説明

パウチ容器用スパウト

【課題】板状の導通部を備えたパウチ容器用スパウトにおいて、安定した吊り下げ移送及び容器へのスムーズな挿入を可能としながら、容器内容物の取り出し性に優れたパウチ容器用スパウトを提供することである。
【解決手段】パウチ容器用スパウト10は、円筒状の口部11と、接合部12と、接合部12から口部11と反対側に延設した板状の導通部13とを備え、口部11及び接合部12の内部に連通孔14が形成されたパウチ容器用スパウトである。導通部13は、その付け根に形成された付け根開口部17*と、付け根補強部18と、錘部本体19aと錘部本体19aから付け根側に延伸する流路形成部19bとで構成される錘部19とを有する。そして、付け根補強部18と流路形成部19bとによって、導通部13の幅方向側縁側から付け根開口部17*に至る吸引流路Pが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器用スパウトに関し、より詳しくは、接合部から口部と反対側に延設した板状の導通部を備えるパウチ容器用スパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
スパウトを備えたパウチ容器は、飲料やゼリー、流動食等の容器として広く使用されており、幾つかの製品では、シャーベット状の内容物がスパウトから取り出される場合がある。つまり、パウチ容器用スパウトの中には、流動性の高い液状物だけでなく、シャーベットのような塊状物を容易に取り出せることが要求されるものがある。
【0003】
また、パウチ容器用スパウトは、容器への装着工程において、スパウト搬送装置により吊り下げ移送されるため、吊り下げ移送時の支点に対して全体の重量バランスが崩れていないことが要求される。
更に、パウチ容器用スパウトは、導通部が容器に挿入された状態で容器に装着されるため、容器に挿入し易い形状であることが好ましい。例えば、特許文献1に開示される略円筒形状の導通部を備えたスパウトよりも、特許文献2,3に開示される板状の導通部を備えたスパウトの方がスムーズに挿入できる。
【0004】
特許文献2に開示されたスパウトは、導通部の先端を比較的長めにして重量バランスをとり、導通部の付け根に大きな開口部が形成された形態を有する。当該スパウトによれば、安定した吊り下げ移送、容器へのスムーズな挿入が可能となり、且つ付け根の開口部が大きいためシャーベット等の塊状物が取り出し易くなると想定される。しかしながら、当該スパウトの導通部は、板面に凸状部が全く存在しない平坦な長板であるため、内容物の残量が少なくなったときに、容器を構成するシート材が導通部の板面に張り付いて内容物の吸引が困難になることが予想される。
【0005】
一方、特許文献3に開示されたスパウトは、板状の導通部の両面から突設したリブを有している。また、特許文献3には、リブの先端面がテーパー状であるため、リブが案内手段となって容器の上縁部を拡げながら容器内に導通部をスムーズに挿入できると記載されている。更に、特許文献3には、容器本体の内面が導通部の板(導入板部)及びリブのそれぞれの先端面に当接し、容器本体、導入板部、及びリブの間に吸引用流路を構成できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008‐13219号公報
【特許文献2】特開平10‐157748号公報
【特許文献3】特開2000‐247344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献3に開示されたスパウトによれば、容器本体、導入板部、及びリブの間に吸引用流路が形成される。しかしながら、特許文献3に記載されるように、当該吸引用流路は、導入板部及びリブのそれぞれの先端面に容器本体の内面が当接して形成される、導通部の長手方向に沿った流路であるから、導通部の横方向(短手方向)からは内容物を吸い込み難いことが想定される。内容物の残量が少なくなって導通部の横方向両側近傍に内容物が集まることを考慮すると、当該スパウトは内容物の取り出し性の観点から改良の余地がある。
【0008】
また、板状の導通部は容器に挿入し易いが、剛性の面で不安があり、外力がかかると曲がってしまう可能性がある。特に、レトルト殺菌等の加熱殺菌時に外力がかかると曲がり易い。
【0009】
即ち、本発明の目的は、板状の導通部を備えたパウチ容器用スパウトにおいて、安定した吊り下げ移送及び容器へのスムーズな挿入を可能としながら、剛性を担保しつつ容器内容物の取り出し性にも優れたパウチ容器用スパウトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るパウチ容器用スパウトは、キャップが取り付けられる円筒状の口部と、容器に接合される接合部と、接合部から口部と反対側に延設した板状の導通部と、を備え、口部及び接合部の内部に連通孔が形成されたパウチ容器用スパウトにおいて、導通部は、その付け根に形成された開口部と、付け根補強部と、錘部本体と錘部本体から付け根側に延伸する流路形成部とで構成される錘部と、を有し、付け根補強部と流路形成部とによって、導通部の幅方向側縁側から前記開口部に至る流路が導通部に形成されていることを特徴とする。
当該構成によれば、導通部が板状であるから容器に挿入し易く、また、導通部に設けられた錘部によって全体の重量バランスを調整することができるので安定した吊り下げ移送が可能になる。また、付け根補強部により、導通部の付け根の剛性が向上して、導通部の曲がりが防止される。
更に、錘部の流路形成部によって、重量バランスを調整しながら、導通部の板面に凸形状を提供することができる。そして、該流路形成部と付け根補強部とによって、容器内容物の残量が少なくなった場合でも容器を構成するシート材が導通部の板面に隙間無く張り付くことを防止でき、容器内容物の吸引流路を確保することができる。
【0011】
また、流路形成部は、導通部の幅方向側縁部に設けられる構成とすることができる。
当該構成によれば、容器内容物の残量が少なくなったときに、シート材の内面が付け根補強部及び流路形成部に当接して支持され、導通部とシート材との間に横方向に延びた容器内容物の吸引用流路を形成することができる。
【0012】
また、流路形成部は、導通部の幅方向中央部に設けられる構成とすることができる。
当該構成によれば、容器内容物の残量が少なくなったときに、シート材の内面が付け根補強部、流路形成部、及び錘部本体に当接して支持され、導通部とシート材との間に横方向に延びた容器内容物の吸引用流路を形成することができる。また、流路形成部の上方先端と付け根補強部の下方先端とが、側面視において重なるように配置すれば、導通部の剛性が高まり機械的強度が強くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るパウチ容器用スパウトによれば、安定した吊り下げ移送及び容器へのスムーズな挿入を可能としながら、導通部の剛性を向上させ、且つ容器内容物の優れた取り出し性を実現することができる。即ち、本発明に係るパウチ容器用スパウトによれば、付け根補強部と流路形成部を含む錘部との相互作用によって、導通部の剛性向上、全体の重量バランスの調整、及び流路形成のいずれの機能をも良好に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの斜視図である。
【図2】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの正面図である。
【図3】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの背面図である。
【図4】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの右側面図である。
【図5】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの左側面図である。
【図6】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの平面図である。
【図7】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの底面図である。
【図8】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトを備えた口栓付きパウチ容器の斜視図である。
【図9】図8に示す口栓付きパウチ容器の断面図であって、内容物の残量が少なくなったときの様子を示す図である。
【図10】第1実施形態であるパウチ容器用スパウトの変形例を示す右側面図である。
【図11】本発明の第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの斜視図である。
【図12】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの正面図である。
【図13】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの背面図である。
【図14】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの右側面図である。
【図15】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの左側面図である。
【図16】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの平面図である。
【図17】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの底面図である。
【図18】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトを備えた口栓付きパウチ容器を示す図である。
【図19】図18に示す口栓付きパウチ容器の断面図であって、内容物の残量が少なくなったときの様子を示す図である。
【図20】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの第1の変形例を示す右側面図である。
【図21】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの第2の変形例を示す斜視図である。
【図22】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの第2の変形例を示す正面図である。
【図23】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの第2の変形例を示す右側面図である。
【図24】第2実施形態であるパウチ容器用スパウトの第3の変形例を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態であるパウチ容器用スパウト10を、図11〜図24を参照して、本発明の第2実施形態であるパウチ容器用スパウト30をそれぞれ詳細に説明する。なお、実施形態において、パウチ容器用スパウト10,30は、サイドガゼットパウチであるパウチ本体51,61に取り付けられて口栓付きパウチ容器50,60の一部を構成するものとして説明するが、当該パウチ形態への適用に限定されず、所謂スタンディングパウチや平パウチ等、その他の公知パウチ形態にも適用することができる。
【0016】
また、本明細書では、説明の便宜上、口部11,31、接合部12,32及び導通部13、33が並ぶ方向を上下方向、上下方向に直交する方向を横方向とし、口部11,31側の端を上端、導通部13,33側の端を下端として説明する。
また、パウチ容器用スパウト10,30がパウチ本体51,61に取り付けられたときに、容器内部に位置する連通孔14,34の下端側開口を吸い込み口、容器外部に位置する連通孔14,34の上端側開口を吸い出し口とする。
また、導通部13,33において、上下方向に直交する方向のうち導通部13,33の正面及び背面に沿った方向を幅方向、上下方向及び幅方向に直交する方向を厚み方向とする。
【0017】
<第1実施形態>
まず初めに、図1〜図7を用いて、パウチ容器用スパウト10の構成を説明する。
なお、図1は、パウチ容器用スパウト10(以下、スパウト10とする)の斜視図であり、図2〜図7は、スパウト10の6面図である。
【0018】
図1に示すように、スパウト10は、キャップ20(後述の図8参照)が取り付けられる円筒状の口部11と、パウチ容器50に接合される接合部12と、接合部12から口部11と反対側に延設した板状の導通部13とを備え、口部11及び接合部12の内部に連通孔14が形成された構造を有する。口部11、接合部12、及び導通部13は、この順番に並んで配置され、スパウト10は、各部が並ぶ方向(上下方向)に長くなった形状を有している。
【0019】
また、スパウト10は、パウチ容器50のシート材53に熱溶着(所謂ヒートシール)されるため、シート材53と熱溶着可能な材料、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から構成される。
【0020】
以下、図1に加えて図2〜図7を適宜参照し、スパウト10の上記各構成要素、特に導通部13の構成について詳しく説明する。
【0021】
口部11は、スパウト10の長手方向、つまり上下方向に沿って延びた円筒形状を有する。図6,7(平面図、底面図)に示すように、口部11には、接合部12の吸い込み口から吸い出し口まで真っ直ぐに延びた、径方向断面が円形の連通孔14が形成されており、該連通孔14の吸い出し口を塞ぐキャップ20が取り付けられる。そして、口部11の外周面には、キャップ20を螺合するためのネジ山15と、製造時のスパウト搬送工程で使用されるフランジ部16とが形成されている。
フランジ部16は、上下方向に間隔をあけて配置された第1フランジ16aと第2フランジ16bとで構成されている。なお、スパウト搬送装置は、両フランジの間を挟んでスパウト10を吊り下げ移送する。第1フランジ16a及び第2フランジ16bは、いずれも口部11の外周面から径方向に張り出した平面視矩形状(図6,7参照)のフランジであって、接合部12と接する位置に第2フランジ16bが設けられている。
【0022】
接合部12は、口部11から連続して形成された連通孔14を含み、外周面がパウチ本体51のシート材53にヒートシールされる部分である。接合部12の外周面は、導通部13の幅方向に沿って両側に張り出し、次第に先細りとなる流線形に形成されている。
【0023】
導通部13は、接合部12から口部11と反対側に延設した長板であって、パウチ本体51内に挿入され、容器内容物の残量が少なくなったときに容器を構成するシート材53同士が張り付くことを防止する機能を有する。導通部13は、接合部12との接続部分である付け根からスパウト10の下端となる先端まで上下方向に沿って延びており、長手方向の長さは口部11から接合部12までの長さよりもやや長くなっている。
【0024】
また、図2,3(正面図、背面図)に示すように、導通部13は、接合部12との接続部分である付け根よりもやや先端側において幅方向の長さ(幅)が最大となり、先端側に進むにつれて幅が小さくなった先細りの形状を有している。導通部13の最大幅は、接合部12、フランジ部16の幅と略等しく、導通部13の先端の幅は、口部11の直径と略等しくなっている。
また、図4,5に示すように、導通部13は、その厚み方向の長さ(厚み)が口部11の直径よりも小さく、パウチ本体51にスムーズに挿入可能な薄板形状を有している。
【0025】
そして、導通部13は、複数の開口部17と、付け根に形成された開口部17である付け根開口部17*と、付け根開口部17*の両側の板厚を厚くして付け根を補強する付け根補強部18と、板厚を厚くして重量を付与する錘部19であって、錘部本体19aと錘部本体19aから付け根側に延伸する流路形成部19bとで構成される錘部19とを有している。
【0026】
開口部17は、導通部13の幅方向中央部分を厚み方向に貫通する孔である。図2,3に示すように、開口部17は、導通部13の幅方向中央に長手方向に並んで複数形成されている。具体的には、長手方向に並んだ4箇所に開口部17が形成されている。開口部17の1つ目は導通部13の付け根に、2つ目は付け根補強部18と錘部19との間に、3つ目は導通部13の両側縁部に設けられた流路形成部19bの間に、4つ目は錘部本体19aと導通部13の先端との間にそれぞれ形成されている。
【0027】
付け根開口部17*は、付け根の幅方向中央、即ち連通孔14の吸い込み口の直下に形成された開口部17であって、連通孔14の吸い込み口及びその下方領域を大きく開放することで容器内容物の取り出し性を向上させる機能を有する。図2,3に示すように、付け根開口部17*は、その幅が連通孔14の直径と同等である正面視矩形状の孔であって、その上下方向長さは、付け根補強部18の上下方向長さよりも長く形成されている。
【0028】
付け根補強部18は、付け根開口部17*の幅方向両側に設けられている。図4,5に示すように、付け根補強部18は、導通部13の板厚がやや厚くなった厚肉部18aと、導通部13の正面及び背面から厚み方向に突出した補強リブ18bとで構成されており、付け根の剛性を高める機能を有していると共に、流路形成の一端を担っている。補強リブ18bの厚み方向の長さ(以下、突出長さと称する)は、厚肉部18aよりも長く、付け根補強部18や錘部19が存在しない部分に比べて約3倍となっている。なお、補強リブ18bの突出長さは、錘部19の厚み方向の長さと略同等である。
【0029】
なお、付け根補強部18は、導通部13の付け根から最大幅の位置にわたって設けられている。そして、補強リブ18bは、付け根開口部17*の幅方向両側縁において、接合部12に接続されるリブの付け根からリブの先端まで導通部13の長手方向に沿って直線状に設けられている。
【0030】
錘部19は、導通部13の先端よりも付け根側に設けられている。これにより、図4,5に示すように、錘部19は、導通部13の板厚を厚くすることで先端側に重量を付与し、吊り下げ移送時の支点(第1フランジ16aと第2フランジ16bとの間)に対して全体の重量バランスを調整する機能を有すると共に、容器内に導通部をスムーズに挿入できる。なお、錘部19は、導通部13の正面及び背面から同じように隆起しており、補強リブ18bと略同等の厚み方向の長さ(以下、隆起高さと称する)を有している。
【0031】
また、錘部19は、導通部13の全幅にわたって設けられた塊状の錘部本体19aと、錘部本体19aから付け根側に延伸した流路形成部19bとで構成されており、錘部本体19aと流路形成部19bとは同一の隆起高さを有する。なお、流路形成部19bは、重量バランスを調整すると共に、付け根補強部18との間において幅方向に沿った吸引流路P(後述の図9参照)を形成する機能を有する。
【0032】
流路形成部19bは、導通部13の幅方向両側縁部に設けられ、錘部19は全体として略Vの字形状を有している。導通部13では、錘部19を含む各構成要素が、幅方向の中心である幅方向中央に対して左右対称であり、良好な重量バランスを有する。ここで、導通部13の幅方向側縁部とは、導通部13の幅方向の側端を含み当該側端に近接する領域であって、例えば、導通部13の幅方向の側端から幅5mm程度の領域である。なお、本実施形態の流路形成部19bは、いずれも、導通部13の幅方向の側端に接して設けられており、側端から2〜3mm程度の幅を有している。
【0033】
また、流路形成部19bは、導通部13を側面視したときに、付け根補強部18との間に間隙が介在するように設けられている(図4,5参照)。つまり、補強リブ18bと流路形成部19bとは上下方向に離間して設けられている。なお、流路形成部19bは、導通部13の幅方向両側縁部に設けられているので、導通部13の左右両側に後述の吸引流路Pを形成する上記間隙が存在している。
【0034】
次に、図8及び図9を参照して、上記構成を備えるスパウト10の使用形態及び作用効果を説明する。なお、以下では、スパウト10がパウチ本体51に取り付けられた口栓付きパウチ容器50を例示して説明する。
【0035】
図8に示すように、口栓付きパウチ容器50は、パウチ本体51と、口栓52とで構成されている。パウチ本体51は、容器の正面部、背面部、側面部を構成する樹脂製のシート材53を含み、各シート材53の端縁に形成された端縁シール部54によって内容物が充填される容器内部空間が密閉された構造を有する。なお、パウチ本体51は、側面部を構成する一対のシート材53が内側に向かって山折りに折り返されたガゼット構造を有するサイドガゼットパウチである。
【0036】
口栓52は、上記スパウト10と、スパウト10の口部11に螺合されたキャップ20とで構成されており、パウチ本体51の上端縁に取り付けられている。具体的には、スパウト10の接合部12が、容器の正面部及び背面部を構成するシート材53の端縁間に挟まれた状態で、当該シート材53の端縁同士及びシート材53と接合部12とがヒートシールされて取り付けられている。そして、口栓付きパウチ容器50では、キャップ20が螺合された口部11がパウチ本体51の外側に位置し、導通部13がパウチ本体51の内部に挿入された取り付け形態となる。
【0037】
なお、スパウト10の装着工程では、スパウト搬送装置によりスパウト10が吊り下げ移送される。スパウト10によれば、錘部19によって導通部13に重量が付与され吊り下げ移送時の支点(第1フランジ16aと第2フランジ16bとの間)に対して全体の重量バランスが調整されているので、安定した吊り下げ移送が可能になる。また、スパウト10によれば、導通部13が厚みの薄い薄板形状であり、且つ錘部19が導通部13の先端よりも付け根側に設けられているため、パウチ本体51にスムーズに挿入することができ、良好な装着性を得ることができる。
【0038】
図9は、口栓付きパウチ容器50のスパウト10の右側端において、シート材53を上下方向に沿って切断した状態を示す図である。また、図9では、口栓付きパウチ容器50の内容物が少なくなり、容器の正面部及び背面部を構成するシート材53が導通部13の正面及び背面に張り付いた様子を示している。
【0039】
図9に示すように、スパウト10は、導通部13の正面及び背面から突出した補強リブ18bと、導通部13の正面及び背面から隆起した流路形成部19bとを備える。なお、補強リブ18bと流路形成部19bとは上下方向に離間して設けられている。したがって、シート材53は、その内面が補強リブ18b及び流路形成部19bに当接して支持され、導通部13の正面、背面と、容器の正面部、背面部を構成する各シート材53との間に横方向に延びた内容物の吸引流路Pが形成される。そして、当該吸引流路Pは、付け根開口部17*を介して連通孔14の吸い込み口に連通しているため、導通部13の横方向両側近傍に存在する内容物は吸引流路Pを通って容易に吸い出される。
【0040】
また、スパウト10の導通部13は、薄板形状であるが、その付け根が付け根補強部18により補強されているので、スパウト10の輸送時や加熱殺菌時等に外力がかかっても曲がり難い。即ち、導通部13では、付け根補強部18によって、最も曲がり易い付け根の剛性が高められている。
【0041】
なお、上記第1実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更することができる。以下、設計変更の例(変形例)を示す。
【0042】
図10に、第1の変形例を示す。
例えば、上記では、補強リブ18bの突出長さと錘部19の隆起高さとが略同等であり、且つ錘部本体19a及び流路形成部19bの隆起高さが同じであるものとして説明したが、図10(右側面図)に示すように、錘部本体19a及び流路形成部19bの隆起高さが異なっていてもよい。図10に例示する形態では、錘部本体19aよりも流路形成部19bの隆起高さが高くなっており、錘部本体19aと流路形成部19bとの間に段差を有している。当該構成によれば、図4に例示する形態よりも吸引流路Pが拡大して、内容物の取り出し性が更に向上する。
【0043】
また、上記では、付け根補強部18を厚肉部18aと補強リブ18bとで構成されるものとして説明したが、付け根補強部18は、当該構成に限定されず、厚肉部18a及び補強リブ18bのいずれか一方から構成されてもよい。なお、厚肉部18aのみで付け根補強部18を構成する場合、その厚みは錘部19の厚みと同等以上であることが好ましい。
また、上記では、付け根補強部18(補強リブ18b)の厚みを付け根補強部18や錘部19が存在しない部分に比べて約3倍(錘部19と略同等)として説明したが、付け根補強部18の厚みは、当該厚みに限定されず、吸引流路Pを形成し得る程度であればよい。
但し、付け根補強部18の厚みは、接合部12とパウチ本体51とのヒートシール性を阻害しないように、接合部12の前後方向の厚み(導通部13の厚み方向に沿った長さ)以下であることが好ましい。
【0044】
また、上記では、流路形成部19bが導通部13の幅方向側端に接して設けられるものとして説明したが、上記に述べた幅方向側縁部の領域内に設けられていれば特に限定されず、例えば、流路形成部19bが幅方向側端に接していなくともよい。
また、上記では、流路形成部19bが導通部13の幅方向両側縁部に設けられた形態について説明したが、流路形成部19bは、一方の幅方向側縁部のみに設けられていてもよい。但し、導通部13の重量バランスや内容物の取り出し性の観点から、流路形成部19bは導通部13の幅方向両側縁部に設けられている方が好ましい。
【0045】
<第2実施形態>
まず初めに、図11〜図17を用いて、パウチ容器用スパウト30の構成を説明する。
なお、図11は、パウチ容器用スパウト30(以下、スパウト30とする)の斜視図であり、図12〜図17は、スパウト30の6面図である。
【0046】
図11に示すように、スパウト30は、キャップ40(後述の図18参照)が取り付けられる円筒状の口部31と、パウチ容器60に接合される接合部32と、接合部32から口部31と反対側に延設した板状の導通部33とを備え、口部31及び接合部32の内部に連通孔34が形成された構造を有する。口部31、接合部32、及び導通部33は、この順番に並んで配置され、スパウト30は、各部が並ぶ方向(上下方向)に長くなった形状を有している。
【0047】
また、スパウト30は、パウチ容器60のシート材63に熱溶着(所謂ヒートシール)されるため、シート材63と熱溶着可能な材料、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から構成される。
【0048】
以下、図11に加えて図12〜図17を適宜参照し、スパウト30の上記各構成要素、特に導通部33の構成について詳しく説明する。
【0049】
口部31は、スパウト30の長手方向、つまり上下方向に沿って延びた円筒形状を有する。図16,17(平面図、底面図)に示すように、口部31には、接合部32の吸い込み口から吸い出し口まで真っ直ぐに延びた、径方向断面が円形の連通孔34が形成されており、該連通孔34の吸い出し口を塞ぐキャップ40が取り付けられる。そして、口部31の外周面には、キャップ40を螺合するためのネジ山35と、製造時のスパウト搬送工程で使用されるフランジ部36とが形成されている。
フランジ部36は、上下方向に間隔をあけて配置された第1フランジ36aと第2フランジ36bとで構成されている。なお、スパウト搬送装置は、両フランジの間を挟んでスパウト30を吊り下げ移送する。第1フランジ36a及び第2フランジ36bは、いずれも口部31の外周面から径方向に張り出した平面視矩形状(図16,17参照)のフランジであって、接合部32と接する位置に第2フランジ36bが設けられている。
【0050】
接合部32は、口部31から連続して形成された連通孔34を含み、外周面がパウチ本体61のシート材63にヒートシールされる部分である。接合部32の外周面は、導通部33の幅方向に沿って両側に張り出し、次第に先細りとなる流線形に形成されている。
【0051】
導通部33は、接合部32から口部31と反対側に延設した長板であって、パウチ本体61内に挿入され、容器内容物の残量が少なくなったときに容器を構成するシート材63同士が張り付くことを防止する機能を有する。導通部33は、接合部32との接続部分である付け根からスパウト30の下端となる先端まで上下方向に沿って直線状に延びており、長手方向の長さは口部31から接合部32までの長さよりもやや長くなっている。
【0052】
また、図12,13(正面図、背面図)に示すように、導通部33は、接合部32との接続部分である付け根よりもやや先端側において幅方向の長さ(幅)が最大となり、先端側に進むにつれて幅が小さくなった先細りの形状を有している。導通部33の最大幅は、接合部32、フランジ部36の幅と略等しく、導通部33の先端の幅は、口部31の直径と略等しくなっている。
また、図14,15に示すように、導通部33は、その厚み方向の長さ(厚み)が口部31の直径よりも小さく、パウチ本体61にスムーズに挿入可能な薄板形状を有している。
【0053】
そして、導通部33は、複数の開口部37と、付け根に形成された開口部37である付け根開口部37*と、付け根開口部37*の両側の板厚を厚くして付け根を補強する付け根補強部38と、先端側の板厚を厚くして重量を付与する錘部39であって、錘部本体39aと錘部本体39aから付け根側に延伸する流路形成部39bとで構成される錘部39とを有している。
【0054】
開口部37は、導通部33の幅方向中央部分を厚み方向に貫通する孔である。図12,13に示すように、開口部37は、導通部33の幅方向中央に長手方向に並んで複数形成されている。具体的には、長手方向に並んだ2箇所に開口部37が形成されている。開口部37の1つ目は導通部33の付け根に、2つ目は付け根補強部38と後述の錘部本体39aとの間にそれぞれ形成されている。2つ目の開口部37は、導通部33の長手方向に長く延びた形状を有し、その幅方向中央を縦断して後述の流路形成部39bが設けられている。
【0055】
付け根開口部37*は、付け根の幅方向中央、即ち連通孔34の吸い込み口の直下に形成された開口部37であって、連通孔34の吸い込み口及びその下方領域を大きく開放することで容器内容物の取り出し性を向上させる機能を有する。図12,13に示すように、付け根開口部37*は、その幅が連通孔34の直径と同等である正面視矩形状の孔であって、連通孔34の吸い込み口から導通部33の最大幅を有する位置よりもやや先端側まで形成されている。
【0056】
付け根補強部38は、付け根開口部37*の幅方向両側に設けられている。図14,15に示すように、付け根補強部38は、導通部33の板厚がやや厚くなった厚肉部38aと、導通部33の正面及び背面から厚み方向に突出した補強リブ38bとで構成されており、付け根の剛性を高める機能を有していると共に、流路形成の一端を担っている。補強リブ38bの厚み方向の長さ(以下、突出長さと称する)は、厚肉部38aよりも長く、付け根補強部38や錘部39が存在しない部分に比べて約3倍となっている。なお、補強リブ38bの突出長さは、錘部39の厚み方向の長さと略同等である。
【0057】
厚肉部38aは、導通部33の付け根から最大幅の位置にわたって設けられている。一方、補強リブ38bは、付け根開口部37*の幅方向両側縁において、接合部32に接続されるリブの付け根からリブの先端まで導通部33の長手方向に沿って直線状に設けられている。そして、補強リブ38bの下方先端は、付け根開口部37*の下端縁よりもやや下方に位置し、導通部33を側面視したときに、後述の流路形成部39bの上方先端と重なって視えるように、補強リブ38bが配置されている。
【0058】
錘部39は、導通部33の下方側に設けられている。図14,15に示すように、錘部39は、導通部33の板厚を厚くすることで先端側に重量を付与し、吊り下げ移送時の支点(第1フランジ36aと第2フランジ36bとの間)に対して全体の重量バランスを調整する機能を有する。なお、錘部39は、導通部33の正面及び背面から同じように隆起しており、補強リブ38bと略同等の厚み方向の長さ(以下、隆起高さと称する)を有している。
【0059】
また、錘部39は、導通部33の全幅にわたって設けられた塊状の錘部本体39aと、錘部本体39aから付け根側に延伸した流路形成部39bとで構成されており、錘部本体39aと流路形成部39bとは同一の隆起高さを有する。なお、錘部本体39aは、専ら重量バランスを調整する機能を、流路形成部39bは、専ら付け根補強部38との間において幅方向に沿った吸引流路P(後述の図19参照)を形成する機能を有するが、流路形成部39bは、更に、導通部33の厚み方向に対する剛性を高めて曲げ強度を向上させる機能を有する。
【0060】
錘部本体39aは、導通部33の先端よりも付け根側に設けられている。流路形成部39bは、導通部33の幅方向中央部に、上下方向に沿って1本設けられ、錘部本体39aの上下から延出している。即ち、流路形成部39bは、錘部本体39aから導通部33の付け根側だけでなく導通部33の先端側にも延伸しており、錘部39は全体として略十字形状を有している。錘部本体39a及び流路形成部39bは、いずれも正面視略略矩形状を呈し、互いに略直交している。ここで、導通部33の幅方向中央部とは、導通部33の幅方向の中心である幅方向中央を含み当該幅方向中央に近接する領域であって、例えば、導通部33の幅方向中央から幅5mm程度(左右合わせて10mm程度)の領域である。なお、本実施形態では、流路形成部39bは幅方向中央に設けられており、更に、導通部33では、錘部39を含む各構成要素が幅方向中央に対して左右対称に設けられ、導通部全体として良好な重量バランスを有している。
【0061】
また、流路形成部39bは、導通部33を側面視したときに、その上方先端と付け根補強部38の下方先端とが重なるように設けられており(図14,15参照)、流路形成部39bの上方先端は付け根開口部37*の下端縁に位置している。なお、流路形成部39bの下方先端は、導通部33の先端(スパウト30の下端)に位置している。
【0062】
次に、図18(a,b)及び図19(a,b)を参照して、上記構成を備えるスパウト30の使用形態及び作用効果を説明する。なお、以下では、スパウト30がパウチ本体61に取り付けられた口栓付きパウチ容器60を例示して説明する。
【0063】
図18(a)は、口栓付きパウチ容器60の斜視図であり、図18(b)は、スパウト30が取り付けられた口栓付きパウチ容器60の上端縁を拡大した正面図(キャップ40を取り外した状態)である。
図18(a)に示すように、口栓付きパウチ容器60は、パウチ本体61と、口栓62とで構成されている。パウチ本体61は、容器の正面部、背面部、側面部を構成する樹脂製のシート材63を含み、各シート材63の端縁に形成された端縁シール部64によって内容物が充填される容器内部空間が密閉された構造を有する。なお、パウチ本体61は、側面部を構成する一対のシート材63が内側に向かって山折りに折り返されたガゼット構造を有するサイドガゼットパウチである。
【0064】
口栓62は、上記スパウト30と、スパウト30の口部31に螺合されたキャップ40とで構成されており、パウチ本体61の上端縁に取り付けられている。具体的には、スパウト30の接合部32が、容器の正面部及び背面部を構成するシート材63の端縁間に挟まれた状態で、当該シート材63の端縁同士及びシート材63と接合部32とがヒートシール(端縁シール部64が形成)されて取り付けられている(図18(b)参照)。そして、口栓付きパウチ容器60では、キャップ40が螺合された口部31がパウチ本体61の外側に位置し、導通部33がパウチ本体61の内部に挿入された取り付け形態となる。
【0065】
なお、スパウト30の装着工程では、スパウト搬送装置によりスパウト30が吊り下げ移送される。スパウト30によれば、錘部39によって導通部33に重量が付与され吊り下げ移送時の支点(第1フランジ36aと第2フランジ36bとの間)に対して全体の重量バランスが調整されているので、安定した吊り下げ移送が可能になる。また、スパウト30によれば、導通部33が厚みの薄い薄板形状であるため、パウチ本体61にスムーズに挿入することができ、良好な装着性を得ることができる。
【0066】
図19(a)は、図18(b)のA‐A線断面を模式的に示す図であり、図19(b)は、図18(b)のB‐B線断面を模式的に示す図である。また、図19では、口栓付きパウチ容器60の内容物が少なくなり、容器の正面部及び背面部を構成するシート材63が導通部33の正面及び背面に張り付いた様子を示している。
【0067】
図19(a,b)に示すように、スパウト30は、導通部33の正面及び背面から突出した補強リブ38bと、導通部33の正面及び背面から隆起した錘部39(錘部本体39a、流路形成部39b)とを備える。したがって、シート材63は、その内面が、上方から補強リブ38b、流路形成部39b、及び錘部本体39aに当接して支持され、導通部33の正面、背面と、容器の正面部、背面部を構成する各シート材63との間に横方向に延びた内容物の吸引流路Pが形成される。そして、当該吸引流路Pは、付け根開口部37*を介して連通孔34の吸い込み口に連通しているため、導通部33の横方向両側近傍に存在する内容物は吸引流路Pを通って容易に吸い出される。
【0068】
一方、スパウト30によれば、導通部33を側面視したときに、流路形成部39bの上方先端と補強リブ38bの下方先端とが重なっているので、導通部33の厚み方向に対する曲げ強度が大きく向上している。即ち、導通部33を側面視したときに、導通部33の付け根から先端まで厚み方向に突出(隆起)するリブが連続しており、導通部33は厚み方向に折れ曲がり難くなる。
【0069】
また、スパウト30の導通部33は、薄板形状であるが、その付け根が付け根補強部38により補強されているので、スパウト30の輸送時や加熱殺菌時等に外力がかかっても曲がり難い。即ち、導通部33では、付け根補強部38によって、最も曲がり易い付け根の剛性が高められている。
【0070】
なお、上記第2実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更することができる。以下、設計変更の例(変形例)を示す。
【0071】
図20に、第1の変形例を示す。
例えば、上記では、補強リブ38bの突出長さと錘部39の隆起高さとが略同等であり、且つ錘部本体39a及び流路形成部39bの隆起高さが同じであるものとして説明したが、図20(右側面図)に示すように、錘部本体39a及び流路形成部39bの隆起高さが異なっていてもよい。図20に例示する形態において、流路形成部39bは、錘部本体39aからリブの先端側に進むに連れて隆起高さが高くなって補強リブ38bの下方先端の位置よりも下方で隆起高さが最大となり、今度は逆にリブの先端側ほど隆起高さが低くなった隆起形状を有している。なお、流路形成部39bは、導通部33の正面側、背面側において同じ形状を有する。当該構成によれば、図14に例示する形態よりも吸引流路Pが拡大して、内容物の取り出し性が更に向上する。また、流路形成部39bは、隆起高さが最大となる部分から錘部本体39aに向かって先細ったテーパー形状を呈するため、流路形成部39bがガイドとなって容器の上縁部を拡げながら容器内に導通部33をスムーズに挿入できる。また、大きく隆起した流路形成部39bにより導通部33の厚み方向に対するバランスが良好となり、安定した吊り下げ移送が可能になる。
【0072】
図21〜図23に、第2の変形例を示す。
図21,22,23(斜視図、正面図、右側面図)に示すように、錘部本体39aの上下方向長さ(以下、太さとする)が、導通部33の幅方向に沿って変化する形態とすることもできる。図21に示す錘部本体39aは、導通部33の幅方向両端部で細く、導通部33の幅方向中央部、即ち流路形成部39bとの連結部分で太くなっている。この錘部本体39aは、図11に示す錘部本体39aと比較すると、流路形成部39bと接する部分では略同等の太さを有するが、幅方向両端部では1/3程度の太さとなっている。なお、この錘部本体39aは、流路形成部39bに対して左右対称である。
【0073】
錘部本体39aと流路形成部39bとが略直交して形成される4つのコーナー部39zは、直角(図12参照)ではなく丸みを帯びており、正面視略円弧形状を呈する。そして、錘部本体39aと流路形成部39bとの連結部分は、正面視略円形を呈するようにデザインされている。コーナー部39zは、内容物(例えば、シャーベットの粒)が堆積し易い部分であるが、正面視略円弧形状とすることで、コーナー部39zにおける内容物の堆積を抑制して内容物のよりスムーズな流動を可能とする。
【0074】
図24に、第3の変形例を示す。
図24(右側面図)に例示する形態は、図21〜図23に例示する形態と同じ形状の錘部本体39aを有する。但し、本変形例では、補強リブ38bの突出長さと錘部39の隆起高さとが略同等である上記第2の変形例とは異なり(図23参照)、流路形成部39bは、図20に示す上記第1の変形例のように、錘部本体39aに向かって先細ったテーパー形状を呈する。図24に示す流路形成部39bは、側面視したときに付け根補強部38に重なる上端部39mにおいて、隆起高さが最大となり、上端部39mは導通部33の厚み方向に沿って直線状に延びている。なお、流路形成部39bは、導通部33の正面側、背面側において同じ形状を有し、側面視したときに各流路形成部39bの形状、及び2つが合わさった形状のいずれも略三角形状を呈する。流路形成部39bの上端部39mと、該上端部から錘部本体39aに延びる斜辺部39nとが交わる角部はR加工されており丸みを帯びている。当該構成によれば、図20に例示する形態と同様に、内容物の取り出し性が向上すると共に、口栓付きパウチ容器60の製造過程において、流路形成部39bのガイド機能によって容器内への導通部33の挿入がスムーズとなり、導通部33の厚み方向に対するバランスが良好となって安定した吊り下げ移送が可能になる。さらに、上端部39mと斜辺部39nとが交わる角部がR加工されているため、シート材との摩擦が抑制されて容器内への導通部33の挿入がよりスムーズになる。
【0075】
また、上記では、導通部33を側面視したときに、流路形成部39bの上方先端と補強リブ38bの下方先端とが重なるものとして説明したが、流路形成部39bは、付け根補強部38との間に間隙が介在するように設けられてもよい。
【0076】
また、上記では、付け根補強部38を厚肉部38aと補強リブ38bとで構成されるものとして説明したが、付け根補強部38は、当該構成に限定されず、厚肉部38a及び補強リブ38bのいずれか一方のみで構成されてもよい。なお、厚肉部38aのみで付け根補強部38を構成する場合、その厚みは錘部39の厚みと同等以上であることが好ましい。また、上記では、付け根補強部38(補強リブ38b)の厚みを付け根補強部38や錘部39が存在しない部分に比べて約3倍(錘部39と同等)として説明したが、付け根補強部38の厚みは、当該厚みに限定されず、吸引流路Pを形成し得る程度であればよい。
但し、付け根補強部38の厚みは、接合部32とパウチ本体61とのヒートシール性を阻害しないように、接合部32の前後方向の厚み(導通部33の厚み方向に沿った長さ)以下であることが好ましい。
【0077】
また、上記では、流路形成部39bが導通部33の幅方向中央に1本設けられた形態について説明したが、上記に述べた幅方向中央部の領域内に設けられていれば特に限定されず、例えば、流路形成部39bが幅方向中央からずれた位置に設けられてもよく、また、2本以上設けられていてもよい。但し、導通部33の重量バランス等の観点から、流路形成部39bは、導通部33を正面視したときに左右対称となるように配置されるのが好ましい。
【符号の説明】
【0078】
<第1実施形態>
10 パウチ容器用スパウト、11 口部、12 接合部、13 導通部、14 連通孔、15 ネジ山、16 フランジ部、16a 第1フランジ、16b 第2フランジ、17 開口部、17* 付け根開口部、18 付け根補強部、18a 厚肉部、18b 補強リブ、19 錘部、19a 錘部本体、19b 流路形成部、20 キャップ、50 口栓付きパウチ容器、51 パウチ本体、52 口栓、53 シート材、54 端縁シール部。
【0079】
<第2実施形態>
30 パウチ容器用スパウト、31 口部、32 接合部、33 導通部、34 連通孔、35 ネジ山、36 フランジ部、36a 第1フランジ、36b 第2フランジ、37 開口部、37* 付け根開口部、38 付け根補強部、38a 厚肉部、38b 補強リブ、39 錘部、39a 錘部本体、39b 流路形成部、40 キャップ、60 口栓付きパウチ容器、61 パウチ本体、62 口栓、63 シート材、64 端縁シール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップが取り付けられる円筒状の口部と、
容器に接合される接合部と、
接合部から口部と反対側に延設した板状の導通部と、
を備え、口部及び接合部の内部に連通孔が形成されたパウチ容器用スパウトにおいて、
導通部は、
その付け根に形成された開口部と、
付け根補強部と、
錘部本体と錘部本体から付け根側に延伸する流路形成部とで構成される錘部と、
を有し、付け根補強部と流路形成部とによって、導通部の幅方向側縁側から前記開口部に至る流路が導通部に形成されていることを特徴とするパウチ容器用スパウト。
【請求項2】
流路形成部は、導通部の幅方向側縁部に設けられる、請求項1に記載のパウチ容器用スパウト。
【請求項3】
流路形成部は、導通部の幅方向中央部に設けられる、請求項1に記載のパウチ容器用スパウト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−158390(P2012−158390A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252192(P2011−252192)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】