説明

ハードコート品

【課題】芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の優れた特性(透明性等)を損なうことなく、表面硬度特性に優れたハードコート品を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)40〜95質量%及びアルキルメタクリレート単位を主成分とする表面硬度向上剤(H)5〜60質量%を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる透明な成形品表面にハードコート層が設けられたハードコート品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般のガラス等の代替として好適に使用される、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる成形品表面にハードコート層が設けられたハードコート品に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)等に優れていることから、電気・電子・OA機器、光学部品、精密機械、自動車、保安・医療、建材、雑貨等の幅広い分野に使用されている。しかしながら、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品は、表面硬度が不足しており、耐擦傷性等に劣るという問題点を有している。そのため、耐擦傷性が必要とされる、光ディスク等の光学情報記録媒体、自動車用ランプカバー等の光学レンズ、窓材等の建材、車両用グレージング材等としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品表面にハードコート層を設けたハードコート品が用いられている(特許文献1,2)。
【0003】
ハードコート層は、成形品表面に、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が配合されたハードコート剤を塗布し、硬化させて形成される。しかしながら、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品は、基材である芳香族ポリカーボネート系樹脂自体の表面硬度が低いため、なお十分な表面硬度が得られない。
【0004】
成形品の表面にハードコートを行う手法以外に芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の表面硬度を向上させる手法としては、高剛性樹脂としてのアクリル系樹脂を添加する手法が知られている(特許文献3〜5)。しかしながら、この方法によっても、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品は十分な表面硬度が得られない。
【0005】
芳香族ポリカーボネート系樹脂に芳香族基含有アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体を添加し、得られた成形品表面にハードコートを行ったハードコート品が提案されている(特許文献6)。
しかし特許文献6のハードコート品については、流動性向上効果は確認されるものの表面硬度については言及されていない。
【0006】
このように、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の優れた特性(透明性等)を損なうことなく、大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、が可能であり、かつ表面硬度に優れたハードコート品は、これまで得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−17706号公報
【特許文献2】特開2001−354781号公報
【特許文献3】特開昭64−1749号公報
【特許文献4】特開昭63−139935号公報
【特許文献5】特開2010−116501号公報
【特許文献6】特開2006−199774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の優れた特性(透明性等)を損なうことなく、大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、が可能であり、かつ表面硬度特性に優れたハードコート品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)40〜95質量%及びアルキルメタクリレート単位を主成分とする表面硬度向上剤(H)5〜60質量%を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる透明な成形品表面にハードコート層が設けられたハードコート品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハードコート品は、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の優れた特性(透明性等)を損なうことなく、大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、が可能であり、かつ表面硬度特性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステル又はホスゲンとを反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐状のものであってもよい。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の場合、芳香族ヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ポリヒドロキシ化合物等とが併用される。
【0012】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルが挙げられる。これらのうち、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の耐熱性や柔軟性の点から、ビスフェノールAを含む芳香族ジヒドロキシ化合物を用いることが好ましい。さらに、難燃性を高める目的で、これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、スルホン酸テトラアルキルホスホニウム、臭素原子、又はシロキサン構造を有する基で置換された構造を有していてもよい。
【0013】
芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが挙げられる。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を得る場合の芳香族ポリヒドロキシ化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、好ましくは0.01〜10モル%であり、さらに好ましくは0.1〜2モル%である。
【0014】
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の分子量の調節、末端基の調節等の目的で、一価芳香族ヒドロキシ化合物、又はそのクロロホルメート体等の一価芳香族ヒドロキシ化合物誘導体を用いてもよい。一価芳香族ヒドロキシ化合物及びその誘導体としては、例えば、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−プロピルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキルフェノール、これらの誘導体が挙げられる。これら一価芳香族ヒドロキシ化合物及び/又はその誘導体の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、通常0.1〜10モル%であり、好ましくは1〜8モル%である。
【0015】
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)には、難燃性を高める目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させてもよい。また、成形時の溶融流動性を向上させる目的で、ジカルボン酸又はジカルボン酸クロライド等の誘導体を共重合させてもよい。
【0016】
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の分子量は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、10,000〜40,000が好ましく、12,000〜30,000がより好ましく、15,000〜25,000が特に好ましい。
また、2種以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を混合して用いてもよい。
【0017】
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を含む樹脂材料として、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と後述の他の樹脂及び/又はエラストマーとを組み合わせた芳香族ポリカーボネート系ポリマーアロイを用いてもよい。
【0018】
〔他の樹脂、エラストマー〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)が本来有する、優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)等を損なわない範囲、具体的には芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して50質量部以下の範囲で、必要に応じて他の樹脂及び/又はエラストマーを配合してもよい。
【0019】
他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン(PSt)、スチレン系ランダム共重合体(アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)等)、スチレンと無水マレイン酸との交互共重合体、グラフト共重合体(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)等)等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、これらの共重合体等のポリエステル;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル単位を有する共重合体等のアクリル系樹脂;ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリウレタン;シリコーン樹脂;シンジオタクチックPS;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホンポリアミドイミド;ポリアセタール等、各種汎用樹脂又はエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0020】
エラストマーとしては、例えば、イソブチレン−イソプレンゴム;ポリエステル系エラストマー;スチレン−ブタジエンゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系エラストマー;エチレン−プロピレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;アクリル系エラストマー;ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム等を含有する、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン樹脂(MAS樹脂)に代表されるコアシェル型の耐衝撃性改良剤が挙げられる。
【0021】
〔表面硬度向上剤(H)〕
本発明の表面硬度向上剤(H)は、アルキルメタクリレート単位を主成分とする。
アルキルメタクリレート単位を構成するアルキルメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはメチルメタクリレートである。メチルメタクリレート単位は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と良分散する効果を有し、成形品の表面硬度を向上させる作用を有する。
【0022】
表面硬度向上剤(H)は、表面硬度向上剤(H)の単量体単位の合計を100質量%としたとき、アルキルメタクリレート単位を50質量%以上含有する。アルキルメタクリレート単位が50質量%以上であれば、PCの表面硬度の改善することができる。
【0023】
表面硬度向上剤(H)は、芳香族(メタ)アクリレート単位及びメチルメタクリレート単位を含有することが好ましい。
なお、本発明において(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。芳香族(メタ)アクリレート単位を構成する芳香族(メタ)アクリレートとは、エステル部分に芳香族基を有するメタクリレート若しくはエステル部分に芳香族基を有するアクリレート、又はこれら双方を含むものである。
上記芳香族(メタ)アクリレート単位を構成する芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルメタクリレートが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくは、フェニルメタクリレートである。かかる芳香族(メタ)アクリレートは成型品の透明性を向上させる作用を有する。
【0024】
表面硬度向上剤(H)は、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜50質量%及びメチルメタクリレート単位50〜95質量%を含有することが好ましく、芳香族(メタ)アクリレート単位10〜45質量%及びメチルメタクリレート単位55〜90質量%を含有することがより好ましい。芳香族(メタ)アクリレート単位を5質量%以上含むと、広い添加領域において透明性及び耐温水白化性の維持が可能となる傾向にあり、50質量%以下含むと、高い表面硬度を発現する傾向にある。よって、上記の割合とすれば、表面硬度向上剤(H)の高添加領域において、透明性維持したまま、高い表面硬度を発現しやすくなる。
【0025】
表面硬度向上剤(H)は、上記ポリマーの機能を阻害しない範囲において、必要に応じてその他の単量体単位を含有することができる。
その他の単量体単位を構成するその他の単量体は、特に制限されるものではないが、例えば、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のモノカルボン酸及びジカルボン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド単量体、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート等の架橋剤が挙げられる。これらの単量体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、表面硬度向上剤(H)は、上記ポリマーの機能を阻害しない範囲において、必要に応じてメルカプタン類といった連鎖移動剤を含有することができる。
【0026】
その他の単量体単位を含有する場合、表面硬度向上剤(H)の単量体単位の合計を100質量%としたとき、5質量%以下とすることが好ましい。その他の単量体単位が5質量%以下であれば、成形品の表面硬度を大きく損なわない。
【0027】
本発明の表面硬度向上剤(H)は、質量平均分子量が10,000以上30,000以下であることが好ましい。質量平均分子量が10,000以上30,000以下の範囲において、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相容性が良好であり、透明性と耐温水白化性バランスに優れる。
【0028】
表面硬度向上剤(H)を得るための単量体の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等を使用することができる。好ましくは塊状重合法や懸濁重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。
これらの重合には、公知の乳化剤、分散剤、連鎖移動剤、開始剤を用いることができる。
【0029】
本発明の表面硬度向上剤(H)は、芳香族ポリカーボネート系樹脂に添加することで、成形品の表面硬度特性を向上させることができる。
【0030】
〔芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)40〜95質量%及び表面硬度向上剤(H)5〜60質量%を含有する。
表面硬度向上剤(H)の配合量は、所望の物性等に応じて適宜決定すればよい。表面硬度向上剤(H)の配合量が5質量%以上であると、十分な表面硬度の向上効果が得られる傾向にある。表面硬度向上剤(H)の配合量が60質量%以下であると、ハードコート品とした際に耐衝撃性を保ちやすい傾向にある。
【0031】
〔添加剤〕
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の優れた特性(透明性、耐熱性、耐衝撃性等)を損なわない範囲で、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤等の各種安定剤;無機充填剤、難燃剤、ノンドリップ剤、帯電防止剤、離型剤、光拡散材、ブルーイング剤、染料、赤外線吸収剤、耐衝撃性改質剤等の公知の各種添加剤を配合してもよい。
【0032】
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)及び表面硬度向上剤(H)、必要に応じて他の樹脂及び/又はエラストマー、各種添加剤を、タンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合することによって調製することができる。
【0033】
各種添加剤のブレンドは、一段階で実施してもよく、二段階以上に分けて実施してもよい。二段階に分けて実施する方法としては、例えば、あらかじめ各種添加剤をブレンドした後、これと、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)及び表面硬度向上剤(H)とをブレンドする方法;芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の一部と各種添加剤及び表面硬度向上剤(H)とをブレンド、つまり各種添加剤を芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)で希釈して、各種添加剤のマスターバッチとした後、このマスターバッチと芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とをブレンドする方法が挙げられる。
【0034】
本発明における芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、透明性を損なわず表面硬度特性に優れた成形品を提供することが可能である。より具体的には、厚さ2mmの成形品のヘイズが0.1〜2%の範囲にあり、かつ表面硬度特性を有する成形品を提供することが可能である。
【0035】
〔成形品〕
本発明における成形品は、上述の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物をそのまま、又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、注型成形法等の公知の溶融成形法で溶融成形することにより得られる。
【0036】
溶融成形法としては、射出成形法が好ましい。射出成形法としては、通常の射出成形法だけでなく、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、断熱金型成形法、急速加熱冷却金型成形法、超高速射出成形法等が挙げられる。これらのうち、射出プレス成形は、成形温度の低減が可能な成形法であり、外観及び色相の良好な成形品を得ることができることから、好適である。
【0037】
また、あらかじめ押出成形法等により作製した、上述の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなるポリカーボネートシート又はフィルムに、ハードコート層を設け、該ハードコート層を有するポリカーボネートシート又はフィルムを金型内に装着した後、金型内に芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を射出し、ハードコート層を有するポリカーボネートシート又はフィルムと、成形品とを一体化する方法を用いてもよい。
【0038】
本発明における成形品は、透明な成形品である。
透明な成形品とは、板厚み2mmで、ヘーズメーターによるヘイズ値が2以下であるものを示す。
【0039】
〔ハードコート品〕
本発明のハードコート品は、上述の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる透明な成形品表面にハードコート層が設けられたものである。
【0040】
ハードコート層は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる成形品の表面、又は該成形品の表皮材となるポリカーボネートシート又はフィルムの表面に、ハードコート剤を塗布し、硬化させて形成される。
ハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤、他の有機樹脂系ハードコート剤等が挙げられる。
【0041】
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものである。シリコーン樹脂系ハードコート剤としては、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物等)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、3官能シロキサン単位に相当する化合物と4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物等)とを含む化合物の部分加水分解縮合物、これら部分加水分解縮合物にコロイダルシリカ等の金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物が挙げられる。これら部分加水分解縮合物は、さらに2官能性のシロキサン単位及び1官能性のシロキサン単位を含んでよい。また、これら部分加水分解縮合物には、縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)等が含まれる。
【0042】
また、これら部分加水分解縮合物は、必要に応じて任意の有機溶剤、水、これらの混合物に溶解又は分散させてもよい。有機溶剤としては、成形品と反応したり、成形品を溶解しないものが好ましく、例えば、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコール、エーテル類、エステル類が挙げられる。また、シリコーン樹脂系ハードコート剤には、ハードコート層の表面を平滑にするために、各種界面活性剤、例えば、シロキサン系界面活性剤、フッ化アルキル系界面活性剤を添加してもよい。長期間の耐候性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いハードコート層が必要な場合は、シリコーン樹脂系ハードコート剤が好ましい。
【0043】
他の有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が挙げられる。これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、コロイダルシリカと(メタ)アクリロイルアルコキシシランとを縮合して得られる有機無機ハイブリッド(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート又は多官能(メタ)アクリレート;有機無機ハイブリッドビニル化合物等のモノマー又はオリゴマーが好ましい。
【0044】
これら他の有機樹脂系ハードコート剤は、得られるハードコート層の要求性能に応じて、適宜選択すればよい。また、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。得られるハードコート層の要求性能を調整することが容易であることから、2種以上を併用することが好ましい。
他の有機樹脂系ハードコート剤のうち、耐熱性、耐薬品性、耐候性、及び成形品との密着性に優れたハードコート層が得られることから、1種類又は2種類の単官能アクリレート及び/又は多官能アクリレートと、1分子内に少なくとも2個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するウレタンポリ(メタ)アクリレートとを含む組成物が好適である。
【0045】
ハードコート層は、各種の樹脂からなるプライマー層(第1層)と、該プライマー層上に形成されたシリコーン樹脂系ハードコート剤からなるトップ層(第2層)とを有するものであってもよい。
プライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、例えば、各種ブロックイソシアネート成分及びポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂;ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレート等の各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アクリル樹脂又は多官能アクリル樹脂を50質量%、好ましくは60質量%以上含有するものが好ましく、アクリル樹脂及びウレタンアクリレートからなるものが特に好ましい。
【0046】
ハードコート剤には、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料、帯電防止剤等の各種添加剤又は添加助剤を添加してもよい。
粘度調整剤としては、ハードコート剤の特性を損なわず、かつ成形品と反応したり、成形品を溶解しないものであればよく、例えば、ハードコート剤に用いられる各種樹脂の低粘度のもの、各種有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール、酢酸n−ブチル、酢酸ジエチレングリコール等のエステル類が挙げられる。これらは適宜組み合わせて用いることが好ましい。
【0047】
ハードコート剤の成形品への塗布は、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の公知の塗布方法のから、成形品の形状に応じた塗布方法を適宜選択して行うことができる。これらのうち、複雑な形状に対応しやすく、かつ膜厚制御の容易さの点で、ディップコート法、フローコート法、及びスプレーコート法が好ましい。
ハードコート剤の硬化は、有機溶剤を使用している場合には有機溶媒を揮発させ、その後、これに紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射及び/又は加熱することにより行うことができる。
【0048】
本発明のハードコート品は、透明性、耐熱性、耐衝撃性、外観に優れることから、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、遊戯具、雑貨等の各種用途に有用である。また、大型化、軽量薄肉化、形状複雑化、高性能化が可能であることから、車輌用グレージング材、建設機械の窓ガラス、ビル、家屋、温室等の窓ガラス、ガレージ、アーケード等の屋根、照灯用レンズ、信号機レンズ、光学機器のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、消音壁、バイクの風防、銘板、太陽電池カバー、太陽電池基材、ディスプレー装置用カバー、タッチパネル、パチンコ機等の遊技機用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉搬送ガイド等)等の幅広い用途に有用である。特に、CD、CD−R、DVD、MD等の各種光学情報記録媒体;ヘッドランプ、インナーレンズ、リアランプ等の各種自動車用ランプカバー;フロントドアウインドウ(ウインドシールド)、リアドアウインドウ、クォーターウインドウ、バックウインドウ、バックドアウインドウ、サンルーフ、ルーフパネル、各種窓材等の建築・車両用グレージング材に好適である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下の記載において、「部」及び「%」は特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
なお、質量平均分子量については以下の条件に基づき、測定を行った。
【0050】
装置 :東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:東ソー(株)製 TSKgel SuperHZM−M
(内径4.6mm×長さ15cm) 4本 排除限界:4×10
溶離液:THF
流速 :0.35ml/min
温度 :40℃
サンフ゜ル濃度:0.1%
サンフ゜ル注入量:10μl
検出器:RI(UV)
【0051】
[製造例1]表面硬度向上剤(H−1)の製造
下記成分を攪拌機及び還流冷却管を備えた反応容器に仕込み、窒素脱気し、80℃に昇温した。
脱イオン水 200部
分散安定剤 0.3部
硫酸ナトリウム 0.5部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.3部
n−オクチルメルカプタン 2.0部
メチルメタクリレート 78.5部
フェニルメタクリレート 20部
メチルアクリレート 1.5部
【0052】
4時間攪拌を続け、得られたビーズ状の重合体を水洗、乾燥し、表面硬度向上剤(H−1)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−1)は、質量平均分子量(Mw)14,000、数平均分子量(Mn)7,000、分子量分布(Mw/Mn)2.0であった。
【0053】
[製造例2]表面硬度向上剤(H−2)の製造
n−オクチルメルカプタンの使用量を2.0部から5.0部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−2)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−2)は、質量平均分子量(Mw)6,000、数平均分子量(Mn)3,000、分子量分布(Mw/Mn)2.0であった。
【0054】
[製造例3]表面硬度向上剤(H−3)の製造
n−オクチルメルカプタンの使用量を2.0部から1.0部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−3)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−3)は、質量平均分子量(Mw)24,000、数平均分子量(Mn)11,000、分子量分布(Mw/Mn)2.2であった。
【0055】
[製造例4]表面硬度向上剤(H−4)の製造
n−オクチルメルカプタンの使用量を2.0部から0.5部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−4)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−4)は、質量平均分子量(Mw)49,000、数平均分子量(Mn)23,000、分子量分布(Mw/Mn)2.1であった。
【0056】
[製造例5]表面硬度向上剤(H−5)の製造
メチルメタクレートの量を88.5部、フェニルメタクリレートの量を10部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−5)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−5)は、質量平均分子量(Mw)14,000、数平均分子量(Mn)7,000、分子量分布(Mw/Mn)2.0であった。
【0057】
[製造例6]表面硬度向上剤(H−6)の製造
メチルメタクレートの量を98.5部、フェニルメタクリレートの量を0部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−6)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−6)は、質量平均分子量(Mw)14,000、数平均分子量(Mn)7,000、分子量分布(Mw/Mn)2.0であった。
【0058】
[実施例1〜6、比較例1〜6]芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物
製造例1〜6により得られた表面硬度向上剤(H)と、市販の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)(商品名「ユーピロンS−2000F」三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、粘度平均分子量 2.2万)とを、表1に示す質量比で混合し、二軸押出機(機種名「PCM−30」(株)池貝製)に供給し、240℃で溶融混練し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。表中、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)、表面硬度向上剤(H)の欄の数値は、質量%を示す。
【0059】
(成形試験片の作製)
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用い、成形温度280℃、金型温度90℃の条件で100t射出成形機(機種名「SE100DU」、住友重機械工業(株)製)を用い、厚さ2mm、100mm角の平板成形品(成形試験片)を得た。
【0060】
(ハードコート剤の調製)
ステンレス容器に以下の材料を計量した。DPHA(商品名「カヤラッドDPHA」、日本化薬(株)製)25部、トリメチロールプロパントリアクリレート5部(商品名「NKエステルA−TMPT」、新中村化学工業(株)製)、ウレタンアクリレート10部(商品名「ダイヤビームUK−6053」、三菱レイヨン(株)製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5部(商品名「イルガキュア184」、チバジャパン(株)製)、トルエン8.5部、酢酸ブチル20部及びイソブタノール30部。その後、均一になるまで攪拌しハードコート剤を調製した。
次いで、上述で得られた成形試験片に、前述したハードコート剤を硬化後の膜厚が約15μmとなるようにスプレー塗装した。この後、塗装された樹脂成形品の成形試験片を、60℃の温風乾燥器中に5分間保持して有機溶剤を揮発させた。次いで、得られた成形試験片を、高圧水銀灯により、波長340〜380nm、積算光量1,000mJ/cmの活性エネルギー線を照射した。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物及びハードコート品について、後述の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1中の略号は以下の通りである。
PhMA:フェニルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
【0063】
[流動性]
JIS K7210に準拠し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を賦型して得られたペレットのメルトフローレート(MFR)を測定することにより、流動性を評価した。MFRの測定条件は下記の通りである。
測定温度250℃、荷重5.0kgf
【0064】
[透明性]
ヘーズメーターHR−100(村上色彩技術研究所(株)製)を用い、上記成形試験片/ハードコート品について、JIS−K7105に準じてヘイズを測定した。
【0065】
[エッジ部の白化]
上記成形試験片/ハードコート品のエッジ部での白化を目視にて確認した。
○:白スジが見られない。
△:側面から見て白スジが見られる
×:正面から見て明らかに白スジが見られる
【0066】
[耐温水白化性]
上記成形試験片のプレッシャークッカーテスト前後におけるΔヘイズを、ヘーズメーターHR−100(村上色彩技術研究所(株)製)を用いて測定した。プレッシャークッカーテスト条件は以下の通りである。
温度:105℃ 湿度:100RH% 試験時間:60分
【0067】
[鉛筆硬度]
上記ハードコート品を、JIS K5400に準じて測定を行った。
【0068】
[ロックウェル硬度]
上記ハードコート品を3枚重ねて、JIS K7202−2に準じてMスケールで測定を行った。
【0069】
いずれの実施例においても、比較例1,2,5,6と比べて表面硬度特性が向上していた。
比較例1は表面硬度向上剤(H)を含有していないため、表面硬度が劣っていた。比較例2は表面硬度向上剤(H)の含有率が多すぎるため、ロックウェル硬度測定で割れが生じてしまった。ハードコートを行っていない例(比較例5,6)では、表面硬度がさらに劣っていた。
比較例3,4は透明性を損なっていた。
表面硬度向上剤(H)の分子量が好ましい範囲にある実施例1〜5は、さらに耐温水白化性にも優れていた。
【0070】
比較例1と比較例5の比較からわかるように、成形品にハードコートを行うと、鉛筆硬度は2BからHBに向上する。また、比較例5と比較例6の比較からわかるように、成形品に表面硬度向上剤(H)を含有させると、鉛筆硬度は2BからFに向上する。
これに対し本発明のハードコート品は、実施例2と比較例5の比較からわかるように、表面硬度向上剤(H)を含有する成形品にハードコートを行うことにより、鉛筆硬度が2Bから3Hに向上していた。本発明は、ハードコートによる効果と表面硬度向上剤(H)による効果の単なる足し合わせよりも、鉛筆硬度が1ランク高くなるという顕著な相乗効果を有している。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のハードコート品は、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の優れた特性(透明性等)を損なうことなく、大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、高性能化が可能であり、かつ表面硬度特性に優れることから、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、遊戯具、雑貨等の各種用途に有用である。殊に、大型化、軽量薄肉化、形状複雑化、高性能化に対応できることから、光学情報記録媒体、自動車用ランプカバー、建築・車両用グレージング材に好適であり、その奏する産業上の効果は格別である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)40〜95質量%及びアルキルメタクリレート単位を主成分とする表面硬度向上剤(H)5〜60質量%を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる透明な成形品表面にハードコート層が設けられたハードコート品。
【請求項2】
前記表面硬度向上剤(H)が、質量平均分子量が10,000以上30,000以下であり、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜50質量%及びメチルメタクリレート単位50〜95質量%を含有する、請求項1記載のハードコート品。

【公開番号】特開2011−52236(P2011−52236A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−281290(P2010−281290)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】