説明

ハンマーグラブ

【課題】 シェルを開閉させるための開閉機構の一部をフレームの外側に配置してフレームの全長を短くすることによって、低空での掘削作業を容易にするとともに、全長の短くなったフレームの側面にウエイト部材を設けることによって、堀削力を高めることのできるハンマーグラブを提供することである。
【解決手段】 先端に掘削刃を有する少なくとも一対のシェル52と、下方に前記シェル52が開閉可能に取り付けられる筒形のフレーム51と、このフレーム51の内部に配置され、シェル52とフレーム51との間に掛け渡される定滑車部75及び動滑車部76と、フレーム51の外側に配置され、一端がシェル52に他端がフレーム51に固定されて前記シェル52を開いた状態に付勢するバネ部材62と、前記フレーム51の外側面に沿って複数設けられ、前記外側面から張り出すウエイト部材63とを備えてハンマーグラブ50を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に杭や管などを打設する孔を掘削するためのハンマーグラブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場における基礎杭造成工事では、架台と旋回式のボーリングマシンとを組み合わせた掘削装置を用いて掘削作業が行われている。具体的には、ボーリングマシンを旋回させてケーシングチューブを回転させながら地面に押し込み、ケーシング内の土砂を架台より吊されたハンマーグラブによって掘削を行う。この掘削は、前記架台で吊られているハンマーグラブをケーシングチューブ内に下ろした後、ある高さからウインチを解放して落下させることによって行われる。この落下によって、ハンマーグラブの先端で開放しているシェルが地中に突き刺さり、この状態からウインチを巻き上げると、シェルが閉じ、内部に土砂を抱えた状態で引き上げられる。
【0003】
前記ハンマーグラブは、ケーシングチューブの内径に合わせて形成された円筒状のフレームと、このフレームの下端に開閉可能に取り付けられる一対のシェルとによって構成されている。前記シェルは、アームが連結されており、このアームを前記フレームの上端から延びるワイヤによって上下動させることによって開閉操作が行われている。前記シェルの開閉駆動機構としては、前記フレーム内に複数の滑車からなる制動部を設け、この制動部を介して前記アームにワイヤを連結することで、前記シェルの開閉操作を容易にして、重量のある土砂等の掘削物を掘り起こしたり、掴んだりする際の力を軽減させるようになっている(特許文献1)。
【0004】
また、前記開閉駆動機構としては、滑車を使用せずに、シェルに連結されているアームにシリンダを設け、このシリンダの伸縮によって、前記シェルを開閉可能に操作するハンマーグラブがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−76301号公報
【特許文献2】特開平9−158658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されているような複数の滑車による駆動機構を有したハンマーグラブにあっては、シェルの開閉操作を滑らかにすることができるが、フレーム本体の内部に前記滑車を配置するスペースを設けなければならないため、フレーム本体の全長が長くなるといった問題があった。このため、掘削作業に際して、上空の作業空間が狭い場所や限定されている場所では、架台からの吊下げが困難となったり、シェルが地面に突き刺さるのに十分な落下スペースを確保したりすることが容易でなかった。また、複数の滑車にワイヤを通しているため、組み立てや調整が容易でなく、掘削作業中にワイヤが外れたりするおそれがあった。
【0007】
一方、特許文献2に開示されているようなシリンダによる開閉駆動機構を有したハンマーグラブにあっては、滑車のような機構部品を要しないので、フレーム本体の内部を簡略化することができるが、シリンダを操作するための油圧装置や電源装置などを必要とするため、外部の装置構成が大きくなるとともに、駆動させるためのコストが嵩むといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、シェルを開閉させるための開閉機構の一部をフレームの外側に配置してフレームの全長を短くすることによって、低空での掘削作業を容易にするとともに、全長の短くなったフレームの側面にウエイト部材を設けることによって、堀削力を高めることのできるハンマーグラブを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のハンマーグラブは、先端に掘削刃を有する少なくとも一対のシェルと、下方に前記シェルが開閉可能に取り付けられる筒形のフレームと、このフレームの内部に配置され、シェルとフレームとの間に掛け渡される滑車部と、フレームの外側に配置され、一端がシェルに他端がフレームに固定されて前記シェルを開いた状態に付勢するバネ部材と、前記フレームの外側面に沿って複数設けられ、前記外側面から張り出すウエイト部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハンマーグラブによれば、下方にシェルが開閉可能に取り付けられるフレームの内部にシェルを開閉操作する滑車部を設ける一方、前記シェルを開いた状態に付勢するバネ部材をフレームの外側に設けて構成されているため、フレームの内部構成が簡略化でき、フレームの全長を短縮することができる。さらに、前記フレームの外側面から張り出すようにしてウエイト部材を複数取り付けることで、全長が短縮化されたフレームに対して一定の重量を付加することができる。これによって、ハンマーグラブを上空の作業空間が狭い場所等にも吊下げ配置することができるとともに、掘削能力をも高めることができる。
【0011】
また、前記フレームの側面に開口部を複数設けることで、前記シェルによって地中の土砂を掻き出した際の水はけを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るハンマーグラブの掘削姿勢時の断面図である。
【図2】上記ハンマーグラブの閉塞姿勢時の断面図である。
【図3】上記ハンマーグラブの解放状態の側面図である。
【図4】上記ハンマーグラブの閉塞状態の側面図である。
【図5】上記ハンマーグラブの上面図である。
【図6】ハンマーグラブを備えた低空頭型の掘削装置の全体構成図である。
【図7】上記掘削装置の正面図である。
【図8】ハンマーグラブを吊下げ支持したときの正面図である。
【図9】ハンマーグラブの搬送及び掘削方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係るハンマーグラブの実施の形態を詳細に説明する。図1乃至図4は、ハンマーグラブ50の内部構造を示したものである。このハンマーグラブ50は、建築基礎の深孔掘削や根切りに使用するもので、フレーム51と、このフレーム51の下端を回転支点として開閉可能に取り付けられる一対のシェル52とを備えて構成されている。
【0014】
前記フレーム51は、図1に示したように、掘削場所に予め打設されているケーシングチューブ33の内径に適合するような円形状の開口面55及びこの開口面55の上方に広がる内部空間59を有する円筒形状の胴体部57と、この胴体部57の上端部に配置される円盤形状の天板部56とを有して構成されている。前記胴体部57の下端には、ヒンジ58を介して一対のシェル52が対向して回動可能となるように取り付けられている。また、前記内部空間59には、前記胴体部57の内周面に沿って上下方向にスライド可能な円盤状の昇降板60が配置されている。この昇降板60は、通常の状態では、バネ部材62によって、胴体部57の下端面と略同じ高さとなるように付勢配置されている。
【0015】
前記胴体部57は、重量のある鋼材によって形成されるが、さらに重量を付加するためのウエイト部材63が外側面に沿って設けられる。このウエイト部材63は、図3乃至図5に示すように、胴体部57の外側面を長手方向に沿って放射状に張り出す縦長の板状体によって形成されている。このウエイト部材63は、胴体部57と同じ鋼材が用いられ、前記胴体部57の外側面に沿ってバランスよく複数等間隔に配設される。
【0016】
また、前記ウエイト部材63は、前記胴体部57の外側面から一定幅で放射状に張り出させることで、ケーシング33の内径に適合させることができ、ケーシング33内に挿通させる際に傾いたりしないようにガイドするガイド部材としての役割を有することになる。このように、ハンマーグラブ50をケーシング33内でバランスよく挿通ガイドさせるために、前記ウエイト部材63は、形状や重量を均等にして、胴体部57の外周に等間隔で配置するのが好ましい。
【0017】
また、前記ウエイト板63が設けられていない胴体部57の表面には、前記シェル52によって掬い上げられた土砂等に含まれる水分を外部に排出させるために、開口部65が複数形成される。この開口部65は、円筒形状に形成された胴体部57の側面を縦長形状に打ち抜いて形成される。また、縦長形状の鋼材パネルを所定の隙間を有して円筒状に組み合わせて形成することによって、前記開口部65を有する胴体部57を形成することもできる。
【0018】
各シェル52は、前記ケーシングチューブ33内の掘削物(地面)に突き刺すスプーン状の掬い上げ凹部68を有する掘削刃64と、この掘削刃64の一端と前記ヒンジ58とを連結するリンク部67とを備える。
【0019】
前記昇降板60の下面から一対のシェル52に向けてアーム69がそれぞれ延びており、この各アーム69の下端と前記リンク部67とが連結される。前記アーム69は、長さは固定となっており、図1に示したように、ワイヤ30aが引き上げられていない状態では、昇降板60がフレーム51の下端側にバネ部材62によって付勢され、各掘削刃64が開くようにシェル52の先端面を押し下げる。また、図2に示したように、前記昇降板60がバネ部材62に抗して内部空間59内を上方に向けてスライドする際には、掬い上げ凹部68内に土砂を掴んだ状態で各シェル52が閉じられる。このシェル52の開閉操作の範囲は、前記フレーム51の内部空間59の縦幅によって規制される。
【0020】
前記フレーム51の内部空間59には、前記昇降板60を上下動させるための滑車部が設けられる。この滑車部は、前記天板部56の下方近傍に取り付けられる定滑車部75と、昇降板60の上面に取り付けられ、この昇降板60とともに上下動する動滑車部76と、前記定滑車部75と動滑車部76との間に架け渡されるワイヤ30aとを有して構成されている。
【0021】
前記定滑車部75は、フレーム51の内部空間59の上方に取り付け固定される上回転軸77と、この上回転軸77の略中央部に回転支持される1個の上滑車78とを備える。また、前記動滑車部76は、前記フレーム51の内周面と接し、昇降板60の外周部を囲う円形状のガイド壁79と、このガイド壁79の内側に取り付けられる下回転軸80と、この下回転軸80の略中央部に回転支持される2個の下滑車81a,81bとを備える。前記上滑車78及び下滑車81a,81bは、形状や直径が略同一のものが使用される。
【0022】
ワイヤ30aは、吊下げ支持部70内を通してフレーム51の内部空間59内に挿入される。このワイヤ30aは、前記内部空間59内をまっすぐ下方に降ろし、最初に一方の下滑車81aに架けた後、そのまま上方に折り返して上滑車78に架ける。そして、この上滑車78に架けられたワイヤ30aの先端部をそのまま下方に折り返して他方の下滑車81bに架けた後、天板部56の下面に固定される。
【0023】
前記バネ部材62は、フレーム51の外側に2か所対向した位置に配置される。このバネ部材62は、コイルバネによって形成され、一端が天板部56の外周面に固定され、他端がフレーム51の下端部に回動可能に取り付けられる各シェル52のヒンジ58を下方に付勢させるように固定される。
【0024】
図1及び図3に示したように、ワイヤ30aがウインチによって牽引されていない状態では、バネ部材62の弾性力によって、シェル52が開いた状態となっているが、図2及び図4に示したように、ワイヤ30aを牽引すると、2個の下滑車81a,81bが回転しながら上滑車78の方に引き寄せられる。これによって、昇降板60がバネ部材62の付勢に抗しながら徐々に上昇していくことになる。このように、前記上滑車78及び下滑車81a,81bにワイヤ30aを架けて牽引操作することで、シェル52の開閉スピードを調整することができ、掘削した土砂等を確実に掴むことができる。
【0025】
本実施形態のハンマーグラブ50にあっては、一対のバネ部材62がフレーム51の外側に配設され、内部空間59には定滑車部75と動滑車部76を配置するだけのスペースがあればよい。このため、シェル52を含むフレーム51全体の全長を略2m以下に抑えることが可能である。なお、前記内部空間59の上下方向の最小スペースは、各シェル52の開閉幅によって規定され、上滑車78と下滑車81a,81bとが接触しない程度に近接可能な離間距離となる。このように、ハンマーグラブ50の全長を短くしたことによって、後述する低空の作業空間内でも十分設置可能となる。
【0026】
また、胴体部57の外側面から張り出すウエイト部材63を設けることによって、フレーム51の全長を短くしたことによるハンマーグラブ50の全体重量の不足分をカバーして堀削能力を高めることができる。さらに、前記胴体部57に縦長形状の開口部65が複数形成されていることで、ハンマーグラブ50をケーシング33から引き上げる際に、不要な水分を外部に排出することができる。これによって、堀削した土砂等の廃棄作業も効率よく行うことができる。
【0027】
次に、図6及び図8に基づいて、上記ハンマーグラブ50を用いて低空で堀削作業をする場合の実施例について説明する。前記ハンマーグラブ50は、天板部56の上面の中央部に吊下げ支部70が設けられる。この吊下げ支持部70は、図6及び図8に示すように、掘削装置10の水平架台14からワイヤ30bを介して吊下げられている吊下げ固定部71に装着されてフレーム51全体を所定の高さ位置に保持するものであり、ワイヤ30aを前記フレーム51内に挿通するための挿通孔72が上面から下面にかけて形成されている。また、外周部には前記吊下げ固定部71に装着するための係合突起73が複数設けられている。一方の吊下げ固定部71は、中央部に前記吊下げ支持部70を挿入するための孔部74を有してリング状に形成されており、内側面には、前記係合突起73と係合する係合溝(図示せず)が設けられている。
【0028】
前記吊下げ固定部71に装着する際には、昇降板60に連結されているワイヤ30aを図6に示したウインチ37で巻き上げることによって、フレーム51全体が持ち上がる。そして、上方に待機している吊下げ固定部71の孔部74内に前記吊下げ支持部70を下方から挿入することで前記係合突起73が吊下げ固定部71に装着される。この状態で前記吊下げ固定部71を吊下げ固定しているワイヤ30bによって、所定の掘削場所にハンマーグラブ50を移動させることができる。また、掘削場所に移動して掘削する際には、昇降板60に直接連結されているワイヤ30aを巻き上げることで、前記吊下げ固定部71から係合突起73が外れ、ワイヤ30aをウインチ37から開放することによって、シェル52がバネ部材62の付勢力で掘削姿勢に保持した状態となる。そして、この掘削姿勢に保持した状態でそのままケーシングチューブ33内に露出する地面に突き刺すようにして落下させる。
【0029】
次に、上記ハンマーグラブ50を用いた低空頭型の掘削装置の実施形態について説明する。この掘削装置10は、図6に示すように、移動走行可能なベースマシン11に設けられる掘削台座部12上にフレーム13を介して設置される水平架台14と、この水平架台14に備わるレール15に沿って移動可能に配置される台車(キャリッジ)16と、このキャリッジ16に昇降可能に吊下げ支持されるハンマーグラブ50とを備えて構成されている。前記レール15は、前記フレーム13に固定される固定レール18と、この固定レールから突出可能に配置される可動レール19とによって構成されている。この掘削装置10は、上空の作業空間に制限のある倉庫や車庫などの建物内あるいはトンネル内などでの使用を可能とするものであるため、前記ベースマシン11に載置されている水平架台14の地表面からの高さHは、最大5m以内に設定される。
【0030】
前記ベースマシン11は、建設作業用の重機車両が用いられ、前記フレーム13が載置される掘削台座部12と、キャリッジ16及びハンマーグラブ50の移動や昇降動作を行わせるアクチュエータ21及びこのアクチュエータ21を駆動させる駆動源22とを備えている。掘削施工場所には、後述するケーシングチューブ33を押し込むためのチュービング部34が予め設置され、このチュービング部34の真上に前記掘削台座部12が載るように前記ベースマシン11を移動する。
【0031】
前記フレーム13は、前記掘削台座部12上に配置されるもので、前記固定レール18を水平に支持する4本の主支持脚23と、前記ベースマシン11の操作部11a側に立設されてアクチュエータ21の一端が固定される左右一対の後方支持脚24aとを有する。また、必要に応じて前記可動レール19の先端部F側を支持する左右一対の前方支持脚24bが設けられる。この前方支持脚24bは、前記可動レール19の水平方向のスライドに追従するように支持される。
【0032】
図7に示すように、前記固定レール18は、前記フレーム13上において左右一対平行に配置されており、このそれぞれの固定レール18に対して、可動レール19がそれぞれスライド可能に支持されている。また、前記一対の可動レール19の対向する内側面には、前記キャリッジ16を水平方向に移動可能に載置するためのガイド溝20がそれぞれ形成されている。
【0033】
前記滑車部26は、中央部に第1の滑車26a、この第1の滑車26aを挟んだ左右側に一対の第2の滑車26bを備えている。図7に示したように、前記第1の滑車26aには前記ハンマーグラブ50に備わる開閉機構を操作するためのワイヤ30aが架けられている。また、前記第2の滑車26bには、ハンマーグラブ50に設けられている吊下げ支持部70が着脱可能とする吊下げ固定部71を吊下げる一対のワイヤ30bが架けられる。
【0034】
図8に示すように、前記第1の滑車26aには、ハンマーグラブ50が直接吊下げられる。第1の滑車26a及び第2の滑車26bに掛けられているワイヤ30a,30bは、それぞれベースマシン11に備わるウインチ37を介して昇降駆動される。図1に示したように、前記ワイヤ30aは、上フレーム54,84を通して昇降板60に連結されている。そして、フレーム51内の定滑車部及び動滑車部に架け渡されている前記ワイヤ30aをウインチ37で巻き上げ駆動することによって、前記昇降板60がバネ部材62に抗して上方に移動し、これに伴って各アーム69が引き上げられ、リンク部67に連結されている各シェル52の一端を持ち上げる。ハンマーグラブ50は、前記吊下げ固定部71に吊下げ支持部70が装着された状態でワイヤ30bによって、掘削施工位置の上方に吊り上げられ、所定の高さ位置で前記吊下げ支持部70から切り離して落下させる。前記シェル52は、落下する際には開いた状態となり、そのまま地中に突き刺さる。この状態から前記ワイヤ30aをウインチ37によって巻き上げることで、土や岩石などの掘削物を抱えた状態でシェル52が閉じられ、さらに前記ワイヤ30aを引き上げることで、フレーム本体51,81が吊下げ支持部70を介して吊下げ固定部71に装着される。この際、フレーム51に設けられている開口部から土砂等に含まれる不要な水分を外部に排出させながら堀削作業を進めることができる。
【0035】
図9に示すように、滑車部26に吊下げ固定部71を介して吊り下げられたハンマーグラブ50は、キャリッジ16によって、前記チュービング部34によって打ち込まれているケーシングチューブ33の真上に位置決め固定する。そして、この位置からハンマーグラブ50を前記吊下げ固定部71から切り離し、ケーシングチューブ33内に落下させ、開いているシェル52の掘削刃64の先端を地中に打ち込む。その後、ウインチ37を巻き上げ操作してシェル52を閉じて地面を掘り出す。この掘り出し作業の後、ハンマーグラブ50をケーシングチューブ33内から引き上げ、前記吊下げ固定部71に装着された状態でキャリッジ16を可動レール19に沿って前進させ、掘削台座部12上から水平方向に離間した可動レール19の先端部F近辺まで移動する。この位置において、前記シェル52を開くことによって、掘り出された土や岩石などの掘削物を排土することができる。このようにして、前記ハンマーグラブ50をケーシングチューブ33上から排土する場所までの間を前記キャリッジ16によって、水平方向に往復動させることで、上空空間に制限がある場所における掘り出し及び排土作業を簡易且つ効率的に行うことができる。
【0036】
以上説明したように、本発明のハンマーグラブ50を採用することによって、水平架台14の最大高さが約5m以内となるように低くした掘削装置10によって、低空での堀削作業を可能なものとした。
【0037】
なお、上記実施形態のハンマーグラブ50は、一対のシェル52によって構成したが、3枚あるいはそれ以上のシェルによって構成することもできる。このように複数のシェルによって構成する場合は、そのシェルの数分の付勢力を有するバネ部材62をフレーム51の外側に配置するなどの改良を行うことで、低空においても効率的な堀削作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
10 掘削装置
11 ベースマシン
11a 操作部
12 掘削台座部
13 フレーム
14 水平架台
15 レール
16 キャリッジ
18 固定レール
19 可動レール
20 ガイド溝
21 アクチュエータ
22 駆動源
23 主支持脚
24a 後方支持脚
24b 前方支持脚
26 滑車部
26a 第1の滑車
26b 第2の滑車
30a,30b ワイヤ
33 ケーシングチューブ
34 チュービング部
37 ウインチ
50 ハンマーグラブ
51 フレーム
52 シェル
55 開口面
56 天板部
57 胴体部
58 ヒンジ
59 内部空間
60 昇降板
62 バネ部材
63 ウエイト部材
64 掘削刃
65 開口部
67 リンク部
68 掬い上げ凹部
69 アーム
70 吊下げ支持部
71 吊下げ固定部
72 挿通孔
73 係合突起
74 孔部
75 定滑車部
76 動滑車部
77 上回転軸
78 上滑車
79 ガイド壁
80 下回転軸
81a,81b 下滑車


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に掘削刃を有する少なくとも一対のシェルと、
下方に前記シェルが開閉可能に取り付けられる筒形のフレームと、
このフレームの内部に配置され、シェルとフレームとの間に掛け渡される滑車部と、
フレームの外側に配置され、一端がシェルに他端がフレームに固定されて前記シェルを開いた状態に付勢するバネ部材と、
前記フレームの外側面に沿って複数設けられ、前記外側面から張り出すウエイト部材とを備えることを特徴とするハンマーグラブ。
【請求項2】
前記滑車部は、前記フレーム内の上方に配置される定滑車部と、該定滑車部との間にワイヤを介して連結される動滑車部と、この動滑車部と一体となって前記フレーム内で昇降可能に配置される昇降板とを有し、該昇降板に前記各シェルの一端が連結部材を介して連結される請求項1に記載のハンマーグラブ。
【請求項3】
前記筒形のフレームには、側面に複数の開口部が設けられる請求項1に記載のハンマーグラブ。
【請求項4】
前記バネ部材は、前記フレームの外側面に一対対向して設けられる請求項1に記載のハンマーグラブ。
【請求項5】
前記ウエイト部材は、前記フレームの外側面に沿って等間隔に設けられ、それぞれが縦長の板状体からなる請求項1に記載のハンマーグラブ。
【請求項6】
前記ウエイト部材は、前記フレームの外側面に放射状に設けられる請求項1又は5に記載のハンマーグラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−179172(P2011−179172A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41620(P2010−41620)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(501273303)山本基礎工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】