水は、インバーター1及び走行用モーター2を通り、エンジン冷却回路5のエンジン用電動ウォーターポンプ8の上流側に戻される。
【0039】
こうしたEV冷却モードでは、インバーター1及び走行用モーター2を通過後のHV冷却水がエンジン冷却回路5に導入されるようになる。したがって、このときには、HV冷却水からエンジン冷却水への伝熱が行われるようになる。すなわち、このときには、インバーター1及び走行用モーター2の廃熱がエンジン冷却回路5を流れるエンジン冷却水に伝えられるようになる。
【0040】
そのため、EV冷却モード時には、インバーター1及び走行用モーター2の廃熱でエンジン冷却水を加熱することができ、インバーター1及び走行用モーター2の廃熱をエンジン4の暖機に利用することができるようになる。
【0041】
またEV冷却モード時には、HV冷却水からエンジン冷却水に伝えられた熱がエンジン用ラジエーター11で放熱されることになり、走行用モーター2やインバーター1の廃熱がエンジン用ラジエーター11にて放熱されることになる。そのため、このときの冷却システムでは、走行用モーター2やインバーター1の廃熱の放熱にエンジン用ラジエーター11を利用することができるようになる。
【0042】
なお、本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムでは、1)エンジン4が停止中であること、2)HV冷却水がエンジン冷却水よりも高温であること、の少なくとも一方の成立を条件に、冷却システムの冷却モードをHV冷却モードに設定するようにしている。こうした冷却モードの切り替えは、図4に示す冷却モード切替ルーチンを通じて行われる。なお本ルーチンの処理は、ハイブリッド車両の起動後、電子制御ユニット18により周期的に繰り返し実行されるものとなっている。
【0043】
さて本ルーチンが開始されると、まずステップS100において、ハイブリッド車両が電気自動車モードで走行(EV走行)しているか否かが確認される。EV走行中は、エンジン4が停止されるため、ここでは実質的には、エンジン4が停止しているか否かの確認を行っている。
【0044】
EV走行中であれば、すなわちエンジン4が停止していれば(S100:YES)、ステップS101において、冷却システムの冷却モードがEV冷却モードに設定される。一方、EV走行中でなく、エンジン4の作動中であれば(S100:NO)、電子制御ユニット18の処理がステップS102に移行される。
【0045】
ステップS102では、エンジン(E/G)冷却水温がHV冷却水温よりも低いか否かが確認される。ここでエンジン(E/G)冷却水温がHV冷却水温よりも低ければ(S102:YES)、ステップS101において、冷却システムの冷却モードがEV冷却モードに設定される。一方、エンジン(E/G)冷却水温がHV冷却水温以上であれば(S102:NO)、ステップS103において、冷却システムの冷却モードがノーマルモードに設定される。
【0046】
図5は、こうした本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムの動作態様の一例を示している。なお、同図には、ハイブリッド車両の起動後の冷却システムの動作態様が示されている。
【0047】
同図における時刻t1迄の期間には、ハイブリッド車両はEV走行しており、エンジン4は停止されている。そのため、この期間には、冷却システムの冷却モードとしてEV冷却モードが設定されることになる。このときのエンジン冷却水には、インバーター1及び走行用モーター2の廃熱が伝達されるため、それらの廃熱を利用してエンジン4の暖機を促進することが可能となる。
【0048】
一方、時刻t1には、ハイブリッド車両はエンジン走行を開始する。すなわち、この時刻t1より、エンジン4の作動が開始される。このときのHV冷却水温は、エンジン冷却水温よりも低いため、冷却システムの冷却モードとしてノーマルモードが設定される。
【0049】
その後の時刻t2には、登坂走行などのため、走行用モーター2の負荷が高まり、HV冷却水温がエンジン冷却水温を上回っている。そのため、この時刻t2には、冷却システムの冷却モードがノーマルモードから再びEV冷却モードへと切り替わる。このときには、インバーター1及び走行用モーター2の廃熱の放熱に、HV用ラジエーター7よりも放熱能力の高いエンジン用ラジエーター11を利用できるため、負荷の増大により廃熱量が増大したインバーター1及び走行用モーター2の冷却が効果的に行われるようになる。
【0050】
このときのEV冷却モードは、HV冷却水温がエンジン冷却水温を下回る時刻t3迄継続される。時刻t3以降には、エンジン走行が継続され、HV冷却水温がエンジン冷却水温以下に維持されているため、冷却システムの冷却モードは、ノーマルモードに設定される。
【0051】
なお、こうした本実施の形態では、第2接続水路16が、HV冷却水の熱をエンジン冷却水に伝える伝熱手段に相当する構成となっている。また本実施の形態では、第1水路切替弁17及び第2水路切替弁21が、伝熱手段によるHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を禁止、許容する切替手段に相当する構成となっている。更に本実施の形態では、電子制御ユニット18が、エンジンが停止中であること、及びHV冷却水がエンジン冷却水よりも高温であること、の少なくとも一方の成立を条件に、HV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うべく切替手段を制御する制御手段に相当する構成となっている。
【0052】
以上説明した本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、第2接続水路16を通じたHV冷却回路3からエンジン冷却回路5へのHV冷却水の流入により、HV冷却水からエンジン冷却水への熱伝達が行われる。エンジン4の暖機中にそうした伝熱を行えば、走行用モーター2やインバーター1の廃熱で加熱されたHV冷却水の熱でエンジン冷却水が加温されるようになり、走行用モーター2やインバーター1の廃熱をエンジン4の暖機に利用することができるようになる。またHV冷却水からエンジン冷却水に伝えられた熱がエンジン用ラジエーター11で放熱されることになり、走行用モーター2やインバーター1の廃熱がエンジン用ラジエーター11にて放熱されることになる。そのため、走行用モーター2やインバーター1の廃熱の放熱にエンジン用ラジエーター11を利用することができるようになる。一方、HV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行わないときには、エンジン冷却回路5とHV冷却回路3とは、各々独立した冷却回路となる。すなわち、このときの両冷却回路は、冷却回路間の冷却水の流通や両冷却回路の冷却水間の熱交換が行われない状態となる。そのため、通常は、両冷却回路の冷却水を異なる温度として、各々の冷却回路における適温とすることができる。したがって、本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムによれば、より有効なヒートマネージメントを行うことができるようになる。
【0053】
(2)本実施の形態では、電子制御ユニット18は、エンジンが停止中であること、及びHV冷却水がエンジン冷却水よりも高温であること、の少なくとも一方の成立を条件に、HV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うべく第1水路切替弁17及び第2水路切替弁21を制御するようにしている。こうした本実施の形態によれば、走行用モーター2やインバーター1の廃熱の放熱にエンジン用ラジエーター11を有効利用することや、走行用モーター2やインバーター1の廃熱をエンジン4の暖機に有効利用することが可能となる。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、本発明のハイブリッド車両の冷却システムを具体化した第2の実施の形態を、図6を併せ参照して詳細に説明する。なお本実施の形態にあって、上記実施の形態と共通する構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0055】
第1の実施の形態では、インバーター1や走行用モーター2を通過したHV冷却水を必要に応じてエンジン冷却回路5に導入することで、インバーター1や走行用モーター2の廃熱をエンジン4やエンジン用ラジエーター11に伝えるようにしていた。本実施の形態では、こうしたHV冷却回路3からエンジン冷却回路5への伝熱を熱交換器により行うようにしている。
【0056】
図6は、本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムの全体構成を示している。同図に示すように、本実施の形態の冷却システムも、インバーター1及び走行用モーター2を備えるHV系の冷却を行うためのHV冷却回路3と、エンジン4の冷却を行うエンジン冷却回路5との2つの冷却回路を備えている。ただし、本実施の形態の冷却システムには、HV冷却回路3とエンジン冷却回路5とを直接繋ぐ第1及び第2接続水路15、16は設けられておらず、その代りに、熱交換器20が設けられている。
【0057】
エンジン冷却回路5において熱交換器20は、エンジン用電動ウォーターポンプ8の下流に配設されている。またHV冷却回路3では、HV用電動ウォーターポンプ6の下流において、HV用ラジエーター7を通る水路とこれを迂回して通る水路との2つの水路が並列に設けられている。そして熱交換器20は、HV用ラジエーター7を迂回する側の水路に設けられている。
【0058】
またHV冷却回路3のHV用ラジエーター7側と熱交換器20側との水路の分岐部分には、水路切替弁19が設けられている。この水路切替弁19は、HV冷却水をHV用ラジエーター7に流す状態と熱交換器20に状態とを選択的に切り替えるように構成されている。
【0059】
本実施の形態では、水路切替弁19によるHV冷却回路3の水路の切り替えを通じて、冷却システムの冷却モードを切り替えるようにしている。ここで切り替えられる冷却モードは、ノーマルモードとEV冷却モードとの2つの冷却モードとなっている。
【0060】
ノーマルモードでは、HV冷却水がHV用ラジエーター7に流れるように水路切替弁19が制御される。このときのHV冷却回路3とエンジン冷却回路5とは、熱的に分離された、各々独立した冷却回路として動作する。
【0061】
一方、EV冷却モードでは、HV冷却水が熱交換器20に流れるように水路切替弁19が制御される。このときの熱交換器20では、HV冷却水とエンジン冷却水との間で熱交換が行われる。そのため、このときのインバーター1及び走行用モーター2の廃熱が、エンジン冷却水に伝わるようになる。したがって、EV冷却モードの設定時には、インバーター1及び走行用モーター2の廃熱をエンジン4の暖機に利用したり、インバーター1及び走行用モーター2の廃熱の放熱にエンジン用ラジエーター11を利用したりすることができるようになる。
【0062】
なお、こうした本実施の形態では、熱交換器20が、HV冷却水の熱をエンジン冷却水に伝える伝熱手段に相当する構成となっている。また本実施の形態では、水路切替弁19が、伝熱手段によるHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を禁止、許容する切替手段に相当する構成となっている。
【0063】
本実施の形態のハイブリッド車両の冷却システムによっても、上記(1)の効果を奏することができる。またエンジン4が停止中であること、及びHV冷却水がエンジン冷却水よりも高温であること、の少なくとも一方の成立を条件に、HV冷却水を熱交換器20に流すべく水路切替弁19を制御すれば、上記(2)の効果を奏することができるようにもなる。
【0064】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・第2の実施の形態では、熱交換器20によるHV冷却水とエンジン冷却水との熱交換の実施の有無を切り替えるための水路切替弁19を、HV冷却回路3側に設けるようにしていたが、同様の切替弁をエンジン冷却回路5側に設けるようにしても良い。この場合、エンジン冷却回路5に、熱交換器20を通る水路と、これを迂回する水路とを並列に設けるとともに、エンジン冷却水をいずれの水路に通すかを切り替える水路切替弁を設けることになる。
【0065】
・上記実施の形態では、1)エンジンが停止中であること、2)HV冷却水が前記エンジン冷却水よりも高温であること、の少なくとも一方の成立を条件にEV冷却モードを設定してHV冷却水からエンジン冷却水への伝熱を行うようにしていた。冷却モードの切り替えに係る条件は、これに限らず適宜に変更しても良い。エンジン4の暖機が未完了で、HV冷却水が前記エンジン冷却水よりも高温であることを条件にノーマルモードからEVモードへの切り替えを行ったり、HV冷却水温が高温であることを条件にノーマルモードからEVモードへの切り替えを行ったりすることが考えられる。
【0066】
・上記実施形態でのHV冷却回路3の構成やエンジン冷却回路5の構成は、適宜に変更しても良い。要は、エンジン用ラジエーター11とエンジン4とを通ってエンジン冷却水を循環させるようにエンジン冷却回路5が構成され、走行用モーター2とインバーター1とを通ってHV冷却水を循環させるようにHV冷却回路3が構成されたハイブリッド車両の冷却システムであれば、本発明の適用が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…インバーター、2…走行用モーター、3…HV冷却回路、4…エンジン、5…エンジン冷却回路、6…HV用電動ウォーターポンプ、7…HV用ラジエーター、8…エンジン用電動ウォーターポンプ、9…ヒーターコア、10…スロットルバルブ、11…エンジン用ラジエーター、12…排気熱回収器、13…EGRクーラー、14…サーモスタット、15…第1接続水路、16…第2接続水路(伝熱手段)、17…第1水路切替弁(切替手段)、18…電子制御ユニット(制御手段)、19…水路切替弁(切替手段)、20…熱交換器(伝熱手段)、21…第2水路切替弁(切替手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーターとエンジンとを通ってエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路と、走行用モーターと直流電流を交流に変換して前記走行用モーターに供給するインバーターとを通ってHV冷却水を循環させるHV冷却回路とを備えるハイブリッド車両の冷却システムにおいて、
前記HV冷却水の熱を前記エンジン冷却水に伝える伝熱手段と、
前記伝熱手段による前記HV冷却水から前記エンジン冷却水への伝熱を通じて前記エンジン冷却水を加温することで前記走行用モーター及び前記インバーターの廃熱を前記エンジンの暖機に利用することと、
前記伝熱手段を通じて前記HV冷却水の熱を前記エンジン冷却水に伝えるとともに、その伝熱により加熱された前記エンジン冷却水を前記エンジン用ラジエーターにて冷却することで、前記走行用モーター及び前記インバーターの廃熱を前記エンジン用ラジエーターで放熱させることと、
前記伝熱手段による前記HV冷却水から前記エンジン冷却水への伝熱を行わないときには、前記エンジン冷却回路と前記HV冷却回路とが各々独立した冷却回路となることと、
を備えるハイブリッド車両の冷却システム。
【請求項2】
放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーターとエンジンとを通ってエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路と、走行用モーターと直流電流を交流に変換して前記走行用モーターに供給するインバーターとを通ってHV冷却水を循環させるHV冷却回路とを備えるハイブリッド車両の冷却システムにおいて、
前記HV冷却水の熱を前記エンジン冷却水に伝える伝熱手段と、
前記伝熱手段による前記HV冷却水から前記エンジン冷却水への伝熱を禁止、許容する切替手段と、
を備えるハイブリッド車両の冷却システム。
【請求項3】
前記エンジンが停止中であること、及び前記HV冷却水が前記エンジン冷却水よりも高温であること、の少なくとも一方の成立を条件に、前記HV冷却水から前記エンジン冷却水への伝熱を行うべく前記切替手段を制御する制御手段を備える
請求項2に記載のハイブリッド車両の冷却システム。
【請求項4】
前記伝熱手段は、前記走行用モーター及び前記インバーターを通過後の前記HV冷却水を前記エンジン冷却回路に導入することで、前記HV冷却水から前記エンジン冷却水への伝熱を行うように構成されてなる
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の冷却システム。
【請求項5】
前記伝熱手段は、前記HV冷却水と前記エンジン冷却水との間で熱交換を行う熱交換器として構成されてなる
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の冷却システム。
【請求項6】
放熱を通じて冷却水を冷却するエンジン用ラジエーターとエンジンとを通ってエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却回路と、走行用モーターと直流電流を交流に変換して前記走行用モーターに供給するインバーターとを通ってHV冷却水を循環させるHV冷却回路とを備えるハイブリッド車両の冷却システムにおいて、
前記走行用モーター及び前記インバーターを通過した前記HV冷却水を前記エンジン冷却回路に導入するEV冷却モードと、前記エンジン冷却回路と前記HV冷却回路との間の冷却水の流通のないノーマルモードとを切り替える切替手段を備える
ハイブリッド車両の冷却システム。
【請求項7】
前記エンジンが停止中であること、及び前記HV冷却水が前記エンジン冷却水よりも高温であること、の少なくとも一方の成立を条件に、前記HV冷却水から前記エンジン冷却水への伝熱を行うべく前記切替手段を制御する制御手段を備える
請求項6に記載のハイブリッド車両の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−98628(P2011−98628A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254068(P2009−254068)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】