説明

バケットエレベータの機体内壁面清掃装置

【課題】無端ベルトを無端状に繋ぐベルト接続金具を利用して部品点数を削減するとともに、清掃装置の装脱着作業をスパナ等の工具を不要として簡略化することができる。
【解決手段】略コ字状に成型した清掃体11と、該清掃体11を支持する取付板部12と、尾錠金具15を固着したベース部13と、前記取付板部12から水平方向に伸びる一対の嵌挿用支杆部14a,14bとを一体的に連結して清掃装置6に形成する一方、ベルト4を無端状に繋ぐベルト接続金具7a,7bには、清掃装置6取付用の係着金具8を固着し、さらに、係着金具8には、前記一対の嵌挿用支杆部を嵌挿するための一対の嵌挿孔9a,9b及び尾錠金具15を係止するためのフック10を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットエレベータの機体内壁面清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バケットエレベータの機体内壁面を清掃する清掃装置は周知であり、例えば、特許文献1に開示されたものがある。このものは、多数のバケットを装着した無端ベルトを竪形機枠の上下に軸設した両調車に巻回したバケットエレベータにおいて、バケットベルトに直接又は間接に清掃体を装脱自在に取り付けたものである。
【0003】
これを、図6を参照して詳述すると、バケットベルトのベルト107面に帯板状の取付金具113を固着するとともに、該金具113面に一対の取付用管体114,114を植設する一方、これに対向するように清掃体109Aを装着した取付板115が一対の嵌挿用支杆116,116を連結して一体的に形成してあり、さらに、前記管体114,114には、嵌挿用支杆116,116を締着する取付用螺軸117,117を設けてある。
【0004】
これにより、前記清掃体109Aをベルト107面に装着する際は、金具113面の一対の取付用管体114,114に嵌挿用支杆116,116を挿入し、次いで取付用螺軸117,117をスパナ等で締結すれば簡単に装着でき、反対に離脱する際は、取付用螺軸117,117をスパナ等で緩めれば簡単に離脱できるものである。
【0005】
しかし、上記清掃装置は、ベルト107面に帯板状の取付金具113を別途固着しているから、部品点数が増加する問題がある。また、取り付けが管体114の取付用螺軸117,117によって行われるものであるから、スパナ等の工具を必要とし、作業が煩わしいという問題がある。さらに、取付板115と清掃体109とを密着(又は固着)させたものであるから、取付板115と清掃体109との分離・交換作業を行い難い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60−78319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点にかんがみ、無端ベルトを無端状に繋ぐベルト接続金具を利用して部品点数を削減するとともに、清掃装置の脱着作業をスパナ等の工具を不要として簡略化することができるバケットエレベータの機体内壁面清掃装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、多数のバケットを装着したベルトを、機枠上下部に軸設した調車間に巻回して形成されるバケットエレベータにおいて、略コ字状に成型した清掃体と、該清掃体を支持する取付板部と、尾錠金具を固着したベース部と、前記取付板部から水平方向に伸びる一対の嵌挿用支杆部とを一体的に連結して清掃装置に形成する一方、前記ベルト両端を無端状に繋ぐベルト接続金具には、前記清掃装置取付用の係着金具を一体で固着し、さらに、該係着金具には、前記一対の嵌挿用支杆部を嵌挿するための一対の嵌挿孔及び前記尾錠金具を係止するためのフックを設ける、という技術的手段を講じた。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記取付板部が、前記清掃体を上下方向から挟持して支持する上側取付板部及び下側取付板部から構成され、前記清掃体が装脱可能となるように前記取付板部にボルト及びナットで螺設したことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3記載の発明は、前記清掃体の表面に、清掃効果が低下し始めた時期を警告する摩耗警告マーカ及び清掃体の交換時期を知らせる清掃体交換マーカを付したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、略コ字状に成型した清掃体と、該清掃体を支持する取付板部と、尾錠金具を固着したベース部と、前記取付板部から水平方向に伸びる一対の嵌挿用支杆部とを一体的に連結して清掃装置に形成する一方、前記ベルト両端を無端状に繋ぐベルト接続金具には、前記清掃装置取付用の係着金具を固着し、さらに、該係着金具には、前記一対の嵌挿用支杆部を嵌挿するための一対の嵌挿孔及び前記尾錠金具を係止するためのフックを設けてあるから、係着金具に設けた嵌挿孔に前記清掃装置の一対の嵌挿用支杆部を嵌挿すること及び係着金具のフックに前記清掃装置の尾錠金具を係止することにより、脱着作業をスパナ等の工具を不要として簡略化し、清掃装置と無端ベルトとの脱着を容易に行うことができる。また、前記無端ベルトを無端状に繋ぐベルト接続金具に、前記清掃装置取付用の係着金具を一体で固着してあるから、別途、ベルト面に清掃装置取付用の金具を固着する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、前記取付板部が、前記清掃体を上下方向から挟持して支持する上側取付板部及び下側取付板部から構成され、前記清掃体が装脱可能となるように前記取付板部にボルト及びナットで螺設している。すなわち、尾錠金具の係止を解除してベルトから清掃装置を取り外してバケットエレベータの機外に取り出した後、消耗部品である清掃体のみを前記取付板部から着脱可能にしてあるから、清掃体の交換も容易に行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、前記清掃体の表面に、清掃効果が低下し始めた時期を警告する摩耗警告マーカ及び清掃体の交換時期を知らせる清掃体交換マーカを付してあるから、清掃装置の脱着時に清掃効果が低下し始めた時期及び清掃体の交換時期を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】バケットエレベータの機体下部を示す概略図である。
【図2】本発明による清掃装置の無端ベルトへの装着を示す斜視図である。
【図3】本発明による清掃装置の平面図である。
【図4】本発明による清掃装置の底面図である。
【図5】別の実施例に係る斜視図である。
【図6】従来の清掃装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1は本発明のバケットエレベータの機体下部を示す概略図である。図1において、符号1は竪形の機体であり、該機体1の上部側に上部調車(図示せず)を軸装する一方、機体1の下部側に下部調車2を軸装し、上部調車及び下部調車2間に多数のバケット3…を装着したベルト4を巻回して一体的に形成したバケットエレベータである。符号5はバケットエレベータの底板であり、符号6が本発明の要部となる清掃装置である。
【0017】
図2は本発明による清掃装置の無端ベルトへの装着を示す斜視図であり、図3は清掃装置の平面図であり、図4は清掃装置の底面図である。図2において、上部調車及び下部調車2間に巻回したベルト4両端は、一対のベルト接続金具7a,7bにより無端状に繋がれている。そして、該ベルト接続金具7a上には、清掃装置6取付用の係着金具8が固着され、該係着金具8には、一対の嵌挿孔9a,9b及びフック10が設けられている。清掃装置6は、略コ字状に成型した清掃体11と、該清掃体11を支持する取付板部12と、尾錠金具15を固着したベース部13と、前記取付板部12から水平方向に伸びる一対の嵌挿用支杆部14とを一体的に連結して形成したものである。符号16は清掃体取付用ボルト(平頭ボルト)であり、符号17は清掃体取付用ナットである(図4参照)。
【0018】
図3及び図4において、清掃体11は略コ字状に成型したものであり、材質としては、ウレタン樹脂、ポリエステル又は布などで形成される。一方、取付板部12、ベース部13及び嵌挿用支杆部14はステンレスにより形成される。また、取付板部12は清掃体11の形状に沿うように略コ字状に形成され、清掃体11を上下方向から挟持して支持するように、上側取付板部12a及び下側取付板部12bで構成される。そして、清掃体11を挟持した状態で上側取付板部12a及び下側取付板12bに螺入用の複数の孔18が穿設されており、清掃体11が取付板部12a,12bから装脱可能となるよう複数のボルト16及びナット17で螺設するとよい。
【0019】
前記ベース部13は、下側取付板部12bのコ字状の両端部12d,12eを橋架するように溶接により固設されており、該ベース部13上面に尾錠金具15が固着される。該尾錠金具15としては、締め付け力が138N(ニュートン)程度を維持できる株式会社栃木屋製のロック付ステンレスキャッチクリップ、型式TL-322を用いるのが好ましく、このほか、同等程度の締め付け力を備えた尾錠金具を採用することができる。
【0020】
前記一対の嵌挿用支杆部14は、約5mm径の丸棒を一対備えたものであり、支杆部14の一端が下側取付板部12bのコ字状の閉鎖した辺縁12cに固着され、支杆部14の他端は前記ベース部13を貫通させた後、さらに水平方向に伸びて自由端となるように形成されている。
【0021】
次に、上記構成の清掃装置の作用を述べる。まず、清掃装置6をベルト4に装着する場合、バケットエレベータの運転を停止し、バケットエレベータの側壁部に設けた点検用蓋(図示していない)を取り外し、点検用開口18を開口する(図1参照)。そして、点検用開口18からベルト4を回し、ベルト接続金具7を点検用開口18から見えるところまで移動し、清掃装置6をベルト接続金具7に取り付けることになる。このとき、清掃装置6の一対の嵌挿用支杆部14a,14bを係着金具9の嵌挿孔9a,9bにそれぞれ嵌挿させるとともに、ベース部13上面の尾錠金具15のフック15aを係着金具9のフック10に引っ掛けて固定すると、清掃装置6のベルト4への取り付けが完了する(図2参照)。
【0022】
これにより、装脱着作業をスパナ等の工具を不要として簡略化し、清掃装置と無端ベルトとの装脱着を容易に行うことができる。また、前記無端ベルトを無端状に繋ぐベルト接続金具に、前記清掃装置取付用の係着金具を一体で固着してあるから、別途、ベルト面に清掃装置取付用の金具を固着する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0023】
そして、点検用蓋を取り付けて点検用開口18を閉鎖し、バケットエレベータを約5分間駆動させると、清掃装置6がベルト4とともに回動して機体内壁面に付着した糠、塵埃及び汚れを落として底板5に落下させて排除することができる。底板5に溜まった塵埃などの汚れは、底部に設けた空気ノズル(図示せず)からの噴風により完全に排除することができる。
【0024】
清掃作業が終了すれば、上述とは逆の手順で清掃装置6を取り外し、通常の運転作業に素早く復帰することができる。
【0025】
なお、清掃装置6の取付板部12は、清掃体11を上下方向から挟持して支持する上側取付板部12a及び下側取付板部12bから構成され、清掃体11が装脱可能となるように取付板部12にボルト16及びナット17で螺設しているから、ベルト4から清掃装置6を機外に取り出した後、消耗部品である清掃体11のみが着脱可能であり、清掃体11の交換サ行も容易に行うことができる。
【0026】
図5は清掃装置6の別の実施例を示すものである。図示するように、清掃体11の表面には、コ字状の外周縁から取付板部12寄りに清掃効果が低下し始めた時期を警告する摩耗警告マーカ19を付すとともに、該摩耗警告マーカ19よりもさらに取付板部12寄りに清掃体11の交換時期を知らせる清掃体交換マーカ20を付している。これにより、清掃装置6の脱着時に清掃効果が低下し始めた時期及び清掃体の交換時期を容易に知ることができる。
【0027】
以上のように本発明によれば、装脱着作業をスパナ等の工具を不要として簡略化し、装脱着を容易に行うことができる。また、前記無端ベルトを無端状に繋ぐベルト接続金具に、前記清掃装置取付用の係着金具を一体で固着してあるから、別途、ベルト面に清掃装置取付用の金具を固着する必要がなく、部品点数を削減することができるという作用・効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0028】
あらかじめバケットエレベータの機体内壁面に付着した糠、塵埃及び汚れを落として、穀物類などの被搬送物への異物混入を防止し、ひいては被搬送物の品質の向上に寄与することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 機体
2 下部調車
3 バケット
4 ベルト
5 底板
6 清掃装置
7 ベルト接続金具
8 係着金具
9 嵌挿孔
10 フック
11 清掃体
12 取付板部
13 ベース部
14 嵌挿用支杆部
15 尾錠金具
16 清掃体取付用ボルト
17 清掃体取付用ナット
18 開口
19 摩耗警告マーカ
20 清掃体交換マーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のバケットを装着したベルトを、機枠上下部に軸設した調車間に巻回して形成されるバケットエレベータにおいて、
略コ字状に成型した清掃体と、該清掃体を支持する取付板部と、尾錠金具を固着したベース部と、前記取付板部から水平方向に伸びる一対の嵌挿用支杆部とを一体的に連結して清掃装置に形成する一方、前記ベルト両端を無端状に繋ぐベルト接続金具には、前記清掃装置取付用の係着金具を固着し、さらに、該係着金具には、前記一対の嵌挿用支杆部を嵌挿するための一対の嵌挿孔及び前記尾錠金具を係止するためのフックを設けたことを特徴とするバケットエレベータの機体内壁面清掃装置。
【請求項2】
前記取付板部は、前記清掃体を上下方向から挟持して支持する上側取付板部及び下側取付板部から構成され、前記清掃体が装脱可能となるように前記取付板部にボルト及びナットで螺設してなる請求項1記載のバケットエレベータの機体内壁面清掃装置。
【請求項3】
前記清掃体の表面には、清掃効果が低下し始めた時期を警告する摩耗警告マーカ及び清掃体の交換時期を知らせる清掃体交換マーカを付してなる請求項1又は請求項2記載のバケットエレベータの機体内壁面清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−73871(P2011−73871A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230079(P2009−230079)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【特許番号】特許第4419176号(P4419176)
【特許公報発行日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【出願人】(501264275)伊藤忠ライス株式会社 (10)
【Fターム(参考)】