説明

パターン形成方法及びポリシロキサン組成物

【課題】多層レジストプロセスにおいて、シリコン含有膜のフッ素系ガスエッチングに対する加工性と、酸素系ガスエッチングに対する耐性とを共に高め、微細なパターンを形成できるパターン形成方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、(1)ポリシロキサン組成物を用い、被加工基板の上面側にシリコン含有膜を形成する工程、(2)上記シリコン含有膜上にレジストパターンを形成する工程、(3)上記レジストパターンをマスクとし、上記シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する工程、並びに(4)上記シリコン含有パターンをマスクとし、上記被加工基板をドライエッチングして被加工基板にパターンを形成する工程を有し、上記ポリシロキサン組成物が、[A]フッ素原子を含むポリシロキサン、及び[B]架橋促進剤を含有するパターン形成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法及びポリシロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の微細化に伴う集積度の向上を意図し、シリコン含有膜を用いる多層レジストプロセスによる加工サイズの微細化が進んでいる。かかる多層レジストプロセスでは、まず、被加工基板上にポリシロキサン組成物を用いてシリコン含有膜を形成した後、このシリコン含有膜上にレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、次いでマスクパターンを介して露光し、現像液で現像することによりレジストパターンを得る。次に、このレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス等のエッチングガスを用いた上記シリコン含有膜のドライエッチングによりシリコン含有パターンを形成し、このシリコン含有パターンをマスクとし、酸素系ガス等のエッチングガスを用いたドライエッチングにより、所望のパターンが施された基板を得る(特開2001−284209号公報、特開2010−85912号公報及び特開2008−39811号公報参照)。
【0003】
今日では、このような多層レジストプロセスを用いる場合においても、パターンのさらなる微細化、それによる薄膜化、加えて生産性の向上が要求されている。そのため、用いられるシリコン含有膜には、エッチングされる際にはエッチング速度が大きい加工性の高さが求められ、一方、シリコン含有パターンをマスクとして被加工基板等のエッチングを行う際には、エッチング耐性の高さが求められる。
【0004】
しかし、従来の技術によれば、シリコン含有膜のフッ素系ガスに対する加工性を上げると、酸素系ガスに対する耐性は低下する傾向にあり、これらを両立させることは困難とされている。このため、多層レジストプロセスにおいて、形成するシリコン含有膜のフッ素系ガスエッチングに対する加工性と、酸素系ガスエッチングに対する耐性とを共に高め、微細なパターンを形成することができるパターン形成方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−284209号公報
【特許文献2】特開2010−85912号公報
【特許文献3】特開2008−39811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、多層レジストプロセスにおいて、シリコン含有膜のフッ素系ガスエッチングに対する加工性と、酸素系ガスエッチングに対する耐性とを共に高め、微細なパターンを形成することができるパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
(1)ポリシロキサン組成物を用い、被加工基板の上面側にシリコン含有膜を形成する工程、
(2)上記シリコン含有膜上にレジストパターンを形成する工程、
(3)上記レジストパターンをマスクとし、上記シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する工程、並びに
(4)上記シリコン含有パターンをマスクとし、上記被加工基板をドライエッチングして被加工基板にパターンを形成する工程
を有し、
上記ポリシロキサン組成物が、
[A]フッ素原子を含むポリシロキサン(以下、「[A]ポリシロキサン」ともいう)、及び
[B]架橋促進剤
を含有するパターン形成方法である。
【0008】
本発明のレジストパターン形成方法は、上記工程を有し、シリコン含有膜の形成に、[A]ポリシロキサン及び[B]架橋促進剤を含有する組成物を用いることで、シリコン含有膜のフッ素系ガスエッチングに対する加工性と、酸素系ガスエッチングに対する耐性とを共に高め、その結果、微細なパターンを形成することができる。当該パターン形成方法によって、上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば[A]ポリシロキサンがフッ素原子を含むことによってフッ素系ガスエッチングに対するエッチング速度が向上すると考えられ、これと[B]架橋促進剤による[A]ポリシロキサン高分子量化による酸素系ガスエッチングに対する耐性の向上が両立できること等が考えられる。
【0009】
上記(2)工程は、
(2−A1)レジスト組成物を用い、上記シリコン含有膜上にレジスト膜を形成する工程、
(2−A2)フォトマスクを介した露光光の照射により、上記レジスト膜を露光する工程、及び
(2−A3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を含むことが好ましい。
レジストパターンを、レジスト組成物を用いて露光及び現像により形成することで、より良好な形状のパターンを形成することができる。
【0010】
(0)被加工基板上に有機膜であるレジスト下層膜を形成する工程、
をさらに有し、
(1)工程において、シリコン含有膜を上記レジスト下層膜上に形成し、
(4)工程において、上記レジスト下層膜をさらにドライエッチングすることが好ましい。
多層レジストプロセスにおいて、被加工基板とシリコン含有膜との間に有機膜であるレジスト下層膜を設ける場合には、本発明の効果をより発揮させることができる。
【0011】
本発明のポリシロキサン組成物は、
[A]フッ素原子を含むポリシロキサン、及び
[B]架橋促進剤
を含有する。
当該ポリシロキサン組成物は、[A]ポリシロキサン及び[B]架橋促進剤を含有することにより、形成されるシリコン含有膜のフッ素系ガスエッチングに対する加工性と酸素系ガスエッチングに対する耐性を共に高めることができる。
【0012】
[A]ポリシロキサンは、置換されていてもよいフッ素化炭化水素基を有することが好ましい。上記構造を有する[A]ポリシロキサンは、簡便に合成することができる。
【0013】
上記フッ素化炭化水素基は、フッ素化フェニル基であることが好ましい。上記フッ素化炭化水素基として上記特定の基を用いることで、シリコン含有膜のフッ素系ガスエッチングに対する加工性と酸素系ガスエッチングに対する耐性とを共に、効果的に高めることができる。
【0014】
[A]ポリシロキサンは、下記式(1)で表されるシラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
【化1】

(式(1)中、Rは、フッ素原子を有する1価の炭化水素基である。但し、この炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Rは、水素原子又は1価の炭化水素基である。但し、この炭化水素基はフッ素原子及びフッ素原子を有する基以外で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、1〜3の整数である。bは、0〜2の整数である。但し、a+b≦3を満たす。上記R、R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR、R及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0015】
[A]ポリシロキサンは上記特定のシラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物として簡便に合成することができる。
【0016】
[B]架橋促進剤は、窒素含有化合物及びオニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。[B]架橋促進剤が上記特定の化合物であると、その適度な塩基性により、[A]ポリシロキサンの架橋による高分子量化を効果的に進行させることができる。
【0017】
上記窒素含有化合物が、アミン化合物及び加熱によりアミンを生成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。上記窒素含有化合物が上記特定の化合物であることで、その塩基性がさらに適度になり、その結果、[A]ポリシロキサンの架橋による高分子量化をさらに効果的に進行させることができる。
【0018】
ここで、本明細書において、「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のパターン形成方法によれば、多層レジストプロセスにおいて、形成するシリコン含有膜のフッ素系ガスエッチングに対する加工性と、酸素系ガスエッチングに対する耐性とを共に高め、微細なパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<パターン形成方法>
本発明のパターン形成方法は、
(1)ポリシロキサン組成物を用い、被加工基板の上面側にシリコン含有膜を形成する工程、
(2)上記シリコン含有膜上にレジストパターンを形成する工程、
(3)上記レジストパターンをマスクとし、上記シリコン含有膜をドライエッチングそてシリコン含有パターンを形成する工程、並びに
(4)上記シリコン含有パターンをマスクとし、上記被加工基板をドライエッチングして被加工基板にパターンを形成する工程
を有し、
上記ポリシロキサン組成物が、
[A]フッ素原子を含むポリシロキサン(以下、「[A]ポリシロキサン」ともいう)、及び
[B]架橋促進剤
を含有するパターン形成方法である。
【0021】
また、当該パターン形成方法において、
(0)被加工基板上に有機膜であるレジスト下層膜を形成する工程、
をさらに有し、
(1)工程において、シリコン含有膜を上記レジスト下層膜上に形成し、
(4)工程において、上記レジスト下層膜をさらにドライエッチングすることが好ましい。
以下、各工程について説明する。
【0022】
[(1)工程]
(1)工程では、ポリシロキサン組成物を用い、被加工基板の上面側にシリコン含有膜を形成する。ポリシロキサン組成物については後述する。被加工基板としては、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用できる。また例えば、特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系の反射防止膜を被加工基板上に形成してもよい。
【0023】
上記ポリシロキサン組成物の塗布方法としては、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成されるポリシロキサン含有膜の膜厚としては、通常10nm〜1,000nmであり、10nm〜500nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましい。
【0024】
上記ポリシロキサン組成物を塗布した後、必要に応じて、プレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PB温度としては、上記ポリシロキサン組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常50℃〜450℃程度である。また、PB時間としては、通常5秒〜600秒程度である。
【0025】
[(2)工程]
(2)工程では、(1)工程で形成したシリコン含有膜上にレジストパターンを形成する。(2)工程においてレジストパターンを形成する方法としては、例えば、(2A)レジスト組成物を用いる方法、(2B)ナノインプリントリソグラフィー法を用いる方法、(2C)自己組織化(Directed Self−Assembly)組成物を用いる方法等が挙げられる。
【0026】
[(2A)レジスト組成物を用いる方法]
(2)工程は、(2A)レジスト組成物を用いて行う場合、例えば、
(2−A1)レジスト組成物を用い、上記シリコン含有膜上にレジスト膜を形成する工程(以下、「(2−A1)工程」ともいう)、
(2−A2)フォトマスクを介する露光光の照射により、上記レジスト膜を露光する工程(以下、「(2−A2)工程」ともいう)、及び
(2−A3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「(2−A3)工程」ともいう)
を含む。
【0027】
((2−A1)工程)
(2−A1)工程では、レジスト組成物を用い、(1)工程で形成したシリコン含有膜上にレジスト膜を形成する。
【0028】
上記レジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等が挙げられる。
上記レジスト組成物は、固形分濃度が、通常、5〜50質量%程度であり、一般に、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過して、レジスト膜の形成に供される。なお、この工程では、市販のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
【0029】
上記レジスト組成物の塗布方法及び塗布膜厚としては、(1)工程のポリシロキサン組成物におけるものと同様である。塗布後、必要に応じてPBを行うことにより塗膜中の溶剤が揮発し、レジスト膜が形成される。PB温度としては、上記レジスト組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃程度であり、50℃〜150℃が好ましい。また、PB時間としては、通常5秒〜600秒程度である。
【0030】
また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜を、上記形成したレジスト膜上に設けることもできる。さらに、レジスト膜からの酸発生体等の流出を防止するため、例えば特開2005−352384号公報等に開示されている液浸用保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。なお、これらの技術は併用できる。
【0031】
(2−A2)工程)
(2−A2)工程では、フォトマスクを介した露光光の照射により、(2−A1)工程で形成したレジスト膜を露光する。この露光は必要に応じて液浸液を介して行う液浸露光でもよい。また、この露光は、連続して複数回行ってもよい。なお、露光の際に必要に応じて用いられる液浸液としては水やフッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。使用する水としては蒸留水、超純水が好ましい。水を用いる場合、界面活性剤を少量加えてもよい。
【0032】
露光に使用される露光光としては、例えば紫外線、遠紫外線、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等が挙げられる。これらのうち、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)がより好ましく、ArFエキシマレーザー光がさらに好ましい。露光量等の露光条件は、上記感放射線性樹脂組成物の配合組成等に応じて適宜選択される。
【0033】
また、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、上記レジスト組成物中の重合体の酸解離性基の解離反応等を円滑に進行できる。PEB温度としては、通常30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましい。また、PEB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
【0034】
((2−A3)工程)
(2−A3)工程では、(2−A2)工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、レジストパターンが形成される。レジスト膜を現像する現像液としては、例えば、アルカリ現像液、有機溶媒を主成分とする現像液等が挙げられる。
【0035】
上記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中で、TMAH水溶液が好ましい。このアルカリ水溶液の濃度としては、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。これらのアルカリ性化合物は、1種単独又は2種以上を用いることができる。
【0036】
上記有機溶媒を主成分とする現像液としては、良好なレジストパターンを得る観点から、現像液中の有機溶媒の含有率としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。現像液に含有される有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系有機溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒としては、例えば、後述する当該ポリシロキサン組成物における[C]溶媒として例示した溶媒等が挙げられる。これらの中で、現像液に用いる有機溶媒としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、エステル系溶媒がより好ましく、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸アミルがさらに好ましく、酢酸n−ブチルが特に好ましい。これらの有機溶媒は、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0037】
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。界面活性剤としては例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系界面活性剤及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
【0038】
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0039】
上記現像後にレジスト膜をリンス液により洗浄してもよい。リンス液としては、アルカリ現像の場合は通常、水、好ましくは超純水が用いられ、有機溶媒現像の場合は、例えば、アルカン系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒等の有機溶媒が用いられる。これらの中で、アルコール系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、炭素数6〜8の1価のアルコール系溶媒がより好ましく、メチルイソブチルカービノールがさらに好ましい。上記リンス液の各成分は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0040】
リンス液による洗浄処理の方法としては、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0041】
上記現像後又はリンス液による洗浄後は、通常、乾燥処理等を行うことにより、所望のレジストパターンを得ることができる。
【0042】
[(2B)ナノインプリントリソグラフィー法を用いる方法]
(2)工程は、(2B)ナノインプリントリソグラフィー法を用いて行う場合、例えば、
(2−B1)硬化性組成物を用い、上記シリコン含有膜上にパターン形成層を形成する工程(以下、「(2−B1)工程」ともいう)、
(2−B2)反転パターンを有するモールドの表面を上記パターン形成層に圧接する工程(以下、「(2−B2)工程」ともいう)、
(2−B3)上記モールドを圧接した状態でパターン形成層を露光又は加熱する工程(以下、「(2−B3)工程」ともいう)、及び
(2−B4)上記モールドを、上記露光又は加熱されたパターン形成層から剥離する工程(以下、「(2−B4)工程」ともいう)
を含む。
【0043】
((2−B1)工程)
(2−B1)工程では、硬化性組成物を用い、上記シリコン含有膜上にパターン形成層を形成する。硬化性組成物としては、例えば、重合性単量体又は重合性オリゴマーを含有する組成物が挙げられ、例えば、感放射線性の硬化性組成物、熱硬化性の硬化性組成物等が挙げられる。上記硬化性組成物は、硬化促進剤等を含有してもよい。硬化促進剤としては、例えば光酸発生剤、光塩基発生剤、光増感剤等の感放射線性硬化促進剤;熱酸発生剤、熱塩基発生剤等の熱硬化促進剤等が挙げられる。上記硬化促進剤は、2種以上を併用してもよい。
【0044】
硬化性組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等が挙げられる。
【0045】
((2−B2)工程)
(2−B2)工程では、反転パターンを有するモールドの表面を上記パターン形成層に圧接する。モールドの表面は、形成するレジストパターンの形状の反転パターンを有している。モールドの材料としては、例えば、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート等の光透明性樹脂;透明金属蒸着膜;ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜;光硬化膜;金属膜等が挙げられる。上記硬化性組成物として感放射線性の硬化性組成物を用いる場合、モールドとしては放射線が透過する材料が用いられる。
【0046】
モールドを圧接する際の圧力としては、通常0.1MPa〜100MPaであり、0.1MPa〜50MPaが好ましく、0.1MPa〜30MPaであることがより好ましく。圧接時間としては、通常1秒〜600秒であり、1秒〜300秒が好ましく、1秒〜180秒がより好ましい。
【0047】
なお、上記モールドは、圧接の前に、その表面を離型剤等により疎水化処理をしておくことが好ましい。上記離型剤としては、例えばシリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。なお、離型剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、シリコン系離型剤が好ましい。このシリコン系離型剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等が挙げられる。
【0048】
((2−B3)工程)
(2−B3)工程では、上記モールドを圧接した状態でパターン形成層を露光又は加熱する。上記硬化性組成物として感放射線性の硬化性組成物を用いる場合は露光を行い、熱硬化性組成物を用いる場合は加熱を行う。露光及び加熱の条件としては、用いる硬化性組成物の組成によって適宜選択される。
【0049】
((2−B4)工程)
(2−B4)工程では、上記モールドを、上記露光又は加熱されたパターン形成層から剥離する。これにより、レジストパターンが形成される。剥離方法としては、特に限定されず、例えば、パターン形成層を固定してモールドを移動させて剥離してもよく、モールドを固定してパターン形成層を移動させて剥離してもよく、これらの両方を逆方向に移動させて剥離してもよい。
【0050】
[(2C)自己組織化組成物を用いる方法]
(2)工程は、(2C)自己組織化組成物を用いて行う場合、例えば、
(2−C1)パターン形成用自己組織化組成物を用い、上記シリコン含有膜上に、相分離構造を有する自己組織化膜を形成する工程(以下、「(2−C1)工程」ともいう)、及び
(2−C2)上記自己組織化膜の一部の相を除去する工程(以下、「(2−C2)工程」ともいう)
を含む。
【0051】
((2−C1)工程)
(2−C1)工程では、パターン形成用自己組織化組成物を用い、上記シリコン含有膜上に、相分離構造を有する自己組織化膜を形成する。本工程を行う方法としては、例えば、パターン形成用自己組織化組成物の塗布の後、アニーリング等を行う方法などが挙げられる。
【0052】
パターン形成用自己組織化組成物は、自己組織化により相分離構造を形成する組成物である。パターン形成用自己組織化組成物としては、例えば、ブロック共重合体を含有する組成物、2種以上の重合体を含有する組成物等が挙げられ、具体例としては、ポリスチレンブロック−ポリメチルメタクリレートブロックからなるブロック共重合体を含有する組成物、ポリスチレンとポリメチルメタクリレートとを含有する組成物等が挙げられる。
【0053】
パターン形成用自己組織化組成物を上記シリコン含有膜上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法等が挙げられる。
【0054】
上記アニーリングの温度としては、通常80℃〜400℃である。アニーリングの時間としては、通常30秒〜120分である。
【0055】
なお、得られる相分離構造をより所望なものとするために、パターン形成用自己組織化組成物を上記シリコン含有膜上へ塗布する前に、上記シリコン含有膜に略垂直なプレパターン、及び/又は上記シリコン含有膜上に積層される他の下層膜を形成することが好ましい。
【0056】
((2−C2)工程)
(2−C2)工程では、上記自己組織化膜の一部の相を除去する。これによりレジストパターンが形成される。
【0057】
上記自己組織化膜の一部の相を除去する方法としては、例えば、ケミカルドライエッチング、スパッタエッチング、イオンビームエッチング等のドライエッチング;有機溶媒、フッ化水素酸等のエッチング液を用いたウエットエッチング等が挙げられる。
【0058】
(2)工程を行う方法としては、これらの中で、(2A)レジスト組成物を用いる方法が好ましい。レジストパターンを、レジスト組成物を用いて露光及び現像により形成することで、より良好な形状のパターンを形成することができる。
【0059】
[(3)工程]
(3)工程では、(2)工程で得られたレジストパターンをマスクとし、上記シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する。このドライエッチングは、公知のドライエッチング装置を用いて行うことができる。ドライエッチングに使用するエッチングガスとしては、エッチングされるシリコン含有膜の元素組成等により、適宜選択することができ、例えば、CHF、CF、C、C、SF等のフッ素系ガス、Cl、BCl等の塩素系ガス、O、O、HO等の酸素系ガス、H、NH、CO、CO等のガス、He、N、Ar等の不活性ガス等が用いられ、これらのガスは混合して用いることもできる。シリコン含有膜のドライエッチングには、通常、フッ素系ガスが用いられ、これに酸素系ガスと不活性ガスとを混合したものが好適に用いられる。このようなフッ素系ガスを用いるエッチングの場合、後述する当該ポリシロキサン組成物から形成されるシリコン含有膜を用いると、エッチング速度が高く加工性を高めることができ、その結果、エッチング工程の生産性を高めることができる。
【0060】
[(4)工程]
(4)工程では、(3)工程で得られたシリコン含有パターンをマスクとし、上記被加工基板をドライエッチングして被加工基板にパターンを形成する。本工程のドライエッチングも、上記(3)工程と同様に行うことができる。シリコン含有パターンをマスクとしたドライエッチングは、通常、酸素系ガスが用いられ、これに不活性ガスを混合したものが好適に用いられる。このような酸素系ガスを用いるエッチングの場合、後述する当該ポリシロキサン組成物から形成されるシリコン含有パターンを用いると、エッチング耐性が高く、シリコン含有膜を薄膜化することが可能となり、結果として、パターンのさらなる微細化の要求にも応えることができる。
【0061】
[(0)工程]
また、当該パターン形成方法においては、上記(1)工程の前に、(0)工程として、被加工基板上に有機膜であるレジスト下層膜を形成することもできる。多層レジストプロセスにおいて、被加工基板とシリコン含有膜との間に有機膜であるレジスト下層膜を設ける場合には、本発明の効果をより発揮させることができる。この場合、上記(1)工程では、シリコン含有膜は上記レジスト下層膜上に形成し、上記(4)工程では、上記レジスト下層膜及び被加工基板を順次ドライエッチングする。有機膜であるレジスト下層膜は、通常、有機下層膜形成用組成物を塗布、乾燥させて形成することができる。
【0062】
当該パターン形成方法によれば、上記(1)〜(4)工程を行うことにより、所定のパターンが形成された基板を得ることができる。
【0063】
<ポリシロキサン組成物>
本発明のポリシロキサン組成物は、本発明のパターン形成方法におけるシリコン含有膜等のレジスト下層膜形成用組成物として好適に用いられ、[A]ポリシロキサン及び[B]架橋促進剤を含有する。また、当該ポリシロキサン組成物は、好適成分として、[C]溶媒を含有し、さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。以下各成分について説明する。
【0064】
<[A]ポリシロキサン>
[A]ポリシロキサンは、フッ素原子を含むポリシロキサンである。ポリシロキサンは、シロキサン結合を有するポリマー又はオリゴマーである。[A]ポリシロキサンは、フッ素原子を含む限り特に限定されず、フッ素原子は[A]ポリシロキサンのケイ素原子に結合していてもよく、ケイ素原子に結合する有機基を構成する原子として含まれていてもよい。この有機基としては、例えば、置換されていてもよいフッ素化炭化水素等が挙げられる。
【0065】
上記フッ素化炭化水素基としては、例えば、
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のフッ素化アルキル基;
フルオロシクロペンチル基、ジフルオロシクロペンチル基、テトラフルオロシクロペンチル基、ノナフルオロシクロペンチル基、テトラフルオロシクロヘキシル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基、フルオロノルボルニル基、ジフルオロノルボルニル基、フルオロアダマンチル基、ジフルオロアダマンチル基等のフッ素化脂環式炭化水素基;
フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等のフッ素化フェニル基;フルオロトリル基、ペンタフルオロトリル基、トリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフルオロフェニル基等のフッ素化アリール基;
フルオロベンジル基、ジフルオロベンジル基、トリフルオロベンジル基、テトラフルオロベンジル基、ペンタフルオロベンジル基、フルオロフェニルエチル基、ペンタフルオロフェニルエチル基等のフッ素化アラルキル基等が挙げられる。
これらの中でもフッ素化アリール基が好ましく、フッ素化フェニル基がより好ましく、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基がさらに好ましく、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が特に好ましく、ペンタフルオロフェニル基がさらに特に好ましい。
【0066】
上記フッ素化炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0067】
[A]ポリシロキサンは、上記式(1)で表されるシラン化合物(以下、「シラン化合物(1)」ともいう)を含む化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。[A]ポリシロキサンは、シラン化合物(1)を含む化合物の加水分解縮合物であることで、簡便に合成することが可能となる。
【0068】
上記式(1)中、Rは、フッ素原子を有する1価の炭化水素基である。但し、この炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Rは、水素原子又は1価の炭化水素基である。但し、この炭化水素基はフッ素原子以外で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、1〜3の整数である。bは、0〜2の整数である。但し、a+b≦3を満たす。上記R、R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR、R及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0069】
上記Rで表されるフッ素原子を有する1価の炭化水素基としては、例えば、上記ケイ素原子に結合する有機基のうち、フッ素化炭化水素基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
【0070】
上記フッ素原子を有する1価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、上記ケイ素原子に結合する有機基のうち上記フッ素化炭化水素基が有してもよい置換基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
【0071】
としては、これらの中でも、フッ素化アリール基が好ましく、フッ素化フェニル基がより好ましく、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基がさらに好ましく、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が特に好ましく、ペンタフルオロフェニル基がさらに特に好ましい。
【0072】
上記Rで表される1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。
【0073】
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の直鎖状のアルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソアミル基等の分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
【0074】
上記アルケニル基としては、例えば、アルケン化合物から水素原子を1つ除いた基等が挙げられ、エテニル基、1−プロペン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、1−プロペン−3−イル基、1−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、1−ブテン−3−イル基、1−ブテン−4−イル基、2−ブテン−1−イル基、2−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−5−イル基、2−ペンテン−1−イル基、2−ペンテン−2−イル基、1−ヘキセン−6−イル基、2−ヘキセン−1−イル基、2−ヘキセン−2−イル基等が挙げられる。
【0075】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等が挙げられる。
【0076】
上記炭化水素基が有してもよいフッ素原子以外の置換基としては、例えば、上記ケイ素原子に結合する有機基のうち上記フッ素化炭化水素基が有してもよい置換基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
【0077】
上記Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0078】
上記Xで表される−ORにおけるRで表される1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アルキルカルボニル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。また、上記アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基が好ましく、メチルカルボニル基がより好ましい。
【0079】
Xとしては、−ORが好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0080】
aとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。bとしては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。a+bとしては、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0081】
シラン化合物(1)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0082】
【化2】

【0083】
上記式中、Xは、上記式(1)と同義である。
【0084】
これらの中で、フッ素化アリール基を含むシラン化合物が好ましく、フッ素化フェニル基を含むシラン化合物がより好ましく、フルオロフェニルトリアルコキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリアルコキシシランがさらに好ましく、ペンタフルオロフェニルトリアルコキシシランが特に好ましい。
【0085】
<[A]ポリシロキサンの合成方法>
[A]ポリシロキサンは、例えば、シラン化合物(1)及び必要に応じて用いる他のシラン化合物を、加水分解縮合させることにより合成することができる。
【0086】
上記シラン化合物(1)と共に加水分解縮合してもよい他のシラン化合物として、
1個のケイ素原子を含むシラン化合物としては、例えば、
フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−エチルフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、3−エチルフェニルトリメトキシシラン、3−メトキシフェニルトリメトキシシラン、3−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−メチルフェニルトリメトキシシラン、2−エチルフェニルトリメトキシシラン、2−メトキシフェニルトリメトキシシラン、2−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、2−アミノフェニルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2,4,6−トリメチルフェニルトリメトキシシラン、4−メチルベンジルトリメトキシシラン、4−エチルベンジルトリメトキシシラン、4−メトキシベンジルトリメトキシシラン、4−フェノキシベンジルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、4−アミノベンジルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノベンジルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノベンジルトリメトキシシラン等の芳香環含有トリアルコキシシラン;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−t−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルビストリス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルジクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−t−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−t−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−メチルプロピルトリエトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−t−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリフェノキシシラン、1−メチルプロピルトリメトキシシラン、1−メチルプロピルトリエトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−t−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリ−t−ブトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン類;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;
テトラフェノキシシラン等のテトラアリールシラン類;
オキセタニルトリメトキシシラン、オキシラニルトリメトキシシラン、オキシラニルメチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;
テトラクロロシラン等のテトラハロシラン類等が挙げられる。
【0087】
また、ケイ素原子を2個以上含む他のシラン化合物としては、例えば、
ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、
1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン;
ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−イソプロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−1−(トリ−イソプロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−2−(トリ−イソプロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、
ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−イソプロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−イソプロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメチルメトキシシリル)メタン、ビス(ジメチルエトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−イソプロポキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−t−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(ジメチルメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチルエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−イソプロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−t−ブトキシシリル)エタン、
1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、
1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン等のジシラン類等が挙げられる。
【0088】
さらに、ポリジメトキシメチルカルボシラン、ポリジエトキシメチルカルボシラン等のポリカルボシラン等を用いてもよい。
【0089】
シラン化合物(1)及び他のシラン化合物を加水分解縮合させる条件は、特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
【0090】
上記加水分解縮合に用いられる水は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。水の使用量は、シラン化合物の加水分解性基(上記式(1)におけるXで表される基)の合計量1モルに対して、好ましくは0.1〜3モル、より好ましくは0.3〜2モル、さらに好ましくは0.5〜1.5モルの量である。このような量の水を用いることによって、加水分解縮合の反応速度を最適化することができる。
【0091】
上記加水分解縮合に使用することができる反応溶媒としては、特に限定されるものではないが、通常、後述する当該ポリシロキサン組成物の調製に用いられる溶媒と同様のものを使用することができる。このような反応溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類等が挙げられる。これらの反応溶媒の中でもジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は3−メトキシプロピオン酸メチルが好ましい。
【0092】
上記加水分解縮合反応は、好ましくは酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸)、塩基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジンなどの含窒素化合物;塩基性イオン交換樹脂;水酸化ナトリウムなどの水酸化物;炭酸カリウムなどの炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩;各種ルイス塩基)、アルコキシド(例えば、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド)等の触媒の存在下で行われる。触媒の使用量としては、加水分解縮合反応の促進の観点から、シラン化合物1モルに対して、好ましくは0.2モル以下であり、より好ましくは0.00001〜0.1モルである。
【0093】
上記加水分解縮合における反応温度及び反応時間は、適宜に設定される。反応温度としては、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。反応時間としては、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。このような反応温度及び反応時間とすることによって、加水分解縮合反応を最も効率的に行うことができる。この加水分解縮合においては、反応系内にシラン化合物、水及び触媒を一度に添加して反応を一段階で行ってもよく、又はシラン化合物、水及び触媒を、数回に分けて反応系内に添加することによって、加水分解縮合反応を多段階で行ってもよい。なお、加水分解縮合反応の後には、エバポレーションにかけることによって、水及び生成したアルコールを反応系から除去することができる。
【0094】
[A]ポリシロキサンの形成に用いられるシラン化合物(1)の使用割合としては、加水分解縮合に用いられる全シラン化合物のケイ素原子数に対して、1モル%〜50モル%が好ましく、1モル%〜20モル%がより好ましく、5モル%〜15モル%がさらに好ましい。シラン化合物(1)の使用割合が上記下限未満だと、形成されるレジストパターンのパターン倒れ耐性が低下する場合がある。シラン化合物(1)の使用割合が上記上限を超えると、形成されるレジストパターン形状の良好性が低下する場合がある。
【0095】
[A]ポリシロキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、通常1,000〜20,000であり1,000〜15,000が好ましく、1,200〜10,000がより好ましく、1,500〜7,000がさらに好ましい。
【0096】
なお、本明細書におけるMwは、GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本、東ソー製)を使用し、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した値である。
【0097】
[A]ポリシロキサンの含有量としては、当該ポリシロキサン組成物の全固形分中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。[A]ポリシロキサンの含有量が70質量%未満だと、得られるシリコン含有膜のエッチング耐性が低下する場合がある。
【0098】
<[B]架橋促進剤>
[B]架橋促進剤は、当該ポリシロキサン組成物からシリコン含有膜を形成する際等に、[A]ポリシロキサンの分子鎖間又は分子鎖内における架橋反応を促進することができる化合物である。[B]架橋促進剤としては、上記性質を有する限り、特に限定されないが、例えば、酸、塩基、金属錯体、金属塩化合物、オニウム塩化合物等が挙げられる。[B]架橋促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることもできる。
【0099】
上記酸としては、例えば、塩酸等のハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素酸、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸、酢酸等のカルボン酸;ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸;リン酸、ヘテロポリ酸、無機固体酸などが挙げられる。
【0100】
上記塩基としては、例えば、窒素含有化合物;水酸化アルカリ、炭酸アルカリ等のアルカリ金属化合物等が挙げられる。
【0101】
上記金属錯体としては、例えば、周期律表第2、4,5及び13族の金属元素と、β−ジケトン、ケトエステル等の配位子とから構成されるキレート錯体等が挙げられる。
【0102】
上記金属塩化合物としては、例えば、下記式(a)で表されるアルカリ金属塩化合物等が挙げられる。
【0103】
【化3】

【0104】
上記式(a)中、Mは、アルカリ金属イオンである。Xn−は、水酸化物イオン及び炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。aは、1以上の整数である。bは、0又は1以上の整数である。nは、水酸化物イオン又は有機酸イオンの価数である。a+bは、c個の水酸化物イオン及び有機酸イオンの価数の合計と同じである。
【0105】
上記式(a)で表されるアルカリ金属塩化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の水酸化物塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩等の1価の塩;上記金属等のシュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩等の1価又は2価の塩等が挙げられる。
【0106】
[B]架橋促進剤としては、これらの中でも、より効果的にポリシロキサンを高分子量化すると考えられる観点より、窒素含有化合物、オニウム塩化合物が好ましい。
【0107】
上記窒素含有化合物としては、例えば、アミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0108】
上記アミン化合物としては、例えば、モノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0109】
上記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−t−アミロキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。これらの中で、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−t−アミロキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましく、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾールが好ましい。
【0110】
上記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0111】
上記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0112】
窒素含有化合物としては、これらの中でも、適度な塩基性を発揮できる観点から、アミン化合物、又は加熱によりアミン化合物を生成する化合物であることが好ましい。
【0113】
上記アミン化合物、又は加熱によりアミン化合物を生成する化合物としては、下記に示す(B1)ヒドロキシル基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の極性基並びにエステル基を有する窒素含有化合物(以下、「(B1)化合物」ともいう)、(B2)ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する窒素含有化合物(以下、「(B2)化合物」ともいう)、及び(B3)エステル基を有する窒素含有化合物(以下、「(B3)化合物」)等が挙げられる。(B1)化合物及び(B2)化合物が有するエステル基は、塩基性アミノ基の窒素原子に結合することで、加熱により解離して、塩基性アミノ基を有する化合物を生成する。
【0114】
上記(B1)化合物としては、例えば、下記式(B−1−1)〜(B−1−5)で表される化合物等が挙げられる。
【0115】
【化4】

【0116】
上記(B2)化合物としては、例えば、下記式(B−2−1)〜(B−2−4)で表される化合物等が挙げられる。また、上記(B3)化合物としては、下記式(B−3−1)〜(B−3−4)で表される化合物等が挙げられる。
【0117】
【化5】

【0118】
上記式(B−2−2)及び(B−2−3)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基である。
【0119】
窒素含有化合物としては、これらの中でも、(B1)化合物、(B2)化合物が好ましく、上記式(B−1−1)で表される化合物、上記式(B−1−2)、上記式(B−1−5)で表される化合物、上記式(B−2−1)で表される化合物がより好ましい。これらは極性基を有することで、シリコン含有膜の形成ベーク時に化合物の昇華が抑えられ、シリコン含有膜中に残存できるため、上記効果を十分に発揮することができる。
【0120】
上記オニウム塩化合物としては、例えば、下記式(b)で表される化合物等が挙げられる。
【化6】

【0121】
上記式(b)中、Qは、1価のオニウムカチオンである。Ym−は、水酸化物イオン、炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸イオン、及び1価又は2価以上の非求核性アニオンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。dは、1以上の整数である。eは、0又は1以上の整数である。mは、水酸化物イオン、有機酸イオン又は非求核性アニオンの価数である。d+eは、f個の水酸化物イオン、有機酸イオン及び非求核性アニオンの価数の合計と同じである。
【0122】
上記Qで表される1価のオニウムカチオンとしては、例えば、下記式(b1)で表されるスルホニウムカチオン、下記式(b2)で表されるヨードニウムカチオン、下記式(b3)で表されるアンモニウムカチオン等が挙げられる。
【0123】
【化7】

【0124】
上記式(b1)中、R1a、R1b及びR1cは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基若しくはオキソアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、オキソシクロアルキル基若しくはオキソシクロアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基若しくはアリールオキソアルキル基である。これらの基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。また、R1a、R1b及びR1cのうちのいずれか2つ以上が互いに結合して、これらが結合する硫黄原子と共に環構造を形成していてもよい。
【0125】
【化8】

【0126】
上記式(b2)中、R2a及びR2bは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基若しくはオキソアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、オキソシクロアルキル基若しくはオキソシクロアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基若しくはアリールオキソアルキル基である。これらの基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。また、R2a及びR2bが互いに結合して、これらが結合するヨウ素原子と共に環構造を形成していてもよい。
【0127】
【化9】

【0128】
上記式(b3)中、R3a、R3b、R3c及びR3dは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基若しくはオキソアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、オキソシクロアルキル基若しくはオキソシクロアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基若しくはアリールオキソアルキル基である。これらの基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。また、R3a、R3b、R3c及びR3dのうちのいずれか2つ以上が互いに結合して、これらが結合する窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。
【0129】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基等が挙げられる。
上記オキソアルキル基としては、例えば、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基等が挙げられる。
上記オキソアルケニル基としては、例えば、4−オキソ−2−ペンテニル基、4−オキソ−2−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0130】
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルメチル基、ノルボルネニル基等が挙げられる。
上記オキソシクロアルキル基としては、例えば、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記オキソシクロアルケニル基としては、例えば、2−オキソ−4−シクロペンチル基、2−オキソ−5−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0131】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記アリールオキソアルキル基としては、例えば、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−ナフチル−2−オキソエチル基等が挙げられる。
【0132】
上記基の水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0133】
1価のオニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、置換又は非置換のトリアリールスルホニウムカチオン、4級アンモニウムカチオンがより好ましく、トリアリールスルホニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオンがさらに好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオンが特に好ましい。
また、1価のオニウムカチオンとして、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のうち、紫外線、遠紫外線等の光により分解する光分解性カチオンも好ましい。
【0134】
上記Ym−で表される有機酸イオンとしては、例えば、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、デカン酸イオン、ステアリン酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン等の1価のイオン;シュウ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、マレイン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン等の1価又は2価のイオン等が挙げられる。
これらの中で、1価のイオンが好ましく、酢酸イオン、1価のマレイン酸イオンがより好ましい。
【0135】
上記Ym−で表される非求核性アニオンとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン等の1価のイオン;硫酸イオン、リン酸イオン等の2価以上のイオン等が挙げられる。
これらの中で、1価のイオンが好ましく、塩化物イオン、硝酸イオンが好ましい。
【0136】
上記オニウム塩化合物としては、スルホニウム塩化合物、アンモニウム塩化合物が好ましく、トリアリールスルホニウム塩化合物、テトラアルキルアンモニウム塩化合物がより好ましく、トリフェニルスルホニウム塩化合物、テトラメチルアンモニウム塩化合物がさらに好ましく、酢酸トリフェニルスルホニウム、水酸化トリフェニルスルホニウム、塩化トリフェニルスルホニウム、マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)、硝酸トリフェニルスルホニウム、酢酸テトラメチルアンモニウムが特に好ましい。
【0137】
[B]架橋促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該ポリシロキサン組成物における[B]架橋促進剤の含有量としては、[A]ポリシロキサンの架橋による高分子量化をより適度に行う観点から、[A]ポリシロキサン100質量部に対して、通常、20質量部以下であり、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.05質量部〜6質量部がより好ましく、0.2質量部〜5質量部がさらに好ましく、0.5質量部〜4質量部が特に好ましい。
【0138】
<[C]溶媒>
当該ポリシロキサン組成物は、通常、[C]溶媒を含有する。[C]溶媒は、[A]ポリシロキサン及び[B]架橋促進剤及び必要に応じて加える任意成分を溶解又は分散することができる限り、特に限定されず用いることができる。[C]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系有機溶媒、炭化水素系溶媒等の有機溶媒などが挙げられる。
【0139】
アルコール系溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0140】
エーテル系溶媒としては、例えば、
ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のジ脂肪族エーテル系溶媒;
アニソール、フェニルエチルエーテル、フェニルプロピルエーテル、トリルメチルエーテル、トリルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル等の含芳香族エーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0141】
ケトン系溶媒としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のジケトン系溶媒;
ジアセトンアルコール等のヒドロキシル基含有ケトン系溶媒;
アセトフェノン、フェニルエチルケトン等の芳香族ケトン系溶媒等が挙げられる。
【0142】
アミド系溶媒としては、例えば、
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0143】
エステル系溶媒としては、例えば、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のカルボン酸エステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールモノアルキルエーテルアセテート系溶媒;
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒等が挙げられる。
【0144】
炭化水素系溶媒としては、例えば、
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒;
ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン系溶媒等が挙げられる。
【0145】
[C]溶媒としては、これらの中で、アルコール系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、
多価アルコール部分エーテル系溶媒、多価アルコールモノアルキルエーテルアセテート系溶媒がより好ましく、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがさらに好ましい。[C]溶媒は、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0146】
当該ポリシロキサン組成物は、水を含有してもよい。水を含有すると、[A]ポリシロキサンが水和されるため、当該ポリシロキサン組成物の保存安定性が向上する。また、水を含有すると、シリコン含有膜の成膜時の硬化が促進され、緻密な膜を得ることができる。当該ポリシロキサン組成物における水の含有率としては、0質量%〜30質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましく、0.2質量%〜15質量%がさらに好ましい。水の含有量が上記上限を超えると、当該ポリシロキサン組成物の保存安定性が低下し、また塗布膜の均一性が低下する場合がある。
【0147】
<その他の任意成分>
当該ポリシロキサン組成物は、上記成分以外にも、その他の任意成分として、さらに、酸発生剤、塩基発生剤、界面活性剤、β−ジケトン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー等を含有してもよい。
【0148】
<ポリシロキサン組成物の調製方法>
当該ポリシロキサン組成物は、例えば、[A]ポリシロキサン、[B]架橋促進剤、及び必要に応じて、その他の任意成分を混合し、[C]溶媒に溶解または分散して得られる。当該ポリシロキサン組成物の固形分濃度としては、通常、0.5質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜15質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
【実施例】
【0149】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各物性値の測定方法を以下に示す。
【0150】
[固形分濃度]
ポリシロキサンを含む溶液0.5gを、250℃で30分間焼成した後に残存した質量を測定することにより、ポリシロキサンを含む溶液の固形分濃度(質量%)を求めた。
【0151】
[重量平均分子量(Mw)]
GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL1本、東ソー製)を用い、流量が1.0mL/分、溶出溶媒がテトラヒドロフラン、カラム温度が40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
【0152】
<[A]ポリシロキサンの合成>
[A]ポリシロキサンの合成に用いた単量体を以下に示す。
下記に各構造式を示す。
化合物(M−1):テトラメトキシシラン
化合物(M−2):メチルトリメトキシシラン
化合物(M−3):フェニルトリメトキシシラン
化合物(M−4):4−トリルトリメトキシシラン
化合物(M−5):4−フルオロトリメトキシシラン
化合物(M−6):ペンタフルオロトリメトキシシラン
【0153】
【化10】

【0154】
[合成例1](ポリシロキサン(A−1)の合成)
シュウ酸1.27gを水12.72gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、上記化合物(M−1)22.38g、化合物(M−2)3.76g、化合物(M−5)1.99g、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル58.04gを入れたフラスコに、冷却管と、上記調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、上記シュウ酸水溶液を10分かけて滴下した後、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、反応により生成したメタノールを除去してポリシロキサン(A−1)を含む溶液75.0gを得た。このポリシロキサン(A−1)を含む溶液の固形分濃度は、18.0質量%であった。また、このポリシロキサン(A−1)のMwは、2,100であった。
【0155】
[合成例2](ポリシロキサン(A−2)の合成)
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.92gを水8.75gに加熱溶解させて、TMAH水溶液を調製した。その後、調製したTMAH水溶液14.59g、水4.53g及びメタノール40gを入れたフラスコに、冷却管と、上記化合物(M−1)10.66g、化合物(M−2)3.45g及び化合物(M−5)1.08gをメタノール50gに溶解させた単量体溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて50℃に加熱した後、上記単量体溶液を30分かけて滴下した後、50℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。その後、無水マレイン酸5.49gを、水20.17g及びメタノール20.17gの混合液に溶解させて調製したマレイン酸溶液45.83g中へ、上記反応溶液を滴下し、30分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン50gを加えてから、エバポレーターを用いて水及びメタノールを留去して、生成物の4−メチル−2−ペンテノン溶液を得た。得られた生成物溶液を分液ロートへ移してから、水80gを加えて1回目の水洗を行った後、水40gを加えて2回目の水洗を行った。この水洗した生成物溶液を、分液ロートよりフラスコへ移した後、プロピレングリコールモノエチルエーテル50gを加えてから、エバポレーターを用いて、4−メチル−2−ペンテノンを留去して、ポリシロキサン(A−2)を含む溶液51gを得た。このポリシロキサン(A−2)を含む溶液の固形分濃度は18.0質量%であった。また、このポリシロキサン(A−2)のMwは4,000であった。
【0156】
[合成例3〜5](ポリシロキサン(A−3)並びに(a−1)及び(a−2)の合成)
下記表1に示す種類の各単量体を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A−3)並びに(a−1)及び(a−2)をそれぞれ含む溶液を合成した。
【0157】
[合成例6](ポリシロキサン(a−3)の合成)
下記表1に示す種類の各単量体を用いた以外は、合成例2と同様にして、ポリシロキサン(a−3)を含む溶液を合成した。
【0158】
得られた各ポリシロキサンを含む溶液の固形分濃度及び各ポリシロキサンのMwを、表1に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
<ポリシロキサン組成物の調製>
ポリシロキサン組成物を構成する[A]ポリシロキサン以外の成分について、以下に示す。
【0161】
[[B]架橋促進剤]
各化合物の構造式を以下に示す。
B−1:N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
B−2:N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
B−3:N−t−ブトキシカルボニル−2−カルボキシピロリジン
B−4:N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペリジン
B−5:酢酸トリフェニルスルホニウム
B−6:水酸化トリフェニルスルホニウム
B−7:酢酸テトラメチルアンモニウム
【0162】
【化11】

【0163】
[[C]溶媒]
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C−2:プロピレングリコールモノエチルエーテル
C−3:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
【0164】
[実施例1]
[A]ポリシロキサンとしての(A−1)を含む溶液9.70質量部、及び[B]架橋促進剤としての(B−1)0.05質量部を、[C]溶媒としての(C−1)68.74質量部及び(C−2)21.51質量部に溶解させた後、得られた溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、ポリシロキサン組成物(P−1)を得た。
【0165】
[実施例2〜9及び比較例1〜4]
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリシロキサン組成物(P−2)〜(P−9)及び(p−1)〜(p−4)を得た。なお、表2中の「−」は、該当する成分を用いなかったことを示す。
【0166】
【表2】

【0167】
<フォトレジスト組成物の調製>
[ベース重合体の合成]
[合成例7]
下記式で表される化合物(Q−1)11.92g、化合物(Q−2)41.07g、化合物(Q−3)15.75g、化合物(Q−4)11.16g及び化合物(Q−5)20.10g及び重合開始剤としてのジメチル2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)3.88gを2−ブタノン200gに溶解させた溶液を調製した。1,000mLの三口フラスコに2−ブタノン100gを投入し、30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱した。そこへ上記調製した溶液を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後2時間、80℃にて熟成した。重合終了後、重合反応液を水冷することにより30℃以下に冷却した。その重合反応液をエバポレーターにてその質量が200gになるまで減圧濃縮した。その後、重合反応液を1,000gのメタノールへ投入し、再沈操作を行った。析出したスラリーを吸引濾過して濾別し、固形分をメタノールにて3回洗浄した。得られた粉体を60℃で15時間真空乾燥し、白色粉体の重合体(G)88.0g(収率88%)を得た。得られた重合体(G)(ベース重合体)のMwは9,300、Mw/Mnは1.60であった。13C−NMR分析の結果、化合物(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)、(Q−4)及び(Q−5)に由来する構造単位の各含有割合は、16モル%、26モル%、19モル%、11モル%、28モル%であった。なお、13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(JNM−ECP500、日本電子製)を使用した。
【0168】
【化12】

【0169】
[フッ素原子含有重合体の合成]
[合成例8]
下記式で表される化合物(Q−6)3.8g及び化合物(Q−7)1.2gを、2−ブタノン10gに溶解させ、さらに2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)0.09gを溶解させた溶液を、100mLの三口フラスコに投入した。30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、加熱開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合反応液を水冷することにより30℃以下に冷却し、エバポレーターにてその質量が12.5gになるまで減圧濃縮した。この濃縮した重合反応液を、0℃に冷却したn−ヘキサン75gへゆっくり投入し、固形分を析出させた。得られた液を濾過し、固形分をn−ヘキサンで洗浄し、得られた粉体を40℃で15時間真空乾燥し、白色粉体の重合体(F)3.75g(収率75%)を得た。重合体(F)(フッ素原子含有重合体)のMwは9,400、Mw/Mnは1.50であった。13C−NMR分析の結果、化合物(Q−6)及び(Q−7)に由来する構造単位の各含有割合は、68.5モル%及び31.5モル%であり、フッ素原子含有率は21.4質量%であった。
【0170】
【化13】

【0171】
[レジスト組成物の調製]
[合成例9]
ベース重合体としての上記重合体(G)100質量部、フッ素原子含有重合体としての上記重合体(F)5質量部、酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート8質量部及び酸拡散制御剤としての上記式(B−1)で表される化合物0.6質量部を、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1,881質量部、シクロヘキサノン806質量部及びγ−ブチロラクトン200質量部に加え溶液とした。この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、レジスト組成物(H)を調製した。
【0172】
<シリコン含有膜の形成>
シリコンウェハ上に、上記実施例及び比較例で得られたポリシロキサン組成物を、塗布/現像装置(CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン製、以下の塗布操作で特に記載のない場合は同じ)を用い、スピンコート法により塗布した。得られた塗膜を、200℃のホットプレート上で1分間PBを行い、シリコン含有膜を形成した。得られたシリコン含有膜の膜厚を膜厚測定装置(M−2000D、J.A.Woollam製)で測定したところ、100nmであった。
【0173】
<評価>
上記得られたシリコン含有膜について下記評価を行った。得られた結果を表3に示す。
【0174】
[基板反射率]
上記得られた各シリコン含有膜、有機下層膜形成用組成物(NFC HM8006、JSR製)及び上記合成例9で得られたレジスト組成物(H)についてそれぞれの屈折率パラメーター(n)及び消衰係数(k)を、高速分光エリプソメーター(M−2000、J.A.Woollam製)により測定し、この測定値を元にシュミレーションソフト(プロリス、KLA−Tencor製)を用いて、NA1.3、Dipole条件下におけるレジスト組成物から形成したレジスト膜/シリコン含有膜/レジスト下層膜形成用組成物から形成した膜を積層させた膜の基板反射率を求めた。この基板反射率が1%以下の場合は「A」(良好)と、1%を超える場合は「B」(不良)と評価した。
【0175】
[レジスト残り]
基板上に形成した各シリコン含有膜上に、上記レジスト組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、100℃で60秒間PBを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。次いで、ArF露光装置(S306C、NIKON製)を使用し、全面露光した。次に、2.38質量%TMAH水溶液で1分間現像した後、基板上の膜(シリコン含有膜及びレジスト膜の残り)の膜厚を上記膜厚測定装置を用いて測定した。露光前のシリコン含有膜の膜厚と上記膜厚との差を、レジスト残り(nm)として評価した。レジスト残りの測定値を表3に示す。レジスト残りは、5nm未満の場合は「良好」と、5nm以上10nm以下の場合は「やや良好」と、10nmを超えると「不良」と評価できる。
【0176】
[耐アルカリ性]
シリコン含有膜を形成させたシリコンウェハーをTMAH水溶液に1分間浸漬し、処理前後の膜厚を測定した。処理前後での膜厚差が1nm以下の場合は「A」(良好)と、1nmを超える場合は「B」(不良)と評価した。
【0177】
[ドライエッチングレート]
上記形成したシリコン含有膜を、エッチング装置(Telius SCCM、東京エレクトロン製)を用い、処理前後の膜厚差を測定することでエッチングレート(nm/min)を算出した。エッチング条件を下記に示す。表3に、フッ素系ガスによるエッチング及び酸素系ガスによるエッチングのそれぞれの場合におけるエッチングレートと、そのエッチングレートの比較例1の場合に対する比率とを示す。
(フッ素系ガスエッチング)
CHF、Ar及びOの混合ガスを圧力250mTorrの処理槽内へ流し、RFパワー500Wでプラズマを生成し、30秒間プロセス処理した。
(酸素系ガスエッチング)
及びArの混合ガスを圧力5mTorrの処理槽内へ流し、RFパワー750Wでプラズマを生成し、60秒間プロセス処理をした。
【0178】
[リソグラフィー評価]
(レジストパターンの形成)
12インチシリコンウェハ上に、有機下層膜形成用組成物(HM8006、JSR製)をスピンコートした後、250℃で60秒間PBを行うことにより膜厚100nmの有機下層膜を形成した。この有機下層膜上に、実施例及び比較例のポリシロキサン組成物をスピンコートし、220℃で60秒間PBを行った後、23℃で60秒間冷却することにより膜厚30nmのシリコン含有膜を形成した。次いで、このシリコン含有膜上に、上記合成例9で得られたレジスト組成物(H)をスピンコートし、100℃で60秒間PBを行った後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
【0179】
次いで、ArF液浸露光装置(S610C、NIKON製)を使用し、NA:1.30、Dipoleの光学条件にて、42nmライン/84nmピッチ形成用のマスクサイズのマスクを介して露光した。上記塗布/現像装置のホットプレート上で、100℃で60秒間PEBを行った後、23℃で30秒間冷却した後、現像カップのLDノズルにて、TMAH水溶液を現像液として30秒間パドル現像した後、超純水でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、42nmライン/84nmピッチのレジストパターンを形成させた。
【0180】
(評価)
上記形成させたレジストパターンについて、下記方法に従って、最小倒壊前寸法の評価を行った。レジストパターンの測長及び観察には走査型電子顕微鏡(CG−4000、日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。
【0181】
上記レジストパターンの形成において、ラインの線幅が42nmであり、隣り合うライン間の距離(スペース)が84nm(ラインアンドスペースが1対2)であるレジストパターンを形成した露光量(mJ/cm)を最適露光量とし、この最適露光量よりも段階的に大きな露光量で順次露光を行った。このとき、得られるパターンの線幅は次第に細くなるため、ある露光量に対応する線幅で最終的にレジストパターンの倒壊が観察される。このレジストパターンの倒壊が確認されない最大の露光量に対応する線幅を最小倒壊前寸法(nm)と定義し、パターン倒れ耐性の指標とした。パターン倒れ耐性は、最小倒壊前寸法が42nm以下の場合は「A」(良好)と、42nmを超える場合は「B」(不良)と評価した。
【0182】
【表3】

【0183】
表3の結果から、本発明のパターン形成方法及びポリシロキサン組成物によれば、得られるシリコン含有膜の基板反射率及び耐アルカリ性等の基本性能、及び形成されるレジストパターンのパターン倒れ耐性を良好に維持させつつ、フッ素系ガスに対する加工性と、酸素系ガスに対する耐性とを共に高めて、パターンを形成できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明のパターン形成方法及びポリシロキサン組成物によれば、フッ素系ガスエッチングに対する加工性と、酸素系ガスエッチングに対する耐性を共に高め、微細なパターンを形成することができる。従って、多層レジストプロセスの中でも、ますます微細化、薄膜化等が進行するArF、液侵露光でのArF、F、EUV、ナノインプリント等を用いた90nmよりも微細な領域におけるパターン形成において好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ポリシロキサン組成物を用い、被加工基板の上面側にシリコン含有膜を形成する工程、
(2)上記シリコン含有膜上にレジストパターンを形成する工程、
(3)上記レジストパターンをマスクとし、上記シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する工程、並びに
(4)上記シリコン含有パターンをマスクとし、上記被加工基板をドライエッチングして被加工基板にパターンを形成する工程
を有し、
上記ポリシロキサン組成物が、
[A]フッ素原子を含むポリシロキサン、及び
[B]架橋促進剤
を含有するパターン形成方法。
【請求項2】
上記(2)工程が、
(2−A1)レジスト組成物を用い、上記シリコン含有膜上にレジスト膜を形成する工程、
(2−A2)フォトマスクを介した露光光の照射により、上記レジスト膜を露光する工程、及び
(2−A3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を含む請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
(0)被加工基板上に有機膜であるレジスト下層膜を形成する工程、
をさらに有し、
(1)工程において、シリコン含有膜を上記レジスト下層膜上に形成し、
(4)工程において、上記レジスト下層膜をさらにドライエッチングする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
[A]フッ素原子を含むポリシロキサン、及び
[B]架橋促進剤
を含有するポリシロキサン組成物。
【請求項5】
[A]ポリシロキサンが、置換されていてもよいフッ素化炭化水素基を有する請求項4に記載のポリシロキサン。
【請求項6】
上記フッ素化炭化水素基が、フッ素化フェニル基である請求項5に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項7】
[A]ポリシロキサンが、下記式(1)で表されるシラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物である請求項4、請求項5又は請求項6に記載のポリシロキサン組成物。
【化1】

(式(1)中、Rは、フッ素原子を有する1価の炭化水素基である。但し、この炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Rは、水素原子又は1価の炭化水素基である。但し、この炭化水素基はフッ素原子及びフッ素原子を有する基以外で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、1〜3の整数である。bは、0〜2の整数である。但し、a+b≦3を満たす。上記R、R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR、R及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【請求項8】
[B]架橋促進剤が、窒素含有化合物及びオニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項4から請求項7のいずれか1項に記載のポリシロキサン組成物。
【請求項9】
上記窒素含有化合物が、アミン化合物及び加熱によりアミン化合物を生成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載のポリシロキサン組成物。

【公開番号】特開2013−83963(P2013−83963A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−211580(P2012−211580)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】