説明

バッグインボックス

【課題】バッグインボックスの輸送時に体積が縮小するバッグと紙製ボックスとの間に生じる隙間を紙製ボックスの胴膨れを制御することで解消する。
【解決手段】紙製ボックスの前後左右の4つの周壁面に、各周壁面の上下左右の外周縁部に沿って略平行に配置された上下左右の座屈誘導線からなる四角形の枠を押罫で形成した座屈誘導枠線と、前記各周壁面の左右の外周縁部の上下端部から座屈誘導枠線の近接するコーナー部まで斜めに延びる押罫で形成された補助誘導線とを設けてなり、各周壁面が座屈誘導枠線と補助誘導線に沿って座屈し外方へ胴膨れしうることを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂フィルム製バッグを段ボール製ボックスに収容したバッグインボックスの輸送時における前記バッグとボックスとの摩擦を抑えてバッグにピンホールが発生しないようにしたバッグインボックスの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バッグインボックスに内装される樹脂フィルム製バッグと、外箱の段ボール製ボックスとの間に隙間があると、運搬に際して前記バッグとボックスの内壁面とが摩擦して前記バッグにピンホールが発生するおそれがある。
そこで、例えば、特開平11−268762号公報では、容器外装の内部天面と内容器上面とで形成される空間に空気を充填した袋を収納して空間を塞ぐ構成が開示されている。
また、特開2002−145322号公報では、内袋とカートン内底部との間の空間に内袋の下端部を支える緩衝体を挿着する構成が開示されている。
更に、特開2003−276764公報では、略L形をなすクッション材を用い、一辺が段ボール製ボックスの側面に位置し、他片がバッグの上面に位置して他片に設けた開口をバッグの口部に通してバッグを囲むように下方に折り曲げ、又は上方に折り曲げてバッグの動きを規制する構成などが提案されている。
しかし、上記構成では、スペーサとなる緩衝材の嵩が一定であるため前記バッグの体積が常に一定の場合には効果的であるが、殺菌処理等で加熱されて体積が膨張した液体が放熱により徐々に体積が縮小するような場合には前記バッグとボックスの内壁面との間の空間が広がってしまうので、前記バッグの摩擦によるピンホール発生を十分に防止できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−268762号公報
【特許文献2】特開2002−145322号公報
【特許文献3】特開2003−276764公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その主たる課題は、バッグインボックスの搬送中に樹脂フィルム製バッグの体積が縮小する場合であっても、段積みされたバッグインボックスの段ボールをほぼ均一に胴膨れ状態に変形させて、バッグインボックスの上下の長さを短くして前記バッグとボックスの底部内壁面と摩擦を抑えることができるようにしたバッグインボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
樹脂フィルム製バッグを段ボールその他の紙製ボックスに内蔵したバッグインボックスにおいて、
紙製ボックスの前後左右の4つの周壁面に、
各周壁面の上下左右の外周縁部に沿って略平行に配置された四角形の枠からなる押罫で形成された座屈誘導枠線と、
前記各周壁面の外周縁部の各角部から座屈誘導枠線の近接するコーナー部まで延びる押罫で形成された補助誘導線とを設けてなり、
バッグインボックスを積み重ねた際に、各周壁面が座屈誘導枠線と補助誘導線に沿って座屈し外方へ胴膨れしうることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記座屈誘導枠線と補助誘導線とが、段ボール製ボックスの周壁面の内面に形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記各周壁面に形成される座屈誘導枠線が、上部の外周縁部と上部の座屈誘導線との間隔と下部の外周縁部と下部の座屈誘導線との間隔とを等しく設定しており、
左右の各外周縁部と左右の各座屈誘導線との間隔とを等しく設定してなることを特徴とする。
請求項4の発明では、
前記左右の各外周縁部を中心線として対称に設けられる一対の補助誘導線間を該補助誘導線の中途位置で結んで水平に延びる角部補助誘導線が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明のバッグインボックスは、樹脂フィルム製バッグに加熱され熱膨張した液体を充填しているので、紙製ボックス内での放熱により液体の体積が徐々に収縮するが、輸送中のバッグインボックス段積みにより、紙製ボックスは座屈誘導枠線と補助誘導線にガイドされてバランス良く座屈し胴膨れするので収縮した樹脂フィルム製バッグに対応して紙製ボックスの高さも縮み、紙製ボックスの底面と樹脂フィルム製バッグの底面との摩擦を抑えてピンホールの発生によるバッグの破れを防止することができる。
また、角部補助誘導線を設けることで、胴膨れにより高さが縮んだ際に隣接する補助誘導線間の縦に延びる角部の高さを折り曲げて縮めることができ、角部の型崩れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のバッグインボックスの原紙の展開図である。
【図2】同バッグインボックスの周壁面を示す正面図である。
【図3】同斜視図である。
【図4】バッグインボックスの段積み状態を示す部分側面図である。
【図5】胴膨れ状態の変化を示す正面図である。
【図6】実施例2のバッグインボックスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、この発明のバッグインボックスの好適実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
本実施例のバッグインボックス10は、樹脂フィルム製バッグ11を紙製ボックス1に収容した構成からなっている(図5参照)。
樹脂フィルム製バッグ11は、軟質プラスチックのフィルム又はシートで構成されている。
紙製ボックス1は、図1に示す1枚の段ボール又は板紙からなる原紙1’を折り曲げて成形される。
【0010】
この原紙1’には、図1に点線で示すように、A式の箱を形成するために、横方向に連続する4つの周壁面2〜5と1つの貼付片6を形成するための縦方向に延びる縦折目線L1と、2分された上壁面7A、7B及び下壁面8A、8Bと左右のフラップ面9A、9Bと9C、9Dを形成するために前記各周壁面の上下一対で同一線上に横方向に延びる横折目線L2とが形成されている。
【0011】
上記縦折目線L1と横折目線L2とは原紙1’の表面側と内面側のいずれに形成されるものでもよい。
また、上壁面7Aには、樹脂フィルム製バッグ11を取り付けるための穴部形成用切取線L6が形成されている。
更に、図示例では、周壁面3と5には、その上方の中途位置に、切取線で横倒略C字状又は長円形状に形成された把手用切取線L7が形成されている。
【0012】
[座屈誘導枠線]
前記4つの周壁面2〜5には、各周壁面の正方形又は長方形の外周縁部に沿って略平行に配置された正方形又は長方形の枠からなる座屈誘導枠線L3と、前記各周壁面の外周縁部の各角部から近接する座屈誘導枠線の各コーナー部まで延びる補助誘導線L4とが設けられている(図2参照)。
【0013】
座屈誘導枠線L3は、各周壁面の上下の横折目線L2と一致する上下の外周縁部から所定の長さだけ周壁面内方に離間して略水平に延びる上方座屈誘導線L3a及び下方座屈誘導線L3bと、縦折目線L1と一致する左右の外周縁部から所定の長さだけ周壁面内方に離間し、前記上方座屈誘導線L3a及び下方座屈誘導線L3bの端部間を結んで略垂直に延びる側方座屈誘導線L3c、L3dとからなっている。
【0014】
ここで座屈誘導枠線L3の周壁面の前記上下の外周縁部(L2)から離間する長さx1、x2は、上方座屈誘導線L3aと下方座屈誘導線L3bとは略同じ長さであることが好ましい。
また、座屈誘導枠線L3の周壁面の前記左右の外周縁部(L1)から離間する長さy1、y2は、側方座屈誘導線L3c、L3dとで略同じ長さであることが好ましい。
しかし、本発明では、上記長さは胴膨れによって同じ高さとなるように縮むことができればよく、本実施例に限定されるものではない。
【0015】
[補助誘導枠線]
補助誘導線L4は、各周壁面2〜5の外周縁部の各角部から近接する座屈誘導枠線L3の各コーナー部まで延びる傾斜線からなっている。
図示例では、補助誘導線L4の基点となる折目線L1に対してほぼ45度の傾斜線からなっている。
【0016】
[角部補助誘導線]
そして、本実施例では更に、前記折目線L1を中心にして隣接する周壁面間で左右対称に配置される一対の補助誘導線L4、L4を、その中途位置で結んで水平に延びる角部補助誘導線L5が形成されている。
ここで角部補助誘導線L5は、一対の補助誘導線L4、L4と座屈誘導枠線L3との交点間を結ぶものとしてもよい(図示せず)。
【0017】
上記構成からなっているので、前記原紙1’を折目線L1と横折目線L2によって折り曲げ、貼付片6を周壁面2の端部に重ねて貼合せて筒状とし、下方の左右のフラップ面9C、9Dを向き合わせ、その下に一対の下壁面8A、8Bを貼合せて底部として上部が開口した紙製ボックス1を組み立てる。
【0018】
樹脂フィルム製バッグ11は上記紙製ボックス1の内容積にほぼ対応する大きさからなっており、内部には、殺菌用等のために加熱処理した水などの液体が充填される。
この樹脂フィルム製バッグ11を前記紙製ボックス1に収納し、上方の左右のフラップ面9A、9Bを向き合わせ、その上に一対の上壁面7A、7Bを貼合せて紙製ボックス1を封緘してバッグインボックス10が完成する(図3参照)。
【0019】
上記のように構成されたバッグインボックス10は、段積みされて目的地まで輸送される。
輸送中に、樹脂フィルム製バッグ11は放熱により液体の体積が収縮する。
同時に、段積みされたバッグインボックスの紙製ボックス1は座屈誘導枠線L3と補助誘導線L4によってガイドされ、四周方向にほぼ均等に座屈して胴膨れし、紙製ボックス1の高さを縮める(図4、図5参照)。
【0020】
また、角部補助誘導線L5によって、紙製ボックス1の縦折目線L1に沿う縦に延びる角部の上下を傾斜させて、周壁面の広面だけでなく縦折目線L1に沿う角部の高さも胴膨れに対応して縮めることができる。
【0021】
これによって、樹脂フィルム製バッグ11の体積が収縮しても、紙製ボックス1の高さも縮まるので、紙製ボックス1の底面内部と樹脂フィルム製バッグ11とが摩擦することなく、バッグの破損を防止することができる。
【実施例2】
【0022】
上記実施例1では、縦折目線L1に沿う角部の上下両端を傾斜させるために角部補助誘導線L5を形成したが、この発明では角部補助誘導線L5を設けない場合であってもよい。
この場合も座屈誘導枠線L3と補助誘導線L4とによる座屈変形により連動して縦折目線L1に沿う角部の上下両端を折り曲げることができるからである。
その他の構成は、前記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
その他、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 紙製ボックス
1’ 原紙
2〜5 周壁面
6 貼付片
7A、7B 上壁面
8A、8B 下壁面
9A、9B 上部のフラップ面
9C、9D 下部のフラップ面
10 バッグインボックス
11 樹脂フィルム製バッグ
L1 縦折目線
L2 横折目線
L3 座屈誘導枠線
L3a 上方座屈誘導線
L3b 下方座屈誘導線
L3c、L3d 側方座屈誘導線
L4 補助誘導線
L5 角部補助誘導線
L6 穴部形成用切取線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム製バッグを段ボールその他の紙製ボックスに内蔵したバッグインボックスにおいて、
紙製ボックスの前後左右の4つの周壁面に、
各周壁面の上下左右の外周縁部に沿って略平行に配置された上下左右の座屈誘導線からなる四角形の枠を押罫で形成した座屈誘導枠線と、
前記各周壁面の左右の外周縁部の上下端部から座屈誘導枠線の近接するコーナー部まで斜めに延びる押罫で形成された補助誘導線とを設けてなり、
バッグインボックスを積み重ねた際に、各周壁面が座屈誘導枠線と補助誘導線に沿って座屈し外方へ胴膨れしうることを特徴としたバッグインボックス。
【請求項2】
座屈誘導枠線と補助誘導線とが、段ボール製ボックスの周壁面の内面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス。
【請求項3】
各周壁面に形成される座屈誘導枠線が、上部の外周縁部と上部の座屈誘導線との間隔と下部の外周縁部と下部の座屈誘導線との間隔とを等しく設定しており、
左右の各外周縁部と左右の各座屈誘導線との間隔とを等しく設定してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のバッグインボックス。
【請求項4】
左右の各外周縁部を中心線として対称に設けられる一対の補助誘導線間を該補助誘導線の中途位置で結んで水平に延びる角部補助誘導線が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバッグインボックス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−153417(P2012−153417A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16132(P2011−16132)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】