説明

バイオポリオールを含むポリエステル樹脂

【課題】生物由来の試薬を用い、二酸化炭素排出量を削減可能であり、分岐度及び架橋度を高めることができるポリエステル樹脂、及びそれを用いた画像デバイスの為のトナーを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂を形成する混合物と、糖または糖アルコールを含むバイオポリオールと、場合により、着色剤、ワックス、界面活性剤、キレート化剤、開始剤、触媒または凝固剤のうち、1つ以上とを含む、トナー組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エネルギーおよび環境に関する政策に注目が集まるなか、揮発性油の価格が上昇し、世界的な化石燃料の埋蔵量がまもなく枯渇してしまうという公の/政治的な警告が増すことによって、生体材料から誘導されるトナー粒子のための継続利用可能な試薬を見つけることへの関心および/または必要性が生じている。製造業者は、二酸化炭素排出量を減らすことができる。生物由来の試薬は、エネルギーおよび排出量を削減する。生物由来の原料を用いると、国内の農業の新しい収入源を得るのに役立ち、輸入される石油に依存することに関連する経済的なリスクや不確実性を減らすことができる。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、画像形成デバイスのためのトナーで使用するための、バイオポリオールを含むポリエステル樹脂を提供する。バイオポリオールは、成長しつつあるポリマーおよび作成されたポリマーの分岐度または架橋度を高めることができるか、または両者を高めることができる。重合反応にバイオポリオールが含まれていてもよく、重合が終了した後に加えてもよく、これら両方のタイミングで加えてもよい。
【0003】
バイオポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも4個のヒドロキシル基、またはそれ以上のヒドロキシル基を含む。バイオポリオールは、植物、微生物または動物から得られてもよく、または、これらを基礎として製造されてもよい。バイオポリオールは、糖、オリゴ糖、グルコースポリマー、またはこれらのフラクション、糖アルコールなどであってもよい。
【0004】
画像形成デバイスで用いるための現像剤に混合され得る乳化凝集トナーを製造するために、ポリエステル樹脂を用いる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示のトナー組成物は、着色剤を含んでいてもよい。トナーは、着色剤を含んでいなくてもよい。
【0006】
ポリマー中に反応性ペンダント基、反応性部位または側鎖基が存在する場合、分岐および架橋が起こることがある。一般的に、分岐によって、固体から液体へと可逆的に変化可能なポリマーが得られ、一方、架橋によって、一般的に、不溶性ポリマーが得られる。分岐および/または架橋を得るための合成条件は、当該技術分野で既知である(例えば、反応剤の選択、反応剤の濃度、反応条件など)。あるポリマーが分岐しているかどうか、および/または架橋しているかどうかを見きわめるために、例えば、溶解度アッセイ、レオロジーアッセイなどの種々の既知の技術を用いることができる。
【0007】
用語「ポリオール」および「バイオポリオール」は、少なくとも2個のヒドロキシル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも4個のヒドロキシル基、またはそれ以上のヒドロキシル基を含む化合物を指す。バイオポリオールは、植物細胞、微生物または動物細胞から得られてもよく、または、これらを基礎として合成によって製造されてもよい。バイオポリオールは、生分解性であり、一般的に、例えば、微生物作用または消化プロセスによって簡単に代謝または分解される。バイオポリオールは、通常は過度に毒性ではなく、おそらく、高濃度で存在する場合、または生理学的濃度を超えた濃度で存在する場合を除き、環境に対して過度に悪い影響を与えない。
【0008】
目的のトナー粒子は、バイオポリオールを用いて製造されたポリエステル樹脂を含む。したがって、樹脂を形成するモノマーおよびバイオポリオールを、適切な他の反応剤と反応させ、ポリマー(いくつかの実施形態では、架橋した構造)を作成する。
【0009】
樹脂は、ポリエステルポリマーを含んでいてもよい。組成物は、2種類以上の形態または種類のポリマー、例えば、2種類以上の異なるポリマー(例えば、異なるモノマーで構成される2種類以上の異なるポリエステルポリマー)を含んでいてもよい。ポリマーは、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、分岐コポリマー、架橋したコポリマーなどであってもよい。
【0010】
トナー粒子中で望ましい特定のポリエステルポリマーに依存して、任意の多官能モノマーを用いてもよい。したがって、二官能試薬、三官能試薬などを用いてもよい。少なくとも3個の官能基を含む1つ以上の試薬がポリマーに組み込まれるか、または分岐に組み込まれ、分岐、さらなる分岐、および/または架橋が可能になる。低融点を必要とする用途で、例えば、ポリエステル樹脂を用いてもよい。生成した粒子を、他の試薬(例えば、着色剤)と混合し、現像剤を作成してもよい。
【0011】
ポリマーは、固形分基準で、トナー粒子の約65〜約95重量%、約75〜約85重量%の量であってもよい。
【0012】
適切なポリエステル樹脂としては、例えば、スルホン酸化されたもの、スルホン酸化されていないもの、結晶性、アモルファス、これらの組み合わせなどが挙げられる。ポリエステル樹脂は、直鎖、分岐、架橋、これらの組み合わせなどであってもよい。
【0013】
混合物(例えば、アモルファスポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂)が用いられる場合、結晶性ポリエステル樹脂とアモルファスポリエステル樹脂との比率は、約1:99〜約30:70、約5:95〜約25:75、約5:95〜約15:95の範囲であってもよい。
【0014】
ポリエステル樹脂を、合成によって、例えば、カルボン酸基を含む試薬と、アルコールを含む別の試薬とが関与するエステル化反応によって得てもよい。アルコール試薬は、2個以上のヒドロキシル基、3個以上のヒドロキシル基を含む。酸は、2個以上のカルボン酸基、3個以上のカルボン酸基を含む。3個以上の官能基を含む試薬によって、ポリマーの分岐および架橋が可能になり、促進されるかまたは可能になり、促進される。ポリマーの骨格またはポリマーの分岐は、少なくとも1個のペンダント基または側鎖基を有する少なくとも1個のモノマー単位を含み、つまり、モノマー単位が得られるモノマー反応剤が、少なくとも3個の官能基を含んでいる。
【0015】
有機多塩基酸またはポリエステル試薬は、樹脂の約40〜約60mol%、約42〜約52mol%、約45〜約50mol%の量であってもよく、場合により、第2の多塩基酸は、樹脂の約0.1〜約10mol%の量で使用されてもよい。
【0016】
アモルファスポリエステル樹脂を作成するときに使用可能なポリオールの例としては、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。有機ポリオールの量は、樹脂の約40〜約60mol%、約42〜約55mol%、約45〜約53mol%の範囲を変動してもよく、第2のポリオール(バイオポリオールであってもよい)を、樹脂の0.1〜約10mol%、約1〜約4mol%の量で使用してもよい。
【0017】
アモルファス(または結晶性)ポリエステル樹脂を作成するときに、重縮合触媒を使用してもよい。このような触媒を、出発物質である多塩基酸またはポリエステル試薬を基準として約0.01mol%〜約5mol%の量で使用してもよい。
【0018】
樹脂は、架橋可能な樹脂であってもよい。架橋可能な樹脂は、架橋可能な1個以上の基(例えば、C=C結合)またはペンダント基または側鎖基(例えば、カルボン酸基)を含む樹脂である。樹脂は、例えば、開始剤を用いた遊離ラジカル重合によって、架橋されてもよい。いくつかの実施形態では、樹脂は、目的のバイオポリオールで架橋されてもよい。
【0019】
使用可能なアモルファス樹脂の例としては、アルカリスルホン酸化したポリエステル樹脂、分枝型のアルカリスルホン酸化したポリエステル樹脂、アルカリスルホン酸化したポリイミド樹脂、分枝型のアルカリスルホン酸化したポリイミド樹脂が挙げられる。
【0020】
不飽和アモルファスポリエステル樹脂をラテックス樹脂として用いてもよい。
【0021】
結晶性ポリエステル樹脂を作成するために、適切な有機ポリオールとしては、炭素原子が約2〜約36個の脂肪族ポリオールが挙げられる。脂肪族ポリオールは、樹脂の約40〜約60mol%、約42〜約55mol%、約45〜約53mol%の量であってもよく、第2のポリオール(バイオポリオールであってもよい)は、樹脂の約0.1〜約10mol%、約1〜約4mol%の量であってもよい。
【0022】
結晶性樹脂を調製するための有機多塩基酸またはポリエステル試薬は、樹脂の約40〜約60mol%、約42〜約52mol%、約45〜約50mol%の量であってもよく、場合により、第2の多塩基酸は、樹脂の約0.1〜約10mol%の量から選択されてもよい。
【0023】
適切な結晶性樹脂は、以下の式を有する、エチレングリコールと、ドデカン二酸およびフマル酸コモノマーの混合物とから作られる樹脂を含んでいてもよく、
【0024】
【化1】

式中、bは、約5〜約2000であり、dは、約5〜約2000である
【0025】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約1〜約85%、約2〜約50%、約5〜約15重量%の量で存在してもよい。結晶性樹脂は、約30℃〜約120℃、約50℃〜約90℃、約60℃〜約80℃のさまざまな融点を有していてもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(M)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した場合、約1,000〜約50,000、約2,000〜約25,000であってもよく、重量平均分子量(M)が、約2,000〜約100,000、約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布は、例えば、約2〜約6、約3〜約4であってもよい。
【0026】
バイオポリオールは、使用するポリオールの量を同程度減らし、合成反応で使用するポリオールの一部分の代わりに用いられてもよい。いくつかの実施形態では、架橋または分岐および鎖を得るために、バイオポリオールを、重合反応に加えてもよく、重合反応終了時に加えてもよい。
【0027】
適切なバイオポリオールは、エステル結合を生成するのに適切な官能基と反応可能なものであり、例えば、糖類、炭水化物、オリゴ糖、グルコースポリマー、ポリヒドロキシ酸および糖アルコール、およびこのようなポリマーの一部分から選択されてもよい。例としては、アドニトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクトース、ガラクチトール、ラクトース、フルクトース、グルコン酸、ラクトビオン酸、イソマルトース、イノシトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、1−メチル−グルコピラノシド、1−メチル−ガラクトピラノシド、1−メチル−マンノピラノシド、エリスリトール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ショ糖、グルコース、アミロース、ニストース、ケストース、トレハロース、ラフィノース、ゲンチアノース、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、グリコーゲン、デンプン、セルロース、脱塩キチンまたは未変性キチン、デキストリン、ゼラチン、デキストロース、または他のこのような多糖類、またはこれらのフラクションを用いてもよい。これらの化合物は、一般的に、市販されているか、天然源(例えば、甲殻類の殻)から既知の方法を実施して得られてもよい。バイオポリオールは、ポリマーであってもよく、上に例示したように、直鎖であってもよく、縮合環などを含んでいてもよい。
【0028】
バイオポリオールは、既知の反応スキームで、ポリエステルを形成する反応混合物の約0.01〜約30wt%、約5〜約20wt%、約8〜約15wt%の量で使用されてもよく、この反応で使用される他のポリオールの量を同程度減らす。
【0029】
ポリエステル反応で使用可能な縮合触媒としては、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズオキシド、テトラアルキルスズ、ジアルキルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。
【0030】
このような触媒は、反応混合物中の出発物質である多塩基酸、ポリオールまたはポリエステル試薬の量を基準として、約0.01mol%〜約5mol%の量で使用されてもよい。
【0031】
一般的に、当該技術分野で知られているように、多塩基酸/ポリエステルおよびポリオール試薬(目的のバイオポリオールを含む)を、場合により触媒とともに混合し、高温(例えば、約180℃以上、約190℃以上、約200℃以上など)でインキュベートし(嫌気的に実施してもよい)、平衡状態になるまでエステル化を行い、一般的に、エステル化反応でエステル結合の生成から生じる水またはアルコール(例えば、メタノール)が得られる。この反応は、重合を促進するために、減圧下で行われてもよい。この生成物を、既知の方法を行うことによって集め、再び既知の方法をおこなうことによって乾燥させ、粒状物を得てもよい。
【0032】
分岐剤を用いてもよく、多塩基酸を含む。分岐剤は、樹脂の約0.01〜約10mol%、約0.05〜約8mol%、約0.1〜約5mol%の量であってもよい。
【0033】
ポリマーを架橋することが望ましい場合がある。架橋するのに適した樹脂は、反応性基(例えば、C=C結合)をもつ樹脂、またはペンダント基または側鎖基(例えば、カルボン酸基)をもつ樹脂である。樹脂は、例えば、開始剤を用いて遊離ラジカル重合することによって架橋されてもよい。適切な開始剤としては、過酸化物、例えば、有機過酸化物またはアゾ化合物が挙げられる。使用する開始剤の量は、架橋度に比例し、したがって、ポリエステル材料のゲル含有量に比例する。開始剤の量は、ポリエステル樹脂の約0.01〜約10重量%、約0.1〜約5重量%であってもよい。架橋の場合、開始剤の実質的にすべてが消費されることが望ましい。架橋は、高温で行われてもよく、したがって、反応は、きわめて迅速であってもよい(例えば、10分未満、約20秒〜約2分)。
【0034】
架橋は、ポリマーが、カルボン酸基を含むペンダント基を含む場合、目的のバイオポリオールを用いることによって得られてもよい。したがって、生成したポリマーにバイオポリオールを加えてもよく、または、エステル化または重合反応の開始時または最中に加えてもよい。架橋するバイオポリオールは、少なくとも3個の官能基を含む。合成反応の後半部分または重合が終わった後に加える場合、バイオポリオールは、約0.01wt%〜約10wt%、約0.1wt%〜約5wt%の量で導入される。
【0035】
画像形成デバイスで使用するのに適したバイオポリオールを含むポリエステル樹脂は、例えば、T(開始)が、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃;Tが、少なくとも約110℃、少なくとも約115℃、少なくとも約120℃、少なくとも約125℃;酸価(AV)が、少なくとも約10、少なくとも約12.5、少なくとも約15、少なくとも約17.5;Mが、少なくとも約5000、少なくとも約15,000、少なくとも約20,000、少なくとも約150,000、少なくとも約175,000といった、1つ以上の特性を有する樹脂である。
【0036】
着色した顔料(例えば、シアン、ブラック、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、グリーン、ブラウン、ブルーまたはこれらの混合物)を用いてもよい。さらなる1種類以上の顔料を水系顔料分散物として用いてもよい。
【0037】
着色剤(例えば、カーボンブラック、シアン、マゼンタおよび/またはイエローの着色剤)を、トナーに望ましい色を付与するのに十分な量で組み込んでもよい。一般的に、顔料または染料は、固体基準で、トナー粒子の約2重量%〜約35重量%、約5重量%〜約25重量%、約5重量%〜約15重量%の量で使用されてもよい。
【0038】
2種類以上の着色剤がトナー粒子中に存在していてもよい。例えば、2種類の着色剤がトナー粒子中に存在していてもよく、例えば、第1の着色剤は、固体基準で、トナー粒子の約2重量%〜約10重量%、約3重量%〜約8重量%、約5重量%〜約10重量%であってもよく、第2の着色剤は、固体基準で、トナー粒子の約5重量%〜約20重量%、約6重量%〜約15重量%、約10重量%〜約20重量%の量などで存在していてもよい。
【0039】
トナー組成物は、界面活性剤を含む分散物の状態であってもよい。トナーのポリマーおよび他の成分を組み合わせた乳化凝集方法は、1つ以上の界面活性剤を使用し、エマルションを作成してもよい。
【0040】
1種類、2種類またはそれ以上の界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤、またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0041】
界面活性剤または界面活性剤の合計量は、トナー形成組成物の約0.01重量%〜約5重量%、約0.75重量%〜約4重量%、約1重量%〜約3重量%の量で使用されてもよい。
【0042】
本開示のトナーは、場合により、ワックスを含んでいてもよく、ワックスは、1種類のワックスであってもよく、2種類以上の異なる種類のワックスの混合物であってもよい(以下、「ワックス」であるとする)。
【0043】
ワックスは、トナー粒子の約1wt%〜約25wt%、約5wt%〜約20wt%の量で存在していてもよい。
【0044】
選択可能なワックスとしては、例えば、重量平均分子量が約500〜約20,000、約1,000〜約10,000のワックスが挙げられる。
【0045】
凝集因子は、無機カチオン性凝固剤であってもよく、例えば、塩化ポリアルミニウム(PAC)、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウムの塩化物、一価および二価のハロゲン化物を含む他の金属ハロゲン化物であってもよい。
【0046】
凝集因子は、トナー中の合計固形分を基準として、約0〜約10wt%、約0.05〜約5wt%の量で存在する。
【0047】
凝集因子は、他の成分(例えば、硝酸)も少量含んでいてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、凝集プロセスから金属錯化イオン(例えば、アルミニウム)を封鎖または抽出するために、金属イオン封鎖剤またはキレート化剤が、凝集が終了した後に導入されてもよい。したがって、凝集が終了した後に使用される金属イオン封鎖剤、キレート化剤または錯化剤は、有機錯化成分、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ヒドロキシル−2,2’イミノジコハク酸(HIDS)、ジカルボキシルメチルグルタミン酸(GLDA)、メチルグリシジル二酢酸(MGDA)、ヒドロキシジエチルイミノ二酢酸(HIDA)、グルコン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、フミン酸、フルボ酸など、これらの混合物を含んでいてもよい。
【0049】
トナー粒子を、二酸化ケイ素またはシリカ(SiO)、チタニアまたは二酸化チタン(TiO)および/または酸化セリウムのうち1つ以上と混合してもよい。シリカは、第1のシリカおよび第2のシリカであってもよい。また、ステアリン酸亜鉛を、外部添加剤として用いてもよい。ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムは、同様の機能を与えるだろう。
【0050】
キャリア粒子としては、トナー粒子の電荷と反対の極性を有する電荷を摩擦帯電によって得ることが可能な粒子が挙げられる。適切なキャリア粒子の具体的な例としては、顆粒状ジルコン、顆粒状ケイ素、ガラス、鋼鉄、ニッケル、フェライト、フェライト鉄、二酸化ケイ素、ニッケルベリーキャリアが挙げられる。キャリア粒子は、平均粒径が約20〜約85μm、約30〜約60μm、約35〜約50μmであってもよい。
【0051】
当業者の常識の範囲内にある任意の方法によって、トナー粒子を調製してもよく、例えば、任意の乳化/凝集法を、目的のバイオポリオールを含むポリエステル樹脂とともに用いてもよい。しかし、目的のバイオポリオールを含むポリエステル樹脂を用いる場合、懸濁およびカプセル化のプロセス、従来の顆粒化法(例えば、ジェットミルによる粉砕);材料スラブのペレット化;他の機械的プロセス;ナノ粒子またはマイクロ粒子を製造する任意のプロセスなどのような化学プロセスを含む、トナー粒子を調製する任意の適切な方法を用いてもよい。
【0052】
乳化/凝集プロセスに関連する実施形態では、樹脂を溶媒に溶解してもよく、乳化媒体(例えば、脱イオン水のような水、場合により、安定化剤を含み、場合により、界面活性剤を含む)内で混合してもよい。適切な安定化剤の例としては、水溶性アルカリ金属水酸化物が挙げられる。安定化剤は、樹脂の約0.1重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約3重量%の量で存在していてもよい。このような塩を安定化剤として組成物に加える場合、組成物に相溶性ではない金属塩は存在せず、例えば、組成物は、亜鉛および水不溶性の塩を形成する他の相溶性ではない金属イオン(例えば、Ca、Fe、Baなど)をまったく含まないか、本質的に含まなくてもよい。用語「本質的に含まない」は、例えば、相溶性ではない金属イオンが、ワックスおよび樹脂の約0.01重量%未満、約0.005重量%未満、または約0.001重量%未満の量で存在することを指す。安定化剤を、周囲温度で混合物に加えてもよく、添加する前に所定の混合物温度まで加熱してもよい。
【0053】
場合により、例えば、樹脂をさらに安定化するため、または樹脂の乳化を促進するために、界面活性剤を水系乳化媒体に加えてもよい。適切な界面活性剤としては、本明細書に教示しているような、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。
【0054】
得られる混合物のpHを、例えば、酢酸、硝酸などを用いて調節してもよい。混合物のpHを約2〜約4.5まで調節してもよい。
【0055】
さらに、混合物を均質化してもよい。混合物を均質化する場合、約600〜約4,000rpmで混合してもよい。任意の適切な手段によって均質化してもよい。
【0056】
上の化合物を調製した後、多くは、初期の重合反応からの小さな粒子(多くは、ナノメートル程度の大きさ)から、大きな粒子または凝集物(多くは、マイクロメートル程度の大きさ)を生成することが望ましい。この混合物に凝集因子を加えてもよい。適切な凝集因子としては、例えば、二価カチオン、多価カチオンまたはこれらを含む化合物の水溶液が挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、樹脂またはポリマーのガラス転移温度(T)より低い温度で、混合物に凝集因子を加えてもよい。
【0058】
凝集因子を、反応混合物の約0.1パーツパーハンドレッド(pph)〜約1pph、約0.25pph〜約0.75pph使用する。
【0059】
コントロールのために、上の混合物に、時間をかけて凝集因子を秤量して加えてもよい。したがって、凝集因子を、約5〜約240分間、約30〜約200分間かけて、混合物に段階的に加えてもよい。
【0060】
また、撹拌条件下(約50rpm〜約1,000rpm、約100rpm〜約500rpm)、樹脂またはポリマーのTよりも低い温度(約30℃〜約90℃、約35℃〜約70℃)で、凝集因子を追加してもよい。
【0061】
所定の望ましい粒径が得られるまで、粒子を凝集させてもよい。成長プロセス中に粒径を監視してもよい。例えば、成長プロセス中にサンプルを採取し、例えば、Coulter Counterを用い、平均粒径を分析してもよい。したがって、所望の凝集した粒子を得るために、撹拌を維持しつつ、例えば、混合物を高温に維持することによって、または、例えば、約40℃〜約100℃の温度までゆっくりと上げ、混合物をこの温度に約0.5時間〜約6時間、または約1〜約5時間維持することによって、凝集を進めてもよい。所定の望ましい粒径に到達したら、成長プロセスを止める。
【0062】
トナー粒子の特徴を、任意の適切な技術および装置によって決定してもよい。体積平均粒径および幾何標準偏差を、Beckman Coulter Multisizer 3のような測定装置を用い、製造業者の指示に従って操作して測定してもよい。
【0063】
凝集粒子は、約3μm未満、約2μm〜約3μm、約2.5μm〜約2.9μmであってもよい。
【0064】
凝集した後で融着する前に、樹脂コーティングを凝集粒子に塗布し、粒子の上にシェルを作成してもよい。本明細書に記載の任意の樹脂または当該技術分野で既知の任意の樹脂をシェルとして利用してもよい。本明細書に記載のアモルファスポリエステル樹脂ラテックス(場合により、バイオポリオールを含む)が、シェルに含まれていてもよい。本明細書に記載のポリエステルアモルファス樹脂ラテックスを、異なる樹脂と組み合わせ、次いで、樹脂コーティングとして粒子に加え、シェルを形成させてもよい。
【0065】
シェルの樹脂を、当業者の常識の範囲内にある任意の方法によって、凝集した粒子に塗布してもよい。
【0066】
凝集した粒子表面でのシェルの形成は、約30℃〜約80℃、または約35℃〜約70℃の温度に加熱しつつ行ってもよい。シェルの形成は、約5分〜約10時間、または約10分〜約5時間行ってもよい。
【0067】
シェルは、トナー成分の約1重量%〜約80重量%、約10重量%〜約40重量%、約20重量%〜約35重量%の量で存在していてもよい。
【0068】
凝集させ、場合により任意のシェルを塗布した後、粒子が所望の最終形状(例えば、球形)になるまで融着させてもよく、例えば、形状および粒径の不規則性を修正するために、融着は、例えば、混合物を約45℃〜約100℃、または約55℃〜約99℃の温度(この温度は、トナー粒子を形成させるのに利用される樹脂のT以上の温度であってもよい)まで加熱し、および/または、例えば、約1,000rpmから約100rpmまで、または約800rpmから約200rpmまで撹拌を遅くすることによって行われてもよい。融着は、約0.01〜約9時間、または約0.1〜約4時間で達成されてもよい。
【0069】
凝集および/または融着の後、混合物をRTまで冷却してもよい。冷却は、所望な場合、迅速であってもゆっくりであってもよい。冷却した後、トナー粒子を、場合により水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。
【0070】
乳化/凝集プロセスの後半の段階、例えば、第2の加熱工程の間に、一般的に、樹脂またはポリマーのTより高い温度で融着剤を蒸発させてもよい。
【0071】
融着工程または融合工程の前に、融着剤を任意の望ましい量または適切な量で加えてもよい。例えば、融着剤を、反応媒体の固体含有量を基準として、約0.01〜約10重量%、約0.05重量%、約0.1重量%から約0.5重量%、約3.0重量%までの量で加えてもよい。
【0072】
融着を約0.1〜約9時間、約0.5〜約4時間進めてもよい。
【0073】
融着させた後、混合物をRTまで冷却してもよい。冷却は、所望な場合、迅速であってもゆっくりであってもよい。冷却した後、トナー粒子を、場合により水で洗浄し、乾燥させてもよい。
【0074】
生成したトナー粒子、凝集物または融着した粒子に、任意成分のシェルを塗布してもよい。コアとして適していると上に述べたものを含み、場合により、バイオポリオールを含む任意のポリマーをシェルに用いてもよい。シェルポリマーを、当業者の常識の範囲内にある任意の方法によって、粒子または凝集物に塗布してもよい。
【0075】
アモルファスポリエステル樹脂を用い、粒子または凝集物の周囲にシェルを作成してもよい。低分子量アモルファスポリエステル樹脂を用い、粒子または凝集物の周囲にシェルを作成してもよい。
【0076】
シェルポリマーは、トナー粒子または凝集物の約10重量%〜約32重量%、約24重量%〜約30重量%の量であってもよい。
【0077】
トナー粒子が望ましい粒径に達したら、混合物のpHを、塩基を用いて約6〜約10、約6.2〜約7の値になるように調節してもよい。pHの調節を利用し、トナー粒子の成長を凍結させ(止め)てもよい。トナー粒子の成長を止めるために用いられる塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、これらの組み合わせなど)であってもよい。pHを望ましい値に調節しやすくするためにEDTAを加えてもよい。
【0078】
塩基を、混合物の約2〜約25重量%、約4〜約10重量%の量で加えてもよい。所望の粒径になるまで凝集させた後、上述の任意成分のシェルを作成し、次いで、粒子を所望な最終形状になるまで融着させてもよく、融着は、例えば、混合物を約55℃〜約100℃、約65℃〜約75℃の温度まで加熱することによって行われ、加熱温度は、可塑化を防ぐために、樹脂またはポリマーの融点よりも低い温度であってもよい。これより高い温度または低い温度を用いてもよく、この温度は、コアおよび/またはシェルに用いられるポリマーの関数であることを理解されたい。
【0079】
トナーは、トナーの約0.1〜約10重量%、約0.5〜約7重量%の量で任意の既知の帯電添加剤を含んでいてもよい。このような帯電添加剤の例としては、ハロゲン化アルキルピリジニウム、硫酸水素塩、負の帯電促進添加剤(例えば、アルミニウム錯体)などが挙げられる。
【0080】
トナー粒子に正電荷または負電荷のいずれかを付与するために、例えば、四級アンモニウム化合物、有機サルフェート化合物およびスルホネート化合物、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、アルミニウム塩などのような帯電促進分子を用いてもよい。
【0081】
このような促進分子は、約0.1〜約10重量%、約1〜約3重量%の量で存在していてもよい。
【0082】
例えば、洗浄または乾燥の後に、本開示のトナー組成物に表面添加剤を加えてもよい。このような表面添加剤の例としては、例えば、金属塩、脂肪酸金属塩、コロイド状シリカ、金属酸化物(例えば、TiO、酸化アルミニウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、SiO)、これらの混合物などのうち、1つ以上が挙げられる。
【0083】
表面添加剤を、トナーの約0.1〜約10wt%、約0.5〜約7wt%の量で用いてもよい。
【0084】
他の表面添加剤としては、潤滑剤、コーティングされたシリカなどが挙げられ、トナーの約0.05〜約5重量%、約0.1〜約2重量%の量で存在していてもよく、添加剤を、凝集中に加えてもよく、生成したトナー生成物にブレンドしてもよい。
【0085】
光沢は、粒子に保持されている金属イオン(例えば、Al3+)の量によって影響を受けることがある。保持されている金属イオンの量を、キレート剤(例えば、EDTA)を加えることによって調節してもよい。トナー粒子に保持されている触媒(例えば、Al3+)の量は、約0.1〜約1pph、約0.25〜約0.8pphであってもよい。本開示のトナーの光沢度は、Gardner Gloss Units(ggu)によって測定した場合、約20〜約100ggu、約50〜約95ggu、約60〜約90gguであってもよい。
【0086】
したがって、粒子は、1種類以上のシリカ、1種類以上の金属酸化物(例えば、酸化チタンおよび酸化セリウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛)などを表面に含んでいてもよい。ある種の実施形態では、粒子表面は、2種類のシリカ、2種類の金属酸化物(例えば、酸化チタンおよび酸化セリウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛)を含んでいてもよい。これらの表面成分は、全体としてトナー粒子の重量の約5重量%含まれていてもよい。また、トナー組成物と外部添加剤粒子(流動補助添加剤を含む)とをブレンドしてもよく、この場合、添加剤は、トナー粒子の表面に存在しているだろう。
【0087】
また、本開示のトナーは、元のトナーの電荷質量比(Q/M)が約−5μC/g〜約−90μC/gであってもよく、表面添加剤をブレンドした後の最終的なトナーの電荷は、約−15μC/g〜約−80μC/gであってもよい。
【0088】
トナーの他の望ましい特徴としては、貯蔵安定性、粒径の一貫性、基材または受け入れる部材に対する融合速度が速いこと、感光体からの画像の十分な剥離性、書類の裏移りがないこと、小さな粒径の粒子を用いることなどが挙げられ、このような特徴は、適切な試薬、適切な添加剤、または適切な試薬および添加剤を含み、および/または特定のプロトコルでトナーを調製することによって得られてもよい。
【0089】
乾燥トナー粒子は、外部表面添加剤を除き、以下の特徴を有していてもよい。(1)体積平均径(「体積平均粒径」とも呼ばれる)が、約2.5〜約20μm、約2.75〜約10μm、約3〜約7.5μmであり、(2)数平均幾何標準偏差(GSDn)および/または体積平均幾何標準偏差(GSDv)が、約1.18〜約1.30、約1.21〜約1.24であり、(3)真円度が、約0.9〜約1.0(例えば、Sysmex FPIA 2100分析機を用いて測定した場合)、約0.95〜約0.985、約0.96〜約0.98である。
【0090】
このようにして作成したトナー粒子を、現像剤組成物に配合してもよい。例えば、トナー粒子をキャリア粒子と混合し、2成分現像剤組成物を得てもよい。現像剤中のトナーの濃度は、現像剤の合計重量の約1重量%〜約25重量%、または約2重量%〜約15重量%であってもよく、現像剤組成物の残りはキャリアである。しかし、望ましい特徴のために、異なる割合のトナーおよびキャリアを用いてもよい。
【0091】
トナー粒子と混合するためのキャリア粒子の例としては、トナー粒子と反対の極性を有する電荷を摩擦電気から得ることが可能な粒子が挙げられる。適切なキャリア粒子の具体例としては、顆粒状ジルコン、顆粒状ケイ素、ガラス、鋼鉄、ニッケル、フェライト、鉄フェライト、二酸化ケイ素、1種類以上のポリマーなどが挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、キャリア粒子は、コアと、その上にコーティングを備えていてもよく、コーティングは、帯電列に近い位置にはないポリマーまたはポリマー混合物(本明細書に教示されているもの、または当該技術分野で既知のもの)から作られてもよい。
【0093】
貯蔵機能よりも長い間保存するデバイスに、トナーと現像剤を、包みまたは容器、例えば、バイアル、瓶、可とう性容器(例えば、袋またはパッケージ)などの多くのデバイスを用いて合わせてもよい。
【0094】
目的のトナー組成物および現像剤を、例えば、ある目的(例えば、画像を作成する)ためにこれらを運搬するために、専用のデバイスに組み込んでもよい。このようなデバイスとしては、カートリッジ、タンク、貯蔵容器などが挙げられ、交換可能、使い捨て、または再利用可能であってもよい。このようなデバイスは、貯蔵部分と、分散または運搬部分など(トナーまたは現像剤をデバイスに加えるか、またはデバイスから取り除くことが可能な種々の口または開口部とともに)と、デバイス中のトナーまたは現像剤の量を監視するための任意要素の部分と、デバイス(例えば、画像形成デバイス)を放置または留置することが可能なように形作られた部分または成型された部分などとを含んでいてもよい。
【0095】
トナーまたは現像剤を、静電写真プロセスまたは電子写真プロセスで用いてもよい。例えば、磁気ブラシ現像、一成分系現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD)などを含む任意の既知の種類の画像現像システムを画像現像デバイスで用いてもよい。これらの現像システムおよび同様の現像システムは、当業者の常識の範囲内にある。
【0096】
部およびパーセントは、他の意味であるとしめされていない限り、重量基準である。本明細書で使用する場合、「室温」(RT)は、約20℃〜約30℃の温度を指す。
【実施例】
【0097】
(比較例1)
1リットルのParr反応器にメカニカルスターラー、底部ドレイン弁、蒸留装置を取り付け、これに2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC、366g、1500mmol、0.36eq)、D−イソソルビド(IS、79g、542mmol、0.13eq)、1,2−プロパンジオール(1,2−PG、117g、1542mmol、0.37eq)、0.687gのFascat 4100(Brenntag Specialties)触媒を入れた。反応器内を窒素で覆い、撹拌しつつ、(固体が溶融したら)反応器の温度をゆっくりと205℃まで上げた。約5時間後、反応器を開放し、コハク酸(SA、54.1g、458mmol、0.11eq)、Pripol 1012(Croda)ダイマー二酸脂肪酸(DA、70.6g、125mmol、0.03eq)をプレポリマー混合物に加えた。この時点で、約70gのメタノールが留出した。反応混合物を、窒素下、205℃に維持し、230rpmで一晩撹拌した。約20.5gの蒸留物を一晩かけて集めた。
【0098】
第2の工程で、90分間、低減圧状態にした。減圧を高減圧状態(<0.1Torr)に変えた。この間に、低分子量ポリマーが生成し、少量の蒸留物を集めた。約6時間、高減圧状態にした。軟化点が116℃に達したら、温度を170℃まで下げ、12.1gのクエン酸(CA)を反応器に加えた。窒素で覆いつつ、ポリマーをクエン酸と6時間反応させた後、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon)皿に取り出した。
【0099】
樹脂の最終的な軟化点は114.3℃であり、酸価は18.1mg KOH/gであった。
【0100】
(実施例1)
D−マンニトール(53.1g、292mmol、0.07eq)を用い、1,2−PGの量を95g(1250mmol、0.30eq)に減らした以外は、Comp Exの材料および方法を実施した。
【0101】
樹脂の最終的な軟化点は125.2℃であり、酸価は14.2mg KOH/gであった。
【0102】
(実施例2)
myo−イノシトール(52.5g、292mmol、0.07eq)を用い、1,2−PGの量を95g(1250mmol、0.30eq)に減らした以外は、Comp Exの材料および方法を実施した。
【0103】
樹脂の最終的な軟化点は119.4℃であった。酸価は、ほぼ14〜15mg KOH/gであると概算される。
【0104】
(実施例3)
D−マンニトールの量を2倍にし(106g、583mmol、0.14eq)、1,2−PGの量を31.7g(417mmol、0.10eq)に減らした以外は、Ex1の材料および方法を実施した。
【0105】
樹脂の最終的な軟化点は136.1℃であり、酸価は20.3mg KOH/gであった。
【0106】
(実施例4)
4種類の樹脂を分析した。上述の4種類の樹脂それぞれの生物由来または生物起源の試薬の含有量は、54.8wt%であった。
【0107】
4種類の樹脂の組成の一部分を以下の表1にまとめている。この4種類の樹脂は、等しい量のNDC、DA、SA、ISを含んでいる。コントロール樹脂、Comp Exは、1,2−PGIを0.37mol/eq含んでいた。実験例の樹脂は、量を段階的に減らした1,2−PGを含んでおり、実施例1および実施例3ではバイオポリオール、マンニトールと交換し、実施例2ではイノシトールと交換した。
【0108】
表2は樹脂のいくつかの性質を示すデータをまとめている。樹脂は、同等の炭素:酸素(C/O)比、開始T、軟化温度(T)、酸価(AV)を有していた。
【0109】
GPCデータから、画像形成成分を製造するときに使用するのに適した性質を有するポリマーを得るために、樹脂形成反応でマンニトールおよびイノシトールをポリオールとして使用してもよいことが示される。直鎖マンニトールは、使用した条件では、量に応答する様式で、頑丈な重合物を生成した。
【0110】
樹脂の粘度を、60℃から170℃の温度掃引により比較した。GPCデータと合わせ、ポリマーの粒径は粘度に影響を与えていた。目的の樹脂は、バイオポリオールを含まないコントロール樹脂(Comp Ex)と同等の粘度を有していた。重合反応で使用するバイオポリオールを変え、バイオポリオールの量を変えることによって、粘度を制御することができる。
【0111】
表3は、目的の3種類の実施例の樹脂(Ex 1−3)、バイオポリオールを含まない比較例の樹脂(Comp Ex)、高分子量樹脂(High MW)、低分子量樹脂(Low MW)、バイオポリマーBio−Rez(Advanced Imaging Resourcesから入手可能)といった、トナーを製造するときに使用する3種類の市販の樹脂の性質をまとめたものである。
【0112】
すべての樹脂は、一般的に、ガラス転移温度および軟化点がほぼ同じである。粘度および溶解度は、一般的に、使用するバイオポリオールおよびバイオポリオールの量を選択することによって制御することができる。
【0113】
したがって、目的のバイオポリオールを用い、トナーを製造するのに適切な性質をもつ樹脂を製造することができる。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成のときに用いるための、少なくとも1種類のポリエステル樹脂を形成する混合物と;
バイオポリオールと;
場合により、着色剤、ワックス、界面活性剤、キレート化剤、開始剤、触媒または凝固剤のうち、1つ以上とを含む、トナー組成物。
【請求項2】
前記バイオポリオールが、架橋剤を含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項3】
前記バイオポリオールが、糖または糖アルコールを含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項4】
前記バイオポリオールが、アドニトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、イソマルト、イノシトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、1−メチル−グルコピラノシド、エリスリトール、ジグリセロール、1−メチルガラクトピラノシド、1−メチル−マンノピラノシド、ポリグリセロール、ショ糖、グルコース、アミラーゼ、ニストース、ケストース、トレハロース、ラフィノース、ゲンチアノース、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項5】
前記ポリエステル樹脂を形成する混合物が、多塩基酸またはポリエステルを含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項6】
前記多塩基酸が、3個以上のカルボン酸基を含むか、または、前記ポリエステルが、3個以上のエステル基を含む、請求項5に記載のトナー組成物。
【請求項7】
前記多塩基酸が、アゼライン酸、コハク酸、シクロヘキサン二酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー二酸、テレフタル酸、グルタミン酸、またはこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載のトナー組成物。
【請求項8】
前記バイオポリオールが、3個以上のヒドロキシル基を含む、請求項5に記載のトナー組成物。
【請求項9】
前記バイオポリオールが直鎖である、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項10】
前記バイオポリオールがマンニトールである、請求項1に記載のトナー組成物。

【公開番号】特開2012−226318(P2012−226318A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63659(P2012−63659)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】