説明

パターン状の蛍光体微粒子膜およびその製造方法。

【課題】蛍光体微粒子が粒子レベルで均一な厚みに被膜された蛍光体微粒子膜の提供。
【解決手段】基材表面に形成される蛍光体微粒子膜が、基材表面(22)に形成された第1の有機膜(21)と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜(23及び25)とを介して互いに共有結合していることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜(24および26)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン状の単層蛍光体微粒子膜やパターン状の累積蛍光体微粒子膜およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、表面に熱反応性または光反応性、あるいはラジカル反応性またはイオン反応性を付与した蛍光体微粒子を用いたパターン状の単層蛍光体微粒子膜やパターン状の累積蛍光体微粒子膜とその製造方法およびそれを用いた表示デバイスとテレビに関するものである。
【0002】
本発明において、「蛍光体微粒子膜」には、無機蛍光体微粒子膜、有機蛍光体微粒子膜、あるいは有機−無機ハイブリッド蛍光体微粒子膜が含まれている。
また、ここでいう蛍光体微粒子膜には、いわゆるEL膜も含まれる。
【背景技術】
【0003】
従来から、両親媒性の有機分子を用い、水面上で分子を並べて基板表面に単分子膜を累積するラングミュアー・ブロジェット(LB)法が知られている。また、界面活性剤を溶かした溶液中で化学吸着法を用いて単分子膜を累積する化学吸着(CA)法が知られている。
【特許文献1】特開2001-323387号公報
【0004】
しかしながら、任意の基材表面に蛍光体微粒子を1層のみの並べた粒子サイズレベルで均一厚みの被膜(パターン状の単層蛍光体微粒子膜)や蛍光体微粒子を1層のみの並べた膜を複数層パターン状に累積した被膜(パターン状の累積蛍光体微粒子膜)及びそれらの製造方法は未だ開発、提供されていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から、ミクロンサイズあるいはナノサイズの蛍光体微粒子は数々開発製造されている。それら蛍光体微粒子が持つ本来の機能を有効に利用するには、蛍光体微粒子を均一な膜厚の被膜にする必要があるが、それら蛍光体微粒子を用いて粒子サイズレベルで均一厚みの被膜を製造するという思想はなかった。
【0006】
本発明は、蛍光体微粒子を用い、各種蛍光体微粒子本来の機能を損なうことなく、任意の基材表面に蛍光体微粒子をパターン状に1層のみ並べた粒子サイズレベルで均一厚みの被膜(パターン状の単層蛍光体微粒子膜)や蛍光体微粒子を1層のみ並べた膜を複数層累積した被膜(パターン状の累積蛍光体微粒子膜)とそれらの製造方法およびそれを用いた表示デバイスとテレビを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として提供される第一の発明は、基材表面に選択的に1層形成された蛍光体微粒子の膜が前記基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明に於いて、基材表面に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜が互いに異なることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜である。
【0009】
第三の発明は、第一の発明に於いて、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜である。
【0010】
第四の発明は、第一及び第二の発明に於いて、基材表面に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜が単分子膜で構成されていることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜である。
【0011】
第五の発明は、第一の発明に於いて、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜の反応性基が失活されているか、第2の有機膜に結合した第3の非反応性の有機膜が形成されていることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜である。
【0012】
第六の発明は、基材表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させ、基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程、蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて前記蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜が形成された前記基材表面に前記第2の反応性の有機膜で被覆された前記蛍光体微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な前記第2の反応性の有機膜で被覆された蛍光体微粒子を洗浄除去する工程を含むことを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0013】
第七の発明は、第六の発明に於いて、基材表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程、および蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材および蛍光体微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材及び蛍光体微粒子表面に共有結合した第1及び第2の反応性の単分子膜を形成する工程を含むことを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0014】
第八の発明は、第六の発明に於いて、第1の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0015】
第九の発明は、第七の発明に於いて、第1の反応性の単分子膜がエポキシ基を含み第2の反応性の単分子膜がイミノ基を含むことを特徴とする請求項7に記載したパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0016】
第十の発明は、第六の発明に於いて、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された蛍光体微粒子を洗浄除去する工程の後、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜の反応性基を失活させるか、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜に第3の非反応性の有機膜を結合させる工程を行うことを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0017】
第十一の発明は、基材表面に選択的に層状に累積され蛍光体微粒子膜が蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜である。
【0018】
第十二の発明は、第十一の発明に於いて、基材表面に第1の有機膜が選択的に形成されており、第2の有機膜が形成された蛍光体微粒子膜と第3の有機膜が形成された蛍光体微粒子膜とが第1の有機膜を介して交互に累積されていることを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜である。
【0019】
第十三の発明は、第十二の発明に於いて、第1、第2,および第3の有機膜の一部が互いに反応して共有結合を形成していることを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜である。
【0020】
第十四の発明は、第十三の発明に於いて、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜。
【0021】
第十五の発明は、第十四の発明に於いて、最表面の蛍光体微粒子表面にある有機膜の反応性基が失活されているか、最表面の蛍光体微粒子表面の有機膜に結合した第4の非反応性の有機膜が形成されていることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜である。
【0022】
第十六の発明は、少なくとも基材表面を第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、第1の蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて前記第1の蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜の形成された前記基材表面に前記第2の反応性の有機膜で被覆された前記第1の蛍光体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な前記第2の反応性の有機膜で被覆された第1の蛍光体微粒子を洗浄除去して第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の蛍光体微粒子膜を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて第2の蛍光体微粒子表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第2の反応性の有機膜で被覆された第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜が形成された基材表面に第3の反応性の有機膜で被覆された第2の蛍光体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分前記第3の反応性の有機膜で被覆された前記第2の蛍光体微粒子を洗浄除去して第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を選択的に形成する工程とを含むことを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0023】
第十七の発明は、第十六の発明に於いて、第1の反応性の有機膜と第3の反応性の有機膜が同じものであることを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0024】
第十八の発明は、第十六の発明に於いて、第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程の後、同様に第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程と第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程を繰り返し行うことを特徴とする多層構造となったパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0025】
第十九の発明は、第十六の発明に於いて、第1〜3の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材あるいは蛍光体微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材や蛍光体微粒子表面に共有結合した第1〜3の反応性の単分子膜を形成することを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0026】
第二十の発明は、第十六の発明に於いて、第1および3の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0027】
第二十一の発明は、第六及び第十六の発明に於いて、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜およびパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法である。
【0028】
第二十二の発明は、第六及び第十六の発明に於いて、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜およびパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【0029】
第二十三の発明は、デバイスの画素部分に選択的に1層形成されたパターン状の蛍光体微粒子の膜が、基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイスである。
【0030】
第二十四の発明は、デバイスの画素部分に選択的に複数層累積形成されパターン状の蛍光体微粒子膜が、蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイスである。
【0031】
第二十五の発明は、第二十三及び第二十四の発明に於いて、パターン状の蛍光体微粒子膜が、それぞれ赤、青、または緑の発光蛍光体微粒子を含んでいることを特徴とする表示デバイスである。
【0032】
第二十六の発明は、デバイスの画素部分に選択的に1層形成されたパターン状の蛍光体微粒子の膜が、基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイスを用いたテレビである。
【0033】
第二十七の発明は、デバイスの画素部分に選択的に複数層累積形成されパターン状の蛍光体微粒子膜が、蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイスを用いたテレビである。
以下さらに、発明の内容を説明する。
【0034】
本発明は、基材表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜の形成された基材表面に第2の反応性の有機膜で被覆された蛍光体微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された蛍光体微粒子を洗浄除去する工程により、基材表面に選択的に1層形成された蛍光体微粒子の膜が基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合しているパターン状の単層蛍光体微粒子膜を提供することを要旨とする。
【0035】
ここで、基材表面に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜が互いに異なると、基材表面の第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜とを選択的に反応させ、単層の蛍光体微粒子膜を作成する上で都合がよい。
また、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であると安定した付着力を得る上で都合がよい。
【0036】
さらに、基材表面に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜が単分子膜で構成されていると、バインダー成分を極少にする上で都合がよい。
さらにまた、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜の反応性基が失活されているか、第2の有機膜に結合した第3の非反応性の有機膜が形成されていると、同一基材上に、パターン状の単層蛍光体微粒子膜を複数箇所作成する上で都合がよい。
【0037】
このとき、基材表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程、および蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材および蛍光体微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材及び蛍光体微粒子表面に共有結合した第1及び第2の反応性の単分子膜を形成する工程を行うと、バインダー成分を極少にする上で都合がよい。
【0038】
また、第1の反応性の有機膜がエポキシ基を含み、第2の反応性の有機膜にイミノ基を含ませておくと、微粒子表面の有機膜を基材表面の有機膜と選択的に反応させる上で都合がよい。
さらに、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された蛍光体微粒子を洗浄除去する工程の後、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜の反応性基を失活させるか、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜に第3の非反応性の有機膜を結合させる工程を行うと、同一基材上に、パターン状の単層蛍光体微粒子膜を複数箇所作成する上で都合がよい。
【0039】
さらに、本発明は、少なくとも基材表面を第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、第1の蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて第1の蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜が形成された基材表面に第2の反応性の有機膜で被覆された第1の蛍光体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された第1の蛍光体微粒子を洗浄除去して第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の蛍光体微粒子膜を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて第2の蛍光体微粒子表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、第2の反応性の有機膜で被覆された第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜が形成された基材表面に第3の反応性の有機膜で被覆された第2の蛍光体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機膜で被覆された第2の蛍光体微粒子を洗浄除去して第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を選択的に形成する工程とにより、基材表面に選択的に層状に累積され蛍光体微粒子膜が蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合しているパターン状の累積蛍光体微粒子膜を提供することを要旨とする。
【0040】
ここで、基材表面に第1の有機膜が選択的に形成されており、第2の有機膜が形成された蛍光体微粒子膜と第3の有機膜が形成された蛍光体微粒子膜とが第1の有機膜を介して交互に累積されていると、パターン状の累積蛍光体微粒子膜の耐剥離強度を向上する上で都合がよい。
また、第1、第2,および第3の有機膜の一部が互いに反応して共有結合を形成していると、パターン状の蛍光体微粒子膜を累積する上で都合がよい。
さらに、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であると、安定した付着力を得る上で都合がよい。
【0041】
さらにまた、最表面の蛍光体微粒子表面にある有機膜の反応性基が失活されているか、最表面の蛍光体微粒子表面の有機膜に結合した第4の非反応性の有機膜が形成されていると、同一基材上にパターン状の単層蛍光体微粒子膜を複数箇所作成する上で都合がよい。
このとき、第1の反応性の有機膜と第3の反応性の有機膜が同じものである、製造工程を単純化できて都合がよい。
また、第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程の後、同様に第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程と第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程を繰り返し行うと、累積微粒子膜の厚みを厚くする上で都合がよい。
【0042】
さらに、第1〜3の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材あるいは蛍光体微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材や蛍光体微粒子表面に共有結合した第1〜3の反応性の単分子膜を形成すると、バインダー成分を極少にする上で都合がよい。
さらにまた、第1および3の反応性の有機膜がエポキシ基を含み、第2の反応性の有機膜にイミノ基を含ませておくと、微粒子表面の有機膜を基材表面の有機膜と選択的に反応させる上で都合がよい。
【0043】
また、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、被膜形成時間を短縮できて都合がよい。
さらに、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いると、被膜形成時間をさらに短縮できて都合がよい。
さらに、本発明は、デバイスの画素部分に選択的に1層形成されたパターン状の蛍光体微粒子の膜が、基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合している表示デバイスを提供することを要旨とする。
【0044】
また、デバイスの画素部分に選択的に複数層累積形成されパターン状の蛍光体微粒子膜が、蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合している表示デバイスを提供することを要旨とする。
ここで、パターン状の蛍光体微粒子膜が、それぞれ赤、青、または緑の発光蛍光体微粒子を含んでいるとカラー表示が可能な表示デバイスを提供する上で癒合がよい。
また、本発明は、デバイスの画素部分に選択的に1層形成されたパターン状の蛍光体微粒子の膜が、基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合している表示デバイスを用いたテレビを提供することを要旨とする。
【0045】
ここで、デバイスの画素部分に選択的に複数層累積形成されパターン状の蛍光体微粒子膜が、蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合していると、信頼性に優れた表示デバイスを用いたテレビを提供する上で都合がよい。
また、ここで、パターン状の蛍光体微粒子膜が、それぞれ赤、青、または、緑の発光蛍光体微粒子を含んでいると、カラー表示が可能なテレビを提供する上で都合がよい。
【発明の効果】
【0046】
以上説明したとおり、本発明によれば、蛍光体微粒子を用い、各種蛍光体微粒子本来の機能を損なうことなく、任意の基材表面に蛍光体微粒子をパターン状に1層のみの並べた粒子サイズレベルで均一厚みの被膜(パターン状の単層蛍光体微粒子膜)や蛍光体微粒子を1層のみ並べた膜を複数層累積した被膜(パターン状の累積蛍光体微粒子膜)とそれらの製造方法、及び、それを用いた表示デバイスやテレビを低コストで提供できる格別の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明は、少なくとも基材表面を第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、第1の蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて第1の蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜が形成された基材表面に第2の反応性の有機膜で被覆された第1の蛍光体微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された第1の蛍光体微粒子を洗浄除去して第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程と、第2の蛍光体微粒子を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて第2の蛍光体微粒子表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、第2の反応性の有機膜で被覆された第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜が形成された基材表面に第3の反応性の有機膜で被覆された第2の蛍光体微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機膜で被覆された第2の蛍光体微粒子を洗浄除去して第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程とにより、基材表面に層状に累積され蛍光体微粒子膜が蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合しているパターン状の累積蛍光体微粒子膜や、それを用いた高性能な表示デバイスやテレビを提供するものである。
【0048】
したがって、本発明では、蛍光体微粒子を用い、各種蛍光体微粒子本来の機能を損なうことなく、任意の基材表面に蛍光体微粒子をパターン状に1層のみの並べた粒子サイズレベルで均一厚みのパターン状の単層蛍光体微粒子膜や蛍光体微粒子を1層のみ並べた膜を複数層累積したパターン状の累積蛍光体微粒子膜とそれらの製造方法や、それを用いた高性能な表示デバイスやテレビを簡便で低コストに製造できる作用がある。
【0049】
以下、本願発明の詳細を実施例に基づいて説明するが、本願発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0050】
また、本発明に関するパターン状の単層蛍光体微粒子膜やパターン状の累積蛍光体微粒子膜の作成には、無機蛍光体微粒子、有機蛍光体微粒子、有機−無機ハイブリッド蛍光体微粒子膜が利用できるが、まず、代表例として硫化亜鉛系の蛍光体微粒子膜を取り上げて説明する。
【実施例1】
【0051】
まず、TFTアレイの形成されたガラス基材1を用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位に反応性の官能基、例えば、エポキシ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、下記式(化1)に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナートを1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に1重量%程度の濃度(好ましくい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0052】
【化1】

【0053】
次に、この吸着液に、ガラス基材1を漬浸して普通の空気中で(相対湿度45%)で2時間反応させた。このとき、ガラス基材1表面には水酸基2が多数含まれているの(図1(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、下記式(化2)に示したような結合を形成し、ガラス基材1表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜3が約1ナノメートル程度の膜厚で形成される。
【0054】
【化2】

【0055】
その後、塩素系溶媒であるクロロホルム用いて洗浄すると、表面に反応性の官能基、例えばエポキシ基を有する化学吸着単分子膜(第1の反応性の有機膜)で被われたガラス基材、がそれぞれ作製できた。(図1(b))
【0056】
なお、この被膜はナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、ガラス基材の透明性を損なうことはなかった。
一方、洗浄せずに空気中に取り出すと、透明性と反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発しガラス基材表面に残った化学吸着剤が表面で空気中の水分と反応して、表面に前記化学吸着剤よりなる極薄の反応性のポリマー膜が形成されたガラス基材が得られた。
【0057】
次ぎに、ELディスプレイを製造する場合には、エキシマレーザーとマスクを用いて、前記基材表面の不要部を選択的に照射(例えば、赤色EL層を形成する予定の部分以外の単分子膜を照射)し、前記反応性の単分子膜をアブレーションで除去する(図1(c))か、あるいはエポキシ基を開環させて失活させた。(図1(d))すなわち、ガラス基板表面がエポキシ基を持ったパターン状の被膜5、5’で選択的に被われた基材’を製作できた。
【0058】
他の方法として、前記被膜表面にカチオン系の重合開始剤、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア250をメチルエチルケトンで希釈してエポキシ被膜表面に塗布し、遠紫外線で選択的に露光しても、選択的に図1の(d)のようにエポキシ基を開環重合させてパターン状に失活できた。
【実施例2】
【0059】
実施例1と同様に、まず、大きさが10nm程度の無水の赤色硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Mn)微粒子11を用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位に反応性の官能基、例えば、エポキシ基あるいはイミノ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、前記式(化1)あるいは下記式(化3)に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、有機酸である酢酸を1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサンとジメチルホルムアミド(50:50)混合溶媒に1重量%程度の濃度(好ましくい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0060】
【化3】

【0061】
この吸着液に無水の赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子11を混入撹拌して普通の空気中で(相対湿度45%)で2時間反応させた。このとき、無水の赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子表面には水酸基12が多数含まれているの(図2(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基が有機酸である酢酸の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、前記式(化2)あるいは下記式(化4)に示したような結合を形成し、赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜13(第2の反応性の有機膜、あるいは第3の反応性の有機膜))あるいは、アミノ基を含む化学吸着膜14(第3の反応性の有機膜あるいは第2の反応性の有機膜)が約1ナノメートル程度の膜厚で形成された(図2(b)、2(c))。
【0062】
【化4】

【0063】
なお、ここで、アミノ基を含む吸着剤を使用する場合には、スズ系の触媒では沈殿が生成するので、酢酸等の有機酸を用いた方がよかった。また、アミノ基はイミノ基を含んでいるが、アミノ基以外にイミノ基を含む物質には、ピロール誘導体や、イミダゾール誘導体等がある。さらに、ケチミン誘導体を用いれば、被膜形成後、加水分解により容易にアミノ基を導入できた。
その後、塩素系溶媒であるクロロホルムを添加して撹拌洗浄すると、表面に反応性の官能基、例えば、エポキシ基を有する化学吸着単分子膜(第2又は第3の反応性の有機膜)で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子1、あるいは、アミノ基を有する化学吸着単分子膜(第3又は第2の反応性の有機膜)で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子1をそれぞれ作製できた。
【0064】
なお、この被膜はナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、粒子径を損なうことはなかった。
一方、洗浄せずに空気中に取り出すと、反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発し粒子表面に残った化学吸着剤が表面で空気中の水分と反応して、単分子膜に比べるとやや厚みがあるが、表面に前記化学吸着剤よりなる極薄の反応性ポリマー膜が形成された赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子が得られた。
【0065】
この方法の特徴は、脱アルコール反応であるため、蛍光体微粒子が有機、あるいは金属酸化物であったとしても使用可能であり、適用範囲が広い。
【実施例3】
【0066】
次に、前記エポキシ基を有する化学吸着単分子膜21で選択的にITO電極部で被われたガラス基材22表面に、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子23をアルコールに分散させて塗布し、100℃程度に加熱すると、ガラス基材表面のエポキシ基と接触している赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子表面のアミノ基が下記式(化5)に示したような反応で付加して赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子とガラス基材は二つの単分子膜を介して選択的に結合する。なお、このとき、超音波を当てながらアルコールを蒸発させると、被膜の膜厚均一性を更に向上できた。
【0067】
【化5】

そこで、再びアルコールで基材表面を洗浄し、余分で基材表面と反応してないアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子を洗浄除去すると、ガラス基材22表面に共有結合したアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜23を選択的に1層のみ並べた状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みのパターン状の単層赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜24を形成できた。(図3(a))
【0068】
ここで、パターン状の単層赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜の厚みは10nm程度であり、極めて均一性が良かった。
【実施例4】
【0069】
さらに、発光効率を上げるため赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜の膜厚を厚くしたい場合、実施例3に引き続き、共有結合したアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子がパターン状に1層のみ並べた状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みのパターン状の単層赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜24が形成されたガラス基材表面に、エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子25をアルコールに分散させて塗布し、100℃程度に加熱すると、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜がパターン状に単層形成された部分のアミノ基と接触している赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子表面のエポキシ基が前記式(化5)に示したような反応で付加して、ガラス基材表面でアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子とエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子が、二つの単分子膜を介して選択的に結合固化した。
【0070】
そこで、再びアルコールで基材表面を洗浄し、余分で未反応のエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子を洗浄除去すると、ガラス基材表面22にエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子を介して共有結合した2層目の赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜が1層のみ並んだ状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みの2層構造となったパターン状の累積赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜26が形成できた。(図3(b))
【0071】
以下同様に、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子とエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子を交互に累積すると、多層構造のパターン状となった赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子の累積被膜を製造できた。
【実施例5】
【0072】
さらに、別の発光色のパターン状となった硫化亜鉛蛍光体微粒子膜を形成する場合には、実施例4に於いて、多層構造のパターン状となった赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜の累積膜の最表層の微粒子表面のアミノ基またはエポキシ基を、活性な官能基を含まない化学吸着剤、例えば、CHCHCHSiCl3を0.1重量%程度の濃度で非水系溶媒(例えば、脱水したノナン)に溶かして化学吸着溶液(以下吸着溶液という)とし、この吸着溶液に、乾燥雰囲気中(相対湿度30%以下が好ましかった。)で前記TFTアレイを漬浸し反応させると、多層構造のパターン状となった赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜の累積膜の最表面にある有機膜に含まれているエポキシ基あるいはイミノ基は脱塩酸反応して微粒子層表面全面に亘り、下記式(化6または化7)に示す結合が生成され、さらに、フロン系の溶媒を加えて撹拌洗浄すると、前記化学吸着剤よりなる不活性単分子膜27が形成されて前記アミノ基やエポキシ基は不活性化される。((図4(a))
【0073】
【化6】

【0074】
【化7】

すなわち、CH基はエポキシ基やイミノ基に不活性なため、以後の累積過程で積層が行われることがない。
【0075】
そこで、前記赤色累積膜が形成されてない部分に、改めて実施例1と同様の方法でパターン状のエポキシ基含有有機膜を形成し、その後、実施例3及び4を行って、第2の発光色を出す蛍光体微粒子膜、例えば、パターン状の緑色硫化亜鉛蛍光体微粒子(ZnS:Tb)膜の累積膜28を形成し、表面を不活性化した。((図4(b))
【0076】
最後に同様の方法で、パターン状の青色硫化亜鉛蛍光体微粒子(Mg,Ba)Al:Eu)膜の累積膜29を形成し、表面を不活性化すると、フルカラー表示が可能なEL表示デバイスを製造できた。((図4(c))
なお、このデバイスは、表示画面内での蛍光体微粒子の膜厚むらが全くないので、テレビの表示デバイスとして用いると画面内での表示均一性が格段に向上した。
【0077】
なお、上記実施例1および2では、反応性基を含む化学吸着剤として式(化1)、あるいは(化3)に、示した物質を用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)〜(16)に示した物質が利用できた。
【0078】
(1) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OCH)3
(2) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OCH)3
(3) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(4) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(5) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(6) (CH2OCH)CH2O(CH2)Si(OC)3
(7) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OC)3
(8) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(9) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(10) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(11) H2N (CH2)Si(OCH)3
(12) H2N (CH2)Si(OCH)3
(13) H2N (CH2)Si(OCH)3
(14) H2N (CH2)Si(OC)3
(15) H2N (CH2)Si(OC)3
(16) H2N (CH2)Si(OC)3
【0079】
ここで、(CHOCH)−基は、下記式(化8)で表される官能基を表し、(CHCHOCH(CH)CH−基は、下記式(化9)で表される官能基を表す。
【0080】
【化8】

【0081】
【化9】

【0082】
また、上記実施例5では、CHCHCHSi(CH3Clを用いたが、上記のもの以外にも、下記(21)〜(28)に示した物質が利用できた。
【0083】
(21) CHCHSi(CH3Cl
(22) CH(CHSi(CH3Cl
(23) CF(CHSi(CH3Cl
(24) CF(CF(CHSi(CH3Cl
(25) CHCHSiCHCl
(26) CH(CHSiCHCl
(27) CF(CHSiCHCl
(28) CF(CF(CHSiCHCl
【0084】
なお、実施例1および2に置いて、シラノール縮合触媒には、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能であった。
【0085】
また、膜形成溶液の溶媒としては、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいはそれら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させて粒子濃度を上げようとする場合には、溶媒の沸点は50〜250℃程度がよい。さらに、吸着剤がアルコキシシラン系の場合で且つ溶媒を蒸発させて有機膜を形成する場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいは、それら混合物が使用できた。
【0086】
具体的に使用可能なものは、クロロシラン系非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0087】
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種パターン状の単層独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
【0088】
一方、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いた場合、同じ濃度でも処理時間を半分〜2/3程度まで短縮できた。
【0089】
さらに、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1範囲で使用可能だが、通常1:1前後が好ましい。)して用いると、処理時間をさらに数倍早く(30分程度まで)でき、製膜時間を数分の一まで短縮できる。
【0090】
例えば、シラノール触媒であるジブチル錫オキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0091】
さらに、シラノール触媒を、ケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3と、シラノール触媒であるジブチル錫ビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を30分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0092】
したがって、以上の結果から、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
【0093】
さらにまた、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物の内の1つとシラノール縮合触媒を混合して用いると、さらに活性が高くなることが確認された。
【0094】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
【0095】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、ラク酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
上記実施例1〜5では、ELディスプレイ用のTFTアレイが形成されたガラス基材と赤色および緑色、青色蛍光体微粒子を例として説明したが、本発明は、蛍光体をパターン状に塗布する必要がある場合には、如何なる場合にも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施例におけるTFTアレイ基材表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、アミノ基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図2】本発明の第2の実施例における赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、アミノ基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図3】本発明の第3および第4の実施例におけるガラス基材表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)はパターン状の単層赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜が形成された基材表面の図、(b)は、パターン状の単層赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜が2層形成された基材表面の図を示す。
【図4】本発明の第5の実施例におけるTFTアレイの形成されたガラス基材表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)はパターン状の赤色硫化亜鉛累積蛍光体微粒子膜表面の有機膜が不活性化された後の基材表面の断面概念図、(b)は、パターン状の緑色硫化亜鉛蛍光体累積微粒子膜が形成された基材表面の断面概念図、(c)は、パターン状の緑色硫化亜鉛蛍光体累積微粒子膜が形成された基材表面の断面概念図を示す。
【符号の説明】
【0098】
1 ガラス基材
2 水酸基
3 エポキシ基を含む単分子膜
エポキシ基を含む単分子膜で被われたガラス基材
5、5’ エポキシ基を持ったパターン状の被膜
’ パターン状の被膜で選択的に被われた基材
11 赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜
12 水酸基
13 エポキシ基を含む単分子膜
14 アミノ基を含む単分子膜
15 エポキシ基を含む単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜
16 アミノ基を含む単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜
21 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜
22 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたガラス基材
23 アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜
24 パターン状の単層赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜
25 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた赤色硫化亜鉛蛍光体微粒子膜
26 2層構造のパターン状の赤色硫化亜鉛蛍光体累積微粒子膜
27 不活性単分子膜
28 2層構造のパターン状の緑色硫化亜鉛蛍光体累積微粒子膜
29 2層構造のパターン状の青色硫化亜鉛蛍光体累積微粒子膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に選択的に1層形成された蛍光体微粒子の膜が前記基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜。
【請求項2】
基材表面に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜が互いに異なることを特徴とする請求項1記載のパターン状の単層蛍光体微粒子膜。
【請求項3】
共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする請求項1記載のパターン状の単層蛍光体微粒子膜。
【請求項4】
基材表面に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜が単分子膜で構成されていることを特徴とする請求項1および2記載のパターン状の単層蛍光体微粒子膜。
【請求項5】
共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜の反応性基が失活されているか、第2の有機膜に結合した第3の非反応性の有機膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載のパターン状の単層蛍光体微粒子膜。
【請求項6】
基材表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させて、アルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程、蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて前記蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜が形成された前記基材表面に前記第2の反応性の有機膜で被覆された前記蛍光体微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な前記第2の反応性の有機膜で被覆された蛍光体微粒子を洗浄除去する工程を含むことを特徴とするパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項7】
基材表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させて、アルコキシシラン化合物と基材表面を反応させた基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程、および蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させたアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させ、蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材および蛍光体微粒子表面を有機溶剤で洗浄して、基材及び蛍光体微粒子表面に共有結合した第1及び第2の反応性の単分子膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載したパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項8】
第1の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とする請求項6に記載したパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項9】
第1の反応性の単分子膜がエポキシ基を含み第2の反応性の単分子膜がイミノ基を含むことを特徴とする請求項7に記載したパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項10】
余分な第2の反応性の有機膜で被覆された蛍光体微粒子を洗浄除去した工程の後、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜の反応性基を失活させるか、共有結合部以外の蛍光体微粒子表面にある第2の有機膜に第3の非反応性の有機膜を結合させる工程を行うことを特徴とする請求項6に記載したパターン状の単層蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項11】
基材表面に選択的に層状に累積され蛍光体微粒子膜が蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜。
【請求項12】
基材表面に第1の有機膜が選択的に形成されており、第2の有機膜が形成された蛍光体微粒子膜と第3の有機膜が形成された蛍光体微粒子膜とが第1の有機膜を介して交互に累積されていることを特徴とする請求項11記載のパターン状の累積蛍光体微粒子膜。
【請求項13】
第1、第2,および第3の有機膜の一部が互いに反応して共有結合を形成していることを特徴とする請求項12記載のパターン状の累積蛍光体微粒子膜。
【請求項14】
共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする請求項13記載のパターン状の累積蛍光体微粒子膜。
【請求項15】
最表面の蛍光体微粒子表面の有機膜の反応性基が失活されているか、最表面の蛍光体微粒子表面の有機膜に結合した第4の非反応性の有機膜が形成されていることを特徴とする請求項14記載のパターン状の単層蛍光体微粒子膜。
【請求項16】
少なくとも基材表面を第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と基材表面を反応させて基材表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、第1の蛍光体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて前記第1の蛍光体微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜が形成された前記基材表面に前記第2の反応性の有機膜で被覆された前記第1の蛍光体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な前記第2の反応性の有機膜で被覆された第1の蛍光体微粒子を洗浄除去して第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の蛍光体微粒子膜を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と蛍光体微粒子表面を反応させて第2の蛍光体微粒子表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第2の反応性の有機膜で被覆された第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜が形成された基材表面に第3の反応性の有機膜で被覆された第2の蛍光体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な前記第3の反応性の有機膜で被覆された前記第2の蛍光体微粒子を洗浄除去して第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を選択的に形成する工程とを含むことを特徴とするパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項17】
第1の反応性の有機膜と第3の反応性の有機膜が同じものであることを特徴とする請求項16に記載したパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項18】
第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程の後、同様に第1のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程と第2のパターン状の単層蛍光体微粒子膜を形成する工程を繰り返し行うことを特徴とする請求項16に記載した多層構造となったパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項19】
第1〜3の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材あるいは蛍光体微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材や蛍光体微粒子表面に共有結合した第1〜3の反応性の単分子膜を形成することを特徴とする請求項16に記載したパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項20】
第1および3の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とする請求項16に記載したパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項21】
シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いることを特徴とする請求項6および16に記載のパターン状の単層蛍光体微粒子膜およびパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項22】
シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とする請求項6および16に記載のパターン状の単層蛍光体微粒子膜およびパターン状の累積蛍光体微粒子膜の製造方法。
【請求項23】
デバイスの画素部分に選択的に1層形成されたパターン状の蛍光体微粒子の膜が、基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイス。
【請求項24】
デバイスの画素部分に選択的に複数層累積形成されパターン状の蛍光体微粒子膜が、蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイス。
【請求項25】
パターン状の蛍光体微粒子膜が、それぞれ赤、青、または緑の発光蛍光体微粒子を含んでいることを特徴とする請求項23および24に記載の表示デバイス。
【請求項26】
デバイスの画素部分に選択的に1層形成されたパターン状の蛍光体微粒子の膜が、基材表面に選択的に形成された第1の有機膜と蛍光体微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイスを用いたテレビ。
【請求項27】
デバイスの画素部分に選択的に複数層累積形成されパターン状の蛍光体微粒子膜が、蛍光体微粒子表面に形成された有機膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とする表示デバイスを用いたテレビ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−161749(P2007−161749A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355936(P2005−355936)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】